以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る画像形成装置10について、図面に基づき詳細に説明する。本実施形態では、画像形成装置の一例として、タンデム方式のカラープリンタを例示する。画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機等であってもよい。
図1は、画像形成装置10の内部構造を示す断面図である。この画像形成装置10は、箱形の筐体構造を備える装置本体11を備える。この装置本体11内には、シートPを給紙する給紙部12、給紙部12から給紙されたシートPに転写するトナー像を形成する画像形成部13、前記トナー像が一次転写される中間転写ユニット14、二次転写ローラー145、画像形成部13にトナーを補給するトナー補給部15、及び、シートP上に形成された未定着トナー像をシートPに定着する処理を施す定着部16が内装されている。さらに、装置本体11の上部には、定着部16で定着処理の施されたシートPが排紙される排紙部17が備えられている。
装置本体11の上面の適所には、シートPに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するためのタッチパネルや各種の操作キーが設けられている。装置本体11内には、さらに、画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びるシート搬送路111が形成されている。シート搬送路111には、適所にシートを搬送する搬送ローラー対112が設けられている。また、シートのスキュー矯正を行うと共に、後述する二次転写のニップ部に所定のタイミングでシートを送り込むレジストローラー対113も、シート搬送路111における前記ニップ部の上流側に設けられている。シート搬送路111は、シートPを給紙部12から排紙部17まで、画像形成部13(二次転写ニップ部)及び定着部16を経由して搬送させる搬送路である。
給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備える。給紙トレイ121は、装置本体11の下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚のシートPが積層されたシート束P1を貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121に貯留されたシート束P1の最上面のシートPを1枚ずつ繰り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって繰り出されたシートPをシート搬送路111に送り出す。給紙部12は、装置本体11の、図1に示す左側側面に取り付けられる手差し給紙部を備える。手差し給紙部は、手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126を備える。手差しトレイ124は、手差しされるシートPが載置されるトレイであり、手差しでシートPを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から開放される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置されたシートPを繰り出す。給紙ローラー対126は、ピックアップローラー125によって繰り出されたシートPをシート搬送路111に送り出す。
更に、画像形成装置10は、右カバーユニット10Rを備える(図1)。右カバーユニット10Rは、装置本体11の右側の側部を画定する。右カバーユニット10Rは、カバー支点部10R1を備える。右カバーユニット10Rは、装置本体11に対してカバー支点部10R1を中心に矢印DA方向に開放可能とされる。右カバーユニット10Rには、二次転写ローラー145やレジストローラー対113の右側のローラーなどが回転可能に支持されている。そして、右カバーユニット10Rが開放されると、シート搬送路111が装置本体11の外側に露出される。この状態で、装置本体11の内部に中間転写ユニット14が装着可能とされる。
