本発明の帯電部材は、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層の上に形成された表面層を有するものである。
本発明の帯電部材の最も簡単な構成は、支持体上に導電性弾性層および表面層の2層を設けた構成であるが、支持体と導電性弾性層との間や導電性弾性層と表面層との間に別の層を1つまたは2つ以上設けてもよい。
図1に、本発明の帯電部材の構成の一例を示す。図1中、101は支持体であり、102は導電性弾性層であり、103は表面層である。
帯電部材の支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金またはニッケルで形成されている金属性(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面には、耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理などの表面処理を施してもよい。
導電性弾性層には、従来の帯電部材の弾性層(導電性弾性層)に用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体を1種または2種以上用いることができる。
ゴムとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
ウレタンゴム,シリコーンゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,エチレン−プロピレンゴム,ポリノルボルネンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレンゴム,アクリロニトリルゴム,エピクロルヒドリンゴム,アルキルエーテルゴムなど。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマーおよびオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製「ラバロン」、クラレ(株)製「セプトンコンパウンド」などが挙げられる。オレフィン系エラストマーの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の「サーモラン」、三井石油化学工業(株)製の「ミラストマー」、住友化学工業(株)製の「住友TPE」およびアドバンストエラストマーシステムズ社製の「サントプレーン」などが挙げられる。
また、導電性弾性層には、導電剤を適宜使用することによって、その導電性を所定の値にすることができる。導電性弾性層の電気抵抗は、導電剤の種類および使用量を適宜選択することによって調整することができ、その電気抵抗の好適な範囲は102Ω以上108Ω以下であり、より好適な範囲は103Ω以上106Ω以下である。
導電性弾性層に用いられる導電剤としては、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、帯電防止剤、電解質などが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ラウリルトリメチルアンモニウム,ステアリルトリメチルアンモニウム,オクタドデシルトリメチルアンモニウム,ドデシルトリメチルアンモニウム,ヘキサデシルトリメチルアンモニウム,変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩。
また、第四級アンモニウム塩としては、例えば、以下のものが挙げられる。
過塩素酸塩,塩素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,エトサルフェート塩,ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩や塩化ベンジル塩など)。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン性帯電防止剤などが挙げられる。
電解質としては、例えば、周期律表第1族の金属(LiやNaやKなど)の塩(第四級アンモニウム塩など)が挙げられる。周期律表第1族の金属の塩としては、例えば、LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCNおよびNaClなどが挙げられる。
また、導電性弾性層用の導電剤として、周期律表第2族の金属(CaやBaなど)の塩(Ca(ClO4)2など)やこれから誘導される帯電防止剤を用いることもできる。また、これらと多価アルコール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)もしくはその誘導体との錯体や、これらとモノオール(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)との錯体などのイオン導電性導電剤を用いることもできる。
また、導電性弾性層用の導電剤として、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、および、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンを用いることもできる。ゴム用カーボンとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
Super Abrasion Furnace(SAF:超耐摩耗性),Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF:準超耐摩耗性),High Abrasion Furnace(HAF:高耐摩耗性),Fast Extruding Furnace(FEF:良押し出し性),General Purpose Furnace(GPF:汎用性),Semi Rein Forcing Furnace(SRF:中補強性),Fine Thermal(FT:微粒熱分解),Medium Thermal(MT:中粒熱分解)。
また、導電性弾性層用の導電剤として、天然グラファイトおよび人造グラファイトなどのグラファイトを用いることもできる。
また、導電性弾性層用の導電剤として、酸化スズ、酸化チタンおよび酸化亜鉛などの金属酸化物や、ニッケル、銅、銀およびゲルマニウムなどの金属を用いることもできる。
さらに、導電性弾性層用の導電剤として、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリアセチレンなどの導電性ポリマーを用いることもできる。
また、導電性弾性層には、無機または有機の充填剤や架橋剤を添加してもよい。充填剤としては、例えば、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウムおよび硫酸アルミニウムなどが挙げられる。架橋剤としては、例えば、イオウ、過酸化物、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤などが挙げられる。
導電性弾性層の硬度は、帯電部材と被帯電体である電子写真感光体とを当接させた際の帯電部材の変形を抑制する観点から、アスカーCで70度以上であることが好ましく、特には73度以上であることがより好ましい。
