JP5180967B2 - ピロロトリアジンキナーゼ阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗癌剤として有用である新規な化合物に関する。本発明は、癌のような増殖性疾患の治療における該化合物の使用方法、および該化合物を含む医薬組成物にも関する。
トロポミオシンに関連したキナーゼ(Trk)は、TrkA、TrkBおよびTrkCの3つのファミリーメンバーから成る受容体チロシンキナーゼのファミリーである。Trkは、そのリガンドのプロトタイプメンバーが、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)並びにニューロトロフィン3、4および5(NT3、NT4およびNT−5)である、ニューロトロフィンファミリーと高親和性で結合し、またニューロトロフィンファミリーにより生じるシグナル伝達を仲介する。また、酵素活性のない共同受容体p75が確認されており、それは全てのニューロトロフィン(NT)と低親和性結合をし、およびニューロトロフィンシグナリングを制御する。中枢神経系および末梢神経系の発生における、Trk、およびそれらのリガンドの重要な役割は、マウスの遺伝子破壊研究を通して確立されている。特にTrkA−NGF相互作用は、疼痛シグナル伝達の仲介に関わる、特定の末梢ニューロン集団の生存のために必須の条件として示されていた。Trkシグナリングのこれらの開発の結果に加えて、ある悪性腫瘍における、この受容体の破壊およびそのシグナル経路も実証されている。特に注目すべきことは、NGFおよびTrkA受容体キナーゼの異常な発現が、ヒトの前立腺癌および膵管腺癌の発生および進行、並びに急性骨髄性白血病(AML)、甲状腺癌および乳癌におけるTrkの染色体再構築活性化、並びに結腸腫瘍で構造的に活性化していることが予想される、受容体の点突然変異に関わっている、という報告があることである。これらの活性化機序に加え、多発性骨髄腫癌、黒色腫癌、神経芽細胞腫癌、卵巣癌および膵臓癌のような様々な腫瘍型において、高められたTrk受容体およびリガンドも報告されている。ニューロトロフィン、およびそれらの対応するTrk受容体サブタイプは、悪性細胞において、腫瘍の侵襲性および走化性の増加、アポトーシスの活性化、クローン性増殖の刺激、細胞形態学の変化を含む、様々な多面的反応を及ぼすことが示されてきている。これらの影響は、前立腺癌、乳癌、甲状腺癌、結腸癌、悪性黒色腫癌、肺癌、神経膠芽腫癌、膵カルチノイド腫瘍、並びに腎芽腫、神経芽細胞腫および髄芽腫が含まれる、多岐にわたる、小児腫瘍および神経外胚葉性腫瘍において観察されてきている。ニューロトロフィン、およびそれらの受容体サブタイプは、癌細胞並びにその周辺の実質組織および間質組織を伴い、オートクリンまたはパラクリン機構のいずれかを通じて、これらの癌に関わってきている。また、前立腺癌転移により生じる骨痛を、大いにまたは著しく弱毒化させる減少が、最近、抗NGF抗体の利用により達成された。全体的に見て、多様な腫瘍型における、Trkシグナリングの発癌性は、種々の悪性腫瘍において、Trk受容体シグナリングの調節を潜在的に魅力的な治療介入点とする。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の細胞膜にわたり、生化学的シグナル伝達に重要である。これらの膜貫通分子の特徴として、細胞膜の部分を通じて、細胞内チロシンキナーゼドメインとつながっている細胞外リガンド結合ドメインからなる。一般にRTKは、リガンド誘導性のオリゴマー化、並びにPLCγ、PI3キナーゼ、ras、およびraf/MEK/Erk1のような特定の細胞内基質のチロシン自己リン酸化によって活性化される。チロシンキナーゼ活性は、受容体のこのクラスを通る、シグナル伝達のための絶対条件である。
RTKのTrkファミリーは、しばしば、肺癌、乳癌、脾臓癌および前立腺癌、並びにある種の急性骨髄性白血病、および先天性線維肉腫において発現する。Trkのチロシンキナーゼ活性は、細胞増殖機構の未制御の活性化を促進すると思われている。TrkA、TrkB、もしくはTrkCキナーゼの阻害剤は、単独でもしくは組み合わせで用いて、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、扁平上皮、膀胱、胃癌、脾臓癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肺癌、腎臓癌、卵巣癌、婦人科癌、甲状腺癌、およびある種の血液悪性腫瘍のような、最もよく知られた癌のいくつかに対して有用であると思われている。
発明の詳細な説明
本発明は、式Iの化合物、そのような化合物を用いた医薬組成物、およびそのような化合物の使用方法を提供する。
本発明により、式I:
Figure 0005180967
[式中の記号は、以下の意味を有し、その都度独立して選択される:
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり;
は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アルキル、−(CH−アリール、−(CH−置換アリール、−(CH−置換ヘテロアリール、−(CH−OH、−(CH−NH、−(CH−S−アルキルまたは−SOアルキルであり、そのうちの2つが同じ環炭素原子に結合してもよく;
nは0、1、2、3または4である]
によって表される化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、または立体異性体の化合物が開示されている。
別の態様において、本発明は式II:
Figure 0005180967
[式中、
は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アルキル、−(CH−アリール、−(CH−置換アリール、−(CH−置換ヘテロアリール、−(CH−OH、−(CH−NH、−(CH−S−アルキルまたは、−SOアルキルであり、そのうちの2つが同じ環炭素原子に結合してもよく;および
nは0、1、2、3または4である]
によって表される化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、または立体異性体を含む。
本発明の化合物には、以下:
−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N−((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N−((1S)−1−メチルペンチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−(1−ベンジル−3−ピロリジニル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)−N−((1S)−1−フェニルエチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)−N−((1R)−1−フェニルエチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−シクロヘプチル−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−(シクロヘキシルメチル)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
−((1S)−1−シクロヘキシルエチル)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
またはそれらの医薬的に許容される塩が含まれる。
以下は、本明細書で用いられ得る用語の定義である。特にことわりが無ければ、本明細書で基または用語に関して提供される最初の定義は、本明細書の初めから終わりまで単独で、または別の基の一部として、その基または用語に適用する。
