JP5192774B2 - ナノカーボン被覆耐火原料とその製造方法、およびそれを使用した耐火物とその製造方法 - Google Patents

ナノカーボン被覆耐火原料とその製造方法、およびそれを使用した耐火物とその製造方法 Download PDF

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本発明は、溶融金属用、主として鉄鋼用の耐火物に使用される耐火原料とそれを使用した耐火物に関する。
黒鉛、ピッチ、カーボンブラック、またはフェノールレジン等の炭素原料を含有するカーボン含有耐火物は、耐熱衝撃性および耐スラグ性に優れており、例えば、転炉、取鍋、混銑車、もしくは真空脱ガス炉等の内張材としてのれんが、不定形耐火物、浸漬ノズル等の連続鋳造用ノズル、または焼付け材等の補修材として広く使用されている。
ところで、近年、製綱工程においてより一層の鋼製品の高品質化と、より厳しい組成コントロールが求められるようになってきている。そのため、カーボン含有耐火物の内部に含有されるカーボンが溶鋼中へ溶解する現象(以下「カーボンピックアップ」という。)による溶鋼の汚染の問題が顕在化してきている。なかでも、転炉、真空脱ガス装置、取鍋等で使用されているマグネシア−カーボンれんがにおいては、もともと10〜30質量%もの黒鉛を含有しており、この黒鉛を低減するユーザーの要求は非常に強い。かかるカーボンピックアップを抑えるためには、カーボン含有耐火物の低カーボン化を図る必要がある。
さらには、カーボンが高熱伝導率であるため溶鋼温度低下などの熱ロス、容器の鉄皮変形、さらには、カーボンの燃焼にともなうCOガスの放出などの諸問題からも耐火物の低カーボン化が要求されている。
しかしながら、低カーボン化すると耐熱衝撃性が低下する問題があり、これを改善する方法が過去に種々検討されている。
例えば、特許文献1には空隙ならびにピッチからなる厚さ5〜100μmの層を周囲に形成したマグネシア粒子を10〜50容量%含むMgO−C質不焼成れんがが開示されている。この不焼成れんがにおいては、組織中、マグネシア粒子の周囲に存在する空隙ならびに結晶度が低い黒鉛が、熱衝撃により発生した亀裂の伝播を阻止する。この阻止作用により、れんがが剥落するほどの大きな亀裂には発達しないとされている。
また、特許文献2では、フラーレン類を原料として使用することで、組織中にカーボンナノファイバーが生成し、強度と耐熱衝撃性が飛躍的に向上するため、カーボン含有耐火物においてカーボン量を減らすことができると記載されている。とくに、黒鉛使用量が10質量%以下のカーボン含有耐火物において顕著な効果が得られるとされている。
さらに、特許文献3では、メソフェーズピッチと熱硬化性樹脂を使用した耐火物にはカーボンナノファイバーが生成し、その結果、優れた耐熱衝撃性が得られると記載されている。
さらには、近年、カーボンナノチューブまたはカーボンナノファイバーを合成する方法が、種々研究されている。例えば特許文献4では、触媒金属の有機金属塩または無機金属塩を溶媒に分散または溶解した溶液を基板表面に塗布し、還元することで触媒金属微粒子を形成し、その後、CVD等によってカーボンナノチューブを合成することが開示されている。
特開平6−321625号公報 特開2006−8504号公報 特開2005−139062号公報 WO2004/071654号公報
しかしながら、耐熱衝撃性を低下させることなく低カーボン化するために、過去に検討された上記改善方法には種々の問題がある。
例えば、特許文献1に記載の耐火物粒子の周囲に空隙ならびにピッチを形成する方法は、使用中、マグネシア粒子の周囲の空隙にスラグが浸入しやすくなり、スラグに対する耐食性が低下する。
