以下、添付図面を参照して、本発明にかかる光ファイバ保護体(以下、単に保護体と称する場合がある)の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明にかかる実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光ファイバ保護体を用いた光ファイバレーザの一構成例を示す模式図である。図1に示すように、この光ファイバレーザ1は、励起光を発振する励起光源群2と、励起光源群2によって発振された複数の励起光を合波するTFB(Tapered Fiber Bundle)3と、TFB3によって合波された励起光をマルチモードで伝搬するダブルクラッドファイバ4と、FBG6aを形成したダブルクラッドファイバ6と、コアに希土類が添加され、増幅媒体として機能するダブルクラッドファイバであるCPF(Cladding Pumped Fiber)8と、FBG10aを形成したSMF10とを有する。この場合、ダブルクラッドファイバ4はダブルクラッドファイバ6の一端に融着接続され、ダブルクラッドファイバ6の他端はCPF8の一端に融着接続され、CPF8の他端はSMF10の一端に融着接続される。このような光ファイバレーザ1は、ダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部を保護する保護体5と、ダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部を保護する保護体7と、CPF8とSMF10との融着接続部を保護する保護体9とを有する。
励起光源群2は、CPF8に添加された希土類元素を励起する励起光を発振する。具体的には、励起光源群2は、所定波長のレーザ光を励起光として発振する複数の励起光源2aを有する。励起光源2aは、所定波長のレーザ光を発振するレーザダイオードを用いて実現され、このレーザ光(すなわち励起光)をマルチモードで伝搬する光ファイバ2bがそれぞれ接続される。例えば、光ファイバレーザ1が1030〜1130nmの範囲内の波長を有するレーザ光を発振する場合、励起光源2aは、910〜980nmの範囲内の波長を有する励起光を発振する。このような複数の励起光源2aは、互いに同じ波長(例えば915nmまたは975nm)のレーザ光を発振する。
TFB3は、光合波器として機能するものであり、励起光源群2によって発振された複数の励起光を一つの光ファイバに合波する。具体的には、TFB3は、上述した複数の光ファイバ2bを低損失でダブルクラッドファイバ4に溶融接続したものである。このようなTFB3は、複数の光ファイバ2bを伝搬してきた複数の励起光をダブルクラッドファイバ4に合波する。この場合、複数の励起光源2aによって発振された複数の励起光は、かかる光ファイバ2bおよびTFB3を介してダブルクラッドファイバ4にマルチモードで入力される。
ダブルクラッドファイバ4は、シングルモードで光を導波する機能とマルチモードで光を導波する機能とを兼ね備えたものである。具体的には、ダブルクラッドファイバ4は、例えば図2に示すように、シングルモードコアとして機能するコア4aと、マルチモードの励起光を導波するコアとしても機能するクラッド4bと、かかるコア4aおよびクラッド4bを被覆する被覆部としても機能するクラッド4cとを有する。この場合、クラッド4bは、コア4aの半径方向に配置され、このコア4aの外周を覆う。クラッド4cは、クラッド4bの半径方向に配置され、このクラッド4aの外周を覆う。また、クラッド4bの屈折率は、コア4aに比して低く、クラッド4cに比して高い。このようなダブルクラッドファイバ4は、TFB3を介して入力された励起光(すなわち励起光源群2によって発振された励起光)をマルチモードで導波し、かかるマルチモードの励起光をダブルクラッドファイバ6に入力する。
ダブルクラッドファイバ6は、上述したダブルクラッドファイバ4とほぼ同様の横断面構造を有し、そのコアにはFBG6aが形成される。FBG6aは、ダブルクラッドファイバ6のコアの屈折率を光の進行方向に沿って周期的に変化させ、これによって所定の波長帯域の光を高い反射率(例えば99%以上の反射率)で反射する。このようなダブルクラッドファイバ6は、上述したダブルクラッドファイバ4を介して入力された所定波長の励起光をマルチモードで伝搬し、かかるマルチモードの励起光をCPF8に入力する。この場合、FBG6aは、かかる所定波長(例えば915nmまたは975nm)の励起光を透過させる。
保護体5は、互いに融着接続したダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する光ファイバ保護体として機能する。具体的には、ダブルクラッドファイバ6の一端は、上述したように、ダブルクラッドファイバ4の端部に融着接続される。保護体5は、かかるダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部を覆うことによって保護し、この融着接続部の破損を防止する。また、保護体5は、この融着接続部から一部漏出するマルチモードの励起光を熱に変換するとともに、このように一部漏出した励起光(漏出励起光)に起因する熱を外部に放散する。これによって、保護体5は、かかる漏出励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持できる。この結果、保護体5は、かかる融着接続部の劣化を防止できる。
CPF8は、光ファイバレーザ1の共振器の増幅媒体として機能する。具体的には、CPF8は、上述したダブルクラッドファイバ4とほぼ同様の横断面構造を有し、そのコアにイットリビウム(Yb)等の希土類元素を添加したものである。このようなCPF8は、ダブルクラッドファイバ6を介して入力されたマルチモードの励起光を導波するとともにコアの希土類元素を励起させ、所定波長の蛍光を発する。例えば、915nmまたは975nmの励起光がCPF8に入力された場合、かかる励起光は、CPF8の内側のクラッドをマルチモードで伝搬し、CPF8のコアを横切る際に、このコア内の希土類元素(例えばYb)を励起状態にする。この場合、1080nmの蛍光が発生する。また、CPF8のコアに添加した希土類元素(例えばYb)は、このように発生した所定波長(例えば1080nm)の光の入力によって誘導放出を行うことができる。すなわち、CPF8は、光ファイバレーザ1の共振器を形成する反射器として機能するFBG6a,10aの間で反射を繰り返す所定波長の光を増幅し、この結果、所定波長(例えば1080nm)のレーザ光が発振する。
なお、このCPF8のコアに添加される希土類元素は、例えば、光ファイバレーザ1が1.55μm帯域(1530〜1565nm)のレーザ光を発振する場合にエルビウムであり、1030〜1130nmの範囲内の波長を有するレーザ光を発振する場合にイットリビウムである。また、かかる希土類元素は、エルビウムおよびイットリビウムを含むもの(Er−Yb)であってもよい。
保護体7は、互いに融着接続したダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する光ファイバ保護体として機能する。具体的には、ダブルクラッドファイバ6の他端は、上述したように、CPF8の一端(励起光入力側の端部)に融着接続される。保護体7は、かかるダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部を覆うことによって保護し、この融着接続部の破損を防止する。また、保護体7は、この融着接続部から一部漏出するマルチモードの励起光を熱に変換するとともに、かかる融着接続部からの漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。これによって、保護体7は、かかる漏出励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持できる。この結果、保護体7は、かかる融着接続部の劣化を防止できる。