本明細書で用いられる用語「置換された」は、指定された原子の、任意の水素の一以上が、示された基からの選択肢に置き換わることを意味するが、指定された原子の通常の原子価を上回らなく、並びに置換が安定な化合物をもたらされる。置換基がケト(すなわち、=O)の場合、その原子上の2つの水素が置き換わる。ケト置換基は、芳香族部分には存在しない。本明細書で用いられる環二重結合は、二つの隣接する環原子の間で形成される二重結合(例えば、C=C、C=N、またはN=N)である。
化合物について、任意の成分または式で、任意の置換基変化(例えば、R)が一回以上起こる場合、それぞれが出現するときの定義は、他の全てが出現するときの定義から独立している。ゆえに例えば、もし基が0から2のRで置換されることが示されていれば、その基は2つまでのR基で適宜置換され得て、それぞれのRはRの定義から独立して選択される。また、置換基および/または記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
置換基の結合が、環の2つの原子を結ぶ結合を交差して示されている場合、そのような置換基は環の任意の原子と結合し得る。置換基が、所定の式の化合物の残基に結合するのに際し、介する原子を示さないで記載されてある場合、そのような置換基は、その置換基の任意の原子を介して結合し得る。置換基および/または記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
本発明の化合物に窒素原子(例えば、アミン)がある場合に、これらは、本発明の他の化合物を提供するため、酸化剤(例えば、MCPBAおよび/または過酸化水素)で処理することにより、N−オキシドに変換することができる。ゆえに、全ての示されている、および請求されている窒素原子は、示されている窒素およびそのN−オキシド(N→O)誘導体の両方を対象にすると見なされる。
用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が1から20、望ましくは1から7の無置換炭化水素基を指す。用語「低級アルキル」は、炭素原子が1から4の無置換アルキル基を指す。
用語「置換アルキル」は、例えば1つから4つの置換基である、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、アルカノイル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、2つのアミノ置換基がアルキル、アリールまたはアリールアルキルから選択される二置換アミン;アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アルアルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アルアルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルホンアミド、例えばSONH、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、例えばCONH、置換カルバミル、例えばCONHアルキル、CONHアリール、CONHアリールアルキル、または窒素に2つの置換基がある場合はアルキル、アリールもしくはアリールアルキルから選択され;アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジノ、ヘテロシクリル、例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニルなど、および置換ヘテロシクリル、によって置換されたアルキル基を指す。上記において、置換基がさらに置換される場合、それはアルキル、アルコキシ、アリールまたはアリールアルキルによってである。
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素 およびヨウ素を指す。
用語「アリール」は、環部分の炭素原子が6から12を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基を指し、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基などであり、そのそれぞれが置換され得る。
用語「アリールオキシ」、「アリールアミノ」、「アリールアルキルアミノ」、「アリールチオ」、「アリールアルカノイルアミノ」、「アリールスルホニル」、「アリールアルコキシ」、「アリールスルフィニル」、「アリールヘテロアリール」、「アリールアルキルチオ」、「アリールカルボニル」、「アリールアルケニル」、または「アリールアルキルスルホニル」は、それぞれ、酸素;アミノ;アルキルアミノ;チオ;アルカノイルアミノ;スルホニル;アルコキシ;スルフィニル;ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール;アルキルチオ;カルボニル;アルケニル;またはアルキルスルホニルに結合している、アリールまたは置換アリールを指す。
用語「アリールスルホニルアミノカルボニル」は、アミノカルボニルに結合しているアリールスルホニルを指す。
用語「アリールオキシアルキル」、「アリールオキシカルボニル」または「アリールオキシアリール」は、それぞれ、アルキルもしくは置換アルキル;カルボニル;またはアリールもしくは置換アリールに結合しているアリールオキシを指す。
用語「アリールアルキル」は、少なくとも一つの炭素原子に結合している、少なくとも一つの水素原子がアリールまたは置換アリールに置き換わっている、アルキルまたは置換アルキルを指す。典型的なアリールアルキルには、これらに限定されないが、例えばベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、および2−ナフトフェニルエタン−1−イルが含まれる。
用語「アリールアルキルオキシ」は、酸素結合を介して結合されているアリールアルキル(−O−アリールアルキル)を指す。
用語「置換アリール」は、例えば1つから4つの置換基である、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールスルホニルアミン、スルホン酸、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アリールオキシなど、によって置換されたアリール基を指す。その置換基は、さらにヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルによって置換され得る。
用語「ヘテロアリール」は、適宜置換された芳香族基であり、例えば、少なくとも一つのヘテロ原子、および少なくとも一つの、炭素原子を持つ環を有する、例えば、ピリジン、テトラゾール、インダゾールのような、4から7員環単環式、7から11員環二環式、または10から15員環三環系を指す。
用語「アルケニル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が2から20、望ましくは2から15、そして最も望ましくは2から8で、二重結合を1つから4つ有する、炭化水素基を指す。
用語「置換アルケニル」は、例えば、1つか2つの置換基である、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノ、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなどによって置換されたアルケニル基を指す。
用語「アルキニル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が2から20、望ましくは2から15、そして最も望ましくは2から8で、三重結合を1つから4つ有する、炭化水素基を指す。