画像形成部13は、シートPに転写するトナー像を形成するものであって、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成ユニットを備える。この画像形成ユニットとして、本実施形態では、中間転写ベルト141の回転方向上流側から下流側へ(図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット13M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット13C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット13Y、及びブラック(Bk)色の現像剤を用いるブラック用ユニット13Bkが備えられている。各ユニット13M、13C、13Y、13Bkは、それぞれ感光体ドラム20(像担持体)と、感光体ドラム20の周囲に配置された帯電装置21、現像装置23及びクリーニング装置25とを備える。また、各ユニット13M、13C、13Y、13Bk共通の露光装置22が、画像形成ユニットの下方に配置されている。
感光体ドラム20は、その軸回りに回転駆動され、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。なお、感光体ドラム20の回転軸は、前後方向(第1方向、図1の紙面と直交する方向)に延びている。この感光体ドラム20としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。また、図1に示すように、各色に対応した複数の感光体ドラム20は、第1方向と交差する第2方向(左右方向、水平方向)に所定の間隔をおいて配置されている。
帯電装置21は、感光体ドラム20の表面を均一に帯電する。帯電装置21としては、帯電ローラーと、前記帯電ローラーに付着したトナーを除去するための帯電クリーニングブラシとを備える、接触帯電方式による帯電装置を採用することができる。露光装置22は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、均一に帯電された感光体ドラム20の周面に、画像データに基づき変調された光を照射して、静電潜像を形成する。また、クリーニング装置25は、トナー像転写後の感光体ドラム20の周面を清掃する。
現像装置23は、感光体ドラム20上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム20の周面にトナーを供給する。現像装置23は、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤用のものである。現像装置23のトナーは、感光体ドラム20の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。なお、本実施形態では、前記トナーはプラスの極性に帯電する特性を備える。
中間転写ユニット14は、画像形成部13とトナー補給部15との間に設けられた空間に配置される。中間転写ユニット14は、中間転写ベルト141と、駆動ローラー142と、テンションローラー143と、複数の一次転写ローラー24と、ベルトクリーニング装置144と、を備える。なお、中間転写ユニット14は、複数の感光体ドラム20に隣接するように左方向(第2方向、図1の矢印DH方向)に沿って装置本体11に装着される。
中間転写ベルト141は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム20の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー142及びテンションローラー143に架け渡されている。中間転写ベルト141は、第2方向に沿った方向に周回駆動され、複数の感光体ドラム20から転写されたトナー像を表面に担持する。中間転写ベルト141は、基層、弾性層、及びコート層から成る積層構造を有する導電性の軟質ベルトである。
駆動ローラー142は、中間転写ユニット14の右端側で中間転写ベルト141を張架し、中間転写ベルト141を周回駆動させる。駆動ローラー142は金属ローラーからなる。テンションローラー143は、中間転写ユニット14の左端側で中間転写ベルト141を張架する。テンションローラー143は、中間転写ベルト141に張力を付与する。テンションローラー143の近傍には、中間転写ベルト141の周面上に残存したトナーを除去するベルトクリーニング装置144(図1)が配置されている。
一次転写ローラー24は、中間転写ベルト141を挟んで感光体ドラム20に対向して配置される。この結果、一次転写ローラー24は、感光体ドラム20との間で一次転写ニップ部を形成し、感光体ドラム20上のトナー像を中間転写ベルト141上に一次転写する。図1に示されるように、各色の感光体ドラム20に対向して、それぞれ、一次転写ローラー24が配置される。一次転写ローラー24は、前後方向に延びるローラーであって、中間転写ベルト141とともに回転される。一次転写ローラー24には、不図示のバイアス印加部から一次転写バイアスが印加される。
