JP5175831B2 - フルオロ脂肪族基含有ポリマーを含むフィルム、偏光板、及びディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
反射防止膜の製造方法としては、特許文献1にCVDによる酸化硅素膜を用いたガスバリア性、防眩性、反射防止性に優れる防眩性反射防止膜が記載されているような無機蒸着法が挙げられるが、大量生産性の観点からはオールウェット塗布による反射防止膜の製造方法が有利である。
塗布時のムラを低減させるためにはレベリング性を向上させることが有効であることが知られている。レベリング性を向上させる一つの手段として、塗布組成物中に界面活性剤を添加する方法が提案されている。塗布物に界面活性剤を添加すると表面張力が低下して被塗布物への濡れを改良し、塗膜形成過程での表面張力変化を小さく、又は低下させて熱対流を防止して膜の均一性を改良するという機構に基づいている(非特許文献1参照コーティング用添加剤の最新技術、桐生春雄監修、シーエムシー、2001年)。目的とする塗布組成物中の溶剤、樹脂、各種添加剤との相溶性などにより最適な界面活性種は異なるが、溶剤を用いて塗布する場合には溶剤に可溶で表面張力低下能力が最も高いフッ素系界面活性剤を用いるのが有効である。
(1)乾燥ムラや風ムラを低減できるフルオロ脂肪族基含有重合体を含む組成物を提供すること、
(2)面状均一性が高く、十分な反射防止性能と耐擦傷性能とを両立した反射防止膜を提供すること、
(3)そのような反射防止膜を高い生産性で得ることのできる、高速塗布製造方法を提供すること、及び
(4)そのような反射防止膜を用いた偏光板やディスプレイ装置を提供すること、にある。
<1>
支持体上に少なくとも2つの層を有するフィルムであって、下記一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、その含有量が全重合単位の50質量%を超えるポリマー(1)を含有する塗布組成物を最上層以外に少なくとも一層塗設したことを特徴とするフィルム。
一般式[1]
<2>
支持体上に少なくとも2つの層を有するフィルムであって、下記一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、その含有量が全重合単位の50質量%を超えるポリマー(2)を含有する塗布組成物を最上層以外に少なくとも一層塗設したことを特徴とするフィルム。
一般式[2]
<3>
前記塗布組成物が、一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量(ポリマー全質量に対するフッ素原子の質量%)が30%以上であるポリマー(3)を含有する塗布組成物であることを特徴とする<1>に記載のフィルム。
<4>
前記塗布組成物が、一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量が30%以上であるポリマー(4)を含有する塗布組成物であることを特徴とする<2>に記載のフィルム。
<5>
前記ポリマー(1)〜(4)において、前記一般式[1]又は[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の含有量が全重合単位の70質量%以上であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載のフィルム。
<6>
前記一般式[1]又は[2]のnが6以上であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のフィルム。
<7>
前記塗布組成物において、前記ポリマー(1)〜(4)の添加量が0.001質量%〜5.0質量%であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載のフィルム。
<8>
前記塗布組成物において、前記ポリマー(1)〜(4)の添加量が0.001質量%〜1.0質量%であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載のフィルム。
<9>
前記塗布組成物から形成された層のうち少なくとも一層がハードコート層であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載のフィルム。
<10>
前記塗布組成物から形成された層のうち少なくとも一層が防眩性ハードコート層であることを特徴とする<1>〜<9>のいずれかに記載のフィルム。
<11>
前記ハードコート層又は防眩性ハードコート層上に、低屈折率層を有することを特徴とする<9>又は<10>に記載のフィルム。
<12>
前記低屈折率層が前記最上層であることを特徴とする<11>に記載のフィルム。
<13>
<11>又は<12>に記載のフィルムを、偏光層の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
<14>
<13>に記載の偏光板を低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とするディスプレイ装置。
<15>
<11>又は<12>に記載のフィルムを低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とする偏光板を持たないディスプレイ装置。
なお、本発明は上記<1>〜<15>に関するものであるが、参考のため、例えば下記1〜60に記載の事項など、その他の事項についても記載した。
1.下記一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、その含有量が全重合単位の50質量%を超えるポリマー(1)を含有することを特徴とする組成物。
2.上記1に記載の組成物からなることを特徴とする塗布組成物。
3.下記一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、その含有量が全重合単位の50質量%を超えるポリマー(2)を含有することを特徴とする塗布組成物。
一般式[2]
4.一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量(ポリマー全質量に対するフッ素原子の質量%)が30%以上であるポリマー(3)を含有することを特徴とする塗布組成物。
5.一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量が30%以上であるポリマー(4)を含有することを特徴とする塗布組成物。
6.一般式[1]あるいは[2]のnが6以上であることを特徴とする上記2〜5のいずれかに記載の塗布組成物。
7.前記一般式[1]あるいは[2]のnが8以上であることを特徴とする上記6に記載の塗布組成物。
8.一般式[1]あるいは[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含むポリマーが、下記一般式[3]で表されるモノマーの重合単位をポリマー(1)乃至(4)の構成成分として含有することを特徴とする上記2〜7のいずれかに記載の塗布組成物。
一般式[3]
9.一般式[3]で表されるモノマーのR12が置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐、あるいは環状のアルキル基、又は置換基を有していても良い芳香族基を表すことを特徴とする上記8に記載の塗布組成物。
10.有機微粒子及び無機微粒子の少なくともいずれかの分散物を含むことを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の組成物又は塗布組成物。
11.塗布組成物に対するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(1)〜(4)の添加量が0.001質量%〜5.0質量%であることを特徴とする上記1〜10に記載の組成物又は塗布組成物。
12.塗布組成物に対するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(1)〜(4)のフッ素原子の質量の割合が、0.0003質量%〜3.0質量%であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の組成物又は塗布組成物。
13.前記の塗布組成物において、水の含率が30%以下であることを特徴とする上記1〜12に記載の組成物又は塗布組成物。
14.一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、その含有量が全重合単位の50質量%を超えるポリマー(1)を含有することを特徴とする積層体。
