JP5183962B2 - 選択透過膜型反応器を用いた水素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、選択透過膜型反応器を用いた水素の製造方法に関する。さらに詳しくは、水素の分離性能に優れた選択透過膜を備え、改質反応の促進性に優れた選択透過膜型反応器を用いることによって、高純度の水素を回収することが可能な水素の製造方法に関する。
水素は石油化学の基本素材ガスとして大量に使用され、特に近年、燃料電池等の分野において、クリーンなエネルギー源として水素が注目されていることとも相俟って、利用の拡大が期待されている。このような目的に使用される水素は、メタン、ブタン、灯油等の炭化水素やメタノール、エタノール、ジメチルエーテル等の酸素を含む有機化合物(含酸素有機化合物)を主たる原料として、水蒸気や二酸化炭素の改質反応、あるいは部分酸化反応、分解反応等を利用して生成され、それをパラジウム合金膜等の水素を選択的に透過させることのできる選択透過膜にて分離し回収することにより得られる。
近年、この水素の製造には、前記のような水素の生成反応と分離とを同時に行うことのできる選択透過膜型反応器(メンブレンリアクタ)が使用される(例えば、特許文献1参照)。従来一般的に使用されている選択透過膜型反応器は、一端部がガス入口で、他端部がガス出口である反応管と、当該反応管内に挿入された、表面に水素を選択的に透過させる選択透過膜が形成された基材部分が多孔質の分離管と、炭化水素及び/又は含酸素有機化合物の改質反応を促進する改質反応触媒とを有する。
通常、改質反応触媒はペレット形状で、反応管と分離管との間の空隙(改質反応部)にパックドベッド(Packed Bed)状等の状態で充填されており、反応管のガス入口から供給された原料ガスが、この改質反応触媒に接触し、水蒸気改質反応等により水素ガス等に分解される。例えば、メタンの水蒸気改質では、下記式(1)に示す改質反応、及び下記式(2)に示すシフト反応が促進されることによって、メタンと水蒸気とから、水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の反応生成物を含む改質ガス(生成ガス)が得られる。
CH+HO → CO+3H ・・・(1)
CO+HO → CO+H ・・・(2)
こうして得られた生成ガスのうち、水素は選択透過膜を透過して分離管内(分離部)に選択的に引き抜かれ、他のガス成分と分離されて回収される。また、選択透過膜を透過しない一酸化炭素、二酸化炭素、未反応の原料ガス等の他のガス成分は、反応管のガス出口より反応器の外部へ排出される。
このような選択透過膜型反応器は、触媒を用いた化学反応と、選択透過膜を用いた水素の分離とを同時に行うことができるため、装置構成がコンパクトで設置スペースが小さくて済むことに加え、生成物である水素が選択透過膜を透過して反応系から除去され、化学反応の平衡が生成側に移動するため、より低温での反応が可能になるというメリットがある。これにより、反応時のエネルギー消費が少なくて済む他、反応器の構成材料の劣化も抑制される。具体的な反応温度は、例えばメタンの水蒸気改質反応の場合、選択透過膜を持たない従来の非膜型反応器が600〜800℃程度であるのに対し、選択透過膜型反応器では400〜600℃程度である。
水素を選択的に透過する選択透過膜には、一般に、シリカ膜、ゼオライト膜、パラジウム(Pd)又はパラジウム合金の薄膜が用いられる。選択透過膜は、その厚さを薄くした方が、透過性能が高まり、膜型反応器として用いた場合の反応促進効果は増大する。しかしながら、現状の成膜及び基材技術では、膜厚を薄くするほど膜欠陥が増大して、膜の分離性能が低下し、水素以外の成分も透過させる傾向がある。このように水素以外の原料ガス成分がリークすると、水素引き抜きによる反応促進効果が目減りしてしまうことになる。更に、透過膜の劣化発生時には、高濃度の不純物ガスが膜透過側へリークし水素純度が低下する。
