JP5186602B2 - ガラス板製造方法およびガラス板製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダウンドロー法を用いてガラス板を製造するガラス板製造方法およびこの製造方法に特に好適に用いられるガラス板製造装置に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」という。)では、ガラス基板として、厚さが例えば1.0mm以下と薄いガラス板が用いられている。近年では、FPDガラス基板用のガラス板の大型化が進んでおり、例えば第8世代と呼ばれるガラス板のサイズは2200mm×2500mmである。
このようなFPDガラス基板用ガラス板を製造するには、ダウンドロー法が最もよく使用される。例えばオーバーフローダウンドロー法では、溶融ガラスを成形装置の溝からオーバーフローさせることで帯状のガラスリボンが連続的に成形される。その際、ガラスリボンが下方へ引き下げられ、その引き下げ速度によって厚みの調整が行われる。その後、ガラスリボンが所定長さで切断されて、ガラス板が製造される。
例えば、特許文献1には、図10に示すようなガラス板製造装置の一部である成形ユニットが開示されている。この成形ユニットは、成形装置7と、成形装置7を取り囲む断熱構造体8とを備えている。断熱構造体8は、成形装置7の回りに高温の空気を保つことにより成形装置7からオーバーフローする溶融ガラスの温度を維持するためのものであり、通常は、ガラスリボンを通過させるゲート81以外は密閉構造とされる。
具体的に、特許文献1に開示された成形ユニットでは、断熱構造体8が、下方に開口する容器状の主体8Aと、主体8Aの開口を塞ぐように配置されたゲート構成体8Bで構成されている。ゲート構成体8Bの内部は空洞となっており、このゲート構成体8Bの内部には冷却管82を通じて冷却用空気が供給されるようになっている。これにより、特許文献1に開示された成形ユニットでは、ガラスリボン9を形成直後から冷却できるようになっている。
さらに、特許文献1に開示された成形ユニットでは、ゲート構成体8Bに、冷却管82からの冷却用冷気を主体8Aで覆われる空間内に噴出する噴出口83が設けられ、噴出口83からゲート81に流れ込む冷却用空気によってもガラスリボン9が冷却される。
特表2009−519884号公報
ここで、FPDガラス基板用のガラス板やカバーガラス用のガラス板では、高い表面品質が求められる。そのため、ガラス板の表面に傷が付くことを防止することが重要である。
ところで、溶融状態のガラス(溶融ガラスおよび形成直後のガラスリボン)からは、空気と接する境界面において揮発成分が揮発する。本発明の発明者らは、この現象をダウンドロー法で効果的に利用すれば、ガラス板の両主面に所望の圧縮応力層を形成でき、これによりガラス板の表面に傷が付くことを防止できるのではないかと考えた。
しかしながら、特許文献1に開示された成形ユニットのように、断熱構造体8内に冷却用空気を導入した場合には、成形装置1の壁面上を流下する溶融ガラスも冷却されてしまうため、溶融ガラスの表面からの揮発成分の揮発が抑制される。その結果、応力値の高い圧縮応力層を形成することができず、表面に傷が付き難いガラス板を得ることができない(第1の課題)。
また、特許文献1に開示された成形ユニットのようにゲート81付近に強制対流を生じさせても、それより上側の空気、すなわち主体8Aで覆われる空間内の大部分の空気はその場所に留まるため、溶融ガラスからの揮発成分の揮発が抑制されることに変わりない(第2の課題)。
本発明は、このような事情に鑑み、表面に傷が付き難いガラス板を得ることができるガラス板製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この製造方法に特に好適に用いられる、成形装置からオーバーフローする溶融ガラスからの揮発成分の揮発を促進させることができるガラス板製造装置を提供することを目的とする。
前記第1の課題を解決するために、本発明は、ガラス原料を融解させて溶融ガラスを得る溶融工程と、ダウンドロー法により、前記溶融ガラスからガラスリボンを形成する成形工程と、前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程と、前記ガラスリボンを冷却する除冷工程と、前記ガラスリボンを切断してガラス板を得る切断工程と、を含む、ガラス板製造方法を提供する。
前記第2の課題を解決するために、本発明は、溶融ガラスを溝の両側からオーバーフローさせ、そのオーバーフローした溶融ガラス同士を壁面で誘導して融合させることによりガラスリボンを形成する成形装置と、前記成形装置を取り囲むとともに前記成形装置によって形成された前記ガラスリボンを通過させるゲートを有する断熱構造体と、を備え、前記断熱構造体には、前記溶融ガラスの表面からの揮発成分の揮発を促進させるために、前記断熱構造体外から前記断熱構造体内に導入され、前記成形装置の壁面上を流下する溶融ガラスに沿って上昇した気体を前記断熱構造体外に排出する排出口が設けられている、ガラス板製造装置を提供する。
本発明によれば、両主面に応力値の高い圧縮応力層が形成された、表面に傷が付き難いガラス板を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るガラス板製造方法を実施するガラス板製造装置を示す概略構成図である。 第1実施形態のガラス板製造装置の一部である成形ユニットの断面図である。 図2に示す成形ユニットの斜視図である。 変形例の成形ユニットの断面図である。 別の変形例の成形ユニットの断面図である。 さらに別の成形ユニットの断面図である。 第2実施形態のガラス板製造装置の一部である成形ユニットの断面図である。 実施例1,2のガラス板における深さとSi比率との関係を示すグラフである。 実施例1のガラス板の内部応力と深さとの関係を示すグラフである。 従来のガラス板製造装置の一部である成形ユニットの断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<ガラス板製造方法>
本発明の一実施形態に係るガラス板製造方法は、例えば図1に示すようなガラス板製造装置100によって実施される。このガラス板製造装置100は、溶融槽51、清澄槽52、成形装置1および成形装置1を取り囲む断熱構造体2を備えている。溶融槽51では、ガラス原料を融解させて溶融ガラス3を得る溶融工程が行われ、清澄槽52では、溶融ガラス3を清澄する清澄工程が行われる。成形装置1は、成形工程を行うものであり、オバーフローダウンドロー法により溶融ガラス3からガラスリボン4を形成する。断熱構造体2では、溶融ガラス3の表面、場合によっては溶融ガラス3および形成直後のガラスリボン4の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程が行われる。また、ガラス板製造装置100は、成形装置1により形成されたガラスリボン4を下方へ引き下げるローラ対を含む引き下げ装置と、ガラスリボン4を冷却する冷却工程を行う冷却装置(図示せず)と、ガラスリボン4を所定長さで切断してガラス板を得る切断工程を行う切断装置(図示せず)とを備える。なお、図示はしないが、清澄槽52と成形装置1の間に、攪拌翼などによって溶融ガラス3を攪拌することで、ガラスの均質度を向上させる攪拌装置が配置されていてもよい。
