JP5177827B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すぐれた美白効果を有し、シミ、ソバカス等の皮膚の色素沈着の予防並びに症状改善に有効な皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
日焼け或いは加齢に伴って生ずる色素沈着、特にシミ、ソバカスの予防、症状改善を目的として、従来よりコウジ酸、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン誘導体など種々の美白剤が提案され、これらを配合した皮膚外用剤が上市されている。しかしながら、それら従来の美白剤は、美白効果それ自体が必ずしも満足できるものではないことに加えて、美白効果を最大限に発揮させるため配合量を増やすと、皮膚刺激の問題を生ずることがあるなど、実用性の面でなお改善すべき点が多い。
【0003】
本発明者等は、かかる従来技術の問題点に鑑み、美白効果にすぐれ、かつ安全性の高い皮膚外用剤を提供すべく鋭意研究を進めた結果、コウジ酸、アルブチン等の既存の美白剤とラン科シラン属植物の抽出物とを組み合わせ用いた場合、それらの相乗的作用により美白効果が著しく向上し、これにより美白・美肌化効果の一段と改善された皮膚外用剤の提供が可能となること、又美白効果の向上の結果として、低配合量でもすぐれた美白効果が期待できることから、皮膚刺激の心配の少ない安全性にすぐれた皮膚外用剤を提供し得ることを見出し本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、ラン科シラン属に属する植物の水抽出物と、コウジ酸及びその誘導体、アルブチン、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、ソウハクヒ抽出液及び米糠抽出物加水分解物から選ばれた美白剤の1種又は2種以上とを、固形分重量比で10:1〜1:100の割合で配合してなる皮膚外用剤である。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるラン科シラン属植物の抽出物は、シラン(Bletilla striata)、ブレティラ・ホルモサーナ(B. formosana)、ブレティラ・オキラシア(B. ochracea)、ブレティラ・ツエチュアニカ(B. szetschuanica)などのシラン属植物の全草、葉、球茎、根等を、必要に応じて乾燥、細切等の前処理を施した上、適宜の溶媒で抽出して得られるものである。本発明に於いては、それらシラン属植物のうちでも特にシラン(Bletilla striata)の使用が好ましく、又抽出対象部位としては球茎が最も好ましい。
【0006】
抽出に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒等があり、それらはpH調整なしで、もしくは酸、アルカリなどでpH調整を行った上使用される。それらのうちでも、本発明に於いては水性媒体、例えば水、水と低級アルコール類との混液もしくは水と多価アルコール類との混液等の使用が最も好ましい。
【0007】
抽出条件は、用いる溶媒の種類、被抽出物の性状等によっても異なるが、一般には、4〜80℃で2時間〜3日間程度であり、上記の水性媒体を用いる場合であれば、20〜60℃で4〜24時間抽出を行うのが好適である。
【0008】
ここに得られるラン科シラン属植物抽出物溶液は、一般にはpH4〜8に調整した上、そのままもしくはさらに適宜の濃度に調整して使用するか、場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化して使用される。
【0009】
本発明に於いて、上記のラン科シラン属植物抽出物と組み合わせ用いる美白剤中、コウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、或いはコウジ酸エーテル類;アスコルビン酸誘導体としては、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル塩などのアスコルビン酸エステル塩類(塩はナトリウム塩、マグネシウム塩など)、L−アスコルビン酸−2−グルコシド(2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸)、L−アスコルビン酸−5−グルコシド(5−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体;レゾルシノール誘導体としては、例えば4−n−ブチルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール等がある。又、胎盤抽出物としては、化粧品公定書に収載されている化粧品配合グレードのものが、米糠抽出物加水分解物としては、特開平5-221844号公報に記載の方法、特に酵素処理を用いる方法によって得られる加水分解物が好適に使用できる。
【0010】
本発明に於いて、ラン科シラン属植物抽出物と組み合わせ用いる美白剤のうちでも、特にコウジ酸、アルブチン、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸−2−グルコシドが、得られる美白効果の点から好ましい。
【0011】
ラン科シラン属植物抽出物とそれら美白剤との配合比は、固形分重量比で10:1〜1:100の範囲であり、好ましくは5:1〜1:50、特に好ましくは2:1〜1:40の範囲である。ラン科シラン属植物抽出物に対する美白剤の配合比が、1:100を上回るかもしくは10:1を下回ると、相乗効果が発揮され難くなり、組み合わせのメリットが低下する。
【0012】
本発明の皮膚外用剤中に於けるラン科シラン属植物抽出物と美白剤の配合量は、上記の配合比の範囲で、ラン科シラン属植物抽出物の場合、固形分として一般に0.002〜1.0重量%、好ましくは0.02〜0.5重量%、又美白剤の場合一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。配合量が上記の範囲を下回ると、十分な美白・美肌化効果は得難く、一方上記の範囲以上としても、美白効果の一層の向上は期待し難いだけでなく、コスト面で不利となる問題等があっていずれも好ましくない。
【0013】
