以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態における基地局と端末の送信フローの例を示す。ここで、基地局と、端末Aと、端末Bは、図29Aに示した関係にあり、端末A及び端末Bは、アップリンクで図1に示す信号を基地局に送信し、基地局は、ダウンリンクで図1に示す信号を端末A及び端末Bに送信する。
先ず、端末Aは、リファレンスシンボル101及び要求情報シンボル102を送信する。リファレンスシンボル101は、例えば、送受信機の間でI−Q平面上の信号点配置が既知のシンボルである。要求情報シンボル102は、例えば変調方式や符号化率(MCS:Modulation and Coding Scheme)等の端末が望んでいる伝送速度に関する情報を含むシンボルである。
次に、端末Bが、リファレンスシンボル103及び要求情報シンボル104を送信する。
基地局は、端末A及び端末Bが送信したリファレンスシンボル101,103の受信状態に基づいて、例えば、SINR(Signal-to-interference and noise power ratio)や周波数変動等の各端末A及び端末Bとの間の伝搬路状況を推定する。基地局は、この伝搬路状況に基づいて、端末A及び端末Bが送信する変調信号の周波数割り当てを決定し、この決定情報を含んだ制御情報シンボル105を送信する。
端末A及び端末Bは、制御情報シンボル105を受信し、制御情報シンボル105に含まれる周波数割り当て情報に基づいて変調信号を生成する。そして、端末Aは、パイロットシンボル106(例えば、端末と基地局の間で、I−Q平面上の信号点配置が既知のシンボル)及びデータシンボル107を送信する。同様に、端末Bは、パイロットシンボル108及びデータシンボル109を送信する。ここで、端末A及び端末Bは、データシンボル107,109を同一時刻に送信するようになっている。
次に、基地局は、パイロットシンボル110及びデータシンボル111を、端末に送信する。
図2に、本実施の形態における基地局と端末(端末A、端末B)の構成例を示す。
先ず、基地局の送信系について説明する。基地局は、ベースバンド信号形成部202に、送信データ201及び制御情報215を入力する。ベースバンド信号形成部202は、制御情報215aに基づいて、送信データ201に符号化や変調処理を施し、図1に示したようなフレーム構成のベースバンド信号203を出力する。
またベースバンド信号形成部202は、周波数割り当て情報である制御情報215bをベースバンド信号203に挿入する。無線送信部204は、ベースバンド信号203が入力され、直交変調、周波数変換及び信号増幅等の処理を施し、送信信号205を出力する。送信信号205はアンテナ206から電波として出力される。
次に、基地局の受信系について説明する。基地局は、複数のアンテナ207X,207Yで端末からの信号を受信する。受信部209は、アンテナ207X,207Yで受信した受信信号208X,208Yが入力され、周波数変換、直交復調、MIMO分離(例えば、ZF(Zero Forcing)又はMLD(Maximum Likelihood Detection))及び復号を行うことで、受信データ210を得る。
また、受信部209は、端末が送信したリファレンスシンボル(図1のリファレンスシンボル101,103)のベースバンド信号211を得る。リファレンスシンボルのベースバンド信号211は、伝搬路変動を受けたものである。チャネル状態推定部212は、リファレンスシンボルのベースバンド信号211に基づいて伝搬環境の状況の詳細を推定することでチャネル状態情報213を生成し、これを出力する。
周波数割り当て決定・制御情報生成部214は、チャネル状態情報213及び受信データ210を入力する。周波数割り当て決定・制御情報生成部214は、受信データ210から、端末からの要求情報(図1の要求情報シンボル102,104)を抽出し、この要求情報に応じて、変調方式や符号化率等を指示するための制御情報215aをベースバンド信号形成部202に送出する。また周波数割り当て決定・制御情報生成部214は、チャネル状態情報213に基づいて各端末の周波数割り当てを決定し、決定した周波数割り当て情報を制御情報215bとして、ベースバンド信号形成部202に送出する。この制御情報215bは、図1の制御情報シンボル105に相当し、各端末に送信される。
次に、端末の受信系について説明する。端末は、アンテナ207Mで基地局からの信号を受信する。受信部209Mは、アンテナ207Mで受信した受信信号208Mが入力され、周波数変換、直交復調、復号等の処理を行うことで、受信データ210Mを得る。データ分離部211Mは、受信データ210Mが入力され、受信データ210Mをデータ212M及び制御情報213Mに分離する。
次に、端末の送信系について説明する。端末は、ベースバンド信号形成部202MAに送信データ201MA及び制御情報213Mを入力すると共に、ベースバンド信号形成部202MBに送信データ201MB及び制御情報213Mを入力する。ベースバンド信号形成部202MA,202MBはそれぞれ、送信データ201MA,201MBに符号化や変調処理を施すのに加えて、制御情報213Mに従った周波数割り当てを行うことで、ベースバンド信号203MA,203MBを形成する。
無線送信部204MA,204MBはそれぞれ、ベースバンド信号203MA,203MB及び制御情報213Mが入力され、ベースバンド信号203MA,203MBに、制御情報213Mに従った周波数変換及び電力増幅等の処理を施すことで、変調信号205MA,205MBを得る。変調信号205MA,205MBはそれぞれ、電波としてアンテナ206MA,206MBから出力される。
図3に、端末の送信系の詳細な構成例を示す。上述したように、端末は、送信データ201MAをベースバンド信号形成部202MAに、送信データ201MBをベースバンド信号形成部202MBに入力する。なお、ベースバンド信号形成部202MA,202MBはそれぞれ、実際には、離散フーリエ変換部(DFT)302A,302Bの前段側に訂正符号化部及び変調部を有するが、図3では、図を簡単化するためにこれを省略している。よって、実際には、図3のDFT302A,302Bには、変調部によって変調方式に応じてマッピングされた送信データ201MA,201MBが入力される。
DFT302Aは、マッピングされた送信データ201MAを入力し、これに離散フーリエ変換を施すことにより、離散フーリエ変換後の信号群303Aを出力する。ルートレイズドコサイン部(RRC)304Aは、離散フーリエ変換後の信号群303Aが入力され、これを帯域制限することで帯域制限後の信号群305Aを得る。
サブキャリア割り当て部306Aは、帯域制限後の信号群305A及び制御情報213Mが入力され、帯域制限後の信号群305Aを制御情報213Mに基づいた周波数帯域に割り当て、周波数割り当て後の信号群307Aを出力する。
逆高速フーリエ変換部(IFFT)308Aは、周波数割り当て後の信号群307Aが入力され、周波数割り当て後の信号群307Aに逆高速フーリエ変換を施すことで送信ベースバンド信号309Aを形成し、これを出力する。
処理部310Aは、送信ベースバンド信号309Aが入力され、これにサイクリックプレフィクス(Cyclic Prefix)付加処理や時間窓によるフィルタリング処理を施し、これにより得た信号処理後の送信ベースバンド信号311Aを出力する。
なお、ベースバンド信号形成部202MBは、ベースバンド信号形成部202MAとほぼ同様の構成であるため、その説明は省略する。
次に、本実施の形態の動作について説明する。
先ず、図4を用いて、端末の各アンテナへの周波数帯域の割り当て方を説明する。ここで、図4において、端末Aのアンテナ#1とは図3のアンテナ206MAから送信される送信信号205MAのことを示し、端末Aのアンテナ#2とは図3のアンテナ206MBから送信される送信信号205MBのことを示す。図4は、端末A、B、C、Dが存在し、それぞれの端末が2本のアンテナを有し、2本の異なるアンテナから別々の送信信号(送信ストリーム)を送信した場合の例である。
本実施の形態の端末は、Localized SC−FDMA方式の無線送信を行う。つまり、各アンテナの信号にそれぞれ局所的周波数帯域が割り当てられ、各アンテナから局所的周波数帯域の送信信号が送信される。
図4Aは、端末Aと基地局との間の周波数軸におけるチャネル変動(伝搬路の変動)を示している。具体的には、符号401は端末Aのアンテナ#1のチャネル変動、符号402は端末Aのアンテナ#2のチャネル変動を示している。
図4Aのように、一般に、アンテナが異なれば、チャネル変動特性は異なる。従って、電界強度の最も良い周波数帯域を使用して送信することで、受信品質の低下を抑えることができる。また、電界強度の良い周波数帯域ほど変調多値数を多くすることで(例えば、QPSKから16QAMに変更すれば)、伝送速度を向上させることができる。
よって、図4Bに示すように、端末Aの各アンテナのチャネル変動特性に応じて、各アンテナ毎に局所的周波数割り当てを行うことにより、端末Aの各アンテナで送信する変調信号をより良い(受信品質、伝送速度の点で)状態で、基地局に到達させることができる。
また、図4Bのように、端末Aの異なるアンテナで送信する送信信号(送信ストリーム)を、全て異なる周波数帯域に割り当てることにより、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)多重送信を行った場合と比較して、基地局での受信時に空間ダイバーシチゲインを得ることができる。
これにより、MIMO伝送を行う場合よりも、良好な受信品質を得ることができると共に、変調多値数の多い変調方式を選択可能となるので、受信品質及び伝送速度を高く保つことができる。なお、ここでのMIMO伝送とは、同一端末の異なるアンテナを用いたものに限らず、全ての端末の中のいずれかのアンテナの組み合わせを用いたもの全てを意味する。
