参考例1.
以下、この発明の実施の形態および参考例を図について説明する。図1はこの発明の参考例1によるオゾン貯蔵装置を示す構成図であり、尚、図において図28と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、11は吸脱着塔4からオゾンを一定量ずつ取り出すオゾン放出手段であり、このオゾン放出手段11は吸脱着塔4から放出されるオゾン量を制御するオゾンガス流量調節装置12とオゾンガス流量調節装置12を通して吸脱着塔4からオゾンを吸引するガス吸引ポンプ13とから構成されている。
14は一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給制御するオゾン濃度制御手段であり、このオゾン濃度制御手段14は、オゾン消費物体15までオゾンを運ぶために用いる媒体ガスを作り出す媒体ガス製造機16と媒体ガスと吸脱着塔4から取り出されたオゾンを混合してオゾン含有ガスを生成するガス混合器17から構成される。
18はガス混合器17によって作られたオゾン含有ガス中のオゾン濃度を検出するオゾン濃度計、19はオゾン濃度計18からの制御信号を受けてオゾンガス流量調節装置12およびガス吸引ポンプ13に制御信号を送る制御装置である。20は空気を深冷分離してオゾンの原料となる酸素を作り出し、オゾン発生機1に供給する深冷分離装置である。
次に参考例1の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作がある。
先ず、オゾンを吸着する動作について説明する。空気が深冷分離装置20に供給されると液化されて液体酸素や液体窒素などが分離されて生成される。生成された液体酸素は再度気化された酸素となり、循環系内の圧力が常時一定になるように供給される。この時の循環系内の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。
切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環系内に酸素を流通させると、酸素がオゾン発生機1の放電空隙中を通過する間に無声放電により酸素の一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、このオゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送される。吸脱着塔4内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残った酸素は切り換え弁8−3を介して循環ブロア3に返送される。
なお、オゾンとして消費された分の酸素は、深冷分離装置20によって作られた液体酸素を気化させた酸素により循環系内に補充される。この時、吸着剤は冷却するほどオゾンの吸着容量が増えるという性質を有することから、通常冷却温度は冷熱源5により−40℃以下にされている。また吸着剤には、オゾンと接触したときの分解率が低いものを選ぶことが望ましく、シリカゲル、活性アルミナやフルオロカーボンを含浸させた多孔質材料などが挙げられる。
吸脱着塔4の吸着剤がオゾン飽和吸着量近くまで吸着すると次に脱着動作へ移行する。脱着動作ではオゾン発生機1、循環ブロア3、冷熱源5が稼動を停止し、切り換え弁8−1、8−2、8−3、8−4が閉じる。その後、ガス吸引ポンプ13が稼働し始めると共に、オゾンガス流量調節装置12が徐々に開き、吸着剤よりオゾンがガス混合器17に吸引される。それに合わせるように、ガス混合器17には媒体ガス製造機16から媒体ガスが供給され、ガス混合器17内でオゾンと媒体ガスが混合されてオゾン含有ガスとしてオゾン消費物体15に送られる。また、吸脱着塔4から設定された濃度のオゾンが漏れ出した時に、脱着動作に移るようにしても良い。
次に、オゾン放出手段11とオゾン濃度制御手段13によるオゾン脱着方法について説明する。ガス混合器17から放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度がオゾン濃度計18によって計測され、制御装置19に制御信号が送られる。放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも高い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し閉じられると共に、ガス吸引ポンプ13にも制御信号が送られ、吸脱着塔4からオゾンを引き抜く力が弱められることによって、吸脱着塔4からのオゾンの放出量が減少し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が低くなる。
一方、放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも低い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し開かれると共に、ガス吸引ポンプ13にも制御信号が送られ、吸脱着塔4からオゾンを引き抜く力が強められることによって、吸脱着塔4からのオゾンの放出量が増加し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が高くなる。
この時、制御装置19はガス混合器17へのオゾンの流入量の変化に合わせて、媒体ガス製造機16に制御信号を送り、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量を設定流量に合わせている。これにより、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給することができるようになる。更に、オゾンを貯蔵する際に用いるエネルギーを低減できると共に、安定的なオゾン処理を行うことができる効果がある。
深冷分離装置20は空気よりオゾンの原料となる酸素を液化させて作るために、循環経路内への窒素の混入を防ぐことができる。従って、酸素純度を高く保つことができる。また、オゾン発生機1において窒素酸化物が生成されず、吸着剤に窒素酸化物が吸着してオゾンの吸着効率が低下すること防止することができる。
次に、オゾン吸着後に吸脱着塔4から放出されるオゾン濃度を、吸脱着塔4内の温度が設定温度に達するまで常に所定濃度以下に維持するようにして、吸脱着塔4内の温度を段階的に下げながらオゾンを吸着貯蔵するという本参考例によるオゾン貯蔵方法について説明する。
図2はオゾン吸着量と吸着剤(シリカゲル)の冷却温度の関係を示したものである。このように吸着剤の冷却温度を下げるほど、オゾン吸着量は指数関数的に増加していくことが認められる。これにより、オゾンを効率よく貯蔵するには、吸着剤の温度をできるだけ低下させることが重要であることがわかる。
しかし、吸着剤温度と冷却時間の関係は図3のように表され、吸着剤温度を更に下げて行こうとするほどを冷却に要する時間が増加し、吸着剤温度を低温にするほど大きな冷却能力を要する冷却器を装備する必要があることがわかる。
一方、ある温度における吸着破過曲線(吸脱着塔4出口のオゾン濃度と吸脱着塔4へのオゾン注入時間の関係)は図4のように示される。このように注入時間がある時間経過すると、オゾンが急激に吸脱着塔4から漏れ出し(吸着破過状態に達し)、オゾン発生機1で生成したオゾンは効率よく蓄えられない。この際、吸脱着塔4から漏れだしたオゾン化ガス中のオゾン濃度が注入オゾン濃度の5〜10%になったとき、吸着破過時間に達したとする。
したがって、ある温度においてオゾン注入によって吸着破過が起きるまでの時間よりも、吸着剤がある温度に冷却されるまでの時間を短くする。すなわち、設定温度に達するまで吸着破過が起きないように吸着剤を冷却して、オゾンを貯蔵することにより、生成したオゾンを効率よく蓄えることができる。これにより、高性能の冷却能力を有する冷却器を装備する必要がなく、しかも吸着破過が起こる前に吸脱着塔4内の吸着剤を冷却できる冷却能力を有する冷却器を装備するだけでよいため冷却器にかかる設備費用を低減できるという効果がある。
また、本参考例では、オゾン吸着時には吸脱着塔4の床部からオゾン化酸素を導入し、かつオゾン脱着時にも吸脱着塔4の床部からオゾンを取り出す場合について示したが、吸脱着塔4内の吸着剤が完全に吸着平衡状態になっている場合を除いて、吸着時にオゾン化酸素を導入する位置と脱着時にオゾンを取り出す位置が天井部と床部といったように吸脱着塔の中央に対して対称となるようにすることが望ましい。