また、電子写真感光体との当接ニップを十分に確保するために設けた導電性弾性層の機能を十分に発揮させる観点から、帯電部材の表面層の弾性率は2000MPa以下であることが好ましい。一方、一般的に、層の弾性率を小さくするほど架橋密度が低下する傾向にあるため、帯電部材の表面にブリードアウトした低分子量成分による電子写真感光体の表面の汚染を抑制する観点から、帯電部材の表面層の弾性率は100MPa以上であることが好ましい。
また、表面層の層厚は、厚いほど上記の低分子量成分のブリードアウトの抑制効果が大きいが、帯電部材の帯電能は層厚が厚いほど低下してしまう。したがって、これらを考慮すると本発明では、表面層の層厚は0.01μm以上1.00μm以下であることが好ましく、特には0.04μm以上0.60μm以下であることがより好ましい。
表面層の層厚は、帯電部材表面部位をカミソリで削ぎ、液体窒素につけ、破断させた後に、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子(株)製)で約20000倍の倍率で観察することにより確認した。
また、帯電部材の表面へのトナーや外添剤の固着を抑制する観点から、帯電部材の表面(すなわち表面層の表面)の粗さ(Rz)はJIS94で10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがより一層好ましい。
次に、本発明の帯電部材について説明する。
本発明の帯電部材は、上記のとおり、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層の上に形成された表面層を有する帯電部材において、該表面層が、アクリル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有することを特徴とする帯電部材である。
上記ポリシロキサンは、さらにアルキル基およびフェニル基を有するものが好ましい。このアルキル基としては、炭素数1以上21以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、デシル基がより好ましい。
上記ポリシロキサンがさらにアルキル基およびフェニル基を有する場合、上記ポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。また、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して4.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。また、ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
上記ポリシロキサンは、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得て、次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることができる。
すなわち、上記ポリシロキサンは、
(I)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させる縮合工程、
(II)工程(I)で得られた縮合物に、アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体である化合物を添加する工程、および
(III)該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(II)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程を経て得ることができる。
また、上記ポリシロキサンがさらにアルキル基およびフェニル基を有するものである場合、該ポリシロキサンは、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、フェニル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得て、次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることができる。
すなわち、上記ポリシロキサンがさらにアルキル基およびフェニル基を有するものである場合、該ポリシロキサンは、
(VII)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、フェニル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程、
(VIII)工程(VII)で得られた縮合物に、アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体である化合物を添加する工程、および
(IX)該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(VIII)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程を経て得ることができる。
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
上記式(2)中、R21は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。R22は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z21は、2価の有機基を示す。Rc21は、カチオン重合可能な基を示す。dは0以上2以下の整数であり、eは1以上3以下の整数であり、d+e=3である。
上記式(2)中のRc21のカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、および、ビニルエーテル基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性および反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。
上記式(2)中のR21およびR22の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(2)中のZ21の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基およびアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記式(2)中のeは3であることが好ましい。
上記式(2)中のdが2の場合、2個のR21は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(2)中のeが2または3の場合、2個または3個のR22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(2−1):グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(2−2):グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