本実施の形態においては、使用可能周波数帯域内での、基地局に対するアクセス数(つまり同一時間にアップリンク通信を行う端末数)が少ない場合には、図4Bに示したように、各端末の各アンテナに、異なる局所的周波数帯域を割り当てるようになっている。これにより、空間ダイバーシチゲインを得ることができる。
これに対して、本実施の形態においては、使用可能周波数帯域内での、基地局に対するアクセス数(つまり同一時間にアップリンク通信を行う端末数)が増加した場合には、全てのアンテナの送信信号に対して異なる周波数を割り当てることができなくなるので、図4C及び図4Dに示すように、MIMO伝送(例えば、空間多重MIMO伝送(MIMO spatial multiplexing))を併用する。
具体的には、図4Cでは、端末Aがアンテナ#1とアンテナ#2から、同一時刻に同一の局所的周波数帯域を使用して、異なる送信信号を送信する。これにより、図4Bと比較して、端末Aのアンテナ#2に割り当てていた局所的周波数帯域が空くので、端末Cのアンテナ#1に、空いた局所的周波数帯域を割り当てることができるようになる。
また、図4Dでは、端末A、端末B、端末Dが、各端末のアンテナ#1とアンテナ#2から同一時刻に同一の局所的周波数帯域を使用して、異なる送信信号を送信する。これにより、端末Dも同一時間に通信を行うことが可能となる。
ここで、図5を用いて、空間多重MIMO伝送時の、受信側での信号分離処理について簡単に説明する。図5において、送信側は、送信部において、各送信データTA(t),TB(t)から変調信号Txa(t),Txb(t)を得、これを各送信アンテナ#1,#2から送信するものとする。受信側は、各受信アンテナ#1,#2で受信した受信信号Rx1(t)、Rx2(t)を受信部に入力し、受信部によって受信信号Rx1(t)、Rx2(t)に対して復調処理を施すことにより、送信データTA(t)、TB(t)に対応する受信データRA(t)、RB(t)を得るものとする。
ここで、送信アンテナ#1から送信された変調信号Txa(t)は、チャネル変動h11(t)、h12(t)を受けた後に受信アンテナ#1,#2で受信される。また送信アンテナ#2から送信された変調信号Txb(t)は、チャネル変動h21(t)、h22(t)を受けた後に受信アンテナ#1,#2で受信される。
よって、時間のパラメータtを用いて、送信アンテナ#1から送信される信号をTxa(t)、送信アンテナ#2から送信される信号をTxb(t)、受信アンテナ#1で受信した信号をRx1(t)、受信アンテナ#2で受信した信号をRx2(t)とすると、次式の関係が成立する。なお、n1(t),n2(t)はノイズである。
基地局は、この関係に基づき、例えばZFやMLDのアルゴリズムを用いて、図4Cの端末Aや、図4Dの端末A、端末B、端末Dによって空間多重MIMO伝送された変調信号を分離する。なお、チャネル変動の推定は、端末から送信されたパイロットシンボルを用いて行う。
ところで、本実施の形態で重要な点は、図4C及び図4Dのように、MIMO伝送を併用する場合に、MIMO伝送は同一端末の複数アンテナによって行うようにした点である。換言すると、本実施の形態においては、同一の局所的周波数帯域を割り当てて、MIMO伝送を行うのは、同一端末の複数アンテナに限っている。これにより、基地局での受信品質を確保することができる。
例えば、端末Aのアンテナ#1と端末Bのアンテナ#1とに、同一の局所的周波数帯域を割り当てるといったように、異なる端末のアンテナを用いてMIMO伝送を行った場合には、端末毎に周波数源(装置のシンセサイザの周波数源)が異なるため、また端末の場所が異なるため、周波数・時間同期及び周波数・時間のコヒーレント性の精度が悪くなり、この結果、受信品質の確保が困難となる。本実施の形態では、この点を考慮して、同一の局所的周波数帯域を割り当ててMIMO伝送を行うのは、同一端末の複数アンテナに限っている。
以上説明したように、本実施の形態によれば、局所的周波数帯域を端末に割り当てるLocalized SC−FDMA方式の無線通信方法において、使用可能周波数帯域内で同一時間に基地局にアクセスする端末数に応じて、異なるアンテナで送信する送信信号(送信ストリーム)を全て異なる周波数帯域に割り当てるか又はMIMO伝送を併用するかを選択すると共に、上記アクセスする端末数に応じてMIMO伝送を行う端末数を可変とした。
これにより、Localized SC−FDMA方式とマルチアンテナ送信技術を組み合わせた場合に、マルチアンテナ送信による空間ダイバーシチ効果を可能な限り維持しつつ、限られた使用可能周波数帯域をより多くの端末に割り当てかつ受信品質の良好なマルチアンテナ送信を行うことができるようになる。この結果、伝送品質、伝送速度及び周波数利用効率を向上させる無線通信方法を実現できる。
なお、上述した実施の形態では、使用可能周波数帯域内で同一時間に基地局にアクセスする端末数に応じて、MIMO伝送を行う端末数を可変とした場合について述べたが、例えば使用可能周波数帯域のチャネル変動特性に応じて、MIMO伝送を行う端末数を変化させるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、主に、端末に局所的周波数帯域を割り当てる、Localized SC−FDMA方式の無線送信に本発明を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、端末に分散的周波数帯域を割り当てる、Distributed SC−FDMA方式に適用することもできる。以下、Distributed SC−FDMA方式に本発明を適用した場合の形態について説明する。
基地局と端末の送信フロー、基地局と端末の構成、端末の詳細構成は、上述した図1、図2、図3と同様である。
Distributed SC−FDMA方式に本発明を適用した場合の形態では、端末の各アンテナへの周波数帯域の割り当て方が、Localized SC−FDMA方式の場合と異なる。
図6に、Distributed SC−FDMA方式に本発明を適用した場合の、端末の各アンテナへの周波数帯域の割り当て方の一例を示す。ここで、図6において、端末Aのアンテナ#1とは、図3のアンテナ206MAから送信される送信信号205MAのことを示し、端末Aのアンテナ#2とは図3のアンテナ206MBから送信される送信信号205MBのことを示す。図6は、端末A、B、C、Dが存在し、それぞれの端末が2本のアンテナを有し、2本の異なるアンテナから別々の送信信号(送信ストリーム)を送信した場合の例である。
図6の周波数割り当ては、当然のことながら図4の場合とは異なり、例えば各端末の各アンテナからの送信信号を分散的に異なる周波数帯域で送信する。
図4Aで説明した場合と同様に、一般に、アンテナが異なれば、チャネル変動特性は異なる。従って、電界強度の最も良い周波数帯域を使用して送信すれば、また電界強度の良い周波数帯域ほど変調多値数を多くすれば(例えば、QPSKから16QAMに変更すれば)、受信品質の低下が抑えられ、伝送速度を向上させることができる。
よって、図6Aに示すように、各アンテナ毎に分散的周波数割り当てを異なるように設定することにより、各アンテナで送信する変調信号をより良い(受信品質、伝送速度の点で)状態で基地局に到達させることができる。
また、図6Aのように、異なるアンテナで送信する送信信号(送信ストリーム)を、全て異なる周波数帯域に割り当てることにより、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)多重送信を行った場合と比較して、基地局での受信時に空間ダイバーシチゲインを得ることができる。これにより、MIMO伝送を行う場合よりも、良好な受信品質を得ることができると共に、変調多値数の多い変調方式を選択可能となり、受信品質及び伝送速度を高く保つことができる。なお、ここでのMIMO伝送とは、同一端末の異なるアンテナを用いたものに限らず、全ての端末の中のいずれかのアンテナの組み合わせを用いたもの全てを意味する。また、ここでの異なるアンテナとは、同一端末の異なるアンテナのことに限らず、全ての端末の全てのアンテナのことを意味する。
ここで、使用可能周波数帯域内での、基地局に対するアクセス数(つまり同一時間にアップリンク通信を行う端末数)が少ない場合には、図6Aに示したように、各端末の各アンテナに、異なる分散的周波数帯域を割り当てるようになっている。これにより、空間ダイバーシチゲインを得ることができる。なお、Distributed SC−FDMA方式では、同一のアンテナにも、分散的な複数の周波数帯域を割り当てるので、一般に、Localized SC−FDMA方式よりも周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。
これに対して、使用可能周波数帯域内での、基地局に対するアクセス数(つまり同一時間にアップリンク通信を行う端末数)が増加した場合には、全てのアンテナの送信信号に異なる周波数を割り当てることができなくなるので、図6Bに示すように、MIMO伝送(例えば、空間多重MIMO伝送(MIMO spatial multiplexing))を併用する。
具体的には、図6Bでは、端末A、端末Cが、それぞれのアンテナ#1とアンテナ#2から同一時刻に同一の分散的周波数帯域を使用して、異なる送信信号を送信する。これにより、図6Aと比較して、端末Aのアンテナ#2に割り当てていた分散的周波数帯域が空くので、端末Cにこの空いた分散的周波数帯域を割り当てることができるようになる。
ここで重要な点は、図6Bのように、MIMO伝送を併用する場合に、MIMO伝送は同一端末の複数アンテナによって行うようにした点である。換言すると、同一の分散的周波数帯域を割り当てて、MIMO伝送を行うのは、同一端末の複数アンテナに限っている。これにより、基地局での受信品質を確保することができる。
例えば、端末Aのアンテナ#1と端末Bのアンテナ#1とに、同一の分散的周波数帯域を割り当てるといったように、異なる端末のアンテナを用いてMIMO伝送を行った場合には、端末毎に周波数源(装置のシンセサイザの周波数源)が異なるため、また端末の場所が異なるため、周波数・時間同期及び周波数・時間のコヒーレント性の精度が悪くなる。この結果、受信品質の確保が困難となる。