本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬等のいずれとしても使用可能であり、又その剤形としては、例えばクリーム、乳液、ローション、軟膏、パック、ハップ剤など用途、適用対象等に応じて多様なものが採用できる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤には、必須成分のラン科シラン属植物抽出物及び美白剤のほかに、通常皮膚外用剤に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0015】
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油などの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライドなどの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0016】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N、N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′、N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等が挙げられる。
【0017】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボンナトリウム等があり、さらに糖類、ヒアルロン酸、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0018】
増粘剤としては、例えばカラギーナン、アルギン酸、ペクチン、ローカストビーンガムなどの多糖類;キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガムなどのガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体などの合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0019】
防腐殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)等がある。
【0020】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー等がある。
【0021】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等がある。
【0022】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体等がある。
又、その他の成分として、レシチン類、シルク関連物質等を配合することもできる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の組み合わせ成分の有効性を損なわない範囲で、さらに他の生理活性成分を配合してもよい。かかるものとしては、例えばコラーゲン、ニコチン酸及びその誘導体(例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)、ビタミンE及びその誘導体(例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)、α−ヒドロキシ酸類(例えば乳酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸等)、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸などの皮膚老化防止・肌荒れ改善成分;ゲンチアナエキスなどの生薬抽出エキス等がある。
【0024】
次に、製造例、実施例(処方例)及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0025】
製造例1.シラン属植物抽出物溶液の調製(1)
シラン属シラン(Bletilla striata)の球茎の乾燥細切物100gに精製水900gを加え、50℃で15時間抽出した。得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液(固形分含量:約3.3%)300mlを得た。
【0026】
製造例2.シラン属植物抽出物溶液の調製(2)
シラン属シランの球茎の乾燥細切物100gに精製水900gを加え、60℃で4時間抽出した。得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液(固形分含量:約2.6%)350mlを得た。
【0027】
製造例3.シラン属植物抽出物溶液の調製(3)
シラン属シランの球茎の乾燥細切物100gに50%エタノール水溶液900gを加え、室温(25℃)で15時間抽出した。得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液(固形分含量:約0.9%)600mlを得た。
【0028】
製造例4.シラン属植物抽出物溶液の調製(4)
シラン属シラン(Bletilla striata)の球茎の乾燥細切物100gに5%1,2−ペンタンジオール水溶液900gを加え、室温(25℃)で15時間抽出した。得られた抽出液をろ過して、淡黄色透明の抽出物溶液(固形分含量:約1.2%)500mlを得た。
【0029】
製造例5.シラン属植物抽出物溶液の調製(5)
製造例1に於いて、シラン属シランの球茎に代えてシラン属フォルモサーナ( Bletilla formosana)の球茎を用いるほかは製造例1と同様にして、淡黄色透明の抽出物溶液(固形分含量:約3.0%)300mlを得た。
【0030】
製造例6.シラン属植物抽出物粉末の調製
製造例1と同様にして得られた抽出物溶液を30mlに濃縮した後凍結乾燥し、抽出物粉末9.9gを得た。
【0031】
製造例7.米糠抽出物加水分解物溶液の調製
米糠200gを、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液800mlに室温で24時間浸漬した。次に、不溶物をろ過で除き、ろ液をアクチナーゼ、ペプシン及びトリプシンで順次処理した。酵素処理は、酵素を各々10mg使用し、各酵素の至適pHに於いて、それぞれ40℃に2時間保持することによって行った。ここに得られた酵素処理液をろ過して、黄色透明の米糠抽出物加水分解物溶液(固形分含量:約1.0%)300mlを得た。