用語「置換アルキニル」は、例えば置換基である、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノ、およびヘテロシクリル、例えばイミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなどによって置換されたアルキニル基を指す。
用語「シクロアルキル」は、望ましくは環を1つから3つ、および1つの環あたり3つから7つの炭素で、さらに不飽和C−C環状炭素と縮合し得るものを有する、適宜置換された飽和環状炭化水素環系を指す。例示される基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、およびアダマンチルが含まれる。例示される置換基には、上述した一以上のアルキル基、またはアルキル置換基として上述した一以上の基が含まれる。
用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」および「ヘテロシクリル」は、適宜置換された、完全飽和もしくは不飽和な、芳香族環基もしくは非芳香族環基を指し、例えば4から7員環単環式、7から11員環二環式、または10から15員環三環系であり、少なくとも一つの炭素原子を有する環において、少なくとも一つのヘテロ原子を有する。ヘテロ原子が含まれる、ヘテロ環式基のそれぞれの環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択されるヘテロ原子を1つ、2つもしくは3つ有してもよく、その場合に窒素および硫黄ヘテロ原子は適宜酸化され得るか、また窒素ヘテロ原子は適宜四級化され得る。ヘテロ環式基は、任意のヘテロ原子または炭素原子で結合し得る。
例示される単環式ヘテロ環式基には、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、ホモピペラジニル、2−オキソホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキサゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、N−オキソ−ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、並びにテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、トリアジニル、およびトリアゾリル、などが含まれる。
例示される二環式ヘテロ環式基には、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、キノリニル−N−オキシド、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンジミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,1−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾジアジニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロベンゾピラニル、インドリニル、インダゾリル、イソクロマニル、イソインドリニル、ナフチリジニル、フタルアジニル、ピペロニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロトリアジニル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、チエノフリル、チエノピリジル、チエノチエニル、などが含まれる。
例示される置換基には、上述した、一以上のアルキル基もしくはアリールアルキル基、またはアルキル置換基として上述した一以上の基が含まれる。
エポキシドおよびアジリジンのような、より小さなヘテロシクリルも含まれる。
用語「炭素環」または「炭素環の」は、3から12の原子を含む、安定で、飽和、部分飽和もしくは不飽和な、単環式もしくは二環式炭化水素環を指す。特に、これには、5もしくは6の原子を含む単環式環、または9もしくは10の原子を含む二環式環が含まれる。適したものには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ジヒドロインデニルおよびテトラヒドロナフチルが含まれる。本明細書で「炭素環」または「炭素環の」で指している用語「適宜置換された」は、その炭素環が、独立して、アルキル(望ましくは低級アルキル)、アルコキシ(望ましくは低級アルコキシ)、ニトロ、モノアルキルアミノ(望ましくは低級アルキルアミノ)、ジアルキルアミノ(望ましくはジ(低級)アルキルアミノ)、シアノ、ハロ、ハロアルキル(望ましくはトリフルオロメチル)、アルカノイル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミド(望ましくは低級アルキルアミド)、アルコキシアルキル(望ましくは低級アルコキシ(低級)アルキル)、アルコキシカルボニル(望ましくは低級アルコキシカルボニル)、アルキルカルボニルオキシ(alkylcarbonyloxy)(望ましくは低級アルキルカルボニルオキシ(alkylcarbonyloxy))、並びにアリール(望ましくはフェニル)、前記アリールでハロ、低級アルキルおよび低級アルコキシの基により適宜置換されたもの、から選択される一以上の基によって、一以上の置換可能な環位置で置換され得ることを示す。
用語「ヘテロ原子」には、酸素、硫黄および窒素が含まれる。
用語「アルキルスルホン」は、−RS(=O)で、そのRがアルキルまたは置換アルキルであるものを指す。
用語「オキソ」は、2価の基=Oを指す。
用語「カルバメート」は、−OC(=O)NHの基を指す。
用語「アミド」は、−C(=O)NHの基を指す。
用語「スルホンアミド」は、−SONHの基を指す。
用語「置換アミド」、「置換スルホンアミド」、または「置換カルバメート」は、少なくとも一つの水素が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択される基に置き換わっている、それぞれ、アミド、スルホンアミド、またはカルバメートを指す。
置換アミドは、例えば、−C(=O)NRで、RおよびRが独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、ただしRまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
置換スルホンアミドは、例えば、−SONRで、RおよびRが独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、RまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
置換カルバメートは、例えば、−OC(=O)NRで、RおよびRが独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、RまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
用語「ウレイド」は、−NHC(=O)NHの基を指す。
用語「シアノ」は、−CNの基を指す。
用語「シクロアルキルアルキル」または「シクロアルキルアルコキシ」は、アルキルもしくは置換アルキル、またはアルコキシが結合している、それぞれ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルを指す。
用語「ニトロ」は、−N(O)の基を指す。
用語「チオ」は、−SHの基を指す。
用語「アルキルチオ」は、−SRで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