また、特許文献2に記載のフラーレン類を原料として使用する方法は、ナノサイズと極めて小さいフラーレン類を耐火物中に凝集することなく均一に分散するためには非常に手間を要し、高コストになる。
また、特許文献2や特許文献3の方法では、確かにカーボンナノファイバーの効果により耐熱衝撃性が向上するため黒鉛含有量の少ない低カーボン含有耐火物を得ることができるが、耐火原料粒子の周囲からスラグが浸入して組織が溶融し損耗しているため耐食性がネックとなった。
本発明が解決しようとする課題は、カーボンナノチューブまたはカーボンナノファイバーを耐火物中に比較的簡単に均一分散させることができ、しかも耐熱衝撃性に優れると共に耐スラグ性にも優れた耐火物を得ることができる耐火原料とその製造方法、およびその耐火原料を使用した耐火物とその製造方法を提供することにある。
本発明は、耐火原料粒子の表面をカーボンナノチューブまたはカーボンナノファイバーで被覆した溶融金属用のナノカーボン被覆耐火原料である。以下カーボンナノチューブをCNT、カーボンナノファイバーをCNFと称す。
耐火原料粒子の表面をCNTまたはCNFが被覆した状態とは、保管中や運搬などで剥がれることなく密着して付着している状態を言う。また耐火原料の表面を密な状態で全て被覆しても良いが、粗な状態でも構わないし、部分的でも良い。
この耐火原料粒子の表面を被覆するCNTまたはCNFのうちCNTは、直径が数nm〜数十nmのシングルウォール及びダブルウォールカーボンナノチューブ、あるいは2層以上の炭素面積層を持ったいわゆる多層(マルチウォール)カーボンナノチューブから主に構成される。一方、CNFは、直径が数nm〜数100nm、長さが数μmで、炭素網面が繊維軸に対して平行なplatelet型、炭素網面が繊維軸に対して傾斜したherring-bone(ヘリンボーン)型、炭素網面が繊維軸に平行なtubular(チューブラー)型などから主に構成される。
CNTまたはCNFを被覆させる耐火原料粒子の粒子径としてはとくに限定しないが、耐火物中に均一に分散させる目的からは、平均粒径が100μm以下であることが好ましく、より好ましくは平均粒径が50μm以下1μm以上である。平均粒径が100μmを超えると、CNTまたはCNFの耐火物中への均一分散効果が少なくなり、耐熱衝撃性の向上効果が制限される。また、平均粒径が50μm以下の方がよりCNTまたはCNFの耐火物中への均一分散効果が高まるため耐熱衝撃性に優れ、平均粒径が1μm未満ではCNTまたはCNFの被覆工程で凝集しやすくなる。ここで平均粒径とはメジアン径であり、被覆する前の耐火原料粒子の粒径分布を測定した粒径(範囲)と重量割合をグラフにプロットし、積算割合が50%の場合の粒径を平均粒径とする。粒径分布の測定方法としては、レーザー回折式粒度分布測定装置等などがある。
CNTまたはCNFの被覆量は、ナノカーボン被覆耐火原料に対し、3〜40質量%とする。CNTまたはCNFの被覆量が3質量%未満では膨張吸収効果(耐熱衝撃性向上効果)が得られにくく、40質量%を超えると被覆された耐火原料粒子の混合割合を低くせざるを得ないのでCNTまたはCNFを耐火物中に均一に分散できなくなる。
CNTまたはCNFが被覆される耐火原料粒子としては、マグネシア、アルミナ、スピネル、カルシア、ドロマイト、シリカ、クロミア、ジルコニア、チタニアおよびムライトからなる群のうち1種または2種以上が、耐火物として耐用性に優れた金属酸化物である点から好ましい。これらの耐火原料粒子は、耐火物の原料として一般的に使用されている。なお、これらの耐火原料は、使用中の熱によって耐火原料粒子どうしが焼結するために使用を重ねるに従い耐熱衝撃性が低下してくる傾向があるが、本発明においては表面のCNTまたはCNFによって焼結を抑制する効果が得られる。これに対して非酸化物原料である炭化珪素や鱗状黒鉛等の表面に触媒を被覆してCNTまたはCNFを形成することも考えられるが、これらの非酸化物原料は通常の使用温度領域では互いに焼結することがないため、過焼結防止による耐熱衝撃性の向上効果は期待できない。