本実施の形態では、この点を考慮して、同一の分散的周波数帯域を割り当ててMIMO伝送を行うのは、同一端末の複数アンテナに限っている。
以上説明したように、分散的周波数帯域を端末に割り当てるDistributed SC−FDMA方式の無線通信方法において、使用可能周波数帯域内で同一時間に基地局にアクセスする端末数に応じて、異なるアンテナで送信する送信信号(送信ストリーム)を全て異なる周波数帯域に割り当てるか、又はMIMO送信を併用するか、を選択すると共に、上記アクセスする端末数に応じてMIMO伝送を行う端末数を可変とした。
これにより、Distributed SC−FDMA方式とマルチアンテナ送信技術を組み合わせた場合に、マルチアンテナ送信による空間ダイバーシチ効果を可能な限り維持しつつ、限られた使用可能周波数帯域をより多くの端末に割り当てかつ受信品質の良好なマルチアンテナ送信を行うことができるようになる。この結果、伝送品質、伝送速度及び周波数利用効率を向上させる無線通信方法を実現できる。
なお、上述した実施の形態では、送信アンテナ数2、受信アンテナ数2のマルチアンテナシステムに本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、送信アンテナ数が2本以上、受信アンテナ数が2本以上、送信変調信号が2以上の場合に広く適用できる。
また、上述した実施の形態では、MIMO伝送として、空間多重MIMO伝送を用いる場合を例に説明したが、MIMO伝送の方式はこれに限ったものではなく、例えば、固有モード伝送を適用しても同様に実施することができる。つまり、MIMO伝送の方式は、本発明において、本質的な事項ではなく、いずれの方式でも同様に実施することができ、同様な効果を得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、Distributed SC−FDMA方式において、端末毎に周波数割り当ての規則性を異なるようにすることを提案する。
先ず、本実施の形態の説明する前に、本実施の形態に至った過程を、図7を用いて説明する。図7は、Distributed SC―FDMA方式の周波数割り当て方法の例を示している。図7での特徴は、全ての端末A、端末B、端末Cが同一のNキャリア間隔で分散的に周波数を割り当てられている点である。
図7Aは、端末A、端末B、端末Cに隣接した周波数を割り当てた場合を示す。この場合、図7Aにおいては、割り当てられた周波数は異なるが、実際の端末A、端末B、端末C毎の内部の周波数源が異なるので、実際は、全てのキャリアでお互いが干渉する可能性が高い。従って、受信品質の低下を招く。
干渉を抑圧する方法として、図7Bのように、隣接キャリアを使用しない方法が考えられる。図7Bのような周波数割り当てを行った場合、隣接キャリアを使用しないので、周波数利用効率が低下してしまう。また、図7Cのように端末Dがさらにアクセスした場合には、隣接キャリアに配置せざるを得なくなる。この結果、結局は、端末A、端末B、端末Dが、全てのキャリアで互いに干渉し合うので、受信品質の低下を招く。
以上のような考察の下、本実施の形態では、図8のような周波数割り当てを提案する。
図8では、端末Aにはキャリア間隔Vで、端末Bにはキャリア間隔Wで、端末Cにはキャリア間隔Xで、端末Dにはキャリア間隔Yで、それぞれ周波数帯域を割り当てる。但し、上記キャリア間隔V,W,X,Yを、V≠W≠X≠Yの関係となるように設定する。
このように複数の端末に分散的周波数帯域を割り当てる場合に、各端末で異なるキャリア間隔で分散的周波数帯域を割り当てたことにより、基地局において、各端末からの信号を誤り率特性の良い状態で復号することができるようになる。
このことについて説明する。図8から分かるように、干渉が大きくなる周波数は、図8の符号801及び符号802で示した周波数である。しかし、干渉の大きいキャリアは、たかだか、端末Aで2キャリア、端末Bで1キャリア、端末Cで2キャリアであり、図7Aや図7Cで示したような全てのキャリアで干渉が大きくなってしまう端末は存在しない。よって、各端末において、全てのキャリアの受信品質が悪いわけではないので、端末側で畳み込み符号、ターボ符号又はLDPC符号等を用いた誤り訂正符号化を行い、基地局側で誤り訂正復号を行えば、誤り訂正処理による誤り率特性の向上効果を得ることができる。この結果、誤り率特性の極端に悪い端末が生じることを防ぐことができる。
なお、本実施の形態の周波数割り当て方法の適用範囲は、マルチアンテナ通信システムに限ったものではないが、実施の形態1で説明したようなマルチアンテナ通信システムに適用すると、次のような効果を得ることもできる。
すなわち、図8の符号802で示した周波数帯域の信号については、基地局はZFやMLDの信号分離アルゴリズムを用いて各端末A,Cの信号を分離することができるので、受信品質を確保することもできる。また、符号801,802を除くキャリアの信号については、基地局は複数のアンテナでそれらを受信するので、空間ダイバーシチゲインを得ることができ、非常に良い受信品質を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、Distributed SC−FDMA方式の無線通信方法において、各端末で異なるキャリア間隔で分散的周波数帯域を割り当てたことにより、受信側(基地局側)で誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。
なお、上述した実施の形態では、4つの端末A〜Dについての分散的周波数帯域割り当てについて説明したが、本発明はこれに限らず、2つ以上の端末についての分散的周波数帯域割り当てに広く適用できる。つまり、複数の端末のうち、第1の端末にはxキャリア間隔で周波数帯域を割り当てると共に、前記複数の端末のうち、第2の端末にはy(x≠y)キャリア間隔で周波数帯域を割り当てるようにすれば、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態では、4つの端末A〜D間で、全て異なるキャリア間隔で分散的周波数帯域を割り当てた(すなわちキャリア間隔V,W,X,Yを、V≠W≠X≠Yの関係となるように設定した)場合について述べたが、必ずしも全てのキャリア間隔を異なるように設定する必要はなく、いずれか2つ以上の端末間で、キャリア間隔を異なるようにすればある程度の効果は得ることができる。
さらに、上述した実施の形態に加えて、上記キャリア間隔V,W,X,Yを、V,W,X,Yの最小公倍数がV×W×X×Yとなる値に選定すれば、各端末A〜Dが干渉し合う確率を非常に低くできるので一層効果的である。なお、2つの端末間の関係で言えば、第1の端末にはxキャリア間隔で周波数帯域を割り当てると共に、第2の端末にはy(x≠y)キャリア間隔で周波数帯域を割り当て、かつ、前記xと前記yを、前記xと前記yの最小公倍数がx×yとなる値に選定すればよい。
さらに、上述した実施の形態では、各端末で異なるキャリア間隔で分散的周波数帯域を割り当てた場合について説明したが、要は、端末毎に周波数割り当ての規則性を異なるようにすればよい。
さらに、上述した実施の形態に加えて、アクセスしている端末数に応じて、各端末への周波数割り当て規則を変更してもよい。例えば、基地局にアクセスしている端末数が少ない場合には、図7Bに示すように、隣接キャリアを用いない周波数割り当てが可能な場合がある。
従って、基地局にアクセスしている端末数が少ない場合は、図7Bに示すような周波数割り当てを行ってもよい。また、基地局にアクセスしている端末数が多い場合は、図8に示すような周波数割り当てを行ってもよい。このようにした場合でも、上述した実施の形態と同様に、受信側で誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。つまり、各端末への周波数割り当ての規則性を常時異ならせる必要はない。
(実施の形態3)
本実施の形態では、Distributed SC−FDMA方式において、端末に割り当てるキャリアを時間的に変更することを提案する。
図9及び図10を用いて、本実施の形態の周波数割り当て方法を説明する。なお、図9は、本実施の形態の周波数割り当て方法を示すもので、図10はその比較例を示すものである。
図9及び図10において、横軸は周波数、縦軸は時間である。また、符号901で示す実線のキャリアは、Nキャリア毎に周波数を割り当てたDistributed SC−FDMA方式のキャリアを示し、符号902で示す破線のキャリアは、Mキャリア毎に周波数を割り当てたDistributed SC−FDMA方式のキャリアを示す。但し、NとMは、N≠Mの関係となっている。また、符号903は、隣接キャリアの関係となっているキャリアを示している。隣接キャリアの関係とは、周波数軸においてキャリア間隔がなく、隣に配置されているキャリア同士のことを意味する。
符号903で示す隣接キャリアの関係にあるキャリアは、実施の形態2でも説明したように、各端末内部の周波数源が異なるので、結果として、互いの干渉が大きくなり、受信品質が悪くなる。図9及び図10は、そのような隣接キャリアの関係にある箇所903が各時刻で1箇所あるときの例である。
また、図9及び図10において、“A”、“B”、“C”、“D”は、それぞれ“端末A”、“端末B”、“端末C”、“端末D”に割り当てたキャリアを示す。ここでは、Nキャリア毎に周波数を割り当てたDistributed SC−FDMA方式のキャリア901を、端末Aと端末Bで共有して使用している(このとき、端末A,B毎のキャリア間隔は2Nとなる)。また、Mキャリア毎に周波数を割り当てたDistributed SC−FDMA方式のキャリア902を、端末Cと端末Dで共有して使用している(このとき、端末C、D毎のキャリア間隔は2Mとなる)。
本実施の形態においては、図9に示すように、時間の経過とともに、端末への周波数割り当てを変更する。これにより、同一端末に、他の端末が使用しているキャリアと隣接したキャリアが連続した時間で連続して割り当てられないようになる。この結果、各端末において、隣接キャリア関係にあるキャリアが割り当てられる頻度を少なくできるので、隣接キャリアの影響が軽減される。
