従来の画像形成装置の概略図を図11に示す。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及び黒色)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及び黒色の画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図11において時計回りに回転しながら各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写(一次転写)された後、二次転写ローラ9において用紙P上に一度に転写(二次転写)され、さらに、定着部7において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図11において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのクリーニングブレード19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像ユニット3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4a〜4dによって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及び黒色の各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像ユニット3a〜3dの現像ローラにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4a〜4dからの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー、及び黒色のトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ20に掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、中間転写ベルト8とのニップ部(二次転写ニップ部)において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
また、中間転写ベルト8と転写ローラ6a〜6d、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ20とは、一体となって転写ユニット50を形成している。
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
このように、電子写真法を用いたカラー画像形成装置においては、マゼンタ、シアン、イエロー及び黒色のトナーが担持される各感光体と、中間転写ベルト又は搬送ベルトが接触することにより、感光体表面上に形成されたトナー像が順次転写される。
カラー画像を転写するカラーモードでは、全ての感光体からの転写によりトナー像が転写され、モノクロ画像を転写するモノクロモードでは、黒色のトナーが担持される感光体(以下、「黒色感光体」という)のみから黒色画像が転写される。
しかし、カラーモードとモノクロモードを選択的に実行する場合、モノクロモードでは、マゼンタ、シアン及びイエローの画像を形成する各感光体が、転写に使用されないにも拘らず中間転写ベルトと接触し、回転することになる。このため、これら感光体には、不要な回転に晒されることよる消耗、上記ベルトに残存する電荷による感光層の劣化、及び劣化による感光体の電位ムラの発生等が生じる。また、感光体の回転に伴い現像装置内部でトナーが攪拌されるため、トナーに不要な帯電が生じ、感光体への現像が困難となる。また不要な攪拌により現像装置の劣化も生じる。更に、感光体と接触するクリーニング部も摩擦により消耗する。加えて、感光体との摺動により中間転写ベルトも消耗してしまう。
一方、上記の通り、中間転写ベルト8は転写ローラ6a〜6d等と一体となって配設されているため、これらのメンテナンス等のためには、転写ユニット50を装置から脱着する必要がある。
しかし、感光体と中間転写ベルトとが接触していると、上記転写ユニットあるいは感光体の脱着に際し、感光体表面あるいは中間転写ベルトが損傷し易く、精度良く画像を転写することが困難となる。
そこで、中間転写ベルトを、カラーモードでは全ての感光体と接触させ、モノクロモードではカラー画像形成用の感光体(以下、「カラー感光体」という)から離間させて黒色感光体とのみ接触させ、転写ユニットを装置から脱着する際には全ての感光体から離間させる技術が提案されている。例えば特許文献1及び2には、アームやクランクギア等の支持体を用い、中間転写ベルトの循環経路を変化させることによって当該ベルトと感光体とを接触及び離間させる技術が開示されている。しかし、中間転写ベルトを感光体から離間させるために支持体を設置すると、装置が大きくなり、移動機構も複雑になる。