二次転写ローラー145は、中間転写ベルト141を挟んで駆動ローラー142に対向して配置されている。二次転写ローラー145は、中間転写ベルト141の周面に圧接されて二次転写ニップ部を形成している。中間転写ベルト141上に一次転写されたトナー像は、給紙部12から供給されるシートPに、前記二次転写ニップ部において二次転写される。二次転写ローラー145には、不図示のバイアス印加部から二次転写バイアスが印加される。
トナー補給部15は、画像形成に用いられるトナーを貯留するものであり、本実施形態ではマゼンタ用トナーコンテナ15M、シアン用トナーコンテナ15C、イエロー用トナーコンテナ15Y及びブラック用トナーコンテナ15Bkを備える。これらトナーコンテナ15M、15C、15Y、15Bkは、コンテナ底面に形成されたトナー排出口15Hから、MCYBk各色に対応する現像装置23にトナーを補給する。
定着部16は、内部に加熱源を備えた加熱ローラー161と、加熱ローラー161と配向配置された定着ローラー162と、定着ローラー162と加熱ローラー161とに張架された定着ベルト163と、定着ベルト163を介して定着ローラー162と対向配置され定着ニップ部を形成する加圧ローラー164とを備えている。定着部16へ供給されたシートPは、前記定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記二次転写ニップ部でシートPに転写されたトナー像は、シートPに定着される。
排紙部17は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹部の底部に排紙されたシートPを受ける排紙トレイ171が形成されている。定着処理が施されたシートPは、定着部16の上部から延設されたシート搬送路111を経由して、排紙トレイ151へ向けて排紙される。
次に、図1に加え、図2A乃至図4を参照して、本実施形態に係る中間転写ユニット14について詳述する。図2Aおよび図2Bは、本実施形態に係る中間転写ユニット14の斜視図である。図3Aおよび図3Bは、本実施形態に係る中間転写ユニット14の一部を拡大した斜視図である。同様に、図4は、本実施形態に係る中間転写ユニット14の一部を拡大した斜視図である。
中間転写ユニット14は、前後および左右方向に延びる扁平状の直方体形状からなるユニットである。図2Aに示すように、中間転写ユニット14は左右方向に長く延びている。中間転写ユニット14は、ユニット前壁51(側壁)と、ユニット後壁52(側壁)とを備える。ユニット前壁51およびユニット後壁52は、前後方向の両端側において左右方向に延びるように配置された一対の側壁である。ユニット前壁51およびユニット後壁52は、樹脂材料からなるフレームである。ユニット前壁51およびユニット後壁52は、中間転写ベルト141を周回可能に支持する。詳しくは、前述の駆動ローラー142、複数の一次転写ローラー24が、ユニット前壁51およびユニット後壁52に回転可能に支持されている。
更に、中間転写ユニット14は、スライド部前壁53およびスライド部後壁54を備える。スライド部前壁53およびスライド部後壁54は、それぞれ、ユニット前壁51およびユニット後壁52に対して左右方向にスライド移動可能とされている。スライド部前壁53およびスライド部後壁54は、本発明の移動ユニットを構成する。スライド部前壁53およびスライド部後壁54は、テンションローラー143を回転可能に支持している。また、スライド部前壁53およびスライド部後壁54を前後方向において連結するように、ベルトクリーニング装置144がスライド部前壁53およびスライド部後壁54に支持されている。
装置本体11から右カバーユニット10Rが開放されると、中間転写ユニット14は、図1および図2Aの矢印DH方向に沿って、装置本体11に装着される。この際、中間転写ユニット14は、複数の感光体ドラム20の上方において、感光体ドラム20に隣接するように配置される。
中間転写ユニット14は、更に、第1固定脚部51S(脚部)と、第2固定脚部52S(脚部)と、可動脚部60(脚部)と、を備える。第1固定脚部51S、第2固定脚部52Sは、ユニット前壁51およびユニット後壁52の下端部に配置される脚部である。また、可動脚部60は、スライド部前壁53に支持されている。これらの脚部は、中間転写ユニット14が装置本体11から脱離された場合に、所定の設置面(床面)に当接することで、中間転写ユニット14を支持する機能を備えている。
図2Aおよび図3Aを参照して、第1固定脚部51Sは、ユニット前壁51の右端側の下部から下方に向かって突設されている。また、図2Bおよび図3Bを参照して、第2固定脚部52Sは、ユニット後壁52の左右方向の中央部の下部から下方に向かって突設されている。
