JP5206809B2 - 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 - Google Patents
電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5206809B2 JP5206809B2 JP2011015673A JP2011015673A JP5206809B2 JP 5206809 B2 JP5206809 B2 JP 5206809B2 JP 2011015673 A JP2011015673 A JP 2011015673A JP 2011015673 A JP2011015673 A JP 2011015673A JP 5206809 B2 JP5206809 B2 JP 5206809B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion resistance
- coating layer
- steel sheet
- blackening treatment
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Description
一方、後者の黒色鋼板の場合は、黒色化処理により黒色化処理層を形成したのち、有機および/または無機系被覆層を形成するため、やはり十分な電磁波シールド性が得難いという問題があった。
その一対策として、ノイズ発生源を金属板(導体)で取り囲む方法がある。しかしながら、筐体には、継ぎ目もしくは接合部などが存在するため、その隙間部分から電磁波が漏洩してしまう。従って、表面処理鋼板を筐体に用いた場合には、継ぎ目もしくは接合部での十分な電磁波シールド性が必要となる。このためには、継ぎ目もしくは接合部で接触している表面処理鋼板同士の間で接触導通領域を接触面の全面にわたって多数形成させることが必要となる。
しかしながら、依然として、十分な電磁波シールド性を確保することができないため、さらなる薄膜化が要求されている。
しかしながら、この方法では、鋼板表面の凹凸、換言すると単位長さ当たりの山数PPIについて考慮が払われていないため、PPIが低い場合には、やはり継ぎ目もしくは接合部において導通領域数が減少する結果、十分な電磁波シールド性が得られないという問題があった。
すなわち、黒色化処理を施した後に加熱処理を施すと、黒色化処理層の耐食性が向上する。従って、黒色化処理層の上に形成する被覆層を薄膜化することが可能になる。その結果、耐食性の劣化を招くことなしに、継ぎ目もしくは接合部における電磁波漏洩を効果的に抑制できる優れた電磁波シールド性が得られる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
なお、かような被覆層の付着量は、耐食性と電磁波シールド性の両立のために、片面当たり0.5g/m2以上、2.0g/m2以下とすることが好ましい。
本発明では、まず、鋼板の表面にZn−Niめっきを施す。このめっき処理に関しては特に制限はなく、従来公知の方法で行えばよい。なお、めっき層の厚みは、優れた耐食性とめっき密着性を確保するために1〜5μm 程度とするのが好適である。
また、黒色化処理層の厚みを制御する方法としては、処理液の酸化剤の種類、濃度およびpH、ならびに電流密度、電解時間、電気量密度等の処理条件を調整する方法が有効である。
なお、黒色化処理層の厚みは、0.01〜1.0μm程度とすることが好ましい。というのは、黒色化処理層は良導電体ではないため、層厚が1.0μmを上回ると電磁波シールド性の劣化を招き、一方0.01μmを下回ると十分な黒色外観が得られないからである。
というのは、鋼板表面を上記したような比較的激しい凹凸形状にすることにより、その上に形成される被覆層が局部的に薄膜化し、導通領域が形成され易くなるからである。
ここに、Raが0.7μmを下回ると、凹凸が小さくなり被覆層を形成したときに局部的な薄膜領域が形成され難くなり、一方2.0μmを上回ると、黒色化処理されたZn−Niめっき鋼板の表面を100%被覆層で覆って耐食性を発現させるために被覆層の付着量を増加させなくてはならず、コストアップとなるからである。
一方、PPI値の上限は特に限定されることはないが、PPIが400を上回ると局部的な薄膜領域が多数形成される結果、耐食性の低下が懸念される。このため、PPIは400以下とすることが好ましい。
この場合、調質圧延ロールの粗度パターンは調質圧延しても100%そのまま鋼板に転写されず、Ra値はロール表面の値の40〜50%前後程度の値として鋼板側に転写され、PPI値はロール表面の値の80%前後程度の値として鋼板側に転写される。従って、算術平均粗さRaが0.7〜2.0μm、1インチ当たりの山数PPIが180以上である表面粗さ特性を有する黒色化処理したZn−Niめっき鋼板を得るためには、調質圧延ロールの表面粗さとしてRaを1.4〜5.0μm、PPIを220以上とするのが好ましい。
板厚:2mmのアルミ板により作製した外形100mm×100mm×100mmのアルミ製筐体3の中に発信源として20MHzのクロック4を置き、20〜1000MHzの高周波を20MHz毎に出力する。アルミ製筐体3の上面は、80mm×80mmの開口となっており、内側に10mmのフチ5を突き出し、フチ5の上に100mm×10mm×1mmのガスケット(ウレタンスポンジに導電布(銅とニッケルをめっきした繊維)を巻き付けたもの)6を設置する。試料1は100mm×100mmに切り出し、評価面2を下面としてアルミ製筐体3の上面に設置したガスケット6に接触させる。そして試料1には垂直方向へ19.6N(2kgf)の荷重をかける。このようにガスケット6と試料1が接触している額縁状の合わせ面から漏洩してくる電磁波を、直径:30mmのループアンテナ7で、フチ5から50mm離れた位置で受信し、25dBのプリアンプ8で増幅したのち、スペクトラムアナライザー(アドバンテスト(株)製R3162)9を用いて分析する。
