JP5199541B2 - 放射線断層撮影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用X線CT(Computed Tomography)装置などにおいて、各種スキャンの断層像における各部位、各臓器または各組織(以下、各部位と略す)にセグメンテーションされた領域ごとに画質を最適化して画質改善を実現する放射線断層撮影装置に関する。
従来、放射線断層撮影装置の一つであるX線CT装置は、X線CT装置の断層像を画像再構成する際に各画素を独立にして扱っていた。つまり、部位を意識せず全体の断層像の画質が最適になるように処理されてきた。例えば、胸部の断層像を画像再構成する場合には、心臓、肺野、骨などを含めた胸部全体の画質がよくなるようにあらかじめ設定された画像再構成関数で再構成されている。そのため、骨を診断したい場合には、さらに骨の画質がよくなるようにフィルタをかけたり、再度、別の画像再構成関数で画像再構成したりしていた。
特開2005−334230号公報
しかし、断層像の全体の断層像の画質がよいのではなく、断層像に含まれる部位ごとに画質を最適化した断層像を得たいという要求は大きくなっている。
そこで、本発明の目的は、放射線断層撮影装置の撮影において、各部位として認識されたセグメンテーション領域ごとに画質を最適化できるようにすることである。
本発明は、画像再構成された断層像、またはz方向に連続した断層像からなる三次元画像、またはその三次元MPR画像、または時系列に連続してz方向に連続した断層像からなる四次元画像において、各部位を二次元または三次元または四次元の連続領域として抽出し、各部位として認識した後にその各部位の領域を最適な画質にするように再構成関数または画像フィルタを用いて画質の最適化を行うことを特徴とする放射線断層撮影装置を提供することで上記課題を解決する。
第1の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線を照射して被検体の所定領域を透過した投影データを収集し、断層像を表示するため画像再構成を行う。そして、放射線断層撮影装置は、一度画像再構成された所定領域中の各画素の画質に依存させて、所定領域から少なくとも第1部位と第2部位とを認識する部位認識手段と、所定領域を第1の再構成関数で画像再構成した第1の断層像から第1部位の断層像を抽出し、所定領域を第2の再構成関数で画像再構成した第2の断層像から、第2部位の断層像を抽出し、抽出された第1部位の断層像と第2部位の断層像とを組み合わせて画像再構成する画像再構成手段とを有する。
この第1の観点における放射線断層撮影装置では、各部位として認識した後に、各部位として最適な画質にするために再構成関数をその部位の求められる再構成関数にすることで画質を最適化することができる。この場合に複数の再構成関数で断層像を複数種類分、画像再構成しておき、認識した各部位ごとに断層像の一部をマスクして抽出し、抽出された部位を組み合わせることにより、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第2の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線を照射して被検体の所定領域を透過した投影データを収集し、断層像を表示するため画像再構成を行う。そして、放射線断層撮影装置は、一度画像再構成された所定領域中の各画素の画質に依存させて、所定領域から少なくとも第1部位と第2部位とを認識するセグメント認識手段と、第1の再構成関数で画像再構成した第1部位の領域と、第2の再構成関数で画像再構成した第2部位の領域とを合わせて画像再構成する画像再構成手段とを有する。
この第2の観点における放射線断層撮影装置では、各部位として認識した後に、各部位が最適な画質になるために再構成関数をその部位の求められる再構成関数にすることで画質を最適化することができる。この場合に認識された各部位としての最適な再構成関数で画像再構成を行い最適な断層像を組み合わせることにより、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第3の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、画像再構成手段は、一度画像再構成する際に一度変換された投影データを再利用して、再度、再構成関数重畳を行う。
この第3の観点における放射線断層撮影装置では、画像再構成で行う再構成関数重畳処理においては、一度目に画像再構成された際の再構成関数重畳時に、一旦周波数領域に変換されたX線投影データを再利用して、再度、再構成関数重畳を行う。これにより、2度目以降の再構成関数重畳が効率良く行える。
第4の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、一度画像再構成する際の再構成関数と前記第1又は前記第2の再構成関数との差分を重畳して再構成関数重畳を行う。
この第4の観点における放射線断層撮影装置では、画像再構成で行う再構成関数重畳処理においては、一度目に画像再構成された際の再構成関数重畳時に、一旦周波数領域に変換されたX線投影データを再利用して、再度、再構成関数重畳を行うことができる。この際に、二度目以降の再構成関数と一度目の再構成関数との差分を求めておき、X線投影データにその差分の再構成関数を重畳し、逆投影した差分の断層像を一度目の画像再構成の断層像に加算することで、二度目以降の画像再構成した断層像が得られる。これにより、二度目以降の画像再構成が効率良く行える。
第5の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線を照射して被検体の所定領域を透過した投影データを収集し、断層像を表示するため画像再構成を行う。そして、放射線断層撮影装置は、一度画像再構成された所定領域中の各画素の画質に依存させて、所定領域から少なくとも第1部位と第2部位とを認識する部位認識手段と、第1及び第2の画像フィルタ処理を行った断層像よりセグメント領域ごとに断層像の一部を抽出して、抽出された領域を組み合わせて断層像を画像再構成する画像再構成手段とを有する。
この第5の観点における放射線断層撮影装置では、各部位を認識した後に、各部位として最適な画質にするために画像フィルタをその部位の求められる画像フィルタにすることで画質を最適化することができる。この場合に複数の画像フィルタで断層像を複数種類分、画像フィルタ処理しておき、各部位として認識させたセグメント領域ごとに断層像の一部をマスクして抽出し、抽出された各セグメント領域を組み合わせることにより各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第6の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、放射線を照射して被検体の所定領域を透過した投影データを収集し、断層像を表示するため画像再構成を行う。そして、放射線断層撮影装置は、一度画像再構成された所定領域中の各画素の画質に依存させて、所定領域から少なくとも第1部位と第2部位とを認識する部位認識手段と、第1部位に第1画像フィルタ処理を行い、記第2部位に第2画像フィルタ処理を行い、画像再構成する画像再構成手段とを有する。
この第6の観点における放射線断層撮影装置では、各部位として認識した後に、各部位として最適な画質にするために画像フィルタをその部位の求められる画像フィルタにすることで画質を最適化することができる。この場合にセグメント領域ごとに認識された各部位としての最適な画像フィルタで画像フィルタ処理を行い、各セグメント領域の最適な断層像を組み合わせることにより各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第7の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、部位認識手段が局所領域の画像特徴量を用いる。
この第7の観点における放射線断層撮影装置では、部位として認識する際に、局所領域の画像特徴量を用いることにより、各画素およびその近傍領域の画質が変化する際に画像特徴量値が変化する。これにより画質の変化を検出でき、部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第8の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、局所領域の画像特徴量が、画素のCT値、CT値の標準偏差、又はCT値の平均値、最大値、最小値、中間値、1次微分値もしくは2次微分値のうち少なくとも1つを含む。
この第8の観点における放射線断層撮影装置では、第7の観点における画像特徴量が、画素のCT値、CT値の標準偏差、CT値の平均値または最大値または最小値または中間値、1次微分値、2次微分値のうち少なくとも1つを用いることにより画質の変化を検出できる。これにより、各セグメント領域を部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第9の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、部位認識手段は、連続領域を抽出する領域番号付処理を用いる。
この第9の観点における放射線断層撮影装置では、各部位として認識する際には、領域番号付(ラベリング)処理を用いて部位の候補を抽出する。これにより、部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第10の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、部位認識手段は、領域番号付処理された領域の幾何学的特徴量を用いて認識する。
この第10の観点における放射線断層撮影装置では、第9の観点における領域番号付(ラベリング)処理は、領域番号付処理された領域の幾何学的特徴量を求め、あらかじめ求められているまたは知られている各部位としての特徴量と比較し、最も似ている部位、つまり特徴量空間(特徴量のマハラノビス空間)において最も近い部位をその部位として認識することができる。これにより部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第11の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、幾何学的特徴量は、体積もしくは画素数、表面積、平均画素値、画素値和(CT値和、濃度和)、画素値標準偏差、x,y,z方向フェレ径、楕円体率、球形度、xy平面面積率、yz平面面積率、xz平面面積率、三次元1次モーメント、三次元2次モーメントのうち少なくとも1つを含む。