SMF10は、シングルモードで光(例えばレーザ光)を導波する光ファイバであり、シングルモードコアと、このシングルモードコアに比して屈折率が低いクラッドとを有する。この場合、かかるクラッドは、このシングルモードコアの外周を覆うように配置される。なお、このクラッドの外周には、このクラッドに比して屈折率が高いポリマー(被覆部材)が配置される。このようなSMF10のコアには、FBG10aが形成される。FBG10aは、SMF10のコアの屈折率を光の進行方向に沿って周期的に変化させ、これによって所定の波長帯域の光を所定の屈折率(例えば90%以下の屈折率)で反射する。このようなFBG10aは、アウトプットカプラとしても機能する。
保護体9は、互いに融着接続したダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を保護する光ファイバ保護体として機能する。具体的には、CPF8の他端(レーザ光出力側の端部)は、上述したように、SMF10の一端に融着接続される。保護体9は、かかるCPF8(すなわちダブルクラッドファイバ)とSMF10との融着接続部を覆うことによって保護し、この融着接続部の破損を防止する。また、保護体9は、この融着接続部から漏出(除外)するマルチモードの残留励起光を熱に変換するとともに、かかる融着接続部から除外した残留励起光に起因する熱を外部に放散する。これによって、保護体9は、かかる残留励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持できる。この結果、保護体9は、かかる融着接続部の劣化を防止できる。
なお、上述したCPF8とCPF8の両側に配置されたFBG6a,10aとによって、光ファイバレーザ1の共振器が形成される。かかる共振器は、励起光源群2によって発振されたマルチモードの励起光が導入された場合、かかる励起光の入力によって所定波長の光を放出する。このように放出された光(自然放出光)は、FBG6a,10aの間で反射を繰り返すとともにCPF8によって増幅される。この結果、かかる共振器は、所定波長のレーザ光を高出力で発振する。例えば、かかる共振器は、915nmまたは975nmの励起光がCPF8に入力された場合、1080nmのレーザ光を例えば10〜100Wの高い出力で発振する。
かかる共振器によって発振されたレーザ光は、FBG10aを透過しつつSMF10をシングルモードで伝搬し、出力端11から出力される。ここで、かかる出力端11に、レーザマーキング装置、医療用レーザメス、または光通信装置等のレーザ光を用いる各種装置を接続することによって、光ファイバレーザ1は、かかる出力端11に接続した装置に好適なレーザ光源として機能する。
つぎに、本発明の実施の形態1にかかる保護体5,7,9の構成について説明する。以下では、まず、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する保護体5,7について説明し、その後、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を保護する保護体9について説明する。
図3は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する実施の形態1の保護体5,7の一構成例を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、保護体5は、互いに融着接続したダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1およびその近傍を収容する溝15aが形成された放熱板15と、かかる融着接続部C1およびその近傍を覆うとともに、これらを溝15a内で固定する透明樹脂16とを有する。
放熱板15は、溝15aの内部に収容されたダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1から一部漏出したマルチモードの励起光(上述した漏出励起光)を吸収するとともに熱に変換し、かかる漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。なお、かかる放熱板15を形成する金属部材は、熱伝導性の高いものであって、例えばアルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材である。その一例として、ステンレス鋼などがあげられる。
かかる放熱板15に形成された溝15aは、例えばダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1を収容する収容溝15dと、かかる融着接続部C1の近傍に位置する両側の光ファイバ被覆部を支持する支持溝15b,15cとからなる。具体的には、支持溝15b,15cは、放熱板15の互いに対向する各縁部に形成され、融着接続部C1を収容溝15d内に収容した場合に、この融着接続部C1の両側の光ファイバ被覆部をそれぞれ支持する。一方、収容溝15dは、放熱板15の縁に対して内側であって支持溝15b,15cの間の領域に形成され、少なくとも融着接続部C1を収容する。この場合、融着接続部C1は、かかる収容溝15dの内壁に対して非接触の状態で収容される。このような収容溝15dの内壁は、光を吸収し易い色(例えば黒色)に着色されることが望ましい。これによって、放熱板15は、例えば融着接続部C1からの漏出励起光を効率的に吸収できるからである。
なお、このようなダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1は、融着接続した際に露出したベアファイバ全体をいう。すなわち、融着接続部C1は、例えばダブルクラッドファイバ4,6を融着接続した際に被覆部材(外側のクラッドを含む)が除外されて露出した双方のベアファイバと、これら双方のベアファイバの接続端部とを含む。また、上述した光ファイバ被覆部は、かかるベアファイバの近傍であって被覆部材によって被覆された部分をいう。
透明樹脂16は、収容溝15dに収容された融着接続部C1と支持溝15b,15cにそれぞれ配置された光ファイバ被覆部とを覆うとともに、かかる融着接続部C1を収容溝15d内に固定し、且つ、かかる光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内に固定する。このような透明樹脂16は、例えばUV硬化樹脂であって、融着接続部C1からの漏出励起光を透過する透明な樹脂である。すなわち、透明樹脂16は、上述した励起光源2aによって発振されるレーザ光の波長(例えば910〜980nmの範囲内の波長)で透明である。この場合、透明樹脂16は、融着接続部C1から漏出した漏出励起光を殆ど吸収しない。したがって、透明樹脂16は、ほぼ発熱せずに漏出励起光を透過させ、放熱板15に吸収させる。
また、透明樹脂16は、融着接続部C1におけるダブルクラッドファイバ4,6のクラッド(例えば図2に例示した内側のクラッド4b)に比して屈折率が低い。したがって、かかるダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1をマルチモードで伝搬する励起光は、このように屈折率が低い透明樹脂16に伝搬せず、この融着接続部C1のクラッド内に閉じ込められる。
なお、ダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部C1を保護する保護体7は、上述した保護体5とほぼ同様に構成される。すなわち図3に示すように、保護体7は、上述した放熱板15と透明樹脂16とを有し、ダブルクラッドファイバ4,6に代えて、ダブルクラッドファイバ6およびCPF8の融着接続部C1を溝15aに収容する。この場合、透明樹脂16は、ダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部C1を覆うとともに融着接続部C1を収容溝15d内に固定し、且つ、かかる融着接続部C1の近傍の各光ファイバ被覆部を覆うとともに、これらを支持溝15b,15c内にそれぞれ固定する。
つぎに、かかる保護体5,7の放熱板15について説明する。図4は、図3に示す方向A1から見た放熱板15の上面を例示する上面模式図である。図5は、図3に示す方向A2から見た放熱板15の側面を例示する側面模式図である。図6は、図3に示す方向A3から見た放熱板15の側断面を例示する側断面模式図である。
