JP5336340B2 - 精製茶抽出物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、上記製造方法により得られた精製茶抽出物を提供するものである。
また、本発明の製造方法により得られた精製茶抽出物は、非重合体カテキン類を高濃度で含有するにも拘わらず、非重合体カテキン類のガレート体由来の苦味や、没食子酸由来の酸味が低減されているため、高濃度非重合体カテキン類含有飲食品の原料として有用である。
「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。非重合体カテキン類濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
「(B)非重合体カテキン類のガレート体(以下、(B)ガレート体ともいう)」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等を併せての総称であり、「(A)非重合体カテキン類中の(B)ガレート体の割合」は、非重合体カテキン類の総量に対する上記ガレート体の質量比率である。
ここで、茶抽出液とは、茶から熱水又は親水性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。なお、親水性有機溶媒として、例えば、エタノール等のアルコールを使用することができる。
抽出に使用する茶としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹が好適である。その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。不発酵茶としては、例えば、茎茶、棒茶、芽茶、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶等の緑茶が例示される。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が例示される。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、非重合体カテキン類の含有量の点から、緑茶が好ましい。
茶抽出液又はその濃縮物の固形物とは、茶抽出液又はその濃縮物を公知の方法で乾燥又は固形化したものを指す。これらは市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等が例示される。
タンナーゼ処理する際の茶抽出物の水溶液中の非重合体カテキン類濃度は、0.1〜1.5質量%、更に0.1〜1質量%、特に0.5〜1質量%であることが好ましい。なお、このような非重合体カテキン類濃度に調整するには、例えば、茶抽出物を必要により濃縮又は加水すればよい。
タンナーゼ活性を有する酵素としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが例示される。中でも、アスペルギルス オリゼー由来のものが好ましい。
なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法が例示される。
茶抽出物に含まれる有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、非重合体カテキン類の回収率及び没食子酸の除去効率の観点から、その下限が10質量%、更に25質量%、より更に35質量%、より更に45質量%、より更に55質量%、特に65質量%であることが好ましく、他方上限は95質量%、更に92.4質量%、特に90質量%であることが好ましい。
強塩基性イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオン・SAシリーズ(強塩基性ゲル型:SA10A,SA11A,SA12A,SA20A,SA21A等、三菱化学社製)、ダイヤイオン・PAシリーズ(強塩基性ポーラス型:PA306,PA308,PA312,PA316,PA318,PA406,PA408,PA412,PA416,PA418等、三菱化学社製)、HPA25(強塩基性ハイポーラス型、三菱化学社製)、アンバーライト(IRA400J,IRA410J,IRA900J等、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックス(マラソンA、マラソンA2等、ザ・ダウ・ケミカル社製)が例示される。
また、弱塩基性イオン交換樹脂としては、例えば、WAシリーズ(アクリル系:WA10,WA11等、スチレン系:WA20,WA21J,WA30等、三菱化学社製)、アンバーライト(アクリル系:IRA67,スチレン系:IRA96SB,XT6050RF等、ローム・アンド・ハース社製)、ダウエックス66(ザ・ダウ・ケミカル社製)が例示される。
有機酸としては、pKaが4.16〜8.55であれば特に限定されないが、非重合体カテキン類の回収率及び没食子酸の除去率の向上の観点から、pKaが4.16〜5である有機酸が好ましく、具体的には、アスコルビン酸(pKa4.17)、酢酸(pKa4.76)、プロピオン酸(pKa4.87)、酪酸(pKa4.82)、吉草酸(pKa4.84)が例示される。中でも、アスコルビン酸、酢酸が好適である。ここで、本明細書において「pKa」とは、25℃の水溶液中における酸解離定数をいい、多価の酸の場合は第1酸解離定数である。
陰イオン交換樹脂と接触させる際の有機酸水溶液中の有機酸濃度は0.1〜15質量%、特に1〜10質量%であることが好ましい。また、陰イオン交換樹脂と接触させる際の1回当たりの有機酸水溶液の使用量は、陰イオン交換樹脂の全質量に対して5〜100倍量、更に10〜40倍量であることが好ましい。有機酸水溶液との接触後においては、陰イオン交換樹脂の全質量に対して5〜50倍量の水で洗浄することが好ましい。
更に、陰イオン交換樹脂と有機溶媒水溶液を含む茶抽出物とを接触させる前に、有機溶媒水溶液を含む茶抽出物の調製に使用した有機溶媒水溶液で陰イオン交換樹脂を1回以上洗浄することが好ましい。
また、陰イオン交換樹脂と接触させる際の温度は、0〜40℃、更に10〜35℃、特に20〜30℃であることが好ましい。
活性炭処理に使用する活性炭の原料としては、例えば、ヤシ殻、木質、石炭が例示され、中でも木質のものが好ましい。活性炭の賦活方法としては、例えば、水蒸気賦活法、ガス賦活法、薬品賦活法が例示され、中でも薬品賦活法が好ましい。
