JP5183567B2 - 精製茶抽出物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精製茶抽出物の製造方法に関する。
緑茶抽出物の濃縮物等の茶抽出物を利用して、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法が知られている。しかしながら、カテキン類を高濃度に配合すると、主にカテキン類のガレート体に起因して、苦味が強くなる傾向にある。
この苦味を改善する手段として、例えば、非重合体カテキン類のガレート体を、タンナーゼ活性を有する酵素により加水分解して非重合体カテキン類中のガレート体の割合を低減する方法が提案されている(特許文献1〜2)。この方法は、苦味の原因となる非重合体カテキン類のガレート体の低減に有効であるが、副生する没食子酸により酸味を呈するため、得られる精製茶抽出物の風味は必ずしも十分ではなかった。
そこで、没食子酸などの夾雑物を除去すべく、合成吸着剤を充填したカラムに茶抽出物を通液し、次いで合成吸着剤に吸着された非重合体カテキン類をエタノール水溶液により溶出させる方法が提案されている(特許文献3)。
特開2004−321105号公報 特開2005−130809号公報 特開2006−160656号公報
しかしながら、合成吸着剤を用いた精製方法は、没食子酸などの夾雑物の低減に有効であるが、非重合体カテキン類の回収率が必ずしも十分でなく、改善の余地がある。
そこで、本発明者らは、非重合体カテキン類の回収率を向上させるべく検討した結果、合成吸着剤に茶抽出物を吸着させた後、合成吸着剤の洗浄工程及び非重合体カテキン類の溶出工程における温度を所定温度以下に制御することで、非重合体カテキン類を高収率で回収できることを見出した。さらに、本発明者らは、意外なことに、精製茶抽出物中のフラボノール配糖体であるルチンやカフェインを低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の工程(1)〜(4):
(1)茶抽出物を加水分解する工程、
(2)加水分解後の茶抽出物を合成吸着剤に接触させ、該茶抽出物中の非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる工程、
(3)合成吸着剤を20℃以下の水で洗浄する工程、及び
(4)合成吸着剤に20℃以下の有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる工程
を含む、精製茶抽出物の製造方法を提供するものである。
本発明はまた、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非重合体カテキン類
(B)非重合体カテキン類のガレート体、及び
(C)ルチン、
を含有し、
固形分中の(A)非重合体カテキン類の含有量が20〜90質量%であり、
(A)非重合体カテキン類中の(B)非重合体カテキン類のガレート体の割合が0.01〜49質量%であり、
(C)ルチンと(A)非重合体カテキン類との含有質量比が0.001〜0.025
である、精製茶抽出物を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、非重合体カテキン類を高収率で回収することが可能であり、しかも非重合体カテキン類のガレート体だけでなく、ルチンやカフェインを低減した精製茶抽出物を効率よく製造することができる。したがって、この精製茶抽出物は、非重合体カテキン類を高濃度に含み、苦味や渋味が低減された飲食品の原料として有用である。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。非重合体カテキン類濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
「(B)非重合体カテキン類のガレート体(以下、(B)ガレート体ともいう)」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等を併せての総称であり、「(A)非重合体カテキン類中の(B)ガレート体の割合」は、非重合体カテキン類の総量に対する上記ガレート体の質量比率である。
「(C)ルチン」とは、フラボノール配糖体の一種であり、ケルセチンの3位の酸素原子にβ−ルチノース(6−O−α−L−ラムノシル−D−β−グルコース)が結合したものであり、(C)ルチン含有量は、後掲の実施例に記載のHPLC測定により定量することができる。
先ず、本発明の精製茶抽出物について説明する。
本発明の精製茶抽出物は、上記成分(A)〜(C)を含有するものであるが、(A)非重合体カテキン類を高濃度で含み、(B)ガレート体及び(C)ルチンが低減されていることを特徴とするものである。
具体的には、固形分中の(A)非重合体カテキン類の含有量は20〜90質量%であるが、風味及び経済性の観点から、30〜80質量%、更に40〜75質量%、特に50〜70質量%であることが好ましい。
また、(A)非重合体カテキン類中の(B)ガレート体の割合は0.01〜49質量%であるが、苦味、渋味の低減の観点から、0.1〜45質量%、更に1〜40質量%、特に2〜35質量%であることが好ましい。
さらに、(C)ルチンと(A)非重合体カテキン類との含有質量比は0.001〜0.025質量%であるが、風味及び経済性の観点から、0.002〜0.025質量%、更に0.005〜0.022質量%、特に0.01〜0.02質量%であることが好ましい。
また、本発明の精製茶抽出物は、(D)カフェイン含有量も顕著に低減されており、具体的には、(D)カフェインと(A)非重合体カテキン類との含有質量比が0.01〜0.17、更に0.02〜0.14、特に0.03〜0.12であることが、苦味抑制の観点から好ましい。
このような精製茶抽出物は、茶抽出物から分画により得ることができるが、具体的には、次の方法により製造することが可能である。