これはオゾン化酸素が導入される付近の吸着剤には、オゾンが充分に吸着されているが、ガス入り口から離れた位置にある吸着剤ほどオゾンの吸着率が悪くなる。したがって、脱着時にガス入り口から離れた位置からオゾンを取り出すことにより、オゾンがあまり吸着されていない吸着剤からの脱着が最初に起こるために、オゾンの取り出し量が抑えられて、脱着開始時にオゾンが急激に取り出されることを防ぐことができる。
なお、本参考例では、ガス混合器17から放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度を計測し、制御装置19を用いて一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給する場合について示したが、オゾンガス流量調節装置12、ガス吸引ポンプ13および媒体ガス製造機16をタイマ(図示しない)によって駆動するようにし、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給するようにしても良く、この場合、オゾン含有ガス中のオゾン濃度の制御精度は若干悪くなるが、機器構成が簡単になり、設備費用を低減することができる効果がある。
また、本参考例では、吸脱着塔4が一塔である場合について示したが、吸脱着塔4は複数塔備えるようにした方が望ましく、ある吸脱着塔4からのオゾンの脱着量が低下してきた際に、他の吸脱着塔4のオゾンガス流量調節装置12を開けて、複数の吸脱着塔4から脱着されるオゾンを混合して、ガス混合器17に供給することにより、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスがオゾン消費物体15に一定量ずつ供給することが容易となる。
更に、本参考例では、吸脱着塔4には冷熱源5のみが装備し、脱着時には冷熱源5を停止してオゾンを脱着容易させる場合について示した。しかし、吸脱着塔4に冷熱源5と加熱源を備えるようにし、吸脱着塔4内の温度を制御するようにしてオゾンを脱着容易にさせるようにしても良い。これにより、吸脱着塔4から取り出されるオゾンの量をさらに高精度に制御してオゾン消費物体15に供給することができる。
更に、また、本参考例では、吸脱着塔4から取り出されたオゾンがオゾンガス流量調節装置12、ガス吸引ポンプ13を通過して媒体ガスに混合されてオゾン消費物体15に供給される場合について説明した。しかし、吸脱着塔4とオゾンガス流量調節装置12との間にオゾン緩衝装置を設けるようにし、吸脱着塔4から取り出されたオゾンを一旦オゾン緩衝装置に保持するようにして、脱着初期にオゾンが大量に放出されることを防止しても良い。これにより、吸脱着塔4から取り出されるオゾンの量をさらに高精度に制御できるようになり、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度を高精度に制御できる効果がある。この際、オゾン緩衝装置には、シリカゲルなどの吸着剤が充填された充填塔を用いるようにしても良く、また、所定の容積の空間を有するオゾン充填用のタンクを用いるようしても良い。
参考例2.
参考例1では、オゾン放出手段11のガス吸引ポンプ13より吸引されて脱着されたオゾンに、オゾン濃度制御手段14の媒体ガス製造機16で製造された媒体ガスを混合してオゾン含有ガスを生成し、オゾン消費物体15に一定量ずつ供給する構成を示した。
これに対して本参考例は、図5に示すように、吸脱着塔4から放出されるオゾン量を制御するオゾンガス流量調節装置12と、吸脱着塔4内を減圧状態にして吸脱着塔4からオゾンをオゾンガス流量調節装置12を介して脱着させるガスエジェクタ21と、ガスエジェクタ21と並行で、且つ、ガスエジェクタ21の出入口をつなぐバイパス配管22と、ガスエジェクタ21を駆動させる圧縮媒体ガスを作り出す圧縮ガス製造機23と、圧縮ガス製造機23よりガスエジェクタ21とバイパス配管22に流す圧縮媒体ガスの流量比を調節する二方向流量調節弁24と、ガスエジェクタ21により混合され作られるオゾン含有ガス中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度計18と、オゾン濃度計18によるオゾン含有ガス中のオゾン濃度測定結果に基づいてオゾンガス流量調節装置12、圧縮ガス製造機23および二方向流量調節弁24に制御信号を送る制御装置19から構成する。従って、本参考例ではガス吸引ポンプ13が不要となる。
次に、本参考例の動作について説明する。
ガスエジェクタ21により放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度がオゾン濃度計18によって計測され、制御装置19に制御信号が送られる。このときにオゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも高い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し閉じられると共に、二方向流量調節弁24にも制御信号が送られる。
その結果、圧縮媒体ガスはバイパス配管22を通ってガスエジェクタ21をバイパスするため、ガスエジェクタ21に供給される圧縮媒体ガスの流量が少なくなり、ガスエジェクタ21のノズルを通過する圧縮媒体ガスの流速が遅くなって吸脱着塔4内の圧力が高くなり、脱着されるオゾン量が減少し、ガスエジェクタ21より放出されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度が低くなる。
一方、ガスエジェクタ21より放出されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも低い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られ、オゾンガス流量調節弁12が少し開かれると共に、二方向流量調節弁24にも制御信号を送ってガスエジェクタ21に供給される圧縮媒体ガスの流量が多くする。
これら弁の制御により、ガスエジェクタ21のノズルを通過する圧縮媒体ガスの流速が速くなり、吸脱着塔4内の圧力が低くなることによって取り出されるオゾン量が増加し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が高くなる。この時、制御装置19はオゾン含有ガスのガスエジェクタ21への流入量の変化に合わせて圧縮ガス製造機23に制御信号を送り圧縮媒体ガスの流量を調節し、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量を設定流量に合わせている。
これにより、参考例1におけるガス混合器17とガス吸引ポンプ13をガスエジェクタ21で代用できるために、装置の構成を簡易化できると共に、脱着時に必要なエネルギーを低減することができると共に、吸脱着装置をコンパクト化できる効果がある。
本参考例では、ガスエジェクタ21から放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度を計測し、この計測結果より制御装置19は一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給する制御方法について示した。しかし、制御装置19によらず、オゾンガス流量調節装置12、圧縮ガス製造機23および二方向流量調節弁24をタイマ(図示しない)によって駆動するようにし、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給するようにしても良い。この場合、オゾン含有ガス中のオゾン濃度の制御精度は若干悪くなるが、機器構成が簡単になり、設備費用を低減することができる。
また、本参考例では、二方向流量調節弁24を用いて、ガスエジェクタ21とバイパス配管22に流れる圧縮媒体ガスの流量比を調節するものを示した。しかし、装置機器が増えて設備費用が増大すると共に、制御方法が難しくなる等の課題があるが、ガスエジェクタ21が取り付けられた配管およびバイパス配管22にそれぞれ圧縮ガス流量制御装置を設けて、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量は一定に保ちながら、それぞれの配管に流れる圧縮ガスの流量を制御するようにしても同様のオゾン濃度制御効果が得られる。
参考例3.