耐火原料粒子の表面にCNTまたはCNFを被覆するにあたっては、あらかじめ例えば平均粒径が100μm以下に粒度調整された耐火原料粒子を使用し、これらの表面にCNTまたはCNFを被覆する。CNTまたはCNFを被覆した後に、耐火原料粒子を粉砕すると粉砕中にCNTまたはCNFが剥がれるためである。
具体的に、耐火原料粒子の表面にCNTまたはCNFを被覆する方法としては、CNTまたはCNFを分散させた溶液を耐火原料粒子表面に塗布後乾燥する方法などCNTまたはCNFを塗布あるいは塗す方法、または耐火原料粒子の表面に直接CNTまたはCNFを成長させる方法等が考えられる。
このうち、耐火原料粒子の表面にCNTまたはCNFを成長させる方法が、CNTまたはCNFが耐火物原料粒子表面に均一にしかも強固に付着することから好適である。つまり、耐火物組織中でカーボンボンドと耐火原料粒子との結合をより強固なものとすることができる。
具体的には、まず、触媒を液体に分散または触媒前駆体を溶解した液体中に耐火原料粒子を浸漬し、液体を除去することで、耐火原料粒子の表面に触媒を担持させる。次に、このCNTまたはCNFを成長させるための触媒を担持した耐火原料粒子を、炭素化合物と接触下で熱処理することにより表面にCNTまたはCNFを合成することができる。例えばCVD法により、850℃のメタン気流中で熱処理を行うことでシングルウォール及びダブルウォールCNTが得られる。耐火原料粒子へのCNTまたはCNFの被覆量は、例えばCVD法の諸条件を変えることでコントロールすることができる。またこのとき、700℃のエチレン/水素あるいは900℃のメタン気流中で熱処理を行うと、主として多層(マルチウォール)CNTが得られる。さらに、450℃のメタン、エチレン/水素あるいは一酸化炭素/水素気流中で熱処理を行うとCNFが得られる。
触媒を担持した耐火原料粒子と接触させる炭素化合物は、とくに限定されず通常CNTまたはCNFの合成に使用されている炭素化合物を使用することができる。好ましくは炭化水素または一酸化炭素を使うと良い。
触媒は、一般的にCNTまたはCNFの合成に使用されるものであればとくに問題なく使用することができるが、なかでもV、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、Rh、WおよびPtからなる群のうち1種または2種以上の金属、その金属の酸化物または金属塩が、耐火物に悪影響を与えない点から好ましい。本発明では、触媒が金属酸化物や金属塩でも、その後、還元性ガスの存在下で加熱されるため金属酸化物は還元されるため、その触媒としての機能は十分得られる。
以上のように本発明では、耐火原料粒子の表面にCNTまたはCNFが存在するため、その可撓性により耐火材料の膨張を吸収ししかも耐火原料どうしの焼結を抑制するため耐熱衝撃性が向上すると考えられる。さらに、CNTまたはCNFは有機バインダーとの馴染みが良いため熱処理によって生成するカーボンボンドと耐火原料粒子との間に隙間を生じることなく強固なボンドが形成されているとも考えられる。このため、耐スラグ性も向上すると推定される。そして、CNTまたはCNFが被覆された耐火原料粒子が微粉として耐火物中に均一に分散されているため、CNTまたはCNFも耐火物中に均一に分散して存在することになる。その結果、前記効果をより高めることができると考えられる。一方、揮発分の多いピッチや黒鉛層間が膨張した膨張黒鉛などの材料は骨材の周囲に大きな空隙ができ耐熱衝撃性は得られるものの耐食性が低下する。これに対して、本発明ではこの空隙を減少できるため耐食性の低下は小さい。