一方、例えば特許文献3には、黒色感光体、カラー感光体、中間転写ベルト、及び中間転写ベルトを介して各感光体と接触する転写ローラとを備えた画像形成装置において、黒色感光体に隣接するカラー感光体と他のカラー感光体との間の何れかの位置に配置されたリトラクトロールを備え、当該リトラクトロールを移動させることによって、中間転写ベルトとカラー感光体とを接触及び離間させる技術が開示されており、当該技術によって、複雑な機構を用いることなく装置全体の小型化を図っている。
特開平9−274354号公報
特開2003−186313号公報
特開2003−337454号公報
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1、図2及び図3は、本発明の第1実施形態に係るタンデム型カラー画像形成装置の画像形成部及び中間転写ベルト周辺の構成を示す概略図であり、図1はカラーモード、図2はモノクロモード、図3は全ての感光体を中間転写ベルトから離間させた状態(以下、「全離間モード」という)での構成を示す。図11と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
シアンの画像が形成される感光体ドラム1a(以下、「感光体1a」という)、マゼンタの画像が形成される感光体ドラム1b(以下、「感光体1b」という)及びイエローの画像が形成される感光体ドラム1c(以下、「感光体1c」という)と中間転写ベルト8とのニップ部をX、Y及びZとする。各カラー感光体1a〜1cは、上記X〜Zが略同一平面上にあるよう水平方向に回転自在に配置されている。また、最下流側の黒色の画像が形成される感光体ドラム1d(以下、「感光体1d」という)は、中間転写ベルト8とのニップ部が上記X〜Zと略同一平面上にあるよう配設されている。
また、中間転写ベルト8の内周面に沿って、最上流側のシアン感光体1aの更に上流側に第1支持ローラ21が、最下流側の黒色感光体1dと当該感光体の上流側直近のイエロー感光体1cとの間に第2支持ローラ22が、黒色感光体1dの更に下流側で、かつ当該感光体1dと駆動ローラ11との間には、第3支持ローラ24が、移動可能且つ回転自在に配設されている。そして、第1支持ローラ21の更に上流側にテンションローラ23が回転自在に配設されている。また、駆動ローラ11の下流側且つテンションローラ23の上流側には、従動ローラ10が回転自在に配設されている。また、転写ユニット50は、転写ローラ6a〜6d、中間転写ベルト8、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22、第3支持ローラ24、従動ローラ10、駆動ローラ11、テンションローラ23が一体となって形成され、画像形成装置100から脱着可能である。
中間転写ベルト8は、駆動ローラ11に駆動されて、従動ローラ10、テンションローラ23、第1支持ローラ21、シアン感光体1a、マゼンタ感光体1b、イエロー感光体1c、第2支持ローラ22、黒色感光体1d、第3支持ローラ24に、順次近接あるいは接触して時計回り(矢印方向)に回動する。中間転写ベルト8は従動ローラ10、テンションローラ23、第1支持ローラ21、第3支持ローラ24及び駆動ローラ11で張架されている。
感光体1a〜1cの配設は、上記X〜Zが略同一平面上にあればよく、特に限定されない。これら感光体1a〜1cを略同一平面上に配設しない場合、露光ユニット4a〜4dからそれぞれ対応する感光体1a〜1cへ照射されるレーザーの光路長を等しくすることが困難であるため、カラーモードにおいて感光体の露光にバラツキが生じる等、カラーモードで静電潜像を精度よく形成することが困難となる。また、露光状態を同一にしようとすれば、対応する露光ユニットの配置の変更、あるいは露光ユニットごとに複雑な調整をする必要等が生じ、装置構成は大型化や複雑化してしまうおそれあるからである。かかる各カラー感光体1a〜1cの配置は、中間転写ベルト8とのニップ部が略同一平面上であればよく、本実施形態で示す水平平面上に限らないが、水平に配置することによって、装置の一層の小型化、及び複雑化の回避が可能となる。尚、カラー感光体が1つの場合は、ニップ部が存在する平面は一平面のみとなり、上記要件を満たす。
上記黒色感光体ドラム1dの配設は、本実施形態の様に、中間転写ベルト8とのニップ部が上記X〜Zと略同一平面上にあるよう構成することによって、露光ユニットからのレーザー光路長を他の感光体1a〜1cと同一にすることができ、より精度良く静電潜像を形成することが可能となる。しかし、本実施形態に特に限定されるものではなく、例えば、後述する様に、上記黒色感光体1dと中間転写ベルト8とのニップ部を、上記X〜Zを通る平面より第2支持ローラ22側に配設することもできる。
カラーモードでは図1に示す様に、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24は、中間転写ベルト8が第1支持ローラ21と第2支持ローラ24との間で上記X〜Zと略同一平面上となり、感光体1a〜1dと接触するまで、上方向に移動する。この中間転写ベルト8の上方への移動に伴って、転写ローラ6a〜6dは上方向に移動し、中間転写ベルト8を介して感光体1a〜1dと接触する。こうして、第1支持ローラ21から第2支持ローラ22まで中間転写ベルト8は水平となる。中間転写ベルト8は、従動ローラ10、テンションローラ23、第1支持ローラ21、第3支持ローラ24及び駆動ローラ11とで張架され、感光体1a〜1dと接触し、転写ローラ6a〜6dによる一次転写を受けながら時計回りに移動する。また、テンションローラ23は、当該ベルトの移動による張力を緩和すべく、ベルト循環の内側方向(右方向)へ移動する。