図4〜6に示すように、放熱板15の互いに対向する各縁部には上述した支持溝15b,15cがそれぞれ形成され、放熱板15の縁部の内側であって支持溝15b,15cの間の領域には収容溝15dが形成される。具体的には、支持溝15b,15cは、例えばV字状に形成されたV字溝(図5を参照)であり、融着接続部C1近傍の光ファイバ被覆部に比して若干大きい開口幅W1を有する。この場合、支持溝15b,15cは、各底部(すなわちV字形状の各底辺)が一直線上に並ぶように形成される。このような支持溝15b,15cに光ファイバ被覆部を支持させ且つ固定することによって、放熱板15は、弛みおよび曲げが殆ど無い状態で融着接続部C1を収容溝15dの内部に収容できる。
なお、支持溝15b,15cの深さD1は、図6に示すように、光ファイバ被覆部(例えばダブルクラッドファイバ4,6の被覆部)を支持溝15b,15c内に収容できる程度であることが望ましい。このような深さD1の支持溝15b,15cは、光ファイバ被覆部を放熱板15の表面から突出させずに支持することができる。この結果、かかる支持溝15b,15c内に固定された光ファイバ被覆部の破損および劣化を防止することができる。
一方、収容溝15dは、上述した支持溝15b,15cに比して幅広且つ深底に形成される。具体的には、収容溝15dは、図4,6に示すように、支持溝15b,15cの開口幅W1に比して大きい幅W2をなす内壁と、支持溝15b,15cの深さD1に比して大きい深さD2をなす底面とによって形成される。このような幅広且つ深底の収容溝15dに融着接続部C1を形成することによって、放熱板15は、かかる収容溝15dの内壁および底面のいずれに対しても融着接続部C1(すなわちベアファイバ)を接触させずに、この融着接続部C1を収容溝15d内に収容できる。この結果、かかる収容溝15d内に融着接続部C1を収容する際または収容後において、この融着接続部C1の破損および劣化を防止することができる。
つぎに、CPF8とSMF10との融着接続部を保護する保護体9について説明する。図7は、CPF8とSMF10との融着接続部を保護する実施の形態1の保護体9の一構成例を模式的に示す斜視図である。図7に示すように、保護体9は、上述した保護体5,7(図3を参照)の透明樹脂16に代えて高屈折率の透明樹脂17を有する。この場合、保護体9は、例えばダブルクラッドファイバ4,6に代えて、CPF8(すなわちダブルクラッドファイバ)とSMF10との融着接続部C2とその近傍の光ファイバ被覆部とを透明樹脂17によって溝15a内に固定する。その他の構成は図3に例示した保護体5,7と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
透明樹脂17は、上述した透明樹脂16とほぼ同様に、収容溝15dに収容された融着接続部C2と支持溝15b,15cにそれぞれ配置された光ファイバ被覆部とを覆うとともに、かかる融着接続部C2を収容溝15d内で固定し、且つ、かかる光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内で固定する。このような透明樹脂17は、例えばUV硬化樹脂であって、融着接続部C2から漏出(除外)した残留励起光を透過する透明な樹脂である。すなわち、透明樹脂17は、上述した励起光源2aによって発振されるレーザ光の波長(例えば910〜980nmの範囲内の波長)で透明である。この場合、透明樹脂17は、融着接続部C2から漏出した残留励起光を殆ど吸収しない。したがって、透明樹脂17は、ほぼ発熱せずに残留励起光を透過させ、放熱板15に吸収させる。
また、透明樹脂17は、融着接続部C2におけるCPF8およびSMF10のクラッドに比して屈折率が高い。したがって、かかるCPF8とSMF10との融着接続部C2をマルチモードで伝搬する残留励起光は、融着接続部C2(すなわちCPF8またはSMF10のベアファイバ)から高屈折率の透明樹脂17に伝搬する。この結果、かかる残留励起光は、融着接続部C2から除外され、放熱板15に吸収される。
なお、このようなダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2は、上述した融着接続部C1と同様に、融着接続した際に露出したベアファイバ全体をいう。すなわち、融着接続部C2は、CPF8とSMF10とを融着接続した際に被覆部材(外側のクラッドを含む)が除外されて露出した双方のベアファイバと、これら双方のベアファイバの接続端部とを含む。
また、かかる保護部9の放熱板15は、上述した融着接続部C2から除外した残留励起光を吸収するとともに熱に変換し、かかる残留励起光に起因する熱を外部に放散する。この保護部9の放熱板15に形成された支持溝15b,15cは、上述した保護体5,7の場合とほぼ同様に、かかる融着接続部C2の近傍に位置する両側の光ファイバ被覆部を支持する。また、この保護部9の放熱板15に形成された収容溝15dは、上述した保護体5,7の場合とほぼ同様に、内壁および底面に対して非接触の状態で融着接続部C2を収容する。すなわち、かかる保護部9の放熱板15は、上述した保護部5,7の場合とほぼ同様の作用効果を享受する。
つぎに、上述した保護体5,7,9の放熱作用について説明する。図8は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を保護する保護体5,7の放熱作用を説明する断面模式図である。図9は、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2を保護する保護体9の放熱作用を説明する断面模式図である。
図8に示すように、例えばダブルクラッドファイバ4からダブルクラッドファイバ6にマルチモードの励起光が伝搬する場合、融着接続部C1内のベアファイバ接続端部においてマルチモードの励起光が例えば散乱し、かかる融着接続部C1のベアファイバ接続端部からマルチモードの励起光が一部漏出する。保護体5は、かかるダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1から一部漏出した漏出励起光を熱に変換し、この熱を外部に放散する。
具体的には、放熱板15および透明樹脂16は、収容溝15d内に融着接続部C1を覆うことによって外力等から保護し、この融着接続部C1の破損を防止する。また、透明樹脂16は、融着接続部C1内を伝搬するマルチモードの励起光(例えば910〜980nmの範囲内の波長のレーザ光)を双方のベアファイバ内に閉じ込めるとともに、かかる融着接続部C1(具体的には双方のベアファイバの接続端部)から一部漏出した漏出励起光を透過させる。かかる透明樹脂16を透過した漏出励起光は、放熱板15に吸収されるとともに熱に変換される。放熱板15は、このように吸収した熱を外部に放散する。
このような放熱板15と透明樹脂16とを有する保護体5は、かかる漏出励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部C1を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持でき、この結果、融着接続部C1の劣化を防止できる。なお、かかる放熱板15と透明樹脂16とを有する保護体7は、上述した保護体5と同様に、ダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部C1を外力等から保護するとともに、この融着接続部C1からの漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。すなわち、かかる保護体7は、上述した保護体5と同様の作用効果を享受する。このような構成を有する保護体5,7は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を保護するとともに、この融着接続部C1の高い信頼性を長期に亘って維持することができる。
一方、光ファイバレーザ1の共振器によって発振されたレーザ光(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長のレーザ光)がCPF8からSMF10に伝搬する場合、かかるCPF8とSMF10との融着接続部C2内には、かかるレーザ光とともに残留励起光が伝搬する。上述した保護体9は、図9に示すように、かかる融着接続部C2から残留励起光を除外するとともに熱に変換し、この残留励起光に起因する熱を外部に放散する。