用語「チオアルキル」は、−RSで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
用語「アルキルスルホニル」は、−S(=O)で、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
用語「アルキルスルフィニル」は、−S(=O)Rで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
用語「カルボキシ」は、−C(=O)OHの基を指す。
用語「カルボキシアルコキシ」または「アルコキシカルボニルアルコキシ」は、アルコキシが結合している、それぞれ、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルを指す。
用語「アルコキシカルボニル」は、−C(=O)ORで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである基を指す。
用語「アリールアルコキシカルボニル」は、アルコキシカルボニルが結合している、アリールまたは置換アリールを指す。
用語「アルキルカルボニルオキシ」または「アリールカルボニルオキシ」は、−OC(=O)Rで、それぞれ、Rがアルキルもしくは置換アルキル、またはアリールもしくは置換アリールである基を指す。
用語「カルバモイル」は、−OC(=O)NH、−OC(=O)NHR、および/または−OC(=O)NRで、RおよびRが独立して、アルキルおよび置換アルキルから選択される基を指す。
−NR(C=O)Rの基は、Rが水素、低級アルキル、および置換低級アルキルから選択され、並びにRが水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、置換アミノアルキル、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、アリール、および置換アリールから選択される基を指す。
用語「カルボニル」は、C(=O)を指す。
用語「アルキルカルボニル」、「アミノカルボニル」、「アルキルアミノカルボニル」「アミノアルキルカルボニル」、または「アリールアミノカルボニル」は、カルボニルが結合している、それぞれ、アルキルもしくは置換アルキル;アミノ;アルキルアミノもしくは置換アルキルアミノ;アミノアルキルもしくは置換アミノアルキル;またはアリールアミノを指す。
用語「アミノカルボニルアリール」または「アミノカルボニルアルキル」は、それぞれ、アリールもしくは置換アリール;またはアルキルもしくは置換アルキルが結合している、アミノカルボニルを指す。
用語「スルホニル」は、S(=O)の基を指す。
用語「スルフィニル」は、S(=O)を指す。
用語「カルボキシアルキル」は、カルボキシが結合している、アルキルまたは置換アルキルを指す。
式Iの化合物は塩を形成することができ、これもまた本発明の範囲内である。医薬的に許容される(すなわち、無毒で、生理学的に許容される)塩が望ましいが、例えば、本発明の化合物を単離または精製する上で、他の塩も有用である。
式Iの化合物は、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのようなアルカリ金属、カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンのような有機塩基、およびアルギニン、リジンのようなアミノ酸などと、塩を形成し得る。当業者に周知な方法で、そのような塩を形成することができる。
式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸と塩を形成し得る。そのような塩には、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、および他の様々な塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩など)によって形成されるものが含まれる。当業者に周知な方法で、そのような塩を形成することができる。
また、双性イオン(「分子内塩」)が形成され得る。
本発明の化合物に関するあらゆる立体異性体は、混合の、または純粋な、もしくは実質的に純粋な形のいずれかで、考慮されている。本発明の化合物の定義は、可能な全ての立体異性体、およびそれらの混合物を包含する。特に、特定の活性を有する、ラセミ体、および分離された光学異性体を包含する。ラセミ体は、例えば、分別結晶法、ジアステレオマー誘導体の分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離のような、物理的方法を用いて分離することができる。個々の光学異性体は、例えば、光学活性酸とともに塩を形成し、その後結晶化するような、従来の方法を用いてラセミ化合物から得ることができる。
式Iの化合物はまた、プロドラッグの形も有し得る。プロドラッグは、医薬品に関する多くの望まれる性質(例えば、溶解性、バイオアベイラビリティ、製造など)を高めることが知られているので、本発明の化合物はプロドラッグの形で提供され得る。ゆえに本発明は、特許請求されている化合物のプロドラッグ、それと同じもの、および同じものを含む組成物を提供する方法を包含することも意図されている。「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象の哺乳類に投与された場合に、インビボで本発明の活性親薬物を放出する、任意の共有結合担体も含まれることが意図されている。本発明のプロドラッグは、化合物に存在する官能基を修飾することによって製造され、その修飾は、通常操作またはインビボで開裂されて、親化合物になるという方法である。プロドラッグには、本発明のプロドラッグが対象の哺乳類に投与された場合に、開裂して遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、または遊離スルフヒドリル基を形成するいずれかの基に結合している、それぞれ、ヒドロキシ基、アミノ基、またはスルフヒドリル基である、本発明の化合物が含まれる。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本発明の化合物中のアルコール、およびアミン官能基を有する、酢酸、ギ酸、および安息香酸エステルおよびアミド誘導体が含まれる。
プロドラッグの様々な形が、当技術分野で周知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例として:
a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985)、および、Methods in Enzymology, Vol. 112, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Acamedic Press, 1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5, “Design and Application of Prodrugs,” by H. Bundgaard, p. 113-191 (1991);並びに
c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992)
を参照。
さらに理解されるべきことは、式Iの化合物の溶媒和物(例えば、水和物)もまた、本発明の範囲内にあることである。溶媒和の方法は、一般的に当技術分野で周知である。
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度への単離、および効果的な治療薬への製剤化に耐える十分に強い化合物を示すことを意図している。ここで列挙した化合物には、N−ハロ、S(O)H、またはS(O)H基が含まれないことが望ましい。