一方、モノクロモードでは図2に示す様に、カラーモードからのモード切替によって、第1支持ローラ21は、中間転写ベルト8が全てのカラー感光体1a〜1cから離間するまで下方向(図1から図2の状態)に移動する。この中間転写ベルト8の移動に伴い、第1支持ローラ21と第2支持ローラ22との間の張力によって転写ローラ6a〜6cを押し下げながら、中間転写ベルト8は感光体1a〜1cから離間する。中間転写ベルト8は黒色感光体ドラム1dとのみ接触して転写ローラ6dによる一次転写を受けながら、時計回りに移動する。テンションローラ23は、当該ベルトの移動による張力減衰を補うべく、ベルト循環の外側方向(左方向)へ移動する。
そして、全離間モードでは図3に示す様に、モノクロモードからのモード切替によって第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24は、中間転写ベルト8が黒色感光体1dから離間するまで下方向(図2から3の状態)に移動する。この中間転写ベルト8の移動に伴い、第2支持ローラ22と第3支持ローラ24との間の張力によって転写ローラ6dを押し下げながら、中間転写ベルト8は感光体1dから離間される。こうして、全ての感光体1a〜1dは中間転写ベルト8から離間する。この結果、感光体1a〜1c及び中間転写ベルト8の表面を損傷することなく転写ユニット50を脱着することが可能となる。
上記第1支持ローラ21の下方向への移動は、全てのカラー感光体1a〜1cを中間転写ベルト8から離間させることができれば十分であり、その程度は、他の装置構成との兼ね合いで決定すればよい。また、モノクロモードからカラーモードへの切替あるいは全離間モードからカラーモードへの切替により、上記カラーモードの状態(図3から図2、あるいは図4から図2の状態)とすることができる。
上記第2支持ローラ22は、本実施形態の様にカラーモード及びモノクロモードで移動しないことによって、両モードで中間転写ベルト8の黒色感光体1dへの接触状態が変化しない。従って、モードの如何に拘らず安定した黒色画像の転写が可能となる。但し、中間転写ベルト8と黒色感光体1dとのニップ部が上記両モードの切替によって変化しなければ、第2支持ローラ22を移動可能に配設してもよい。例えば、第2支持ローラ22を、当該ローラと黒色感光体1dとの間を通過する中間ベルト8の周方向と平行方向に移動させることができる。
図1及び図2で説明すると、カラーモードからモノクロモードへのモード切替によって第2支持ローラ22を上記X〜Z平面上で右方向に水平に移動させ、モノクロモードからカラーモードへの切替によって第2支持ローラ22を上記X〜Z平面上で左方向に水平に移動させる。この際、モード切替によって中間転写ベルト8の黒色感光体1dへの接触状態は変化しない。かかる第2支持ローラ22の移動によって、第1支持ローラ21の移動距離を小さくしても、中間転写ベルト8の感光体1a〜1cからの離間距離を大きくすることができ、中間転写ベルト8の離間が更に容易になる。尚、第2支持ローラ22は、上記第1支持ローラ21と同時に移動しても、当該ローラより先でも後でもよく、特に限定されない。同時に移動すれば、待機時間の短縮に繋がる。
本実施形態では、第2支持ローラ22が全離間モードへの切替によって下方向に移動する(太矢印)が、第3支持ローラ24の移動により黒色感光体1dを離間させることができれば、第2支持ローラを移動させない構成とすることもできる。しかし、第2支持ローラが下方向に移動すれば、第3支持ローラ24の移動距離を小さくしても、中間転写ベルト8と黒色感光体1dとの離間距離を大きくすることができ、離間はより容易になる。かかる第2支持ローラの移動は、中間転写ベルト8を黒色感光体1dから離間させることができれば十分であり、第3支持ローラ24の移動、その他の構成との兼ね合いで決定すればよい。
上記第3支持ローラ24は、本実施形態では、カラーモード及びモノクロモードで移動させず、全離間モードへ切り替えることによって下方向に移動する。従って、カラーモード及びモノクロモードでの転写状態には影響を及ぼさず、上記安定した黒色画像の転写が維持される。また、第3支持ローラ24の下方向への移動は、黒色感光体1dを中間転写ベルト8から離間させることができれば十分であり、その程度は、上記第2支持ローラ22の移動、その他の装置構成との兼ね合いで決定すればよい。尚、第3支持ローラ24は、カラーモードと全離間モードとの切り替えにより第1支持ローラ21及び第2支持ローラ22と同時に移動しても、当該ローラより先でも後でもよく、特に限定されない。また、モノクロモードと全離間モードとの切り替えでは、第2支持ローラ22と同時に移動しても、当該ローラより先でも後でもよく、特に限定されない。これらいずれにおいても同時に移動すれば、待機時間の短縮に繋がる。