この第11の観点における放射線断層撮影装置では、第10の観点における幾何学的特徴量は、体積(画素数)、表面積、平均画素値、画素値和(CT値和、濃度和)、画素値標準偏差、x,y,z方向フェレ径、楕円体率、球形度、xy平面面積率、yz平面面積率、xz平面面積率、三次元1次モーメント、三次元2次モーメントのうち少なくとも1つを含む。これにより、各部位の位置が決まり、これらの間の距離(マハラノビス空間上の距離)が求められる。この距離の大小でどの部位か、もしくはどの部位に近いかがわかる。これにより部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第12の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、領域番号付処理は、三次元画像に含まれる二次元画像より連続領域を抽出する二次元領域番号付処理である。
この第12の観点における放射線断層撮影装置では、二次元の断層像または二次元のMPR画像においては、二次元領域番号付(ラベリング)処理により、各セグメント領域を抽出できる。これにより、各セグメント領域を部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第13の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、領域番号付処理が三次元画像より連続領域を抽出する三次元領域番号付処理である。
この第13の観点における放射線断層撮影装置では、z方向に連続した断層像による三次元画像においては、三次元領域番号付(ラベリング)処理により、各セグメント領域を抽出できる。これにより、各セグメント領域を部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第14の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、領域番号付処理が時系列に連続した四次元画像より連続領域を抽出する四次元領域番号付処理である。
この第14の観点における放射線断層撮影装置では、時系列になったz方向に連続した断層像による四次元画像においては、四次元領域番号付(ラベリング)処理により、各セグメント領域を抽出できる。これにより、各セグメント領域を部位として認識でき、各部位が最適な画質の断層像を画像再構成できる。
第15の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、各部位の最適な画質をあらかじめ設定できる撮影条件設定手段を有する。
この第15の観点におけるX線CT装置では、各部位として求められる画質は、診断用途、操作者の好みなどによりバラツキがあり様々である。このため、各部位の最適な画質を撮影条件設定手段において、あらかじめ、用途、好みなどに応じて変えて登録できると診断する者にとって効率が良い。
第16の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、画像再構成手段が第1部位と第2部位との境界においては、連続的に画質が変化するように画像再構成する。
この第16の観点における放射線断層撮影装置では、各部位のセグメント領域は各々最適な再構成関数または最適な画像フィルタにより画質を最適化されているため、各部位のセグメント領域の境界およびその近傍において画質が不連続に変わる場合があり、画質的に不自然さが残る可能性がある。このため、各部位のセグメント領域の境界において画質を連続的に変化させることにより、各部位のセグメント領域の境界周辺における画質の不自然さを低減することができる。
第17の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、第1部位と第2部位との境界においては、連続的に画質が変化するように加重加算を行う。
この第17の観点における放射線断層撮影装置では、第16の観点における第1部位と第2部位との境界においては、例えば、境界を作る2つのセグメント領域における各々の最適な再構成関数または最適な画像フィルタにより、2種類の画質の画素を画像再構成しておき、この2つの画素を加重加算することにより、連続的に画質が変化するようにしておく。これにより、各部位のセグメント領域の境界においても画質が連続的に変化し、各部位のセグメント領域の境界周辺における画質の不自然さを低減することができる。
第18の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、1画素の大きさを考慮した画像フィルタ処理を行う。
この第18の観点における放射線断層撮影装置では、画像フィルタ処理を行う際、通常の画像フィルタ処理においては三次元画像フィルタ処理として、例えば3×3×3画素、5×5×5画素、7×7×7画素のように、画素単位の大きさの三次元画像フィルタを重畳する。二次元の画像フィルタ、四次元の画像フィルタ、N次元の画像フィルタでもこれは同様である。このため、画像フィルタの対象となる断層像、z方向に連続した断層像からなる三次元画像、時系列に連続しz方向にも連続した断層像からなる四次元画像、これらの画像の1画素の大きさが変化すると、画像フィルタの影響が変わってくる。例えば、平滑化フィルタの場合では、画像フィルタの大きさとその画像フィルタ係数を変化させない状態で画像の1画素の大きさを変化させると、画像フィルタ処理後の空間分解能に変化が出てくる。このため、画像フィルタ処理の効果を一定にさせるために対象となる画像の1画素の大きさが変化しても画像フィルタ処理の効果が変わらないように、画像フィルタの大きさとその画像フィルタ係数を変化させることができる。これにより、断層像の画素の大きさが変化しても画像フィルタ処理の効果を一定にして画質を変化させないようにすることができる。
第19の観点では、本発明の放射線断層撮影装置は、画像再構成手段は、画像移動処理および画像の加重加算処理より1画素の大きさの変化に依存しないようにする。
この第19の観点における放射線断層撮影装置では、画像フィルタ処理を行う際、画像フィルタの対象となる断層像、z方向に連続した断層像からなる三次元画像、時系列に連続しz方向にも連続した断層像からなる四次元画像、これらの画像の1画素の大きさが変化しても、断層像の画素の大きさが変化しても画像フィルタ処理の効果を一定にして画質を変化させないで画像フィルタ処理の効果を一定にさせることが必要である。このために、画像フィルタ処理を実現するために、画像をシフトする画像移動処理により、あらかじめ、この移動量をmm単位などの絶対値量で持っておく。そして、この移動量を画素単位に直す時に1画素の大きさを考慮して、例えば、三次元画像では画像をx方向、y方向、z方向に移動させ、移動された画像を加重加算処理することで実現することができる。この場合に対象となる画像の1画素の大きさが変化しても画像の画素単位の移動量(シフト量)および加重加算係数を変えることで、画像フィルタ処理の効果を一定にして画質を変化させないように画像フィルタ処理を行える。
本発明の放射線断層撮影装置によれば、各種スキャンで得られた投影データを画像再構成する際に、各部位ごとに画質を最適化できる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
(X線CT装置の全体構成)
図1は、本発明の一実施形態にかかるX線CT装置100の構成ブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。
操作コンソール1は、操作者の入力を受け付ける入力装置2と、前処理、画像再構成処理、後処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で収集したX線検出器データを収集するデータ収集バッファ5と、X線検出器データを前処理して求められた投影データから画像再構成した断層像を表示するモニタ6と、プログラムやX線検出器データや投影データやX線断層像を記憶する記憶装置7とを具備している。撮影条件の入力はこの入力装置2から入力され、記憶装置7に記憶される。図2にモニタ6に表示された撮影条件入力画面13Aの例を示す。画面撮影条件入力画面13Aには、所定の入力を行うための入力ボタン13aが表示されている。図2においてはスキャンのタブが選択されている画面である。タブをP−Reconを選択すると図2の下に描かれているように入力用の表示が切り換わる。入力ボタン13aの上方には断層像13bが表示され、下方には再構成領域13cが表示されている。また、必要とあれば右上に表示されているように、生体信号を表示してもよい。
図1に戻り、撮影テーブル10は、被検体を乗せて走査ガントリ20の開口部に出し入れするクレードル12を具備している。クレードル12は撮影テーブル10に内蔵するモータで昇降およびテーブル直線移動される。
走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、ビーム形成X線フィルタ28と、多列X線検出器24と、データ収集装置(DAS:Data Acquisition System)25と、被検体の体軸の回りに回転しているX線管21などを制御する回転部コントローラ26と、制御信号などを前記操作コンソール1や撮影テーブル10とやり取りする制御コントローラ29とを具備している。ビーム形成X線フィルタ28は撮影中心である回転中心に向かうX線の方向にはフィルタの厚さが最も薄く、周辺部に行くに従いフィルタの厚さが増し、X線をより吸収できるようになっているX線フィルタである。このため、円形または楕円形に近い断面形状の被検体の体表面の被曝を少なくできるようになっている。また、走査ガントリ傾斜コントローラ27により、走査ガントリ20はz方向の前方および後方に±約30度ほど傾斜できる。
X線管21と多列X線検出器24は、回転中心ICの回りを回転する。鉛直方向をy方向とし、水平方向をx方向とし、これらに垂直なテーブルおよびクレードル進行方向をz方向とするとき、X線管21および多列X線検出器24の回転平面は、xy平面である。また、クレードル12の移動方向は、z方向である。
図3は、X線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置をxy平面から見た図であり、図4は、X線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置をyz平面から見た図である。X線管21は、コーンビームCBと呼ばれるX線ビームを発生する。コーンビームCBの中心軸方向がy方向に平行なときを、ビュー角度0度とする。多列X線検出器24は、z方向にJ列、例えば256列のX線検出器列を有する。また、各X線検出器列はチャネル方向にIチャネル、例えば1024チャネルのX線検出器チャネルを有する。
図3では、X線管21のX線焦点を出たX線ビームがビーム形成X線フィルタ28により、再構成領域Pの中心ではより多くのX線が、再構成領域Pの周辺部ではより少ないX線が照射される。このようにX線線量を空間的に制御した後に、再構成領域Pの内部に存在する被検体にX線が吸収され、透過したX線が多列X線検出器24でX線検出器データとして収集される。図4では、X線管21のX線焦点を出たX線ビームはX線コリメータ23により断層像のスライス厚方向に制御されて、つまり、回転中心軸ICにおいてX線ビーム幅がDとなるように制御されて、回転中心軸IC近辺に存在する被検体にX線が吸収され、透過したX線は多列X線検出器24でX線検出器データとして収集される。X線が被検体に照射されて収集された投影データは、多列X線検出器24からデータ収集装置25でA/D変換され、スリップリング30を経由してデータ収集バッファ5に入力される。データ収集バッファ5に入力されたデータは、記憶装置7のプログラムにより中央処理装置3で処理され、断層像に画像再構成されてモニタ6に表示される。なお、本実施形態では多列X線検出器24を適用した場合であるが、フラットパネルX線検出器に代表されるマトリクス構造の二次元X線エリア検出器を適用することもできるし、1列のX線検出器を適用することができる。