活性炭としては、風味改善、活性炭の使用量低減及び回収率向上の点から、以下の性状を有するものを使用することが好ましい。平均細孔径は0.5〜10nm(ナノメーター)、更に0.7〜9nm、特に1〜8nmであるものが好ましい。細孔容積は0.01〜2.5mL/g、更に0.1〜2.0mL/g、特に0.5〜1.8mL/gであるものが好ましい。また、比表面積は800〜2000m2/g、更に900〜1900m2/g、特に1000〜1800m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭に接触させる際の茶抽出物に含まれる有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、酸味の低減という観点から、その下限が10質量%、更に25質量%、より更に35質量%、より更に45質量%、より更に55質量%、特に65質量%であることが好ましく、他方上限は95質量%、更に92.4質量%、特に90質量%であることが好ましい。
また、沈殿物を析出させる熟成時間は特に限定されないが、例えば、2分〜50時間、更に2分〜24時間、特に5分〜6時間であることが好ましい。また、析出温度は、沈殿物の溶解度低下、及び沈殿物の分離性の点から、−5〜40℃、更に5〜25℃であることが好ましい。
固液分離の操作としては食品工業で通常使用されている方法を採用することができるが、例えば、ろ過、遠心分離処理等が例示され、これらは組み合わせて行うことができる。
(i)有機溶媒水溶液を含む茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率が、好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下、特に好ましくは65%以下である。
(ii)有機溶媒水溶液を含む茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率が、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上である。
飲料のpH(25℃)は、風味及び非重合体カテキン類の安定性の点から、2〜7、特に3〜6とすることが好ましい。
食品としては、例えば、菓子類(例えば、パン、ケーキ、クッキー、ビスケット等の焼菓子、チューインガム、チョコレート、キャンデー)、デザート類(例えば、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム)、レトルト食品、調味料(例えば、ソース、スープ、ドレッシング、マヨネーズ、クリーム)が例示される。
なお、飲食品の形態は特に限定されず、摂取しやすい形態であれば、固形、粉末、液体、ゲル状、スラリー状等のいずれであってもよい。
更に、容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法で行った。カテキン類の標準品としては、三井農林製のものを使用し、検量線法で定量した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った
各実施例及び比較例で得られた精製茶抽出物を、エタノールを含む場合は留去した後に、非重合体カテキン類濃度が175mg/100mLになるようにイオン交換水で希釈して風味評価を行った。風味評価はパネラー5名により行い、協議によりスコアを決定した。風味評価は酸味とエグ味に関して下記の5段階で行い、5段階評価は数値が大きいほど、風味が良好であることを意味する。
評点5:風味において非常に優れる
評点4:風味においてやや優れる
評点3:風味において優れる
評点2:風味においてやや劣る
評点1:風味において劣る
アスコルビン酸由来の陰イオン基を有する陰イオン交換樹脂の製造
弱塩基性イオン交換樹脂(WA10、三菱化学社製)を106g採取し、これと5.0質量%アスコルビン酸水溶液1200gとを75分間混合攪拌した。次いで、濾別により弱塩基性イオン交換樹脂を回収した後、5.0質量%アスコルビン酸水溶液1200gを用いて75分間の混合攪拌を3回繰り返し行い、アスコルビン酸由来の陰イオン基を有する弱塩基性イオン交換樹脂(以下、「アスコルビン酸型弱塩基性イオン交換樹脂」という)を製造した。その後、アスコルビン酸型弱塩基性イオン交換樹脂を水1200gで3回水洗した。
酢酸由来の陰イオン基を有する陰イオン交換樹脂の製造
5.0質量%アスコルビン酸水溶液を、5.0質量%酢酸水溶液に換えたこと以外は、製造例1と同様の操作にて、酢酸由来の陰イオン基を有する弱塩基性イオン交換樹脂(以下、「酢酸型陰イオン交換樹脂」という)を製造した。その後、酢酸型陰イオン交換樹脂を水1200gで3回水洗した。
あらかじめタンナーゼ処理した緑茶抽出物の固形物(非重合体カテキン類濃度30質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率32質量%、没食子酸濃度3.7質量%)4.5gを、20質量%エタノール水溶液100gと十分に混合し、ろ紙にて濾過した。次いで、濾液を、非重合体カテキン類濃度が約0.9質量%になるように20質量%エタノール水溶液で濃度調整を行い、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を得た。エタノール水溶液を含む緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.938質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32質量%、没食子酸濃度が0.116質量%であった。
製造例1で得られたアスコルビン酸型陰イオン交換樹脂を20質量%エタノール水溶液で洗浄した後、洗浄後のアスコルビン酸型陰イオン交換樹脂を4g採取し、これとエタノール水溶液を含む緑茶抽出物100gを25℃にて混合し、そのまま120分間混合攪拌した。次いで、濾別により精製緑茶抽出物を97.6g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.675質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が22質量%、没食子酸濃度が0.045質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.067であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は71.9%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は39.1%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