本明細書で用いられる「治療する」または「治療」は、哺乳類、特にヒトにおける病状の治療で、(a)哺乳類における病状の予防、特に、そのような哺乳類が病状に罹りやすい性質を有するのだが未だ罹っていないと診断さている場合の予防、(b)病状の抑制、すなわち症状の進行を抑止すること、および/または(c)病状の軽減、すなわち病状の退行を引き起こすこと、のようなものを包含する。
「治療上の有効量」は、単独または併用投与する場合に効果的である、本発明の化合物の量が含まれることを意図している。「治療上の有効量」はまた、Trkに関連した疾患および/または病気を抑制するのに効果的であることが要求されている化合物の併用剤の量が含まれることも意図している。この化合物の併用は、相乗併用が望ましい。相乗作用は、例えば、Chou and Talalay, Adv. Enzyme Regul. 1984, 22:27-55で記述されているように、併用投与する場合の化合物の効果の方が、単剤として単独投与する場合の化合物の相加効果よりも大きい場合に生じる。一般に相乗効果は、化合物が最適濃度に及ばない濃度において最も明瞭に示される。相乗作用は、細胞毒性の低下、抗血栓作用の増加、または個々の成分の場合と比べて併用によってもたらされる他の多くの有益な効果という形であり得る。
本発明にはさらに、本発明の化合物の一以上、および医薬的に許容される担体を含む組成物も含まれる。
「医薬的に許容される担体」は、一般的に、動物、特に哺乳類に生理活性物質を送達するにあたって、技術的に許容されている媒体を指す。医薬的に許容される担体は、十分に当業者の範囲内である、多くの要素にしたがって製剤される。これらには、これらに限定されないが、製剤される活性薬剤の種類および性質、薬剤の含まれる組成物が投与される患者、組成物の投与が対象とする経路、並びに標的とされている治療指標が含まれる。医薬的に許容される担体には、水性および非水性液体媒体の両方が含まれ、並びに様々な固形および半固形の剤形も含まれる。そのような担体は、活性薬剤と共に、多くの異なる成分および添加剤を含むことができ、そのような付加的な成分は、例えば活性薬剤、結合剤の安定化などの様々な理由で製剤に含まれ、このことは当業者に十分周知である。適した医薬的に許容される担体、およびそれらの選択肢に関わる要素についての記述は、多くの容易に入手可能な出典、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985にあり、これは本明細書で引用としてそのまま援用されている。
(有用性)
本発明は、特定のピロロトリアジンがプロテインキナーゼ阻害剤であるという発見に基づいている。具体的に、本発明に記載されているようなピロロトリアジン類は、受容体の、TRKファミリーメンバーのプロテインチロシンキナーゼ活性を阻害する。これらの阻害剤は、これらの受容体の一以上によるシグナル伝達に依存している、増殖性疾患の治療に有用である。そのような疾患には、脾臓、前立腺、肺、頭部および頸部、胸部、結腸、卵巣の固形癌、並びに多発性骨髄腫、黒色腫、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、および急性骨髄性白血病のような他の腫瘍型が含まれる。本発明は、哺乳類の癌治療における、式Iの化合物、またはこれの医薬的に許容される塩もしくは立体異性体、および医薬的に許容される担体の医薬組成物にも関連する。とりわけ前記医薬組成物は、TrkA、TrkB、TrkC、Flt−3(Fms様キナーゼ3)およびTie−2に関連している、最初および再発性の固形癌、特に増殖および広がりに関してTrkA、TrkB、TrkC、Flt−3、Tie−2に大いに依存している腫瘍、例えば甲状腺癌、乳癌、結腸癌、膵臓癌、または多発性骨髄腫、黒色腫、神経芽細胞腫および神経膠芽腫のような様々な腫瘍型が含まれる腫瘍の増殖および/または転移の抑制をすることが期待される。
ゆえに、本発明のさらなる態様によれば、ヒトのような温血動物において増殖抑制効果の生成に用いる薬物の製造における、式Iの化合物またはこれの医薬的に許容される塩の使用が提供される。
本発明のさらなる特徴によれば、上記で定義した、式Iの化合物またはこれの医薬的に許容される塩の有効量を前記動物に投与することを特徴とする、治療が必要な、ヒトのような温血動物における、増殖抑制効果の生成をする方法が提供される。
本発明の化合物は、TrkA、TrkB、TrkC、Flt−3およびTie−2キナーゼを阻害する能力を有するために、癌のような増殖性疾患の治療に用いることができる。TrkA、TrkBおよびTrkC受容体キナーゼは、甲状腺癌、乳癌、結腸癌のような腫瘍において、発現および活性化されることが示されており、並びにTrk受容体および対応するリガンドの増加も、多発性骨髄腫、黒色腫、膵臓癌、神経芽細胞腫および神経膠芽腫のような様々な腫瘍型において報告されている。それゆえに、いずれか、またはいずれの受容体からのシグナル伝達に依存する腫瘍の治療において、TrkA、TrkBおよびTrkCキナーゼの阻害剤は有効性を有することが期待される。これらの化合物は、単剤として、またはタキソール(登録商標)、アドリアマイシン、およびシスプラチンのような他の化学療法剤と併用(同時、または連続で)して、有効性を有することが期待される。
上記本明細書で定義した抗増殖治療は、単独療法として適用され得るか、あるいは本発明の化合物に加えて、一以上の他の物質および/または治療を含み得る。そのような治療は、治療におけるそれぞれの成分を同時に、連続的に、または別々に投与することによって達成し得る。本発明の化合物はまた、周知である抗癌剤および細胞毒性薬、並びに放射線治療のような治療と併用しても有用であり得る。もし固定用量として製剤するなら、そのような併用製品は、下記に記載されている用量域の範囲内で本発明の化合物を、および承認されている用量域の範囲内で、他の医薬的に活性な薬剤を用いる。式Iの化合物は複合製剤が不適切な場合に、周知である抗癌剤および細胞毒性薬、並びに放射線治療のような治療と一緒に、連続して用いることができる。
用語「抗癌」剤には、癌治療に有用であるいずれの周知な薬剤も含まれ、例えば以下:17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゾラデックス;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;VEGF阻害剤である、抗VEGF抗体(アバスチン(登録商標))、並びにZD6474およびSU6668のような小分子;バタラニブ、BAY−43−9006、SU11248、CP−547632、およびCEP−7055;抗HER2抗体(ハーセプチン)のような、HER1およびHER2阻害剤;ゲフィチニブ、エルロチニブ、ABX−EGF、EMD72000、11F8、およびセツキシマブのようなEGFR阻害剤;SB−715992、SB−743921、およびMKI−833のようなEg5阻害剤;カネルチニブ、EKB−569、CI−1033、AEE−788、XL−647、mAb2C4、およびGW−572016のようなpanHer阻害剤;Src阻害剤、例えばグリベック(登録商標)およびダサチニブ(スプリセル(登録商標))、カソデックス(登録商標)(ビカルタミド、アストラゼネカ)、タモキシフェン;MEK−1キナーゼ阻害剤、MAPKキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤;イマチニブのようなPDGF阻害剤;固形癌への血流を遮断することによって、癌細胞から栄養を取り除き癌細胞を休止状態にさせる、抗血管新生剤および抗血管剤;アンドロゲン依存性の癌を非増殖性にする、去勢;チロシンキナーゼ非受容体および受容体の阻害剤;インテグリンシグナル伝達阻害剤;チューブリン活性剤である、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、7−O−メチルチオメチルパクリタキセル、