図4を参照して、スライド部前壁53は、本体壁部53Aと、カバー板金53Bとを備える。本体壁部53Aは、前後方向に面するとともに、左右方向に長く延びる板状の樹脂部材からなる。本体壁部53Aは、略矩形形状を備えている。カバー板金53Bは、本体壁部53Aの前側の側面に複数のスクリューで固定される板金プレートである。
本体壁部53Aは、軸部510を備える。軸部510は、本体壁部53Aから前方に突設された円柱状の突起である。図4に示すように、カバー板金53Bには、予め軸部510が挿通される孔部が開口されている。そして、カバー板金53Bが本体壁部53Aに締結されると、軸部510がカバー板金53Bの孔部に挿通される。
可動脚部60は、前後方向と交差し本体壁部53Aに対向して配置される板状部材からなる。可動脚部60は、テンションローラー143の周辺に配置されている。可動脚部60は、軸部510に挿通される不図示の支点部(円形状の孔部)を備えている。この結果、可動脚部60は、軸部510回りに回動可能とされている。
可動脚部60は、中間転写ユニット14が装置本体11から脱離された場合に、床面(設置面)に当接することで中間転写ユニット14を支持可能な第1の姿勢と、第1の姿勢から軸部510回りに回動された第2の姿勢との間で、姿勢変更が可能とされる。第1の姿勢では、扇形形状からなる可動脚部60の下端部(外周部)が、第1固定脚部51Sおよび第2固定脚部52Sの下端部と同じ高さとされる。一方、第2の姿勢では、可動脚部60の下端部は、第1固定脚部51Sおよび第2固定脚部52Sの下端部よりも上方に退避する。
更に、中間転写ユニット14は、不図示のコイルスプリングを備える。コイルスプリングは、可動脚部60が第1の姿勢となるように、可動脚部60を軸部510回りに付勢する。コイルスプリングは、可動脚部60と本体壁部53Aとの間に配置され、軸部510に外嵌されている。
中間転写ユニット14が装置本体11から脱離されると、中間転写ユニット14が床面(所定の設置面)に直置き可能とされる。この結果、脱離された中間転写ユニット14や内部が空洞となった装置本体11のメンテナンス性が向上される。このように、中間転写ユニット14には、少なくとも3つの脚部(第1固定脚部51S、第2固定脚部52Sおよび可動脚部60)が備えられている。このため、直置きされた際に、中間転写ベルト141が床面に接することがなく、中間転写ベルト141が損傷することが抑止される。
前述のように、コイルスプリングは、可動脚部60が第1の姿勢(図2A、図4)となるように、可動脚部60を付勢している。このため、中間転写ユニット14が装置本体11から脱離された際に、可動脚部60が速やかに第1の姿勢とされる。このため、中間転写ユニット14の直置きが容易に実現される。
また、前述のように、中間転写ユニット14は複数の感光体ドラム20に隣接して配置されている。装置本体11の内部では、中間転写ユニット14の中間転写ベルト141は、感光体ドラム20に当接する必要がある。一方、中間転写ユニット14が装置本体11から脱離されると、中間転写ベルト141の保護のため、可動脚部60は中間転写ベルト141よりも下方に突出する必要がある。可動脚部60が中間転写ベルト141よりも下方に突出し続けた状態で、中間転写ユニット14が装置本体11に装着されると、可動脚部60が感光体ドラム20やその他のユニットに干渉する場合がある。この場合、中間転写ユニット14の装着が妨げられることや、互いのユニットが損傷することがある。
本実施形態では、脱離された中間転写ユニット14が再び装置本体11内に装着される際には、可動脚部60が軸部510回りに回動可能とされている。このため、中間転写ユニット14が感光体ドラム20やその他のユニットに近接しながら装着される場合であっても、可動脚部60とこれらのユニットとの干渉(強い接触)が防止される。換言すれば、可動脚部60がこれらのユニットと接触し押圧されると、可動脚部60が速やかに第2の姿勢に姿勢変更するため、互いの損傷が防止される。
特に、可動脚部60は、第1の姿勢から軸部510回りに第2方向先端側(図4の矢印D2方向)または第2方向後端側(図4の矢印D1方向)に回動されることで、第2の姿勢に姿勢変更する。すなわち、可動脚部60が軸部510回りにいずれの方向にも回動可能である。このため、中間転写ユニット14の装着時または脱離時に、可動脚部60と他のユニットとの干渉が防止される。