(X線CT装置の動作フローチャート)
図5は本実施形態のX線CT装置100の動作の概要を示すフローチャートである。
ステップP1では、被検体をクレードル12に乗せ位置合わせを行う。クレードル12の上に乗せられた被検体は各部位の基準点に走査ガントリ20のスライスライト中心位置を合わせる。
ステップP2では、スカウト像(スキャノ像、X線透視像ともいう。)収集を行う。スカウト像は被検体の体の大きさによって成人又は子供の2種類のスカウト像が撮影できるようになっており、さらに通常0度,90度で撮影することができる。部位によっては例えば頭部のように、90度スカウト像のみの場合もある。スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、クレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行う。スカウト像撮影の詳細については図7で後述する。
ステップP3では、スカウト像上に撮影する断層像の位置、大きさを表示しながら撮影条件設定を行う。本実施形態では、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンなどの複数のスキャンパターンを有している。コンベンショナルスキャンとは、クレードル12をZ軸方向に所定ピッチ移動するごとにX線菅21及びX線検出部24を回転させて投影データを取得するスキャン方法である。ヘリカルスキャンとは、X線管21とX線検出部24とが回転している状態でクレードル12を所定速度で移動させ、投影データを取得するスキャン方法である。可変ピッチヘリカルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線菅21及びX線検出部24を回転させながらクレードル12の速度を可変させて投影データを取得するスキャン方法である。ヘリカルシャトルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線菅21及びX線検出部24を回転させながらクレードル12をZ軸方向又は−Z軸方向に往復移動させて投影データを取得するスキャン方法である。これら複数のスキャンを設定する際には1回分の全体としてのX線線量情報の表示を行う。また、シネスキャンにおいては、回転数または時間を入れるとその関心領域における入力された回転数分、または入力された時間分のX線線量情報が表示される。
ステップP4では、断層像撮影を行う。断層像撮影およびその画像再構成の詳細については図7で後述する。ステップP5では、画像再構成された断層像を表示する。ステップP6では、z方向に連続に撮影された断層像を三次元画像として用いて、図6のように三次元画像表示を行う。
図6は、三次元画像表示方法にはボリュームレンダリング三次元画像表示方法40、MIP(Maximum Intensity Projection)画像表示方法41、MPR(Multi Plain Reformat)画像表示方法42を示す。各種の画像表示方法などがあるが、本発明ではどの表示方法も適用でき、診断用途により適宜使い分けることができる。
(断層像撮影およびスカウト像撮影の動作フローチャート)
図7は、本発明のX線CT装置100の断層像撮影およびスカウト像撮影の動作の概略を示すフローチャートである。
ステップS1において、ヘリカルスキャンは、X線管21と多列X線検出器24とを被検体の回りに回転させ、かつ撮影テーブル10上のクレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行う。ビュー角度viewと、検出器列番号jと、チャネル番号iとで表わされるX線検出器データD0(view,j,i)(j=1〜ROW,i=1〜CH)にz方向位置Ztable(view)を付加させて、一定速度の範囲のデータ収集を行う。また、可変ピッチヘリカルスキャンまたはヘリカルシャトルスキャンにおいては、一定速度の範囲のデータ収集に加えて、加速時、減速時においてもデータ収集を行うものとする。また、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンでは撮影テーブル10上のクレードル12をあるz方向位置に固定させたまま、データ収集系を1回転または複数回転させてX線検出器データのデータ収集を行う。必要に応じて、次のz方向位置に移動した後に、再度データ収集系を1回転または複数回転させてX線検出器データのデータ収集を行う。また、スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、撮影テーブル10上のクレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行うものとする。
ステップS2では、X線検出器データD0(view,j,i)に対して前処理を行い、投影データに変換する。図8にステップS2の前処理について具体的な処理を示す。ステップS21ではオフセット補正を行い、ステップS22では対数変換を行い、ステップS23ではX線線量補正を行い、ステップS24では感度補正を行う。スカウト像撮影の場合は、前処理されたX線検出器データをチャネル方向の画素サイズおよびクレードル12の直線移動方向であるz方向の画素サイズを、モニタ6の表示画素サイズに合わせて表示すればスカウト像として完成である。
図7に戻り、ステップS3において、前処理された投影データD1 (view,j,i)に対して、ビームハードニング補正を行う。ステップS3のビームハードニング補正は、前処理S2のステップS24の感度補正が行われた投影データをD1(view,j,i)とし、ステップS3のビームハードニング補正の後のデータをD11(view,j,i)とすると、ビームハードニング補正は以下の(数式1)のように、例えば多項式形式で表わされる。なお、本明細書において乗算演算は、「●」で表してある。
…(数式1)
この時、検出器のj列ごとに独立したビームハードニング補正を行えるため、撮影条件で各データ収集系の管電圧が異なっていれば、列ごとの検出器のX線エネルギー特性の違いを補正できる。
ステップS4では、ビームハードニング補正された投影データD11(view,j,i)に対して、z方向(列方向)のフィルタをかけるzフィルタ重畳処理を行う。すなわち、各ビュー角度、各データ収集系における前処理後、ビームハードニング補正された多列X線検出器D11(view,j,i) (i=1〜CH, j=1〜ROW)の投影データに対し、列方向に例えば下記の(数式2),(数式3)に示すような、列方向フィルタサイズが5列のフィルタをかける。
(w1(i),w2(i),w3(i),w4(i),w5(i)) …(数式2)
ただし、
…(数式3)
補正された検出器データD12(view,j,i)は以下の(数式4)のようになる。
…(数式4)
となる。なお、チャネルの最大値はCH,
列の最大値はROWとすると、
以下の(数式5),(数式6)のようになる。
…(数式5)
…(数式6)
また、列方向フィルタ係数をチャネルごとに変化させると画像再構成中心からの距離に応じてスライス厚を制御できる。一般的に断層像では再構成中心に比べ周辺部の方がスライス厚が厚くなる。このため、フィルタ係数を中心部と周辺部で変化させてスライス厚は周辺部でも画像再構成中心部でも一様にすることもできる。例えば、方向フィルタ係数を中心部チャンネル近辺では列方向フィルタ係数の幅を広く変化させ、周辺部チャンネル近辺では列方向フィルタ係数の幅を狭く変化させると、スライス厚は周辺部でも画像再構成中心部でも一様にすることもできる。
このように、多列X線検出器24の中心部チャネルと周辺部チャネルの列方向フィルタ係数を制御してやることにより、スライス厚も中心部と周辺部で制御できる。列方向フィルタでスライス厚を弱干厚くすると、アーチファクト、ノイズともに大幅に改善される。これによりアーチファクト改善具合、ノイズ改善具合も制御できる。つまり、三次元画像再構成された断層像つまり、xy平面内の画質が制御できる。また、その他の実施形態として列方向(z方向)フィルタ係数を逆重畳(デコンボリューション)フィルタにすることにより、薄いスライス厚の断層像を実現することもできる。
ステップS5では、再構成関数重畳処理を行う。すなわち、投影データを周波数領域に変換する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)をして、再構成関数を掛け、逆フーリエ変換する。再構成関数重畳処理S5では、zフィルタ重畳処理後の投影データをD12とし、再構成関数重畳処理後の投影データをD13、重畳する再構成関数をKernel(j)とすると、再構成関数重畳処理は以下の(数式7)のように表わされる。なお、本明細書において重畳(コンボリューション)演算は、「*」で表してある。
…(数式7)
つまり、再構成関数Kernel(j)は検出器のj列ごとに独立した再構成関数重畳処理を行えるため、列ごとのノイズ特性、分解能特性の違いを補正できる。
ステップS6では、再構成関数重畳処理した投影データD13(view,j,i)に対して、三次元逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y,z)を求める。画像再構成される画像はz軸に垂直な面、xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。この三次元逆投影処理については、図9を参照して後述する。
ステップS7では、逆投影データD3(x,y,z)に対して画像フィルタ重畳、CT値変換などの後処理を行い、断層像D31(x,y,z)を得る。後処理の画像フィルタ重畳処理では、三次元逆投影後の断層像をD31(x,y,z)とし、画像フィルタ重畳後のデータをD32(x,y,z)、断層像平面であるxy平面において重畳される二次元の画像フィルタをFilter(z)とすると、以下の(数式8)のようになる。
…(数式8)
つまり、各z座標位置の断層像ごとに独立した画像フィルタ重畳処理を行えるため、列ごとのノイズ特性、分解能特性の違いを補正できる。
また、この二次元の画像フィルタ重畳処理の後に、下記に示す画像空間z方向フィルタ重畳処理を行ってもよい。また、この画像空間z方向フィルタ重畳処理は二次元画像フィルタ重畳処理の前に行ってもよい。さらには、三次元の画像フィルタ重畳処理を行って、この二次元の画像フィルタ重畳処理と、画像空間z方向フィルタ重畳処理の両方を兼ねるような効果を出してもよい。
画像空間z方向フィルタ重畳処理では、画像空間z方向フィルタ重畳処理された断層像をD33(x,y,z)、二次元の画像フィルタ重畳処理された断層像をD32(x,y,z)とすると、以下の(数式9)のようになる。ただし、v(i)はz方向の幅が21+1の画像空間z方向フィルタ係数で以下の(数式10)のような係数列となる。