具体的には、放熱板15および透明樹脂17は、収容溝15d内に融着接続部C2を覆うことによって外力等から保護し、この融着接続部C2の破損を防止する。また、透明樹脂17は、融着接続部C2内を伝搬するマルチモードの残留励起光をベアファイバから除外する(すなわち融着接続部C2から漏出させる)とともに、かかる融着接続部C2(双方のベアファイバ)から除外した残留励起光を透過させる。かかる透明樹脂17を透過した残留励起光は、放熱板15に吸収されるとともに熱に変換される。放熱板15は、このように吸収した熱を外部に放散する。
このような放熱板15と透明樹脂17とを有する保護体9は、かかる残留励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部C2を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持でき、この結果、融着接続部C2の劣化を防止できる。このような構成を有する保護体9は、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2を保護するとともに、この融着接続部C2の高い信頼性を長期に亘って維持することができる。
例えば、図10に示すように、保護体9によって融着接続部C2が保護されていない状態(保護体無し状態)、すなわち、融着接続部C2のベアファイバ部分が周知の被覆部材のみによって被覆された状態では、光ファイバレーザ1がレーザ光を発振し始めてから約8分後に融着接続部C2において光ファイバが断線し、レーザ光の出力が大幅に低下した。これに対し、保護体9が上述したように融着接続部C2を保護している状態(保護体有り状態)では、光ファイバレーザ1がレーザ光を発振し始めてから5時間が経過した場合であっても、レーザ光の大幅な出力低下が見られず、光ファイバレーザ1の特性は安定していた。この場合、光ファイバレーザ1は、高い信頼性を長期に亘って維持できた。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1では、放熱板に形成した溝内にダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を収容し、かかる融着接続部を透明樹脂によって覆うとともに、この融着接続部を放熱板の溝内に固定するようにし、この融着接続部から一部漏出した漏出励起光がこの透明樹脂を透過して放熱板に吸収され且つ熱に変換されるとともに、かかる漏出励起光に起因する熱を放熱板が外部に放散するように構成した。このため、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部における漏出励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部を適正な温度に維持でき、これによって、かかる融着接続部の劣化を防止できる。この結果、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を外力等から保護してその破損を防止するとともに、かかる融着接続部の高い信頼性を長期に亘って維持できる光ファイバ保護体を実現することができる。
また、かかるダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を覆う透明樹脂の屈折率をこのダブルクラッドファイバのクラッド(具体的には内側のクラッド)に比して低い屈折率にしたので、かかるダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を伝搬するマルチモードの励起光をこの融着接続部のベアファイバ内(すなわちクラッド内)に閉じ込めることができる。この結果、かかる融着接続部における励起光の損失を低減することができる。
さらに、本発明の実施の形態1では、放熱板に形成した溝内にダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を収容し、かかる融着接続部を透明樹脂によって覆うとともに放熱板の溝内に固定するようにし、この融着接続部から除外した残留励起光がこの透明樹脂を透過して放熱板に吸収され且つ熱に変換されるとともに、かかる残留励起光に起因する熱を放熱板が外部に放散するように構成した。このため、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部における残留励起光のパワー密度を低減できるとともに、この融着接続部を適正な温度に維持でき、これによって、かかる融着接続部の劣化を防止できる。この結果、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を外力等から保護してその破損を防止するとともに、かかる融着接続部の高い信頼性を長期に亘って維持できる光ファイバ保護体を実現することができる。
また、かかるダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を覆う透明樹脂の屈折率をこのダブルクラッドファイバおよびSMFのクラッドに比して高い屈折率にしたので、かかるダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を伝搬する残留励起光をこの融着接続部のベアファイバから漏出させる(すなわち除外する)ことができる。この結果、かかる融着接続部の下流側のSMFに残留励起光が伝搬することを防止できる。
さらに、かかる放熱板に形成した溝内に透明樹脂を流入することによって、上述した融着接続部およびその近傍の光ファイバ被覆部を被覆するとともに溝内に固定できるので、融着接続した双方の光ファイバの外径に合わせて被覆部材を融着接続部に再度被覆する従来のリコート作業に比して、融着接続部を容易にリコートできる。
本発明の実施の形態1にかかる光ファイバ保護体をダブルクラッドファイバ同士の融着接続部またはダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部に設けることによって、長期間に亘ってレーザ発振特性を安定化し、高い信頼性を長期間維持できる光ファイバレーザを実現することができる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2にかかる光ファイバ保護体は、上述した実施の形態1にかかる光ファイバ保護体の放熱板15に、支持溝15b,15cおよび収容溝15dを覆う蓋をさらに取り付け、かかる蓋からも熱を放散するように構成している。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる光ファイバ保護体を用いた光ファイバレーザの一構成例を示す模式図である。図11に示すように、この光ファイバレーザ20は、上述した実施の形態1の光ファイバレーザ1の保護体5に代えて保護体25を有し、保護体7に代えて保護体27を有し、保護体9に代えて保護体29を有する。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
保護体25は、上述した実施の形態1にかかる保護体5とほぼ同様にダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部を保護するものであり、保護体27は、上述した実施の形態1にかかる保護体7とほぼ同様にダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部を保護するものである。一方、保護体29は、上述した実施の形態1にかかる保護体9とほぼ同様にCPF8とSMF10との融着接続部を保護するものである。
図12は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する実施の形態2の保護体25,27の一構成例を模式的に示す斜視図である。図13は、図12に示す方向A3から見た保護体25,27の側断面を例示する側断面模式図である。図12,13に示すように、この実施の形態2にかかる保護体25,27は、支持溝15b,15cおよび収容溝15dを覆う蓋18が放熱板15にさらに取り付けられる。その他の構成は実施の形態1にかかる保護体5,7と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