中間転写ユニット14が装置本体11に装着される際に、感光体ドラム20を支持するドラムユニット(不図示)に、可動脚部60が接触すると、可動脚部60は矢印D1方向に回動する。その後、装置本体11の内部に中間転写ユニット14が装着されると、所定の空間に可動脚部60が配置可能とされているため、可動脚部60は再び第1の姿勢に姿勢変更する。一方、中間転写ユニット14が装置本体11から脱離される際に、感光体ドラム20を支持するドラムユニット(不図示)に、可動脚部60が接触すると、可動脚部60は矢印D2方向に回動する。その後、装置本体11から中間転写ユニット14が脱離されると、可動脚部60は再び第1の姿勢に姿勢変更する。この結果、中間転写ユニット14の床置きが可能となる。
中間転写ユニット14が床置きされた際、可動脚部60の外周部604が円弧形状を備えているため、可動脚部60の姿勢が変動した場合であっても、中間転写ベルト141と床面との距離が安定して維持される。
次に、図5乃至図9を参照して、本実施形態にかかる中間転写ユニット14の一次転写ローラー24の感光体ドラム20に対する接離動作について説明する。中間転写ユニット14は、接離機構14M(図5)を備える。接離機構14Mは、装置本体11内において複数の一次転写ローラー24を感光体ドラム20に対して接離させる機能を備えている。図5は、本実施形態に係る中間転写ユニット14から中間転写ベルト141が取り外された状態の斜視図である。図6は、本実施形態に係る中間転写ユニット14の接離機構14Mの駆動部56の斜視図である。図7は、中間転写ユニット14の付勢ばね143Sの周辺の斜視図である。図8は、中間転写ユニット14の斜視図である。図9は、中間転写ユニット14の断面斜視図である。
図5を参照して、中間転写ユニット14から中間転写ベルト141が取り外されると、各色に対応した一次転写ローラー24であるブラック用ローラー24BK、イエロー用ローラー24Y、シアン用ローラー24Cおよびマゼンタ用ローラー24Mが露出する。中間転写ユニット14は、支持ユニット55と、第1張架ローラー240と、第2張架ローラー241と、第3張架ローラー242(張架ローラー)と、を備える。支持ユニット55は、4本の一次転写ローラー24を回転可能に支持している。支持ユニット55は、ユニット前壁51とユニット後壁52との間に配置されたユニットである。支持ユニット55は、扁平状の直方体形状からなるユニットである。支持ユニット55は、中間転写ユニット14の内部において、右端側を支点として、上下に揺動可能とされている。支持ユニット55の揺動によって、各色の一次転写ローラー24が感光体ドラム20に対して接離される。
第1張架ローラー240は、中間転写ユニット14の右端側において、中間転写ベルト141を支持するローラーである。第1張架ローラー240は、ブラック用ローラー24BKと、駆動ローラー142(図9)との間に配置されている。第2張架ローラー241は、ブラック用ローラー24BKの左側で、中間転写ベルト141を支持するローラーである。第2張架ローラー241は、支持ユニット55に回転可能に支持されている。また、第3張架ローラー242は、マゼンタ用ローラー24Mとテンションローラー143との間で、中間転写ベルト141を支持する(張架する)ローラーである。第3張架ローラー242は、支持ユニット55の左端部において、回転可能に支持されている。また、第3張架ローラー242は、後記の駆動部56によって上下に移動可能とされる。
接離機構14Mは、駆動部56を備える。図5および図6に示すように、駆動部56は、中間転写ユニット14の支持ユニット55に配置されている。駆動部56は、第3張架ローラー242を上下に移動させる駆動力を発生するモーターを含む。更に、駆動部56は、シャフト561と、カム562とを備える。シャフト561は、駆動部56によって発生された駆動力によって回転される。カム562は、シャフト561の先端に固定されたカム部材であり、周方向に沿ってその外径が異なるよう形成されている。カム562の周面は、第3張架ローラー242の不図示のシャフトに当接している。駆動部56の発生する駆動力によってカム562が回転されると、中間転写ユニット14の内部において、第3張架ローラー242が上下に移動される。
図7を参照して、前述のように、スライド部前壁53はユニット前壁51に対して左右方向にスライド移動可能とされている。以下、ユニット前壁51およびスライド部前壁53の形状および構造について詳述するが、中間転写ユニット14の後側のユニット後壁52およびスライド部後壁54も同様の形状および構造を備えている。ユニット前壁51は、ガイド突起51Pを備える。ガイド突起51Pは、ユニット前壁51の前側面から突設された円柱状の突起である。一方、スライド部前壁53は、開口部53Pを備える。開口部53Pは、スライド部前壁53に略長方形形状に開口されている。前述のガイド突起51Pは、開口部53P内にはめ込まれており、開口部53P内を左右方向に移動する。