これに対して、図10のように、時間の経過とともに、端末への周波数割り当てを変更しなかった場合、つまり、時間i、i+1、i+2、i+3で各端末の周波数割り当てを変更しなかった場合、端末Aと端末Cでは、隣接キャリアの関係にあるキャリアの発生頻度が非常に多い。一方、端末Bと端末Dでは、隣接キャリアの関係にあるキャリアが無い。この場合、端末Aと端末Cは受信品質が悪いが、端末Bと端末Dは受信品質が良いという偏りが発生する。
一方で、図9のように、時間の経過とともに、端末への周波数割り当てを変更する場合、つまり、時間i、i+1、i+2、i+3で各端末の周波数割り当てを変更した場合、受信品質の悪いキャリア(隣接キャリアの関係にあるキャリア)の発生頻度が、各端末でほぼ均等となる。換言すれば、各端末間で、受信品質の悪いキャリア(隣接キャリアの関係にあるキャリア)の発生頻度の偏りが軽減される。
これにより、実施の形態2でも説明したように、端末側で畳み込み符号、ターボ符号又はLDPC符号等を用いた誤り訂正符号化を行い、基地局側で誤り訂正復号を行えば、誤り訂正処理による誤り率特性の向上効果を得ることができる。この結果、誤り率特性の極端に悪い端末が生じることを防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、分散的周波数帯域を端末に割り当てるDistributed SC−FDMA方式の無線通信方法において、時間の経過とともに、端末への周波数割り当てを変更するようにしたことにより、各端末間で、受信品質の悪いキャリア(隣接キャリアの関係にあるキャリア)の発生頻度の偏りを軽減できるので、受信側(基地局側)で誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。
なお、通信状況や基地局へのアクセス数等に応じて、時間の経過とともに端末への周波数割り当てを変更する場合と、時間の経過とともに端末への周波数割り当てを変更しない場合とを併用してもよい。
また、MIMO伝送を行う端末に、本実施の形態の周波数割り当て方法を適用しても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1の周波数割り当て方法と併用しても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。この場合、端末単位で時間ごとに周波数割り当てを変更すると共に、各端末のアンテナ単位で時間ごとに周波数割り当てを変更すればよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、SC−FDMA方式におけるサブキャリアへのシンボルの配置方法について説明する。本実施の形態では、主に、Localized SC−FDMA方式におけるサブキャリアへのシンボル配置方法を提案する。
図2との対応部分に同一符号を付して示す図11に、本実施の形態における端末及び基地局の構成例を示す。図11の構成が、図2と異なる点は、制御情報215が基地局の受信部209に入力されていることと、端末のベースバンド信号形成部1101MA,1101MBの構成である。
図3との対応部分に同一符号を付して示す図12に、端末の送信系の詳細な構成例を示す。なお、図12では、図を簡単化するために、送信アンテナ206MAについての送信系のみを示し、送信アンテナ206MBについての送信系は省略した。
符号化部1202Aは、送信データ201MA及び制御情報213Mが入力され、制御情報213Mに含まれる符号化方法及び符号化率に従った符号化を行うことで、符号化後のデータ1203Aを得る。インタリーバ1204Aは、符号化後のデータ1203Aが入力され、データの順番の並び替えを行うことで、インタリーブ後のデータ1205Aを得る。マッピング部1206Aは、インタリーブ後のデータ1205A及び制御情報213Mが入力され、制御情報213Mに含まれる変調方式に従って変調を行うことで、マッピング信号301Aを得る。
本実施の形態のサブキャリア割り当て部306Aは、図3の処理と異なり、帯域制限後の信号群305A及び制御情報213Mが入力される。サブキャリア割り当て部306Aは、入力された制御情報213Mに含まれる周波数割り当て情報に基づいて使用するサブキャリアを決定するのに加えて、制御情報213Mに含まれるサブキャリア単位の受信品質情報に基づいてサブキャリアへのシンボルの割り当てを決定し、周波数割り当て後の信号群307Aを出力する。このときのサブキャリアへのシンボル割り当て方法に関しては、以下で詳しく説明する。
図13に、本実施の形態におけるサブキャリアへのシンボルの割り当て方法の一例を示す。ここでは、一例として、図12の端末のインタリーバ1204Aが、データの順番の入れ替えを行わず、かつ、変調方式がBPSKの場合を例に説明する。
図13Aは、横軸を周波数とし、縦軸を端末がサブキャリアの信号を受信したときの各サブキャリアごとの電界強度として示したものである。
図13Bは、端末に、局所的(localized)に周波数を割り当てた際の、局所的周波数帯域内のサブキャリア番号と、受信電界強度1301の高いサブキャリアから昇順に順番1302を付けたときの様子を示している。
図13Bにおいて、D#1,D#2,D#3,D#4,D#5,D#6,D#7,D#8は、図12のインタリーブ後の信号1205Aにおけるデータの順番を示している。図12の端末のインタリーバ1204Aが、データの順番の入れ替えを行わず、かつ、変調方式がBPSKであるとすると、各データD#1、D#2、D#3、D#4、D#5、D#6、D#7、D#8は、図13Bに示すように、順次のサブキャリアにより伝送されることになる。
Localized SC−FDMA方式は、チャネル変動が周辺サブキャリアで相関が高く、かつ、使用するサブキャリア数が少ないので、インタリーバによってデータのランダム性を確保することが困難であるという特徴がある。逆に言うと、Localized SC−FDMA方式は、規則性が発生し易い。一方で、誤り訂正符号は、ランダムエラーに対しては耐性があるが、バースト的なエラーには、誤り訂正の効果が発揮され難いという特徴がある。
ところで、Localized SC−FDMA方式では、上記の通り、チャネル変動が周辺サブキャリアで相関が高いことから、受信品質が悪いサブキャリアは連続的に発生する。従って、この連続的に発生する受信品質が悪いサブキャリアを、できる限りバースト的にならないような工夫をすれば、誤り訂正効果が発揮され易いことになる。
図13Bのように、データD#1、D#2、D#3、D#4、D#5、D#6、D#7、D#8を、順次のサブキャリアに割り当てて送信した場合、上記理由からバーストエラーが発生し易い状況となるので、誤り訂正効果が発揮され難い。
本実施の形態では、上述した考察の下、図13Cのようなデータ(シンボル)のサブキャリアへの配置を提案する。
このような配置を行うにあたっては、先ず、図1の基地局と端末の送信フローのように、端末Aはリファレンスシンボル101及び要求情報シンボル102を送信する。なお、ここでは、一例として端末Aに着目して説明する。
図11の基地局のチャネル状態推定部212では、チャネル状態を推定し、推定結果をチャネル情報213として出力する。周波数割り当て決定・制御情報生成部214は、チャネル状態情報213に基づいて、端末Aに割り当てる使用周波数を、例えば、図13B及び図13Cのように、キャリア10〜17に決定する。また、周波数割り当て決定・制御情報生成部214は、チャネル状態情報213に基づいて、キャリア10〜17の受信品質の順番を推定する。その情報は、図1の制御情報105として端末Aに送信される。
つまり、図13Bの符号1302で示すように、使用サブキャリアを受信品質の良い方から昇順に並べた場合、キャリア13、キャリア12、キャリア17、キャリア11、キャリア10、キャリア14、キャリア16、キャリア15となるので、基地局はこの受信品質の順番に関する情報を図1の制御情報105として送信する。
ここで、本実施の形態において、昇順の並び替えが容易に行えるのは、SC−FDMAの場合、使用するキャリア(サブキャリア)数が少ないことに起因している。キャリア数が多くなると、昇順に並び替えることは困難となると共に、インタリーバ1204Aのインタリーブによってランダム性を得ることが、比較的容易となる。
以上を考慮すると、本実施の形態の方法は、Localized SC−FDMA方式に限らず、例えば、OFDM等のマルチキャリア方式を用いており、かつ、使用するキャリア数が少ない場合にも広く適用可能である。例えば、基地局がOFDMAを用いて、端末に信号を送信するとともに、各端末のために割り当てるキャリア数が少ない場合に適用しても、上述したのと同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、基地局がサブキャリアの受信品質を昇順に並び替えているが、基地局がチャネル変動の情報を端末に送信し、端末がその情報を基にサブキャリアの受信品質を昇順に並び替えてもよい。しかし、以降で説明するが、端末はサブキャリアの受信品質の昇順の情報に基づき送信方法を変更するわけだが、基地局はこの昇順の情報を知っていないと端末からの信号を正しく復調することが困難である。
従って、端末が昇順の並び替えを行った場合、基地局も昇順の並び替えを行わなければならない。この点を考慮すると、本実施の形態のように、基地局がサブキャリアの受信品質を昇順に並び替える処理を行った方が、システム全体としての構成を簡単化できる。
また、ここでは、一例として、受信品質を昇順に並べることを例に説明しているが、“昇順”ということには本質的な意味は無く、要は、キャリアの受信品質の良、悪の相対関係に基づいて並べ替えればよい。