溶融層51に投入されるガラス原料は、ボロシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ソーダライムガラス、アルカリシリケートガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、アルカリアルミノゲルマネイトガラスなどのガラスが得られるように調製されたものを用いることができる。なお、本発明の製造方法により得られるガラスは、上記に限定されるものではなく、少なくともSiO2と揮発成分と、を含むガラスであればよい。
ここで、「揮発成分」とは、SiO2よりも揮発しやすい成分、換言すれば、ガラス溶融温度(ガラスの粘性が1.0×105Pa・s以下となるガラスの温度)における飽和蒸気圧がSiO2よりも高い成分をいう。揮発成分としては、例えば、Al23、B23、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO2、SnO2などを挙げることができるが、これらに限定されない。なお、B23、アルカリ酸化物(Li2O、Na2O、K2O)、およびアルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)は揮発性が高いため、ガラス組成は、そのうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。
これらの揮発成分は、ガラス溶融温度における飽和蒸気圧がSiO2よりも高いため、成形時またはその直後に(ガラスが溶融した状態で)SiO2よりも先に揮発する。つまり、溶融ガラスからガラスリボンが形成される成形工程では、溶融ガラスの表面においてSiO2以外の成分が揮発するので、結果的に、成形後のガラス板の表面には、Si原子の含有量がガラス内部のSi原子の含有量よりも多くなるシリカリッチ層が形成される。また、ガラス板の表面にシリカリッチ層が形成されると、ガラス板内部との熱膨張率の差により、ガラス板の両主面に圧縮応力層が形成される。
なお、ガラス板の厚さ方向の中心位置におけるガラス組成中の揮発成分の含有量は、質量%で表示して、10%以上(または15%以上)であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上(または40%以上)であることがさらに好ましい。ガラス組成中の揮発成分の含有量が10%未満であると、揮発成分の揮発が促進されず、ガラス板表面にシリカリッチ層や圧縮応力層が形成され難くなる。逆に、揮発成分を多く含有すると、揮発が増加しすぎてしまい、ガラスの均質化が困難になる。そのため、50%以下(または45%以下、42%以下)であることが好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
液晶用のシリケートガラスの一例としては、実質的に以下の組成からなるアルミノボロシリケートガラスがある。なお、本明細書では以降、含有量は全て質量%で表示し、かっこ内にさらに好ましい含有量を示す。また、「実質的に」とは、0.1質量%未満の範囲で工業原料から不可避的に混入する微量成分の存在を許容する趣旨である。
SiO2:50〜70%(55〜65%,57〜64%,58〜62%)
Al23:5〜20%(10〜20%,12〜18%,15〜18%)
23:0〜15%(5〜15%,6〜13%,7〜12%)
MgO:0〜10%(0.01〜5%以上,0.5〜4%,0.5〜2%)
CaO:0〜10%(1〜9%,3〜8%,4〜7%,4〜6%)
SrO:0〜10%(0.5〜9%,3〜8%,3〜7%,3〜6%)
BaO:0〜10%(0〜8%,0〜3%,0〜1%,0〜0.2%)
ZrO2:0〜10%(0〜5%,0〜4%,0〜1%,0〜0.1%)
液晶用のシリケートガラスの別の一例としては、実質的に以下の組成からなるアルミノボロシリケートガラスがある。
SiO2:50〜70%(55〜65%,58〜62%)
Al23:10〜25%(15〜20%,15〜18%)
23:5〜18%(8〜14%,10〜13%)
MgO:0〜10%(1〜5%,1〜2%)
CaO:0〜20%(1〜7%,4〜7%)
SrO:0〜20%(1〜10%,1〜3%)
BaO:0〜10%(0〜2%,0〜1%)
2O:0〜2%(0.1〜2%,0.1〜0.5%)
SnO2:0〜1%(0.01〜0.5%,0.01〜0.3%)
ただし、上記の組成中のSnO2の含有率は、複数の価数を有するSnの成分を全てSnO2として扱って換算した値である。
カバーガラス用のシリケートガラスは、例えば、必須成分として以下の成分を含む。
SiO2:50〜70%(55〜65%,57〜64%,57〜62%)
Al23:5〜20%(9〜18%,12〜17%)
Na2O:6〜30%(7〜20%,8〜18%,10〜15%)
また、任意成分として、以下の成分を含んでいてもよい。
Li2O:0〜8%(0〜6%,0〜2%,0〜0.6%,0〜0.4%,0〜0.2%)
23:0〜5%(0〜2%,0〜1%,0〜0.8%)
2O:0〜10%(1〜6%,2〜5%,2〜4%)
MgO:0〜10%(1〜9%,2〜8%,3〜7%,4〜7%)
CaO:0〜20%(0.1〜10%,1〜5%,2〜4%,2〜3%)
ZrO2:0〜10%(0〜5%,0〜4%,0〜1%,0〜0.1%)
カバーガラス用のシリケートガラスの一例としては、実質的に以下の組成からなるアルカリアルミノシリケートガラスがある。
SiO2:50〜70%
Al23:5〜20%
Na2O:6〜20%
2O:0〜10%
MgO:0〜10%
CaO:2%超〜20%
ZrO2:0〜4.8%
さらに、好ましくは、以下の条件を満たす。
・(SiO2含有量)−(Al23含有量)/2=46.5〜59%
・CaO/RO(ただし、RはMg、Ca、SrおよびBaの中から選ばれる少なくとも1種である。)の含有量比が0.3超
・SrO含有量とBaO含有量の和が10%未満
・(ZrO2+TiO2)/SiO2の含有量比が0〜0.07未満
・B23/R12O(ただし、R1はLi、NaおよびKの中から選ばれる少なくとも1種である。)の含有量比が0〜0.1未満
カバーガラス用のシリケートガラスの別の一例としては、実質的に以下の組成からなるアルカリアルミノシリケートガラスがある。
SiO2:58〜68%
Al23:8〜15%
Na2O:10〜20%
Li2O:0〜1%