すなわち、本発明の精製茶抽出物の製造方法は、上記工程(1)〜(4)を含むことを特徴とするが、工程(1)は茶抽出物中の(B)ガレート体を加水分解により非ガレート体に変換する工程であり、また工程(2)〜(4)は加水分解後の茶抽出物中の没食子酸、(D)カフェインや(C)ルチン等の夾雑物を除去して、非重合体カテキン類を選択的に得る工程である。以下、各工程について詳細に説明する。
[工程(1)]
本発明に係る工程(1)は、茶抽出物を加水分解する工程である。
本工程に用いる茶抽出物としては、例えば、茶葉から得られた茶抽出物が例示される。その他のカフェイン含有植物由来、例えばコーヒー等のカフェイン含有抽出物と茶抽出液との混合物等も用いることができる。使用する茶葉としては、具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、やぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が例示される。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類、烏龍茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶がある。また、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。中でも、茶抽出物としては、非重合体カテキン類の含有量の点から、緑茶抽出物が好ましい。
茶を抽出する方法としては、攪拌抽出、ドリップ抽出等の従来の方法を採用することができる。また、抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸又はそのナトリウム塩等の有機酸又はその塩を添加してもよい。さらに、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
また、茶抽出物として、茶葉から抽出した茶抽出物を使用する代わりに、茶抽出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は希釈して用いても、茶抽出物と茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は有機溶媒水溶液により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。また、茶抽出物の濃縮物として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」等が例示される。なお、茶抽出物は、そのままでも、乾燥又は濃縮したものでもよいが、工程(1)に供する前に水溶液の状態に調整される。
本工程の加水分解には、酵素処理を用いることが好ましい。使用する酵素としては、処理効率の点から、タンナーゼ活性を有する酵素を用いることが好ましい。タンナーゼ活性を有する酵素としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが例示される。中でも、アスペルギルス オリゼー由来のものが好ましい。なお、具体的な加水分解方法としては、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法を採用することができる。
このようにして加水分解後の茶抽出物が得られるが、加水分解後の茶抽出物は次工程にそのまま使用しても、必要により濾過、濃縮等を行ってもよい。
[工程(2)]
工程(2)は、加水分解後の茶抽出物を合成吸着剤に接触させ、該茶抽出物中の非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる工程である。
本工程に使用する合成吸着剤としては、非重合体カテキン類の回収率向上の観点から、微細な粒子径を有するものが好ましい。具体的には、合成吸着剤の平均粒子径(d50)が100〜500μm、更に150〜450μm、特に200〜400μmであることが好ましい。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定したものであり、具体的には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により合成吸着剤の粒度分布を個数基準で作成して得られたメディアン径(d50)を平均粒子径としたものである。
このような合成吸着剤は公知の方法により製造してもよいが、例えば、市販の合成吸着剤を篩にかけて所望の平均粒子径を有する合成吸着剤を採取してもよい。
市販の合成吸着剤としては、例えば、アンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000、(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンHP20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP850、SP825、SP700、SP70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製)等のスチレン系;セパビーズSP205、SP206、SP207(三菱化学社製)等の芳香環に臭素原子を導入して吸着能を高めた置換スチレン系;ダイヤイオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製)等のメタクリル系;アンバーライトXAD761(ロームアンドハース社製)等のフェノール系;アンバーライトXAD7HP(ロームアンドハース社製)等のアクリル系;TOYOPEARL、HW-40C(東ソー社製)等のポリビニル系;SEPHADEX、LH−20(ファルマシア社製)等のデキストラン系が例示される。