本実施形態では、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24の移動は、一の駆動モータ(図示せず)を用い、当該モータに駆動ギア61(後述する図4に概略を示す)を設け、当該駆動ギア61に上記3つの支持ローラをギア及びベルトで連結する(図示せず)。また、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24へは駆動ギア61が時計回りに90°回転した後、駆動を伝達するようなギア構成とする。初期状態をカラーモードとし、カラーモードからモノクロモードへの切替により駆動ギア61を時計回りに90°回転させることによって第1支持ローラ21を下方向へ移動させる。
次に、モノクロモードから全離間モードへの切替により駆動ギア61を時計回りに更に90°回転(合計180°回転)させることによって第2支持ローラ及び第3支持ローラを下方向に移動させる。尚、上記第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24を移動させるための駆動は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば各支持ローラに対応するよう3つの駆動モータを設け、夫々独立した駆動により移動させることもできる。また、2つの駆動モータを設け、モノクロモードへの切替では一方の駆動モータにより第1支持ローラ21を移動させ、全離間モードへの切替では他方の駆動モータにより第2支持ローラ22と第3支持ローラ24を移動させることもできる。
上記テンションローラ23は、例えば、従来公知のバネ等の弾性体からなる付勢部材によって、モードの切替に伴う中間転写ベルト8の張力を調整可能なものであればよく、特に限定されない。
上記転写ローラ6a〜6dの移動は、例えばバネ等の弾性体からなる付勢部材で付勢し、中間転写ベルト8の張力に従って、当該当該ローラが移動するような構成とする等、従来公知の技術を用いて行うことができる。
上記カラーモード、モノクロモード及び全離間モードの選択的な切替は、従来公知の技術を用いることによって行うことができる。初期状態をいずれのモードとしてもよい。また、上記とは逆にモードを切り替えることにより、全離間モードからモノクロモード(図3から図2の状態)とすることができ、全離間モードからカラーモードへの切替により、当該全離間モードから上記モノクロモードを経由して上記カラーモード(図3から図2の状態となり、更に図1の状態)とすることができる。尚、本実施形態では、説明の便宜上、カラーモードから全離間モードへの切替はモノクロモードを経由させたが、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24を移動させることによって直接全離間モードとすることも、この逆も可能である。
上記の通り、全離間モードに切り替えることによって、中間転写ベルト8が全ての感光体1a〜1dから離間し、転写ユニット50を、感光体1a〜1d及び中間転写ベルト8と接触することなく画像形成装置100から脱着することが可能となる。従って、転写ユニット50の脱着における感光体1a〜1d表面や中間転写ベルト8表面の損傷を抑制し、優れたメンテナンス性を得ることが可能となる。また、感光体1a〜1dの脱着も容易となる。
このように上記第1実施形態によって、カラー感光体1a〜1cを、その中間転写ベルト8とのニップ部を略同一平面とし、かつ中間転写ベルト8と黒色感光体1dとの接触状態を一定に保ちつつ、カラーモード及びモノクロモードに切り替えて転写することが可能となる。加えて、全感光体1a〜1dから中間転写ベルト8を離間することも可能となる。従って、従来より一層簡単な構成で、画像形成装置の小型化を図るとともに、モードの如何に拘らず安定した転写状態と、優れたメンテナンス性とを有することが可能となる。
上記第1実施形態において、全離間モードへの切替によって、中間転写ベルト8が全ての感光体1a〜1dから離間したことを検知する中間転写ベルト離間検知手段を更に備えることができる。かかる態様によって、転写ユニット50が画像形成装置100から脱着可能であるか否かの判断材料とすることができ、感光体1a〜1d及び中間転写ベルト8の表面の損傷をより確実に回避できる。また当該検知結果に基づき、いずれか1つ以上の感光体と接触している場合には転写ユニット50の脱着を不可能とする転写ユニットロックを更に備え、中間転写ベルト8が全ての感光体1a〜1dから離間されている場合には当該転写ユニットロック解除制御を行うこともできる。かかる制御によって、転写ユニット50の脱着に際し中間転写ベルト8及び感光体1a〜1dの表面の損傷を一層確実に回避することが可能となる。