蓋18は、例えばアルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材によって形成される。その一例として、ステンレス鋼などがあげられる。蓋18は、透明樹脂16を用いてダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を収容溝15d内に固定し且つ融着接続部C1近傍の光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内に固定した状態の放熱板15に対し、かかる収容溝15dおよび支持溝15b,15cを覆う態様で取り付けられる。この場合、蓋18は、例えば図13に示すように、ネジ19を用いて放熱板15に固定される。
このような蓋18は、融着接続部C1とその近傍の光ファイバ被覆部とを収容溝15dと支持溝15b,15cとにそれぞれ閉じ込めるとともに、かかる融着接続部C1から漏出した漏出励起光を吸収して熱に変換し、この熱を外部に放散する。この場合、融着接続部C1を収容溝15d内に閉じ込めるとともに融着接続部C1近傍の光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内に閉じ込めた放熱板15と蓋18とは、かかる融着接続部C1およびその近傍の光ファイバ被覆部とこれらを覆った透明樹脂16とを外力等から保護し、これらの破損を防止する。また、このように放熱板15に取り付けられた蓋18は、融着接続部C1またはこれを覆う透明樹脂16が収容溝15dから剥離することを防止し、且つ、融着接続部C1近傍の光ファイバ被覆部またはこれを覆う透明樹脂16が支持溝15b,15cから剥離することを防止する。
なお、収容溝15dに対面する側の蓋18の表面は、光を吸収し易い色(例えば黒色)に着色されることが望ましい。これによって、蓋18は、例えば融着接続部C1からの漏出励起光を効率的に吸収できるからである。
一方、保護体29は、CPF8(すなわちダブルクラッドファイバ)とSMF10との融着接続部C2を溝15a内に固定した状態の放熱板15に蓋18がさらに取り付けられたものである。図14は、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部を保護する実施の形態2の保護体29の一構成例を示す側断面模式図である。図14に示すように、この実施の形態2にかかる保護体29は、上述した保護体25,27とほぼ同様に、支持溝15b,15cおよび収容溝15dを覆う蓋18が放熱板15にさらに取り付けられる。その他の構成は実施の形態1にかかる保護体9と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
この保護体29の蓋18は、透明樹脂17を用いてCPF8とSMF10との融着接続部C2を収容溝15d内に固定し且つ融着接続部C2近傍の光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内に固定した状態の放熱板15に対し、かかる収容溝15dおよび支持溝15b,15cを覆う態様で取り付けられる。この場合、かかる保護体29の蓋18は、上述した保護体25,27と同様に、例えばネジ19を用いて放熱板15に固定される(図12を参照)。
かかる保護体29の蓋18は、融着接続部C2とその近傍の光ファイバ被覆部とを収容溝15dと支持溝15b,15cとにそれぞれ閉じ込めるとともに、かかる融着接続部C2から除外した残留励起光を吸収して熱に変換し、この熱を外部に放散する。この場合、融着接続部C2を収容溝15d内に閉じ込めるとともに融着接続部C2近傍の光ファイバ被覆部を支持溝15b,15c内に閉じ込めた放熱板15と蓋18とは、かかる融着接続部C2およびその近傍の光ファイバ被覆部とこれらを覆った透明樹脂17とを外力等から保護し、これらの破損を防止する。また、このように放熱板15に取り付けられた蓋18は、融着接続部C2またはこれを覆う透明樹脂17が収容溝15dから剥離することを防止し、且つ、融着接続部C2近傍の光ファイバ被覆部またはこれを覆う透明樹脂17が支持溝15b,15cから剥離することを防止する。
つぎに、上述した保護体25,27,29の放熱作用について説明する。図15は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を保護する蓋付きの保護体25,27の放熱作用を説明する断面模式図である。図16は、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2を保護する蓋付きの保護体29の放熱作用を説明する断面模式図である。
図15に示すように、保護体25は、ダブルクラッドファイバ4からダブルクラッドファイバ6にマルチモードの励起光が伝搬する場合、かかるダブルクラッドファイバ4,6の融着接続部C1から一部漏出した漏出励起光を熱に変換し、この熱を外部に放散する。
具体的には、融着接続部C1から漏出した漏出励起光(例えば910〜980nmの範囲内の波長のレーザ光)は、透明樹脂16を透過して放熱板15および蓋18に達する。この場合、放熱板15は、かかる漏出励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。さらに、蓋18は、かかる漏出励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。かかる放熱板15および蓋18を備えた保護体25は、上述した実施の形態1の保護体5に比して多くの熱を放散できる。
このような構成を有する保護体25は、かかる漏出励起光のパワー密度をさらに低減できるとともに、この融着接続部C1を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持でき、この結果、融着接続部C1の劣化を防止できる。なお、保護体27は、上述した保護体25と同様に、ダブルクラッドファイバ6とCPF8との融着接続部C1からの漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。すなわち、かかる保護体27は、上述した保護体25と同様の作用効果を享受する。このような構成を有する保護体25,27は、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を保護するとともに、この融着接続部C1の高い信頼性をさらに長期に亘って維持することができる。
一方、上述した保護体29は、光ファイバレーザ20の共振器によって発振されたレーザ光がCPF8からSMF10に伝搬する場合に融着接続部C2内を伝搬する残留励起光を融着接続部C2から除外するとともに熱に変換し、この残留励起光に起因する熱を外部に放散する。
具体的には、融着接続部C2から除外(漏出)した残留励起光(例えば910〜980nmの範囲内の波長のレーザ光)は、透明樹脂17を透過して放熱板15および蓋18に達する。この場合、放熱板15は、かかる残留励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。さらに、蓋18は、かかる漏出励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。かかる放熱板15および蓋18を備えた保護体29は、上述した実施の形態1の保護体9に比して多くの熱を放散できる。
このような構成を有する保護体29は、かかる残留励起光のパワー密度をさらに低減できるとともに、この融着接続部C2を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持でき、この結果、融着接続部C2の劣化を防止できる。したがって、保護体29は、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2を保護するとともに、この融着接続部C2の高い信頼性をさらに長期に亘って維持することができる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる光ファイバ保護体の放熱板に対し、融着接続部を収容した収容溝と融着接続部近傍の光ファイバ被覆部を支持した状態の支持溝とを覆う態様で蓋をさらに取り付け、この蓋が放熱板とともに融着接続部からの漏出励起光または残留励起光に起因する熱を外部に放散するように構成した。このため、上述した実施の形態1の作用効果を享受するとともに、放熱性をさらに高めた光ファイバ保護体を実現できる。