被覆層は、金属イオン、水溶性有機樹脂、水分散性有機樹脂、グリコールウリル樹脂および酸が添加された塗料組成物を、バーコーターで塗布後、21秒後の到達板温が190℃になるようにオーブンで加熱し、乾燥・硬化させて所定の付着量とした。
かくして得られた各供試材の表面粗さ特性、被覆層付着量、黒色外観、平面部耐食性および電磁波シールド性について調べた結果を、表1に示す。
<表面粗さ特性>
黒色化処理後の供試材について、触針の先端曲率半径:1μmの触針式粗度計(東京精密(株)製)を用い、走査速度:0.3mm/sにて、JIS B 0601−1994で規定される算術平均粗さRaはカットオフ値:0.8mmで、また1インチ当たりの山数PPIは0.635 μmを超える山数として測定した。
被覆層の形成前後の供試材の質量の変化を単位面積に換算して求めた。
被覆層形成後の供試材の色調(L*値)を分光式色差計(SQ2000、日本電色(株)製)を用いて測定し、次の基準に従って評価した。
○:L*値が25以下
×:L*値が25超
被覆層形成後の供試材を、50mm×100mmの大きさに剪断後、端面部をシールし、中性塩水噴霧試験(JIS Z 2371−2000)に準拠した塩水噴霧試験を48時間行った後の白錆発生面積率を測定し、次の基準に従って評価した。
◎:5%以下
○:5%超 10%以下
△:10%超20%以下
×:20%超
電磁波シールド性は、図1に示す装置を用いて供試材の評価面と筐体との接合部からの漏洩ノイズをスペクトラムアナライザーで測定し、図2〜6に示すようなチャートを得た。
発明例および比較例の評価は、周波数20Mhzから1000Mhzまで20Mhzごとにピーク値を読み取り、下記式(1)にて換算した値をノイズ評価値(I)とした。
I=10×log(100.1d1+100.1d2+・・・+100.1dn) --- (1)
n:ピーク数
d1、d2、…dn:ピーク値
評価基準として、筐体の継ぎ目もしくは接合部において電磁波シールド性が優れると考えられる、被覆層を有しないZn−Niめっき鋼板(参考例)を供試材とした場合の測定例を図2に、電磁波シールド性が劣ると考えられる絶縁層を10μm形成させたZn−Niめっき鋼板を供試材とした場合の測定例を図3に、発明例7の測定例を図4に示す。また、供試材なしの状態で測定した例を図5に、高周波を発信出力させないで供試材なしの状態で測定した例を図6に示す。図6は外来ノイズを示している。ここで、図2〜6から読み取ったピーク値を上記式(1)に代入し、算出結果をIとした。なお、図2〜6中の×をつけた場所のピークは図6に示す外来ノイズ由来であるため、上記式(1)の対象外とした。
発明例の供試材について、それぞれ漏洩ノイズを測定し得られたノイズ評価値をI、図5(供試材なし、高周波出力あり)から得られたノイズ評価値をIa、図6(供試材なし、高周波出力なし)から得られたノイズ評価値をIbとしたとき、
(I−Ib)/(Ia−Ib)>0.35を×、
0.35≧(I−Ib)/(Ia−Ib)>0.25を△、
0.25≧(I−Ib)/(Ia−Ib)>0.15を○、
0.15≧(I−Ib)/(Ia−Ib)≧0を◎
で評価した。
2 評価面
3 アルミ製筐体
4 20MHzクロック
5 フチ
6 ガスケット
7 ループアンテナ
8 プリアンプ
9 スペクトラムアナライザー
Claims (1)
- Zn−Niめっき鋼板の表面に、黒色化処理を施したのち、さらに被覆層を形成することによって黒色鋼板を製造するに際し、黒色化処理後、被覆層用処理液を塗布するまでの間に、200〜300℃の温度域で加熱処理を施すことを特徴とする、電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011015673A JP5206809B2 (ja) | 2011-01-27 | 2011-01-27 | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011015673A JP5206809B2 (ja) | 2011-01-27 | 2011-01-27 | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005110718A Division JP4710388B2 (ja) | 2005-04-07 | 2005-04-07 | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011088148A JP2011088148A (ja) | 2011-05-06 |
JP5206809B2 true JP5206809B2 (ja) | 2013-06-12 |
Family
ID=44106898
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011015673A Expired - Fee Related JP5206809B2 (ja) | 2011-01-27 | 2011-01-27 | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5206809B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102012011936A1 (de) * | 2012-06-18 | 2013-12-19 | Api Schmidt-Bretten Gmbh & Co. Kg | Plattenwärmeübertrager |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2816559B2 (ja) * | 1989-04-25 | 1998-10-27 | 新日本製鐵株式会社 | 黒色亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
JP2770241B2 (ja) * | 1989-09-06 | 1998-06-25 | 日新製鋼株式会社 | 導電性塗装黒色めっき鋼板の製造方法 |