15.上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物を最上層以外に少なくとも一層塗設することにより、該層とその上層との密着性が改良されていることを特徴とするのフィルム。
16.支持体上に、上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物から塗設された少なくとも一層の機能層を有することを特徴とするフィルム。
17.支持体上に複数種類の塗布組成物を塗設されてなることを特徴とする15又は16に記載のフィルム。
18.支持体上に塗布組成物から塗設された複数の機能層の屈折率がそれぞれ異なることを特徴とする上記15〜17のいずれかに記載のフイルム。
19.上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物を10m/min以上の塗布速度で塗設することを特徴とする上記15〜18のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
20.透明支持体上に、上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物から塗設された屈折率の異なる複数の機能層が反射防止能を有することを特徴とする反射防止膜。
21.複数の機能層に、ハードコート層と低屈折率層が含まれていることを特徴とする上記20に記載の反射防止膜。
22.上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物からなる塗布液を10m/min以上の塗布速度で塗設されてなる上記20又は21に記載の反射防止膜の製造方法。
23.上記2〜13のいずれかに記載の塗布組成物からなるハードコート層あるいは低屈折率層が、下記一般式[4]で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物を含有することを特徴とする上記20又は21に記載の反射防止膜、並びに上記22に記載の方法で製造された反射防止膜。
一般式[4]
(R10)m−Si(X)4-m
(式中、R10は置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
24.一般式[4]におけるR10がラジカル重合性置換基を含むことを特徴とする上記23に記載の反射防止膜。
25.一般式[4]で表される化合物が、下記一般式[5]で表されることを特徴とする23又は24に記載の反射防止膜。
一般式[5]
26.低屈折率層のバインダーポリマーが含フッ素ポリマーを含むことを特徴とする上記23〜25のいずれかに記載の反射防止膜。
27.低屈折率層の全固形分に対するオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物の使用量が0.1〜50質量%であることを特徴とする上記23〜26のいずれかに記載の反射防止膜。
28.上記3〜13のいずれかに記載の塗布組成物からなるハードコート層が防眩性を有することを特徴とする上記21及び23〜27のいずれかに記載の反射防止膜、又は上記22に記載の方法で製造された反射防止膜。
29.該防眩性ハードコート層の下層に、更に防眩性を有しないハードコート層を有することを特徴とする上記28に記載の反射防止膜。
30.該防眩性ハードコート層がバインダーと平均粒径1.0〜10.0μmのマット粒子から形成され、該バインダーの屈折率が1.48〜2.00であることを特徴とする上記29に記載の反射防止膜。
31.マット粒子が粒径の異なる2種類以上の粒子によって構成されていることを特徴とする上記30に記載の反射防止膜。
32.マット粒子として、平均粒子径より20%以上大きな粒子径を持つ粒子数が全粒子数の1%以下であることを特徴とする上記30又は31に記載の反射防止膜。
33.該ハードコート層にジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン、及びケイ素のうちより選ばれる少なくとも1つの酸化物からなる無機フィラーを含有することを特徴とする上記28〜32のいずれかに記載の反射防止膜。
34.該低屈折率層にシリカ、及びフッ化マグネシウムより選ばれる無機フィラーを含有することを特徴とする上記20、21、及び22〜33のいずれかに記載の反射防止膜、又は上記22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
35.該低屈折率層において、粒子径の異なる無機フィラー粒子を含むことを特徴とする上記34に記載の反射防止膜。
36.該防眩性ハードコート層より下層の防眩性を有しないハードコート層にシリカ、及びアルミナより選ばれる無機フィラーを含有することを特徴とする上記29〜35のいずれかに記載の反射防止膜。
37.全てのハードコート層及び低屈折率層に無機フィラーを含有することを特徴とする上記20、21、及び23〜36のいずれかに記載の反射防止膜、又は上記22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
38.該無機フィラーの平均粒径が0.001〜0.2μmであることを特徴とする37に記載の反射防止膜。
39.該低屈折率層側の表面の動摩擦係数が0.03〜0.15であり、かつ、水に対する接触角が90〜120°であることを特徴とする上記20、21、及び23〜38のいずれかに記載の反射防止膜、又は22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
40.ヘイズが3.0〜60.0%であり、450〜650nmの波長の光に対する平均反射率が3.0%以下であることを特徴とする上記20、21、及び23〜39のいずれかに記載の反射防止膜、又は22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
41.該透明支持体がトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートであることを特徴とする上記20、21、及び23〜40のいずれかに記載の反射防止膜、又は22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
42.低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下であることを特徴とする上記20、21、及び23〜41のいずれかに記載の反射防止膜、又は22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
43.含フッ素ポリマーがパーフルオロオレフィン共重合体であることを特徴とする26〜42のいずれかに記載の反射防止膜。
44.含フッ素ポリマーが側鎖にラジカル重合性基又はカチオン開環重合性基を有する重合単位を有するポリマーであることを特徴とする26〜43のいずれかに記載の反射防止膜。
45.前記反射防止層と前記透明支持体との間に少なくとも1層の前方散乱層を有することを特徴とする20、21、若しくは23〜44のいずれかに記載の反射防止膜、又は22に記載の製造方法で製造された反射防止膜。
46.透明支持体上に低屈折率層を形成した後、鹸化処理することを特徴とする上記22に記載の製造方法、又は上記20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
47.低屈折率層が塗布工程により形成され、該低屈折率層用塗布液の溶媒が少なくとも1種の溶媒からなり、該溶媒の50〜100質量%が沸点100℃以下の溶媒からなることを特徴とする22又は46に記載の製造方法、又は20、21、若しくは23〜45のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
48.低屈折率層用塗布液の溶媒がケトン化合物及び/又はエステル化合物であることを特徴とする上記22、46、及び47のいずれかに記載の製造方法、又は18、19、及び21〜43のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
49.ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくとも前記ハードコート層及び/又は前記低屈折率層をワイアーバーコート法によって塗工することを特徴とする上記22及び46〜48のいずれかに記載の製造方法、又は上記20、21、23〜45のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