20質量%エタノール水溶液を40質量%エタノール水溶液に換えたこと以外は、実施例1と同様の操作によりエタノール水溶液を含む緑茶抽出物を調製し、精製緑茶抽出物を97.7g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.785質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が29質量%、没食子酸濃度が0.050質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.063であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は82.0%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は42.5%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
20質量%エタノール水溶液を60質量%エタノール水溶液に換えたこと以外は、実施例1と同様の操作によりエタノール水溶液を含む緑茶抽出物を調製し、精製緑茶抽出物を97.8g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.800質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が30質量%、没食子酸濃度が0.047質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.059であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は84.3%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は41.2%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
20質量%エタノール水溶液を80質量%エタノール水溶液に換えたこと以外は、実施例1と同様の操作によりエタノール水溶液を含む緑茶抽出物を調製し、精製緑茶抽出物を97.9g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.821質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32質量%、没食子酸濃度が0.040質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.049であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は86.0%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は33.9%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
20質量%エタノール水溶液を水に換えて緑茶抽出物の水溶液を調製したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を97.6g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.501質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が10質量%、没食子酸濃度が0.038質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.076であった。また、緑茶抽出物の水溶液を基準とする非重合体カテキン類の収率は53.4%、緑茶抽出物の水溶液を基準とする没食子酸の残存率は32.8%であった。本比較例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
アスコルビン酸型陰イオン交換樹脂の使用量を緑茶抽出物の溶液100gに対して1gに変更したこと以外は、比較例1と同様の操作により緑茶抽出物の水溶液を調製し、精製緑茶抽出物を99.4g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.793質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31.4質量%、没食子酸濃度が0.087質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.110であった。また、緑茶抽出物の水溶液を基準とする非重合体カテキン類の収率は84.4%、緑茶抽出物の水溶液を基準とする没食子酸の残存率は75.3%であった。本比較例の製造条件及び分析結果を表1に示す。
アスコルビン酸型陰イオン交換樹脂を、酢酸型陰イオン交換樹脂を2gに換えたこと以外は、実施例4と同様の操作によりエタノール水溶液を含む緑茶抽出物を調製し、精製緑茶抽出物を98.5g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.690質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31.6質量%、没食子酸濃度が0.014質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.020であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は79.3%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は12.7%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表2に示す。