【0032】
実施例1.クリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 5.0
ヘキサラン (注) 4.0
パラフィン 5.0
グリセリルモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 6.0
ブチルパラベン 0.1
(注)株式会社テクノーブル製 トリオクタン酸グリセリル
[B成分]
製造例1の抽出物溶液 5.0
コウジ酸 1.0
グリセリン 5.0
カルボキシメチルモノステアレート 0.1
メチルパラベン 0.1
モイストン・C (注) 1.0
精製水 全量が100部となる量
(注)株式会社テクノーブル製 NMF成分
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分を、それぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合してクリームを調製した。
【0033】
実施例2 乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
製造例2の抽出物溶液 5.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 1.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を調製した。
【0034】
実施例3 ローション
[成分] 部
製造例1の抽出物溶液 5.0
アルブチン 1.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを調製した。
【0035】
実施例4 パック
[成分] 部
ポリビニルアルコール 15.0
ヒドロキシメチルセルロース 5.0
プロピレングリコール 5.0
エタノール 10.0
メチルパラベン 0.2
製造例3の抽出物溶液 5.0
L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩 1.0
香料 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してパックを調製した。
【0036】
実施例5 プレスパウダー
[A成分] 部
ベンガラ 0.5
黄酸化鉄 1.5
黒酸化鉄 0.1
酸化チタン 10.0
ナイロンパウダー 4.0
セリサイト 全量が100部となる量
マイカ 23.0
タルク 25.0
製造例5の抽出物粉末 0.2
コウジ酸 1.0
[B成分]
スクワラン 1.0
メチルポリシロキサン 4.0
プロピルパラベン 0.1
デヒドロ酢酸 0.1
流動パラフィン 2.0
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ混合攪拌し混合した後、200メッシュのタイラーメッシュの篩にかけ、得られた混合粉末を金型に打型して均一なプレスパウダーを調製した。
【0037】
実施例6 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりにアルブチン1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0038】
実施例7 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりにL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0039】
実施例8 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりにL−アスコルビン酸−2−グルコシド1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0040】
実施例9 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりに4−n−ブチルレゾルシノール1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0041】
実施例10 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりにエラグ酸1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0042】
実施例11 クリーム
実施例1に於いて、コウジ酸1.0部の代わりに製造例7の米糠抽出物加水分解物溶液2.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0043】
実施例12 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部の代わりに製造例5の抽出物溶液5.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0044】
比較例1 クリーム
実施例1に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部とコウジ酸1.0部に代えて、コウジ酸1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0045】
比較例2 クリーム
実施例6に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部とアルブチン1.0部に代えて、アルブチン1.0部を用いるほかは実施例6と同様にしてクリームを調製した。
【0046】
比較例3 クリーム
実施例7に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部とL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩1.0部に代えて、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0047】
比較例4 クリーム
実施例8に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部とL−アスコルビン酸−2−グルコシド1.0部に代えて、L−アスコルビン酸−2−グルコシド1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0048】