本発明のナノカーボン被覆耐火原料は、従来の耐火物を製造するときの耐火原料配合物の一部として使用することで、CNTまたはCNFを耐火物中に均一に分散させることができる。したがって、あらゆるカーボン含有耐火物に使用することができる。例えば、鉄鋼用として広く使用されているカーボンボンドを有する耐火物に使用することができる。具体的には、アルミナ−カーボン系、アルミナ−炭化珪素−カーボン系、アルミナ−スピネル−カーボン系、ジルコニア−カーボン系、マグネシア−カーボン系、マグネシア−スピネル−カーボン系、炭化珪素−カーボン系、窒化珪素−カーボン系、マグネシア−カルシア−カーボン系等である。カーボン含有量としては、固定炭素として1〜30質量%を含有していることが好ましい。固定炭素の含有率が1質量%未満では耐スラグ性の向上効果が少なく、30質量%を超えると耐熱衝撃性の向上効果が少なくなる。ここで固定炭素量は、JIS−M8812に準拠して測定される。
さらに、本発明は不定形耐火物よりも耐熱衝撃性と耐スラグ性の要求レベルがより高い定形耐火物に適用するとより効果的である。定形耐火物は、不定形耐火物よりも低気孔率で緻密になっており(高弾性)、CNTまたはCNFを含有することで前述の作用によってより低弾性化になるため、より低カーボン化とすることができる。定形耐火物とは、混練物をプレス機等で加圧成形することによって得られるいわゆるれんがであって、溶融金属容器の内張り用れんがや連続鋳造用ノズル等である。
とくに、ナノカーボン被覆耐火原料を1〜30質量%含有する耐火原料配合物に有機バインダーを添加して混練、成形、熱処理することで耐熱衝撃性および耐食性に優れたナノカーボン含有耐火物を得ることができる。ナノカーボン被覆耐火原料の含有量が1質量%未満では、耐熱衝撃性および耐食性の向上効果が不足し、30質量%を超えるとカーボン量が多くなりすぎる。有機バインダーはカーボンボンドを生成するために使用し、CNTまたはCNFと組み合わせて使用することで、低弾性でしかも高強度なボンドを形成することができる。有機バインダーとしては、具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、ピッチ、フェノール類、フルフリルアルコール類およびフルフリルアルデヒド類からなる群のうち1種以上が、強いカーボンボンドを形成する点から好ましい。
さらに、適用する耐火物の中でもとくに、マグネシア−カーボンれんがに適用した場合には黒鉛量を少なくしても耐熱衝撃性の低下を抑制することができ、高耐用性の低カーボンのマグネシア−カーボンれんがを得ることができる。
具体的には、マグネシア原料60〜99質量%と本発明のナノカーボン被覆耐火原料1〜30質量%を含む耐火原料配合物に対して、有機バインダーを添加して、混練、成形後熱処理することで得ることができる。そしてこのときに使用されるナノカーボン被覆耐火原料としては、マグネシアであることが好ましい。また鱗状黒鉛は使用しなくても良いが、使用する場合には15質量%未満、より好ましくは10質量%未満で使用することで、従来の転炉用、または二次精錬用のマグネシア−カーボンれんがと同様に使用することができる。
なお、本発明のナノカーボン含有耐火物は、不焼成耐火物であっても焼成耐火物であってもよい。不焼成耐火物とする場合には、熱処理は、カーボン含有耐火物原料の成形体を100℃以上800℃未満で加熱する。また、焼成耐火物とする場合には、カーボン含有耐火物原料の成形体を800℃以上1600℃未満で加熱する。
本発明のナノカーボン被覆耐火原料を、カーボン含有耐火物の耐火原料配合物の一部として使用することで、CNTまたはCNFを耐火物中に均一に分散することができる。このためCNTまたはCNFによって耐火原料の焼結が抑制され、耐火物の応力を吸収することができ、カーボンボンドが強化される。