…(数式9)
…(数式10)
なお、ヘリカルスキャンにおいては、画像空間フィルタ係数v(i)はz方向位置に依存しない画像空間z方向フィルタ係数であってよい。しかし、特にz方向に検出器幅の広い多列X線検出器24又は二次元X線エリア検出器などを用い、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンをする場合は、画像空間z方向フィルタ係数v(i)はz方向のX線検出器の列の位置に依存した画像空間z方向フィルタ係数を用いるのが好ましい。なぜなら、各断層像の列位置に依存した詳細な調整ができるので効果的であるからである。
(三次元逆投影処理のフローチャート)
図9は、図8のステップS6の詳細を示したもので、三次元逆投影処理のフローチャートである。本実施形態では、画像再構成される画像はz軸に垂直な面、xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。
ステップS61では、断層像の画像再構成に必要な全ビュー(すなわち、360度分のビュー又は「180度分+ファン角度分」のビュー)中の一つのビューに着目し、再構成領域Pの各画素に対応する投影データDrを抽出する。
ここで、図10から図12を使って、投影データDrについて説明する。図10は再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図であり、そのAはxy平面、Bはyz平面を示している。図11はX線検出器面に投影したラインを示す概念図である。図10に示すように、xy平面に平行な512×512画素の正方形の領域を再構成領域Pとし、y=0のx軸に平行な画素列L0,y=63の画素列L63,y=127の画素列L127,y=191の画素列L191,y=255の画素列L255,y=319の画素列L319,y=383の画素列L383,y=447の画素列L447,y=511の画素列L511を列にとる。そして、これらの画素列L0〜L511をX線透過方向に多列X線検出器24の面に投影した図11に示す如きラインT0〜T511上の投影データを抽出すれば、それらが画素列L0〜L511の投影データDr(view,x,y)となる。ただし、x,yは断層像の各画素(x,y)に対応する。
X線透過方向は、X線管21のX線焦点と各画素と多列X線検出器24との幾何学的位置によって決まるが、X線検出器データD0(view,j,i)のz座標z(view)がテーブル直線移動z方向位置Ztable(view)としてX線検出器データに添付されて判っているため、加速・減速中のX線検出器データD0(view,j,i)でもX線焦点、多列X線検出器のデータ収集幾何学系の中において、X線透過方向を正確に求めることができる。
なお、例えば画素列L0をX線透過方向に多列X線検出器24の面に投影したラインT0のように、ラインの一部が多列X線検出器24のチャネル方向の外に出た場合は、対応する投影データDr(view,x,y)を「0」にする。また、z方向の外に出た場合は投影データDr(view,x,y)を補外して求める。
このようにして、図12に示す再構成領域Pの各画素に対応する投影データDr(view,x,y)を抽出できる。
図9に戻り、ステップS62では、投影データDr(view,x,y)にコーンビーム再構成加重係数を乗算し、図13に示す如き投影データD2(view,x,y)を作成する。ここで、コーンビーム再構成加重係数w(i,j)は以下の通りである。ファンビーム画像再構成の場合は、一般に、view=βaでX線管21の焦点と再構成領域P上(xy平面上)の画素g(x,y)とを結ぶ直線がX線ビームの中心軸Bcに対してなす角度をγとし、その対向ビューをview=βbとするとき、以下の(数式11)のようになる。
βb=βa+180°−2γ…(数式11)
再構成領域P上の画素g(x,y)を通るX線ビームとその対向X線ビームが再構成平面Pとなす角度を、αa,αbとすると、これらに依存したコーンビーム再構成加重係数ωa,ωbを掛けて加算し、逆投影画素データD2(0,x,y)を求める。この場合、(数式12)のようになる。
D2(0,x,y)=ωa・D2(0,x,y)_ a+ωb・D2(0,x,y)_ b …(数式12)
ただし、D2(0,x,y)_aはビューβaの逆投影データ、D2(0,x,y)_bはビューβbの逆投影データとする。
なお、コーンビーム再構成加重係数の対向ビーム同士の和は、(数式13)のようになる。
ωa+ωb=1 …(数式13)
コーンビーム再構成加重係数ωa,ωbを掛けて加算することにより、コーン角アーチファクトを低減することができる。
例えば、コーンビーム再構成加重係数ωa,ωbは、次式により求めたものを用いることができる。なお、gaはビューβaの加重係数、gbはビューβbの加重係数である。ファンビーム角の1/2をγmaxとするとき、以下の(数式14)から(数式19)のようになる。
(例えば、q=1とする)
例えば、ga,gbの一例として、max[ ]を値の大きい方を採る関数とすると、以下の(数式20),(数式21)のようになる。
また、ファンビーム画像再構成の場合は、更に距離係数を再構成領域P上の各画素に乗算する。距離係数はX線管21の焦点から投影データDrに対応する多列X線検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点から投影データDrに対応する再構成領域P上の画素までの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。また、平行ビーム画像再構成の場合は、再構成領域P上の各画素にコーンビーム再構成加重係数w(i,j)のみを乗算すればよい。
ステップS63では、予めクリアしておいた逆投影データD3(x,y)に、投影データD2(view,x,y)を画素対応に加算する。図14が投影データD2(view,x,y)を画素対応に加算していくイメージである。ステップS64では、断層像の画像再構成に必要な全ビュー(すなわち、360度分のビュー又は「180度分+ファン角度分」のビュー)について、ステップS61〜S63を繰り返し、画像再構成に必要な全ビューを加算すると、図14の左端の逆投影データD3(x,y)を得ることができる。
以上、図9の三次元逆投影処理のフローチャートは、図10に示す再構成領域Pを正方形512×512画素として説明したものである。しかしこれに限られるものではない。図15は円形の再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図であり、そのAはxy平面、Bはyz平面である。この図15に示すように、再構成領域Pを512×512画素の正方形の領域とせずに、直径512画素の円形の領域としてもよい。
以上のようにして、通常、断層像は画像再構成される。この場合は、各画素を独立に扱っており、特に各画素またはその近傍領域の画質に依存させて抽出した領域、セグメンテーションされた領域ごとに画質を変化させる、または画質を最適化させるような処理は行われていない。
(部位に応じた画質の最適化)
以下の実施例においては、各画素または各画素の近傍領域の画質により各セグメントを各部位として認識させた後に、各部位として最適な画質になるように各部位ごとに最適化された再構成関数、画像フィルタを用いて部位ごとに最適な画質を実現する。以下の2つの実施例は再構成関数または画像フィルタにより各部位ごとに画質を最適化した実施例である。なお、これらの実施例では、頭部又は胸部などの各部位、心臓などの各臓器、または、筋肉、脂肪もしくは臓器などを構成する各組織を、各部位と総称して説明する。
実施例1 : 再構成関数により画質を最適化する実施例。
実施例2 : 画像フィルタにより画質を最適化する実施例。
実施例3 : 再構成関数および画像フィルタにより画質を最適化する実施例。
実施例4 : セグメント領域境界の画質を連続的に変化させる実施例。
実施例5 : 1画素の大きさに依存しない画像フィルタ処理を行う実施例。
図16は、各セグメント領域の画質を再構成関数により最適化する場合の処理のフローチャートであり、再構成関数により画質を最適化する実施例である。本実施例のステップH1からステップH5までは、図7において説明した標準的な画像再構成である。なお、ここでは図7のステップS3のビームハードニング補正、ステップS4のZフィルタ重畳処理は省いてあるが、ビームハードニング補正及びZフィルタ重畳処理を、図16のフローチャートに含めても良い。
ステップH1でデータ収集を行い、ステップH2で前処理を行う。ステップH3で再構成関数重畳を行い、ステップH4で逆投影処理を行い、次いで、ステップH5で後処理を行う。
ステップH5まで処理すると、一度、画像再構成された二次元画像である断層像、z方向に連続する断層像からなる三次元画像、または時系列に連続してz方向に連続した断層像からなる四次元画像を得ることができる。
ステップH6では、各セグメント領域分けを行う。ステップH5で得られた二次元画像、三次元画像又は四次元画像から、1つまたは複数の局所画像特徴量により連続した二次元連続領域、三次元連続領域、四次元連続領域を抽出する。この実施例1では、複数の局所画像特徴量によるz方向に連続した断層像からなる三次元画像からの三次元連続領域を抽出する実施例を示す。図17は、z方向に連続な断層像から作られる三次元画像から、各部位に相当する領域に分けるフローチャートである。
図17のフローチャートを説明すると、ステップD1においては、z方向連続断層像による三次元画像入力を行う。ステップD2においては、局所画像特徴量測定を行う。局所画像特徴量測定を行う際は、三次元画像G(x,y,z)に対して、例えば、以下のような局所領域画像特徴量を用いる。局所画像特徴量をFn(G(x,y,z))と定義する。
(1)注目画素の近傍5×5×5の標準偏差
(2)注目画素の近傍3×3×3の平均画素値(CT値)
(3)注目画素の近傍5×5×5の中央値
(4)注目画素の近傍3×3×3の最大差分絶対値
ここで最大差分絶対値とは、注目画素をP(x,y,z)とするとき、以下の(数式22)で最大値である。
…(数式22)
ただし、a,b,c=±1とする。つまり、近傍領域3×3×3画素の範囲内にある近傍画素と注目画素との絶対値差の最大値になる。なお、上記(1)ないし(4)以外の局所画像特徴量として、1次微分値、2次微分値などを使用することができる。もちろん、上記(1)ないし(4)の一部に1次微分値、2次微分値などを使用してもよい。
局所画像特徴量F1(G(x,y,z)),F2(G(x,y,z)),F3(G(x,y,z)),……FN(G(x,y,z))をN種類求める。なお、局所画像特徴量の種類、近傍画素サイズの大きさ、近傍画素の次元数は本実施例を変形しても同様の効果は得られる。特に近傍画素の次元数は三次元でなくても、二次元でも一次元でも良い。
ステップD3では、2値化を行う。例えば、骨の候補の三次元領域を2値化して出すとすると、以下の(数式23)の一例のように定められた条件を満たす画素を“1”として2値化する。
…(数式23)