(2−3):エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン
(2−4):エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン
本発明の帯電部材に用いられるポリシロキサンは、上述のとおり、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得て、次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させることによって得ることができる。特に、帯電部材の表面物性の制御の観点から、加水分解性縮合物を得る際には、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、さらに、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用することが好ましい。
すなわち、加水分解性縮合物を得る際に、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、上記ポリシロキサンは、
(IV)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程、
(V)工程(IV)で得られた加水分解性縮合物に、アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体である化合物を添加する工程、および
(VI)該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(V)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程を経て得ることができる。
上記式(1)中、R11は、フェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R12は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。aは0以上3以下の整数であり、bは1以上4以下の整数であり、a+b=4である。
上記式(1)中のR11のフェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1以上21以下の直鎖状のアルキル基が好ましい。
上記式(1)中のR11のアルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(1)中のaは1以上3以下の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。
上記式(1)中のbは1以上3以下の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
上記式(1)中のR12の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
上記式(1)中のaが2または3の場合、2個または3個のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1)中のbが2、3または4の場合、2個、3個または4個のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(1−1):テトラメトキシシラン
(1−2):テトラエトキシシラン
(1−3):テトラプロポキシシラン
(1−4):メチルトリメトキシシラン
(1−5):メチルトリエトキシシラン
(1−6):メチルトリプロポキシシラン
(1−7):エチルトリメトキシシラン
(1−8):エチルトリエトキシシラン
(1−9):エチルトリプロポキシシラン
(1−10):プロピルトリメトキシシラン
(1−11):プロピルトリエトキシシラン
(1−12):プロピルトリプロポキシシラン
(1−13):ヘキシルトリメトキシシラン
(1−14):ヘキシルトリエトキシシラン
(1−15):ヘキシルトリプロポキシシラン
(1−16):デシルトリメトキシシラン
(1−17):デシルトリエトキシシラン
(1−18):デシルトリプロポキシシラン
(1−19):フェニルトリメトキシシラン
(1−20):フェニルトリエトキシシラン
(1−21):フェニルトリプロポキシシラン
(1−22):ジフェニルジメトキシシラン
(1−23):ジフェニルジエトキシシラン
上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を使用する場合、上記式(1)中のaは1以上3以下の整数であることが好ましく、bは1以上3以下の整数であることが好ましい。さらに、a個のR11のうちの1個のR11は炭素数1以上21以下の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合には、上記式(1)中のR11がアルキル基のものと上記式(1)中のR11がフェニル基のものとを併用することが好ましい。アルキル基は帯電部材の表面物性の制御、最表面への化合物の偏析しやすさ、特に後述のγp+γhを小さくする観点から好ましい。しかしながら、感光ドラムの帯電1周目と帯電2周目以降の飽和電位(暗部電位VD1、VD2)との間に電位差が生じた場合、画像に影響を及ぼす。この画像への影響としては、文字や黒い図形などを静電潜像形成した直後に連続してハーフトーン画像を出力すると、このハーフトーン画像上にその前の文字や黒い図形などが微かに残像してしまう現象(ゴースト画像)となって現れる場合がある。フェニル基は、まだ明らかではないが上記電位差を小さくするというゴースト現象抑制の観点から好ましい。
以下、本発明の帯電部材の具体的な製造方法(上記ポリシロキサンを含有する表面層の具体的な形成方法)について説明する。
まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と必要に応じて上記の他の加水分解性シラン化合物とを水の存在下で加水分解反応させることによって加水分解性縮合物を得る。
加水分解反応の際、温度やpHなどを制御することで、所望の縮合度の加水分解性縮合物を得ることができる。
また、加水分解反応の際、加水分解反応の触媒として金属アルコキシドなどを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシドおよびジルコニアアルコキシドなど、ならびに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
また、加水分解性縮合物を得る際の、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物との配合割合は、以下になるようにすることが好ましい。得られるポリシロキサン中のアクリル基の含有量がポリシロキサン全質量に対して1.0質量%以上20.0質量%以下;オキシアルキレン基の含有量がポリシロキサン全質量に対して4.0質量%以上70.0質量%以下;シロキサン部分の含有量がポリシロキサン全質量に対して20.0質量%以上95.0質量%以下。