2O:1〜5%
MgO:2〜10%
なお、溶融ガラス3も、実質的に上記の各成分から構成されていてもよい。
SiO2はガラスの骨格をなす成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有している。含有量が少なすぎる場合にはその効果が十分に得られず、含有量が多すぎるとガラスが失透を起こしやすくなり、成形が困難になるとともに、粘性が上昇してガラスの均質化が困難になる。
23はガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する成分である。含有量が多すぎると、ガラスの耐酸性が低下してガラスの均質化が困難になる。
Al23はガラスの骨格をなす成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有している。また、イオン交換性能やエッチング速度を高める効果を有している。含有量が少なすぎる場合にはその効果が十分に得られない。一方、含有量が多すぎると、ガラスの粘性が上昇して溶解が困難になるとともに、耐酸性が低下する。
MgOおよびCaOは、ガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する成分である。また、MgおよびCaは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ溶解性を向上するためには有利な成分である。ただしその含有量が多くなりすぎると、ガラスの化学的耐久性が低下する。
SrOおよびBaOは、ガラスの粘性を下げて、ガラスの溶解および清澄を促進する成分である。また、ガラス原料の酸化性を高めて清澄性を高める成分でもある。ただしその含有量が多くなりすぎると、ガラスの密度が上昇し、ガラス板の軽量化がはかれないとともに、ガラスの化学的耐久性が低下する。
Li2Oはイオン交換成分の一つであり、ガラスの粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる成分である。また、Li2Oは、ガラスのヤング率を向上させる成分である。さらに、Li2Oは、アルカリ金属酸化物の中では圧縮応力値を高める効果が高い。しかし、Li2Oの含有量が多くなり過ぎると、液相粘度が低下して、ガラスが失透しやすくなるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、ガラスの熱膨張係数が高くなり過ぎて、ガラスの耐熱衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、ガラス基板の強化を行う工程であるイオン交換処理におけるイオン交換塩の劣化がはやくなるという不都合がある。また、低温粘度が過度に低下することで、化学強化後の加熱工程で応力緩和が発生し、圧縮応力値が低下してしまうため、十分な強度を得ることができない。
Na2Oは、イオン交換成分であり、ガラスの高温粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる必須成分である。また、ガラスの耐失透性を改善する成分である。その含有量が6%未満ではガラスの熔融性が低下し、熔融のためのコストが高くなってしまう。また、イオン交換性能も低下してしまうため、十分な強度を得ることができない。また、熱膨張率が過度に低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。さらに、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、オーバーフローダウンドロー法に適用不可能となるため、安価なガラスの大量生産が困難となる。他方、含有量が20%を超えると、低温粘度が低下し、熱膨張率が過剰となり、耐衝撃性が低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。また、ガラスバランス悪化による耐失透性低下も生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。
2Oは、イオン交換成分であり含有することでガラスのイオン交換性能を向上させることができる成分である。また、K2Oはガラスの高温粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させると同時に、耐失透性を改善する成分でもある。しかし、K2Oの含有量が多くなり過ぎると、低温粘度が低下し、熱膨張率が過剰となり、耐衝撃性が低下するため、カバーガラスとして適用する場合には好ましくない。また、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。また、ガラスバランス悪化による耐失透性の低下も生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。
Na2OおよびK2Oは、ガラスから溶出してTFT特性を劣化させたり、ガラスの熱膨張係数を大きくして熱処理時に基板を破損したりする成分であることから、表示装置用ガラス基板に適用する場合には、多量に含有することは好ましくない。しながら、ガラス中に上記成分を敢えて特定量含有させることによって、TFT特性の劣化やガラスの熱膨張を一定範囲内に抑制しつつ、ガラスの塩基性度や溶融性を高め、価数変動する金属の酸化を容易にして、清澄性を発揮させることも可能である。
ZrO2は、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、ガラスの失透温度付近の粘性や歪点を高くする成分である。また、ZrO2は、ガラスの耐熱性を向上させる成分でもある。しかし、ZrO2の含有量が多くなり過ぎると、失透温度が上昇し、耐失透性が低下する。
TiO2は、イオン交換性能を向上させる成分であるとともに、ガラスの高温粘度を低下させる成分である。しかし、TiO2の含有量が多くなり過ぎると、耐失透性が低下してしまう。さらに、ガラスが着色してしまい、カバーガラスなどには好ましくない。また、ガラスが着色してしまうことから、紫外線透過率も低下してしまうので、紫外線硬化樹脂を使用した処理を行う場合に、紫外線硬化樹脂を十分に硬化することができないという不都合が生じる。
ガラス中の気泡を脱泡させる成分として清澄剤を添加することができる。清澄剤としては、環境負荷が小さく、ガラスの清澄性に優れたものであれば特に制限されないが、例えば、酸化スズ、酸化鉄、酸化セリウム、酸化テルビウム、酸化モリブデンおよび酸化タングステンといった金属酸化物から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