50.ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくとも前記ハードコート層及び/又は前記低屈折率層をマイクログラビアコート法によって塗工することを特徴とする上記22及び46〜48のいずれかに記載の製造方法、又は上記20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
51.ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくとも前記ハードコート層及び/又は前記低屈折率層をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、グラビアコート法、及びエクストルージョンコート法のいずれかによって塗工することを特徴とする上記22及び46〜48のいずれかに記載の製造方法、又は20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜の製造方法。
52.上記20、21、23〜45のいずれかに記載の反射防止膜、又は22及び44〜51のいずれかに記載の製造方法により製造した反射防止膜を、偏光層の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
53.2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜、又は22及び46〜51のいずれかに記載の製造方法により製造した反射防止膜の反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該膜の裏面を鹸化処理した反射防止膜を少なくとも片面の表面保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板。
54.2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、上記20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜、又は上記22及び46〜51のいずれかに記載の製造方法により製造した反射防止膜の反射防止層の形成前又は後に、アルカリ液を該反射防止膜の反射防止層を形成する面の反対側の面に塗布し、加熱、水洗及び/又は中和することで、該膜の裏面だけを鹸化処理した反射防止膜を、少なくとも片面の表面保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板。
55.反射防止膜を片側の表面保護フィルムに用い、反対側の表面保護フィルムとして光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムを用い、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる負の複屈折を有する層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該表面保護フィルム面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と該表面保護フィルム面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化していることを特徴とする上記52〜54のいずれかに記載の偏光板。
56.上記52〜55のいずれかに記載の偏光板を低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とするディスプレイ装置。
57.上記20、21、及び23〜45のいずれかに記載の反射防止膜、又は上記22及び46〜51のいずれかに記載の製造方法により製造した反射防止膜を低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とする偏光板を持たないディスプレイ装置。
58.上記52〜53のいずれかに記載の偏光板を少なくとも1枚有するTN、STN、VA、IPS、OCBのモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置。
59.上記52〜55のいずれかに記載の偏光板を少なくとも1枚有する透過型又は半透過型の液晶表示装置であり、視認側とは反対側の偏光板とバックライトとの間に、偏光選択層を有する偏光分離フィルムを配置することを特徴とする液晶表示装置。
60.52〜55のいずれかに記載の偏光板の反射防止膜とは反対側の透明保護フィルムに、λ/4板を配置したことを特徴とする、有機ELディスプレイ用表面保護板。
更に、本発明の反射防止膜を用いた偏光板やディスプレイ装置は十分な反射防止性能を有し視認性に優れる。
一般式[1]においてR0は、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましく、8であることが最も好ましい。
また、ポリマー(1)中に一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
一般式[2]において、R1は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは酸素原子、硫黄原子又は‐N(R2)‐を表し、酸素原子又は‐N(R2)‐がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。mは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。nは1〜18の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましく、8であることが最も好ましい。
また、ポリマー(2)中に一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
また、ポリマー(3)中に一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
また、ポリマー(4)中に一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなど。
以下に上記ポリ(アルキレンオキシ)基について説明する。
前記のポリ(オキシアルキレン)基中のオキシアルキレン単位はポリ(オキシプロピレン)におけるように同一であってもよく、また互いに異なる2種以上のオキシアルキレンが不規則に分布されたものであっても良く、直鎖又は分岐状のオキシプロピレン又はオキシエチレン単位であったり、又は直鎖又は分岐状のオキシプロピレン単位のブロック及びオキシエチレン単位のブロックのように存在するものであっても良い。
このポリ(オキシアルキレン)鎖は1つ又はそれ以上の連結基(例えば−CONH−Ph−NHCO−、−S−など:Phはフェニレン基を表す)で連結されたものも含むことができる。連結基が3価以上の原子価を有する場合には、分岐状のオキシアルキレン単位が得られる。
また、ポリ(オキシアルキレン)基を有する重合単位を含む共重合体を本発明に用いる場合には、ポリ(オキシアルキレン)基の分子量は250〜3000が適当である。
ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)“カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、”トリトン“[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))及びP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリド又は無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。別に、公知の方法で製造したポリ(オキシアルキレン)ジアクリレート等を用いることもできる。
本発明で好ましく用いられる一般式[3]で表されるモノマーの重合単位の量は、該フッ素ポリマーを構成する全重合単位に基づいて、50質量%より少ないことが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることが更に好ましい。
組成物に対するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(1)〜(4)の添加量は、0.001質量%〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜1.0質量%である。
また、組成物に対するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(1)〜(4)のフッ素原子の質量の割合は、0.0003質量%〜3.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.003質量%〜0.6質量%である。
