JP5200406B2 - 鋼帯の冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続焼鈍工程において、焼鈍後の鋼帯の焼入れを行う際の鋼帯の冷却方法および冷却設備に関する。
鋼帯の連続焼鈍工程において、処理される鋼帯に必要とされる機械的特性を付与するためには、加熱及び冷却の熱処理条件の制御が重要である。一方、連続焼鈍工程において高張力鋼帯を製造する場合、鋼帯の高強度化の観点から、加熱された鋼帯を急速に冷却する処理が必要であり、またプレス成形性の観点から、冷却された鋼帯を再度加熱する処理(焼戻し処理)が必要となる。
ところで、近年においては、高張力鋼帯の需要が増大してきており、高張力鋼板の製造に不可欠な急速冷却技術の重要性が増している。この急速冷却の方法としては、水焼入れ法、ロール冷却法、気水混合(ミスト)冷却法、ガスジェット冷却法等があり、必要な材質を得るためにこれらの方法が適宜選択される。
これらの中で、冷却水中に鋼帯を浸漬させる水焼入れ法が最も冷却速度が速く、強度を高めるための合金元素の添加を少なくできることから高張力鋼板の製造に適している。水焼入れ法としては、加熱された鋼帯を水中に浸漬させると同時に、水中に設けられたクエンチノズルから冷却水を鋼帯に噴射し、急冷を行う方法が一般的である。
しかし、水焼入れ法は、その速い冷却速度のために、冷却停止温度を制御することが困難であり、鋼帯が浸漬槽内を通過する間に水温と同じ温度まで冷却されてしまう。
図7に、従来の連続焼鈍設備において水焼入れ法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図を示す。図7に示すように、従来の水焼入れ法を用いた方法では、クエンチノズルにより鋼帯表面をスプレー冷却した後、浸漬槽内でさらに冷却されるため、浸漬槽内の水温が35℃の場合(クエンチノズル噴射速度:3m/s、噴射水温度:30℃)、誘導加熱装置に到達する時点での鋼帯の温度も35℃まで冷却されてしまう。このため、急冷後の過時効処理において、鋼帯を再加熱する誘導加熱装置での加熱能力に与える負荷が高くなってしまう。一方、誘導加熱装置での加熱能力の負荷を下げるために、冷却水の水温を上げることが考えられるが、水温の上昇は冷却能力の低下をもたらし、必要とされる所定の材質が得られなくなる。
また、鋼帯速度を増速させた場合、誘導加熱装置への負荷が著しく大きくなる事から、鋼帯速度の増速による生産性の向上は難しい(図7における通板速度:90m/min、鋼帯板厚:1.6mm、TS(引張り強さ):990MPa、El(伸び):17.4%)。
水焼入れ法の速い冷却速度を維持しつつ、再加熱能力の負荷を低減する方法として、特許文献1に開示されている技術がある。これは鋼帯を急冷するにあたり、空中スプレーにより冷却を行い、その直後に従来と同様に水中に浸漬させる。さらに、浸漬槽内には複数の加熱ロールが設けられており、冷却と同時に加熱も行い、浸漬槽出側における鋼帯の温度を高めて、再加熱能力の負荷の低減を狙ったものである。
また、特許文献2には、連続焼鈍炉におけるストリップの冷却方法として、急冷却用のノズルと熱水噴射可能なノズルとを設置し、前記急冷却用のノズルを使用して鋼帯を急冷する冷却方法と、前記熱水噴射可能なノズルを使用して鋼帯を所定の温度で冷却停止させる冷却方法との2種類の方法が開示されている。また、熱水を噴射する際に、ノズルから噴射された熱水を下流側へ排水させないように遮蔽板を設けて捕集し、受水槽に回収する方法が開示されている。
特公平1−18974号公報 特開昭61−183415号公報
しかし、上記特許文献1で開示されている従来方法では、空中スプレーと浸漬槽内での冷却により冷却速度を確保しているため、冷却長が必然的に長くなり、高張力鋼板に必要な冷却速度を確保するのが困難であるという問題がある。また、浸漬槽内の加熱ロールは浸漬槽内の水溶液中にあるため、ロール内部では加熱されているものの、ロール表面では水溶液と接触しているため冷やされる。そのため、ロール温度は非常に不安定であり、定常的な操業には不向きである。
また、上記特許文献2で開示されている方法の場合、急冷却用のノズルを用いて冷却を実施した場合には、鋼帯は水温まで冷却されてしまうため、その後、鋼帯を再加熱する際の加熱能力の負荷を軽減させることは困難である。また、熱水噴射可能なノズルを用いた場合、冷却能力が低下するため、製造する全ての鋼帯について所望の特性を確保するために充分な冷却速度を確保することは困難となる。さらに、冷却用ノズルの下流側に設置してある遮蔽板については、熱水噴射を行う際の液滴捕集用の装置として設置されており、急冷却時の機能については何も効果を有していない。