更に、中間転写ユニット14は、付勢ばね143S(図7)(付勢部材)を備える。付勢ばね143Sは、ユニット前壁51とスライド部前壁53との間で圧縮変形され、テンションローラー143を駆動ローラー142とは反対側(左側)に向かって付勢する。なお、ユニット後壁52とスライド部後壁54との間にも同様に、付勢ばね143Sが備えられている。図7に示すように、付勢ばね143Sのばね基端部143Mは、ガイド突起51Pの周面に当接している。一方、付勢ばね143Sの先端部(左端部)は、テンションローラー143のテンションローラー軸部143Aを支持する不図示の軸受に当接している。
スライド部前壁53、スライド部後壁54および付勢ばね143Sは、本実施形態の移動部60Sを構成する。移動部60Sは、接離機構14Mによる一次転写ローラー24の接離動作に連動して、可動脚部60をスライド移動させる機能を備えている。前述のように、本実施形態では、可動脚部60がスライド部前壁53に支持されている。このため、スライド部前壁53がスライド移動することによって、可動脚部60も左右にスライド移動可能とされる。
画像形成装置10において、フルカラー画像が印刷される場合、図7および図8に示されるように、駆動部56によって第3張架ローラー242が最も下方の第1の位置に配置される。この時、図8に示すように、第3張架ローラー242によって張架された中間転写ベルト141は、屈曲部141Aを形成している。また、屈曲部141Aの左上方には、テンションローラー143によって中間転写ベルト141の折り返し部141Bが形成されている。第3張架ローラー242が第1の位置に配置されると、中間転写ベルト141の下端面は、略水平方向に延びるように配置される。そして、各一次転写ローラー24を支持する支持ユニット55は、右端部を支点として下方に揺動されている。この結果、各色の一次転写ローラー24が中間転写ベルト141を挟んで感光体ドラム20に当接し、一次転写ニップ部が形成される。この時、中間転写ベルト141の左端側では、第3張架ローラー242によって中間転写ベルト141に強い張力が付与される。このため、付勢ばね143S(図7)がユニット前壁51およびユニット後壁52とスライド部前壁53およびスライド部後壁54との間で圧縮された状態で、中間転写ベルト141がテンションローラー143によって支持される。そして、各色の一次転写ニップ部において感光体ドラム20から中間転写ベルト141に安定してトナー像が転写される。
一方、画像形成装置10において、ブラック色のみのモノクロ画像が印刷される場合、駆動部56によって第3張架ローラー242が中間転写ベルト141の内周面から上方に離間するように移動された結果、第1の位置よりも上方の第2の位置に配置される。この際、第3張架ローラー242の移動に伴って、中間転写ベルト141の張力が弱まるため、スライド部前壁53およびスライド部後壁54が付勢ばね143Sの付勢力によって駆動ローラー142から離間する方向(左方向)にスライド移動する。そして、第3張架ローラー242の移動に伴って、マゼンタ用ローラー24M、シアン用ローラー24Cおよびイエロー用ローラー24Yの周辺の中間転写ベルト141が上方に押し上げられるため、支持ユニット55が右端部を支点として上方に揺動される。この結果、中間転写ベルト141の下端面では、ブラック用ローラー24BKのみが感光体ドラム20に当接し、他の一次転写ローラー24は感光体ドラム20から上方に離間する。なお、ブラック色の一次転写ニップのニップ圧を安定して維持するために、第2張架ローラー241の位置は変わらない。すなわち、第2張架ローラー241からブラック用ローラー24BKに至るわずかな領域において、中間転写ベルト141は水平方向に延びるように維持される。そして、ブラック色の一次転写ニップ部において感光体ドラム20から中間転写ベルト141に安定してトナー像が転写される。