組成物は、面状向上の点から、水の含率が30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の組成物は、用途に応じて、バインダー、無機フィラー、分散安定剤など、必要な成分を含有することができる。一種あるいは複数種の塗布組成物を支持体上に塗布して機能性層を一層以上形成し、例えば反射防止膜や偏光板とすることができる。
なお、本明細書において、積層体は、流延法などにより各層を一度に成形したものを意味し、フィルムは支持体上に各層を順に形成したものを意味する。
図1は、本発明の反射防止膜の一例を模式的に示す概略断面図であり、この場合、反射防止膜1は、透明支持体2、ハードコート層3、防眩性ハードコート層4、そして屈折率が最も低い低屈折率層5の順序の層構成を有する。防眩性ハードコート層4には、微粒子6が分散しており、防眩性ハードコート層4の微粒子6以外の部分の素材の屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層5の屈折率は1.38〜1.49の範囲にあることが好ましい。本発明においてはハードコート層はこのように防眩性を有するハードコート層でもよいし、防眩性を有しないハードコート層でもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層乃至4層で構成されていてもよい。従って図1に示したハードコート層3は必須ではないがフィルム強度付与のために塗設されることが好ましい。同様に低屈折率層においても1層で構成されていてもよいし、複数層で構成されていてもよい。
一般式[4]
(R10)m‐Si(X)4-m
上記一般式[4]においてR10は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としては好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t‐ブチル、sec‐ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
mは1〜3の整数を表す。R10若しくはXが複数存在するとき、複数のR10若しくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1、2であり、特に好ましくは1である。
R10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基若しくは置換アリール基であることが好ましく、中でも、下記一般式[5]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Yは単結合若しくは-COO-、-CONH-又は-O-を表し、単結合、-COO-、-CONH-が好ましく、単結合、-COO-が更に好ましく、-COO-が特に好ましい。
R10は、一般式[3]と同義であり、置換若しくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[4]と同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物における分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが更に好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
また、オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物における分子量300以上の成分のうち、分子量1000〜20000の成分は80質量%以上であることが好ましい。80質量%未満であると、そのようなオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物を含有する硬化性組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が劣る場合がある。
分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
この時、Siの3つの結合が‐OSiの形で縮合している場合(T3)、Siの2つの結合が‐OSiの形で縮合している場合(T2)の比率(T3/T2)を縮合度とした場合に、オルガノシランの加水分解物の縮合度は0.5〜3.5が好ましく、0.5〜3.0がより好ましく、0.7〜2.5がとくに好ましい。
0.5より小さいと加水分解や縮合が十分でなく、モノマー成分が増えるため硬化が十分でなく、3.5より大きいと加水分解や縮合が進みすぎ、加水分解可能な基が消費されてしまうため、バインダーポリマー、樹脂基板、無機微粒子などの相互作用が低下してしまい、これらを用いても効果が得られにくくなる。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜70質量%の範囲である。
加水分解性基がアルコキシドで酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
本発明の反射防止膜では膜強度を向上させる目的で防眩性ハードコート層の下層に更に防眩性ではないハードコート層を設けることもできる。
本発明に使用する無機フィラー形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、棒状、不定形、中空等のいずれも好ましく用いられるが、球状が分散性がよくより好ましい。また、無機フィラーの種類についても特に制限されるものではないが、非晶質のものが好ましく用いられ、金属の酸化物、窒化物、硫化物又はハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物が特に好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、Pb及びNi等が挙げられる。無機フィラーの平均粒子径は、透明な硬化膜を得るためには、0.001〜0.2μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.1μm、更に好ましくは0.001〜0.06μmである。ここで、粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
本発明における無機フィラーの使用方法は特に制限されるものではないが、例えば、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水若しくは有機溶媒に分散した状態で使用することもできる。
各層に適する無機フィラーについてはそれぞれ後述する。
防眩性ハードコート層はハードコート性を付与するためのバインダー、防眩性を付与するためのマット粒子、及び高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラー、から形成される。
バインダーとしては、飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。
また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子及び無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線又は熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製の商品名イルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n‐ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ‐n‐ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2‐アゾービスーイソブチロニトリル、2‐アゾービスープロピオニトリル、2‐アゾ‐ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p‐ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子及び無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線又は熱による重合反応により硬化して反射防止膜を形成することができる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリメタクリル酸メチルのような架橋アクリル粒子が好ましい。