なお、As23、Sb23およびPbOは、溶融ガラス中で価数変動を伴う反応を生じ、ガラスを清澄する効果を有する物質であるが、これ等は環境負荷が大きい物質であることから、本実施形態のガラス板においては、ガラス中にAs23、Sb23およびPbOを実質的に含まない。なお、本明細書において、As23、Sb23およびPbOを実質的に含まないとは、0.01%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
次に、液晶用のシリケートガラスについて、特に好ましい態様を説明する。後述するように、圧縮応力層の応力値を高くするという観点からは、溶融ガラス3が多くの揮発成分を含有することが好ましい。SiO2を主成分とするシリケートガラスの場合、SiO2以外の各成分はSiO2よりも相対的に溶融中に揮発しやすいため、広い意味での揮発成分である。上記に例示したガラス組成における揮発性が高い揮発成分としては、B23、SnO2(SnOとして揮発)、K2Oが挙げられる。従ってこれらの成分の含有率は高いことが好ましい。しかし、揮発が過度になると成形時に不具合が生じるため、B23の含有率の上限は14質量%であることがより好ましく、13質量%であることが特に好ましい。また、SnO2の含有率が高いと、ガラスに失透が発生することがある。従って、ガラスの失透を防止するという観点からは、SnO2の含有率の上限は0.5質量%であることがより好ましく、0.3質量%であることが特に好ましい。さらに、ガラスの融解促進剤として用いられるK2Oは、多量に添加するとガラス板から溶出して問題を引き起こすため、K2Oの含有率の上限は0.5質量%であることがより好ましい。
本実施形態のガラス板製造方法では、断熱構造体2で揮発促進工程が行われる。このため、製造されたガラス板には、表面にシリカリッチ層が形成される。以下、このガラス板について説明する。
(1)シリカリッチ層
「シリカリッチ層」とは、ガラス板の厚さ方向の中心のガラス組成中におけるSi原子含有量を基準値とし、この基準値に対するガラス組成中におけるSi原子含有量の比が1.05以上となる位置からガラス板の主面までの領域を示す。
ガラス板表面には、SiO2の含有率がガラス板の厚さ方向の中心のSiO2含有率よりも多くなるシリカリッチ層が形成される。このシリカリッチ層の深さは、好ましくは0超〜20nmであり、より好ましくは0超〜15nm(さらには、1〜12nm、2〜11nm、3〜11nm)である。これにより、十分な深さの圧縮応力層を得ることができる。他方、シリカリッチ層の深さは、形成直後のガラスリボンの表面からの揮発を促進することにより深くすることが可能であるが、それにより、成形適正条件の逸脱、或いは、生産性の低下を生じる。そのため、シリカリッチ層の深さは30nm以下であることが好ましい。
シリカリッチ層では、上記基準値に対するガラス組成中におけるSi原子含有量の比の最大値が1.06以上であることが好ましく、1.08以上(さらには、1.10以上、1.12以上、1.14以上、1.15以上、1.16以上、1.18以上)であることがより好ましい。
あるいは、シリカリッチ層のガラス組成中におけるSi原子含有量の最大値は、ガラス板の厚さ方向の中心のSi原子含有量よりも1%以上多いことが好ましく、1.5%以上(さらには、2%以上、2.5%以上、3%以上)多いことがより好ましい。
あるいは、シリカリッチ層のSiO2含有率の最大値は、ガラス板の厚さ方向の中心のSiO2含有率よりも0.5%以上高いことが好ましく、1%以上(さらには、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上)高いことがより好ましい。
シリカリッチ層が上記の条件を満たすことで、ガラス板表面とガラス板内部との間で十分な熱膨張率の差を得ることができ、ガラス板の両主面に圧縮応力層を形成することができる。また、ガラス板表面のビッカース硬度や耐久性も向上させることが可能となり、ガラス板が割れることを防止することができる。
ここで、ガラス板表面に形成されたシリカリッチ層のSi原子含有量やSiO2含有率が上記範囲未満となると、ガラス板表面とガラス板内部との間で十分な熱膨張率の差を得ることができず、十分に大きな応力値の圧縮応力層が形成されない。あるいは、十分なビッカース硬度や耐久性を獲得することができない。
他方、シリカリッチ層のSi原子含有量やSiO2含有率が上記の上限を超えてしまうと、ガラス板の品質(物理特性、熱的特性、化学特性)が変化してしまい、従来の用途に使用できなくなる場合もある。例えば、ガラス板の切断やエッチング処理が困難となってしまう。
また、本実施形態によって製造したガラス板に形成されたシリカリッチ層中で、最もSi原子含有量やSiO2含有率が大きくなる位置は、ガラス板表面上ではなく、ガラス板表面から0超〜5nmの範囲に存在することがある。
ガラス板表面にシリカリッチ層が形成されると、ガラス板表面とガラス板内部との熱膨張率の差により、ガラス板の両主面に沿った部分に圧縮応力層が形成され、それらの圧縮応力層の間に引張応力層が形成される。本実施形態のガラス板製造方法によれば、圧縮応力値および引張応力値をプロットすることにより描かれる応力プロファイルが特異的なものとなる。
除冷工程でガラスリボンを急冷することによってもガラス板の両主面に圧縮応力層を形成することは可能であるが、このようにして得られるガラス板の応力プロファイルは、放物線を描くような形状である(この場合の圧縮応力層は、ガラス中で一定の熱伝達率に起因する、ガラス板表面とガラス板内部との熱伝達量の差により生じるものである)。これに対し、本実施形態のガラス板製造方法で得られるガラス板では、揮発促進工程によって圧縮応力層を形成している、すなわち、シリカリッチ層に起因する熱膨張率の差が圧縮応力層の形成に寄与している。このため、ガラス板の主面に近い領域に、圧縮応力層が形成される(つまり圧縮応力層の深さが浅い)。しかも、その圧縮応力層は、急冷によって圧縮応力層を形成した場合に得られるよりも大きな応力値を有する(圧縮応力層と引張応力層は均衡がとれているため、圧縮応力層が薄くなると圧縮応力値は高くなる)。つまり、本実施形態のガラス板製造方法で得られるガラス板の表面近傍には、急冷によって圧縮応力層を形成した場合よりも大きな応力値を有する圧縮応力層が形成されるので、ガラス板の表面にはより傷がつきにくくなる。さらに、引張応力層は、ガラス板の厚さ方向の両側以外は、略一定の応力値を有する。すなわち、本実施形態のガラス板製造方法により得られるガラス板の応力プロファイルは、底が幅広くフラットなU字状をなす。
(2)圧縮応力層
圧縮応力層の深さは、50μm以下であることが好ましい。圧縮応力層の深さは、形成直後のガラスリボンの表面からの揮発を促進することにより深くすることが可能であるが、それにより、成形適正条件の逸脱、或いは、生産性の低下を生じるためである。圧縮応力層の深さは、より好ましくは45μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは38μm以下である。なお、本明細書における圧縮層応力層深さとは、ガラス板の一方の主面に沿った部分に形成される圧縮応力層の深さを示している。つまり、ガラス板の両主面のそれぞれには、上記深さの圧縮応力層が形成される。