また、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合には、さらに、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物(MC)と上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物(M1)とのモル比(MC:M1)が10:1から1:10の範囲になるように配合することが好ましい。
次に、得られた加水分解性縮合物にアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体である化合物を添加して、表面層用塗布液をまず調製する。次いで、支持体および該支持体上に形成された導電性弾性層を有する部材(以下「導電性弾性部材」ともいう。)上に、調製した表面層用塗布液を塗布する。
シラン化合物を加水分解によって縮合する工程と別にブロック共重合体を添加する工程を設けたのは、上記該アクリル系単量体とシリコン系単量体とのブロック共重合体が最表面に偏析しやすくするためである。この理由は、合成中添加では、その偏析させる効果が小さくなり、トナーや外添剤等の付着に対して効果が極めて小さくなることを見出したためである。
さらに、上記アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体は、A−Bタイプのジブロック共重合体であるものが好ましい。
上記アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成された共重合体には、グラフトタイプのものも存在するが、最表面偏析効果としては効果が小さい。これは、ポリシロキサンとの相互作用の仕方が、特にグラフトタイプのものはポリマーミセル型(アクリル系単量体由来の部分はポリシロキサン側、シリコン系単量体由来部分は内側)となりやすいため、ポリシロキサン内部に取り込まれた構造となるためと推察している。
ここで、アクリル系単量体としては、例えば、下記式(3)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
(式(3)中、R31は水素原子またはメチル基を示す。R32は炭素数1以上20以下の直鎖もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数6以上12以下の脂環式炭化水素基を示す。nは10〜1000の整数である。)
より具体的には、アクリル系単量体としては以下のものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸〔「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」との総称、以下同じ〕,イタコン酸,クロトン酸,マレイン酸,フマル酸などのカルボン酸含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル,アリルアルコールなどの水酸基含有ビニル単量;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸n−プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸グリシジル,(メタ)アクリル酸n−ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸tert−ブチル,(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド,N−メチロール(メタ)アクリルアミドN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド,N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミド基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールエステル,(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコールエステル等の(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのエステル;スチレン,ビニルトルエン,α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;ギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエステルなどの第三級アミノ基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル,2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリル酸から誘導される第四級アンモニウム塩。
また、アクリル系単量体を重合して共重合体として用いても良く、アクリル−メタクリル共重合体や、下記式(4)で示される構造を有する化合物や下記式(5)で示される構造を有する化合物のようなアゾ結合やペルオキシ結合を有するポリマーとアクリル酸メチルとの共重合体などが挙げられる。
(式(4)中、mおよびn’は1以上10以下の整数である。)
(式(5)中、n’’は1以上10以下の整数である。)
また、シリコン系単量体としては、(CH3)3SiCl、(CH3)2SiCl2、(CH3)SiCl3、(CH3)HSiCl2、(C6H5)2SiCl2、C6H5Si(CH3)Cl2、C6H5SiCl3、(CH3)(CH2=CH)SiCl2などが挙げられる。
上記アクリル系単量体とシリコン系単量体との質量比率は、特に制限されるものではないが、アクリル系単量体/シリコン系単量体で5/95から95/5の範囲が好ましく、20/80から80/20の範囲がより好ましい。シリコン系単量体が少なすぎると十分なトナー付着性が得られない場合があり、アクリル系単量体が少なすぎるとポリシロキサン部分との相溶性が悪化(ミクロ相分離)する場合があるため、膜自身の不均一性が増すことで十分な耐久性が得られない場合がある。
上記アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体として、例えば、日本油脂社製のモディパーFSシリーズなどが挙げられる。
また、上記アクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたブロック共重合体の添加量としては、得られた加水分解性縮合物に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、特に2質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。添加量が少なすぎると、十分なトナーおよび外添剤等の低付着性を得ることができない場合があり、多すぎると、相溶性が悪化したり、コスト高になってしまう場合がある。
表面層用塗布液を調製する際には、塗布性向上のために、加水分解性縮合物以外に、適当な溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、例えば、エタノールおよび2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチルや、メチルエチルケトンなど、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。また、表面層用塗布液を導電性弾性部材上に塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布などを採用することができる。