これを各部位に閾値FXmin,FXmax(ただし、Xは整数)を定めて2値化領域検出を行い、各部位の候補の三次元領域を2値領域として求める。または、これらの局所画像特徴量ごとに部位ごとの候補の画素が満たすべき必要条件を組合せて、各部位の候補の2値三次元領域を求める。
ステップD4では、三次元論理フィルタによるノイズ除去を行う。2値化された三次元領域の境界面を滑らかにする。または、三次元領域としての孤立点を除去し、不要なラベル領域が三次元連続領域番号付(ラベリング)で発生しないようにする。
図18で、ステップD4の三次元論理フィルタによるノイズ除去の処理の第1例のフローチャートを示す。ステップL1では、収縮用三次元論理フィルタをN回かける、収縮用三次元論理フィルタは1回または複数回かける。ステップL2では、膨張用三次元論理フィルタをN回かける。膨張用一括三次元論理フィルタは1回または複数回かける。ただし、収縮用三次元論理フィルタをかける回数と同じ回数分を、かけるものとする。
図19に三次元論理フィルタを二次元で表示する概念を示す。ここでは、左図にあるように三次元論理フィルタ51を3×3×3のフィルターとする。これをxy平面の二次元に展開すると、右図のように3×3の二次元フィルタ52、二次元フィルタ53及び二次元フィルタ54が第1層から第3層まで並ぶことになる。図19では、注目画素に斜線が描かれているが、図20−1および図20−2ならびに図21−1および図21−2では、注目画素が“1”で表示されている。“X”は“0”または“1”のどちらでもよいものとする。図20−1および図20−2ならびに図21−1および図21−2では、三次元論理フィルタを示している。
図20−1および図20−2に収縮用の三次元論理フィルタの一例を示す。この収縮用の三次元論理フィルタでは、注目画素が“1”の場合に注目画素の近傍画素3×3×3の中に1つでも“0”の画素が存在していたら、その注目画素を“0”にして2値の三次元領域を収縮させるように作られている。なお、注目画素は三次元領域の全画素について走査されて移動する。
また、図21−1および図21−2に膨張用三次元論理フィルタの一例を示す。この膨張用三次元論理フィルタでは、注目画素が“0”の場合に注目画素の近傍画素3×3×3の中に1つでも“1”の画素が存在していたら、その注目画素を“1”にして2値の三次元領域を膨張させるように作られている。なお、注目画素は三次元領域の全画素について走査されて移動する。
これらの収縮用三次元論理フィルタと膨張用三次元論理フィルタは同じ回数かけるようにする。1回でもよいし、複数回でも同じ回数でもよい。収縮用三次元論理フィルタと膨張用三次元論理フィルタをかける回数が多くなるほど、より大きな2値の三次元領域をノイズとして除去することができ、また、2値の三次元領域の突起部分(凸部分)も除去できる。
図22は、三次元論理フィルタによるノイズ除去の第2例のフローチャートである。更に、くぼみ部分(凹部分)も埋めて除去したいのであれば、図22の処理でノイズ除去を行えば良い。
図22では、以下のような処理の流れになる。
ステップL11では、収縮用三次元論理フィルタをN回かける。
ステップL12では、膨張用三次元論理フィルタをN回かける。
ステップL13では、膨張用三次元論理フィルタをM回かける。
ステップL14では、収縮用三次元論理フィルタをM回かける。
ステップL11,ステップL12の処理は、図18のステップL1,ステップL2と同様で良い。例えば、図20−1および図20−2の収縮用三次元論理フィルタ、図21−1および図21−2の膨張用三次元論理フィルタを同様に各々N回かけて用いることができる。更にステップL13では、2値の三次元領域に対して、膨張用三次元論理フィルタをかけて膨張させておき、膨張用三次元論理フィルタと同じ回数だけ収縮用三次元論理フィルタを各々M回かければよい。ただし、M>Nとすること、つまり、MをNより大きくすることにより、くぼみ部分(凹部分)を埋めて除去できる。
このようにして、三次元論理フィルタ51を用いてノイズ除去、および2値の三次元領域の境界面を滑らかにすることができる。なお、本実施例においては、三次元論理フィルタを用いているが、三次元モフォロジフィルタを用いても同様の処理を行うことはできる。または、各領域の面積または体積を測定し、面積や体積の小さい連続領域のみを除去するような処理でも画像ノイズを除去できる。
図17に戻り、ステップD5では、三次元連続領域番号付け(ラベリング)を行う。ステップD3において求められた、部位ごとの候補の三次元領域について各々、三次元連続領域番号付け(三次元ラベリング)を行う。図23に三次元連続領域付け(三次元ラベリングされた各領域)の例を示す。図23は、三次元ラベリング処理により三次元ラベリングされた三次元連続領域の各々が、心臓領域、肺野領域、肝臓領域として認識されている所を示している。つまり、心臓領域として認識された三次元連続領域(三次元ラベリングされた領域)、肺野領域として認識された三次元連続領域(三次元ラベリングされた領域)及び肝臓領域として認識された三次元連続領域(三次元ラベリングされた領域)が三次元連続領域付けされている。このようにして、三次元画像の連続領域の抽出が行える。つまり、各々のセグメント領域の抽出が行える。これにより、図16のステップH6の各セグメント領域分けが実現できる。
次に図16のステップH7では、ステップH6で抽出されたセグメント領域を部位として認識する。図24を使って、抽出された三次元領域のセグメント領域の部位としての認識する実施例を説明する。
図24に三次元画像の連続領域認識(セグメント領域認識)のフローチャートを示す。
ステップD11では、各連続領域の抽出を行う。図17のステップD5において、三次元連続領域番号付(ラベリング)された各連続領域(セグメント領域)を1つずつ抽出した。そして、すべての連続領域(セグメント領域)についてステップD12の処理を行う。
ステップD12では、各連続領域の幾何学的特徴量測定を行う。ステップD11において抽出された三次元連続領域ごとに下記のような幾何学的特徴量を求める。体積もしくは画素数、表面積、平均画素値、画素値和(CT値和、濃度和)、画素値標準偏差、x,y,z方向フェレ径、楕円体率、球形度、xy平面面積率、yz平面面積率、xz平面面積率、三次元1次モーメント、又は三次元2次モーメントなどが幾何学的特徴量となる。なお、各連続領域の幾何学的特徴量は上記のものの一部を用いてもよいし、さらに付け加えても同様の効果を出すことができる。
ステップD13では、各連続領域と各部位の認識を行う。ステップD5において求められた各三次元連続領域の値により、ステップD3で選ばれた部位ごとの条件を満たしているか判断し、ステップD3で選ばれた各部位か否かを認識する。図23に各部位として認識された各領域の例を示す。このように図24の三次元画像の連続領域認識の処理により、三次元画像より複数の局所画像特徴量を用いて、各部位の候補領域である三次元連続領域を抽出し、その三次元領域としての特徴量から、各部位としての判断し認識が行える。
なお、本実施例においては、2値化するステップD3において複数の特徴量の論理式(ステップD3では論理積になっている)を求めて2値化した後に、ステップD4において三次元連続領域番号付(三次元ラベリング)を行っているが、以下のようにしてもよい。
ステップD3において、各々の局所画像特徴量を定められた閾値の範囲で2値化を行っておく。ステップD4において各々の局所画像特徴量の2値化された三次元画像に対して、三次元連続領域番号付(三次元ラベリング)を行って、各々の局所画像特徴量の三次元連続領域番号付(三次元ラベリング)された三次元領域間で論理式(例えば論理積)を求めてもよい。以上により、複数の局所画像特徴量による三次元画像のセグメンテーションが行える。通常のCT値のみを用いた三次元画像のセグメンテーションよりも、より精度良く正しく行える。
図16に戻り、ステップH8では、各部位として認識されたセグメント領域ごとに最適な再構成関数で再構成関数重畳を行い、セグメント領域ごとにマスク処理を行った後に画像を合成する。この場合は、図16のステップH3からステップH8へ点線で接続しているように、ステップH3で求められた高速フーリエ変換(FFT)されたX線投影データを再利用することができる。また、2度目以降の再構成関数と1度目の再構成関数との差分を求めておき、投影データにその差分の再構成関数を重畳し、逆投影した差分の断層像を1度目の画像再構成の断層像に加算することで、2度目以降の画像再構成した断層像が得てもよい。こうすることにより、2度目以降の画像再構成が効率良く行える。
図25に、各部位として認識されたセグメント領域ごとに最適な再構成関数で再構成関数重畳を行い、セグメント領域ごとにマスク処理を行った後に断層像を合成する処理のフローチャートの一例を示す。図26に、このフローチャートの理解を助けるための概念図を示す。図26は、肺野部を撮影した場合の例を示している。この場合は、心臓、肺野、軟部組織、骨の各々のセグメンテーション領域が存在している。これらの各セグメント領域は、図16のステップH8又は図24のステップD13などを経由して、心臓、肺野、軟部組織、骨の部位と認識されている。各々の部位に最適な再構成関数は、心臓の部位には心臓用再構成関数、肺野の部位には肺野用再構成関数、軟部組織の部位には軟部組織用再構成関数(標準再構成関数)、骨の部位には骨用再構成関数が最適とされている。したがって、図26は、これらの4種類の再構成関数を用意した場合の概念図となる。図25のフローチャートでは、各セグメント領域がN個の場合を想定している。
図25のステップR1では、N個のセグメント領域ごとに最適な再構成関数の種類を調べる。再構成関数K1〜KNが使われているものとする。ステップR2では、i=1と設定する。ステップR3では、再構成関数Kiで全体画像を画像再構成し、断層像Iiを求める。ステップR4では、i=Nかを判断し、YESであればステップR6へ行く。また、NOであればステップR5へ行く。ステップR5では、i=i+1とし、ステップR3へ戻る。ステップR2からステップR5までを繰り返すことにより、ステップR1で用意されたN種類の再構成関数に基づいてN種類の断層像を画像再構成する。
図25のステップR1からステップR5までの処理は、図26を参照すると、図26の左欄の図で示した、心臓用再構成関数K1で画像再構成された断層像I1、肺野用再構成関数K2で画像再構成された断層像I2、軟部組織用再構成関数K3で画像再構成された断層像I3、骨用再構成関数K4で画像再構成された断層像I4を求めることに相当する。
図25のステップR6では、各セグメント領域のマスク画像Miを求める。ここでは、各部位の各セグメント領域を抽出してマスク画像Miとする。図26を参照すると、図26の中欄の図で示した、心臓のセグメント領域のみを抽出して心臓用マスク画像M1、肺野のセグメント領域のみを抽出して肺野用マスク画像M2、軟部組織のセグメント領域のみを抽出して軟部組織用マスク画像M3、骨のセグメント領域のみを抽出して骨用マスク画像M4を求めることに相当する。
ステップR7では、各々のセグメント領域の最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを求める。この時に、断層像Iは以下の(数式24)で表わされる。
…(数式24)
なお、∪は論理和(OR)を示し、∩は論理積(AND)とする。図26においては、心臓用再構成関数の断層像I1と心臓用マスク画像M1の論理積、I1∩M1、肺野用再構成関数の断層像I2と肺野用マスク画像M2の論理積、I2∩M2、軟部組織用再構成関数の断層像I3と軟部組織用マスク画像M3の論理積、I3∩M3、骨用再構成関数の断層像I4と骨用マスク画像M4の論理積、I4∩M4、を求める。さらに、これらの論理和を以下の式のように求めて、各々のセグメント領域、つまり各々の部位の最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを以下の(数式25)により求める。
…(数式25)
(数式25)の計算を終わると、図26の右欄の図で示した、各々のセグメント領域が最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを得ることができる。
次に、図16のステップH9に戻り、CT値変換などの後処理を行う。断層像の画像再構成をセグメント領域抽出のために図16のステップH1からステップH5までを行うので、画像再構成回数を1回行っている。さらに、図16のステップH8において、図25のステップR3からステップR5までをN回繰り返すことから理解できるように、N個の各セグメント領域分の回数N回分を行うことになる。したがって、図16に示す、各セグメント領域の画質を再構成関数により最適化するフローチャートでは、画像再構成回数はN+1回となっている。
図16のフローチャートでは、画像再構成回数が多くなり時間がかかることになる。画像再構成が高速に行うために、画像再構成回数が少なくてすむフローチャートを示す。図27に、各部位として認識されたセグメント領域ごとに最適な再構成関数で再構成関数重畳を行い、セグメント領域ごとにマスク処理を行った後に断層像を合成する処理のフローチャートの別例を示す。図28に、このフローチャートの理解を助けるための概念図を示す。図27に示すフローチャートでは、画像再構成回数はセグメント領域抽出用の1回を含めても2回の画像再構成回数となる。
ステップR11では、N個の各セグメント領域を画像再構成領域としてセグメント領域ごとに最適な再構成関数R1〜KNで画像再構成する。図28も図26と同様に、肺野部を撮影した場合の例を示している。この場合は、心臓、肺野、軟部組織、骨の各々のセグメント領域が存在し、各々、心臓、肺野、軟部組織、骨の部位として認識されている。これらを各々の最適な再構成関数で画像再構成する。心臓部分のセグメント領域のみを心臓用再構成関数K1で画像再構成した断層像IS1を、肺野部分のセグメント領域のみを肺野用再構成関数K2で画像再構成した断層像IS2を、軟部組織部分のセグメント領域のみを軟部組織用再構成関数K3で画像再構成した断層像IS3を、骨部分のセグメント領域のみを骨用再構成関数K4で画像再構成した断層像IS4を求める。
ステップR12では、各々のセグメント領域の最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを求める。この時に断層像Iは以下の(数式26)で表わされる。
…(数式26)
なお、∪は論理和(OR)であるとする。つまり、図28の左欄の図に示すように、心臓用再構成関数K1の断層像IS1、肺野用再構成関数K2の断層像IS2、軟部組織用再構成関数K3の断層像IS3、骨用再構成関数K4の断層像IS4、を求める。これらの論理和が、図28の右欄の図に示す各々のセグメント領域が最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iとなる。各々のセグメント領域、つまり各々の部位において最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを以下の(数式27)により求める。
…(数式27)
図27の別例においては、一度画像再構成した画像に対して各々のセグメント領域を抽出し、そのセグメント領域の部位を認識し、各セグメント領域に最適な再構成関数で画像再構成を行った。この2度目以降の画像再構成においては、1度目の画像再構成関数で用いたX線投影データのフーリエ変換されたデータを2度目以降に用いることができる。これにより、2度目以降の画像再構成におけるフーリエ変換を省くことができる。特にフーリエ変換処理に時間がかかる場合は、このような処理データの再利用で全体の画像再構成の高速化が図れる。
さらに、2度目以降の画像再構成においては、1度目の再構成関数と2度目の再構成関数の差をあらかじめ求めておいて、再構成関数の差を逆投影して画像空間上で加算処理を行ってやることにより、データの計算精度を落として処理の高速化が図れる。これらの画像再構成上の処理の工夫を行っても良い。
図26の右欄の図及び図28の右欄の図に描かれた各々のセグメント領域の最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iをより詳述する。
図29は、セグメント領域の最適な再構成関数で画像再構成された断層像を示した図である。図29の上方の図は、被検体の三次元の概念図61であり、そこから得られた断層像62は下方の枠で囲まれた図となる。
心臓は、スライス厚1mmで心臓用再構成関数で画像再構成されており、肺野はスライス厚5mmで肺野用再構成関数で画像再構成されている。さらに、軟部組織は、スライス厚1mmで軟部組織用再構成関数でされており、骨はスライス厚1mmで骨用再構成関数されている。このため、図29の断層像62は、部位ごとに最適な画質となっている。このため、操作者は、部位ごとに再度フィルタをかけたり画像再構成したりして、部位に適した処理をする必要がない。
実施例2は、画像フィルタにより画質を最適化する実施例である。図30は、各セグメント領域の画質を画像フィルタにより最適化する場合の処理のフローチャートである。本実施例においては、ステップH11からステップH15までは図5において説明した標準的な画像再構成である。なお、ここでは図5のステップS3のビームハードニング補正、ステップS4のZフィルタ重畳処理は省いてあるが、ビームハードニング補正及びZフィルタ重畳処理を、図30のフローチャートに含めても良い。
ステップH11ではデータ収集を行い、ステップH12では前処理を行う。ステップH13では再構成関数重畳を行い、ステップH14では逆投影処理を行い、さらに、ステップH15では、後処理を行う。ステップH16では、各セグメント領域分けを行う。これは実施例1の図16のステップH6と同じでよい。また、ステップH17では、各セグメント領域の部位としての認識を行う。実施例1の図16のステップH7と同様で良い。
ステップH18では、各セグメント領域での画像フィルタ処理を行う。図31に、各部位として認識されたセグメント領域ごとに最適な画像フィルタ処理で画像再構成した断層像を合成する処理のフローチャートの一例を示す。図32に、このフローチャートの理解を助けるための概念図を示す。図32は、肺野部を撮影した場合の例を示している。図32においては、肺野部を撮影した場合の例を示している。この場合は心臓、肺野、軟部組織、骨の各々のセグメント領域が存在し、各々心臓、肺野、軟部組織、骨の部位として認識されている。これらを各々最適な画像フィルタを用いて画像フィルタ処理して画像再構成する。
ステップR21では、N個の各セグメント領域S1〜SNを抽出し、その各々のセグメント領域ごとに最適な画像フィルタF1〜FNを調べる。まず、全体の断層像より心臓、肺野、軟部組織、骨のセグメント領域を抽出する。図32の左欄の図がセグメント領域を抽出に該当する。心臓の部位には心臓用画像フィルタ、肺野の部位には肺野用画像フィルタ、軟部組織の部位には軟部組織用画像フィルタ、骨の部位には骨用画像フィルタが最適とされている。したがって、図32は、これらの4種類の画像フィルタを用意した場合の概念図となる。図31のフローチャートでは、各セグメント領域がN個の場合を想定している。
ステップR22では、i=1とする。ステップR23では、各セグメント領域Siごとに最適な画像フィルタFiを重畳し、断層像ISiを求める。ステップR24では、i=Nかを判断し、YESであればステップR26へ、NOであればステップR25へ行く。ステップR25では、i=i+1とし、ステップR23へ戻る。ステップR22からステップR25までを繰り返すことにより、図32を参照すると、ステップR21で抽出された4種類のセグメント領域にステップR21で用意された4種類の画像フィルタを用いて4種類の断層像を画像再構成する。
具体的には図32において、心臓のセグメント領域S1に心臓用画像フィルタF1を重畳した断層像をIS1、肺野のセグメント領域S2に肺野用画像フィルタF2を重畳した断層像をIS2、軟部組織のセグメント領域S3に軟部組織用画像フィルタF3を重畳した断層像をIS3、骨のセグメント領域S4に骨用画像フィルタF4を重畳した断層像をIS4を求めている。ステップR26では、各々のセグメント領域に最適な画像フィルタをかけた画像より画像再構成された断層像Iを求める。この時に断層像Iは以下の(数式28)で表わされる。
…(数式28)
なお、∪は論理和(OR)であるとする。つまり、図32においては、心臓用画像フィルタF1を重畳した心臓のセグメント領域断層像IS1、肺野用画像フィルタF2を重畳した肺野のセグメント領域断層像IS2、軟部組織用画像フィルタF3を重畳した軟部組織のセグメント領域断層像IS3、肺用画像フィルタF4を重畳した骨のセグメント領域断層像IS4を求める。これらの論理和が、図32の右欄の図に示す各々のセグメント領域が最適な画像フィルタで重畳された断層像Iとなる。各々のセグメント領域、つまり各部位において最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを以下の(数式29)により求める。
…(数式29)
その後、図30のステップH19においてCT値変換などの後処理を行う。この実施例2のフローチャートにより、各々のセグメント領域が最適な画像フィルタで重畳された断層像Iを得ることができる。
実施例3は、再構成関数および画像フィルタにより画質を最適化する実施例である。図33は、各セグメント領域の画質を再構成関数および画像フィルタにより最適化する場合の処理のフローチャートである。本実施例においては、ステップH21からステップH25までは図5において説明した標準的な画像再構成である。なお、ここでは図5のステップS3のビームハードニング補正、ステップS4のZフィルタ重畳処理は省いてあるが、ビームハードニング補正及びZフィルタ重畳処理を、図33のフローチャートを含めても良い。
ステップH21ではデータ収集を行い、ステップH22では前処理を行う。ステップH23では再構成関数重畳を行い、ステップH24では逆投影処理を行い、さらに、ステップH25では、後処理を行う。ステップH26では、各セグメント領域分けを行う。これは実施例1の図16のステップH6と同じでよい。また、ステップH27では、各セグメント領域の部位としての認識を行う。実施例1の図16のステップH7と同様で良い。
ステップH28では、各セグメント領域の再構成関数重畳を行う。この場合は、ステップH3で求められた高速フーリエ変換(FFT)されたX線投影データを再利用することができる。ステップH29では、各セグメント領域での画像フィルタ処理を行う。ステップH28およびステップH29の処理を図34及び図35に示す。図34は、各セグメント領域を最適な再構成関数及び最適な画像フィルタで断層像を画像再構成するフローチャートの一例を示す。図35に、このフローチャートの理解を助けるための概念図を示す。図35においては、肺野部を撮影した場合の例を示している。この場合は心臓、肺野、軟部組織、骨の各々のセグメント領域が存在し、各々心臓、肺野、軟部組織、骨の部位として認識されている。これを各々最適な再構成関数、最適な画像フィルタを用いて画像再構成する。心臓の部位には心臓用再構成関数と心臓用画像フィルタ、肺野の部位には肺野用再構成関数と肺野用画像フィルタ、軟部組織の部位には軟部組織用再構成関数と軟部組織用画像フィルタ、骨の部位には骨用再構成関数と骨用画像フィルタが最適とされている。したがって、図35は、これらの4種類の画像フィルタを用意した場合の概念図となる。図34のフローチャートでは、各セグメント領域がN個の場合を想定している。
ステップR31では、N個のセグメント領域S1〜SNごとに最適な再構成関数K1〜KN、最適な画像フィルタF1〜FNを調べる。ステップR32では、i=1とする。ステップR33では、各セグメント領域Siを画像再構成領域として、各セグメント領域Siごとに最適な再構成関数Kiで画像再構成を行い、最適な画像フィルタFiを重畳して断層像ISiを画像再構成する。ステップR34では、i=Nかを判断し、YESであればステップR36へ行き、NOであればステップR35へ行く。ステップR35で、i=i+1とし、ステップR33へ戻ることによりステップR32からステップR35までを繰り返す。図35を参照すると、ステップR31で用意された各々4種類の再構成関数および画像フィルタを用いて、心臓のセグメント領域S1のみを心臓用再構成関数K1で画像再構成し、画像フィルタF1を重畳し、断層像IS1を、肺野のセグメント領域S2のみを肺野用再構成関数K2で画像再構成し、画像フィルタF2を重畳し、断層像IS2を、軟部組織のセグメント領域S3のみを軟部組織用再構成関数K3で画像再構成し、画像フィルタF3を重畳し、断層像IS13を、骨のセグメント領域S4のみを骨用再構成関数K4で画像再構成し、画像フィルタF4を重畳し、断層像IS4を求める。
ステップR36では、各々のセグメント領域に最適な再構成関数Ki、最適な画像フィルタFiを用いて画像再構成された断層像Iを求める。この時に断層像Iは以下の(数式30)で表わされる。
…(数式30)
なお、∪は論理和(OR)であるとする。つまり、図35においては、心臓のセグメント領域S1のみを心臓用再構成関数K1で画像再構成し、画像フィルタF1を重畳し、断層像IS1を求める。また、肺野のセグメント領域S2のみを肺野用再構成関数K2で画像再構成し、画像フィルタF2を重畳し、断層像IS2を求める。また、軟部組織のセグメント領域S3のみを軟部組織用再構成関数K3で画像再構成し、画像フィルタF3を重畳し、断層像IS13を求める。さらに、骨のセグメント領域S4のみを骨用再構成関数K4で画像再構成し、画像フィルタF4を重畳し、断層像IS4を求める。これらの論理和が、図35の右欄の図に示す各々のセグメント領域が最適な再構成関数および最適な画像フィルタで画像再構成された断層像Iとなる。各々のセグメント領域、つまり各部位について最適な再構成関数で画像再構成された断層像Iを以下の(数式31)により求める。
…(数式31)
その後、図33のステップステップH30においてCT値変換などの後処理を行う。この実施例3のフローチャートにより、各々のセグメント領域が最適な画像フィルタで重畳された断層像Iを得ることができる。
実施例1、実施例2又は実施例3においては、図25のステップR7、図27のステップR12、図31のステップR26、又は図34のステップR36のいずれにおいてもセグメント領域の境界および境界近傍の画質を連続的に変化させる点については述べてこなかった。しかし、各部位のセグメント領域は各々最適な再構成関数または最適な画像フィルタにより画質を最適化されているため、各部位のセグメント領域の境界およびその近傍において画質が不連続に変わる場合があり、画質的に不自然さが残る可能性がある。そこで、画質を連続的に変化させる必要が生じる可能性がある。
実施例4においては、セグメント領域境界の画質を連続的に変化させる実施例を示す。本実施例の全体の流れは、図33の実施例3と同様である。本実施例でも実施例3と同様に、ステップH21からステップH25までは図5において説明した標準的な画像再構成である。なお、ここでは図7のステップS3のビームハードニング補正、ステップS4のZフィルタ重畳処理は省いてあるが、これらを含めても良い。
また、ステップH26の各セグメント領域分け、およびステップH27の各セグメント領域の部位としての認識は実施例1のステップH6,ステップH7と同様で良い。ステップH28の各セグメント領域の再構成関数重畳およびステップH29の各セグメント領域の画像フィルタ処理のフローチャートを図36に示す。
図36は、各セグメント領域の境界を連続な画質で最適な再構成関数、最適な画像フィルタで断層像を画像再構成するフローチャートである。また、図37は、このフローチャートの理解を助けるための概念図である。
ステップR41では、各セグメント領域をL画素分膨張させる。各セグメント領域をL画素膨張させることにより、幅2L画素分化各セグメント領域をオーバーラップさせる。
ステップR42では、N個のセグメント領域S1〜SNごとに最適な再構成関数K1〜KN、最適な画像フィルタF1〜FNを調べる。図37においては、肺野部を撮影した場合の例を示している。この場合は心臓、肺野、軟部組織、骨の各々のセグメント領域が存在し、各々心臓、肺野、軟部組織、骨の部位として認識されている。これを各々最適な再構成関数、最適な画像フィルタを用いて画像再構成する。すなわち、心臓の部位には心臓用再構成関数と心臓用画像フィルタ、肺野の部位には肺野用再構成関数と肺野用画像フィルタ、軟部組織の部位には軟部組織用再構成関数と軟部組織用画像フィルタ、骨の部位には骨用再構成関数と骨用画像フィルタが最適とされている。したがって、図37は、これらの4種類の画像フィルタを用意した場合の概念図となる。図36のフローチャートでは、各セグメント領域がN個の場合を想定している。
ステップR43では、i=1とする。ステップR44では、L画素分膨張させた各セグメント領域Siを画像再構成領域としてセグメント領域Siごとに最適な再構成関数Kiで画像再構成を行い、最適な画像フィルタFiを重畳して断層像ISiを画像再構成する。ステップR45では、i=Nかを判断し、YESであればステップR47へ行き、NOであればステップR46へ行く。
ステップR46では、i=i+1とする。ステップR43からステップR46までを繰り返す。図36のステップR41からステップR46までの処理を図37を参照すると次のようになる。ステップR42で用意された各々4種類の再構成関数および画像フィルタを用いて、心臓のセグメント領域S1のみを心臓用再構成関数K1で画像再構成し、画像フィルタF1を重畳し、断層像IS1を求める。また、肺野のセグメント領域S2のみを肺野用再構成関数K2で画像再構成し、画像フィルタF2を重畳し、断層像IS2を求める。また、軟部組織のセグメント領域S3のみを軟部組織用再構成関数K3で画像再構成し、画像フィルタF3を重畳し、断層像IS13を求める。さらに、骨のセグメント領域S4のみを骨用再構成関数K4で画像再構成し、画像フィルタF4を重畳し、断層像IS4を求める。
次に、図36のステップR47では、各々のセグメント領域に最適な再構成関数Ki最適な画像フィルタFiを用いて、画像再構成された断層像ISiに加重加算係数をかけて加重加算を行い断層像Iを求める。この時に断層像Iは以下の(数式32)で表わされる。
…(数式32)
なお、Wiは各部位の加重加算係数である。その後、図33のステップステップH30のように、CT値変換などの後処理を行う。この実施例4のフローチャートにより、各々のセグメント領域の境界を連続な画質で最適な再構成関数、最適な画像フィルタで画像再構成した断層像Iを得ることができる。
つまり、図37を参照すると、心臓の断層像IS1に心臓用の加重加算係数W1を乗算する。また、肺野の断層像IS2に肺野用の加重加算係数W2を乗算する。また、軟部組織の断層像IS13に軟部組織の加重加算係数W3を乗算する。さらに、骨の断層像IS4に骨の加重加算係数W3を乗算する。各セグメント領域の境界を連続な画質で最適な再構成関数、最適な画像フィルタで画像再構成された断層像Iは以下の(数式33)により求まる。
…(数式33)
ここで、図38を使って、図36のステップR47における加重加算について説明する。図38の一番上には肺野部の断層像71が表示されている。その下に心臓部を拡大した断層像72を表示している。拡大した断層像72には、心臓のセグメント領域が実線で表示され、その心臓のセグメント領域をL画素膨張させた領域が鎖線で表示されており、また、肺野のセグメント領域が実線で表示され、その肺野のセグメント領域をL画素膨張させた領域が鎖線で表示されている。拡大した断層像を横切るプロファイルPに合わせて、拡大した断層像72の下方には、各セグメント領域と各加重加算係数とが表示されている。
膨張させた心臓のセグメント領域と心臓の加重加算係数との関係、軟部組織のセグメント領域と軟部組織の加重加算係数との関係、膨張させた肺野のセグメント領域と肺野の加重加算係数との関係が理解できるであろう。拡大した断層像を横切るプロファイルP上において、膨張させた心臓領域に心臓用加重加算係数を乗算し、膨張させた軟部領域に軟部組織用加重加算係数を乗算し、膨張させた肺領域に肺組織用加重加算係数を乗算し、これらを加重加算することで、プロファイルP上の画質は連続的に肺野→軟部組織→心臓→軟部組織→肺野と変化して行く。この一次元のプロファイルPの線上の例を二次元の断層像、三次元の三次元画像、四次元の時系列三次元画像に拡張すれば良い。
実施例2、実施例3及び実施例4においては、画像フィルタ処理を用いている。X線CT装置100においては撮影視野の大きさが変化するに1画素の大きさが変化する。通常の画像フィルタ処理においては三次元画像フィルタ処理として、例えば3×3×3画素、5×5×5画素、7×7×7画素のように、画素単位の大きさの三次元画像フィルタを重畳する。二次元の画像フィルタ、四次元の画像フィルタ、N次元の画像フィルタでもこれは同様である。このため、画像フィルタの対象となる断層像、z方向に連続した断層像からなる三次元画像、時系列に連続しz方向にも連続した断層像からなる四次元画像、これらの画像の1画素の大きさが変化すると、画像フィルタの影響が変わってくる。例えば、平滑化フィルタの場合では、画像フィルタの大きさとその画像フィルタ係数を変化させない状態で画像の1画素の大きさを変化させると、画像フィルタ処理後の空間分解能に変化が出てくる。このため、画像フィルタ処理の効果を一定にさせるために対象となる画像の1画素の大きさが変化しても画像フィルタ処理の効果が変わらないように、画像フィルタの大きさとその画像フィルタ係数を変化させることができる。これにより、断層像の画素の大きさが変化しても画像フィルタ処理の効果を一定にして画質を変化させないようにすることができる。