また、圧縮応力層の深さは10μm超であることが好ましい。圧縮応力層の深さがある程度あれば、取り扱いに起因する微細な傷によりガラス板が割れやすくなることを防ぐことができる。より深い傷がついても、ガラス板の破損を防止するためには、圧縮応力層の深さは、より好ましくは15μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上(特には、25μm以上、30μm以上、35μm以上)である。
あるいは、圧縮応力層の深さは、ガラス板の板厚の1/13未満であることが好ましく、1/15未満(さらには、1/17未満、1/20未満、1/22未満、1/24未満)であることがより好ましい。
圧縮応力層の最大圧縮応力値は、4MPa以下であることが好ましい。4MPaを超えると、ガラス板の加工性が悪くなってしまうからである。最大圧縮応力値は、より好ましくは3.7MPa以下であり、さらに好ましくは3.5MPa以下(特には、3.0MPa以下、2.8MPa以下)である。
また、圧縮応力層の最大圧縮応力値は、ガラス板の機械的強度を向上させるという観点から、0.4MPa以上であることが好ましく、1MPa以上(さらには、1.5MPa以上、2MPa以上)であることがより好ましい。
なお、本明細書での「応力値」とは、ガラス板の主面から厚さ方向に10μm範囲ごとに測定したときの値である。そのため、局部的には、上記圧縮応力値の範囲を超えるような圧縮応力値が存在する場合もある(後述する引張応力値についても同様)。
(3)引張応力層
上述したように、ガラス板内部に形成された引張応力層は、ガラス板の厚さ方向の両側以外は、略一定の応力値を有する。ガラス板の厚さ方向における両側1/10ずつを除く引張応力層の中心部分4/5(以下、単に「引張中心領域」という。)における引張応力値の最大値と最小値の差(引張応力値偏差)は、0.2MPa以下であることが好ましく、0.15MPa以下(さらには、0.10MPa以下、0.05MPa以下、0.02MPa以下)であることがより好ましい。
引張応力層の引張応力値が大きくなると、ガラス板を切断する場合に、切断のために入れた所定深さのスクライブ線が、想定外に伸長してしまい、所望の寸法にガラス板を分割することが困難となる場合がある。本実施形態によれば、表層の最大圧縮応力を大きくしても、引張応力を小さな値に維持することが可能である。例えば、(表層の最大圧縮応力の絶対値)/(引張応力層の最大引張応力の絶対値)=6以上とすることが可能である。例えば、引張応力層の最大引張応力値は、0.4MPa以下であることが好ましい。引張応力層の最大引張応力値が0.4MPaを超えると、ガラス板を切断する場合に、切断のために入れた所定深さのスクライブ線が、想定外に伸長してしまい、所望の寸法にガラス板を分割することが困難となることもあるからである。引張応力層の最大引張応力値は、より好ましくは0.3MPa以下であり、さらに好ましくは0.2MPa以下(特には、0.15MPa、0.10Mpa以下)である。
なお、ガラス板内部に形成された引張応力層の応力値は、ガラス板の厚さ方向に略一定であるため、引張応力層の応力値がガラス板の厚さ方向に放物線を描く場合に比較して、ガラス板が割れにくくなるという効果が得られる。
より詳細には、本実施形態のガラス板製造方法により得られるガラス板の引張応力値は、ガラス板の厚さ方向に略一定であり、その引張応力値の最大値は、除冷工程でガラスリボンを急冷することのみにより形成される引張応力層の最大引張応力値よりも小さい。引張応力値が極端に大きくなると、加工時などにガラス板が割れてしまうおそれもあるので、引張応力値は小さい方が好ましい。なお、除冷工程でガラスリボンを急冷することのみによって形成される圧縮応力層の深さは、通常ガラス板の板厚の1/10以上の厚さであるが、本実施形態のガラス板製造方法により形成される圧縮応力層の深さは、例えば板厚の1/13未満である。つまり、板厚が薄くなると、ガラス板表面の圧縮応力層の圧縮応力を相殺するための引張応力層の厚さも薄くなるので、除冷工程でガラスリボンを急冷することのみによって形成される引張応力層の応力値は大きくなり、その結果、ガラス板の加工精度が低下する。しかし、本実施形態のガラス板製造方法により得られるガラス板の引張応力層の応力値は、ガラス板の厚さ方向に略一定であるので、引張応力値の最大値も小さくなり、ガラス板の加工も精度よく行うことができる。
(4)ビッカース硬度
本実施形態のガラス板製造方法で得られるガラス板の表面のビッカース硬度は、ガラス板内部のビッカース硬度よりも大きい。すなわち、本実施形態のガラス板製造方法で得られるガラス板は、表面のビッカース硬度が向上するため、クラック発生率が低下し、より傷がつきにくく、破損しがたいという効果を得ることができる。
本実施形態で形成されたガラス板表面のビッカース硬度は、4GPa以上であることが好ましく、5GPa以上であることがより好ましく、5.35GPa以上であることがさらに好ましい。あるいは、ガラス板内部のビッカース硬度に対するガラス板表面のビッカース硬度の比は、1.01以上が好ましく、1.02以上(さらには、1.05以上、1.10以上)がより好ましい。
(5)板厚
本実施形態のガラス板製造方法で得られるガラス板の厚さは、1.5mm以下であることが好ましい。厚さが3mm以上では、ガラス板そのものの強度が大きくなり、表面近傍に形成された圧縮応力層が十分な効果を奏さないためである。ガラス板の厚さは、1.0mm以下(さらには、0.7mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下)であることがより好ましい。ガラス板の厚さが薄いほど、本発明の効果が顕著となる。
(6)ガラス板の大きさ
本実施形態のガラス板製造方法は、大きいガラス板に好適である。これは、大きなガラス板ほど、撓み量が多く、取り扱いに起因する微細な傷によりガラス板が割れやすくなるが、ガラス板表面に圧縮応力層が形成されることによって、上記問題の発生を低減できるためである。このため、本実施形態のガラス板製造方法は、例えば、幅方向が1000mm以上、2000mm以上のガラス板の製造に好適である。