参考例2では、圧縮ガス製造機23で製造された圧縮媒体ガスを二方向流量調節弁24の制御により、圧縮媒体ガスをガスエジェクタ21或いはバイパス配管22に送り出す比率を調整し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度の調整を行っていた。
これに対して本参考例は、図6に示すように、ガスエジェクタ21により混合され作られるオゾン含有ガス中のオゾン濃度を測定するオゾン濃度計18と、吸脱着塔4から減圧吸引されるオゾンの流量を調節するオゾンガス流量調節装置12と、オゾン濃度計18からの制御信号受けてオゾンガス流量調節装置12およびガスエジェクタ21内のノズル径を変化させる制御装置19を設けてバイパス配管22、二方向流量調節弁24を削除する。
次に、本参考例の動作について説明する。
まず、エジェクタ21より放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度がオゾン濃度計18によって計測され、制御装置19に制御信号が送られる。オゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも高い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12とガスエジェクタ21に制御信号が送られ、オゾンガス流量調節装置12が少し閉じられると共に、ガスエジェクタ21内部のノズル直径が大きくなりノズルを通過する圧縮ガスの流速を遅くなる。この結果、吸脱着塔4内の圧力が高くなることによって、取り出されるオゾン量が減少し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が低くなる。
一方、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が設定オゾン濃度よりも低い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12とガスエジェクタ21に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し開かれると共に、ガスエジェクタ21にも制御信号が送られ、ガスエジェクタ21内部のノズル径が小さくなり、ノズルを通過する圧縮ガスの流速を速くなって吸脱着塔4内の圧力が低くなる。そのため、取り出されるオゾン量が増加し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が高くなる。
この時、制御装置19はオゾン化酸素のガスエジェクタ21への流入量の変化に合わせて、圧縮ガス製造機23に制御信号を送り、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量を設定流量に合わせている。
これにより、バイパス配管22と二方向流量調節弁24をなくすことができるために、部品点数が減り、装置構成を簡易化することができる。
なお、上記参考例では、ガスエジェクタ21から放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度を計測し、制御装置19を用いて一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給する場合について示した。
しかし、オゾンガス流量調節装置12、ガスエジェクタ21および圧縮ガス製造機23をタイマ(図示しない)によって駆動するようにし、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給するようにしても良い。この場合、オゾン含有ガス中のオゾン濃度の制御精度は若干悪くなるが、機器構成が簡単になり、設備費用をさらに低減することができる。
参考例4.
上記各参考例では深冷分離装置20から作り出される液体酸素および液体窒素の放出する冷熱の有効利用に関しては特に考慮しなかったが、本参考例では冷熱をオゾン発生機1の冷却に用いる。
図7はこの発明の参考例4によるオゾン貯蔵装置を示す構成図であり、尚、図中、図1と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、25は液体酸素または液体窒素が有する蒸発潜熱を取り出すガス冷却器である。ガス冷却装置25は深冷分離装置20により製造された液体酸素を気化して循環系路におくるガス冷却器25−1、同じく深冷分離装置20により製造された液体窒素を気化して圧縮媒体ガスとするガス冷却器25−2、液体酸素および液体窒素が放出した冷熱によりオゾン発生機1を冷却する冷却器25−3より構成されている。
次に本参考例の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを脱着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略する。
オゾンの吸着動作を行うに際して、先ず、空気が深冷分離装置20に供給され、空気は液化されて液体酸素や液体窒素などが製造される。製造された液体酸素はガス冷却器25−1で気化され、循環系路内の圧力が常時一定になるように随時循環系路に供給される。このとき循環系路内の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。
一方、液体酸素と同時に生成された液体窒素はガス冷却器25−2で気化されて、脱着時に使用される圧縮媒体ガスとして蓄えられる。冷却器25−3は、液体酸素および液体窒素が放出した冷熱によって、オゾン発生機1の放電部を冷却する。このため、オゾン発生機1の熱媒体が冷却されてオゾン発生が効率良く、且つ、安定的に行われるようになる。なお、通常オゾン発生機1の放電部を冷却する熱媒体には、水、ブラインやエチレングリコールなどの不凍液体が使用される。
このようにして、循環経路内に酸素が供給されて、切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環系路内に酸素を流通させると、酸素はオゾン発生機1の放電空隙中を通過する間に無声放電により酸素の一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、このオゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送される。
吸脱着塔4内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−3を介して循環ブロア3に返送される。なお、オゾンとして消費された分の酸素は深冷分離装置20で作られた液体酸素がガス冷却器25−1で気化されて補充される。この時、吸着剤は冷却するほどオゾンの吸着容量が増えるという性質を有することから、通常冷却温度は冷熱源5により−40℃以下に保たれている。また吸着剤には、オゾンと接触したときの分解率が低いものを選ぶことが望ましく、シリカゲル、活性アルミナやフルオロカーボンを含浸させた多孔質材料などが挙げられる。
これにより、オゾン発生機1の放電部を冷却するために必要なエネルギーを低減することができ、吸着操作時において従来よりも省電力化を実現することができる。
また、参考例1で示したように、ガス冷却器25−1で気化された酸素は、オゾン化酸素を作るための原料酸素として用いることができる一方、ガス冷却器25−2で気化された窒素は、図8または図9に示す様に脱着動作が始まるまで一時的にガス貯蔵装置26に加圧貯蔵される。そして加圧貯蔵された窒素は図8に示すようにガス流量計27を介してオゾン消費物体15にオゾンを運ぶために用いられる媒体ガスや、図9に示す様にガス流量計27を介してガスエジェクタ21を駆動させる圧縮媒体ガスとして用いることができる。従って、深冷分離装置20で作った液体窒素を有効に利用することができる。
これにより、脱着時に使用する媒体ガスまたは圧縮媒体ガスを作り出す時に必要な動力を低減できると共に、媒体ガス製造機16または圧縮ガス製造機23を不要とすることが可能となり、設備コストを削減することができる。
参考例5.
参考例4では、深冷分離装置20において製造された液体酸素および液体窒素がガス冷却器25で気化されて、ガス冷却器25で液体酸素が放出した冷熱によって、オゾン発生機1の放電部を冷却する熱媒体を冷却する例を示した。しかし、図10に示したように、ガス冷却器25で液体酸素および液体窒素が気化時に放出した冷熱を吸脱着塔4の冷却に要する冷熱の一部として用いるようにしても、吸脱着塔4を冷却するために必要なエネルギーを低減することができる。
また、吸着操作時において冷熱源5である冷凍機の省電力化を実現することができる効果がある。
更に、吸着動作時において、冷熱源5である冷凍機が非常停止しても、液体酸素および液体窒素が有する冷熱によって吸脱着塔4が急速に温度上昇してオゾン脱着が促進され、吸脱着塔4内のオゾン濃度が高濃度になって吸脱着塔4が危険な状態になることを防ぎ、オゾンを安全に貯蔵しておくことができる効果がある。
参考例6.