そこで、本発明は、連続焼鈍工程において、従来の水焼入れ法と同程度の高い冷却速度を確保すると共に、安定的に高い生産能率を確保することが可能な鋼帯の冷却方法および冷却設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。
[1]連続焼鈍工程において、鋼帯を加熱しガスジェット冷却した後、過時効処理の前に行う鋼帯の冷却方法であって、
加熱されたのち、ガスジェット冷却された鋼帯に水を噴射して冷却した後、該冷却した鋼帯を水温が60〜90℃の浸漬槽内に浸漬して冷却するに際し、前記鋼帯に噴射する水の温度を25℃以上、45℃以下とすることを特徴とする鋼帯の冷却方法
[2]連続焼鈍工程において、鋼帯を加熱しガスジェット冷却した後、過時効処理の前に行う鋼帯の冷却方法であって、
加熱されたのち、ガスジェット冷却された鋼帯に水を噴射して冷却した後、該冷却した鋼帯を、冷却媒体として、その少なくとも一部にイオン性液体を含有している液体を用いた浸漬槽内に浸漬し、前記鋼帯に噴射する水の温度を前記浸漬槽内の液温より低い温度とすることを特徴とする鋼帯の冷却方法。
]イオン性液体が、次式(1)〜(5)の化学式で表される塩の1種または2種以上の混合物からなることを特徴とする上記[]に記載の鋼帯の冷却方法。
Figure 0005200406
ここで、式中R〜Rは、直鎖または分枝鎖、置換または非置換のアルキル、アリール、アルコキシアルキル、アルキレンアリール、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキルから成る群から選択され、Nは窒素原子またはリン原子、Xはメチルサルフェート、PF 、BF およびハロゲン化合物より選択される陰イオン、Yは窒素またはホスフェートのようなテヘロ原子を含有する陽イオン、Zはグリセロール、クエン酸、尿素、その他の中性プロトン供与体もしくは受容体より選ばれる水素結合の可能な中性分子である。また、mおよびnは電気的中性を付与するために選択された整数であり、qは0〜1000の整数である。
]上記[]または[]において、鋼帯に噴射する水の温度を25℃以上、60℃未満とし、浸漬槽内の冷却媒体の温度を150〜300℃とすることを特徴とする鋼帯の冷却方法。
本発明によれば、連続焼鈍工程において、従来の水焼入れ法と同程度の高い冷却速度を確保すると共に、安定的に高い生産能率を確保することが可能な鋼帯の冷却方法および冷却設備が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
図1に本発明に係る冷却設備が適用される連続焼鈍設備の設備構成の一例を示す。また、図2および図3に、本発明に係る冷却設備の設備構成の一例を示す。
図1に示すように鋼帯の連続焼鈍設備は、連続して搬送される鋼帯1を連続的に加熱または冷却する加熱帯2、均熱帯3、ガスジェット冷却帯4、冷却設備5、誘導加熱装置6、過時効帯7から構成されている。
また、図2および図3に示すように、前記冷却設備5は、鋼帯1に水を噴射し急速冷却を行う急速冷却手段51と、この急速冷却手段51の下流側に配した浸漬槽52と、前記急速冷却手段51と前記浸漬槽52との間に配した水切りのための仕切り手段53とを有する。なお、前記急速冷却手段51の鋼帯1入側の直上にはピンチロール8が設置され、前記浸漬槽52の下流側にはリンガーロール9とドライヤー10とが設置される。また、浸漬槽52内に冷却媒体として水の代わりに、イオン性液体、または、冷却媒体の少なくとも一部にイオン性液体を含有している液体を用いる場合は、図3に示すように前記液体を保温するためのヒーター11が取り付けられる。
ここで、前記イオン性液体は100℃以上の高温で安定な液体として存在する。また、前記イオン性液体は不揮発性であり蒸発せず、劣化も起こしにくいため、繰り返し使えるという特徴を有する。さらに、熱容量が大きく保温性も高い。
このように、前記イオン性液体は100℃以上の高温で液体として存在できるため、浸漬槽52内に入れた場合、水より冷却停止温度を高く保つことが可能となり、後段側の誘導加熱装置6の負荷を低減することができる。