本実施形態では、溶融ガラス3の表面、場合によっては溶融ガラス3および形成直後のガラスリボン4の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程が行われるが、本発明の揮発促進工程では、溶融ガラスおよびガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発が促進されればよい。これを実現するには、溶融ガラスおよびガラスリボンの少なくとも一方の表面に面する雰囲気における揮発成分の分圧(当該雰囲気から揮発成分以外の気体を除去したときの揮発成分の圧力)と揮発成分の飽和蒸気圧との差を大きくすればよい。一例として、溶融ガラスおよびガラスリボンの少なくとも一方の表面に面する雰囲気における揮発成分の濃度を低下させればよい。特に、本実施形態のように成形工程が断熱構造体2内で成形装置1を用いて行われる場合は、断熱構造体2外から断熱構造体2内に導入した気体を、流下する溶融ガラス3および/または引き下げられるガラスリボン4の表面に接触させた後に、断熱構造体2外に排出してもよい。
次に、成形装置1および断熱構造体2で構成される成形ユニットの具体例について、詳細に説明する。
<第1実施形態>
図2および図3は、第1実施形態のガラス板製造装置の一部である成形ユニット10Aを示す。この成形ユニット10Aは、断熱構造体2外から断熱構造体2内に導入した気体を断熱構造体2外に排出することにより揮発促進工程を行うためのものである。このように新鮮な空気を断熱構造体2内に導入することで、断熱構造体2内における気化した揮発成分の濃度を低下させることができ、これにより溶融ガラス3の表面からの揮発成分の揮発を促進させることができる。断熱構造体2内で揮発成分が飽和状態になると、それ以上の揮発成分の揮発は進行し難くなるためである。特に、本実施形態では、流下する溶融ガラス3の表面に沿って気体を上昇させる。
成形装置1は、下向きに尖る五角形楔状(幅狭のホームベース状)の断面形状となっており、直線的に延びる溝11が設けられた上面と、この上面における溝11と平行な両端部から下方に向かう一対の壁面12とを有している。なお、本明細書では、説明の便宜のために、水平面上で溝11の延びる方向をX方向、水平面上でX方向と直交する方向をY方向、鉛直方向をZ方向ともいう(図2参照)。
溝11は、図略の供給管から一端に供給された溶融ガラス3を全長に亘って均一にオーバーフローさせるように、一端から他端に向かうにつれて段々と深さが浅くなっている。一対の壁面12のそれぞれは、上面のY方向の端部から垂直に垂れ下がる垂直面と、この垂直面の下端部から互いに近づくように内向きに傾斜する傾斜面とからなっており、傾斜面の下端部同士は交わってX方向に延びる稜線を形成している。
そして、成形装置1は、溶融ガラス3を溝11の両側からオーバーフローさせ、そのオーバーフローした溶融ガラス同士を壁面12で誘導して融合させることにより帯状のガラスリボン4を連続的に形成する。
断熱構造体2は、成形装置1を収容する成形チャンバを形成している。具体的に、断熱構造体2は、断熱性に優れた材料で構成されており、上下方向で成形装置1を挟んで互いに対向する底壁21および天井壁23と、底壁21と天井壁23の周縁同士をつなぐ矩形筒状の周壁22とを有している。底壁21の中央には、成形装置1によって形成されたガラスリボン4を通過させるゲート25が設けられている。なお、断熱構造体2は、中空構造となっていて、内部に加熱用または冷却用の空気が供給されるようになっていてもよい。
本実施形態では、周壁22における成形装置1の壁面12に対向するY方向側の長壁部の上部に、当該周壁22を貫通する複数の排出口26が設けられているとともに、周壁22のY方向側の長壁部の下部に、当該周壁22を貫通する複数の導入口27が設けられている。このため、自然対流により、図1中に矢印a,b,cで示すような空気の流れが形成される。すなわち、断熱構造体2外の空気が導入口27を通じて断熱構造体2内に導入され、この空気が成形装置1の壁面12上を流下する溶融ガラス3に沿って上昇し、その後に排出口26を通じて断熱構造体2外に排出される。このように、断熱構造体2内で外部から取り込んだ新鮮な空気を上昇させることにより、溶融ガラス3の表面に面する雰囲気における揮発成分の濃度を低下させて揮発成分が飽和状態となることを防ぐことができるので、溶融ガラス3からの揮発成分(例えばB23、SnO、K2O)の揮発を促進させることができる。換言すれば、溶融ガラス3の表面に面する雰囲気における揮発成分の分圧と揮発成分の飽和蒸気圧との差を大きくすることができるため、溶融ガラス3の表面からの揮発成分の揮発を促進させることができる。この揮発成分が揮発した部分、すなわち上昇する空気と接した溶融ガラス3の表面が、ガラスリボン4が冷却されたときに圧縮応力層となる。圧縮応力層の応力値を高くするためには、溶融ガラス3が多くの揮発成分を含有することが好ましい。
なお、排出口26および導入口27は、周壁22におけるX方向側の短壁部にも設けられていてもよい。あるいは、周壁22のX方向側の短壁部のみに排出口26および導入口27を設けることも可能である。ただし、溶融ガラス3の全幅に亘って均一に揮発成分を揮発させるには、排出口26および導入口27が周壁22のY方向側の長壁部のみに一定のピッチで設けられていることが好ましい。
また、排出口26および導入口27の形状および数量は、周壁22に必要な強度が保たれる限り適宜選定可能である。例えば、排出口26および導入口27の形状を図2に示すように円形としてもよいし、X方向に延びるスリット状として数を低減させてもよい。例えば、排出口26および導入口27を円形とする場合は、その直径は1〜20mmとすることが好ましい。直径が20mmを超えると、断熱構造体2の強度が不十分になるおそれがあるからである。なお、均一に、かつ、効果的に断熱構造体2から、気体を排出するめには、排出口26が、ガラスリボンの巾方向全体に亘って延びるスリットであることがより効果的である。ただし、開口面積を広げれば広げるほど、気流量が増えすぎて、ガラス板の表面欠点の増加や、ガラス板の表面凹凸の悪化、成形温度の確保が困難となる問題が生じる。但し、これは、以下に示すように、導入口27から断熱構造体2内に導入する空気もしくは不活性ガスの温度を断熱構造体2内の目標温度にして、かつ、断熱構造体2内の圧力が所定の圧力に維持できるように流量を調整することで解決することができる。
さらに、導入口27を通じて断熱構造体2内に導入される空気は、例えば溶融ガラス3やガラスリボン4の温度を低下させない程度の温度であることが好ましい。ここで、導入される空気の量が少量であれば、常温の空気を導入しても溶融ガラス3やガラスリボン4の温度はそれほど低下しないので、常温の空気を導入してもよい。一方、導入される空気の量が多量であれば、常温の空気を導入すると、溶融ガラス3やガラスリボン4の温度が大きく低下する。この場合には、導入口27を通じて導入される空気を所定の温度に加熱する加熱手段を断熱構造体2の外側または内側に設けることが好ましい。加熱手段を用いる場合は、断熱構造体2外で、空気の温度が溶融ガラス3の温度と略等しい(例えば、溶融ガラスの温度の±10%の範囲内)またはそれ以上の温度となるように空気を加熱し、この加熱された空気を断熱構造体2内に導入することが好ましい。