図13Cに、サブキャリアの受信品質に基づいて、送信データがバースト的に誤らないように、送信データを複数のキャリアに割り当てた一例を示す。図13Cでは、受信品質を昇順に並べた場合、受信品質が最も悪いキャリア(図中キャリア15,16)を復号時に遠い位置となるように並び替えている。図13Cは、サブキャリア割り当て部306Aが、サブキャリアを符号1303で示すように並び替え、データD#1、D#2、D#3、D#4、D#5、D#6、D#7、D#8を並び替え後の各サブキャリアに割り当てることを示している。このような並び替えを行うことにより、受信品質の悪いサブキャリアが、復号時にバースト的(連続的に)に並ぶことを回避できるので、誤り訂正効果により誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。因みに、受信品質がランダムになるようにデータの並び替えを行うことはできず、受信品質は規則的となってしまう。
なお、上記説明では、データをインタリーブ処理せず、かつ変調方式がBPSKの場合を一例として説明したが、これに限ったものではない。例えば、図12のインタリーバ1204Aでインタリーブを施す場合に、インタリーバ1204Aのインタリーブパターンを、キャリアの受信品質の順番を昇順に並べたときに、最適化された一通りのパターンに設計するようにしてもよい。この場合、図12のサブキャリア割り当て部306Aは、制御情報213Mのサブキャリア単位の受信品質情報に基づいて、キャリアを昇順に並び替え、サブキャリアにインタリーブ後のデータを割り当てれば、インタリーブ処理しない場合と同様に実施することができ、インタリーブ処理しない場合と同様に受信品質を向上させることができる。
また、別の実施方法として、キャリアの受信品質の順番に基づき、インタリーバを変更する方法も考えられる。但し、このようにすると、インタリーバを複数設ける必要があるため、回路規模の点で不利となる可能性が高い。しかし、上述した方法と同様の効果を得ることはできる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、Localized SC−FDMA方式の無線通信方法において、キャリアの受信品質に基づいて、送信データのキャリア割り当てを変更するようにしたことにより、受信側(基地局側)での誤り訂正効果が上がるので、誤り率特性の良い受信データを得ることができるようになる。
なお、本実施の形態では、主に、本発明をLocalized SC−FDMA方式に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、Distributed SC−FDMA方式に適用することもでき、同様の効果を得ることができる。また、既に説明したように、本実施の形態の送信方法は、適用範囲がSC−FDMA方式に限定されるものではなく、OFDM等のマルチキャリア方式の送信を行う場合に広く適用可能である。
ここで、重要なことは、本実施の形態の方法が特に有効なのは、使用するサブキャリア数が少ないシステムに適用した場合である。またOFDMAの場合は、各ユーザに割り当てるキャリア数が少ない場合に適用すると、特に有効である。
さらに、本実施の形態では、便宜上、一つの変調信号(stream)を送信する場合について説明したが、本発明は、当然、MIMO伝送に適用することもできる。この場合、受信品質に相当するパラメータとしては、分離後のSNR、SINR又は固有値の振幅等を用いればよい。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した、Distributed SC−FDMA方式において端末毎に周波数割り当ての規則性を異なるようにする方法を、基地局がセクタアンテナを用いて受信するシステムに適用した場合について詳しく説明する。
図14は、本実施の形態における基地局と端末の位置関係、および、基地局のセクタアンテナの配置の例を示している。端末A(1501)、端末A’(1507)はエリア#1に存在する。端末B(1502)はエリア#2に、端末C(1503)はエリア#3に、端末D(1504)はエリア#4に存在するものとする。
基地局1505は、アンテナ1506#1〜アンテナ1506#4を有する。アンテナ1506#1は、エリア#1に存在する端末との通信に用いられる。同様に、アンテナ1506#2はエリア#2に存在する端末との通信に用いられ、アンテナ1506#3はエリア#3に存在する端末との通信に用いられ、アンテナ1506#4はエリア#4に存在する端末との通信に用いられる。
図15は、基地局が送信する変調信号の時間軸におけるフレーム構成の一例を示している。制御情報シンボル1511は、端末に制御情報を伝送するためのシンボルである。制御情報は、例えば、基地局が送信する変調信号の変調方式及び誤り訂正方式等の情報である。本実施の形態では、端末が送信する信号の変調方式を決定するために、制御情報シンボル1511に、例えば、基地局が送信する変調信号が使用しているセクタアンテナ固有番号、端末が送信する変調信号の送信方法を指定する情報を含めるようになっている。
チャネル推定シンボル1512は、基地局が送信した変調信号の伝搬による変動を、端末が推定するためのシンボルである。データシンボル1513は、基地局が端末に送信するデータを伝送するためのシンボルである。
図16は、本実施の形態における、各端末の周波数配置の例を示している。本実施の形態の周波数配置は、セクタアンテナと端末の関係に依存している。以下、具体的に説明する。
図14のエリア#1に存在する端末(アンテナ1506#1を用いて通信を行う端末)の周波数配置はVキャリア間隔に設定し、エリア#2に存在する端末(アンテナ1506#2を用いて通信を行う端末)の周波数配置はWキャリア間隔に設定し、エリア#3に存在する端末(アンテナ1506#3を用いて通信を行う端末)の周波数配置はXキャリア間隔に設定し、エリア#4に存在する端末(アンテナ1506#4を用いて通信を行う端末)の周波数配置はYキャリア間隔に設定する。
このとき、図14における端末A’(1507)と端末B(1502)のように、エリアの境界に位置する端末が存在する場合、例えば、エリア#2用のアンテナ1506#2は、端末A’(1507)が送信した変調信号から干渉を受ける。また、エリア#1用のアンテナ1506#1は、端末B(1502)が送信した変調信号から干渉を受ける。
このような干渉を軽減するために、本実施の形態では、図16に示すように、キャリア間隔の全てが異なるように、V≠W≠X≠Yとしている。これにより、実施の形態2で説明したように、端末に割り当てられる周波数の間隔が異なるため、端末の組み合わせによる送信信号同士の干渉を低減することができる。図16では、干渉が発生しているキャリアは符号1601、1602、1603で示したキャリアである。しかし、基地局1505がセクタアンテナを用いていることを考慮すると、実際、問題となる干渉は符号1603で示したキャリアのみなので、基地局の受信品質が向上する。ここでは、キャリア間隔を、V≠W≠X≠Yに設定する場合について説明したが、実際は、隣接するエリアで間隔が異なっていればよいので、キャリア間隔は、V≠W、および、W≠X、および、X≠Y、および、V≠Yが成立するように設定すればよく、V=X、W=Yであってもよい。
図3との対応部分に同一符号を付して示す図17に、本実施の形態における端末の送信系の構成例を示す。図17の端末は、基地局から伝送された制御情報315を、符号化部1202A、マッピング部1206A及びサブキャリア割り当て部306Aに入力する。サブキャリア割り当て部306Aは、制御情報315に基づき、周波数割り当て(使用するキャリアの決定)を行う。このとき、サブキャリア割り当て部306Aは、制御情報315に含まれる、基地局が変調信号を送信するために使用しているセクタアンテナの固有番号、端末が送信する変調信号の送信方法を指定する情報などを用いながら、上述したキャリア間隔での周波数割り当てを行うようになっている。
以上のように本実施の形態によれば、基地局が通信に用いているセクタアンテナに応じて、Distributed SC−FDMA方式における、端末への周波数割り当ての規則性を異なるようにしたことにより、セクタ間での干渉を有効に抑圧できるので、データの受信品質を向上させることができる。
次に、上述の実施方法とは別の実施方法について説明する。基地局と端末の位置関係は図14と同じと仮定する。ここでは、端末A(1501)、端末A’(1507)と、端末B(1502)とに着目する。上述と同様に干渉を抑圧するために、端末A(1501)、端末A’(1507)はDistributed SC−FDMA方式を用いて変調信号を送信し、端末B(1502)はLocalized SC―FDMA方式を用いて変調信号を送信する。
このときの周波数利用の様子を、図18に示す。図18において、図14のエリア#1に存在する端末、つまり、基地局のアンテナ1506#1を用いて通信を行っている端末A(1501)、端末A’(1507)は、Vキャリアおきに周波数の配置が行われる(つまり、Distributed SC−FDMA方式の周波数配置が行われる)。一方、エリア#1に隣接するエリア#2に存在する端末、つまり、基地局のアンテナ1506#2を用いて通信を行っている端末B(1502)は、Localized SC−FDMA方式で変調信号を送信する。このようにすると、図18に示すように、干渉となる周波数領域は符号1801で示した領域だけとなるので、基地局の受信品質が向上する。
以上のように、基地局がセクタアンテナを用いている場合に、隣接するセクタアンテナと通信する端末のうちの一方のセクタの端末はDistributed SC−FDMA方式の変調信号を送信し、他方のセクタの端末はLocalized SC−FDMA方式の変調信号を送信するようにしたことにより、基地局が変調信号を受信したときの干渉を軽減することができるので、データの受信品質を向上させることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1、実施の形態2の特徴を再送時に活用する方法について詳しく説明する。
図19は、本実施の形態における基地局と端末が送信するフレームの流れの一例を示している。
図19<1>:初めに、基地局はフレーム#1の変調信号を送信する。このとき、送信するデータは、再送データではないものとする。