80質量%エタノール水溶液を水に換えて緑茶抽出物の水溶液を調製したこと以外は、実施例5と同様の操作により精製緑茶抽出物を98.4g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.685質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が23.0質量%、没食子酸濃度が0.060質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.088であった。また、緑茶抽出物の水溶液を基準とする非重合体カテキン類の収率は77.3%、緑茶抽出物の水溶液を基準とする没食子酸の残存率は54.7%であった。本比較例の製造条件及び分析結果を表2に示す。
あらかじめタンナーゼ処理した緑茶抽出物の固形物(非重合体カテキン類濃度30質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率32質量%、没食子酸濃度3.7質量%)200gを、80質量%エタノール水溶液800gと十分混合し、析出物をろ紙で濾過した。次いで、濾液を、非重合体カテキン類濃度が0.9質量%になるように80質量%エタノール水溶液で濃度調整を行い、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を得た。エタノール水溶液を含む緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.921質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32質量%、没食子酸濃度が0.097質量%であった。
製造例1で得られたアスコルビン酸型陰イオン交換樹脂を80質量%エタノール水溶液で洗浄した後、洗浄後の陰イオン交換樹脂32.4gをカラム(カラム容積40mL)に充填した。次いで、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物2600gを、25℃、流量10mL/min(SV=15/hr)でカラムに通液し、精製緑茶抽出物を2596g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.913質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32質量%、没食子酸濃度が0.061質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.067であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は99.0%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は62.8%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表3に示す。
実施例6と同様の操作により、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物2600gを得た後、これをアスコルビン酸型陰イオン交換樹脂が充填されたカラムに実施例6と同様の条件で通液した。次いで、得られた透過液を、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)15.4gを充填したカラムに25℃にて通液して精製緑茶抽出物を2559g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.819質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31質量%、没食子酸濃度が0.060質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.073であった。また、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする非重合体カテキン類の収率は87.6%、エタノール水溶液を含む緑茶抽出物を基準とする没食子酸の残存率は61.6%であった。本実施例の製造条件及び分析結果を表3に示す。
80重量%エタノール水溶液を水に換えたこと以外は、実施例6と同様の操作により緑茶抽出物の水溶液を得た。得られた緑茶抽出物の水溶液は、非重合体カテキン類濃度が0.850質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31質量%、没食子酸濃度が0.103質量%であった。
次いで、緑茶抽出物の水溶液を、アスコルビン酸型陰イオン交換樹脂が充填されたカラムに実施例6と同様の条件で通液して精製緑茶抽出物を3900g得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が0.731質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31.0質量%、没食子酸濃度が0.064質量%、没食子酸/非重合体カテキン類の質量比は0.088であった。また、緑茶抽出物の水溶液を基準とする非重合体カテキン類の収率は86.0%、緑茶抽出物の水溶液を基準とする没食子酸の残存率は62.3%であった。本比較例の製造条件及び分析結果を表3に示す。
また、有機溶媒水溶液の存在下での陰イオン交換樹脂への接触と活性炭への接触を組み合わせて茶抽出物を処理することで、エグ味がさらに効果的に低減されることが示された。得られた精製茶抽出物は没食子酸が低減され、風味評価の結果から、酸味、エグ味ともに改善されていることが確認された。
Claims (5)
- エタノール濃度が10〜95質量%であるエタノール水溶液を含む茶抽出物を、pKaが4.16〜8.55である有機酸由来の陰イオン基を有する陰イオン交換樹脂と接触させる、精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物がタンナーゼ処理されたものである、請求項1記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 陰イオン交換樹脂と接触後の茶抽出物をさらに活性炭と接触させる、請求項1又は2記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物が緑茶抽出物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた精製茶抽出物。
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