上記各参考例では吸脱着塔4を冷却する冷熱源5を設けたが、本参考例に係るオゾン貯蔵装置は図11に示すように、オゾン発生機1から放出されたオゾン化酸素が有する温熱と吸脱着塔4から放出された酸素含有ガスが有する冷熱を交換する熱交換器を備える。
次に動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを脱着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略してオゾンを吸着する動作について説明する。酸素供給源2より循環系内が常時一定圧力になるように酸素を供給する。
この時の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環系内に酸素を流通させるとオゾン発生機1の放電空隙中を通過する間に無声放電により酸素の一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になる。オゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送されると、吸脱着塔4内の吸着剤はオゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−3を介して循環ブロア3に返送される。なお、オゾンとして消費された酸素は酸素供給源2より補充される。
オゾン発生機1から放出されるオゾン化酸素は放電空間を通過してくるために、オゾン発生機1の入り口に導かれた時と比較してガス温度が高くなり、一方、吸脱着塔4から放出された酸素は冷却されたシリカゲルなどの吸着剤中を通過してくるため、吸脱着塔4の入り口に導かれた時と比較してガス温度が低くなる。
そこで、熱交換器28においてこれらのガスが有する冷熱と温熱を熱交換する。これにより、吸脱着塔4にオゾンを吸着させる際に、オゾン化酸素から放出される温熱を少なくすることができと共に、酸素ガスが吸脱着塔4内の吸着剤から奪う冷熱を減らすことができる効果がある。また、吸脱着塔4を−40℃以下に冷却するのに必要なエネルギーを低減化することができる効果がある。
参考例7.
上記各参考例では循環系の圧力調整については特に考慮に入れなかったが、本参考例では循環系に圧力調節装置を設けて圧力調節を行う。図12は本参考例によるオゾン貯蔵装置を示す構成図であり、図において、29はオゾン発生機1と吸脱着塔4をつなぐ循環配管内の圧力を調節する圧力調節装置、30は吸脱着塔4をつなぐ循環配管L1の上流側に設けられ吸脱着塔4から漏れ出てくるオゾンを検出するオゾン検出器、31はオゾン検出器30の制御信号を受けて圧力調節装置に制御信号を送るコントローラである。
次に動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを脱着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略してオゾンを吸着する動作について説明する。酸素供給源2より圧力調節装置29を介して、オゾン発生機1、循環ブロア3、吸脱着塔4を連結している循環配管L1内がある圧力になるように酸素を供給する。
切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環配管L1内に酸素を流通させると、酸素がオゾン発生機1の放電空隙中を通過する間に、酸素は無声放電により一部はオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、このオゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送される。吸脱着塔4内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−3を介して循環ブロア3に返送される。なお、オゾンとして消費された分の酸素は酸素供給源2より補充される。
吸脱着塔4内の吸着剤にオゾンがある程度吸着されてくると、吸着剤の吸着破過現象が起こりはじめ、オゾンが吸脱着塔4から漏れ出してくる。このようにしてオゾンが吸脱着塔4から漏れだしてくると、吸脱着塔4を連結している循環配管L1の上流側に設けられたオゾン検出器30がオゾンの漏れを感知して、オゾン検出器30からコントローラ31に制御信号が送られる。
コントローラ31は圧力調節装置29に制御信号を送り、循環配管L1内の圧力を高くする。この時、吸脱着塔4に供給されるオゾン化酸素中のオゾン分圧が絶えず上昇するように、循環配管L1内の圧力を高めていく。この動作を繰り返して、最終的な圧力に達するようにする。
次に、オゾンを吸着貯蔵する際の吸脱着塔4内の圧力の影響についての実験例を図13、14を用いて説明する。
図13はオゾン吸着量と吸脱着塔4に送り込むオゾン化酸素の圧力の関係を示す図である。図13に示す関係から、オゾン化酸素の圧力が大きくなるに連れてオゾン吸着量は増大することが認められた。一方、図14はオゾン発生効率と原料酸素の供給圧力の関係を示した図である。図14に示す関係から、原料酸素の供給圧力が上昇するにつれて、オゾンの発生効率が低下することが認められた。
従って、循環配管L1内の圧力を上げると、吸着剤にオゾンを効率的に貯蔵することができるが、オゾンを生成するのに必要な電力量が増大することがわかる。即ち、図15のオゾン生成消費電力の時間変化に示したように、最終的なオゾン吸着量は同じとなるが、吸着開始時から目標圧力に設定して吸着動作を行うよりも、吸着開始時から徐々に圧力を上昇させて吸着動作を行う方が、吸着操作時間帯にオゾン生成に要する電力量を低減化することができる。
また、吸着動作を行う際の最終到達圧力は、吸脱着塔4内の圧力を高く設定しすぎると、酸素分圧も増加するため、吸着剤への酸素の吸着量が増加して、オゾン吸着量の増加率が鈍ってくるので、絶対圧力で4±2kg/cm2程度とするのが最も効率的である。
したがって、吸脱着塔4に供給するオゾン化ガス中のオゾン分圧を段階的に高めるようにしてオゾンを貯蔵することにより、オゾン貯蔵時に要するエネルギーを低減できる効果がある。
参考例8.
参考例7では、吸脱着塔4から漏れ出てくるオゾンをオゾン検出器30で検出して、圧力調節装置29でガス循環配管L1内の圧力を徐々に高めていく場合の例を示したが、図16に示したように、圧力調節装置29をタイマ32で駆動するようにし、時間が経過するにつれて、循環経路内の圧力が徐々に上昇するようにしても同様の効果が得られる。
また、圧力調節装置29をあらかじめ用意したプログラムにしたがって圧力を上げていくように動作させても同様の効果が得られる。更に、この結果オゾン検出器30やコントローラ31をなくすことができ、設備費用を低減できる効果がある。
参考例9.
上記参考例8では循環系の圧力を一定にするよう構成したが、本参考例では循環配管L1内に流れるガス流量を調節するようにした。図17は本参考例に係るオゾン貯蔵装置を示す構成図であり、尚、図中、図16と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、33は循環配管L1内に流れるガス(酸素)流量を調節する流量制御装置である。
次に本参考例の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを脱着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略してオゾンを吸着する動作について説明する。酸素供給源2より循環配管L1内が常時一定圧力になるように酸素を供給する。
この時の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環配管L1内に酸素を流通させると、酸素はオゾン発生機1の放電空隙中を通過する間に無声放電により一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、このオゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送される。吸脱着塔4内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−3を介して循環ブロア3に返送される。なお、オゾンとして消費された分の酸素は酸素供給源2より補充される。
吸脱着塔4内の吸着剤にオゾンがある程度吸着されてくると、吸着剤の吸着破過現象が起こりはじめ、オゾンが吸脱着塔4から漏れ出してくる。このようにしてオゾンが吸脱着塔4から漏れだしてくると、オゾン検出器30がオゾンの漏れを検出して、オゾン検出器30から流量制御装置33に制御信号を送り、循環配管L1内に流れるガス流量を少なくして、吸脱着塔4の入り口に到達するオゾン化酸素中のオゾン濃度を高めていくようにする。この時、吸脱着塔4に供給されるオゾン化酸素中のオゾン分圧が絶えず上昇するように、循環配管L1内の流量を徐々に少なくしていく。この動作を繰り返して、最終的なオゾン濃度に達するようにする。
次に、オゾンを吸着貯蔵する際の吸脱着塔4に供給するオゾン化酸素中のオゾン濃度の影響について実験例を図18、19を用いて説明する。
図18はオゾン吸着量と吸脱着塔4に送り込むオゾン化ガスのオゾン濃度の関係を示した図である。この図から、オゾン濃度が大きくなるに連れてオゾン吸着量は増大することが認められた。
一方、図19はオゾン発生効率と生成されるオゾン化酸素中のオゾン濃度の関係を示した図である。この図から、オゾン化酸素中のオゾン濃度を高めていくに連れて、オゾンの発生効率が低下することが認められた。したがって、吸脱着塔4入り口に達するオゾン化酸素中のオゾン濃度を上げると、吸着剤にオゾンを効率的に貯蔵することができるが、オゾンを生成するのに必要な電力量が増大することがわかる。
すなわち、図20のオゾン生成消費電力の時間変化に示したように、最終的なオゾン吸着量は同じとなるが、吸着開始時から目標オゾン濃度に設定して吸着動作を行うよりも、吸着開始時から徐々にオゾン濃度を上昇させて吸着動作を行う方が、吸着操作時間帯にオゾン生成に要する電力量を低減化することができる。
したがって、吸脱着塔4に供給するオゾン化酸素中のオゾン分圧を段階的に高めるようにしてオゾンを貯蔵することにより、オゾン貯蔵時に要するエネルギーを低減できる効果がある。
上記参考例では、オゾン濃度を検出して、流量制御装置33を用いて吸脱着塔4に供給されるオゾン濃度を徐々に上げていく場合の例を示したが、流量制御装置33をタイマ(図示しない)で駆動するようにし、時間が経過するに連れて、循環配管L1内に流れるガス流量を徐々に減少するようにしても同様の効果が得られる。
また、流量制御装置33をあらかじめ用意したプログラムにしたがって、ガス流量を減少させていくように動作させても同様の効果が得られる。更に、タイマ(図示しない)の使用により、オゾン検出器30をなくすことができ、設備費用を低減できる効果がある。
参考例10.