4−デスアセチル−4−メチルカルボナートパクリタキセル(methylcarbonatepaclitaxel)、3’−tert−ブチル−3’−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3’−デフェニル−3’−N−デベンゾニル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル、C−4メチルカルボナートパクリタキセル、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、デスオキシエポチロンA、デスオキシエポチロンB、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7−11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(イクサベピロン)、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−17−ジオキサビシクロ[14.1.0]−ヘプタデカン−5,9−ジオン、およびこれらの誘導体;CDK阻害剤、抗増殖性の細胞周期阻害剤、エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、エトポシド、VM−26;抗悪性腫瘍薬酵素、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン、トポテカン、SN−38;プロカルバジン;ミトキサントロン;シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンのような白金配位複合体;生物学的修飾物質;増殖阻害剤;抗ホルモン治療薬;ロイコボリン;テガフール;プリン拮抗薬(例えば、6−チオグアニンおよび6−メルカプトプリン)のような代謝拮抗剤;グルタミン拮抗薬、例えばDON(AT−125;d−オキソ−ノルロイシン);リボヌクレオチド還元酵素阻害剤;mTOR阻害剤;並びに造血性成長因子、などである。
付加的な細胞毒性薬には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン、イダトレキセート(idatrexate)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ダカルバジン、L−アスパラギナーゼ、ビカルタミド、ロイプロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロン、およびインターロイキンなどが含まれる。
内科的腫瘍学の分野において、それぞれの癌患者を治すために、治療の異なる形を併用して用いることは、治療として通常である。内科的腫瘍学において、そのような治療の他の構成物として、上記本明細書で定義した抗増殖性の治療に加えて、手術、放射線治療または化学療法があり得る。そのような化学療法は、治療薬の主要な3つのカテゴリーを包含し得る:
(i)上記で定義したものと異なる機構によって働く血管新生阻害剤(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能阻害剤、アンジオスタチン、ラゾキサン);
(ii)細胞増殖抑制剤である以下、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン(iodoxifene))、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン)、抗ホルモン剤、抗プロゲストーゲン剤、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン)、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド)、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗浸潤剤(例えば、マリマスタットおよびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤のようなメタロプロテアーゼ阻害剤)、および成長因子機能阻害剤、(そのような成長因子には、例えばEGF、FGF、血小板由来成長因子および肝細胞増殖因子が含まれ、そのような阻害剤には、成長因子抗体、成長因子受容体抗体であるアバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)およびアービタックス(登録商標)(セツキシマブ);チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤が含まれる);並びに
(iii)内科的腫瘍学で用いられている、抗増殖剤/抗悪性腫瘍剤、およびこれらの併用剤、例えば、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサートのような抗葉酸剤、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン、プリンおよびアデノシン類似体、シトシンアラビノシド);挿入(Intercalating)抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、およびイダルビシンのようなアントラサイクリン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン);白金誘導体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、チオテパ);抗有糸***剤(例えば、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンブラスチン、およびビンフルニンのようなビンカアルカロイド)、並びにタキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)のようなタキソイド、並びにエポチロン類似体(イクサベピロン)、ディスコデルモリド類似体、およびエリュテロビン類似体のような最新の微小管剤(newer microbtubule agents);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン);細胞周期阻害剤(例えば、フラボピリドル(flavopyridols));生物学的修飾物質およびプロテアソーム阻害剤であるベルケイド(登録商標)(ボルテゾミブ)である。
上記のように、本発明の式Iの化合物はそれらの増殖抑制効果ゆえに興味の対象となる。そのような本発明の化合物は、癌、乾癬、および関節リウマチのような症状の広範囲にわたって有用であることが期待される。
具体的に式Iの化合物は、様々な癌で、以下に限定されないが:
前立腺癌、膵管腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、および甲状腺癌のような癌;
神経芽細胞腫、神経膠芽腫、および髄芽腫のような中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;
急性骨髄性白血病(AML)のような血液悪性腫瘍、並びに
黒色腫および多発性骨髄腫のようなその他の癌
が含まれる治療において有用である。
一般的な、細胞増殖の制御における、キナーゼの重要な役割に起因して、阻害剤は可逆的な細胞増殖抑制剤として作用することができ、それは異常な細胞増殖、例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成または血管手術後の再狭窄、肥厚性瘢痕形成、および炎症性大腸炎を特徴とするいずれの疾患経過の治療においても有用であり得る。