図19<2>:端末は、フレーム#1の信号を受信し、復調し、復号し、フレームエラーのチェックを行った結果、誤りが発生しなかったので、基地局に対し、再送の要求を行わない。
図19<3>:基地局は、フレーム#2の変調信号を送信する。
図19<4>:端末は、フレーム#2の信号を受信し、復調し、復号し、フレームエラーのチェックを行った結果、誤りが発生していたので、基地局に対し、再送の要求を行う。
図19<5>:基地局は、端末から、再送の要求があったため、フレーム#2で送信されたデータに相当するフレーム#2’を送信する。再送方法については以降で詳しく説明する。
図19<6>:端末は、フレーム#2’の信号を受信し、復調し、復号し、フレームエラーのチェックを行った結果、誤りが発生しなかったので、基地局に対し、再送の要求を行わない。
図19<7>:基地局は、フレーム#3の変調信号を送信する。
図19<8>:端末は、フレーム#3の信号を受信し、復調し、復号し、フレームエラーのチェックを行った結果、誤りが発生していたので、基地局に対し、再送の要求を行う。
図19<9>:基地局は、端末から、再送の要求があったため、フレーム#3で送信されたデータに相当するフレーム#3’を送信する。再送方法については以降で詳しく説明する。
図19<10>:端末は、フレーム#3’の信号を受信し、復調し、復号し、フレームエラーのチェックを行った結果、誤りが発生していたので、基地局に対し、再送の要求を行う。
図19<11>:基地局は、端末から、再送の要求があったため、フレーム#3で送信されたデータに相当するフレーム#3’’を送信する。再送方法については以降で詳しく説明する。
図20は、本実施の形態における端末が送信する変調信号の1フレームの構成の一例を示している。図3のアンテナ206MAから送信される変調信号は、データシンボル及びエラーチェック用シンボル(例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check))で構成されている。同様に、図3のアンテナ206MBから送信される変調信号は、データシンボル及びエラーチェック用シンボルで構成されている。
図21は、本実施の形態における、端末の周波数割り当ての一例を示している(一例として、Distributed SC−FDMA方式を用いている)。図21において、端末Aは、図19で説明した端末に相当する。図21では、端末Bにも、周波数が割り当てられている。図21において、「端末Aアンテナ#1」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MAから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。「端末Aアンテナ#2」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MBから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。
図21Aは、再送データでないデータを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<1>のフレーム#1、<3>のフレーム#2、<7>のフレーム#3を伝送するときの周波数割り当てである。図21Bは、再送データを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<5>のフレーム#2’、<9>のフレーム#3’を伝送するときの周波数割り当てである。本実施の形態の伝送方法の条件として、次の2つの点がある。
[1−1]端末Aのアンテナ#1と端末Aのアンテナ#2で使用する周波数は、再送データでないデータ伝送時と再送データ伝送時との両方で使用する。
[2−1]再送データでないデータを伝送する際の端末Aのアンテナ#1の周波数割り当てと、再送データを伝送する際の端末Aのアンテナ#1の周波数割り当てとは、異なる。また、再送データでないデータを伝送する際の端末Aのアンテナ#2の周波数割り当てと、再送データを伝送する際の端末Aのアンテナ#2の周波数割り当てとは異なる。
図21の例では、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図21A)、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図21B)。また、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図21A)、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図21B)。このように再送時に周波数割り当て交換を行うことによる利点は、以下のとおりである。
・再送の際、周波数を変更しているため、周波数ダイバーシチゲインを得ることができ、受信品質が向上する。
・周波数変更に関する伝送方法は、再送を行う端末A内で閉じているため、他の端末(図21では端末B)には、周波数割り当てに関し影響を与えない。これにより、基地局は、端末と周波数割り当てに関しての情報のやりとりを行う必要がないため、データの伝送効率が向上する。
再送データの生成方法については、一例として、以下のような方法がある。
チェイスコンバイニング方法:この方法を用いる場合、1度目に送信したデータと再送時に送信するデータは同一のデータとなる。
ハイブリッドARQ:この方法では、符号化されたデータ系列をオリジナル系列とし、誤り訂正符号化を行った際に発生した冗長なデータ(パンクチャデータ)をパリティ系列とする。そして、まず、1度目にオリジナル系列を送信し、通信相手から再送の要求があった場合には、再送データとして、パリティ系列を送信する。例えば、畳み込み符号のパンクチャデータ(冗長なデータ)の生成方法については、非特許文献2に示されている。
図15との対応部分に同一符号を付して示す図22に、本実施の形態における、基地局が端末に送信する変調信号のフレーム構成例を示す。再送要求情報シンボル2201は、端末に対し、再送を要求するためのシンボルである。
図3との対応部分に同一符号を付して示す図23に、本実施の形態における端末の構成例を示す。なお、図3では送信系のみを示したが、図23では受信系も示した。
無線部2303は、アンテナ2301で受信した受信信号2302を入力とし、周波数変換等の処理を施すことでベースバンド信号2304を得、これを出力する。対数尤度比算出部2305は、ベースバンド信号2304を入力とし、ビットごとの対数尤度比2306を算出し、これを出力する。復号化部2307は、ビットごとの対数尤度比2306を入力とし、復号処理を施すことで受信データ2308を得、これを出力する。
制御情報抽出部2309は、受信データ2308を入力とし、受信データ2308をデータ2310及び制御情報2311に分離し、これらを出力する。フレーム構成指示部2312は、制御情報2311を入力とし、制御情報2311に含まれる「再送要求」情報を抽出し、再送が要求されていると判断した場合、周波数割り当て変更を指示する制御信号2313を出力する。
サブキャリア割り当て部306A,306Bは、制御信号2313を入力とし、制御信号2313が周波数割り当て変更を指示するものであった場合、周波数割り当てを変更する。ただし、サブキャリア割り当て部306A,306Bは、上記[1−1]及び上記[2−1]の条件のもとで、周波数割り当ての変更を行う。
因みに、図23の端末では、送信データ301AがDFT302A,302Bの両方に入力されていると共に、送信データ301BがDFT302A,302Bの両方に入力されている。これにより、端末は、フレーム構成指示部2312から出力される制御信号2313に含まれる周波数割り当ての変更に伴って、送信データ301A,301Bをアンテナ314A,314Bのどちらからも送信できるようになっている。
以上のように本実施の形態によれば、再送時に特定の規則のもとで周波数割り当てを変更したことにより、伝送効率を低下させることなく、データの受信品質を向上させることができる。
なお、上記の説明では、端末が2つのアンテナを用いて変調信号を送信する場合について説明したが、アンテナ数はこれに限ったものではなく、以下の条件[1−2]及び条件[2−2]を満たすようにすれば、2つ以上のアンテナを用いて変調信号を送信する場合にも適用できる。
[1−2]端末Aのアンテナ#1、#2、・・・、#Nで使用するすべての周波数は、再送データでないデータ伝送時と再送データ伝送時との両方で使用する。
[2−2]再送データでないデータを伝送する際の端末Aのアンテナ#1の周波数割り当てと、再送データを伝送する際の端末Aのアンテナ#1の周波数割り当てはとは異なる。また、再送データでないデータを伝送する際の端末Aのアンテナ#2の周波数割り当てと、再送データを伝送する際の端末Aのアンテナ#2の周波数割り当てとは異なり、・・・、再送データでないデータを伝送する際の端末Aのアンテナ#Nの周波数割り当てと再送データを伝送する際の端末Aのアンテナ#Nの周波数割り当てとは異なる。
次に、図21とは異なる周波数の割り当て方法について、端末Aを用いて詳しく説明する。
図24は、図21とは異なる周波数割り当て例を示している。図24において、端末Aは、図19で説明した端末に相当する。図24では、端末BにもYキャリア間隔で周波数が割り当てられている。図24において、「端末Aアンテナ#1」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MAから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。また、「端末Aアンテナ#2」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MBから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。