前記のとおり、近年においては、選択透過膜型反応器で得られた水素を燃料電池の燃料へ適用する技術の開発が進められており、燃料の水素に不純物が含まれる場合に、これを如何に低減して供給するかが問題となる。選択透過膜型反応器で得られた水素を固体高分子型燃料電池(PEFC)に供給するシステムを考えた場合、リークして導入される高濃度の不純物ガスの一酸化炭素(CO)は、電極を被毒させてしまうという不都合があるからである。このため、燃料ガスとなる水素中の一酸化炭素の濃度は、10ppm以下に保持しなければならないとされている。
このように、選択透過膜型反応器を使用した水素の製造においては、反応温度を低下させられることにより低コスト化などのメリットが得られる一方で、選択透過膜の劣化等により不純物のリークが起こり、水素純度が低下する問題があった。
また、選択透過膜型反応器では触媒が改質反応部に充填されており、生成した水素は充填された触媒の空隙を移動するため、選択透過膜まで円滑に移動できず、水素の分離・回収の効率が低下するという問題があった。
前記のような水素純度の低下は、選択透過膜の透過性能が高い場合において顕著に現れることがあった。しかしながら、水素純度や回収効率に影響を与えると考えられる改質反応部の圧力については、これまで検討されておらず、改質反応部の圧力、すなわち、原料ガスの分圧を一定に保持する程度のことしか行われていなかった。
特開2005−58823号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、選択透過膜型反応器を用い、効率良く高純度の水素を得ることが可能な水素の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下に示す選択透過膜型反応器を用いた水素の製造方法が提供される。
[1] 原料ガスを改質反応させる改質反応部と、前記改質反応により生成した反応ガスから分離された水素が移動する分離部とが、水素を選択的に透過する選択透過膜を隔てて形成された構造を有する選択透過膜型反応器を用いた改質反応による水素の製造方法であって、前記原料ガスを前記改質反応部に供給する工程と、前記原料ガスを改質反応触媒が設置された前記改質反応部において改質反応させ、水素を含有する反応ガスを生成する工程と、前記選択透過膜によって、前記反応ガスから水素を前記分離部側に分離する工程とを有し、前記選択透過膜がパラジウムを含む膜厚10μm以下の膜であり、前記分離部の水素純度を計測しながら前記改質反応部の圧力を制御し、前記制御が前記改質反応部の圧力を周期的に変動させるものであり、そのように前記改質反応部の圧力を周期的に変動させながら原料ガスを改質反応させる水素の製造方法。
本発明の選択透過膜型反応器を用いた水素の製造方法によれば、効率よく高純度の水素を得ることが可能となる。
以下、本発明の代表的な実施形態を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
図1は、本発明の水素の製造方法に使用する選択透過膜型反応器の構造の一例を示す概略断面図である。この選択透過膜型反応器は、一端部がガス入口9で、他端部がガス出口10である筒状の反応管1と、反応管1内に挿入された、表面に水素を選択的に透過させる選択透過膜5を有し、選択透過膜5を透過した分離ガスの出口である分離排出口11を有する有底筒状の分離管4と、反応管1と選択透過膜5との間に配置された、原料ガスの改質反応を促進する改質反応触媒6を有する。
なお、この選択透過膜型反応器においては、反応管1と分離管4との間の空間が、原料ガスを改質反応させる改質反応部で、分離管4の内側が前記改質反応により生成した反応ガスから分離された水素が移動する分離部となっているが、改質反応部と分離部との配置が逆、すなわち、分離管の内側が改質反応部で、反応管と分離管との間の空間が分離部となるようにしてもよい。その場合には、一端部がガス入口で他端部がガス出口ある筒状の分離管を用い、分離管の内側に改質反応触媒を配置する。
図1の実施形態において、選択透過膜型反応器の反応管1は、筒状体(例えば、円筒体)で構成されている。反応管の材質としては、ステンレススティールやインコロイ等の高耐熱性で熱伝導性の良い金属を主成分とするものが好ましい。
反応管1のガス入口9には、原料ガス供給手段が接続される。原料ガス供給手段としては、例えば、原料ガス貯蔵容器から流量制御器を通ってパイプによって原料ガスを供給するものを用いることができる。なお、原料ガス供給手段は、装置の小型化のため反応管1と一体的に構成してもよく、反応管1から離れたところに取り外し可能に別体で構成してもよい。