また、かかる蓋を放熱板に取り付けることによって、この放熱板の溝内に融着接続部およびその近傍の光ファイバ被覆部を閉じ込めるように構成した。したがって、かかる溝内の融着接続部および光ファイバ被覆部とこれらを覆った透明樹脂とを外力等から保護し、これらの破損を防止できるとともに、融着接続部、光ファイバ被覆部、またはこれらを覆う透明樹脂が放熱板の溝から剥離することを防止できる。
本発明の実施の形態2にかかる光ファイバ保護体をダブルクラッドファイバ同士の融着接続部またはダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部に設けることによって、長期間に亘ってレーザ発振特性を安定化し、高い信頼性をさらに長期間維持できる光ファイバレーザを実現することができる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、共振器のレーザ光出力端側からCPF(すなわち共振器の増幅媒体)に励起光を導入する後方励起型の光ファイバレーザを構成し、かかる後方励起型の光ファイバレーザの融着接続部に本発明にかかる光ファイバ保護体を設けている。
図17は、本発明の実施の形態3にかかる光ファイバ保護体を用いた後方励起型の光ファイバレーザの一構成例を示す模式図である。図17に示すように、この後方励起型の光ファイバレーザ30は、上述した励起光源群2、TFB3、ダブルクラッドファイバ4、FBG6aを形成したダブルクラッドファイバ6、保護体5,7,9、およびCPF8を有する。また、光ファイバレーザ30は、SMF31,32と、バンドパスフィルタ(BPF)33と、フォトダイオード(PD)34と、制御回路35と、FBG36aを形成したダブルクラッドファイバ36と、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1を保護する保護体37とをさらに有する。
このような光ファイバレーザ30において、TFB3は、各励起光源2aに一端が接続された光ファイバ2bの他端とSMF32の一端とをダブルクラッドファイバ4に低損失で溶融接続する。この場合、SMF32の他端は、上述したレーザ光の出力端11になる。また、ダブルクラッドファイバ4の他端はダブルクラッドファイバ36の一端に融着接続され、このダブルクラッドファイバ36の他端はCPFの一端に融着接続され、このCPF8の他端はダブルクラッドファイバ6に融着接続される。さらに、このダブルクラッドファイバ6の他端はSMF31の一端に融着接続され、このSMF31の他端はBPF33に接続される。このBPF33は、光ファイバを介してPD34に接続される。この場合、保護体5はダブルクラッドファイバ4,36の融着接続部C1を保護し、保護体7はCPF8とダブルクラッドファイバ6との融着接続部C1を保護し、保護体9はダブルクラッドファイバ6とSMF31との融着接続部C2を保護する。また、保護体37は、上述した保護体5,7と同様に構成され、ダブルクラッドファイバ36とCPF8との融着接続部C1を保護する。一方、制御回路35は、励起光源群2とPD34とに電気的に接続される。
かかる光ファイバレーザ30の共振器は、CPF8と、このCPF8の両端に融着接続されたダブルクラッドファイバ6,36の各FBG6a,36aとによって形成される。この場合、FBG36aは、励起光源群2によって発振された所定波長の励起光(例えば910〜980nmの範囲内の波長のレーザ光)を透過させるとともに、CPF8によって放出または増幅された所定波長(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長)の光を所定の低反射率(例えば90%以下の反射率)で反射する。また、FBG36aは、かかる共振器によって発振された所定波長(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長)のレーザ光を出力するアウトプットカプラとしても機能する。一方、FBG6aは、上述したように、所定波長(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長)の光を所定の高反射率(例えば99%以上の反射率)で反射する。
具体的には、励起光源群2によって発振された複数の励起光は、TFB3においてダブルクラッドファイバ4に合波され、その後、このダブルクラッドファイバ4をマルチモードで伝搬する。かかるマルチモードの励起光は、ダブルクラッドファイバ4とFBG36aが形成されたダブルクラッドファイバ36とを順次伝搬し、CPF8に導入される。この場合、保護体5は、ダブルクラッドファイバ4,36の融着接続部C1のベアファイバ内に、かかるマルチモードの励起光を閉じ込めるとともに、この融着接続部C1からの漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。また、保護体37は、ダブルクラッドファイバ36とCPF8との融着接続部C1のベアファイバ内に、かかるマルチモードの励起光を閉じ込めるとともに、この融着接続部C1からの漏出励起光に起因する熱を外部に放散する。
かかるCPF8に入力された励起光は、このCPF8のコアに添加された希土類元素(例えばYb)を励起状態にする。この場合、CPF8は、所定波長(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長)の蛍光を発する。かかるCPF8によって放出された光は、上述したFBG6a,36aの間で繰り返し反射されるとともに、このCPF8によって増幅される。この結果、かかる光ファイバレーザ30の共振器は、所定波長(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長)のレーザ光を発振する。この場合、保護体7は、CPF8とダブルクラッドファイバ6との融着接続部C1から漏出した光を熱に変換するとともに、この熱を外部に放散する。
かかる共振器によって発振された所定波長のレーザ光は、主にFBG36aを透過し、その後、ダブルクラッドファイバ36,4を順次伝搬し、TFB3を介してSMF32に入力され、このSMF32の出力端11から出力される。一方、かかる所定波長のレーザ光は、その一部がFBG6aを透過し、その後、ダブルクラッドファイバ6とSMF31とを順次伝搬してBPF33に入力される。この場合、保護体9は、かかる所定波長のレーザ光とともにダブルクラッドファイバ6を伝搬してきた残留励起光をダブルクラッドファイバ6とSMF31との融着接続部C2から除外し、かかる融着接続部C2から除外した残留励起光を熱に変換するとともに、この熱を外部に放散する。
BPF33は、光ファイバレーザ30の共振器によって発振された所定波長のレーザ光(例えば1030〜1130nmの範囲内の波長のレーザ光)を透過させるとともに、上述した残留励起光を除外する。かかるBPF33は、この所定波長のレーザ光のみをPD34に入力する。
PD34は、光ファイバレーザ30の共振器によって発振されたレーザ光のパワー(光強度)を検知するためのものである。具体的には、PD34は、BPF33を介して入力された所定波長のレーザ光を受光するとともに光電変換し、かかる所定波長のレーザ光のパワーに対応する電気信号を制御回路35に送信する。このようにして、PD34は、かかる所定波長のレーザ光のパワーを検知するとともに、かかるレーザ光パワーの検知結果を制御回路35に通知する。
制御回路35は、PD34によって通知されたレーザ光パワーの検知結果をもとに、励起光源群2の各励起光源2aの励起光出力を制御する。具体的には、制御回路35は、PD34と励起光源群2の複数の励起光源2aとに電気的に接続される。制御回路35は、PD34によって検知されたレーザ光パワーに対応する電気信号をPD34から受信し、この電気信号をもとに、複数の励起光源2aの各励起光出力をそれぞれ一定に制御する。かかる制御回路35のALC制御(出力一定制御)によって、複数の励起光源2aは、一定の出力パワーで励起光をそれぞれ出力する。この結果、光ファイバレーザ30の共振器のレーザ発振特性が安定化される。