更に、画像形成装置10において、スリープモードに移行する場合や、メンテナンスのために中間転写ユニット14が装置本体11から取り外される場合、予め駆動部56によって第3張架ローラー242が第2の位置よりも上方の第3の位置に配置される。この際、第3張架ローラー242の移動に伴って、中間転写ベルト141の張力が更に弱まるため、中間転写ベルト141の張力を補うべく、スライド部前壁53およびスライド部後壁54が付勢ばね143Sの付勢力によって駆動ローラー142から離間する方向(左方向)に更にスライド移動する。そして、この第3張架ローラー242の移動に伴って、マゼンタ用ローラー24Mからブラック用ローラー24BKの周辺までの中間転写ベルト141が上方に押し上げられるため、支持ユニット55が右端部を支点として更に上方に揺動される。この結果、中間転写ベルト141の下端面では、全ての一次転写ローラー24が感光体ドラム20から上方に離間する。このように、本実施形態では、接離機構14Mは第3張架ローラー242を上下に移動させる。換言すれば、接離機構14Mは、第3張架ローラー242を中間転写ベルト141の内周面から離間するように移動させる、または、第3張架ローラー242を中間転写ベルト141の内周面に近づくように移動させることで、各色の一次転写ローラー24を感光体ドラム20に対して接離させる。また、この際、付勢ばね143Sが中間転写ベルト141の張力を補うべく、スライド部前壁53およびスライド部後壁54をユニット前壁51およびユニット後壁52に対してスライド移動させる。
図10は、本実施形態に係る中間転写ユニット14およびユニット検知部70(検出部)の斜視図である。図11Aおよび図11Bは、本実施形態に係る可動脚部60とユニット検知部70の斜視図である。画像形成装置10は、ユニット検知部70を備える。ユニット検知部70は、装置本体11の内部において、中間転写ユニット14に対向する不図示のフレームに固定されている。換言すれば、ユニット検知部70は、装置本体11内において中間転写ベルト141の周回軌道の外側に配置され、可動脚部60のスライド移動を検出する。
ユニット検知部70は、発光部701と受光部702とを備えるPI(フォトインタラプタ)センサーである。発光部701は、受光部702に向かって不図示の検出光を出射する。受光部702が検出光を受光することで、画像形成装置10に備えられた不図示の制御部に受光信号が出力される。受光部702が検出光を受光した場合、ユニット検知部70はHIGH信号(5V)を出力する。一方、発光部701と受光部702との間に可動脚部60が進入し検出光が遮断された場合、ユニット検知部70はLOW信号(0V)を出力する。この結果、発光部701と受光部702との間に可動脚部60が位置しているか否かが把握される。
前述のように、本実施形態では接離機構14Mが一次転写ローラー24を感光体ドラム20に対して接離させると、移動部60Sによってスライド部前壁53およびスライド部後壁54がスライド移動する。特に、全色の一次転写ローラー24が感光体ドラム20に当接している場合には、スライド部前壁53およびスライド部後壁54に支持されている可動脚部60は最も右の所定の位置に配置される(図11A)。この際、可動脚部60はユニット検知部70によって検出されていない。一方、画像形成装置10においてブラック色のモノクロ(単K)モードが選択されると、可動脚部60は、図11Aに示される位置よりも左方にスライド移動する。更に、画像形成装置10において全色の一次転写ローラー24の離間移動が指示されると、可動脚部60は、付勢ばね143Sの付勢力によって、更に左方にスライド移動され、図11Bに示される位置に配置される。この結果、可動脚部60がユニット検知部70によって検出される。換言すれば、全色の一次転写ローラー24が感光体ドラム20から離間していることが画像形成装置10の制御部によって把握される。
以上のように、本実施形態では、中間転写ベルト141の周回軌道の外側に配置されたユニット検知部70によって、中間転写ベルト141の感光体ドラム20に対する接離状態を検出することができる。このため、装置本体11内の空気の流れによって中間転写ベルト141上のトナーが中間転写ベルト141の周回軌道の内側に流入する場合であっても、ユニット検知部70のトナー汚れを抑止することができる。この際、中間転写ユニット14の一の脚部である可動脚部60が、ユニット検知部70によって検出される検出片としての機能を兼ねることができる。
更に、可動脚部60が第1の姿勢をとることで、設置面に中間転写ユニット14を直置きすることができる。また、可動脚部60が第2の姿勢をとることで、装置本体11の内部で可動脚部60と他のユニットとが強く衝突することが抑止され、これらの部材の損傷が防止される。また、中間転写ユニット14が装置本体11に装着される際および装置本体11から引き出される際のいずれの場合でも、装置本体11の内部で可動脚部60と他のユニットとが強く衝突することが抑止される。