原料ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、灯油、ナフサ等の炭化水素やメタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルエーテル等のエーテル類、あるいはケトン類などの酸素を含む有機化合物や水蒸気、酸素、二酸化炭素等を挙げることができる。原料ガスは、必要に応じて選択、混合して反応管に供給される。なお、水やエタノール等の液体系の原料は気化器でガス化して供給される。
反応管1のガス出口10には、改質反応部のガス圧力を調整するための圧力制御器が接続される。また、未反応ガスや選択透過膜を透過しなかった生成ガスを無害化する処理装置が取り付けられる。
本発明で用いられる選択透過膜は、水素に対する選択的透過能を有するものであり、パラジウム膜やパラジウム−銀合金膜をはじめとするパラジウム合金膜が好適に使用される。この選択透過膜は、10μm以下の膜厚を有することにより、優れた透過性能及び分離性能を確保することができる。選択透過膜の膜厚が10μmより厚いと、十分な水素引き抜き効果が得られなくなり、水素の透過性能が低くなる傾向がある。
選択透過膜の膜厚は、10μm以下である限り特に制限はなく、膜厚が薄いほど水素が透過し易く効率的に水素を回収することができるが、薄くなり過ぎると膜の耐久性や水素選択性が低下するおそれがある。選択透過膜型反応器の使用中にピンホール等の膜欠陥部位が増大し、水素以外の成分が膜を透過すると、不純物ガスが増大し、得られる水素の純度が低下するので、膜の耐久性と水素の回収効率とのバランスを考慮した場合、選択透過膜の膜厚は、0.06〜10μmとすることが好ましく、0.1〜6μmとすることが更に好ましい。
選択透過膜の水素の透過係数は、60ml/cm・min・atm1/2以上であることが好ましく、120ml/cm・min・atm1/2以上であることが更に好ましい。水素の透過係数が60ml/cm・min・atm1/2未満であると、水素の透過速度が低くなり、水素引き抜きによる反応促進効果が小さくなる。ここで、「水素の透過係数」は、Y=KΔP1/2で算出される値(K)をいうものとする。ただし、前記式中、Yは透過流量であり、ΔP1/2は供給側と透過側(分離部側)の水素分圧の1/2乗の差である。
選択透過膜は膜厚が薄く、単独では機械的強度が低いため、多孔質である分離管の基材の表面に形成され、これにより水素を選択的に透過し分離するための分離管が得られる。この分離管の基材は、チタニアやアルミナ等のセラミックス多孔体、あるいはステンレススティール等の表面処理した金属多孔体を用いることが好ましい。なお、図1の実施形態では、選択透過膜5は分離管4の外側に形成されているが、場合によっては分離管の内側に形成されていてもよいし、分離管の両側に形成されていてもよい。
分離管4の形状は一端部が閉じられた有底円筒状が好ましいが、筒状体の一端部をフランジ等により気密な構造にして用いることもできる。他端部は選択透過膜により分離管内側の分離部側に透過し分離された水素を排出する分離排出口11となる。一般に、分離管4の外側と内側との水素分圧差が大きい方が、選択透過膜5の水素透過性能が良くなるため、分離部側の水素分圧を下げることが行われる。具体的には、分離部側に水蒸気等のスイープガスを流す方法、または、真空ポンプにて減圧する方法などがある。得られる水素の純度の面からは、水素以外のガス成分を加えずに、分離部側を減圧する方法が好ましい。
反応管1のガス出口10と分離管4の分離排出口11には、それらから流出するガス量を測定するための流量計とガス成分を定量するためのガスクロマトグラフが接続されている。更に、流量計の上流側には、常温において液体となる成分(水など)を捕集するために約5℃に設定された液体トラップが設けられている。