JP2947633B2 (ja) * | 1991-04-15 | 1999-09-13 | 新日本製鐵株式会社 | 塗装下地用ニッケル・クロム含有亜鉛めっき鋼板・鋼材並びにその製造法 |
JP2004188976A (ja) * | 2002-11-29 | 2004-07-08 | Jfe Steel Kk | 黒色鋼板 |
JP4135518B2 (ja) * | 2003-01-24 | 2008-08-20 | 住友金属工業株式会社 | 黒色化鋼板の製造方法 |
JP4710388B2 (ja) * | 2005-04-07 | 2011-06-29 | Jfeスチール株式会社 | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 |
-
2011
- 2011-01-27 JP JP2011015673A patent/JP5206809B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011088148A (ja) | 2011-05-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4710388B2 (ja) | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 | |
KR100741616B1 (ko) | 전자파 흡수성 및 도전성이 우수한 도료 조성물 및 이 도료조성물에 피복되어 있는 도장금속판 | |
JP4992044B2 (ja) | クロメートフリー被覆溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 | |
TWI392767B (zh) | Galvanized steel sheet having excellent surface electrical conductivity of a primary antirust coating layer and a method for manufacturing the same | |
JP2008214761A (ja) | 導電性陽極酸化皮膜を表面に有するマグネシウム又はマグネシウム合金製品及びその製造方法 | |
RU2663655C1 (ru) | Теплопоглощающий и излучающий стальной лист и теплопоглощающий и излучающий элемент | |
US8420224B2 (en) | Zinc-based plated steel sheet excellent in surface electrical conductivity having primary rust preventive thin film layer | |
JP4934979B2 (ja) | 電磁波シールド部材用鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体 | |
Onofre-Bustamante et al. | Characterization of cerium-based conversion coatings for corrosion protection of AISI-1010 commercial carbon steel | |
JP2005313609A (ja) | 塗装鋼板 | |
JP5206809B2 (ja) | 電磁波シールド性および耐食性に優れる黒色鋼板の製造方法 | |
JP4692142B2 (ja) | 電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体 | |
JP2007168273A (ja) | 塗装鋼板 | |
CN101010450A (zh) | 电磁波屏蔽性优良的黑色钢板、电磁波屏蔽部件和电磁波屏蔽筐体 | |
KR20070037506A (ko) | 전자파 차폐성이 우수한 흑색강판, 전자파 차폐 부재 및전자파 차폐 케이스 | |
JP5703815B2 (ja) | 表面処理鋼板、電磁波シールド部材および電磁波シールド筐体 | |
Jian et al. | An investigation of Mn− Ce− Based conversion coating on LZ91 magnesium alloy | |
JP2007138191A (ja) | 塗装鋼板、部材および薄型テレビ用パネル | |
JP2006257456A (ja) | 環境対応型表面処理鋼板 | |
JP2009052080A (ja) | 耐食性と導電性に優れた表面処理鋼板 | |
JP5332543B2 (ja) | 表面処理鋼板およびその製造方法 | |
TWI506102B (zh) | 非方向性電磁鋼片之塗料與非方向性電磁鋼片 | |
JP2008207092A (ja) | 塗装鋼板、加工品及び薄型テレビ用パネル | |
RU2465369C2 (ru) | Стальной лист с гальваническим покрытием на цинковой основе с прекрасной поверхностной электропроводимостью, имеющий первичный антикоррозийный тонкий пленочный слой | |
JP5609587B2 (ja) | 電気亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120703 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120704 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130204 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |