JP2005278690A - コンピュータを用いた3次元胸部ct画像から結節状陰影を検出する方法およびその装置並びにコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な工程で結節状陰影を高精度で検出することが可能な、コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法を提供する。
【解決手段】 コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法において、胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成し11、前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択し13、胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去し12、前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する。偽陽性陰影の除去は、非線形線強調フィルタ処理による血管抽出17、Sobelフィルタを用いたエッジ方向画像を利用した偽陽性の除去18、特徴量分析による偽陽性の除去19などがある。
【選択図】 図1
【解決手段】 コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法において、胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成し11、前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択し13、胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去し12、前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する。偽陽性陰影の除去は、非線形線強調フィルタ処理による血管抽出17、Sobelフィルタを用いたエッジ方向画像を利用した偽陽性の除去18、特徴量分析による偽陽性の除去19などがある。
【選択図】 図1
Description
本発明は、コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法およびその装置並びにコンピュータプログラムに関するものである。
近年、胸部画像診断にはCT画像が広く利用されており、単純X線写真からCTによる診断に移行が進んできている(例えば、特許文献1参照)。また、ヘリカル方式やマルチディテクタを搭載したCT装置が普及し、1検査あたりのスライス画像が、数十枚から数100枚へと増加し、読影する医師の負担が増してきている。そこで、コンピュータを用いて医師による結節状陰影の検出を支援するため、胸部3次元CT画像から自動的に結節状陰影を検出する手法の開発が行われている。
現在、胸部CT画像から自動的に結節状陰影を検出する技術としては、例えば、下記の方法が知られている。まず、癌の候補となる結節状陰影を球モデルとし、血管を円筒モデルのつなぎ合わせてとして、それぞれのサイズなどを変化させたテンプレートを複数作成し、それらのテンプレート画像とCT画像に含まれる陰影とのマッチングを行うことによって結節状陰影と血管陰影とを区別し、結節状陰影を検出する手法がある(非特許文献1参照)。また、様々なサイズの3次元ガウス分布と結節状陰影の相互相関値を計算し、遺伝的モデルによって最適なテンプレートを選択して結節状陰影を検出する手法がある(非特許文献2参照)。そして、肺野領域の閾値処理の後に、ローリングボール法と呼ばれる胸壁部の結節状陰影を検出する手法を用いる方法(非特許文献3参照)がある。これらの他に、血管陰影、結節状陰影、気道陰影をヘシアン行列を用いることによって、選択的に強調する手法(非特許文献4参照)などが知られている。
しかし、これら従来の技術は、胸壁部分の結節状陰影の検出に対して、特別な手法を用いる必要があることや、背景のCT値の変動によって、結節状陰影の検出に影響が出る場合があり、処理工程の煩雑さや精度の問題があった。
特開2001−78996号公報
重本加奈恵、滝沢穂高、山本眞司、中川徹、松本徹、舘野之男、飯沼武、松本満臣、「3次元結節・血管モデルとテンプレートマッチングを用いた胸部X線CT画像からの結節陰影の高速認識」,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,2003年,第21巻,第2号,p.147−155
李鎔範、原武史、藤田広志、「胸部ヘリカルCT画像を用いたシュミレーションによるGAテンプレートマッチング法の評価」,医用画像情報通信学会雑誌,2000年,第17巻,第3号,p.118−129
Yongbum Lee, Takeshi Hara, Hiroshi Fujita, Shigeki Itoh, and Takeo Ishigaki, "Automated Detection of Pulmonary Nodules in Helical CT Images Based on an Improved Template-Matching Technique", IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING, 2001, 20(7), p.595-604
Qiang Li, Shusuke Sone, Kunio Doi, "Selective enhancement filters for nodules,vessels,and air walls in two- and three-dimensional CT scans", Medical Physics, 2003, 30(8), p.2040-2051
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法であって、簡単な工程で結節状陰影を高精度で検出する方法の提供を、その目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の方法は、コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法であって、
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する工程と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する工程と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する工程と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する工程とを含む方法である。
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する工程と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する工程と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する工程と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する工程とを含む方法である。
また、本発明の装置は、3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する装置であって、
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する手段と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する手段と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する手段と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する手段とを含む装置である。
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する手段と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する手段と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する手段と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する手段とを含む装置である。
そして、本発明のプログラムは、前記本発明の方法をコンピュータにおいて実行可能なプログラムである。
前記モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去すると、従来の技術よりもかなりの程度で結節状陰影と血管とを明確にすることができ、この処理画像より偽陽性陰影を除去すれば、高精度で結節状陰影を検出することができる。しかも、前記モルフォロジカルフィルタ処理は、簡単な処理方法である。したがって、本発明によれば、簡単な工程で結節状陰影を高精度で検出することができる。
本発明の方法において、前記モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分を除去する工程は、胸部CTスライスの原画像において、円形カーネルを用いたオープン処理を行い、得られたオープン処理画像を前記原画像から差し引く工程であることが好ましい。
本発明の方法において、前記偽陽性陰影を除去する工程は、特徴量分析による偽陽性陰影の除去工程を含むことが好ましい。前記特徴量分析は、陰影の体積、陰影の球形度、陰影のボクセル値の平均値、陰影のボクセル値の標準偏差、陰影のボクセル値の変動係数、2次中心モーメント、歪度、尖度、陰影のピクセル値の最大値、陰影のピクセル値の最小値および陰影のコントラストからなる群から選択される少なくとも一つの特徴量を算出し、その陰影が偽陽性か否かを判断する分析であることが好ましい。
本発明の方法において、前記偽陽性陰影除去工程は、Sobleフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程を含むことが好ましい。前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程は、胸部CTスライス画像に対しSobelフィルタ処理を行ってエッジ方向画像を作成し、このエッジ方向画像に対して模擬結節状陰影である2次元ガウス分布画像に対しSobelフィルタ処理を行ったエッジ方向画像をテンプレートとして2次元相互相関値を計算し、得られた2次元相互相関値を画像として表し、この画像を閾値処理し、この閾値処理画像と結節状陰影の初期候補との重なりを調べて血管に起因する偽陽性陰影を除去する工程であることが好ましい。前記前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程は、横断面胸部CTスライス画像および矢状面胸部CTスライス画像について実施することが好ましい。
本発明の方法において、前記偽陽性陰影除去工程は、MIP(最大値投影法)処理を行った画像に対し非線形線強調フィルタ処理を行って血管に起因する偽陽性陰影を除去する工程を含むことが好ましい。前記MIP処理は、3枚の胸部CTスライス画像を用いた部分ボリュームデータを作成し、これに対してMIP処理を行う処理であることが好ましい。
本発明の方法において、さらに、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートによる結節状陰影の強調処理を行い、この強調画像に対して閾値処理を行って結節状陰影候補を選択する工程を有することが好ましい。
本発明の装置において、前記モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分を除去する手段は、胸部CTスライスの原画像において、円形カーネルを用いたオープン処理を行い、得られたオープン処理画像を前記原画像から差し引く手段であることが好ましい。
本発明の装置において、前記偽陽性陰影を除去する手段は、特徴量分析による偽陽性陰影の除去手段を含むことが好ましい。前記特徴量分析は、陰影の体積、陰影の球形度、陰影のボクセル値の平均値、陰影のボクセル値の標準偏差、陰影のボクセル値の変動係数、2次中心モーメント、歪度、尖度、陰影のピクセル値の最大値、陰影のピクセル値の最小値および陰影のコントラストからなる群から選択される少なくとも一つの特徴量を算出し、その陰影が偽陽性か否かを判断する分析であることが好ましい。
本発明の装置において、前記偽陽性陰影除去手段は、Sobleフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去手段を含むことが好ましい。前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去手段は、胸部CTスライス画像に対しSobelフィルタ処理を行ってエッジ方向画像を作成し、このエッジ方向画像に対して模擬結節状陰影である2次元ガウス分布画像に対しSobelフィルタ処理を行ったエッジ方向画像をテンプレートとして2次元相互相関値を計算し、得られた2次元相互相関値を画像として表し、この画像を閾値処理し、この閾値処理画像と結節状陰影の初期候補との重なりを調べて血管に起因する偽陽性陰影を除去する手段であることが好ましい。前記前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去は、水平面胸部CTスライス画像および矢状面胸部CTスライス画像について実施することが好ましい。
本発明の装置において、前記偽陽性陰影除去手段は、MIP処理を行った画像に対し非線形線強調フィルタ処理を行って血管に起因する偽陽性陰影を除去する手段を含むことが好ましい。前記MIP処理は、3枚の胸部CTスライス画像を用いた部分ボリュームデータを作成し、これに対してMIP処理を行う処理であることが好ましい。
本発明の装置において、さらに、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートによる結節状陰影の強調処理を行い、この強調画像に対して閾値処理を行って結節状陰影候補を選択する手段を有することが好ましい。
本発明プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
つぎに、本発明の方法の一例について、図面に基き説明する。なお、下記に示す画像、フローチャートおよび機能ブロック図は、本発明の実施における一例であり、これによって本発明はなんら制限されない。
この例の手法のフローチャートを図1に示す。図示のように、この例では、まず、胸部CT画像を読み込む工程11と、肺野領域の不均一なCT値変動(大局的に変化する背景トレンド成分)をモルフォロジカルフィルタ処理に基づく方法で取り除く工程12と、肺野領域抽出工程13と、3次元ゼロサラウンドガウシアンを用いた結節状陰影テンプレート作成工程14と、3次元相互相関法による結節状陰影の強調工程15と、閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ工程16と、非線形線強調フィルタ処理による血管抽出工程17と、Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像を利用した偽陽性の除去工程18と、特徴量分析による偽陽性の除去工程19と、結節状陰影候補の決定の工程20を含む。これらの各工程について、以下、具体的に説明する。
(1) 胸部CTスライス画像の読み込み
胸部CT検査によって得られるCT画像は、図2に示すように,複数の横断スライス画像によって構成される。この例では、図の右側に拡大して表示したスライス画像の矢印の位置に結節状陰影が存在する。このような512×512画素のオリジナルスライス画像に対し、4×4画素の移動平均処理による平滑化を行い、256×256画素に縮小した画像を用いて3次元ボリュームデータを作成することが好ましい。256×256画素に縮小した理由は、画像データベースの結節状陰影のサイズの下限である4.9mmの結節状陰影を検出するために必要十分なマトリクスサイズであることと、不要な高周波成分を減弱するためであり、また、処理に要する時間も短縮されるからである。
胸部CT検査によって得られるCT画像は、図2に示すように,複数の横断スライス画像によって構成される。この例では、図の右側に拡大して表示したスライス画像の矢印の位置に結節状陰影が存在する。このような512×512画素のオリジナルスライス画像に対し、4×4画素の移動平均処理による平滑化を行い、256×256画素に縮小した画像を用いて3次元ボリュームデータを作成することが好ましい。256×256画素に縮小した理由は、画像データベースの結節状陰影のサイズの下限である4.9mmの結節状陰影を検出するために必要十分なマトリクスサイズであることと、不要な高周波成分を減弱するためであり、また、処理に要する時間も短縮されるからである。
(2) モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分除去
次に,肺野内の位置によって異なる平均的な濃度を均一にするためにモルフォロジカルフィルタ処理(オープン処理)による背景トレンド成分除去を行う。この処理により、背景のCT値を一様とし、肺野内の血管や結節状陰影のみを抽出することができる。この処理のフローチャートを図23に示す。図示のように、この処理では、まず、胸部CTスライス原画像231に対し、オープン処理232を行う。オープン処理232は、円形カーネルを用いた最小値フィルタ処理による画像の収縮処理232aと、円形カーネルを用いた最大値フィルタ処理による画像の拡張による背景トレンド画像の生成処理232bとからなる。そして、原画像からオープン処理画像を差し引く処理233を行えば、背景トレンド成分が除去できる。具体的には、例えば、胸部CTスライス原画像に対して直径15画素の円形カーネルを用いた最小値フィルタ処理を行う。この処理によって、使用した円形カーネルよりもサイズの小さな血管や結節状陰影は消滅し、フィルタのサイズよりも大きな陰影は一回り小さく収縮する。次に、最小値フィルタ処理をした画像に対して、収縮した大きな陰影のサイズを元に戻すため、同じカーネルサイズの円形最大値フィルタによって拡張処理を行う。このとき、最小値フィルタ処理によって消滅した陰影は、最大値フィルタ処理を行っても消滅したままである。このように、収縮処理を行った画像に対して拡張処理を行うことをオープン処理という。図3(b)に、図3(a)の原画像に対してオープン処理を行った画像を示す。肺野内の血管陰影や結節状陰影がほぼ消滅し,背景バックグラウンド成分と心臓,およびに肺野外の軟部組織のみが残った画像が得られている。最後に、原画像である胸部CTスライス画像からオープン処理画像を引き算することによって、肺野内の背景トレンド成分を除去することができる。図3(c)に、バックグラウンド成分を取り除いた画像を示す。肺野内の背景が均一化され、血管や結節状陰影がよく描出されているのがわかる。この処理を行うことによって、特に胸壁に接している結節状陰影に対して特別な処理を行うことなしに、結節状陰影を容易に検出することが可能になる。
次に,肺野内の位置によって異なる平均的な濃度を均一にするためにモルフォロジカルフィルタ処理(オープン処理)による背景トレンド成分除去を行う。この処理により、背景のCT値を一様とし、肺野内の血管や結節状陰影のみを抽出することができる。この処理のフローチャートを図23に示す。図示のように、この処理では、まず、胸部CTスライス原画像231に対し、オープン処理232を行う。オープン処理232は、円形カーネルを用いた最小値フィルタ処理による画像の収縮処理232aと、円形カーネルを用いた最大値フィルタ処理による画像の拡張による背景トレンド画像の生成処理232bとからなる。そして、原画像からオープン処理画像を差し引く処理233を行えば、背景トレンド成分が除去できる。具体的には、例えば、胸部CTスライス原画像に対して直径15画素の円形カーネルを用いた最小値フィルタ処理を行う。この処理によって、使用した円形カーネルよりもサイズの小さな血管や結節状陰影は消滅し、フィルタのサイズよりも大きな陰影は一回り小さく収縮する。次に、最小値フィルタ処理をした画像に対して、収縮した大きな陰影のサイズを元に戻すため、同じカーネルサイズの円形最大値フィルタによって拡張処理を行う。このとき、最小値フィルタ処理によって消滅した陰影は、最大値フィルタ処理を行っても消滅したままである。このように、収縮処理を行った画像に対して拡張処理を行うことをオープン処理という。図3(b)に、図3(a)の原画像に対してオープン処理を行った画像を示す。肺野内の血管陰影や結節状陰影がほぼ消滅し,背景バックグラウンド成分と心臓,およびに肺野外の軟部組織のみが残った画像が得られている。最後に、原画像である胸部CTスライス画像からオープン処理画像を引き算することによって、肺野内の背景トレンド成分を除去することができる。図3(c)に、バックグラウンド成分を取り除いた画像を示す。肺野内の背景が均一化され、血管や結節状陰影がよく描出されているのがわかる。この処理を行うことによって、特に胸壁に接している結節状陰影に対して特別な処理を行うことなしに、結節状陰影を容易に検出することが可能になる。
図4(a)および(b)に、それぞれ、マトリクスサイズ512×512のオリジナルCTスライス画像と背景トレンド成分除去を行った画像を示す。矢印部に結節状陰影が存在しているが、トレンド成分を除去した画像では、胸壁に接することなく、孤立陰影として観察される。これらの画像を用いて、単純な閾値処理を行った結果を図5(a)および(b)に、それぞれ示す。図5(a)では、背景のバックグラウンド成分の影響で、下肺野の結節状陰影が血管および胸壁と接して検出されているのに対して、図5(b)では、結節状陰影や血管が明瞭に抽出されていることがわかる。
この手法によって、肺野内の陰影のみが抽出できるので、3次元画像表示の際に多用されているMIP(最大値投影法)を行うための前処理として利用することができる。オリジナルCT画像を用いてMIP処理を行うよりも、血管像の3次元表示が容易になる。また、今回対象としたCT画像のみではなく、MRIや超音波画像など全ての画像に適用できる手法である。
(3) 肺野領域の抽出
肺野領域の抽出のフローチャートを図22に示す。図示のように、肺野領域の抽出処理は、(1)で作成した3次元胸部CT画像221からCT値ヒストグラムを作成する工程222と、ヒストグラムの判別分析で決定した閾値を用いた2値化処理をする工程223と、3次元ラベリングの工程224と、ラベル画像の体積を用いた胸部領域を選択する工程225と、クロージング処理によるラベル画像の穴埋めと辺縁のスムージング処理の工程226とからなる。具体的には、例えば、(1)で作成した3次元CTボリュームデータ(マトリクスサイズ:256×256×スライス画像数)を用いて、図6に示すようなCT値のヒストグラムを求める。そして、そのヒストグラムを用いた判別分析法によって閾値を決定し3次元CT画像を2値化する。さらに、得られた3次元2値画像のラベリングを行った後、個々の陰影の体積を求めることによって、肺野領域のみを抽出する。図7(a)に、抽出された肺野領域を示す。この図に示されているように、単純に閾値処理を行うだけでは、比較的太い血管の領域などに欠損が生じる。このために、3次元2値画像に対してクロージング処理をし、欠損部を埋めて最終的な肺野領域とする。このようにして得られた最終的な肺野領域を、図7(b)に示す。図8は、抽出された肺野領域を2次元モンタージュ画像として示した図である。肺野領域が、ほぼ正確に抽出されていることがわかる。
肺野領域の抽出のフローチャートを図22に示す。図示のように、肺野領域の抽出処理は、(1)で作成した3次元胸部CT画像221からCT値ヒストグラムを作成する工程222と、ヒストグラムの判別分析で決定した閾値を用いた2値化処理をする工程223と、3次元ラベリングの工程224と、ラベル画像の体積を用いた胸部領域を選択する工程225と、クロージング処理によるラベル画像の穴埋めと辺縁のスムージング処理の工程226とからなる。具体的には、例えば、(1)で作成した3次元CTボリュームデータ(マトリクスサイズ:256×256×スライス画像数)を用いて、図6に示すようなCT値のヒストグラムを求める。そして、そのヒストグラムを用いた判別分析法によって閾値を決定し3次元CT画像を2値化する。さらに、得られた3次元2値画像のラベリングを行った後、個々の陰影の体積を求めることによって、肺野領域のみを抽出する。図7(a)に、抽出された肺野領域を示す。この図に示されているように、単純に閾値処理を行うだけでは、比較的太い血管の領域などに欠損が生じる。このために、3次元2値画像に対してクロージング処理をし、欠損部を埋めて最終的な肺野領域とする。このようにして得られた最終的な肺野領域を、図7(b)に示す。図8は、抽出された肺野領域を2次元モンタージュ画像として示した図である。肺野領域が、ほぼ正確に抽出されていることがわかる。
(4) 結節状陰影の強調
図24に、結節状陰影候補の強調処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理では、背景トレンド成分除去画像241に対し、3次元ガウシアン関数による模擬結節状陰影テンプレートを作成する工程242と、3次元相互相関法による結節状陰影の強調工程243からなる。
図24に、結節状陰影候補の強調処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理では、背景トレンド成分除去画像241に対し、3次元ガウシアン関数による模擬結節状陰影テンプレートを作成する工程242と、3次元相互相関法による結節状陰影の強調工程243からなる。
3次元ガウス分布を用いた模擬結節状陰影テンプレートの作成
結節状陰影候補の強調処理のためには、下記のようにして、3次元ガウシアン関数(分布)による模擬結節状陰影テンプレートを作成する必要がある。
結節状陰影候補の強調処理のためには、下記のようにして、3次元ガウシアン関数(分布)による模擬結節状陰影テンプレートを作成する必要がある。
すなわち、まず、検出対象となる結節状陰影は、球形をしている場合が多いため、球形の3次元ガウス分布状のテンプレートを用いて検出する。さらに、孤立した結節状陰影をより効果的に強調するために周囲のゼロ領域も含めた、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートを模擬結節状陰影として使用する。図9に、3次元ガウシアンテンプレート(同図左上)を示し、併せて、横断面(同図右上)、冠状面(同図左下)、矢状面(同図右下)の断面図も示す。なお、同図において、点線は、テンプレートのゼロの領域の範囲を示している。
3次元CT画像では、多くの場合、横断面(x−y平面)における解像度は、0.5mmから0.6mm程度であるのに対して、体軸方向(z方向)の解像度は5mmから10mm程度として撮影されている。したがって、球形のテンプレートを作成する場合には、ボクセルのそれぞれの辺の長さを考慮し、分布が球形になるように作成する。3次元ガウス分布の式を下記式(I)に示す。
(5) 3次元相互相関法による結節状陰影候補の強調
つぎに、背景トレンド成分を除去した256×256×スライス画像数の3次元画像と3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレート画像の相互相関値をテンプレート画像の位置をずらしながら計算することにより、結節状陰影によく似たパターンを選択的に強調する。この計算は、例えば、前記(3)の肺野領域抽出処理で抽出された肺野領域にのみ行う。相互相関値を求める式を、下記式(II)に示す。
つぎに、背景トレンド成分を除去した256×256×スライス画像数の3次元画像と3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレート画像の相互相関値をテンプレート画像の位置をずらしながら計算することにより、結節状陰影によく似たパターンを選択的に強調する。この計算は、例えば、前記(3)の肺野領域抽出処理で抽出された肺野領域にのみ行う。相互相関値を求める式を、下記式(II)に示す。
相互相関値は、テンプレートと全く同じ形状の陰影が存在した場合、1.0に近い値となり、形状がテンプレートと大きく異なる場合は0.0に近い値となる。また、形状は同じで白黒が反転している場合には−1.0となる。その結果、テンプレート画像である模擬結節状陰影に良く似た形状をしたものは、1.0に近い相関値が得られ、血管などのようにテンプレート画像に似ていない形状をしているものは、0.0に近い相関値が得られることになる。図10(a)に、直径6mmの3次元ガウシアンテンプレートを用いて計算した相互相関値の計算結果を示す。矢印の位置にある結節状陰影がよく強調されているが、血管など他の正常構造も強調されているのがわかる。図10(b)は、直径6mmの3次元ガウシアンテンプレートの周囲2.5mmの領域をゼロで包んだテンプレートを用いて計算した相互相関値の計算結果を示す。図10(a)と比較すると、血管の強調が抑えられ、より選択的に結節状陰影が強調されているのがわかる。図10(c)は、直径6mmの3次元ガウシアンテンプレートの周囲5.0mmの領域をゼロで包んだテンプレートを用いて計算した相互相関値の計算結果を示す。結節状陰影は強調されたままで、(b)よりもさらに血管の強調が抑えられる。
(6) 閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ
図25に、閾値処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、結節状陰影強調画像251から、閾値処理のよる2値画像を作成する工程252と、結節状陰影初期候補を決定する工程253からなる。具体的には、前記(5)で得られた結節状陰影強調画像に対して閾値処理をし、結節状候補陰影を2値画像として検出する。ここでは閾値を0.27としたが、これは、2値化して検出された結節状候補陰影と原画像において観察される結節状陰影のサイズがほぼ同程度になるように、経験的に定めた値である。したがって、閾値は、これに限定されず、その他の値を閾値としてもよい。
図25に、閾値処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、結節状陰影強調画像251から、閾値処理のよる2値画像を作成する工程252と、結節状陰影初期候補を決定する工程253からなる。具体的には、前記(5)で得られた結節状陰影強調画像に対して閾値処理をし、結節状候補陰影を2値画像として検出する。ここでは閾値を0.27としたが、これは、2値化して検出された結節状候補陰影と原画像において観察される結節状陰影のサイズがほぼ同程度になるように、経験的に定めた値である。したがって、閾値は、これに限定されず、その他の値を閾値としてもよい。
図11(a)に、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートで得られた相互相関値の画像を示し、図11(b)には閾値処理の結果得られた、結節状候補陰影を示す。図示のように、小さな結節状陰影が矢印の位置に検出されている。なお、多くの偽陽性陰影も含まれているおそれがある場合は、この後の処理で、偽陽性を除去することが好ましい。
(7) Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去
ここでの処理は、偽陽性陰影は血管に起因することが多いため、線状パターンの血管と結節状陰影を区別し、結果を除去する処理である。この処理方法は、本発明者が独自に開発した手法である。Sobelフィルタは、エッジの強さとその方向を出力するフィルタである。ここでは、血管のように、ある一定方向に線状に伸びるパターンにおけるエッジの方向は一定になっていることと、結節状陰影のように丸いパターンの場合は、エッジの方向が陰影の中心に向かって0から359度まで変化することに着眼し、血管に起因する偽陽性を取り除く。
ここでの処理は、偽陽性陰影は血管に起因することが多いため、線状パターンの血管と結節状陰影を区別し、結果を除去する処理である。この処理方法は、本発明者が独自に開発した手法である。Sobelフィルタは、エッジの強さとその方向を出力するフィルタである。ここでは、血管のように、ある一定方向に線状に伸びるパターンにおけるエッジの方向は一定になっていることと、結節状陰影のように丸いパターンの場合は、エッジの方向が陰影の中心に向かって0から359度まで変化することに着眼し、血管に起因する偽陽性を取り除く。
図26に、Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、Sobelフィルタ処理によりエッジ方向画像を作成する工程261と、模擬結節状陰影のエッジ方向テンプレート画像を作成する工程262と、エッジ方向テンプレート画像とエッジ方向画像の2次元相互相関値を計算する工程263と、エッジ方向テンプレート画像と異なる方向パターンを持つ偽陽性陰影を除去する工程264とからなる。
この処理では、処理を単純にするために、2次元スライスCT画像を用いる。図12(a)および(b)に、模擬結節状陰影である2次元ガウス分布とその分布をSobelフィルタで処理して得られた、エッジ方向画像を示す。この図では、角度0度から359度までを黒から白の濃淡によって表現されている。原画像をSobelフィルタ処理して得られたエッジ方向画像図12(c)に対して、図12(b)の方向画像をテンプレートとして2次元相互相関値を計算すると、模擬結節状陰影のエッジ方向分布図12(b)に良く似たエッジ方向分布の所では高い相関値を示し、血管のようにエッジ方向パターンが異なる所では低い相関値を示す。図12(c)の拡大図において、丸く囲んである部分に結節状陰影が存在するが、その方向のパターンは、テンプレートのエッジ方向パターンとよく似ていることがわかる。この手法によって得られた相互相関値を画像として表示したのが、図13(a)である。さらに、この画像を閾値処理したのが図13(b)である。このように、結節状陰影のパターンでは、高い相互相関値が小さな点状の陰影として検出され、血管の場合は、全く検出されないか、または、横に長いパターンとして検出される。そして、この手法で得られた2値画像と結節状陰影の初期候補との重なりを調べることによって、血管に起因する偽陽性陰影を減少することができる。さらに、矢状方向の2次元断面画像についてもSobelフィルタによるエッジ方向パターンを同様に求めて、さらに偽陽性陰影を減少させてもよい。
この手法は、陰影のエッジの方向を利用した手法であるため、陰影のコントラストに依存しない。したがって、早期の淡い肺がん陰影の場合でも、中心のCT値が高く、その周辺では低いという性質があれば、感度よく検出することができる方法である。
図14は、Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去の効果を示している。図14(a)は、3次元相互相関法による結節状陰影候補の強調の過程で得られた初期結節状陰影候補を示しており、図14(b)は,Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去後を示している。この図より、エッジ方向テンプレート画像と異なる方向パターンを持つ偽陽性陰影の除去をする工程264の処理で、多数の偽陽性陰影が除去できることがわかる。
(8) 非線形線強調フィルタによる血管抽出
血管による偽陽性をさらに減少させるために、2次元の非線形の線強調フィルタ(重本加奈恵、滝沢穂高、山本眞司、中川徹、松本徹、舘野之男、飯沼武、松本満臣、「3次元結節・血管モデルとテンプレートマッチングを用いた胸部X線CT画像からの結節陰影の高速認識」,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,2003年,第21巻,第2号,p.147−155参照)を用いた血管陰影の抽出を行った。
血管による偽陽性をさらに減少させるために、2次元の非線形の線強調フィルタ(重本加奈恵、滝沢穂高、山本眞司、中川徹、松本徹、舘野之男、飯沼武、松本満臣、「3次元結節・血管モデルとテンプレートマッチングを用いた胸部X線CT画像からの結節陰影の高速認識」,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,2003年,第21巻,第2号,p.147−155参照)を用いた血管陰影の抽出を行った。
図27に、非線形線強調フィルタによる血管抽出処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、背景トレンド成分除去のMIP(最大値投影法)処理により陰影を抽出する工程271と、前記MIP処理画像を2値化処理する工程272と、非線形線強調フィルタ処理により血管陰影(線パターン)を強調する工程273と、血管に起因する偽陽性陰影を除去する工程274とからなる。
この処理には、図15に示すようなフィルタを用いた。このフィルタは、3本の線状テンプレートを一組とし、12組の角度の異なるテンプレート群で構成されている。同図では、説明のために単純化して、2組の角度(垂直方向と右に45度回転したテンプレート)のみを示している。そして、それぞれのテンプレートにおいて、真ん中のテンプレートに重なる画素値の総和(図中の記号:A)、左のテンプレートの総和(図中の記号:B)、および右のテンプレートの総和(図中の記号:C)を求め、A−BとA−Cの和をテンプレートの長さで割った値としている。[出力値=(2A−B−C)/テンプレートの長さ(A>BかつA>Cの場合)]ただし、Aの値がBまたはCよりも低い場合は、出力値は0としている[出力値=0(A>BかつA>Cの場合以外の場合)]。そして、最終的には、12方向全ての方向のテンプレートからの出力値の最大値をフィルタの出力値としている。このことにより、どのような方向の線パターンでも強調することが可能となっている。
この非線形線強調フィルタは、背景トレンド成分を除去した画像を閾値処理して得られた2値画像図16(a)に対して用いている。その理由は、淡い線パターンでも線として検出が容易にできるようにするためである。こうして得られた線パターンを図16(b)に示す。比較的太い血管が、検出されているのがわかる。この処理によって検出された血管の画像を用いて、結節状陰影と血管に起因する偽陽性を取り除くために用いる。
さらに効果的に血管を検出するため、MIP(maximum intensity projection:最大値投影法)処理を併用する。この処理において、前記(3)で作成した背景バックグランド除去画像を用いる。図8に示されているような肺野領域を含む全てのスライス画像に対して、比較的狭い範囲の上下のスライスを用いた部分ボリュームデータを作成することが好ましい。今回は、3枚のスライス画像を一組としたが、スライス厚に応じてその範囲を決めることができる。その範囲は、例えば、3〜6枚の範囲のスライス画像である、次に、その部分ボリュームデータを用いてMIP処理を行う。前記MIP処理した画像を、図17に示す。この図に示されている上部3枚の画像のうち、図17(b)はMIP処理を行う中心画像、図17(a)がその上部のスライス画像、図17(c)が下部のスライス画像である。図17(d)が、図17(a)から(c)の3枚のスライス画像を用いてMIP処理を行い得られた画像である。この画像には、MIP処理の効果により、個々のスライス画像より多くの血管が1枚のMIP画像に含まれているのがわかる。しかしながら、MIP処理で得られた画像には、血管陰影のみではなく、図17(d)の白い矢印部のように結節状陰影も含まれている場合もある。そこで、図17(d)に示されるMIP画像に対し2値化処理を行い、非線形線強調フィルタ処理をすることにより、線状の血管のみを選択的に強調することが可能となる。この方法を、全ての肺野を含むスライス画像に対して適用することによって、肺野全ての領域の血管陰影を選択的に強調することができる。この方法によって得られたMIP画像図18(a)に対して、非線形線強調フィルタ処理をし、検出された血管像を、図18(b)に示す。図示のように、図16(b)と比較して、さらに多くの血管陰影が選択的に強調されてことがわかる。
(9) 特徴量分析による偽陽性の除去
これまでの処理により、多くの偽陽性陰影が除去されるが、実用的なレベルまで偽陽性を減少させるために、特徴量分析により、さらに偽陽性陰影を除去することが好ましい。図28に、特徴量分析処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、Sobelフィルタ処理で得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性陰影除去後の結節候補陰影を得る工程281と、結節候補陰影の特徴量を計算する工程282と、特徴量の閾値処理により偽陽性陰影を除去する工程233とからなる。なお、特徴量分析は、その特徴量の種類に応じ、計算する画像の種類を適宜選択することが好ましい。下記表1に、特徴量の種類を示す。
これまでの処理により、多くの偽陽性陰影が除去されるが、実用的なレベルまで偽陽性を減少させるために、特徴量分析により、さらに偽陽性陰影を除去することが好ましい。図28に、特徴量分析処理のフローチャートを示す。図示のように、この処理は、Sobelフィルタ処理で得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性陰影除去後の結節候補陰影を得る工程281と、結節候補陰影の特徴量を計算する工程282と、特徴量の閾値処理により偽陽性陰影を除去する工程233とからなる。なお、特徴量分析は、その特徴量の種類に応じ、計算する画像の種類を適宜選択することが好ましい。下記表1に、特徴量の種類を示す。
(表1) 分析に使用した特徴量
1.陰影の体積
2.陰影の球形度
3.陰影毎のボクセルの平均値
4.陰影毎のボクセルの標準偏差
5.陰影毎の変動係数
6.2次中心モーメント
7.歪度(3次中心モーメント)
8.尖度(4次中心モーメント)
9.陰影毎のピクセル値の最大値
10.陰影毎のピクセル値の最小値
11.結節状陰影の最大値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
12.結節状陰影の平均値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
13.陰影毎に含まれる線(ライン)の割合
この例では、前記の特徴量1および2は、図14(b)の2値画像をラベリングし、個々の陰影に対して計算した。特徴量3から12までの特徴量については、原画像、背景バックグランド除去画像、線強調画像、3次元相互相関画像、MIP画像に対して計算し、偽陽性を除去した。特徴量13についてのみ線強調画像に対して計算を行った。以下に個々の特徴量の詳細を示す。
1.陰影の体積
2.陰影の球形度
3.陰影毎のボクセルの平均値
4.陰影毎のボクセルの標準偏差
5.陰影毎の変動係数
6.2次中心モーメント
7.歪度(3次中心モーメント)
8.尖度(4次中心モーメント)
9.陰影毎のピクセル値の最大値
10.陰影毎のピクセル値の最小値
11.結節状陰影の最大値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
12.結節状陰影の平均値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
13.陰影毎に含まれる線(ライン)の割合
この例では、前記の特徴量1および2は、図14(b)の2値画像をラベリングし、個々の陰影に対して計算した。特徴量3から12までの特徴量については、原画像、背景バックグランド除去画像、線強調画像、3次元相互相関画像、MIP画像に対して計算し、偽陽性を除去した。特徴量13についてのみ線強調画像に対して計算を行った。以下に個々の特徴量の詳細を示す。