比較例5 クリーム
実施例9に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部と4−n−ブチルレゾルシノール1.0部に代えて、4−n−ブチルレゾルシノール1.0部を用いるほかは実施例9と同様にしてクリームを調製した。
【0049】
比較例6 クリーム
実施例10に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部とエラグ酸1.0部に代えて、エラグ酸1.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0050】
比較例7 クリーム
実施例11に於いて、製造例1の抽出物溶液5.0部と製造例7の米糠抽出物加水分解物溶液2.0部に代えて、製造例7の米糠抽出物加水分解物溶液2.0部を用いるほかは実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0051】
試験例1 色素沈着抑制試験
ラン科シラン属植物抽出物と種々の美白剤とを組み合わせ用いたときの相乗効果を、有色モルモットを用いた色素沈着抑制試験により調べた。
【0052】
[試料]
各成分を表1に示す固形分含量(%)で含む水溶液を試料として用いた。
【表1】
【0053】
表1に於いて、BS、KA、AL、APM、AG、EA、BR及びRHとは、それぞれ次のものを意味する。
BS:製造例1のシラン抽出物、KA:コウジ酸、AL:アルブチン、APM:L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩、AG:L−アスコルビン酸−2−グルコシド、EA:エラグ酸、BR:4−n−ブチルレゾルシノール、RH:米糠抽出物加水分解物
【0054】
[試験方法]
有色モルモット(雄、8週齢)の背部中央部のタテ60mm×ヨコ30mmの体毛を剃毛し、該部分を前後・左右四つに区画した。この区画の一つに本発明試料を、残りの三つの区画に比較試料A、BとC〜Fのいずれかを、それぞれ朝、夕各1回5mlずつ6日間塗布すると共に、該塗布部位に毎日1回朝の塗布直前に500mJ/cm2のUV−Bを照射し、6日目の夕方に照射部位の色素沈着の状態を目視により観察し、以下の基準により評価した。
【0055】
[色素沈着の評価基準]
− : 色素沈着を認めない
± : 軽微な色素沈着を認める
+ : 軽度な色素沈着を認める
2+ : 中程度の色素沈着を認める
3+ : 重度な色素沈着を認める
【0056】
[結果]
結果を表2に示す。
【表2】
【0057】
表2の結果から、本発明のラン科シラン属植物抽出物と既存の美白剤を併用した場合、それら成分を各々単独で使用した場合に比べて色素沈着の抑止効果が著しく向上し、上記の併用によって美白効果が相乗的に強められることが判る。。
【0058】
試験例2 モニターテスト
実施例1、6〜11及び比較例1〜7の各クリームについて、モニターテストにより紫外線照射時の紅斑の発生と色素沈着に対する抑制効果を調べた。
【0059】
[試験方法]
無作為に抽出した年齢18〜55歳の女性70名を被験者とし、各被験者の左右の前腕内側部に1cm×1cmの紫外線照射部をそれぞれ2カ所設定した。UV−Bランプ(株式会社東芝製、FL20−SE)を用い、予め測定しておいた各被験者の最小紅斑量(MED)に相当する量の紫外線を1日1回(朝)、3日間連続して照射した。紫外線照射開始日から1カ月間連続して、紫外線照射期間内(最初の3日間)は紫外線照射直後及び夕刻の1日2回、紫外線照射期間経過後(4日目以降)は朝及び夕刻の1日2回、紫外線照射部にクリームを塗布した。被験者70名を七つのグループに分け、各グループ10名に対し、実施例1、6〜11及び比較例1〜7のクリームを塗布した。各グループに対する塗布クリームの種類を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
1カ月間塗布した後、各被験者の紫外線照射部の紅斑の発生状況及び色素沈着状態を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0062】
[評価基準]
A : 紅斑の発生及び色素沈着がなかった
B : 紅斑の発生及び色素沈着が明らかに少なくなった
C : 紅斑の発生及び色素沈着が少なくなった
D : 紅斑の発生及び色素沈着の状態がクリーム使用前と殆ど変わらなかった
E : 紅斑の発生及び色素沈着がクリーム使用前よりかえって多くなった
【0063】
[結果]
結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示す通り、ラン科シラン属植物抽出物と既存の美白剤とを併用した場合、美白剤単独に比べて、紫外線照射による紅斑の発生と色素沈着に対する抑止効果が著しく増強される。
【0066】
【発明の効果】
既存の美白剤にラン科シラン属植物抽出物を組み合わせ配合してなる本発明の皮膚外用剤によれば、それら配合成分の相乗効果により、美白作用が著しく増強され、美白剤単独配合に比して皮膚の紅斑発生と色素沈着がより顕著に抑制され、シミ、ソバカスの予防・症状改善にすぐれた効果が発揮される。また、美白作用が増強されることにより、所望の効果を得るに必要な美白剤の配合量を低減させることができ、美白剤の高配合時にしばしばみられる皮膚刺激等の副作用のない安全性の高い皮膚外用剤の提供が可能となる。
Claims (2)
- ラン科シラン属に属する植物の水抽出物と、コウジ酸及びその誘導体、アルブチン、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、ソウハクヒ抽出液及び米糠抽出物加水分解物から選ばれた美白剤の1種又は2種以上とを、固形分重量比で10:1〜1:100の割合で配合してなる皮膚外用剤。
- 美白剤が、コウジ酸、アルブチン、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、エラグ酸、4−n−ブチルレゾルシノール、ソウハクヒ抽出液及び米糠抽出物加水分解物から選ばれたものである請求項1に記載の皮膚外用剤。
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