なお、制御回路35は、光ファイバレーザ30に保護体5,7,9,37が用いられていない場合であっても、上述したALC制御を達成することができる。また、光ファイバレーザ30は、保護体5,7,37に代えて上述した実施の形態2にかかる保護体25,27を備えてもよいし、保護体9に代えて上述した実施の形態2にかかる保護体29を備えてもよい。この場合、かかる保護体25,27,29を備えた光ファイバレーザ30は、上述した実施の形態2の作用効果をさらに享受する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態30では、上述した実施の形態1とほぼ同様に、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部C1に保護体5,7,37を設け、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部C2に保護体9を設けたので、上述した実施の形態1と同様の作用効果を享受できる後方励起型の光ファイバレーザを実現できる。
また、かかる光ファイバレーザの共振器によって発振されたレーザ光のパワーを検知し、かかるレーザ光パワーの検知結果をもとに、励起光源群の各励起光出力を一定に制御するように構成した。したがって、かかる光ファイバレーザの共振器によって発振されるレーザ光のパワーを一定にするように励起光源群の各励起光出力を制御でき、この共振器のレーザ発振特性を安定化することができる。
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。この実施の形態4では、後方励起型の光ファイバレーザによって出力端側に発振されたレーザ光の一部を取り出し、この取り出した一部のレーザ光のパワーを検知し、かかるレーザ光パワーの検知結果をもとに励起光源群の励起光出力を一定に制御するように構成している。また、かかる後方励起型の光ファイバレーザの終端部に、この終端部を保護する光ファイバ保護体をさらに設けている。
図18は、本発明の実施の形態4にかかる光ファイバ保護体を用いた後方励起型の光ファイバレーザの一構成例を示す模式図である。図18に示すように、この後方励起型の光ファイバレーザ40は、上述した実施の形態3の光ファイバレーザ30においてSMF31に融着接続していたダブルクラッドファイバ6の端部を終端部にし、TFB3によってダブルクラッドファイバ4に接続されている残りの光ファイバ42の端部にBPF33が接続され、このBPF33に光ファイバを介してPD34が接続される。この場合、光ファイバレーザ40は、上述した実施の形態3の光ファイバレーザ30の保護体9に代えて、このダブルクラッドファイバ6の終端部に保護体41が設けられる。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
かかる光ファイバレーザ40のTFB3は、複数の励起光源2aに一端が接続された複数の光ファイバ2bの他端と、上述した出力端11を形成するSMF32の他端と、BPF33に一端が接続された光ファイバ42の他端とをダブルクラッドファイバ4に低損失で溶融接続する。かかるTFB3は、光ファイバレーザ40の共振器によって発振された所定波長のレーザ光の一部を光ファイバ42に分波する。この場合、BPF33は、残留励起光等を除外するとともに、TFB3において一部取り出された所定波長のレーザ光のみをPD34に入力する。
つぎに、本発明の実施の形態4にかかる光ファイバ保護体について説明する。この実施の形態4にかかる光ファイバ保護体(すなわち保護体41)は、光ファイバレーザ40の終端部を保護する。具体的には、保護体41は、かかる光ファイバレーザ40の終端部を形成するダブルクラッドファイバ6の端部に設けられ、このダブルクラッドファイバ6の終端部を保護する。
図19は、ダブルクラッドファイバ6の終端部を保護する保護体41の一構成例を示す側断面模式図である。図19に示すように、保護体41は、ダブルクラッドファイバ6の終端部E1およびその近傍の光ファイバ被覆部を収容する溝45aが形成された放熱板45と、上述した高屈折率の透明樹脂17と、かかる溝45aを覆う蓋46とを有する。なお、ダブルクラッドファイバ6の終端部E1は、被覆部材(ダブルクラッド構造の外側のクラッドを含む)が除外されて露出したベアファイバ部分である。
放熱板45は、溝45aの内部に収容された終端部E1から漏出(除外)した残留励起光を吸収するとともに熱に変換し、かかる残留励起光に起因する熱を外部に放散する。なお、かかる放熱板45を形成する金属部材は、熱伝導性の高いものであって、例えばアルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材である。その一例として、ステンレス鋼などがあげられる。
かかる放熱板45に形成された溝45aは、終端部E1を収容する収容溝45cと、かかる終端部E1の近傍に位置する光ファイバ被覆部を支持する支持溝45bとからなる。具体的には、支持溝45bは、放熱板45の縁部に形成され、終端部E1を収容溝45c内に収容した場合に、この終端部E1近傍の光ファイバ被覆部を支持する。かかる支持溝45bは、上述した放熱板15に形成された支持溝15b,15cと同様に、例えばV字状に形成され、且つ、ダブルクラッドファイバ6の光ファイバ被覆部の外径に比して若干大きい開口幅W1と、ダブルクラッドファイバ6の光ファイバ被覆部を溝内に収容できる程度の深さD1とを有する。
一方、収容溝45cは、放熱板45の縁の内側領域に形成され、少なくとも終端部E1を収容する。このような収容溝45cは、上述した放熱板15に形成された支持溝15b,15cと収容溝15dとの関係とほぼ同様に、支持溝45bに比して底深(深さD2)且つ幅広(幅W2)に形成される。この場合、終端部E1は、かかる収容溝45cの内壁に対して接触せずに収容できる。なお、かかる収容溝45cの内壁は、光を吸収し易い色(例えば黒色)に着色されることが望ましい。これによって、放熱板45は、終端部E1からの残留励起光を効率的に吸収できるからである。
ここで、かかる保護体41の透明樹脂17は、収容溝45cに収容された終端部E1と支持溝45bに配置された光ファイバ被覆部とを覆うとともに、かかる終端部E1を収容溝45c内に固定し、且つ、かかる光ファイバ被覆部を支持溝45b内に固定する。また、かかる透明樹脂17は、終端部E1におけるダブルクラッドファイバ6のクラッド(内側のクラッド)に比して屈折率が高い。したがって、かかる終端部E1を伝搬する残留励起光は、終端部E1(すなわちダブルクラッドファイバ6のベアファイバ部分)から高屈折率の透明樹脂17に伝搬する。この結果、かかる残留励起光は、終端部E1から除外され、放熱板45および蓋46に吸収される。
蓋46は、例えばアルミニウム、銅、鉄、およびニッケルの少なくとも一つを含む金属部材によって形成される。その一例として、ステンレス鋼などがあげられる。蓋46は、透明樹脂17を用いて終端部E1を収容溝45c内に固定し且つ終端部E1近傍の光ファイバ被覆部を支持溝45b内に固定した状態の放熱板45に対し、かかる収容溝45cおよび支持溝45bを覆う態様で取り付けられる。この場合、蓋46は、上述した放熱板15に取り付けられる蓋18と同様に、例えばネジを用いて放熱板45に固定される。
このような蓋46は、終端部E1とその近傍の光ファイバ被覆部とを収容溝45cと支持溝45bとにそれぞれ閉じ込めるとともに、かかる終端部E1から除外した残留励起光を吸収して熱に変換し、この熱を外部に放散する。この場合、終端部E1を収容溝45c内に閉じ込めるとともに終端部E1近傍の光ファイバ被覆部を支持溝45b内に閉じ込めた放熱板45および蓋46は、かかる終端部E1およびその近傍の光ファイバ被覆部とこれらを覆った透明樹脂17とを外力等から保護し、これらの破損を防止する。また、このように放熱板45に取り付けられた蓋46は、終端部E1またはこれを覆う透明樹脂17が収容溝45cから剥離することを防止し、且つ、終端部E1近傍の光ファイバ被覆部またはこれを覆う透明樹脂17が支持溝45bから剥離することを防止する。
なお、収容溝45cに対面する側の蓋46の表面は、光を吸収し易い色(例えば黒色)に着色されることが望ましい。これによって、蓋46は、終端部E1から除外した残留励起光を効率的に吸収できるからである。