以上説明した本実施形態の成形ユニット10Aを用いれば、断熱構造体2で取り囲まれた成形装置1の溝11の両側から溶融ガラス3をオーバーフローさせながら、断熱構造体2外から断熱構造体2内に導入した空気を成形装置1の壁面12上を流下する溶融ガラス3に沿って上昇させた後に断熱構造体2外に排出する工程が実行される。このように、断熱構造体2を通過する気体を成形装置1の壁面12上を流下する溶融ガラスに沿って上昇させることにより溶融ガラス3からの揮発成分の揮発を効果的に促進させることができる。これにより、両主面に応力値の高い圧縮応力層が形成されたガラス板を得ることができる。
なお、前記実施形態では、排出口26が周壁22の上部に設けられているが、排出口26の位置は特に制限されるものではない。例えば、図5に示す変形例の成形ユニット10Cのように、排出口26を天井壁23における成形装置1の真上の部分に設けてもよい。このようにしても、自然対流により、断熱構造体2外から断熱構造体2内に導入された空気を成形装置1の壁面12上を流下する溶融ガラス3に沿って上昇させた後に排出口26を通じて断熱構造体2外に排出することができる。また、この場合には、溶融ガラス3が成形装置1の上方でも断熱構造体2を通過する空気と接触するため、排出口26を周壁22の上部に設けた場合よりも揮発成分の揮発をさらに促進させることができる。
ただし、排出口26を周壁22の天井壁23に設けた場合には、断熱構造体2の上方からの落下物が排出口26を通じて溶融ガラス3に落下するおそれがある。この観点からは、前記実施形態のように排出口26を周壁22の上部に設ける方が好ましい。
また、前記実施形態では、導入口27が周壁22の下部に設けられているが、導入口27の位置は、特に制限されるものではない。例えば、図4に示す変形例の成形ユニット10Bのように、導入口27を底壁21に設けてもよい。この場合、導入口27が成形装置1の直下の領域R内にあると、導入口27からの空気の流れがガラスリボン4の形状安定性に影響を及ぼすおそれがあるため、導入口27は領域Rの外側に設けることが好ましい。
また、図5に示すように、導入口27は省略可能である。このようにしても、断熱構造体2外の空気がゲート25を通じて断熱構造体2内に導入される。これにより、形成直後のガラスリボン4の表面からも揮発成分の揮発を促進させることができる。ただし、この場合にはゲート25をガラスリボン4と反対方向に気体が通過することになり、ガラスリボン4の形状安定性が損なわれるおそれがあるため、ゲート25とは別に導入口27を設けることが好ましい。
また、前記実施形態では、自然対流により断熱構造体2内への空気の導入および断熱構造体2外への空気の排出が行われるようになっているが、強制対流によってそれらを行うことも可能である。例えば、断熱構造体2の下部に供給管を貫通させるとともに断熱構造体2の上部に排出管を貫通させ、それらのどちらかにファンを接続すればよい。この場合、断熱構造体2内の空間に開口する供給管および排出管の端部がそれぞれ導入口および排出口を構成することになる。
ところで、強制対流を用いる場合であって、断熱構造体2内に導入する空気の温度が溶融ガラス3の温度と略等しいまたはそれ以上の温度である場合には、例えば、図6に示す変形例の成形ユニット10Dのように、導入口27が断熱構造体2の上部に設けられており、断熱構造体2内に導入された空気が溶融ガラス3に沿って下降し、ゲート25から断熱構造体2外に排出されてもよい。ただし、流下する溶融ガラス3に沿って気体を上昇させれば、それらによって形成される対向流によって揮発成分の揮発をより顕著に促進させることができる。
また、導入口27あるいはゲート25を通じて断熱構造体2内に導入される気体は必ずしも空気である必要はなく、不活性ガスであってもよい。不活性ガスとしては、成形装置1や断熱構造体2の腐食を防止するという観点から、特に窒素を用いることが好ましい。あるいは、断熱構造体2内に導入される気体は、空気と不活性ガスの混合物であってもよい。
<第2実施形態>
次に、図7を参照して、第2実施形態のガラス板製造装置の一部である成形ユニット10Eを説明する。なお、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の成形ユニット10Eは、断熱構造体2内を減圧することにより形成工程中に揮発促進工程を行うためのものである。具体的には、断熱構造体2には吸引口28が設けられており、この吸引口28には真空ポンプ6が接続されている。なお、吸引口28および真空ポンプ6の数は特に限定されず、1つ以上であればよい。
断熱構造体2内を減圧しすぎると、ゲート25から断熱構造体2内よりも低い温度の気体が多量に導入されてしまい、ガラスが均一化されず、ガラスの厚みにばらつきが生じ、さらに歪が発生することもある。そこで、断熱構造体2内を、断熱構造体2の周囲の圧力の10分の1以下の範囲内で減圧することが好ましい。つまり、断熱構造体2内の気圧が1気圧である場合には、上限を0.9気圧として減圧することが好ましい。本実施形態によれば、溶融ガラス3およびガラスリボン4の表面に面する雰囲気における揮発成分の濃度を低下することができる。換言すれば、溶融ガラス3およびガラスリボン4の表面に面する雰囲気における揮発成分の分圧と揮発成分の飽和蒸気圧との差を大きくすることができる。また、断熱構造体2内が減圧されることで、揮発成分が揮発するために必要となるエネルギーが低下するため、さらに揮発成分の揮発が促進される。
<その他の実施形態>
本発明は、オーバーフローダウンドロー法だけでなく、例えばスロットダウンドロー法にも適用可能である。この場合は、形成直後のガラスリボン4の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程が行われる。
また、本発明を実現するための方法は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ガラスリボン4を高温に保つ時間を長くすることにより形成工程後に揮発促進工程を行うこともできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら制限されるものではない。
図2および図3に示すように排出口26および導入口27が設けられた断熱構造体2を備える成形ユニット10Aを用いて、サイズ1100mm×1300mm、厚さ0.7mmのガラス板を5枚製造した(実施例1〜5)。
溶融ガラスの各成文の含有率は以下のとおりであった。
SiO2:60.9%
Al23:16.9%
23:11.6%
MgO:1.7%
CaO:5.1%
SrO:2.6%
BaO:0.7%
2O:0.25%
SnO2:0.13%
また、排出口26は、直径10mmの円形とし、周壁22のX方向側の各短壁部の上部に2つずつ設けた。導入口27は、直径10mmの円形とし、周壁22のX方向側の各短壁部の下部に2つずつ設けた。
(試験)