中でも、合成吸着剤としては、その母体が、スチレン系(特にスチレン−ジビニルベンゼン共重合体)、メタクリル系、アクリル系、ポリビニル系が好ましく、特にスチレン系が非重合体カテキン類と夾雑物との分離性の点から好ましい。
合成吸着剤の使用量は、加水分解後の茶抽出物中の非重合体カテキン類の全質量と、合成吸着剤の全容量との比が20〜60g/L、更に25〜55g/L、特に30〜50g/Lとなる量を選択することが、夾雑物の除去効率、非重合体カテキン類の回収率の向上の観点から好ましい。
加水分解後の茶抽出物中の非重合体カテキン類を吸着させる方法としては、茶抽出物に合成吸着剤を添加し撹拌して吸着させた後、ろ過操作により合成吸着剤を回収するバッチ方法、又は合成吸着剤を充填したカラムを用いて連続的に吸着処理を行なうカラム方法を採用することができるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。
かかる吸着処理前においては、合成吸着剤中の不純物の除去、非重合体カテキン類の吸着能の向上の観点から、合成吸着剤を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。先ず、空間速度(SV)=0.5〜10[h-1]、合成吸着剤に対する通液倍数(BV)=2〜10[v/v]の条件でエタノール水溶液を合成吸着剤が充填されたカラムに通液して合成吸着剤中の不純物を除去する。次いで、SV=0.5〜10[h-1]、BV=1〜60[v/v]の条件で水をカラムに通液してカラム内のエタノールを水に置換する。
合成吸着剤に非重合体カテキン類を吸着させる際、茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度は、0.1〜10質量%、更に0.2〜5質量%、特に0.5〜2質量%であることが、合成吸着剤への吸着効率の点から好ましい。
茶抽出物を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する際には、SV=0.3〜5[h-1]、BV=0.5〜10[v/v]、特にBV=0.5〜5[v/v]の条件で通液することが好ましい。その際、茶抽出物として、20℃以下、更に18℃以下、特に15℃以下の温度に冷却したものを用いてもよい。このような通液条件とすることで、茶抽出物中の非重合体カテキン類を合成吸着剤に十分吸着させることができる。なお、茶抽出物の温度の下限は、凝固点以上であれば特に限定されるものでないが、0℃であることが好ましい。
[工程(3)]
工程(3)は、合成吸着剤を20℃以下の水で洗浄する工程である。
本工程に使用する水としては、例えば、水道水、精製水、イオン交換水が例示される。
また、本工程に使用する水の温度は20℃以下であるが、18℃、特に15℃以下であることが好ましい。これにより、合成吸着剤に付着した夾雑物を効率よく除去しながら非重合体カテキン類の回収率を向上させることができる。なお、茶抽出物の温度の下限は、凝固点以上であれば特に限定されるものでないが、0℃であることが好ましい。
さらに、水の通液条件としては、SV=0.3〜10[h-1]、特にSV=0.5〜5[h-1]であり、かつBV=0.5〜3[v/v]、特にBV=0.5〜2[v/v]であることが、夾雑物の除去効率、非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
[工程(4)]
工程(4)は、合成吸着剤に20℃以下の有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる工程である。
本工程に使用する有機溶媒水溶液としては、水溶性有機溶媒と水との混合系が用いられ、水溶性有機溶媒としては、例えば、アセトン等のケトン、メタノール、エタノール等のアルコールが例示され、食品への使用の観点から、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒の濃度は、通常10〜70質量%であるが、15〜50質量%、更に20〜40質量%、特に25〜35質量%であることが、非重合体カテキン類の回収率を向上の観点から好ましい。
有機溶媒水溶液の通液条件は、好ましくは、SV=0.3〜10[h-1]、特にSV=0.5〜5[h-1]であり、かつBV=0.3〜10[v/v]、特にBV=0.5〜5[v/v]であることが好ましい。これにより、(A)非重合体カテキン類を高収率で回収するとともに、(B)ガレート体、(C)ルチン及び(D)カフェインを低減させた精製茶抽出物を得ることができる。
本工程により得られた溶出液は、濃縮又は加水することにより沈殿物を析出させた後、固液分離して沈殿物を除去してもよい。これにより、精製茶抽出物の呈味及び安定性をより一層向上させることができる。
また、濁り成分を析出させる熟成時間は特に限定されないが、例えば、2分〜50時間、更に2分〜24時間、特に5分〜6時間であることが好ましい。また、濁り成分の析出温度は、沈殿物の溶解度低下、及び濁り成分析出後の濁り成分の分離性の点から、−5〜40℃、更に5〜25℃であることが好ましい。
固液分離の操作としては食品工業で通常使用されている方法を採用することができるが、例えば、ろ過、遠心分離処理等が例示され、これらは組み合わせて行うことができる。
このようにして、本発明の精製茶抽出物は、(A)非重合体カテキン類を90〜100質量%、特に94〜99質量%という高収率で回収することが可能であり、更には(B)ガレート体、(C)ルチン及び(D)カフェイン等の夾雑物を低減化することができる。
また、本発明の精製茶抽出物は、色相に優れている。具体的には、非重合体カテキン類濃度を175mg/100mLになるように希釈し、光路長10mmのセルで測定したときの400nmにおける吸光度が0.7未満、特に0.6未満とすることができる。なお、吸光度の下限は0.01であることが好ましい。このような吸光度の場合には、適度な色相となり良好な外観を得ることができる。