また反対に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた防眩性ハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
防眩性ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO(インジウム‐スズ酸化物)とSiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
平滑なハードコート層に用いる素材は防眩性付与のためのマット粒子を用いないこと以外は防眩性ハードコート層において挙げたものと同様であり、バインダーと無機フィラーから形成される。
本発明の平滑なハードコート層では、無機フィラーとしては、・BR>ュ度及び汎用性の点でシリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。また該無機フィラーは表面をシランカップリング処理されることが好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。平滑なハードコート層の膜厚は1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
本発明の反射防止膜の低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.38〜1.49であり、より好ましくは1.38〜1.44の範囲にある。
更に、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
なお、上記数式(I)を満たすとは、上記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
本発明の低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含む。含フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.15、水に対する接触角90〜120°の熱又は電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。本発明の低屈折率層には膜強度向上のための無機フィラーを用いることもできる。
該無機フィラーの平均粒径は0.001〜0.2μmであることが好ましく、0.001〜0.05μmであることがより好ましい。フィラーの粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましい。
該無機フィラーの添加量は、低屈折率層の全質量の5〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であると更に好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
該無機フィラーは表面処理を施して用いることも好ましい。表面処理法としてはプラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とカップリング剤を使用する化学的表面処理があるが、カップリング剤の使用が好ましい。カップリング剤としては、本発明に係る前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物を含むアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。該無機フィラーがシリカの場合はシランカップリング処理が特に有効である。
発明に係る前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いてもよいが、該層塗布液調製時に更に添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
前記塗布液の溶媒組成としては、単独及び混合のいずれでもよく、全溶媒中、沸点が100℃以下の溶媒が50〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは100質量%である。沸点が100℃以下の溶媒が50質量%以下であると、乾燥速度が非常に遅くなり、塗布面状が悪化し、塗布膜厚にもムラが生じるため、反射率などの光学特性も悪化するおそれがあり好ましいものではない。本発明では、沸点が100℃以下の溶媒を多く含む塗布液を用いる事により、この問題を解決することができる。
トリアセチルセルロースは、単層又は複数の層からなる。単層のトリアセチルセルロースは、特開平7‐11055号等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作成され、後者の複数の層からなるトリアセチルセルロースは、公開特許公報の特開昭61‐94725号、特公昭62‐43846号等で開示されている、いわゆる共流延法により作成される。すなわち、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベルト又は回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する際、単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
本発明の反射防止膜を液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。該透明支持体がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止膜をそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏向膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏向膜と接着させる際に偏向膜と反射防止膜の間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。
鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、ハードコート層を形成するための塗布液を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書参照)により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法が特に好ましい。その後、光照射あるいは加熱して、防眩性ハードコート層を形成するためのモノマーを重合して硬化する。これによりハードコート層が形成される。
ここで、必要であればハードコート層を複数層とし、防眩性ハードコート層塗布の前に同様な方法で平滑なハードコート層塗布及び硬化を行うことができる。
次に、同様にして低屈折率層を形成するための塗布液をハードコート層上に塗布し、光照射あるいは加熱し低屈折率層が形成される。このようにして、本発明の反射防止膜が得られる。
このようにして形成された本発明の反射防止膜は、ヘイズ値が好ましくは3〜50%、より好ましくは4〜45%の範囲にあり、そして450nmから650nmの波長の光に対する平均反射率が好ましくは2.2%以下、より好ましくは1.9%以下である。
本発明の反射防止膜が上記範囲のヘイズ値及び平均反射率であることにより、透過画像の劣化を伴なわずに良好な防眩性及び反射防止性が得られる。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
偏光膜の延伸方法は特開2002−86554号公報に記載の方法に従うことができる。
ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)、電界制御複屈折(Electrically Controlled Birefigence(ECB))等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.6kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後パーフルオロオレフィン共重合体(B)を21g得た。得られたポリマーの屈折率は1.424であった。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン161質量部、シュウ酸 123質量部、エタノール415質量部を加え混合したのち、70℃で4時間反応させた後、室温まで冷却し、本発明の硬化性組成物として透明なゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン161質量部、シュウ酸 80質量部、エタノール415質量部を加え混合したのち、70℃で4時間反応させた後室温まで冷却し、エタノール43質量部加え、本発明の硬化性組成物として透明なゾル液bを得た。質量平均分子量は1400であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)135gをメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50%の混合溶媒196gに溶解した。得られた溶液に、シリカゾル30%メチルエチルケトン分散物(MEK−ST、日産化学社製、平均粒径約15nm)300g、ゾル液aを25gを加え、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5g及び光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.0gを82gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。