反応管1と分離管4との間の空間(改質反応部)には、原料ガスの改質反応を促進する改質触媒が設置される。改質触媒には、触媒活性成分として、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt及びAuの内の少なくとも1種の金属が含有されていることが好ましい。改質触媒は、前記金属を含んだ化合物を、例えばペレット形状やビーズ形状に成形したもの、あるいは前記金属をアルミナ等からなるペレット状の基体に担持したものであることが好ましい。金属と基体との好ましい組み合わせ(金属−基体)としては、例えば、ニッケル−アルミナ、ルテニウム−アルミナ、ロジウム−アルミナを挙げることができる。
本発明の水素の製造方法は、前記のような構成を有する選択透過膜型反応器を使用して水素の製造を行うものであり、原料ガスを改質反応部に供給する工程と、原料ガスを改質反応触媒が設置された改質反応部において改質反応させ、水素を含有する反応ガスを生成する工程と、選択透過膜によって、反応ガスから水素を分離部側に分離する工程とを有する。なお、本実施形態においては、メタンと水蒸気との反応系(例えば、CH+2HO→CO+4Hという反応式で表されるメタンの水蒸気改質反応)について主に説明するが、他の原料系においても同様に実施できる。
原料ガス供給手段から供給された原料ガスのメタンと水蒸気は、ガス入口9から反応管1に導入され、改質反応部に配置された改質反応触媒6に接触すると、水素を含む混合ガスである改質ガス(反応ガス)が生成される。生成された改質ガスのうち水素は、分離管4の選択透過膜5を透過して、分離管4内側の分離部へ選択的に引き抜かれ、高純度の水素ガスとして分離排出口11から排出され、回収される。選択透過膜5を透過しない、一酸化炭素や二酸化炭素、未反応の原料ガスといった他のガス成分は、反応管1のガス出口10より選択透過膜型反応器の外部へ排出される。
選択透過膜型反応器の周囲には、当該反応器の外部加熱が可能なように、加熱用ヒーターを設置されており、メタンの水蒸気改質反応では、改質反応部が400〜600℃、好ましくは500〜550℃になるように加熱される。
反応管1のガス出口10と分離管4の分離排出口11の下流側のガスラインには、それぞれ圧力調整器が取り付けてあり、分離管4の外側の改質反応部と分離管の内側の分離部とがそれぞれ所定の圧力になるように調整される。改質反応部は、全圧が3〜9atm、好ましくは5〜8atmとなるように原料ガスを導入し圧力調整される。また、分離部側は、全圧0.05〜0.6atmに減圧される。
選択透過膜型反応器を用いて改質反応により生成され、選択透過膜を透過して分離管から回収される水素の純度を計測すると、通常状態で99%以上の純度が得られる。しかしながら、選択透過膜の欠陥などの原因で水素以外の不純物ガスのリークが多くなると水素純度が99%以下に低下する場合がある。また、改質反応が行われている間においても、選択透過膜の劣化などが原因で水素純度が低下する場合がある。
前述のとおり、選択透過膜型反応器で製造した水素を高純度に維持することは、水素を固体電解質形燃料電池に利用する場合において特に重要である。水素に含まれるわずかの不純物、例えば、一酸化炭素が問題となるからである。本発明では、水素の選択透過膜が劣化してきた初期の段階において、燃料電池の触媒の劣化を防止することが可能となる。
本発明は、改質反応部の圧力を変化させることにより、水素純度が変化することを見出し、その知見に基づいてなされたものであり、分離部の水素純度を計測しながら改質反応部の圧力を制御することを主要な特徴としている。具体的には、前述のように選択透過膜の欠陥などの原因で分離部における水素の純度が低下した場合において、反応改質部の圧力を低下させると水素純度は向上する。例えば、初期の通常状態として改質反応部の圧力を8atmに設定して水素の製造を行い、分離部側に分離された水素純度が低下した場合に、改質反応部の圧力を5atmに低下させると水素純度が回復する。
このように、分離部の水素純度が低下した場合に、改質反応部の圧力を初期の通常状態から20〜60%低下させることにより水素純度を向上させ、必要とする水素純度を保つことが可能となる。なお、改質反応部の圧力を、初期の通常状態から60%を超えて低下させることは好ましくない。この場合、十分な水素の引き抜き効果が得られなくなり、水素の透過速度が低くなる傾向があるからである。