1. 体積
(6)で作成したラベル番号のついた陰影ごとに体積を立方ミリメートル(mm3)ごとに計測する。この例では、5mmから20mmまでの結節状陰影を検出することを目的し、それよりも極端に小さな陰影か大きな陰影は、偽陽性として除去する。
(6)で作成したラベル番号のついた陰影ごとに体積を立方ミリメートル(mm3)ごとに計測する。この例では、5mmから20mmまでの結節状陰影を検出することを目的し、それよりも極端に小さな陰影か大きな陰影は、偽陽性として除去する。
2. 球形度
結節状陰影は球形に近い形状をしていることから、球形度を求めて偽陽性との区別をした。この例では、文献(Maryellen L. Giger, Kunio Doi and Heber MacMahon, "Automated detection of nodules in peripheral lung fields", Medical Physics, 1998, 15(2), p.158-164)中に定義されている円形度を3次元に拡張したものを用いた。求め方は、個々の陰影ごとに、陰影と同体積の球を陰影の重心を中心として重ね、陰影と球が重なる割合を求めた。完全に球であれば、球形度は1.0となり、陰影が長い場合は、その値が小さくなる傾向がある。したがって、この値が低い陰影は、偽陽性陰影と判断した。
結節状陰影は球形に近い形状をしていることから、球形度を求めて偽陽性との区別をした。この例では、文献(Maryellen L. Giger, Kunio Doi and Heber MacMahon, "Automated detection of nodules in peripheral lung fields", Medical Physics, 1998, 15(2), p.158-164)中に定義されている円形度を3次元に拡張したものを用いた。求め方は、個々の陰影ごとに、陰影と同体積の球を陰影の重心を中心として重ね、陰影と球が重なる割合を求めた。完全に球であれば、球形度は1.0となり、陰影が長い場合は、その値が小さくなる傾向がある。したがって、この値が低い陰影は、偽陽性陰影と判断した。
3.4.5. 平均値、標準偏差、変動係数
特徴量として、陰影ごとにボクセル値の平均値、標準偏差、変動係数を求める。平均値は陰影の平均濃度、標準偏差は陰影の濃度変動、変動係数は、標準偏差を平均値で割ることによって求められ、実質的なデータのバラツキの大きさを評価するのに役立つ。
特徴量として、陰影ごとにボクセル値の平均値、標準偏差、変動係数を求める。平均値は陰影の平均濃度、標準偏差は陰影の濃度変動、変動係数は、標準偏差を平均値で割ることによって求められ、実質的なデータのバラツキの大きさを評価するのに役立つ。
6. 2次中心モーメント
2次中心モーメントは分布の分散(バラツキ)を示す。分散を求めることにより、各陰影の分布の偏りがわかる。分布の分散を表す式を、式(III)に示す。
2次中心モーメントは分布の分散(バラツキ)を示す。分散を求めることにより、各陰影の分布の偏りがわかる。分布の分散を表す式を、式(III)に示す。
7. 歪度(3次中心モーメント)
歪度は、分布のゆがみを表す。これにより、分布の対象性を知ることができる。歪度>0の場合、分布が右に歪んでいることを示し、歪度<0の場合、分布が左に歪んでいることを示し、歪度=0の場合、分布が左右対象であることを示す。その計算を、式(IV)に示す。
歪度は、分布のゆがみを表す。これにより、分布の対象性を知ることができる。歪度>0の場合、分布が右に歪んでいることを示し、歪度<0の場合、分布が左に歪んでいることを示し、歪度=0の場合、分布が左右対象であることを示す。その計算を、式(IV)に示す。
8. 尖度(4次中心モーメント)
尖度は、分布の扁平度を表す値でガウス分布の形状と比較するために用いる。4次モーメントは、分布がガウス分布の時に3になるので、4次モーメントから3を引くことにより、ガウス分布からの尖度Kを求めることができる。模擬結節状陰影をガウス分布を用いて作成したので、結節状陰影とよく似た形状のものは尖度=0となる。血管などの扁平な形状をしたものは尖度<0となる。これを式(V)に示す。
尖度は、分布の扁平度を表す値でガウス分布の形状と比較するために用いる。4次モーメントは、分布がガウス分布の時に3になるので、4次モーメントから3を引くことにより、ガウス分布からの尖度Kを求めることができる。模擬結節状陰影をガウス分布を用いて作成したので、結節状陰影とよく似た形状のものは尖度=0となる。血管などの扁平な形状をしたものは尖度<0となる。これを式(V)に示す。
9.10. 最大値、最小値
特徴量として、陰影ごとのピクセル値の最大値および最小値を求める。
特徴量として、陰影ごとのピクセル値の最大値および最小値を求める。
11.12. 陰影のコントラスト
特徴量として、図19に示すように、陰影の外周から2ピクセル離れた周囲の平均ピクセル値を求め、陰影の最大ピクセル値から減算してコントラストを求める。さらに、陰影の外周から2ピクセル離れた周囲の平均ピクセル値から陰影の平均ピクセル値を減算したコントラストも計算する。
特徴量として、図19に示すように、陰影の外周から2ピクセル離れた周囲の平均ピクセル値を求め、陰影の最大ピクセル値から減算してコントラストを求める。さらに、陰影の外周から2ピクセル離れた周囲の平均ピクセル値から陰影の平均ピクセル値を減算したコントラストも計算する。
13. 陰影毎に含まれる線(ライン)の割合
線強調画像に対し、線として強調されたボクセル数を陰影の体積で割ることにより、陰影ごとに含まれる線の割合の計算する。
線強調画像に対し、線として強調されたボクセル数を陰影の体積で割ることにより、陰影ごとに含まれる線の割合の計算する。
(10) 結節状陰影候補の決定
最終結節状陰影候補の決定は、(6)で検出された初期結節状陰影から、(7)から(9)の分析によって結節状陰影と判断されたものとする。そして、前述の特徴量すべてについて、結節状陰影か偽陽性の決定を行うための閾値を設定し、全ての特徴量が結節状陰影の特徴を持ったときに、その陰影を最終的な結節状陰影と判断する。したがって、いずれか一つでも、偽陽性と分類された場合は、その陰影を偽陽性陰影として除去することになる。
最終結節状陰影候補の決定は、(6)で検出された初期結節状陰影から、(7)から(9)の分析によって結節状陰影と判断されたものとする。そして、前述の特徴量すべてについて、結節状陰影か偽陽性の決定を行うための閾値を設定し、全ての特徴量が結節状陰影の特徴を持ったときに、その陰影を最終的な結節状陰影と判断する。したがって、いずれか一つでも、偽陽性と分類された場合は、その陰影を偽陽性陰影として除去することになる。
図20に、全ての陰影の体積とボクセル値の標準偏差の散布図を示す。図の小さな点で示されているのが偽陽性陰影で、大きい点で示されているのが結節状陰影を表す。このグラフから、体積が極端に大きい陰影か小さい陰影、標準偏差が大きい陰影に、偽陽性陰影が多く含まれることがわかる。この図から、体積と標準偏差に偽陽性陰影を除去するための適切な閾値を決定することができる。このようにして、全ての特徴量に対して閾値を設定した。
閾値設定例として、原画像における(表1)に示す3から12までの閾値の例を下記に示す。
3.陰影毎のボクセルの平均値
13.0≧平均値
平均値≧114.0
平均値≧0.12333×体積+60.0
4.陰影毎のボクセルの標準偏差
1.2≧標準偏差
標準偏差≧28.5
標準偏差≧0.0733×体積+3.0
5.陰影毎の変動係数
0.49≧変動係数
変動係数≧7.0
変動係数≧0.004333×体積+3.0
6.2次中心モーメント
−0.38≧2次中心モーメント
2次中心モーメント≧1.12
2次中心モーメント≧0.0047×体積+0.12
7.歪度(3次中心モーメント)
−1.0≧歪度
歪度≧1.88
歪度≧0.0061×体積−4.7
8.尖度(4次中心モーメント)
14.0≧尖度
尖度≧154.0
尖度≧0.3×体積+40.0
9.陰影毎のピクセル値の最大値
最大値≧78.0
最大値≧0.16833×体積+14.0
10.陰影毎のピクセル値の最小値
0.102≧最小値
最小値≧0.46
最小値≧0.00125×体積+0.15
11.結節状陰影の最大値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
8.0≧コントラスト
コントラスト≧144.0
コントラスト≧0.46666×体積
12.結節状陰影の平均値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
6.8≧コントラスト
コントラスト≧103.0
コントラスト≧0.2216666×体積+30.0
13.0≧平均値
平均値≧114.0