市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7401、JSR社製、固形分濃度48%、ジルコニア含率71%、平均粒径約20nm)250gにジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)105g、ゾル液a
25.8g、フッ素系ポリマー(P−8) 0.4g添加、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5g、をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50%の混合溶媒384gで希釈した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
上記、防眩性ハードコート層用塗布液Aのゾル液aを、ゾル液bに変更した以外は、添加量も含め上記塗布液Aと全く同様にして防眩性ハードコート層用塗布液Bを調製した。
市販シリカ含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7526の溶剤組成変更品、JSR社製、固形分濃度約72%、固形分中SiO2含率約38%、重合性モノマー、重合開始剤含有)272g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91g、オルガノシランのゾル組成物a 19.6g、フッ素系ポリマー(P−77) 0.26g添加を加え、更にメチルイソブチルケトン26.2gで希釈した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.52であった。更にこの溶液に平均粒径3.5μmの分級強化架橋ポリスチレン粒子(商品名:SXS−350H、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を44g加え、次いで、平均粒径5μmの分級強化架橋ポリスチレン粒子(商品名:SXS−500H、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散した分散液を57.8g加えた。この混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層の塗布液Cを調製した。
市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR社製、固形分濃度約61.2%、固形分中ZrO2含率約69.6%、重合性モノマー、重合開始剤含有)95.2g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)28.8g、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)を9.6gを加え、フッ素系ポリマー(P−129) 0.1g添加、更にメチルイソブチルケトン20.1g、メチルエチルケトン5.4gで希釈した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.62であった。更にこの溶液に平均粒径1.5μmのシリカ粒子(商品名:シーホスターKE−P150、日本触媒(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を29.5g加え、次いで、平均粒径3μmの分級強化架橋ポリメタアクリル酸メチル粒子(商品名:MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散し、1週間経時させた分散液を11.3g加えた。
上記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩性ハードコート層の塗布液Dを調製した。
EO付きトリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:ビスコート#360、大阪有機化学工業製)80g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(商品名:DPHA、日本化薬(株)製)21gと市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR社製、固形分濃度61%、固形分中ジルコニア含率68%、平均粒径20nm、重合性モノマー、重合開始剤含有)327g、にメチルイソブチルケトン16.0g、メチルエチルケトン19.8g、フッ素系ポリマー(P−50) 0.27g添加を加え、混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.70であった。
更にこの溶液に平均粒径3μmの分級強化架橋ポリメタアクリル酸メチル粒子(商品名:MXS−300、総研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散した分散液30.4g加え、次いで平均粒径5μmの分級強化架橋ポリメタアクリル酸メチル粒子(商品名:MXS−500、総研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を48.5g加えた。最後にオルガノシランのゾル組成物aを9.8g添加した後、ディスパーにて20分攪拌し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層の塗布液Eを調製した。
上記、防眩性ハードコート層用塗布液Dに、フッ素系ポリマー(P−129)の代わりに(P−93) 0.27g添加した以外は、添加量も含め上記塗布液Dと全く同様にして防眩性ハードコート層用塗布液Fを調製した。
上記、防眩性ハードコート層用塗布液Dに、フッ素系ポリマー(P−129)の代わりに(R−1)(下記構造)0.27g添加した以外は、添加量も含め上記塗布液Dと全く同様にして防眩性ハードコート層用塗布液Gを調製した。
上記、防眩性ハードコート層用塗布液Dに、フッ素系ポリマー(P−129)の代わりに(R−2)(下記構造)0.27g添加した以外は、添加量も含め上記塗布液Dと全く同様にして防眩性ハードコート層用塗布液Hを調製した。
上記、防眩性ハードコート層用塗布液Dに、フッ素系ポリマー(P−129)を未添加にした以外は、添加量も含め上記塗布液Dと全く同様にして防眩性ハードコート層用塗布液Iを調製した。
パーフルオロオレフィン共重合体(A)の15.2gに反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)0.76g、メチルエチルケトン293g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Aを調製した。
パーフルオロオレフィン共重合体(B)の15.2gに反応性シリコーンX−22−169AS(商品名;信越化学工業社製)0.3g、光重合開始剤(UVI6990、商品名、ユニオンカーバイド社製)1.52g、メチルエチルケトン293g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Bを調製した。
パーフルオロオレフィン共重合体(A)の15.2gに反応性シリコーンX−22−164B(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液a 7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバガイギー社製)0.76g、メチルエチルケトン301g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Cを調製した。