前記のような圧力制御によって水素の純度が向上する理由は、次のように考えられる。水素の純度に影響を与える不純物は、選択透過膜の欠陥部を通過して分離部側の水素に混入して来る。このとき、混入する不純物量は改質反応部と分離部との圧力差に比例する。ところが、選択透過膜により分離される水素は、先に述べたように改質反応部側と分離部側との水素分圧の1/2乗の差(atm1/2)に比例する。したがって、改質反応部側の圧力を下げることによる不純物の通過量の減少が、選択透過膜により分離される水素量の減少よりも大きくなり、よって不純物量が相対的に減少し水素の純度が向上する。しかしながら、改質反応部側の圧力を大きく下げることは分離される水素量が大きく減少することになる。
前記の圧力制御によって分離される水素量が減少したときは、改質反応部の温度を上昇させることが好ましい。選択透過膜型反応器において、改質反応部の温度は500℃前後とするのが一般的であるが、分離される水素量が減少したときは、これを40〜100℃上昇させることが好ましい。選択透過膜としてパラジウム合金膜を用いる場合は、膜の耐熱性を考慮して、温度上昇は約600℃までとすることが好ましい。また、600℃を超えるような温度とすると、選択透過膜を用いない改質反応器を用いた場合の反応温度域に重なり、選択透過膜型反応器を用いて反応温度を低下させるという利点を生かすことができなくなるので、当該利点を生かすという観点からも、温度上昇は約600℃までとすることが好ましい。
本発明の他の側面では、改質反応部の圧力を周期的に変動させながら原料ガスを改質反応をさせることが好ましい。具体的には、改質反応部の圧力を、所定の圧力と、当該所定の圧力から20〜40%低下させた圧力との間で周期的に変動させる。例えば、所定の圧力を8atm、これよりも低下させた圧力を5atmとし、この2つの圧力の間を10分間程度の周期で変動させる。このような改質反応部の圧力の周期的な変動によって、水素の引き抜き効果を向上させるとともに水素の純度を維持することができる。これは、この圧力の変動によって、改質反応部で生成した水素が選択透過膜に到達することが容易になるためと考えられる。
本発明においては、このように選択透過膜型反応器の分離部から回収される水素の純度を計測しながら、改質反応部の圧力を制御することにより、高純度の水素を効率良く製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1)
図1に示すような構造を有する選択透過膜型反応器を使用して、次のような改質反応試験を行った。なお、分離管の基材には、一端部が閉じられた有底円筒状のアルミナ多孔体(外径10mm、長さ75mm)を用い、その表面に選択透過膜として水素を選択的に透過するパラジウム(Pd)−銀(Ag)合金膜をメッキ法により成膜した。選択透過膜の組成は、水素透過性能を考慮してパラジウム(Pd)が75質量%、銀(Ag)が25質量%となるようにし、膜厚は2.5μmとした。改質反応触媒には、市販のルテニウム−アルミナ触媒(エヌ・イーケムキャット社製)を用いた。原料ガスとして、メタンを250cc/min、水蒸気を気化器でガス化し750cc/minで供給し、S/C(水蒸気/炭素)=3とした。改質反応部の温度は550℃に調整し、改質反応部の圧力は8atm、分離部側の圧力は0.2atmとした。このような条件で、メタンと水蒸気による改質反応とそれに付随して生ずる反応を行わせ、生成した水素は選択透過膜を透過させて、反応生成物から水素を選択的に分離した。膜透過側(分離部側)及び膜非透過側(改質反応部側)のそれぞれにおけるガスの流量と組成を調べることにより、メタン転化率と選択透過膜を透過したガス成分における水素純度を算出した。
ここで、メタン転化率は、改質原料のうち何%が反応したかを示す指標である。本参考例のメタン水蒸気改質反応の場合、その反応は、CH+2HO=CO+4Hの反応式で表されるから、メタン1molに対して二酸化炭素は理想的には1mol得られることになる。メタン転化率[%]は、仮に、メタンの供給量が100mol/minで、実際にガス出口で得られた未反応メタンが20mol/minであれば、メタン転化率[%]={(100−20)/100}×100=80[%]として算出される。分離部側の水素純度は、水素純度[%]={水素の量/(水素の量+不純物の量)}×100[%]で算出した。