その結果、耐熱衝撃性と耐スラグ性が向上し、耐火物の寿命が大幅に向上する。また、カーボン含有耐火物のカーボン量を減らすことができるので、使用時のカーボンピックアップを抑制することができる。
さらに、耐火物の熱伝導性を最適化することで炉の保温性を高めることもできる。
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
表1は、本発明の実施例に使用したナノカーボン被覆耐火原料および比較例に使用した耐火原料の組成を示す。
表1において、ナノカーボン被覆耐火原料AからHは、担体としてあらかじめ所定の平均粒径に調整したマグネシア(電融マグネシアで純度97質量%)またはアルミナ(電融アルミナで純度99質量%)を、硝酸鉄およびモリブデン酸アンモニウムを溶解した水溶液に浸漬し、ろ過、乾燥することにより触媒を担持させた後、CVD処理を行った。
CVD処理において、850℃のメタン気流中で熱処理を行うと、シングルウォール及びダブルウォールCNTが生成し、耐火原料を被覆することができた(ナノカーボン被覆耐火原料A〜F)。また、CVD処理において、700℃のエチレン/水素あるいは900℃のメタン/水素で熱処理を行うことにより多層(マルチウォール)CNTを被覆したものが得られた(ナノカーボン被覆耐火原料G)。さらに、CVD処理において、450℃のエチレン/水素気流中で熱処理を行うことによりCNFを被覆したものが得られた(ナノカーボン被覆耐火原料H)。
使用したマグネシアおよびアルミナの平均粒径はそれぞれ表1に示した。粒径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置で行った。CNTまたはCNFの被覆量は、得られたナノカーボン被覆耐火原料を酸化雰囲気下1200℃で2時間加熱し、その前後の質量を測定することで算出した。
図1は表1のナノカーボン被覆耐火原料AをTEMにより観察した結果を示す。シングルウォール、ダブルウォールのCNT2がマグネシア粒子1の表面に隙間なく生成していることが観察される。
図2及び図3は表1のナノカーボン被覆耐火原料GをTEMにより観察した結果を示す。マグネシア粒子3が多層(マルチウォール)CNT4で被覆された構造を呈していることが観察される。
図4及び図5は表1のナノカーボン被覆耐火原料HをTEMにより観察した結果を示す。マグネシア粒子5がherring-bone(ヘリンボーン)型のCNF6で被覆された構造を呈していることが観察される。
一方、表1において、ピッチ被覆原料は、軟化点120℃のピッチと耐火原料粒子を容器に入れてピッチが流動する状態になるまで加熱しながら混合することで耐火原料粒子の表面にピッチを被覆したものである。また、カーボンブラック被覆耐火原料は、粒度10μm以下のカーボンブラックを少量の有機バインダーを含有するメタノール中に分散し、耐火原料粒子を入れて混合しながらエタノールを揮発させることで耐火原料粒子の表面にカーボンブラックを被覆したものである。それぞれの被覆量は、前記ナノカーボン被覆耐火原料の場合と同様の方法で測定した。
表2および表3は各例の耐火原料配合物の組成とその試験結果を示す。各例においては、表2および表3に示す耐火原料配合物に有機バインダーとしてフェノール樹脂を添加して混練し、フリクションプレスにて並形に加圧形後、250℃で24時間加熱した。フェノール樹脂は、エチレングリコールを主成分とする溶媒で希釈し粘性を調整したものを使用した。表中の耐火原料配合物は、最大粒径を3mmとし一般的な耐火れんが(並形形状)に適した粒度構成とした。こうして得られた供試耐火物について、耐熱衝撃性と耐食性を測定した。耐熱衝撃性は1500℃の溶銑中に3分間浸漬し、その後空冷を15分間行い、この操作を10回繰り返した後の亀裂の大きさを目視で測定した。耐食性は回転侵食法により、転炉スラグを用いて1700℃で5時間の方法で行った。溶損寸法を測定し、表2では実施例1を100、表3では実施例5を100として指数で示した。また、実機試験として転炉の内張りに使用した。なお、実施例1の耐火物は、かさ比重3.15、見掛け気孔率3.0、1400℃での熱間曲げ強度15MPa、固定炭素4.7質量%であった。