参考例10では、吸脱着塔4から漏れ出てくるオゾンをオゾン検出器30で検出し、流量制御装置33で循環配管L1内に流れるガス流量を徐々に少なくしてオゾン濃度を高めていく場合の例を示した。しかし、図21に示したように、吸脱着塔4から漏れ出てくるオゾンをオゾン検出器30で感知してオゾン発生機1に供給される電力を増大させていく電力制御装置34を設け、電力の増大と共にオゾン化酸素の発生を促進して吸脱着塔4に供給されるオゾン濃度を徐々に高めるようにしても同様の効果が得られる。
本参考例では、オゾン濃度を感知して、電力制御装置34を用いて吸脱着塔4に供給されるオゾン濃度を徐々に上げていく場合の例を示したが、電力制御装置34をタイマ(図示しない)で駆動するようにし、時間が経過するにつれて、吸脱着塔4に供給されるオゾン化酸素中のオゾン濃度が徐々に増加するようにしても同様の効果が得られる。
また、電力制御装置34をあらかじめ用意したプログラムに従って増大させ、オゾン化酸素中のオゾン濃度を増加させていくように動作させても同様の効果が得られる。
実施の形態1.
上記参考例7ないし10では、酸素供給源2は循環系に酸素を供給していたが、本実施の形態に係るオゾン貯蔵装置はオゾン脱着時に酸素の流量を調節しながら吸脱着塔4に酸素を供給する。図22は本実施の形態に係るオゾン貯蔵装置を示す構成図である。尚、図中、図12と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、35は酸素流量制御装置であり、この酸素流量制御装置35はオゾン脱着時において酸素供給源2より吸脱着塔4に供給される酸素の流量を調節する。
次に本実施の形態の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを吸着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略して吸脱着塔4の吸着剤がオゾン飽和吸着量近くまで吸着すると次に脱着動作へ移行する。脱着動作ではオゾン発生機1、循環ブロア3、冷熱源5が稼動を停止し、切り換え弁8−1、8−2、8−3、8−4が閉じる。
その後、まず、ガス吸引ポンプ13が稼働し始めると共に、オゾンガス流量調節装置12が徐々に開き、オゾンがガス混合器17に供給される。それに合わせるように、ガス混合器17には媒体ガス製造機16から媒体ガスも供給され、ガス混合器17内でオゾンと混合されてオゾン含有ガスとして、オゾン消費物体15に送られる。
オゾンが吸脱着装置から十分に出てくる脱着初期には、ガス混合器17から放出されたオゾン含有ガス中のオゾン濃度がオゾン濃度計18によって計測され、制御装置19に制御信号が送られる。オゾン濃度が設定オゾン濃度よりも高い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し閉じられると共に、ガス吸引ポンプ13にも制御信号が送られ、吸脱着塔4からオゾンを引き抜く力が弱められることによって、吸脱着塔4からのオゾンの放出量が減少し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が低くなる。
一方、設定オゾン濃度よりも低い場合は、制御装置19よりオゾンガス流量調節装置12に制御信号が送られて、オゾンガス流量調節装置12が少し開かれると共に、ガス吸引ポンプ13にも制御信号が送られ、吸脱着塔4からオゾンを引き抜く力が強められることによって、吸脱着塔4からのオゾンの放出量が増加し、オゾン含有ガス中のオゾン濃度が高くなる。この時、制御装置19はオゾンのガス混合器17への流入量の変化に合わせて、媒体ガス製造機16に制御信号を送り、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量を設定流量に合わせている。
これにより、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給することができるようになる。
脱着後半となり、ガス吸引ポンプ13によって吸脱着塔4から引き出されるオゾン量が少なくなると共に、ガス吸引ポンプ13のガス吸引能力が最大に達すると、酸素流量制御装置35が徐々に開きはじめ、酸素供給源2から吸脱着塔4に酸素が供給され始める。吸脱着塔4内に酸素が供給され始めるとガス置換現象が起こり、再び吸脱着塔4からのオゾンの脱着が活発となる。
この時、オゾンの脱着量は酸素の流量によって制御することができる。すなわち、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガスの流量を一定とするために、媒体ガス製造機16からガス混合器17に送られる媒体ガスの流量を徐々に減少させていくとともに、吸脱着塔4に供給する酸素量を徐々に増大させていくことにより、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスがオゾン消費物体15に一定量ずつ供給し続けることができる。
このように、吸脱着塔4内を負圧状態に保ちながら、酸素を吸脱着塔4に供給してオゾンを脱着させるようにしたことにより、吸脱着塔4に酸素を単に送り込むだけのガスパージ方式と比べると、使用する酸素量を低減化でき、吸脱着塔4から酸素が奪う冷熱をへらすことができると共に、酸素を吸脱着塔4に供給する際に必要な動力を低減化することができる効果がある。
また、ガス吸引ポンプ13でオゾンを取り出すだけのガス吸引方式と比べると、ガス吸引ポンプ13を駆動するための動力を低減化することができるとともに、ガス吸引ポンプ13の吸引能力を低下させることができてガス吸引ポンプ13を小型化することができる効果がある。
上記実施の形態では、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度を、オゾン濃度計18によって検出して制御装置19に制御信号を送り、制御装置19がオゾンガス流量調節装置12、ガス吸引ポンプ13、媒体ガス製造機16および酸素流量制御装置35の動作を変更させるようにして、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給していく場合の例について示したが、オゾンガス流量調節装置12、ガス吸引ポンプ13、媒体ガス製造機16および酸素流量制御装置35を、予め設定したプログラムに従って動作させるようにしても同様の効果が得られる。
また、これにより、オゾン濃度計18や制御装置19をなくすことができ、設備費用を低減できる効果がある。
また、本実施の形態では、オゾン消費物体15に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度を、オゾン濃度計18によって検出して制御装置19に制御信号を送り、制御装置19がオゾンガス流量調節装置12、ガス吸引ポンプ13、媒体ガス製造機16および酸素流量制御装置35の動作を変更させるようにして、一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスがオゾン消費物体15に一定量ずつ供給していく場合の例について示した。
だが、オゾン放出手段を構成する吸引ポンプ13を、図5に示すように吸脱着塔4から放出されるオゾン量を制御するオゾンガス流量調節装置12と吸脱着塔4内を減圧状態にして吸脱着塔4からオゾンを脱着させるガスエジェクタ21に代えて構成し、また、オゾン濃度制御手段を構成する媒体ガス製造機16とガス混合器17を、図5に示すようにガスエジェクタ21と並行でかつガスエジェクタ21の出入口をつなぐバイパス配管22と、ガスエジェクタ21を駆動させる圧縮媒体ガスを作り出す圧縮ガス製造機23と、ガスエジェクタ21とバイパス配管22に流れる圧縮媒体ガスの流量比を調節する二方向流量調節弁24に代えて構成することもできる。
この結果、制御装置19はオゾン濃度計18からの制御信号を受けてオゾンガス流量調節装置12、圧縮ガス製造機23および二方向流量調節弁24に制御信号を送ることで、参考例2と同様に一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスをオゾン消費物体15に一定量ずつ供給することができる。
また、酸素を吸脱着塔4に供給するようにするので、吸脱着塔内に充填された吸着剤に酸素以外の物体が吸着されることが防がれ、吸着剤の性能低下を防ぐことができ、吸着剤の寿命を延ばすことができる効果がある。
実施の形態2.