図24Aは、再送データでないデータを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<1>のフレーム#1、<3>のフレーム#2、<7>のフレーム#3を伝送するときの周波数割り当てである。図24Bは、再送データを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<5>のフレーム#2’、<9>のフレーム#3’を伝送するときの周波数割り当てである。
図24に示した周波数割り当て方法は、上述した条件[1−1]及び条件[2−1]を用いている点で図21の周波数割り当て方法と同様である。なお、アンテナがN本の場合は、条件[1−2]及び条件[2−2]を用いる。一方、図24に示した周波数割り当て方法は、端末Aのアンテナ#1から送信される変調信号のDistributed SC−FDMA方式における周波数間隔と、端末Aのアンテナ#2から送信される変調信号のDistributed SC−FDMA方式における周波数間隔を異なるようにしている点が、図21の周波数割り当て方法と異なる。つまり、端末Aのアンテナ#1の周波数間隔は、Vキャリアであり、端末Aのアンテナ#2の周波数間隔はWキャリアとなっている。
図24の例では、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて、再送データでないデータを伝送し(図24A)、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図24B)。また、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図24A)、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図24B)。つまり、再送の前後において、データの配置されるキャリアを変更することができる。
図25は、図21、図24とは異なる周波数割り当て例を示している。図25において、端末Aは、図19で説明した端末に相当する。図25では、端末Bにも周波数が割り当てられている。図25において、「端末Aアンテナ#1」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MAから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。また、「端末Aアンテナ#2」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MBから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。
図25Aは、再送データでないデータを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<1>のフレーム#1、<3>のフレーム#2、<7>のフレーム#3を伝送するときの周波数割り当てである。図25Bは、再送データを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<5>のフレーム#2’、<9>のフレーム#3’を伝送するときの周波数割り当てである。
図25に示した周波数割り当て方法は、上述した条件[1−1]及び条件[2−1]を用いている点で図21、図24の周波数割り当て方法と同様である。一方、図25に示した周波数割り当て方法は、端末Aのアンテナ#1から送信される変調信号及び端末Aのアンテナ#2から送信される変調信号に、Localized SC−FDMA方式が用いられている点が、図21、図24の周波数割り当て方法と異なる。
図25の例では、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて、再送データでないデータを伝送し(図25A)、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図25B)。また、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図25A)、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図25B)。
図26は、図21、図24、図25とは異なる周波数割り当て例を示している。図26において、端末Aは、図19で説明した端末に相当する。図26では、端末Bにも周波数が割り当てられている。図26において、「端末Aアンテナ#1」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MAから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。また、「端末Aアンテナ#2」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MBから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。
図26Aは、再送データでないデータを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<1>のフレーム#1、<3>のフレーム#2、<7>のフレーム#3を伝送するときの周波数割り当てである。図26Bは、再送データを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<5>のフレーム#2’、<9>のフレーム#3’を伝送するときの周波数割り当てである。
図26に示した周波数割り当て方法は、上述した条件[1−1]及び条件[2−1]を用いている点で図21、図24、図25の周波数割り当て方法と同様である。一方、図26に示した周波数割り当て方法は、端末Aのアンテナ#1から送信される変調信号及び端末Aのアンテナ#2から送信される変調信号のいずれか一方に、Localized SC−FDMA方式が用いられているおり、他方にDistributed SC−FDMA方式が用いている点が、図21、図24、図25の周波数割り当て方法と異なる。なお、アンテナがN本の場合は、条件[1−2]及び条件[2−2]を用いる。
図26の例では、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて、再送データでないデータを伝送し(図26A)、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図26B)。また、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図26A)、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図26B)。つまり、端末Aのアンテナにおいて、再送することにより、Localized SC−FDMA方式と、Distributed SC−FDMA方式とが、入れ替わることになる。
図27は、図21、図24、図25、図26とは異なる周波数割り当て例を示している。図27において、端末Aは、図19で説明した端末に相当する。図27では、端末Bにも周波数割り当てられている。図27において、「端末Aアンテナ#1」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MAから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。また、「端末Aアンテナ#2」と記載されている周波数は、端末Aにおける図3のアンテナ206MBから送信される変調信号に割り当てられた周波数を示す。
図27Aは、再送データでないデータを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<1>のフレーム#1、<3>のフレーム#2、<7>のフレーム#3を伝送するときの周波数割り当てである。図27Bは、再送データを伝送する際の周波数割り当てを示している。つまり、図19の<5>のフレーム#2’、<9>のフレーム#3’を伝送するときの周波数割り当てである。
図27に示した周波数割り当て方法は、上述した条件[1−1]及び条件[2−1]を用いている点で図21、図24、図25、図26の周波数割り当て方法と同様である。一方、図27に示した周波数割り当て方法は、端末Aのアンテナ#1から送信される変調信号及び端末Aのアンテナ#2から送信される変調信号に、Localized SC−FDMA方式が用いられており、かつ、一部の周波数でMIMO伝送が行われている点が、図21、図24、図25、図26の周波数割り当て方法と異なる。なお、アンテナがN本の場合は、条件[1−2]及び条件[2−2]を用いる。
図27の例では、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図27A)、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図27B)。また、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し(図27A)、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送する(図27B)。つまり、再送時に、端末Aのアンテナの周波数割り当てを変更することで、MIMO送信している周波数部分と、MIMO送信していない周波数部分とが入れ替わる。
以上、図24、図25、図26、図27の再送方法を用いた場合でも、図21の再送方法を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、端末がSC−FDMA方式を用いた場合を説明したが、端末がOFDM方式を用い、サブキャリア単位で、端末に周波数を割り当てた場合においても同様に実施することができる。この場合、上述した端末Aのアンテナ#1から送信される変調信号と端末Bのアンテナ#2から送信される変調信号は、別々にサブキャリア割り当てが行われることになる。OFDM方式を用いた場合に、Distributed SC−FDMA方式を用いた場合やLocalized SC−FDMA方式を用いた場合と異なる点は、サブキャリア割り当てに規則性をもたせる必要がない点である。OFDM葬式を用いた場合でも、上記の条件[1−1]及び条件[2−1]を満たすようにすれば、SC−FDMA方式の場合と同様に実施することができる。なお、アンテナがN本の場合は、条件[1−2]及び条件[2−2]を用いる。