表2および表3から明らかなように、本発明実施例により得られる耐火物は、いずれも耐熱衝撃性が格段に向上し、耐食性も従来品に相当する比較例に比べて同等以上の数値が得られた。その結果、実機試験においては、実施例2は比較例3に比べて約1.2倍の耐用寿命が得られた。
実施例1〜実施例4は、CNTを被覆する前の耐火原料粒子の平均粒径のみが異なっており、平均粒径が小さいほど耐熱衝撃性に優れる傾向になっている。また、実施例2と実施例3との比較では、実施例3は大きく耐熱衝撃性のレベルが低くなっていることもわかる。
比較例1は、ピッチを耐火原料粒子に被覆した例、また比較例2はカーボンブラックを耐火原料粒子に被覆した例であるが、実施例と比較すると耐食性および耐熱衝撃性がかなり劣っていることがわかる。また比較例3はメソフェーズピッチを添加した例であるが、やはり耐食性、耐熱衝撃性ともに劣っていることがわかる。比較例4は、従来のアルミナ−カーボン系の耐火物であるが、同じアルミナ−カーボン系の実施例7および実施例8に比べ耐食性、耐熱衝撃性ともに劣っている。
表1のナノカーボン被覆耐火原料AをTEMにより観察した結果を示す。 表1のナノカーボン被覆耐火原料GをTEMにより観察した結果を示す。 表1のナノカーボン被覆耐火原料GをTEMにより観察した結果を示す。 表1のナノカーボン被覆耐火原料HをTEMにより観察した結果を示す。 表1のナノカーボン被覆耐火原料HをTEMにより観察した結果を示す。
符号の説明
1 マグネシア粒子
2 シングルウォール及びダブルウォールCNT
3 多層CNTで被覆されたマグネシア粒子
4 マグネシア粒子を被覆している多層CNT
5 CNFで被覆されたマグネシア粒子
6 マグネシア粒子を被覆しているherring-bone型CNF

Claims (5)

  1. マグネシア、アルミナ、スピネル、カルシア、ドロマイト、シリカ、クロミア、ジルコニア、チタニアおよびムライトからなる群のうち1種または2種以上からなる耐火原料粒子の表面にカーボンナノチューブまたはカーボンナノファイバーが被覆され、その被覆量が3〜40質量%である溶融金属用のナノカーボン被覆耐火原料。
  2. 耐火原料粒子の平均粒径が100μm以下である請求項1に記載のナノカーボン被覆耐火原料。
  3. マグネシア、アルミナ、スピネル、カルシア、ドロマイト、シリカ、クロミア、ジルコニア、チタニアおよびムライトからなる群のうち1種または2種以上からなり平均粒径が100μm以下である耐火原料粒子に触媒を担持し、この耐火原料粒子を炭素化合物と接触下で熱処理することにより耐火原料粒子の表面にカーボンナノチューブまたはカーボンナノファイバーを、その被覆量が3〜40質量%となるように被覆する溶融金属用のナノカーボン被覆耐火原料の製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載のナノカーボン被覆耐火原料を耐火原料配合物中に1〜30質量%含有させてなる溶融金属用のナノカーボン含有耐火物。
  5. 請求項に記載のナノカーボン被覆耐火原料の製造方法によって得られたナノカーボン被覆耐火原料を、耐火原料配合物中に1〜30質量%配合し、有機バインダーを添加して混練し、成形後熱処理する溶融金属用のナノカーボン含有耐火物の製造方法。
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