式Iの化合物は、チロシンキナーゼ活性が高頻度で発現する腫瘍、例えば前立腺癌、乳癌、脳癌、甲状腺癌、および脾臓癌などの治療において、特に有用である。本発明の化合物の組成物(または組み合わせで)を投与することにより、哺乳類の宿主における腫瘍の増殖は減少する。
式Iの化合物は、Flt−3(Fme様キナーゼ3)、Tie−2、CDK2、VEGFR、FGFR、およびIGFRキナーゼのようなキナーゼを通じて働くシグナル伝達経路と関連し得る、他の癌性の疾患(例えば、急性骨髄性白血病)の治療においても有用であり得る。
活性成分が含まれる本発明の医薬組成物は、経口使用に適した形となることができ、例えば、錠剤、トローチ、ドロップ、水性もしくは油性懸濁液、分散性の粉末もしくは顆粒、乳濁液、硬もしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤となる。
本発明の化合物がヒト患者に投与される場合、通常、1日の服用量は処方医師により決定され、その用量は一般的に年齢、体重、性別、およびそれぞれの患者の反応、並びに患者の症状の重症度によって変わる。
もし固定用量として製剤するなら、そのような併用製品には、上記に記載した用量域の範囲内で本発明の化合物を、および承認されている用量域の範囲内で、他の医薬的に活性な薬剤を用いる。式Iの化合物は複合製剤が不適切な場合に、周知である抗癌剤および細胞毒性薬と一緒に、連続して投与することができる。本発明は、この一連の投与に限定されない;式Iの化合物は、周知である抗癌剤もしくは細胞毒性薬の投与の前、または後のいずれかに投与され得る。
化合物は、約0.05から200mg/kg/日の用量域で、望ましくは100mg/kg/日未満で、単回投与または2回から4回に分けて投与され得る。
(生物学的アッセイ )
TrkA
TrkAのチロシンキナーゼ活性を阻害する、本発明の化合物の能力は、外因性基質のリン酸化反応を阻害する化合物の能力を測定するアッセイにおいて、組み換え酵素polyGluTyr(PGT、4:1)を用いて測定できる。ヒトTrkA受容体のキナーゼドメインは、バキュロウイルス発現系を用いて、Sf9昆虫細胞中にヒスチジン(His)融合タンパク質として発現する。このタンパク質は、Ni−NTAアフィニティーカラムを用いて、これらの細胞のライセートから精製する。組み換え酵素が精製された後、それはコールド(cold)ATPと一緒にインキュベーションすることで、活性化する。この酵素アッセイは、96ウェルプレートで行う。試験化合物をまずジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、次いで96ウェルプレートで連続的に希釈する。この連続的に希釈した化合物を96ウェルアッセイプレートに移して、酵素アッセイにおけるDMSOの最終濃度を1.64%にする。全てのアッセイ成分を、リン酸化反応緩衝液(20mmのMOPS、10mmのMgCl、1mMのEDTA、0.015%のブリッジ35、0.1mg/mlのBSA、0.0025%のβ−メルカプトエタノール)で希釈する。組み換え酵素を試験化合物が含まれるアッセイプレートに加えて、0.1mg/mlのPGT、30μMのATP、および0.008mCi/mlの33P−ガンマ−ATP(3000Ci/mmol)の最終濃度である基質溶液を加えることで反応が開始される。30℃で1時間インキュベーションした後、反応を10%TCAを加えて終了させ、4℃で1時間インキュベートする。この反応液を、0.1Mピロリン酸ナトリウムで予浸してある、ユニフィルター(登録商標)GF/C(登録商標)フィルタープレートでろ過する。次いでマイクロシント(Microscint)20を乾燥させた該フィルタープレートに加えて、得られた33P−リン酸化PGTをマイクロシンチレーションプレートカウンター(トップカウントNXT(登録商標))の上で定量する。試験化合物によるキナーゼ酵素活性の阻害を、シンチレーションの低下により検出し、およびシグナルの50%を阻害するのに要する化合物の濃度を試験化合物のIC50値として記録する。
TrkB
TrkBのチロシンキナーゼ活性を阻害する、本発明の化合物の能力は、外因性基質のリン酸化反応を阻害する化合物の能力を測定するアッセイにおける、組み換え酵素polyGluTyr(PGT、4:1)を用いて測定できる。ヒトTrkB受容体のキナーゼドメイン(アミノ酸526−838)は、昆虫細胞中にヒスチジン(His)融合タンパク質として発現し、およびインビトロゲン(登録商標)から市販されている。この酵素アッセイは、96ウェルプレートで行う。試験化合物をまずジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、次いで96ウェルプレートで連続的に希釈する。この連続的に希釈した化合物を96ウェルアッセイプレートに移して、酵素アッセイにおけるDMSOの最終濃度を1.64%にする。全てのアッセイ成分を、リン酸化反応緩衝液(20mmのMOPS、10mmのMgCl、1mMのEDTA、0.015%のブリッジ35、0.1mg/mlのBSA、0.0025%のβ−メルカプトエタノール)で希釈する。組み換え酵素を試験化合物が含まれるアッセイプレートに加えて、0.1mg/mlのPGT、30μMのATP、および0.008mCi/mlの33P−ガンマ−ATP(3000Ci/mmol)の最終濃度である基質溶液を加えることで反応が開始される。30℃で1時間インキュベーションした後、反応を10%TCAを加えて終了させ、4℃で1時間インキュベートする。この反応液を、0.1Mピロリン酸ナトリウムで予浸してある、ユニフィルター(登録商標)GF/C(登録商標)フィルタープレートでろ過する。次いでマイクロシント(Microscint)20を乾燥させた該フィルタープレートに加えて、得られた33P−リン酸化PGTをマイクロシンチレーションプレートカウンター(トップカウントNXT(登録商標))の上で定量する。試験化合物によるキナーゼ酵素活性の阻害を、シンチレーションの低下により検出し、およびシグナルの50%を阻害するのに要する化合物の濃度を試験化合物のIC50値として記録する。
本化合物は、0.001から10μMの間のIC50値で、TrkAおよびTrkBを阻害する。望ましい化合物は、0.001から2.5μMの間のIC50値を有する。さらに望ましい化合物は、0.001から0.5μMの間のIC50値を有する。もっとも望ましい化合物は、0.001から0.1μMの間のIC50値を有する。代表的な化合物は、次の表に示されている。
Figure 0005180967
(製剤方法)
特定の式Iの化合物は、一般的に、以下の反応式および当業者の知識により、製造できる。
反応式1
Figure 0005180967
実施例1
−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N −((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン
Figure 0005180967
1A:2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミンの製剤
Figure 0005180967
2,4−ジクロロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン(1.5g、5.3mmol)のi−PrOH(15mL)溶液を、3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−アミン(657mg、5.3mmol)およびDIEA(0.92mL、5.3mmol)で処理した。その反応を、終夜周囲温度で攪拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを冷i−PrOHで洗浄し、減圧下で乾燥して、1Aを固形物(1.3g、90%)として得た。HPLCt=3.301分(YMC S5 Combiscreen ODS 4.6x50mm、0.2%HPOを含む10−90%メタノール水溶液、4分グラジエント、220nmでモニター)。[M+H]=275.37。