前記イオン性液体の性質を損なわないように、浸漬槽52内の冷却媒体中に含有させるイオン性液体の含有比率は高い方が望ましく、冷却媒体をイオン性液体のみで構成することがより望ましい。しかし、イオン性液体に水、他のイオンや他の混合物等が含まれていてもよい。
上記のような効果を示すイオン性液体として、以下の化学式(1)〜(5)で表されるものを用いることが好ましい。なお、このイオン性液体は、以下の化学式(1)〜(5)で表されるものを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0005200406
ここで、式中R〜R は、直鎖または分枝鎖、置換または非置換のアルキル、アリール、アルコキシアルキル、アルキレンアリール、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキルから成る群から選択され、Nは窒素原子またはリン原子、Xはメチルサルフェート、PF 、BF およびハロゲン化合物より選択される陰イオン、Yは窒素またはホスフェートのようなテヘロ原子を含有する陽イオン、Zはグリセロール、クエン酸、尿素、その他の中性プロトン供与体もしくは受容体より選ばれる水素結合の可能な中性分子である。また、mおよびnは電気的中性を付与するために選択された整数であり、qは0〜1000の整数である。
前記急速冷却手段51としては、鋼帯1の表裏面のそれぞれに冷却水をスプレー可能とするように、鋼帯1の表裏面の両側にそれぞれ複数段に配したスリットノズル54により構成することができる。前記スリットノズル54から、前記急速冷却手段51が配される急速冷却帯に進入してきた鋼帯1の表裏面全面に冷却水を噴射することで、加熱された鋼帯1の急速冷却が可能となる。
ここで、前記急速冷却手段51と前記浸漬槽52との間には、前記急速冷却手段51で噴射された冷却水が、後段側に配された前記浸漬槽52に流れ込まないように水切りのための仕切り手段53が配されている。仕切り手段53が無いと、急速冷却手段51で噴射された冷却水が、浸漬槽52に多く流れ込み、この結果、浸漬槽内の水温が低下して、冷却後、誘導加熱装置6における加熱負荷が増大する。このため、浸漬槽内の水温の低下を抑制する仕切り手段53が必要となる。この仕切り手段53としては、遮蔽板を用いることができるが、特に遮蔽板に限定されるものではなく、例えばロール等を用いてもよい。ロールを使用することにより、鋼帯1により近接して設置することが可能となり、浸漬槽52への冷却水の流入量をより抑えることができる。また、仕切り手段53にガスノズルを設置し、このガスノズルからガスを噴射し、パージを行うことも浸漬槽52への冷却水の流入防止に有効である。
前記急速冷却手段51のスリットノズル54から噴射された冷却水の大部分は、前記仕切り手段53によりせき止められ、急速冷却手段51に設けられた排水口55から循環槽56に回収される。前記循環槽56に回収された冷却水は、冷却装置57により所定の温度に冷却されたのち、循環槽56に戻され、再びスリットノズル54から噴射される。
スリットノズル54から噴射された冷却水の一部は仕切り手段53と鋼帯1、あるいは仕切り手段53の間隙から後段側の浸漬槽52内に流入する場合もある。しかし、浸漬槽52内に流入する量は浸漬槽52内の水量または液量に比べ少なく、浸漬槽52内の水温または液温への影響はほとんどない。
一般に、鋼帯の強度は急冷時の冷却速度に依存し、冷却速度が遅くなると強度不足となる。従来の水中でスプレー冷却をする水焼入れ法では、噴流により鋼帯表面の境界層を打ち破ることによって、単に鋼帯を水中に浸漬させるよりも速い冷却速度を達成している。一方、本発明においては、急速冷却手段51と浸漬槽52とを分離した場合においても、急速冷却手段51において、十分な水量をスリットノズル54から噴射することにより、水中でスプレーするのと同等の冷却能力が得られる。
同一の鋼帯サイズの場合、冷却速度は、スリットノズル54からの噴射流速および冷却水の水温に依存する。ノズルからの噴射流速が速いほど冷却速度は高まるが、ある程度以上(例えば、2m/s以上)の噴射流速であれば、冷却効果はほぼ同じである。それに対し、水温は、その温度が高いほど冷却速度が低くなる。したがって、速い冷却速度を保つためには、急速冷却手段51の冷却水の温度は、浸漬槽52内の水温よりも低くする必要がある。ここで、冷却水の温度はなるべく低い方がよく、鋼帯の材質との兼ね合いから25℃以上、60℃未満とすることが好ましい。