そこで、第1実施形態における転写ユニットロックの解除制御について一例を挙げて説明する。図4(a)及び図4(c)は、上記中間転写ベルト離間検知ユニット周辺の拡大断面図、図4(b)及び図4(d)は、中間転写ベルト離間検知ユニット周辺を図4(a)の矢印C方向から見た側面図である。図1〜図3及び図11と共通する部分には同一の符号を付けて示し、説明を省略する。
駆動ギア61は、上記の通り、一の駆動モータ(図示せず)に設けられ、各支持ローラとギア及びベルトで連結されている。また、当該駆動ギア61の側面には、フラグ25が配設されている。また、駆動ギア61の下方には、中間転写ベルト8の離間を検知するユニット26が固定配設され、離間検知ユニット26は中間転写ベルト8の離間検知センサ27と、当該センサ27と対向する反射板28とから構成されている。また、フラグ25は、駆動ギア61の回転により時計の6時の位置に移動すると、離間検知センサ27と反射板28との間隙に挿入される。
フラグ25は、上記離間検知センサ27から発光される光を遮ることができるものであればよく、従来公知の部材を適宜大きさに設計して配設することができる。また、離間検知センサ27は、反射板28に測定光を照射し、反射光28からの反射光量を検出する。検出結果は受光出力信号として後述する制御部32に送信される。離間検知センサ27としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサが用いられる。離間検知の際は、離間検知センサ27から反射板28に対し測定光を射出すると、測定光は反射板によって反射される光によって受光素子に入射する。
第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24が中間転写ベルト8を感光体1a〜1dと接触させるべく上方向へ移動したカラーモードでは、フラグ25は、時計の12時の位置に配設されている。カラーモードからモノクロモードへの切替により、駆動ギア61が時計回りに90°移動し、フラグ25は3時の位置に移動する(図4(a)及び図4(b))。このようにカラーモードとモノクロモードではフラグ25が離間検知センサ27と反射板28との間隙に存在しないため、離間検知センサ27での受光素子の受光量が大きい。そして、全離間モードへの切替により、フラグ25は更に時計回りに90°移動し、6時の位置に移動する(図4(c)及び図4(d))。この場合、フラグ25が離間検知センサ27と反射板28との間隙に挿入されるため、遮光により離間検知センサでの受光素子の受光量が減少する。従って、受光した光量に基づく受光信号の出力値により、中間転写ベルト8と感光体1a〜1dとが接触しているか、あるいは離間しているかを検出することができる。このように離間検知手段として第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24の移動を検知することによって、詳細な検知を行うことができる。
尚、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24に夫々配設された、駆動ギアからの駆動を伝えるギアに対し、上記同様のフラグ及び離間検出ユニットを直接設け、各支持ローラが中間転写ベルト8を黒色感光体1dに接触させる方向に移動しているか、あるいは離間させる方向に移動しているかを検出することもできる。かかる構成により更に詳細な離間検出を行うことができ、各々の支持ローラの誤動作を検出することが可能となる。
図5は、転写ユニットロックの拡大断面図である。転写ユニットロック51には脱着防止部材52が設けられており、カラーモード及びモノクロモードでは当該脱着防止部材52が転写ユニット50のハウジングから突出し、転写ユニット50が脱着できないよう構成されている。一方、全離間モードへの切替により、後述する制御信号に従って脱着防止部材52は上記ハウジングに格納され、転写ユニットロック51は解除され、転写ユニット50の脱着が可能となる。脱着防止部材52としては、従来公知のフラグやピン等を用いることができる。また、制御信号に従って転写ユニット50の脱着の可否を切り替えることができる構成であれば、この他従来公知の技術を用いることができる。
図6は、本発明の画像形成装置の制御経路を示すブロック図である。図1〜図5及び図11と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部Pa〜Pd、定着部7、中間転写ベルト8、二次転写ローラ9、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22、第3支持ローラ24、中間転写ベルト離間検知ユニット26、画像入力部30、AD変換部31、制御部32、記憶部33、操作パネル34、及び転写ユニットロック51等を含む構成である。
画像入力部30は、画像形成装置100がカラー複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部であり、画像形成装置100が図11に示すようなカラープリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部30より入力された画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後、記憶部33内の画像メモリ40に送出される。
記憶部33は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部30から入力され、AD変換部31においてデジタル変換された画像信号を記憶し、制御部32に送出する。RAM41及びROM42は、制御部32の処理プログラムや処理内容等を記憶する。また、RAM41(或いはROM42)には、離間検知センサ27の出力値と、中間転写ベルト8と感光体1a〜1dの離間距離との関係が記憶されており、当該出力値に応じて転写ユニットロックを解除するための制御プログラムも記憶される。
操作パネル34は、複数の操作キーから成る操作部と、各種設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置100がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部33にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。
制御部32は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部30、画像形成部Pa〜Pd、定着部7、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22、第3支持ローラ24、中間転写ベルト離間検知センサ27、転写ユニットロック51及び用紙カセット16(図11参照)からの用紙Pの搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部30で読み取られた画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光ユニット4a〜4dは、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム1a〜1d上に潜像を形成する。
さらに制御部32は、操作パネル34のキー操作により全離間モードが入力されると、離間検知センサ27により検出された受光信号を受信し、記憶部33に記憶された受光量データに基づいて、転写ユニットロック51を解除する機能を有している。
次に、第1実施形態の画像形成装置における転写ユニットロックの解除制御について説明する。図7は、第1実施形態の画像形成装置の転写ユニットロックの解除制御手順を示すフローチャートである。図1〜図6及び図11を参照しながら、図7のステップに従い解除制御手順について説明する。
まず、ユーザによる操作パネル34からの入力操作により全離間モードが設定されると(ステップS1)、離間検知センサ27で受光量が検知され、制御部32に出力される(ステップS2)。次に、制御部32でフラグ25により離間検知センサ27が遮光されたか否かが検出され(ステップS3)、遮光されたことが確認されると、転写ユニットロック51が解除され、転写ユニット50を画像形成装置100から脱着することができる(ステップS4)。一方、遮光されていないことが検出されると、転写ユニットロック51は解除せず、転写ユニットは脱着することができない。この場合、第1支持ローラ21、第2支持ローラ22あるいは第3支持ローラ24のうち、遮光されていない支持ローラを移動させ(ステップ5)、転写ユニットロック51が解除されると、終了する。
上記手順によって、中間転写ベルト8が感光体1a〜1dと接触している場合には転写ユニット50を脱着することはできず、離間している場合にのみ転写ユニット50を脱着できることができる。従って、一層確実に、感光体1a〜1d表面あるいは中間転写ベルト8の表面を損傷することなく転写ユニット50を脱着することが可能となる。
尚、上記離間検出器27及び転写ユニットロック51と同様の検出器およびユニットロック解除制御機構を画像装置100に設け、転写ユニット50が画像形成装置100に装着されたか否かを、転写ユニット50による遮光の有無によって制御することもできる。
図8、図9及び図10は、本発明の第2実施形態に係るタンデム型カラー画像形成装置の画像形成部及び中間転写ベルト周辺の構成を示す概略図である。図1〜図3及び図11と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、黒色感光体1dは、その中間転写ベルト8とのニップ部が、略同一平面上に水平に配設された各カラー感光体1a〜1cのニップ部X〜Zの通る平面よりも、下方(第2支持ローラ22側)に配設されている。また、カラーモード及びモノクロモードにおいて、第2支持ローラ22が後述する如く移動可能且つ回転自在に配設されている。かかる構成以外は第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
上記黒色感光体1dと中間転写ベルト8とのニップ部が、本実施形態の様に、上記X〜Zの通る平面よりも第2支持ローラ側22側に配設されることによって、上記第1支持ローラ21及び第2支持ローラ22の移動距離を更に小さくしても、中間転写ベルト8の感光体1a〜1cからの離間距離を大きくすることができ、中間転写ベルト8の離間をより容易にできると共に、装置をより小型化できる。当該ニップ部の配置は、中間転写ベルト8がカラー感光体1a〜1cに接触及び離間可能であればよく、特に限定されない。しかし、第2支持ローラ側に寄り過ぎると第1支持ローラ21及び第2支持ローラ22の移動距離を短くできる一方、装置は大型化、複雑化する傾向となり、逆に、寄り足りないと両ローラの移動距離が大きくなる。従って、例えば、これら要因を考慮して決定すればよい。
第2支持ローラ22及び第3支持ローラ24の中間転写ベルト8とのニップ部を夫々A及びBとする。第2支持ローラ22は、当該ローラと黒色感光体1dとの間を通過する中間転写ベルト8の周方向と平行方向に移動する(図8及び9)。すなわち、第2支持ローラ22は上記ニップ部A及びBで形成される平面上を移動する。尚、上記ニップ部A及びBで形成される平面は、モード切り替えによって変化しない。
カラーモードでは図8に示す様に、当該第1支持ローラ21の上方向への移動と共に、第2支持ローラ22は、上記Aが上記X〜Zと略同一平面上になるまで左上方向に移動し、中間転写ベルト8は感光体1a〜1cと接触する。その結果、第1支持ローラ21から第2支持ローラ22まで中間転写ベルト8は水平となり、感光体1a〜1cと接触し、次いで黒色感光体1dと接触し、転写ローラ6a〜6dによる一次転写を受けながら時計回りに移動する。
一方、モノクロモードでは図9に示す様に、カラーモードからのモード切替によって、第1支持ローラ21の下方向への移動と共に、第2支持ローラ22が、上記ニップ部A及びBで形成される平面と同一平面上を右下方向(図8から図9の状態)に移動し、離間した中間転写ベルト8は、第1支持ローラ21及び第2支持ローラ22の間で上記X〜Zと平行となる。この結果、中間転写ベルト8は感光体1dとのみ接触し、転写ローラ6dによる一次転写を受けながら時計回りに移動する。
本実施形態において、カラーモード及びモノクロモードから全離間モードへの切替(図8から図10、及び図9から図10の状態)は、上記第1実施形態と全く同様のため説明を省略する。また、駆動ギア61に対してフラグ25及び離間検知センサ27を配設し、全ての支持ローラが中間転写ベルト8を感光体1a〜1dから離間させる方向に移動したことを検知して転写ユニットロックを解除する制御についても、第2支持ローラ22が、駆動ギア61が初期状態から90°回転することによって右下方向へ移動し、更に90°移動することによって下方向へ移動するような駆動伝達とする以外は第1実施形態と全く同様であるので、説明を省略する。
本実施形態により、第2支持ローラ22が移動することによって、上記第1支持ローラ21の移動距離を更に小さくしても、中間転写ベルト8の離間距離を大きくすることが可能となり、特に、中間転写ベルト8のカラー感光体1a〜1cからの離間を更に容易にできると共に、装置を更に小型化することが可能となる。また、黒色感光体1dの中間転写ベルト8とのニップ部を上記X〜Zの通る平面よりも第2支持ローラ22側に配設したため、上記両ローラの移動距離を更に小さくてしても、中間転写ベルト8の離間距離を大きくすることができ、中間転写ベルト8の離間は一層容易になり、かつ装置を一層小型化することが可能となる。
上記第1実施形態及び第2実施形態において、トナー担持体の一例である中間転写ベルト8上に各色のトナー像を順次積層して形成されたフルカラー画像を用紙P上に一度に転写する中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置について説明したが、本発明は、搬送ベルト上に担持されて搬送される用紙Pに各色のトナー像を順次転写する直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置においても全く同様に適用可能である。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において示した現像装置構成は一例に過ぎず、二次転写ローラ9を、テンションローラ23と中間転写ベルト8を介して接触する位置に配設する構成とすることも可能である。
また、上記各実施形態では、黒色感光体1dを最下流側としたが、当該黒色感光体1dを最上流側とすることもできる。例えば、各感光体を、黒色感光体1d、イエロー感光体1c、マゼンタ感光体1b、シアン感光体1aの順に配設することができる。かかる場合、中間転写ベルト若しくは搬送ベルトの内周面に沿って、最下流側のシアン感光体1aの更に下流側に第1支持ローラ21を、最上流側の黒色感光体1dと当該感光体の直近のイエロー感光体1cとの間に第2支持ローラ22を配設し、黒色感光体1dの更に上流側で、かつ当該感光体1dと駆動ローラ11との間にアイドルローラ24を、第1支持ローラ21の更に下流側にテンションローラ23を、駆動ローラ11の上流側且つテンションローラ23の下流側には、従動ローラ10を配設することができる。