実施の形態1では、脱着時に酸素供給源2より吸脱着塔4に酸素を供給する場合の例を示したが、図23に示すように、酸素供給源2に代えて深冷分離装置20で製造した液体酸素を気化させて作った冷却酸素を、脱着時に吸脱着塔4に供給するようにしても同様の効果が得られる。
また、冷却された酸素を吸脱着塔4に供給するようにするので、吸脱着塔4から冷熱を奪うことが防げ、吸脱着塔4内が温度上昇することが防止され、再び吸着動作に移った時に吸脱着塔4を冷却するのに必要なエネルギーを低減化することができる効果がある。
参考例11.
上記実施の形態2では深冷分離装置20で空気より分離され冷却された酸素が吸脱着塔4に供給して吸脱着塔4内の温度上昇を防止した。本参考例では吸脱着塔4より再循環される酸素の一部を冷却して吸脱着塔4に供給する。
図24は本参考例によるオゾン貯蔵装置を示す構成図である。尚、図中、図22と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、36は循環ブロワ3の下流側におきてオゾン発生機1と並列に配管されたガス冷却用配管、37は循環ブロワ3を通してオゾン発生機1に再循環される酸素の一部をガス冷却用配管36を通して導入して冷却し、吸脱着塔4に供給する冷却装置、38はガス冷却用配管36内を流れる酸素の流量を調節する流量計である。
次に本参考例の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、オゾンを脱着する動作に関しては、前述した参考例1と同じであるため、ここでは省略してオゾンを吸着する動作について説明する。
酸素供給源2より循環系内が常時一定圧力になるように酸素を供給する。この時の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。切り換え弁8−3と8−4が開いた状態で、循環ブロア3により循環系内に酸素を流通させると、オゾン発生機1の放電空隙中を酸素が通過する間に無声放電により、酸素の一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、オゾン化酸素は吸脱着塔4へ搬送される。吸脱着塔4内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−3、循環ブロア3を介して、循環配管L1と冷却用配管36に分岐される合流地点に導かれる。なお、オゾンとして消費された分の酸素は酸素供給源2より補充される。
分岐点では、流量計38に設定された流量に合った流量の酸素が冷却用配管36内に流れ込み、残された酸素は循環配管L1内を流れて、オゾン発生機1に返送される。冷却用配管36に流れ込んだ酸素は、冷却装置37によって十分冷却され吸脱着塔4の入り口付近の循環配管L1との合流地点に導かれる。
その合流地点で、オゾン発生機1で作られたオゾン化酸素と冷却酸素が混合され、冷却されたオゾン化酸素として吸脱着塔4内に供給される。
この際、冷却されたオゾン化酸素は、吸脱着塔4内に充填された吸着剤を冷却し、その冷却された吸着剤にオゾン化酸素中のオゾンが吸着された後に余剰の酸素が吸脱着塔4から放出される。
これにより、吸脱着塔4内に充填されている吸着剤を直接冷却でき、吸着剤を効率的に冷却できると共に、吸着操作時に吸脱着塔4を冷却するのに必要なエネルギーを低減化できる効果がある。
上記参考例では、吸脱着塔4から放出された酸素をオゾン生成用と吸着剤冷却用に分離して、効率的に吸着操作を行っていく場合の例について示したが、循環配管L1中のオゾン発生機1の出口に冷却装置35を設け、循環配管L1内に流れるガス全体を冷却するようにして、冷却されたオゾン化酸素を吸脱着塔4に供給するようにしても同様の効果が得られる。しかし、オゾン発生機1で昇温されたオゾン化酸素全てを冷却するだけのエネルギーが必要となり、上記参考例に示した一部のオゾン化酸素のみがオゾン発生機1で昇温される場合と比較すると、大きなエネルギーが必要となる。
参考例12.