なお、急速冷却手段51に進入する鋼帯1の温度である焼入れ開始温度、冷却水の水温のばらつき、連続焼鈍設備のライン速度の変動等を考慮すると、前記スリットノズル54から噴射される冷却水の温度の上限は、45℃とすることがより好ましい。これにより、安定的な操業がより可能となる。
前記急速冷却手段51により冷却された鋼帯1は、次に浸漬槽52内の冷却媒体である水またはイオン性液体中に浸漬される。ここで、前記浸漬槽52内の水温または液温は、後段側の誘導加熱装置6の加熱負荷を低減させるため、水の場合は60〜90℃、イオン性液体の場合は150〜300℃にすることが好ましい。
図4に、本発明に係る鋼帯の冷却方法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図を示す。図4に示すように、例えば浸漬槽52内の冷却水の水温を80℃で保持させた場合には(クエンチノズル噴射速度:3m/s、噴射水温度:35℃)、誘導加熱装置6に到達する時点での鋼帯の温度を80℃程度に保持することが可能となる。そのため誘導加熱装置6の加熱能力に与える負荷が低減可能となり、且つ鋼帯速度の増速が可能となる。なお、図4における通板速度:130m/min、鋼帯板厚:1.6mm、TS(引張り強さ):998MPa、El(伸び):17.6%であった。
さらに、別の一例として、図5に、本発明に係る鋼帯の冷却方法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図を示す。図5に示すように、例えば浸漬槽52内のイオン性液体の液温を250℃で保持させた場合には(クエンチノズル噴射速度:3m/s、噴射水温度:35℃)、誘導加熱装置6に到達する時点での鋼帯の温度を250℃程度に保持することが可能となる。そのため誘導加熱装置6の加熱能力に与える負荷が低減可能となり、且つ鋼帯速度の増速が可能となる。なお、図5における通板速度:180m/min、鋼帯板厚:1.6mm、TS(引張り強さ):998MPa、El(伸び):17.6%であった。
このように、本発明においては、急速冷却手段51における冷却と浸漬槽52内での冷却を分離し、急速冷却手段51では比較的低い水温で急冷を行い、浸漬槽52内では比較的高温の水またはイオン性液体を用い、浸漬槽52出側における鋼帯温度をなるべく高温で保持することにより、品質と生産能率の向上を両立できた。
本発明例として、図1および図2に示す連続焼鈍設備および冷却設備を用いて、板厚1.6mm、板幅1000mmの980MPa級の高張力冷延鋼板を製造した。ここでの焼入れ温度は680℃とした。
冷却設備5における急速冷却手段51のスリットノズル54は鋼帯の表裏面とも9段設置され、冷却長は900mmである。前記スリットノズル54からの噴射水量は1000T/Hrとした。また、前記スリットノズル54から噴射されるの冷却水の水温は、鋼帯から持ち込まれる熱量により上昇するため、30℃に保持するように循環水の冷却装置57により冷却を行った。
浸漬槽52内の水温または液温は、急速冷却手段51の出側板温が100℃以上であるため、鋼帯から奪う熱量により上昇する。ここでは、ライン速度の条件を変更することにより、水温を制御した。ライン速度が105mpmの時、浸漬槽52内の水温は60℃、ライン速度が130mpmの時、浸漬槽52内の水温は80℃となった。
また、ライン速度180mpmの時、浸漬槽52内のイオン性液体の液温は250℃となった。ここで使用したイオン性液体は、イオン性液体IL−A2(広栄化学工業株式会社製)である。これは、脂肪族アミン系イオン性液体で、陽イオンはトリメチルヘキシルアンモニウムイオンで構造式は次式(6)で表される。
Figure 0005200406
また、陰イオンは、(CFSOである。
このイオン性液体の分解点は484.6℃、粘度は25℃で634.9cPs、イオン伝導度は25℃で6.1×10−5S/cmである。
上記それぞれのライン速度の条件で鋼帯の製造を行い、材質の評価を行った。その結果、ライン速度105mpm、浸漬槽52内の水温60℃の時(本発明例1)は、TS(引張り強さ):995MPa、El(伸び):17.4%、また、ライン速度130mpm、浸漬槽52内の水温80℃の時(本発明例2)は、TS(引張り強さ):999MPa、El(伸び):17.5%、また、ライン速度180mpm、浸漬槽52内のイオン性液体の液温250℃の時(本発明例3)は、TS(引張り強さ):998MPa、El(伸び):17.6%であった。このように、本発明例においても従来の製造時と同等の強度レベルであった。なお、前記材質の評価の方法は、製造された鋼帯の板幅中央部の圧延方向にJIS5号試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張特性(引張強さ(TS)、伸び(El))を求めた。