また、前記改質反応試験に先立って、用いた選択透過膜の水素の透過係数の測定を行った。具体的な手順としては、選択透過膜型反応器に水素のみを供給して、分離部側の水素流量を測定し、水素透過係数=C/(D・ΔP1/2)という式から水素透過係数を算出した。式中、Cは透過側水素流量(ml/min)、Dは膜面積(cm)、ΔP1/2は供給側と分離部側の水素分圧の1/2乗の差(atm1/2)である。ここで用いた選択透過膜は、水素の透過係数が120ml/cm・min・atm1/2であった。
前記改質反応試験を行いメタン転化率と得られた水素の純度を算出した結果、定常状態において、メタン転化率は80%であり、得られた水素の純度は99.92%であった。ここで、改質反応部の圧力を定常状態の8atmから5atmに低下させたところ、水素純度は99.95%に向上した。一方、改質反応部の圧力を8atmとし、分離部の圧力を0.05atm、0.1atm、0.3atmと変化させたところ、水素の純度は99.92%で変化しなかった。このように、改質反応部側の圧力を減少させることにより水素の純度が向上した。
参考例2)
選択透過膜として、膜厚が2.0μm、水素透過係数が150ml/cm・min・atm1/2のパラジウム合金膜を用いた以外は、参考例1と同様にして改質反応試験を行った。改質反応部の温度を500℃、圧力を8atmとしたとき、メタン転化率は75%で、得られた水素の純度は98.5%であった。ここで、反応改質部の圧力を8atmから5atmに低下させると、水素純度は99.4%に向上した。更に、反応改質部の圧力を5atmに低下させたまま、改質反応部の温度を500℃から600℃に上昇させたところ、得られた水素の純度は99.4%で変化しなかった。一方、水素の回収量は205ml/minから260ml/minに向上した。
(実施例
参考例1で使用した選択透過膜型反応器と同じ選択透過膜型反応器を用いて、改質反応部の圧力を周期的に変動させながら改質反応試験を行った。最初は、改質反応部の圧力を8atm、分離部の圧力を0.2atmとした。その後、改質反応部側の圧力を、8atmと6atmとの間で8分間周期で変動させながら、メタンと水蒸気による改質反応とそれに付随して生ずる反応を行わせ、生成した水素は選択透過膜を透過させて、反応生成ガスから水素を選択的に分離した。分離部での水素純度は、改質反応部の圧力を周期的に変動させる前は99.92%で、周期的に変動させてからは99.93%であった。改質反応部の圧力を周期的に変動させることによる水素純度の向上効果はわずかであったが、水素純度の変動が小さく、水素の純度を維持する効果が見られた。
本発明の選択透過膜型反応器を用いた水素の製造方法は、高純度の水素を必要とする各種産業分野で好適に利用できる。例えば、メタン、プロパン等の炭化水素を改質して得られる水素を分離して燃料ガスとして使用する燃料電池の分野で好適に利用できる。
本発明に使用する選択透過膜型反応器の構造の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1:反応管、4:分離管、5:選択透過膜、6:改質反応触媒、9:ガス入口、10:ガス出口、11:分離排出口。

Claims (1)

  1. 原料ガスを改質反応させる改質反応部と、前記改質反応により生成した反応ガスから分離された水素が移動する分離部とが、水素を選択的に透過する選択透過膜を隔てて形成された構造を有する選択透過膜型反応器を用いた改質反応による水素の製造方法であって、
    前記原料ガスを前記改質反応部に供給する工程と、
    前記原料ガスを改質反応触媒が設置された前記改質反応部において改質反応させ、水素を含有する反応ガスを生成する工程と、
    前記選択透過膜によって、前記反応ガスから水素を前記分離部側に分離する工程とを有し、
    前記選択透過膜がパラジウムを含む膜厚10μm以下の膜であり、
    前記分離部の水素純度を計測しながら前記改質反応部の圧力を制御し、
    前記制御が前記改質反応部の圧力を周期的に変動させるものであり、
    そのように前記改質反応部の圧力を周期的に変動させながら原料ガスを改質反応させる水素の製造方法。
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