1B:N −(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N −((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミンの製剤
Figure 0005180967
2−クロロ−N−(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4−アミンの1A(200mg、0.74mmol)および(S)−1−(4−フルオロフェニル)エタンアミン(0.5mL)の混合物を、マイクロ波セーフチューブ(microwave safe tube)(10mL)の中で、120℃で50分間、300Wの力を用いて継続的に熱した。その反応液をMeOH(1.5mL)で希釈し、プレパラティブ逆相HPLCにより精製して、表題の化合物を固形物(220mg、40%)として得た。HPLCt=3.093分(YMC S5 ODS 4.6x50mm、0.2%HPOを含む10−90%メタノール水溶液、4minグラジエント、220nmでモニター)。[M+H+]=378.36。
以下の表1の化合物は、実施例1に記載されている手順を用いて合成されてきた。
表1
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
Figure 0005180967
HPLC条件:
(a)YMC S5 Combiscreen ODS 4.6x50mm、0.2%HPOを含む10−90%メタノール水溶液、4分グラジエント、220nmまたは254nmでモニター。
(b)Chromolith SpeedROD 4.6x50mm、0.1%TFAを含む10−90%メタノール水溶液、4分グラジエント、220nmまたは254nmでモニター。
(c)Phenomenex Su C18 4.6x50mmカラム、0.1%TFAを含む10−90% メタノール水溶液、4分グラジエント、220nmでモニター。

Claims (12)

  1. Figure 0005180967
    [式中、
    は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールまたは置換アリールであり;
    は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アルキル、−(CH−アリール、−(CH−置換アリール、−(CH−置換ヘテロアリール、−(CH−OH、−(CH−NH、−(CH−S−アルキルまたは−SOアルキルであり、そのうちの置換シクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロシクリル、置換シクロアルキルアルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アリール、または−(CH−置換ヘテロアリールが選択された場合、その炭素環に2つの置換基が結合してもよく;および
    nは0、1、2、3または4である]
    によって表される式Iの化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、または立体異性体。
  2. Figure 0005180967
    [式中、
    は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アルキル、−(CH−アリール、−(CH−置換アリール、−(CH−置換ヘテロアリール、−(CH−OH、−(CH−NH、−(CH−S−アルキルまたは、−SOアルキルであり、そのうちの置換シクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロシクリル、置換シクロアルキルアルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、−(CH−置換アリール、または−(CH−置換ヘテロアリールが選択された場合、その炭素環に2つの置換基が結合してもよく;および
    nは0、1、2、3または4である]
    によって表される式IIの化合物、あるいはそれの医薬的に許容される塩、または立体異性体。
  3. −(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N−((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)−N−((1S)−1−メチルペンチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −(1−ベンジル−3−ピロリジニル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)−N−((1S)−1−フェニルエチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −(3−シクロプロピル−1H−ピラゾル−5−イル)−N−((1R)−1−フェニルエチル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −((1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル)−N−(5−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −シクロヘプチル−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −(シクロヘキシルメチル)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    −((1S)−1−シクロヘキシルエチル)−N−(5−シクロプロピル−1H−ピラゾル−3−イル)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−2,4−ジアミン、
    を含む群から選択される化合物、あるいはそれらの医薬的に許容される塩、または立体異性体。
  4. 請求項1の化合物を一以上、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
  5. 請求項1の化合物の一以上を、医薬的に許容される担体、および一以上の他の抗癌剤、または細胞毒性薬と組み合わせたものを含む医薬組成物。
  6. 請求項1の化合物の一以上の治療上の有効量を含む、増殖性疾患の治療剤。
  7. 該増殖性疾患が癌である、請求項6の治療剤。
  8. 該癌が、前立腺癌、膵管腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌および甲状腺癌、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、髄芽細胞腫および黒色腫、多発性骨髄腫、並びに急性骨髄性白血病(AML)を含む群から選択される、請求項7の治療剤。
  9. 請求項1の化合物の一以上と組み合わせた、一以上の他の抗癌剤、または細胞毒性薬の治療上の有効量をさらに含む、請求項8の治療剤。
  10. 請求項1の化合物の一以上の有効量を含む、受容体チロシンキナーゼ活性の調節剤。
  11. 請求項1の化合物の一以上と組み合わせた、一以上の他の抗癌剤、または細胞毒性薬の治療上の有効量をさらに含む、請求項10の受容体チロシンキナーゼ活性の調節剤。
  12. 前記受容体チロシンキナーゼが、TrkAまたはTrkB、TrkCまたはFlt−3である、請求項11の受容体チロシンキナーゼ活性の調節剤。
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