比較例として、従来方法により本発明例と同等の引張り特性を有する高張力冷延鋼板を製造した(鋼板板厚:1.6mm、TS:994MPa、El:17.4%)。この比較例では、クエンチノズルは浸漬槽内に設置され、クエンチノズルから噴射される冷却水および浸漬槽内の水温は30℃となるように設定した。この比較例の場合、浸漬槽内で鋼帯の温度が30℃まで冷却されてしまうため、再加熱時における誘導加熱装置での加熱負荷が高くなり、再加熱温度まで昇温させるためにライン速度を90mpmとしなければならなかった。
本発明例および比較例で高張力冷延鋼板を製造した際のライン速度の比較を図6に示す。図6に示すように、比較例である従来の浸漬槽内でスプレーする方法に比べ、本発明例では、浸漬槽出側板温が高くなったことにより、誘導加熱装置での加熱負荷が減り、浸漬槽内の水温60℃の場合で約2割、浸漬槽内の水温80℃の場合で約4割、浸漬槽内の液温250℃の場合で約2倍の増速が可能になった。
本発明に係る冷却設備が適用される連続焼鈍設備の設備構成の一例を示す図である。 本発明に係る冷却設備の設備構成の一例を示す図である。 本発明に係る冷却設備の設備構成の他の一例を示す図である。 本発明に係る鋼帯の冷却方法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図である。 別の一例である、本発明に係る鋼帯の冷却方法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図である。 本発明例および比較例で高張力冷延鋼板を製造した際のライン速度の比較を示した図である。 従来の連続焼鈍設備において水焼入れ法を用いた場合の鋼帯の温度履歴の概略図である。
符号の説明
1 鋼帯
2 加熱帯
3 均熱帯
4 ガスジェット冷却帯
5 冷却設備
51 急速冷却手段
52 浸漬槽
53 仕切り手段
54 スリットノズル
55 排水口
56 循環槽
57 冷却装置
6 誘導加熱装置
7 過時効帯
8 ピンチロール
9 リンガーロール
10 ドライヤー
11 ヒーター

Claims (4)

  1. 連続焼鈍工程において、鋼帯を加熱しガスジェット冷却した後、過時効処理の前に行う鋼帯の冷却方法であって、
    加熱されたのち、ガスジェット冷却された鋼帯に水を噴射して冷却した後、該冷却した鋼帯を水温が60〜90℃の浸漬槽内に浸漬して冷却するに際し、前記鋼帯に噴射する水の温度を25℃以上、45℃以下とすることを特徴とする鋼帯の冷却方法。
  2. 連続焼鈍工程において、鋼帯を加熱しガスジェット冷却した後、過時効処理の前に行う鋼帯の冷却方法であって、
    加熱されたのち、ガスジェット冷却された鋼帯に水を噴射して冷却した後、該冷却した鋼帯を、冷却媒体として、その少なくとも一部にイオン性液体を含有している液体を用いた浸漬槽内に浸漬し、前記鋼帯に噴射する水の温度を前記浸漬槽内の液温より低い温度とすることを特徴とする鋼帯の冷却方法。
  3. イオン性液体が、次式(1)〜(5)の化学式で表される塩の1種または2種以上の混合物からなることを特徴とする請求項に記載の鋼帯の冷却方法。
    Figure 0005200406
    ここで、式中R〜Rは、直鎖または分枝鎖、置換または非置換のアルキル、アリール、アルコキシアルキル、アルキレンアリール、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキルから成る群から選択され、Nは窒素原子またはリン原子、Xはメチルサルフェート、PF 、BF およびハロゲン化合物より選択される陰イオン、Yは窒素またはホスフェートのようなテヘロ原子を含有する陽イオン、Zはグリセロール、クエン酸、尿素、その他の中性プロトン供与体もしくは受容体より選ばれる水素結合の可能な中性分子である。また、mおよびnは電気的中性を付与するために選択された整数であり、qは0〜1000の整数である。
  4. 鋼帯に噴射する水の温度を25℃以上、60℃未満とし、浸漬槽内の冷却媒体の温度を150〜300℃とすることを特徴とする請求項またはに記載の鋼帯の冷却方法。
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