実施例のガラス板について、X線光電子分光装置(アルバックファイ社製Quantera SXM)を用いて、表面近傍の原子濃度を測定した。具体的には、スパッタリングによりガラス板の表面を種々の深さまで掘り下げ、各深さにおける原子濃度を測定した。測定元素としては、Siとともに、含有率が相対的に高い揮発成分であるAl、B、Ca、Sr、Baを指定し、測定元素中に占めるSiの比率を求めた。そのうち実施例1,2の結果は図8に示す通りであった。なお、揮発成分のうちでもKおよびSnの含有率は小さく、それらの量がSiの比率に与える影響は少ないと考えられるため、これらは測定元素に含めなかった。
図8から分かるように、実施例では表面に極近い領域でSi比率がガラス板内部よりも高くなっている。これは、表面近くにおける揮発成分が少なくなっていることを示しており、下から上に気体が通過する断熱構造体を用いれば、揮発成分をより多く揮発させて応力値の高い圧縮応力層を形成できることが分かる。
また、実施例のガラス板に対して、内部応力を測定した。内部応力は、微小面積複屈折計(王子計測機器社製KOBRA−CCD/X)を用い、ガラス板を厚さ方向に切断した断面について表面から所定の深さごとに1cm当たりの光路差率(光路差/光路長さ)を測定し、これを光弾性定数で割って算出した。そのうち実施例1の結果は図9に示すとおりであった。
図9からは、ガラス板の両主面に応力値の高い圧縮応力層が形成されていることが分かる。また、ガラス板に形成された引張応力の応力値が、ガラス板厚さ方向に略一定となっていた。これは、ガラス板の両主面近くでは揮発成分が少なくなっていることに起因するものである。
表1に、実施例1〜5のガラス板についての諸元値を示す。
Figure 0005186602
なお、表中の「基準値」とは、上述したとおり、「ガラス板の厚さ方向の中心のガラス組成中におけるSi原子含有量」である。
次に、実施例1〜5のガラス板に対して引っ掻き試験を行った。具体的には、先端に直径0.75mmのカーバイド性ボールチップを有するエリクリン社製引っ掻き硬度計モデル318Sを使用し、引っ掻き荷重2N、引っ掻き長さ30mmで引っ掻き試験を行った。そのガラス板表面をレーザ顕微鏡で観察した結果、実施例1〜5では、ガラス板の表面にクラックが発生していなかった。これに対し、実施例1のガラス板の表面を研磨した後に同様の引っ掻き試験を行うと、研磨面にクラックが発生していた。
本発明は、FPDガラス基板用の板ガラスの製造に特に好適である。また、本発明によって得られたガラス板を化学的に強化した強化ガラスは、携帯電話、デジタルカメラ、PDA(携帯端末)、太陽電池、FPDのカバーガラスに好適に用いられ、またそれ以外にも、例えば、タッチパネルディスプレイの基板、窓ガラス、磁気ディスク用基板、固体撮像素子用カバーガラス、食器などへの応用が期待できる。

Claims (9)

  1. ガラス原料を融解させて溶融ガラスを得る溶融工程と、
    ダウンドロー法により、前記溶融ガラスからガラスリボンを形成する成形工程と、
    前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程と、
    前記ガラスリボンを冷却する冷工程と、
    前記ガラスリボンを切断してガラス板を得る切断工程と、
    を含み、
    前記揮発促進工程では、前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面に面する雰囲気における前記揮発成分の濃度を低下させることにより、前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる、ガラス板製造方法。
  2. ガラス原料を融解させて溶融ガラスを得る溶融工程と、
    ダウンドロー法により、前記溶融ガラスからガラスリボンを形成する成形工程と、
    前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程と、
    前記ガラスリボンを冷却する徐冷工程と、
    前記ガラスリボンを切断してガラス板を得る切断工程と、
    を含み、
    前記成形工程は、断熱構造体内で成形装置を用いて行われ、
    前記揮発促進工程では、前記断熱構造体外から前記断熱構造体内に導入した気体を、流下する前記溶融ガラスおよび/または引き下げられる前記ガラスリボンの表面に接触させた後に、前記断熱構造体外に排出することにより、前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる、ガラス板製造方法。
  3. 前記気体を、流下する前記溶融ガラスおよび/または引き下げられる前記ガラスリボンの表面に沿って上昇させる、請求項に記載のガラス板製造方法。
  4. 前記気体は、空気および/または不活性ガスである、請求項に記載のガラス板製造方法
  5. ガラス原料を融解させて溶融ガラスを得る溶融工程と、
    ダウンドロー法により、前記溶融ガラスからガラスリボンを形成する成形工程と、
    前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる揮発促進工程と、
    前記ガラスリボンを冷却する徐冷工程と、
    前記ガラスリボンを切断してガラス板を得る切断工程と、
    を含み、
    前記成形工程は、断熱構造体内で成形装置を用いて行われ、
    前記揮発促進工程では、前記断熱構造体内を減圧することにより、前記溶融ガラスおよび前記ガラスリボンの少なくとも一方の表面からの揮発成分の揮発を促進させる、ガラス板製造方法。
  6. 溶融ガラスを溝の両側からオーバーフローさせ、そのオーバーフローした溶融ガラス同士を壁面で誘導して融合させることによりガラスリボンを形成する成形装置と、
    前記成形装置を取り囲むとともに前記成形装置によって形成された前記ガラスリボンを通過させるゲートを有する断熱構造体と、を備え、
    前記断熱構造体には、前記溶融ガラスの表面からの揮発成分の揮発を促進させるために、前記断熱構造体外から前記断熱構造体内に導入され、前記成形装置の壁面上を流下する溶融ガラスに沿って上昇した気体を前記断熱構造体外に排出する排出口が設けられている、
    ガラス板製造装置。
  7. 前記断熱構造体は、前記ゲートが設けられた底壁と、前記成形装置を挟んで前記底壁と対向する天井壁と、前記底壁と前記天井壁の周縁同士をつなぐ周壁とを有し、
    前記排出口は、前記周壁の上部に設けられている、請求項に記載のガラス板製造装置。
  8. 前記周壁の下部には、前記断熱構造体内に前記気体を導入する導入口が設けられている、請求項に記載のガラス板製造装置。
  9. 前記気体は、空気および/または不活性ガスである、請求項6〜8のいずれか一項に記載のガラス板製造装置。
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