本発明の精製緑茶抽出物は、苦味と渋味が改善されるだけでなく、着色も抑制されているため幅広い用途展開が可能である。例えば、本発明の精製緑茶抽出物をそのまま飲食品の原料として使用することができるが、とりわけ茶系飲料又は非茶系飲料などの容器詰飲料に使用することが好ましい。また、精製緑茶抽出物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により粉体化することができる。
なお、本発明の容器詰飲料には、酸化防止剤、各種エステル類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、苦渋味抑制剤、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
本発明の容器詰飲料のpH(25℃)は、2〜7、好ましくは2〜6.5とするのが呈味及び非重合体カテキン類の安定性の点で好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
(1)非重合体カテキン類及びカフェインの測定
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラディエントの条件は、以下のとおりである。
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0.0 97 3
5.0 97 3
37.0 80 20
43.0 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49.0 97 3
60.0 97 3
(2)ルチンの測定
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式L−2130、HITACHI製)を用い、カラム(Shimpach VP ODS、150×4.6mmI.D.)を装着し、カラム温度40℃でグラディエント法により分析した。移動相C液はリン酸を0.05%含有する蒸留水溶液、D液はメタノール溶液とし、流速は1mL/L、試料注入量は10μL、UV検出器波長は370nmの条件で行った。なお、グラディエントの条件は、以下のとおりである。
時間(分) C液濃度(体積%) D液濃度(体積%)
0.0 95 5
20.0 80 20
40.0 30 70
41.0 0 100
46.0 0 100
47.0 95 5
55.0 95 5
(3)粒子径の測定
合成吸着剤の粒子径測定には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(LS 13 320、BECKMAN COULTER)を用いた。そして、本装置により粒子分布を個数基準で作成し、メディアン径(d50)を求めた。
(4)色相の測定
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物を非重合体カテキン類濃度が175mg/100mLになるようにイオン交換水で希釈し、分光光度計(UVmini 1240、島津製作所製)により試料を10mm角型のプラスチックセルに入れて400nmにおける吸光度を3回測定し平均値として求めた。
(5)官能評価
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物を非重合体カテキン類濃度が175mg/100mLになるようにイオン交換水で希釈し、その40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸ナトリウムを0.1質量%添加し、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブにて121℃で10分間加熱滅菌した。その後、パネラー6名によって雑味について下記の基準により評価し、協議によりスコアを決定した。
雑味の評価基準
5:雑味が少ない
4:雑味がやや少ない
3:雑味がやや多い
2:雑味が多い
1:雑味がかなり多い
工程(3)の液温を20℃以下とすることの意義について検討した。
試験例1
緑茶葉(ケニア産、大葉種)から熱水抽出、タンナーゼ処理、噴霧乾燥によって得られた粉末[(A)非重合体カテキン類濃度が29.9質量%、(B)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が35.2質量%、(C)ルチン/(A)非重合体カテキン類が0.043、(D)カフェイン/(A)非重合体カテキン類が0.179]を、イオン交換水に30分間攪拌溶解した。溶解後のカテキン類濃度は、0.97質量%であった「タンナーゼ処理した緑茶抽出液(1)」。
次いで、スチレン系合成吸着剤(三菱化学(株)製、平均粒径302μm)250Lを、ステンレス製カラム(内径700mm×1358mm)に充填した。次いで、通液速度がSV=1.5(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して10倍体積量の92質量%エタノール水溶液を通液後、通液速度がSV=1.5(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して10倍体積量の水を通液して洗浄した。次いで、タンナーゼ処理した緑茶抽出液(1)1000kg(4倍体積対合成吸着剤、液温27℃)を通液速度SV=1.0(h-1)でカラムに通液し透過液を廃棄した。次いで、通液速度がSV=1.0(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して1.5倍体積量のイオン交換水(25.4℃)を通液し洗浄した。
試験例2〜4
工程(3)の条件を表1に記載のものに変更したこと以外は、試験例1と同様の操作により行なった。
通液した緑茶抽出液(1)中の非重合体カテキン類の量に対する、洗浄で溶出した非重合体カテキン類の量の割合を非重合体カテキン類の脱離率とした。