上記実施の形態1〜2および参考例1〜11では吸脱着塔4が1基の場合のオゾン貯蔵装置について説明したが、本参考例では吸脱着塔4を3基直列に接続し、所定の吸脱着塔4から放出された酸素を次の吸脱着塔4に流れ込むようにしてその吸脱着塔4でオゾンを吸着させる。
図25は本参考例に係るオゾン貯蔵装置を示す構成図である。尚、図中、図24と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、4−1〜4−3は第1ないし第3の吸脱着塔であり、各吸脱着塔4−1〜4−3の内筒の酸素入り側は切り換え弁40−1〜40−3を通して配管でオゾン発生機1の酸素出側につながれている。
また各吸脱着塔4−1〜4−3のオゾン化酸素出側は切り換え弁8−7〜8−10より循環ブロワ3を途中に設けた配管を通してオゾン発生機1のオゾン化酸素出側につながれている。従って、各吸脱着塔4−1〜4−3の内筒には切り換え弁40−1〜40−2、8−7〜8−10及び循環ブロワ3を通して酸素が循環される。
各吸脱着塔4−1〜4−3の外筒の冷却剤入り側及び出側は切り換え弁8−1〜8−6を通し、循環配管L2で冷熱源5につながれている。従って、各吸脱着塔4−1〜4−3の外筒には切り換え弁8−1〜8−6及び循環配管L2を通して冷却剤が循環される。
第1の吸脱着塔4−1のオゾン化酸素出側に設けた切り換え弁8−10の出側と第2の吸脱着塔4−2の酸素入り側に設けた切り換え弁8−13の出側との間は途中切り換え弁40−2を設けた配管39−2でつながれている。
第2の吸脱着塔4−2のオゾン化酸素出側に設けた切り換え弁8−8の出側と第3の吸脱着塔4−3の酸素入り側に設けた切り換え弁8−14の出側との間は途中切り換え弁40−1を設けた配管39−1でつながれている。
循環配管L1と配管39−2の結合点の後と、循環配管L1と配管39−1の結合点の後にはそれぞれ切り換え弁8−11、8−12が設けられている。これら切り換え弁8−11、8−12は通常開いており、切り換え弁8−10、8−11より放出された酸素を循環ブロワを通してオゾン発生機1に循環させる。
また、切り換え弁40−2が開いた時には切り換え弁8−11を閉じて切り換え弁8−10より放出されたオゾン化酸素を第2の吸脱着塔4−2に供給する。
更に、切り換え弁40−1が開いた時には切り換え弁8−12を閉じて切り換え弁8−8より放出されたオゾン化酸素を第3の吸脱着塔4−3に供給する。
次に本参考例の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作がある。
まず、オゾンを吸着する動作について説明する。酸素供給源2より循環系内が常時一定圧力になるように酸素を供給する。この時の圧力は通常1.5〜2.0kg/cm2に維持されている。
切り換え弁8−9、8−10、8−11と8−12が開いた状態で、循環ブロア3により循環配管L1内に酸素を流通させると、オゾン発生機1の放電空隙中を酸素が通過する間に無声放電により酸素の一部がオゾンに変換されてオゾン化酸素になり、このオゾン化酸素はまず第1の吸脱着塔4−1へ搬送される。第1の吸脱着塔4−1内の吸着剤は、オゾン化酸素よりオゾンを選択的に吸着し、残りの酸素は切り換え弁8−10、8−11、8−12を介して循環ブロア3に返送される。なお、オゾンとして消費された分の酸素は酸素供給源2より補充される。
次に、第1の吸脱着塔4−1での吸着操作が終了に近づき、第1の吸脱着塔4−1からオゾンが漏れ出してくると、切り換え弁8−11が閉じると共に、切り換え弁8−8と40−2が開き、第1の吸脱着塔4−1から放出されたオゾン化酸素が第2の吸脱着塔4−2に供給され吸着操作が開始される。
また、第2の吸脱着塔4−2での吸着操作が終了に近づき、第2の吸脱着塔4−2からオゾンが漏れ出してくると、切り換え弁8−12が閉じると共に、切り換え弁8−7と40−1が開き、第2の吸脱着塔4−2から放出されたオゾン化酸素が第3の吸脱着塔4−3に供給され吸着操作が開始される。そして、この動作が繰り返されて、複数塔ある吸脱着塔4にオゾンが次々と貯蔵されていく。これにより、生成したオゾンを効率よく貯蔵できる効果がある。
また、第1の吸脱着塔4−1が平衡吸着状態(第1の吸脱着塔4−1から放出されるオゾン化酸素中のオゾン濃度が、供給したオゾン化酸素中のオゾン濃度に近い値で一定となった状態)に達した時、切り換え弁8−9、8−10と40−2が閉じると共に、切り換え弁8−13が開き、第2の吸脱着塔4−2にオゾン化酸素が直接供給されるようになる。
そして、この動作が繰り返されて、複数基ある吸脱着塔4−1〜4−3にオゾンが貯蔵されていく。このようにしてオゾンを貯蔵することにより、オゾン化酸素を吸脱着塔4−1〜4−3に供給する際の圧力損失を低減することができ、循環ブロワ3の負荷が低減され、オゾン吸着操作時に使用するエネルギーを低減することができる効果がある。
この際、吸脱着塔4−1ないし4−3が平衡吸着状態に達したどうかの判断は、吸脱着塔4−1〜4−3から放出されるオゾン化酸素中のオゾン濃度をモニタリングすることによって行っても良いし、平衡吸着状態に達する時間をあらかじめ調べておいてタイマ(図示しない)を用いてオゾン化酸素が直接供給されるようにしても良い。
次に、本参考例による直列連結貯蔵方法について説明する。吸脱着塔4からオゾンが漏れ出してきた(吸着破過時間に達した)時のオゾンの吸着量は、吸脱着塔4内の吸着剤が吸着平衡に達した時のオゾン吸着量の40%程度であることが実験から認められた。したがって、吸着平衡に達するまでオゾンを吸着させると、単位重量当たりの吸着剤に吸着されるオゾンの吸着効率を高めることができ、吸脱着塔4をコンパクト化することができる。しかし、吸着に用いられないで吸脱着塔4から排出されるオゾン量が増大するために、オゾンの使用効率が低下する。
したがって、本参考例のように第1の吸脱着塔4−1から漏れ出てきたオゾン化酸素を用いて第2の吸脱着塔4−2にオゾンを吸着貯蔵させていくことにより、生成したオゾンを効率よく使用できると共に、第1の吸脱着塔4−1内に充填された吸着剤が平衡吸着状態に達するまでオゾンを吸着できるため、単位重量当たりの吸着剤に吸着されるオゾンの吸着効率を高めることができる。すなわち、吸脱着塔4が1基の場合と同様に最終段の吸脱着塔4から漏れ出てくるオゾンを吸着に用いることができないが、生成したオゾンを効率的に貯蔵することができる。また、オゾンの吸着効率が向上することにより、吸脱着塔4を小さくすることができる。
吸着を行う際、オゾン注入が開始される直前に、吸脱着塔4の冷却を開始することがエネルギー的に効率的である。但し、吸脱着塔4内の温度が設定温度に達するまで、オゾン吸着後に吸脱着塔4から放出されるオゾン化酸素中のオゾン濃度を、常に所定濃度以下に維持するようにしてオゾンを吸着貯蔵することが重要である。
なお、オゾンの充填が終了した吸脱着塔4は吸着作業が終了するまで、設定温度に冷却された状態で保持しておく。
最終段の第3の吸脱着塔4−3から放出されるオゾン化酸素中のオゾン濃度が設定した濃度以上になると次に脱着動作へ移行する。脱着動作ではオゾン発生機1、循環ブロア3、冷熱源5が稼動を停止し、切り換え弁8−1、8−2、8−7、8−14が閉じる。その後、ガス吸引ポンプ13が稼働し始めると共に、オゾンガス流量調節装置12が徐々に開き、オゾンがガス混合器17に供給される。それに合わせるように、ガス混合器17には媒体ガス製造機16から媒体ガスも供給され、ガス混合器17内で混合されてオゾン含有ガスとして、オゾン消費物体15に送られる。