ここで、OFDMA方式を用いた場合、端末Aのアンテナ#1に第1周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し、再送時には、端末Aのアンテナ#2に前記第1の周波数群を割り当てて再送データを伝送するといったことを、必ずしもする必要はない。
同様に、端末Aのアンテナ#2に第2周波数群を割り当てて再送データでないデータを伝送し、再送時には、端末Aのアンテナ#1に前記第2周波数群を割り当てて再送データを伝送するといったことを、必ずしもする必要はない。ただし、そのように割り当てを行っても当然よい。
また、OFDM方式を用いる場合でも、SC−FDMA方式と同様に、端末が2つ以上のアンテナを有している場合にも実施できる。また、アンテナ#1から送信する変調信号をOFDM方式、アンテナ#2から送信する変調信号をSC−FDMA方式(その逆でもよい)としても、同様に実施できる。
(他の実施の形態)
(1)ここでは、図28を用いて、MIMO伝送方式のうち、固有モードの通信方法について詳しく説明する。
MIMOシステムでは、受信局だけでなく送信局側においても、チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)が既知である場合に、送信局が送信のチャネルシグネチャベクトル(channel signature vector)を用いてベクトル化された信号を送信アレーアンテナより受信局に対して送信する。
さらに受信局で、受信アレーアンテナの受信信号から、送信のチャネルシグネチャベクトルに対応付けられた受信のチャネルシグネチャベクトルを用いて、送信信号を検出し、復調する通信方法が実現できる。
特に、通信空間に複数のチャネルを構成して信号を多重伝送する通信モードとして、チャネル行列の特異ベクトル(singular vector)又は固有ベクトル(eigen vector)を利用した固有モード(eigenmode)がある。この固有モードは、これら特異ベクトルや固有ベクトルを前述したチャネルシグネチャベクトルとして利用する方法である。ここでチャネル行列は、送信アレーアンテナの各アンテナ素子と受信アレーアンテナの各アンテナ素子の全て又は一部とを組み合わせた複素チャネル係数を、要素とする行列である。
送信局が下り回線のチャネル状態情報を得る方法としては、無線回線の上りと下りとで同一の周波数キャリアを利用するTDDでは、チャネルの双対性(reciprocity)により、受信局(図1の端末Bに相当する)からの上り回線を用いて、送信局においてチャネル状態情報の推定(estimating)又は測定(measuring)をすることが可能である。一方で、上りと下りで異なる周波数キャリアを利用するFDDでは、受信局において下り回線のチャネル状態情報を推定又は測定し、その結果を送信局へ通知(reporting)することにより、送信局において下り回線の正確なCSIを得ることができる。
固有モードは、特にMIMOシステムの無線チャネルが、狭帯域のフラットフェージング過程として扱える場合には、MIMOシステムのチャネルキャパシティを最大にできるという特徴がある。例えば、OFDMを採用した無線通信システムでは、マルチパス遅延波によるシンボル間干渉を取り除くため、ガードインターバルを挿入し、OFDMの各サブキャリアは、フラットフェージング過程となるような設計を行うのが一般的である。従って、MIMOシステムにおいてOFDM信号を送信する場合、固有モードを用いることによって、例えば各サブキャリアで複数の信号を空間的に多重化して伝送することが可能となる。
MIMOシステムを利用した通信方法としては、送信局及び受信局において下り回線のチャネル状態情報を既知とする固有モードに対して、受信局においてのみ無線チャネルのチャネル状態情報を既知とする方法がいくつか提案されている。固有モードと同じ目的である、空間的に信号を多重化して伝送する方法としては、例えばBLASTが知られている。
また信号の多重度を犠牲にし、つまりキャパシティを増加させるためでなく、アンテナの空間ダイバーシチ効果得る方法としては、例えば時空間符号を用いた送信ダイバーシチが知られている。固有モードが、送信アレーアンテナで信号をベクトル化して送信する、言い換えると、信号をビーム空間(beam space)にマッピングしてから、送信するビーム空間モードである。これに対して、BLASTや送信ダイバーシチは、信号をアンテナエレメント(antenna element)にマッピングすることから、アンテナエレメントモードであると考えられる。
図28は、固有モードの送受信機の構成例を示すものである。
送信機のチャネル解析部1407は、送信機と受信機間の伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化チャネルを構成するために、複数の送信のチャネルシグネチャベクトルを算出すると共に、チャネル状態情報によって形成されるチャネル行列をSVD(SVD:Singular Value Decomposition)に基づき、固有値(例えば、λA、λB、λC、・・・、λX)、また、固有パス(例えば、パスA、パスB、パスC、・・・、パスX)を求め、制御情報1408として出力する。
送信機の多重フレーム生成部1401は、送信ディジタル信号、制御情報1408が入力され、多重化チャネルへマッピングするために複数の送信フレームを生成し、チャネルAの送信ディジタル信号1402A、チャネルBの送信ディジタル信号1402B、・・・、チャネルXの送信ディジタル信号1402Xを出力する。
符号化・変調部1403A〜1403Xは、チャネルA〜チャネルXの送信ディジタル信号1402A〜1402X、制御情報1408が入力され、制御情報1408に基づき、符号化率、変調方式を決定し、決定した符号化率・変調方式で送信ディジタル信号1402A〜1402Xを符号化及び変調することにより、チャネルA〜Xのベースバンド変調信号1404A〜1404Xを得、これらを出力する。
ベクトル多重化部1405は、チャネルA〜チャネルXのエースバンド信号1404A〜1404X、制御情報1408が入力され、チャネルA〜チャネルXのエースバンド信号1404A〜1404Xに、個別にチャネルシグネチャベクトルを乗算し、合成した後、送信アレーアンテナ1406に供給する。このようにして、送信機は、チャネルシグネチャベクトルを用いてベクトル化した信号を、送信アレーアンテナ1406から受信機に送信する。
受信機は、受信のチャネル解析部1415によって、送信機と受信機間の伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化された送信信号を分離するために、複数の受信のチャネルシグネチャベクトルを算出する。多重信号分離部1410は、受信アレーアンテナ1409で受信した受信信号が入力され、各々のチャネルシグネチャベクトルを掛け合わせることで、複数の受信信号、つまり、チャネルA〜チャネルXの受信信号1411A〜1411Xを得る。
復号化部1412A〜1412Xはそれぞれ、チャネルA〜チャネルXの受信信号1411A〜1411X、送信方法情報1418が入力され、送信方法情報1418(変調方式、符号化率の情報)に基づき復号を行うことで、チャネルA〜チャネルXのディジタル信号1413A〜1413Xを得、これらを出力する。
送信方法情報検出部1417は、チャネルAのディジタル信号1413Aが入力され、各チャネルの変調信号の送信方法、例えば変調方式、符号化率等の情報を抽出し、これらを送信方法情報1418として、復号化部1412A〜1412Xに送出する。
受信データ合成部1414は、チャネルA〜チャネルXのディジタル信号1413A〜1413X及び送信方法情報1418が入力され、受信ディジタル信号を得る。
ここで、上述した実施の形態1〜4を、空間多重MIMO伝送の代わりに、図28のような固有モードのMIMO伝送に適用しても同様の効果を得ることができる。つまり、どのモードのMIMO伝送かは、本発明の実施の形態には影響を与えることなく、周波数利用効率の向上、受信品質の向上及び伝送速度の向上の効果を得ることができる。
ただし、固有モードを実現するためには、通信相手同士で、チャネル変動を共有する必要がある。そのため、チャネル変動を共有するための、通信局同士でのデータのやりとりを新たに追加する必要があるが、これが、上記の実施の形態を阻害する要因とはならない。
また、上述した実施の形態では、空間多重MIMO伝送、固有モードと名付けているが、この名前自体が本発明の範囲に影響を与えるものではない。また、シンボルの名前自体が、本発明に影響を与えるものではない。例えば、上述した実施の形態では、リファレンスシンボル、制御情報シンボル、要求情報シンボル及びパイロットシンボルと名付けているが、この名前自体が本発明に影響を与えるものではなく、例えばプリアンブル、ミットアンブル、テイルシンボル、既知シンボル、コントロール情報、コントロールシンボル等と名付けてもよい。
(2)実施の形態5では、セクタアンテナ使用時にDistributed FDMA方式の変調方式とLocalized FDMA方式の変調方式を散在させる場合について説明したが、ここではその応用例について言及しておく。
実施の形態5と、実施の形態1、実施の形態2とを組み合わせるにあたって、端末が、図3のように空間多重MIMO伝送も可能な場合、図3のアンテナ206MAから送信する変調信号をLocalized FDMA方式の変調信号とし、アンテナ206MBから送信する変調信号をDistributed FDMA方式の変調信号となるように、サブキャリア割り当て部306A、306Bによってサブキャリア割り当てを行う。このようにすることで、基地局が端末の変調信号を受信した際、干渉を低減することができるため、データの受信品質が向上するという効果を得ることができる。