つぎに、かかる終端部E1を保護する保護体41の放熱作用について説明する。図20は、ダブルクラッドファイバの終端部E1を保護する保護体41の放熱作用を説明する断面模式図である。ダブルクラッドファイバ6の終端部E1には光ファイバレーザ40の共振器側から残留励起光が進入し、かかる残留励起光は、この終端部E1を伝搬して排出される。この場合、保護体41は、図20に示すように、終端部E1内を伝搬する残留励起光を終端部E1から除外するとともに熱に変換し、この残留励起光に起因する熱を外部に放散する。
具体的には、終端部E1から除外(漏出)した残留励起光(例えば910〜980nmの範囲内の波長のレーザ光)は、透明樹脂17を透過して放熱板45および蓋46に達する。この場合、放熱板45は、かかる残留励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。さらに、蓋46は、かかる漏出励起光を吸収するとともに熱に変換し、この熱を外部に放散する。かかる放熱板45および蓋46を備えた保護体41は、この蓋46が無い場合に比して多くの熱を外部に放散でき、かかる終端部E1から漏出した残留励起光に起因する熱を放散するに十分な放熱特性を有する。
このような構成を有する保護体41は、かかる終端部E1における残留励起光のパワー密度を低減できるとともに、この終端部E1を適正な温度(すなわち劣化が進行しない程度の温度)に維持でき、この結果、終端部E1の劣化を防止できる。したがって、保護体41は、ダブルクラッドファイバの終端部E1を保護するとともに、この終端部E1の高い信頼性を長期に亘って維持することができる。
なお、かかる光ファイバレーザ40の制御回路35は、光ファイバレーザ40に保護体5,7,9,37,41が用いられていない場合であっても、上述したALC制御を達成することができる。また、光ファイバレーザ40は、保護体5,7,37に代えて上述した実施の形態2にかかる保護体25,27を備えてもよいし、保護体9に代えて上述した実施の形態2にかかる保護体29を備えてもよい。この場合、かかる保護体25,27,29を備えた光ファイバレーザ30は、上述した実施の形態2の作用効果をさらに享受する。また、この実施の形態4にかかる保護体41は、蓋46を備えなくてもよいが、終端部E1の保護能力と放熱特性とを高めるために、上述したように蓋46を備えた構造にすることが望ましい。
以上、説明したように、本発明の実施の形態4では、放熱板に形成した溝内にダブルクラッドファイバの終端部を収容し、かかる終端部を透明樹脂によって覆うとともに、この終端部を放熱板の溝内に固定するようにし、この終端部から除外した残留励起光がこの透明樹脂を透過して放熱板に吸収され且つ熱に変換されるとともに、かかる残留励起光に起因する熱を放熱板が外部に放散するように構成した。このため、ダブルクラッドファイバの終端部における残留励起光のパワー密度を低減できるとともに、この終端部を適正な温度に維持でき、これによって、かかる終端部の劣化を防止できる。この結果、ダブルクラッドファイバの終端部を外力等から保護してその破損を防止するとともに、かかる終端部の高い信頼性を長期に亘って維持できる光ファイバ保護体を実現することができる。
また、かかる光ファイバ保護体の放熱板に対し、終端部を収容した収容溝と終端部近傍の光ファイバ被覆部を支持した状態の支持溝とを覆う態様で蓋をさらに取り付け、この蓋が放熱板とともに終端部からの残留励起光に起因する熱を外部に放散するように構成した。このため、かかる終端部を保護する光ファイバ保護体の放熱性をさらに高めることができる。
さらに、かかる蓋を放熱板に取り付けることによって、この放熱板の溝内に終端部およびその近傍の光ファイバ被覆部を閉じ込めるように構成した。したがって、かかる溝内の終端部および光ファイバ被覆部とこれらを覆った透明樹脂とを外力等から保護し、これらの破損を防止できるとともに、終端部、光ファイバ被覆部、またはこれらを覆う透明樹脂が放熱板の溝から剥離することを防止できる。
また、かかるダブルクラッドファイバの終端部を覆う透明樹脂の屈折率をこのダブルクラッドファイバのクラッドに比して高い屈折率にしたので、かかるダブルクラッドファイバの終端部を伝搬する残留励起光をこの終端部のベアファイバから効率的に除外することができる。
さらに、上述した実施の形態3の光ファイバレーザ30とほぼ同様の構成を有し、さらに、ダブルクラッドファイバの終端部を保護する光ファイバ保護体(例えば保護体41)を備えるように構成した。したがって、上述した実施の形態3と同様の作用効果を享受するとともに、この終端部の高い信頼性を長期間維持できる後方励起型の光ファイバレーザを実現できる。
なお、本発明の実施の形態1〜4では、放熱板に形成した支持溝をV字状にしていたが、これに限らず、U字状等の光ファイバ被覆部を支持しやすい形状にしてもよい。また、かかる放熱板に形成した支持溝(例えば上述した支持溝15b)の形状は、図21に示すように、開口幅W3を光ファイバ被覆部(例えばダブルクラッドファイバ4の光ファイバ被覆部)の外径に比して狭くし、且つ溝内の幅W4をこの光ファイバ被覆部の外径に比して広くしてもよい。このような形状の支持溝には、例えばダブルクラッドファイバ4の光ファイバ被覆部を嵌め込むことができ、この結果、透明樹脂によって覆われなくても光ファイバ被覆部を支持溝内に固定することができる。
また、本発明の実施の形態2〜4では、放熱板の収納溝内および支持溝内に透明樹脂を流入することによって、融着接続部または終端部とその近傍の光ファイバ被覆部とをこの透明樹脂で覆い且つこれらを収容溝内および支持溝内にそれぞれ固定していたが、これに限らず、かかる透明樹脂は、少なくとも融着接続部または終端部を覆うとともに、この融着接続部または終端部を収容溝内に固定すればよい。この場合、かかる融着接続部または終端部の近傍の光ファイバ被覆部は、透明樹脂に覆われていなくてもよく、かかる放熱板に取り付けた蓋によって支持溝内に押圧固定されてもよい。
さらに、本発明の実施の形態1〜4では、CPFを用いた増幅媒体とその両側のFBGとによって形成される共振器を備えたファブリペロー型の光ファイバレーザに光ファイバ保護体を用いていたが、これに限らず、リング型の光ファイバレーザに対しても本発明にかかる光ファイバ保護体を用いることができる。すなわち、リング型の光ファイバレーザ内のダブルクラッドファイバ同士の融着接続部、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部、またはダブルクラッドファイバの終端部に本発明にかかる光ファイバ保護体を設けてもよい。
また、本発明の実施の形態1〜4では、光ファイバレーザ内のダブルクラッドファイバ同士の融着接続部、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部、またはダブルクラッドファイバの終端部に本発明にかかる光ファイバ保護体を設けていたが、これに限らず、ダブルクラッドファイバを用いたレーザ光増幅装置に本発明にかかる光ファイバ保護体を用いることができる。すなわち、かかるレーザ光増幅装置内のダブルクラッドファイバ同士の融着接続部、ダブルクラッドファイバとSMFとの融着接続部、またはダブルクラッドファイバの終端部に本発明にかかる光ファイバ保護体を設けてもよい。この場合、レーザ光を長期間安定して増幅でき、高い信頼性を長期間維持できるレーザ光増幅装置を実現することができる。
また、本発明の実施の形態1〜4では、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を保護する本発明の光ファイバ保護体において、融着接続部およびその近傍を覆う透明樹脂としてダブルクラッドファイバのクラッドに比して屈折率が低い透明樹脂を用いていたが、透明樹脂のかわりに同等の屈折率関係をなすような媒質に置きかえたり、略真空とすることによって、本発明にかかる光ファイバ保護体を実現することができる。すなわち、本発明の光ファイバ保護体が、少なくとも融着接続部を覆うように収容溝内に略密封固定し、略密封した保護体容器内を、透明樹脂のかわりにダブルクラッドファイバのクラッドに比して屈折率が低い気体で充填したり、略真空として融着接続部から漏出した光を放熱板まで透過するようにしてもよい。このようにしても、ダブルクラッドファイバ同士の融着接続部を外力等から保護してその破損を防止するとともに、融着接続部をマルチモードで伝搬する励起光を、融着接続部のクラッド内に閉じ込めることができ、本発明にかかる光ファイバ保護体を実現することができる。