パーフルオロオレフィン共重合体(B)の15.2gに反応性シリコーンX−22−169AS(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液b 7.3g、光重合開始剤(UVI6990、ユニオンカーバイド社製)1.52g、メチルエチルケトン288g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Dを調製した。
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)177gにシリカゾル(MEK−ST、平均粒径10〜20nm、固形分濃度30%、日産化学社製)6.9g、粒径違いのシリカゾル(MEK−ST−L、平均粒径約50nm、固形分濃度30%、日産化学社製)8.3g、ゾル液a 7.3g及びメチルエチルケトン90g、シクロヘキサノン9.0gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液Eを調製した。
ハードコート層A、防眩性ハードコート層A〜I、低屈折率層A〜Eをそれぞれを以下のようにして塗布し、反射防止膜試料を得た。積層の組み合わせは表1に記載のとおりに行った。
(1)ハードコート層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TAC−TD80U、商品名、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度10m/分の条件で塗布し、120℃、2分で乾燥の後、酸素濃度0.1%以下の窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ2.5μmのハードコート層を形成し、巻き取った。
(2)ハードコート層の高速塗設
高速塗設は、グラビアロール回転数90rpm、搬送速度を30m/分の条件で塗布したこと以外は(1)と同じ条件で行った。
該ハードコート層を塗設したトリアセチルセルロースフイルムを再び巻き出して、上記の防眩性ハードコート層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度5m/分の条件で塗布し、120℃で4分乾燥の後、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ厚さ1.5〜4.5μmの防眩性ハードコート層を形成し、巻き取った。
(4)防眩性ハードコート層の高速塗設
高速塗設は、グラビアロール回転数90rpm、搬送速度を15m/分の条件で塗布したこと以外は(3)と同じ条件で行った。
該ハードコート層と防眩性ハードコート層を塗設したトリアセチルセルロースフイルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度10m/分の条件で塗布し、80℃で2分乾燥の後、更に窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、120℃で2.5分乾燥の後、更に140℃で8〜20分乾燥させて、厚さ0.096μmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。
(1)平均反射率
分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分球平均反射率を用いた。
(2)ヘイズ
得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(商品名、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて
n=5の評価において傷が全く認められない :○
n=5の評価において傷が1又は2つ :△
n=5の評価において傷が3つ以上 :×
(4)接触角、指紋付着性評価
表面の耐汚染性の指標として、反射防止膜を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、水に対する接触角を測定した。またこのサンプル表面に指紋を付着させてから、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のように指紋付着性を評価した。
指紋が完全に拭き取れる :○
指紋がやや見える :△
指紋がほとんど拭き取れない :×
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON‐14(商品名)動摩擦測定機により5mmステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(6)防眩性評価
作成した防眩性フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
蛍光灯の輪郭が全くわからない :◎
蛍光灯の輪郭がわずかにわかる :○
蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる :△
蛍光灯がほとんどぼけない :×
(7)ギラツキ評価
作成した防眩性フィルムにルーバーありの蛍光灯拡散光を映し、表面のギラツキを以下の基準で評価した。
ほとんどギラツキが見られない :○
わずかにギラツキがある :△
目で識別できるサイズのギラツキがある :×
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
試料調湿条件: 25℃、60%RH、2時間以上。
こすり材: 試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:200g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:20往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。 :◎
非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。 :○
弱い傷が見える。 :○△
中程度の傷が見える。 :△
一目見ただけで強い傷が見える。 :×
ラビングテスターのこすり先端部に綿棒を固定し、平滑皿中で試料の上下をクリップで固定し、室温25℃で、試料と綿棒を25℃の水に浸し、綿棒に500gの荷重をかけて、こすり回数を変えてこすりテストを行った。こすり条件は以下のとおり。
こすり距離(片道):1cm、こすり速度:約2往復/秒
こすり終えた試料を観察して、膜剥がれが起こった回数で、こすり耐性を以下のように評価した。
0〜10往復で膜剥がれ :×
10〜30往復で膜剥がれ :×△
30〜50往復で膜剥がれ :△
50〜100往復で膜剥がれ :○△
100〜150往復で膜剥がれ :○
150往復でも膜剥がれなし :◎
塗布面側を上にして、裏面側から上記蛍光灯を照射して、透過目視面検にてハジキ、ブツ等の点欠陥、塗布ムラ、乾燥ムラ等の面状ムラの発生頻度について、10m2だけ検査し、その値を10で割って1m2当たりの面状ムラの数を算出した。
また試料について面状ムラの数を数えた結果、防眩性ハードコート層にフッ素系ポリマーを含有することにより塗布面状ムラ低減する傾向が見られたが、フルオロ脂肪族基含有モノマーの共重合量が少ないポリマーR−1を用いた比較試料106、112では面状ムラ低減効果が見られなかった。
本発明のフルオロ脂肪族基含有ポリマーはスチールウール耐性、綿棒擦りもほとんど悪化しなかった。それに対して比較試料106、107、112、113ではスチールウール耐性、綿棒擦りが大幅に悪化しており、本発明のフルオロ脂肪族基含有ポリマーの添加により、面状ムラ防止と耐擦傷性を両立しているのは明らかである。指紋付着性、防眩性、及びギラツキ以外の評価結果について表2に示す。
更に同様にして、上記本発明の試料を偏光子、透明支持体及びディスコティック液晶の配向を固定した光学異方層から構成される光学補償フィルム、並びに光散乱層からなる偏光板と組み合わせて液晶表示装置を作製して視認性を評価したところ、外光の映り込みがなく、優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた性能を有していた。なお上記試料はいずれも特開平9−73081号公報の実施例に記載のワイアーバーコート法、またエクストルージョンコート法によっても製造することができ、上記マイクログラビア法で製造したフィルムと同等の性能を示すフィムルを得ることができた。
前記試料101〜105、109〜111について、以下の処理を行った。
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、50℃に保温した。0.01Nの希硫酸水溶液を調製した。