更に、可動脚部60はテンションローラー143の周辺に配置されているため、テンションローラー143および可動脚部60を同じユニット(スライド部前壁53、スライド部後壁54)に支持することができる。そして、一次転写ローラー24の離間動作に伴ってスライド部前壁53およびスライド部後壁54がスライド移動する動作を利用して、可動脚部60をスライド移動することができる。特に、第3張架ローラー242が中間転写ベルト141から離間する方向に移動する際の中間転写ベルト141の張力の低下と付勢ばね143Sの付勢力とを利用して、スライド部前壁53およびスライド部後壁54をスライド移動させることができる。また、ユニット検知部70が中間転写ベルト141の周回軌道の外側であって装置本体11側に配置されているため、ユニット検知部70が中間転写ユニット14に装着されている場合と比較して、ユニット検知部70のトナー汚れを低減することができる。
なお、前述のように、本実施形態では、ブラック用ローラー24BKは、他の一次転写ローラー24と比較して、感光体ドラム20から離間することが少ない。そして、各一次転写ローラー24を支持する支持ユニット55は、右端部を支点として上下に揺動する。このため、マゼンタ用ローラー24Mに隣接する第3張架ローラー242では、上下移動のストロークを大きく設定することができる。したがって、ユニット検知部70によって検出される可動脚部60は、ブラック用ローラー24BKとは反対側のテンションローラー143の周辺に配置され、テンションローラー143とともにスライド部前壁53およびスライド部後壁54によって支持されることで、第3張架ローラー242の上下移動を効果的に可動脚部60のスライド移動に変換することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る中間転写ユニット14を備える画像形成装置10につき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、中間転写ユニット14の脚部が、第1固定脚部51S、第2固定脚部52Sおよび可動脚部60の3つからなる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。中間転写ユニット14は、少なくとも3つ以上の脚部を備えていればよい。この場合、少なくとも1つずつの脚部がユニット前壁51およびユニット後壁52に備えられていればよい。
(2)上記の実施形態では、3つの脚部のうち可動脚部60のみが回動可能な態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1固定脚部51Sおよび第2固定脚部52Sも、可動脚部60と同様に回動可能な構成とされてもよい。
(3)また、上記の実施形態では、一次転写ローラー24が感光体ドラム20に対して離間する動作に連動して、可動脚部60が水平方向に移動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他の変形実施形態として、可動脚部60が支持ユニット55の左端部に備えられている場合には、第3張架ローラー242が上方に離間すると同時に、可動脚部60も上方に離間する。したがって、このような可動脚部60の上下方向の移動をユニット検知部70が検出することで、画像形成装置10において一次転写ローラー24の感光体ドラム20に対する接離状態が検出されてもよい。更に、ユニット検知部70によって検出される脚部は、可動脚部60に限定されるものではない。ユニット検知部70は、第1固定脚部51Sまたは第2固定脚部52Sのスライド移動を検出してもよい。この場合、第1固定脚部51Sまたは第2固定脚部52Sが、中間転写ユニット14の本体(ユニット前壁51、ユニット後壁52)に対してスライド移動可能なユニットに配置されればよい。
(4)更に、上記の実施形態では、図11Bに示すように、可動脚部60が発光部701と受光部702との間に進入する。このため、可動脚部60の側面にスポンジ材などの清掃部材が予め張り付けられていてもよい。この場合、可動脚部60のスライド移動によって、発光部701の発光面や受光部702の受光面に付着した異物などを清掃することができる。
(5)更に、上記の実施形態では、ユニット検知部70が可動脚部60のスライド移動を2段階で検出する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ユニット検知部70が、隣接する2つのPIセンサーを備える場合や、可動脚部60内に不図示の切欠き部が備えられることによって、可動脚部60のスライド移動が3段階で検出されてもよい。この場合、中間転写ユニット14において、各色の一次転写ローラー24が感光体ドラム20に当接している状態、ブラック色の一次転写ローラー24のみが感光体ドラム20に当接している状態、およびすべての24が感光体ドラム20から離間している状態が検出される。