このようにオゾンを脱着して、第3の吸脱着塔4−3の脱着操作が終了に近づくと、切り換え弁40−1と8−8が開いて第2の吸脱着塔4−2に蓄えられたオゾンが第3の吸脱着塔4−3に送り込まれる。このとき、第3の吸脱着塔4−3に流れ込んだオゾンが第3の吸脱着塔4−3内の吸着剤に再度吸着され、第3の吸脱着塔4−3がバッファ(緩衝装置)の役割をすることにより、脱着初期にオゾンが大量に放出されることが防止される。このように常に第3の吸脱着塔4−3を通過するようにして、1基ずつ吸脱着塔4からオゾンを脱着させることにより、安定的に一定濃度のオゾンを含んだオゾン含有ガスがオゾン消費物体15に供給されることができるようになる。
本参考例では、最初にオゾンを取り出す第3の吸脱着塔4−3を除いた残りの複数吸脱着塔4からオゾンを取り出す時、オゾンを脱着させる吸脱着塔4と第3の吸脱着塔4−3の2基を直列に連ねて、オゾンを取り出す場合について示したが、脱着を開始する前に全ての吸脱着塔4を直列に連ねて、その後第3の吸脱着塔4−3からオゾンを取り出すようにしても良い。
これにより、脱着開始から終了まで連続的にオゾンを脱着させることができ、オゾンの脱着制御が容易となる効果がある。しかし、この場合後方に接続されている吸脱着塔4からオゾンを脱着させる時ほど、通過しなければならない吸脱着塔4の数が増加することにより、オゾンの分解量が増え、取り出されるオゾン量が減少する。また、オゾンを吸引する際の圧力損失が増大するため、大容量のガス吸引ポンプ13が必要となるといった問題を有する。
また、まず第3の吸脱着塔4−3からオゾンの取り出しを行い、脱着量が低下してくると、第2の吸脱着塔4−2を第3の吸脱着塔4−3に直列につないで、オゾンの取り出しを行い、また脱着量が低下してくると、第1の吸脱着塔4−1を直列に連結して、オゾンを取り出していくといったように、次々と吸脱着塔4を連ねていき、最終的には全ての吸脱着塔4が直列につながるようにして、オゾンを取り出すようにしても良い。
これにより、1基ずつの吸脱着塔4から単独にオゾンを取り出す場合と比べて、オゾン消費物体15に供給するオゾン化酸素中のオゾン濃度の制御が容易となる効果がある。しかし、この場合も一度に全ての吸脱着塔4を直列に連結する場合と同様に、後方に接続されている吸脱着塔4からオゾンを脱着させる時ほど、通過しなければならない吸脱着塔4の数が増加することにより、オゾンの分解量が増え、取り出されるオゾン量が減少する。また、オゾンを吸引する際の圧力損失が増大するため、大容量のガス吸引ポンプ13が必要となるといった問題を有する。
参考例13.
上記各実施の形態および各参考例では装置の停電時の安全策について述べていなかったが、本参考例で装置の停電時に吸脱着塔4に貯蔵されたオゾンを、オゾン分解剤によって分解しオゾンを含まないガスとして空気中に放出する。
図26は本参考例によるオゾン貯蔵装置を示す構成図である。尚、図中、図24と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、41はオゾンを分解するオゾン分解剤が充填されているオゾン分解搭であり、このオゾン分解搭41は途中に非通電時開型電磁弁43−2を設けた配管45により吸脱着塔4のオゾン化酸素出側とつながれている。
42は非常時に備えて圧縮ガスを蓄えておく圧縮ガス貯留タンクであり、この圧縮ガス貯留タンク42は途中に非通電時開型電磁弁43−1を設けた配管45により吸脱着塔4の酸素入側とつながれている。通常、オゾン分解塔41には、活性炭やセカードなどのオゾン分解剤が充填されている。
次に動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、これらの動作は参考例1と同様であるため、ここでは省略して停電時におけるオゾン貯蔵装置の動作について説明する。吸着動作時において停電が起きると、図示しない制御装置の動作によりオゾン発生機1、循環ブロア3、冷熱源5が稼動を停止し、切り換え弁8−1、8−2、8−3、8−4が閉じる。
次に、非通電時開型電磁弁43−1が開き、圧縮ガス貯留タンク42に蓄えられた圧縮ガスが吸脱着塔4に供給される。この圧縮ガスのパージによって吸脱着塔4内に蓄えられたオゾンが吸着剤より脱着されて、オゾン含有ガスとなり開かれた非通電時開型電磁弁43−2を通してオゾン分解塔41に導かれる。オゾン分解塔41では、オゾンがオゾン分解剤によって分解されて、オゾンを含まないガスとして空気中に放出される。
この結果、吸着剤に吸着されているオゾンが温度上昇によって脱着して、吸脱着塔4内に充満し吸脱着塔4内のオゾン濃度が高濃度になって、爆発が起きる事故を未然に防ぐことができる。なお、一般に、ガス中ではオゾン濃度が重量%濃度で30重量%程度になると、非常に危険であるとされている。
上記参考例では、停電が発生すると、非通電時開型電磁弁43ー1、43−2がすぐに作動するようにした場合について示したが、機械式のタイマ(図示しない)を備え付けておき停電発生からある時間経過した後、非通電時開型電磁弁43が作動するようにしても同様の効果が得られる。また、停電が比較的早く回復した場合、すぐに停電直前の状態に戻すことが可能となり、効率的な運用を行うことができる効果がある。
参考例14.
上記参考例13では停電が発生すると、圧縮ガス貯留タンク42に蓄えられた圧縮ガスが吸脱着塔4に供給され、この圧縮ガスのパージによって吸脱着塔4内に蓄えられたオゾンが吸着剤より脱着されてオゾン含有ガスとなりオゾン分解塔41に導いていた。
本参考例では、停電時に吸着剤に吸着されているオゾンが温度上昇によって脱着した際に、吸脱着塔4内の圧力が上昇することを有効利用して吸脱着塔4からオゾン化酸素が放出してオゾン分解塔41に導くようにする。
図27は本参考例によるオゾン貯蔵装置を示す構成図である。図中、図26と同一符号は同一または相当部分を示す。図において、44はオゾン分解塔41と吸脱着塔4をつなぐ配管45の途中に設けられた圧力駆動型安全弁である。
次に本参考例の動作について説明する。この動作にはオゾンを吸着する動作およびオゾンを脱着する動作の二動作があるが、これらの動作は参考例1と同様であるため、ここでは省略して冷熱源5である冷凍機などに不具合が発生した場合の動作について説明する。
吸着動作時に停電が起きると、冷熱源5、オゾン発生機1、循環ブロア3が稼動を停止し、切り換え弁8−1、8−2、8−3、8−4が閉じる。そして冷熱源5の稼働停止により、吸着剤に吸着されているオゾンが温度上昇によって脱着してオゾンの充満して吸脱着塔4内の圧力が上昇してくる。その結果、圧力駆動型安全弁44が動作を開始して、吸脱着塔4からオゾン化酸素が放出されオゾン分解塔41に導かれる。オゾン分解塔41では、オゾンがオゾン分解剤によって分解されて、オゾンを含まないガスとして空気中に放出される。
この際、吸脱着塔4内のオゾン濃度が30重量%になる時の圧力値をあらかじめ調べておき、その値に達する前に圧力駆動型安全弁44が駆動するように良いし、吸脱着塔4内のオゾン濃度を調べるオゾン濃度計を装備しておき、その値に応じて圧力駆動型安全弁44が駆動するようにしても良い。
これにより、吸着剤に吸着されているオゾンが温度上昇によって脱着して、吸脱着塔4内に充満し吸脱着塔4内のオゾン濃度が高濃度になって、爆発が起きることを未然に防ぐことができる。