Figure 0005183567
表1から工程(3)の液温を20℃以下とすることで、洗浄による非重合体カテキン類の脱離を抑制できることが確認された。
実施例1
試験例1と同様のカラム及び合成吸着剤を用い、工程(3)の条件を表2に記載のものに変更して、試験例1と同様の操作にて工程(1)〜(3)を行った。
次に、エタノール濃度30質量%のエタノール水溶液を、合成吸着剤の全容量に対して2倍量通液した(工程(4))。
得られた精製緑茶抽出物は、(A)非重合体カテキン類濃度が1.85質量%、固形分中の(A)非重合体カテキン類濃度が68.4質量%、(B)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が32.6質量%、(C)ルチン/(A)非重合体カテキン類が0.016、(D)カフェイン/(A)非重合体カテキン類が0.079であった。また、タンナーゼ処理された緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は98.1%であった。次いで、溶出液を減圧濃縮してエタノールを除去し、官能評価を行なったところ雑味が非常に少なかった。
実施例2
スチレン系合成吸着剤(三菱化学(株)製、平均粒径332.7μm)1070mLを、ステンレス製カラム(内径72mm×335mm)に充填した。次いで、試験例1と同様の操作にて合成吸着剤の洗浄を行なった。次いで、タンナーゼ処理した緑茶抽出液(1)4280g(4倍体積対合成吸着剤、液温10℃)を通液速度SV=1.0(h-1)でカラムに通液し透過液を廃棄した。
次いで、工程(3)〜(4)の条件を表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。
得られた精製緑茶抽出物は、(A)非重合体カテキン類濃度が1.46質量%、固形分中の(A)非重合体カテキン類濃度が68質量%、(B)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が33.6質量%、(C)ルチン/(A)非重合体カテキン類0.015、(D)カフェイン/(A)非重合体カテキン類が0.101であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は94.4%であった。次いで、溶出液を減圧濃縮してエタノールを除去し、官能評価を行なったところ雑味が非常に少なかった。
比較例1
スチレン系合成吸着剤(三菱化学(株)製、平均粒径532.8μm)250Lを試験例1と同様のカラムに充填した。タンナーゼ処理した緑茶抽出液(1)を原料として用い、工程(2)〜(4)の条件を表2に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。
得られた精製緑茶抽出物は、(A)非重合体カテキン類濃度が2.0質量%、固形分中の(A)非重合体カテキン類濃度が60.3質量%、(B)非重合体カテキン類中のガレート体の割合が36.3質量%、(C)ルチン/(A)非重合体カテキン類が0.046、(D)カフェイン/(A)非重合体カテキン類が0.174であった。また、タンナーゼ処理された緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は93.3%であった。次いで、溶出液を減圧濃縮してエタノールを除去し、官能評価を行なったところ雑味が多かった。
比較例2
試験例1と同様のカラム及び合成吸着剤を用い、タンナーゼ処理した緑茶抽出液(1)を原料として、工程(2)〜(4)の条件を表2記載のものに変更した以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。
得られた精製緑茶抽出物は、(A)非重合体カテキン類濃度が1.79質量%、固形分中の(A)非重合体カテキン類濃度が63.7質量%、(B)非重合体カテキン類中のガレート体率が36質量%、(C)ルチン/(A)非重合体カテキン類が0.029、(D)カフェイン/(A)非重合体カテキン類が0.146であった。また、タンナーゼ処理された緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は93.8%であった。次いで、溶出液を減圧濃縮してエタノールを除去し、官能評価を行なったところ雑味がやや多かった。
Figure 0005183567
表2から、工程(3)及び(4)における温度を所定温度以下に制御することで、非重合体カテキン類を高収率で回収でき、しかも非重合体カテキン類のガレート体だけでなく、フラボノール配糖体であるルチンやカフェインを低減した精製茶抽出物を効率よく製造できることが確認された。また、この精製茶抽出物は、色相が良好で、雑味がなく飲みやすいものであった。

Claims (3)

  1. 次の工程(1)〜(4):
    (1)茶抽出物を加水分解する工程、
    (2)加水分解後の茶抽出物を、平均粒子径(d50)が200〜400μmであるスチレン系合成吸着剤に接触させ、該茶抽出物中の非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる工程、
    (3)合成吸着剤を18℃以下の水で洗浄する工程、及び
    (4)合成吸着剤に20℃以下、かつエタノール濃度が20〜50質量%のエタノール水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる工程
    を含む、精製茶抽出物の製造方法。
  2. 加水分解にタンナーゼ活性を有する酵素を用いる、請求項1記載の製造方法。
  3. 茶抽出物として、緑茶抽出物を用いる、請求項1又は2記載の製造方法。
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