平均値≧0.12333×体積+60.0
4.陰影毎のボクセルの標準偏差
1.2≧標準偏差
標準偏差≧28.5
標準偏差≧0.0733×体積+3.0
5.陰影毎の変動係数
0.49≧変動係数
変動係数≧7.0
変動係数≧0.004333×体積+3.0
6.2次中心モーメント
−0.38≧2次中心モーメント
2次中心モーメント≧1.12
2次中心モーメント≧0.0047×体積+0.12
7.歪度(3次中心モーメント)
−1.0≧歪度
歪度≧1.88
歪度≧0.0061×体積−4.7
8.尖度(4次中心モーメント)
14.0≧尖度
尖度≧154.0
尖度≧0.3×体積+40.0
9.陰影毎のピクセル値の最大値
最大値≧78.0
最大値≧0.16833×体積+14.0
10.陰影毎のピクセル値の最小値
0.102≧最小値
最小値≧0.46
最小値≧0.00125×体積+0.15
11.結節状陰影の最大値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
8.0≧コントラスト
コントラスト≧144.0
コントラスト≧0.46666×体積
12.結節状陰影の平均値とその周囲から2ピクセル目の平均値とのコントラスト
6.8≧コントラスト
コントラスト≧103.0
コントラスト≧0.2216666×体積+30.0
図21に示す画像は、0で包む幅5mmのテンプレートを用いた3次元相互相関法により結節状陰影を強調した例である。図21(a)は、原画像における結節状陰影候補の強調の例を示した図であり、図21(b)は、バックグランド成分除去画像における結節状陰影候補の強調の例を示した図である。原画像をそのまま用いて結節状陰影の強調を行った場合、部分容積効果のために、胸壁付近において図21(a)に示されるような弧線状の偽陽性が表れているのに対し、背景トレンド除去を行った画像を用いた場合、図21(b)に示されるように、胸膜周辺における偽陽性がないことがわかる。このことより、モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分除去する工程333の処理が、結節状陰影検出において非常に効果的で重要であることがわかる。
つぎに、この例の結節状陰影を検出するためのコンピュータを利用した装置の機能ブロックの一例を図29に示す。図示のように、この装置は、3次元胸部CT画像処理・制御部295と、操作入力部292と、データ蓄積部297と、表示処理部306と、モニタ(ディスプレー)307とを主要構成要素とする。
前記3次元胸部CT画像処理・制御部295は、3次元CT画像データ入力部296と、肺野領域選択処理部298と、背景トレンド成分除去処理部299と、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートを用いた結節状陰影の強調処理部302と、3次元Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像の作成部301と、エッジ方向画像による偽陽性除去処理部304と、MIP処理部300と、線強調フィルタ処理による血管陰影の抽出部303と、特徴量分析による偽陽性陰影の除去処理部305を有する。なお、同図の矢印はデータの流れ若しくは処理の流れを示す
前記3次元CT画像データ入力部296は、CT画像読取り装置291と、データ蓄積部297と接続されており、前述の(1)胸部CTスライス画像の読み込み処理を実行する。すなわち、ここでは、前記CT画像読取り装置291からの画像データを受けとり、この画像データを、肺野領域選択処理部298、特徴量分析による偽陽性陰影の除去処理部305に送信し、かつ必要に応じ、データ蓄積部297に送信して、ここでデータを蓄積する。肺野領域選択処理部298では、前述の(3)肺野領域の抽出処理を実行する。背景トレンド成分除去処理部では、前述の(2)モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分除去を実行する。3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートを用いた結節状陰影の強調処理部302は、前述の(4)結節状陰影の強調処理と、(5)3次元相互相関法による結節状陰影候補の強調処理と、(6)閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ処理とを実行する。3次元Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像の作成部301と、エッジ方向画像による偽陽性除去処理部304とは、前述の(7)Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去を実行する。MIP処理部300と、線強調フィルタ処理による血管陰影の抽出部303とは、前述の(8)非線形線強調フィルタによる血管抽出を実行する。特徴量分析による偽陽性陰影の除去処理部305は、前述の(9)特徴量分析による偽陽性の除去と、(10)結節状陰影候補の決定を実行する。そして、決定された結節状陰影候補は、表示処理部306によってモニタ307に表示される。また、これらの制御は、操作入力部292に接続されたキーボード293およびマウス294による操作により行われる。
前記3次元CT画像データ入力部296は、CT画像読取り装置291と、データ蓄積部297と接続されており、前述の(1)胸部CTスライス画像の読み込み処理を実行する。すなわち、ここでは、前記CT画像読取り装置291からの画像データを受けとり、この画像データを、肺野領域選択処理部298、特徴量分析による偽陽性陰影の除去処理部305に送信し、かつ必要に応じ、データ蓄積部297に送信して、ここでデータを蓄積する。肺野領域選択処理部298では、前述の(3)肺野領域の抽出処理を実行する。背景トレンド成分除去処理部では、前述の(2)モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分除去を実行する。3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートを用いた結節状陰影の強調処理部302は、前述の(4)結節状陰影の強調処理と、(5)3次元相互相関法による結節状陰影候補の強調処理と、(6)閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ処理とを実行する。3次元Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像の作成部301と、エッジ方向画像による偽陽性除去処理部304とは、前述の(7)Sobelフィルタで得られたエッジ方向パターンを利用した偽陽性の除去を実行する。MIP処理部300と、線強調フィルタ処理による血管陰影の抽出部303とは、前述の(8)非線形線強調フィルタによる血管抽出を実行する。特徴量分析による偽陽性陰影の除去処理部305は、前述の(9)特徴量分析による偽陽性の除去と、(10)結節状陰影候補の決定を実行する。そして、決定された結節状陰影候補は、表示処理部306によってモニタ307に表示される。また、これらの制御は、操作入力部292に接続されたキーボード293およびマウス294による操作により行われる。
つぎに、この装置のコンピュータシステムの構成例を図30のブロック図に示す。図示のように、このコンピュータシステムは、処理を実行するCPU500、プログラムやデータを記憶するメモリ501、メモリ501またはCPU500で使用するプログラムやデータを蓄積するハードディスク502、データ若しくは画像を表示するモニタ(ディスプレー)503、データまたは命令を入力するキーボード504、CD−ROM等の外部記録媒体受け入れ部505、ネットワークを介してCT装置や他のコンピュータシステム等と通信を行うための通信処理装置506から構成される。本発明の検出方法を、コンピュターシステムで実行するためには、本発明のプログラムをCD−ROMドライブ等505若しくは通信処理装置506を会してハードディスク502にインストールし、プログラムを起動すれば、CPU500によって実行される。
つぎに、この例による結節状陰影の検出を、実際の臨床例に適用した例を示す。用いた臨床例は、40ケースであり、これらのケースに対して、前述の本発明の方法により解析した。用いた結節状陰影を含む胸部3次元CT画像は、GE MEDICAL SYSTEM社製 Hi Speed CT/iとHISPEED−RPのCT装置で撮影されたものである。撮影条件は、スキャンモード:HELICAL MODE、管電圧:140kvと120kv(40例中1例のみ)、再構成関数:STANDARD、スライス画像のマトリクスサイズ:512×512、画素の大きさ:0.585mm〜0.703mm、スライス厚:5mm〜10mm、再構成間隔:5mm〜14mmである。また画像データベースの結節状陰影は、全て確定診断がなされたケースを用い、その直径は4.9mm〜13.2mmである。なお、臨床画像データを用いているため、CT装置や撮影条件は、症例によって異なる。この解析の結果、92.5%の確率で、結節状陰影を検出することができ、そのときの平均偽陽性数は1.45個/スライスであった。