作製した反射防止膜を上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。更に反射防止膜を100℃で十分に乾燥させた。
このようにして、鹸化処理済み反射防止膜を作製した。
鹸化処理過程での膜の剥がれ評価した。100枚の反射防止膜を鹸化処理した。鹸化処理前と鹸化処理後における膜の剥がれの有無を目視で観察し、下記の3段階評価を行った。
100枚全てにおいて剥がれが全く認められなかったもの:〇
剥がれが認められたものが5枚以内のもの :△
剥がれが認められたものが5枚をこえたもの :×
(12)碁盤目密着の評価
偏光板用保護フィルム(反射防止膜)を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。偏光板用保護フィルムの最外層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れ、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。膜の剥がれの有無を目視で観察し、下記の3段階評価を行った。
100枡において剥がれが全く認められなかったもの:〇
剥がれが認められたものが2枡以内のもの :△
剥がれが認められたものが2枡をこえたもの :×
また、本発明の試料について、防眩性ハードコート層及び低屈折率層とは支持体を挟んだ反対側面の水に対する接触角を測定したところ、いずれの試料においても40°から30°の範囲に入っていた。
実施例1の本発明の試料101〜105、109〜111の鹸化処理したフィルムを特開2002−86554号公報の実施例1に記載の方法を用いて作製した45°吸収軸が傾斜した偏光板と貼り合わせて防眩性反射防止膜付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止膜の低屈折率層が最表層になるように配置した液晶表示装置を作製したところ、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有していた。
特開2002−86554号公報の45°吸収軸が傾斜した偏光板作製する実施例において、「富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm)」の代わりに、前記実施例1の本発明の試料101〜105、109〜111の鹸化処理したフィルムを張り合わせて防眩性反射防止膜付き偏光板を作製した。この偏光板を用いて反射防止膜の低屈折率層が最表層になるように配置した液晶表示装置を作製したところ、実施例2同様に、外光の映り込みがないために優れたコントラストが得られ、防眩性により反射像が目立たず優れた視認性を有していた。
実施例1で作製した本発明の反射防止膜試料101〜105、109〜111を、1.5モル/リットル、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗して試料の裏面のトリアセチルセルロース面を鹸化処理した。ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の一方の面に、前記の反射防止膜試料の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を、前記偏光子の他方の面に別途鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルム(TAC‐TD80U、富士写真フイルム(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を低屈折率層側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD‐BEF(商品名)をバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
実施例1で作製した本発明の反射防止膜試料101〜105、109〜111を低屈折率層が最表層になるように貼りつけた透過型TN液晶セルの視視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムと、バックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムに、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA‐12B、商品名、富士写真フイルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、かつ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
実施例1で作製した本発明の反射防止膜試料101〜105、109〜111を、低屈折率層が最表層になるように有機EL表示装置の表面のガラスに粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られえた。
実施例1で作製した本発明の反射防止膜試料101〜105、109〜111を用いて、低屈折率層が最表層になるように片面反射防止膜付き偏光板を作製した。この偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせて、得られた偏光板を低屈折率層が最表層になるように有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射及び、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 防眩性ハードコート層
5 低屈折率層
6 マット粒子
Claims (15)
- 前記塗布組成物が、一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量(ポリマー全質量に対するフッ素原子の質量%)が30%以上であるポリマー(3)を含有する塗布組成物であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
- 前記塗布組成物が、一般式[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位を含み、かつフッ素原子含有量が30%以上であるポリマー(4)を含有する塗布組成物であることを特徴とする請求項2に記載のフィルム。
- 前記ポリマー(1)〜(4)において、前記一般式[1]又は[2]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の含有量が全重合単位の70質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- 前記一般式[1]又は[2]のnが6以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
- 前記塗布組成物において、前記ポリマー(1)〜(4)の添加量が0.001質量%〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
- 前記塗布組成物において、前記ポリマー(1)〜(4)の添加量が0.001質量%〜1.0質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
- 前記塗布組成物から形成された層のうち少なくとも一層がハードコート層であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム。
- 前記塗布組成物から形成された層のうち少なくとも一層が防眩性ハードコート層であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のフィルム。
- 前記ハードコート層又は防眩性ハードコート層上に、低屈折率層を有することを特徴とする請求項9又は10に記載のフィルム。
- 前記低屈折率層が前記最上層であることを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
- 請求項11又は12に記載のフィルムを、偏光層の2枚の保護フィルムのうちの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
- 請求項13に記載の偏光板を低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とするディスプレイ装置。
- 請求項11又は12に記載のフィルムを低屈折率層が視認側になるように配置したことを特徴とする偏光板を持たないディスプレイ装置。
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