または画像フィルタ処理をより高速に行うために、画像をシフトする画像移動手段で、あらかじめ、この移動量をmm単位などの絶対値量で持っておく。この移動量を画素単位に直す時に1画素の大きさを考慮して、例えば、三次元画像では画像をx方向、y方向、z方向に移動させておき、移動された画像を加重加算処理することで実現することができる。この場合に対象となる画像の1画素の大きさが変化しても画像の画素単位の移動量(シフト量)および加重加算係数を変えることで、画像フィルタ処理の効果を一定にして画質を変化させないように画像フィルタ処理を行える。例えば、図39の画像フィルタを画像G0(x,y)に重畳するとする。フィルタ重畳後の画像をG1(x,y)とすると、以下の(数式34)となる。
…(数式34)
これを図40のような画像移動と加重加算処理で表わすと以下の(数式35)となる。
…(数式35)
このように、画像フィルタ処理は画像移動処理と加重加算処理と等価であることがわかる。
つまり、X線CT装置100において撮影視野の大きさが変化して、1画素の大きさが変化した場合は、通常のフィルタ処理ではフィルタのマトリクスの大きさを変化させる。または、画像移動処理と加重加算処理でフィルタ処理を実現する場合は、画像移動量を変化させることにより、1画素の大きさの変化に依存しない画像フィルタ処理または、それと等価な処理が実現できる。
以上説明してきたように、X線CT装置100において、各スキャンの各部位として認識されたセグメンテーション領域ごとに画質を最適化できる。
なお、本実施形態における画像再構成法は、従来公知のフェルドカンプ法による三次元画像再構成法でもよい。さらに、他の三次元画像再構成方法でもよい。または二次元画像再構成でも良い。各部位として求められる画質は、診断用途、操作者の好みなどによりバラツキがあり様々である。このため操作者は、各部位の最適な画質を撮影条件設定をあらかじめ設定しておくとよい。例えば心臓用再構成関数K1を設定したり心臓用画像フィルタF1を設定したりして、用途、好みなどに応じて変えて登録できると操作者にとって効率が良い。
本実施形態では、特に特定のスキャン形式に限定されない。つまり、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)、シネスキャン、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンの場合でも同様の効果を出すことができる。また、走査ガントリ20の傾斜について限定されない。すなわち、走査ガントリ20が傾斜した、いわゆるチルト・スキャンの場合でも同様な効果を出すことができる。また、本実施形態を、生体信号、特に心拍信号に同期させて画像再構成する心拍画像再構成にも適用することができる。
また、本実施形態では、列ごとに係数の異なった列方向(z方向)フィルタを重畳することにより、画質のばらつきを調整し、各列において均一なスライス厚、アーチファクト、ノイズの画質を実現している。これには様々なz方向フィルタ係数が考えられるが、いずれも同様の効果を出すことができる。
本実施形態では、医用X線CT装置100を元に書かれているが、産業用X線CT装置または他の装置と組み合わせたX線CT−PET装置,X線CT−SPECT装置などにも利用できる。
本発明の一実施形態にかかるX線CT装置を示すブロック図である。 X線CT装置の撮影条件入力画面を示す図である。 X線発生装置(X線管)および多列X線検出器をxy平面で見た説明図である。 X線発生装置(X線管)および多列X線検出器をyz平面で見た説明図である。 被検体撮影の流れを示すフローチャートである。 三次元画像表示の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るX線CT装置の画像再構成の概略動作を示すフローチャートである。 前処理の詳細を示すフローチャートである。 三次元画像再構成処理の詳細を示すフローチャートである。 再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図である。 X線検出器面に投影したラインを示す概念図である。 投影データDr(view,x,y)を再構成領域上に投影した状態を示す概念図である。 再構成領域上の各画素の逆投影画素データD2を示す概念図である。 逆投影画素データD2を画素対応に全ビュー加算して逆投影データD3を得る状態を示す説明図である。 円形の再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図である。 各セグメント領域の画質を再構成関数により最適化する場合の処理のフローチャートである。 三次元画像の連続領域抽出(セグメント領域抽出)のフローチャートである。 三次元論理フィルタによるノイズ除去の第一例のフローチャートである。 三次元論理フィルタを二次元に展開した概念図である。 二次元に展開した収縮用三次元論理フィルタの概念図である。 二次元に展開した収縮用三次元論理フィルタの概念図である。 二次元に展開した膨張用三次元論理フィルタの概念図である。 二次元に展開した膨張用三次元論理フィルタの概念図である。 三次元論理フィルタによるノイズ除去の第2例のフローチャートである。 三次元連続領域付け(三次元ラベリング)された各領域の概念図である。 三次元画像の連続領域認識(セグメント領域認識)のフローチャートである。 各部位に最適な再構成関数で画像再構成し、各セグメント領域のマスク処理で断層像を求めるフローチャートである。 図25のフローチャートを概念化したもので、各部位に最適な再構成関数で画像再構成し、各セグメント領域のマスク処理で求めた断層像である。 各セグメント領域を最適な再構成関数で画像再構成した断層像を合成するフローチャートである。 図27のフローチャートを概念化したもので、各セグメント領域を最適な再構成関数で画像再構成して合成した断層像である。 セグメンテーション領域ごとに最適化された断層像を示した図である。 各セグメント領域の画質を画像フィルタにより最適化する場合の処理のフローチャートである。 各セグメント領域を最適な画像フィルタで画像再構成した断層像を合成するフローチャートである。 図31のフローチャートを概念化したもので、各セグメント領域を最適な画像フィルタで画像再構成した断層像である。 各セグメント領域の画質を再構成関数および画像フィルタにより最適化する場合の処理のフローチャートである。 セグメント領域を最適な再構成関数、最適な画像フィルタで断層像を画像再構成するフローチャートである。 図34のフローチャートを概念化したもので、各セグメント領域を最適な再構成関数および最適な画像フィルタで画像再構成した断層像である。 各セグメント領域の境界を連続な画質で最適な再構成関数、最適な画像フィルタで断層像を画像再構成するフローチャートである。 図36のフローチャートを概念化したもので、各セグメント領域の境界を連続な画質で最適な再構成関数、最適な画像フィルタで画像再構成した断層像である。 各セグメント領域の加重加算に関する説明図である。 画質を変化させない画像フィルタの一例である。 画像移動の説明図である。
符号の説明
1 … 操作コンソール
2 … 入力装置
3 … 中央処理装置
5 … データ収集バッファ
6 … モニタ
7 … 記憶装置
10 … 撮影テーブル
12 … クレードル
15 … 回転部
20 … 走査ガントリ
21 … X線管
22 … X線コントローラ
23 … コリメータ
24 … 多列X線検出器または二次元X線エリア検出器
25 … データ収集装置(DAS)
26 … 回転部コントローラ
27 … 走査ガントリ傾斜コントローラ
28 … ビーム形成X線フィルタ
29 … 制御コントローラ
30 … スリップリング
51 … 三次元論理フィルタ
62 … セグメント領域の最適な再構成関数で画像再構成された断層像

Claims (9)

  1. 放射線を照射して被検体の所定領域を透過した投影データを収集し、断層像を表示するため画像再構成を行う放射線断層撮影装置において、
    画像再構成された前記断層像において、前記所定領域から、互いに隣接した少なくとも2つの領域を特定し、前記2つの領域をそれぞれ膨張させて、第1部位と第2部位として認識する部位認識手段と、
    前記所定領域を第1の再構成関数で画像再構成した第1の断層像から前記第1部位の断層像を抽出し、前記所定領域を第2の再構成関数で画像再構成した第2の断層像から、前記第2部位の断層像を抽出し、抽出された前記第1部位の断層像と前記第2部位の断層像とを組み合わせた画像であって、前記膨張により形成される前記第1部位の断層像と前記第2部位の断層像との重なり部分においては、前記第1部位の断層像と前記第2部分の断層像の両方を用いた画像を生成する画像再構成手段と
    を有することを特徴とする放射線断層撮影装置。
  2. 前記画像再構成手段は、前記膨張により形成される前記第1部位の断層像と前記第2部位の断層像との重なり部分において、前記第1部位の断層像と前記第2部分の断層像の前記加重加算を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の放射線断層撮影装置。
  3. 前記部位認識手段は、局所領域の画像特徴量を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線断層撮影装置。
  4. 前記局所領域の画像特徴量は、画素のCT値、CT値の標準偏差、又はCT値の平均値、最大値、最小値、中間値、1次微分値もしくは2次微分値のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の放射線断層撮影装置。
  5. 前記部位認識手段は、連続領域を抽出する領域番号付処理を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の放射線断層撮影装置
  6. 前記部位認識手段は、前記領域番号付処理された領域の幾何学的特徴量を用いて認識することを特徴とする請求項5に記載の放射線断層撮影装置。
  7. 前記幾何学的特徴量は、体積もしくは画素数、表面積、平均画素値、画素値和(CT値和、濃度和)、画素値標準偏差、x,y,z方向フェレ径、楕円体率、球形度、xy平面面積率、yz平面面積率、xz平面面積率、三次元1次モーメント、三次元2次モーメントのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載の放射線断層撮影装置。
  8. 前記領域番号付処理は、三次元画像に含まれる二次元画像より連続領域を抽出する二次元領域番号付処理であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の放射線断層撮影装置。
  9. 前記領域番号付処理は、三次元画像より連続領域を抽出する三次元領域番号付処理であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の放射線断層撮影装置。
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