以上のように、本発明は、簡単な工程で結節状陰影を高精度で検出することが可能な、コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法である。したがって、本発明によって検出された結果を、医師が画像診断を行う際に利用することによって、診断に要する時間の短縮をすることが可能になる。また、検出することが困難な淡い陰影の見落としを減少させる効果も期待できる。
11 CT画像の読み込む工程
12 肺野領域の不均一なCT値変動(大局的に変化する背景トレンド成分)をモルフォロジカルフィルタ処理に基づく方法で取り除く工程
13 肺野領域抽出工程
14 3次元ゼロサラウンドガウシアンを用いた結節状陰影テンプレート作成工程
15 3次元相互相関法による結節状陰影の強調工程
16 閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ工程
17 非線形線強調フィルタ処理による血管抽出工程
18 Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像を利用した偽陽性の除去工程
19 特徴量分析による偽陽性の除去工程
20 結節状陰影候補の決定の工程
12 肺野領域の不均一なCT値変動(大局的に変化する背景トレンド成分)をモルフォロジカルフィルタ処理に基づく方法で取り除く工程
13 肺野領域抽出工程
14 3次元ゼロサラウンドガウシアンを用いた結節状陰影テンプレート作成工程
15 3次元相互相関法による結節状陰影の強調工程
16 閾値処理による結節状陰影候補の拾い上げ工程
17 非線形線強調フィルタ処理による血管抽出工程
18 Sobelフィルタ処理を用いたエッジ方向画像を利用した偽陽性の除去工程
19 特徴量分析による偽陽性の除去工程
20 結節状陰影候補の決定の工程
Claims (22)
- コンピュータを用いた3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する方法であって、
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する工程と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する工程と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する工程と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する工程とを含む方法。 - 前記モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分を除去する工程は、胸部CTスライスの原画像において、円形カーネルを用いたオープン処理を行い、得られたオープン処理画像を前記原画像から差し引く工程である請求項1記載の方法。
- 前記偽陽性陰影を除去する工程は、特徴量分析による偽陽性陰影の除去工程を含む請求項1または2記載の方法。
- 前記特徴量分析は、陰影の体積、陰影の球形度、陰影のボクセル値の平均値、陰影のボクセル値の標準偏差、陰影のボクセル値の変動係数、2次中心モーメント、歪度、尖度、陰影のピクセル値の最大値、陰影のピクセル値の最小値および陰影のコントラストからなる群から選択される少なくとも一つの特徴量を算出し、その陰影が偽陽性か否かを判断する分析である請求項3記載の方法。
- 前記偽陽性陰影除去工程は、Sobleフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程を含む請求項1から4のいずれかに記載の方法。
- 前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程は、胸部CTスライス画像に対しSobelフィルタ処理を行ってエッジ方向画像を作成し、このエッジ方向画像に対して模擬結節状陰影である2次元ガウス分布画像に対しSobelフィルタ処理を行ったエッジ方向画像をテンプレートとして2次元相互相関値を計算し、得られた2次元相互相関値を画像として表し、この画像を閾値処理し、この閾値処理画像と結節状陰影の初期候補との重なりを調べて血管に起因する偽陽性陰影を除去する工程である請求項5記載の方法。
- 前記前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去工程を、横断面胸部CTスライス画像および矢状面胸部CTスライス画像について実施する請求項5または6記載の方法。
- 前記偽陽性陰影除去工程は、MIP処理を行った画像に対し非線形線強調フィルタ処理を行って血管に起因する偽陽性陰影を除去する工程を含む請求項1から7のいずれかに記載の方法。
- 前記MIP処理は、3枚の胸部CTスライス画像を用いた部分ボリュームデータを作成し、これに対してMIP処理を行う処理である請求項8記載の方法。
- さらに、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートによる結節状陰影の強調処理を行い、この強調画像に対して閾値処理を行って結節状陰影候補を選択する工程を有する請求項1から9のいずれかに記載の方法。
- 3次元胸部CT画像から結節状陰影を検出する装置であって、
胸部CTスライス画像データから3次元ボリュームデータを作成する手段と、
前記3次元ボリュームデータから肺野領域を選択する手段と、
胸部CTスライス画像において、モルフォロジカルフィルタ処理により背景トレンド成分を除去する手段と、
前記背景トレンド成分除去画像から偽陽性陰影を除去する手段とを含む装置。 - 前記モルフォロジカルフィルタ処理による背景トレンド成分を除去する手段は、胸部CTスライスの原画像において、円形カーネルを用いたオープン処理を行い、得られたオープン処理画像を前記原画像から差し引く手段である請求項11記載の装置。
- 前記偽陽性陰影を除去する手段は、特徴量分析による偽陽性陰影の除去手段を含む請求項11または12記載の装置。
- 前記特徴量分析は、陰影の体積、陰影の球形度、陰影のボクセル値の平均値、陰影のボクセル値の標準偏差、陰影のボクセル値の変動係数、2次中心モーメント、歪度、尖度、陰影のピクセル値の最大値、陰影のピクセル値の最小値および陰影のコントラストからなる群から選択される少なくとも一つの特徴量を算出し、その陰影が偽陽性か否かを判断する分析である請求項13記載の装置。
- 前記偽陽性陰影除去手段は、Sobleフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去手段を含む請求項11から14のいずれかに記載の装置。
- 前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去手段は、胸部CTスライス画像に対しSobelフィルタ処理を行ってエッジ方向画像を作成し、このエッジ方向画像に対して模擬結節状陰影である2次元ガウス分布画像に対しSobelフィルタ処理を行ったエッジ方向画像をテンプレートとして2次元相互相関値を計算し、得られた2次元相互相関値を画像として表し、この画像を閾値処理し、この閾値処理画像と結節状陰影の初期候補との重なりを調べて血管に起因する偽陽性陰影を除去する手段である請求項15記載の装置。
- 前記前記Sobelフィルタ処理によるエッジ方向画像による偽陽性除去を、横断面胸部CTスライス画像および矢状面胸部CTスライス画像について実施する請求項15または16記載の装置。
- 前記偽陽性陰影除去手段は、MIP処理を行った画像に対し非線形線強調フィルタ処理を行って血管に起因する偽陽性陰影を除去する手段を含む請求項11から17のいずれかに記載の装置。
- 前記MIP処理は、3枚の胸部CTスライス画像を用いた部分ボリュームデータを作成し、これに対してMIP処理を行う処理である請求項18記載の装置。
- さらに、3次元ゼロ包囲ガウシアンテンプレートによる結節状陰影の強調処理を行い、この強調画像に対して閾値処理を行って結節状陰影候補を選択する手段を有する請求項11から19のいずれかに記載の装置。
- 請求項1から10のいずれかに記載の方法を、コンピュータにおいて実行可能なプログラム。
- 請求項21記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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