次に、導電性弾性部材上に塗布された表面層用塗布液に活性エネルギー線を照射する。すると、表面層用塗布液に含まれる加水分解性縮合物中のカチオン重合可能な基は開裂し、これによって該加水分解性縮合物を架橋させることができる。加水分解性縮合物は架橋によって硬化する。
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
上記紫外線照射時に発生した熱により、導電性弾性部材の導電性弾性層が膨張し、その後冷却によって収縮した際、表面層がこの膨張・収縮に十分に追従しないと、シワやクラックが多い表面層になってしまう場合がある。しかしながら、架橋反応に紫外線を用いた場合、短時間(15分以内)に加水分解性縮合物を架橋することができるうえ、熱の発生も少ないため、表面層のシワやクラックが発生しにくい。
また、帯電部材の置かれる環境が温湿度の変化が急激な環境である場合、その温湿度の変化による導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従しないと、表面層にシワやクラックが発生することがある。しかしながら、架橋反応を熱の発生が少ない紫外線によって行えば、導電性弾性層と表面層との密着性が高まり、導電性弾性層の膨張・収縮に表面層が十分に追従できるようになるため、環境の温湿度の変化による表面層のシワやクラックも抑制することができる。
また、架橋反応を紫外線によって行えば、熱履歴による導電性弾性層の劣化を抑制することができるため、導電性弾性層の電気的特性の低下を抑制することもできる。
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150nm以上480nm以下の光を豊富に含む紫外線源が好適に用いられる。
なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などで行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができる。エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられる。
各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特に、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記式
で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製)や、下記式
で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)が好ましい。
次に、帯電部材の全表面自由エネルギー(γTotal)について説明する。
本発明の帯電部材の全表面自由エネルギー(γTotal)は、15mJ/m2を超えて30mJ/m2以下であることが好ましい。また、γTotal=γd+γp+γhのうち、特にγp+γh(極性項+水素結合項部分の和)は、0<γp+γh<5であることが好ましく、特に0<γp+γh<3であることがより好ましい。
γTotalが小さく、γp+γhも小さいほど、帯電部材の表面にトナーや外添剤が固着しにくくなる傾向にある。
帯電部材の全表面自由エネルギーは、表1に示す表面自由エネルギー3成分が既知のプローブ液体を使用して測定した。
γd:分散力項
γp:極性項
γh:水素結合項
具体的には、協和界面(株)製の接触角計CA−X ROLL型を使用し、帯電部材の表面/導電性弾性層の表面における上記各プローブ液体の接触角θを測定する。次いで、以下の北崎・畑の理論の式
を用い、表1のプローブ液体3種の表面自由エネルギーγL
d、γL
p、γL
hと、それぞれ求めた接触角θとから3つの式を作る。その3元連立方程式を解いて、γs
d、γs
p、γs
hを算出し、γs
d、γs
pおよびγs
hの和をもって帯電部材の全表面自由エネルギー(γ
Total)とした。
接触角θの詳細な測定条件は以下のとおりである。
測定:液滴法(真円フィッティング)
液量:1μl
着滴認識:自動
画像処理:アルゴリズム−無反射
イメージモード:フレーム
スレッシホールドレベル:自動
また、本発明において、帯電部材の表面層の体積抵抗率は、1010Ω・cm以上1016Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率が小さすぎると、繰り返し使用した際、良好な画像形成に必要な表面層の電気的特性が不十分となる場合がある。一方、体積抵抗率が大きすぎると、放電(電子写真感光体と帯電部材との当接部近傍での微少な放電)に時間がかかりすぎて、画像出力スピードが高速である場合に、電子写真感光体を十分に帯電することができなくなる場合がある。
本発明において、表面層の体積抵抗率とは、次のようにして測定して得られる値を意味する。
すなわち、測定対象の帯電部材の表面層を形成する際に用いた表面層用塗布液を、アルミニウムシート(厚さ100μm)上にスピンコータを用いて塗布する。これを測定対象の帯電部材の表面層を形成する際と同様の条件で硬化・乾燥させることによって、アルミニウムシート上に層を形成した。なお、アルミニウムシート上に表面層用塗布液を塗布する際の塗布量は、アルミニウムシート上に形成される層(硬化・乾燥後の層)の層厚が10μmになるように調整した。
このようにして上に層を形成したアルミニウムシートを4cm×4cmの正方形型に切断し、サンプル片の層側の表面に金蒸着を施した。
この金蒸着を施したサンプル片を、図2に示す構成の抵抗測定システムに組み込み、印加直流電圧10Vの条件で抵抗を測定した。測定して得られた抵抗をサンプル面積、厚みから体積抵抗率に換算し、測定対象の帯電部材の表面層の体積抵抗率とした。なお、図2中、201はサンプル片であり、202は抵抗測定装置(4140B PA METER/DC VOLTAGE SOURCE、HEWLETT PACKARD社製)であり、203は接触電極端子であり、204は平板電極である。
図3に、本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図3において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体としては、支持体および支持体上に形成された無機感光層もしくは有機感光層を有するものが一般的である。また、電子写真感光体は表面層として電荷注入層を有するものであってもよい。
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、本発明の帯電部材3(図3においてはローラー形状の帯電部材)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
帯電部材3による電子写真感光体1の表面の帯電の際、帯電部材3には、電圧印加手段(不図示)から直流電圧のみの電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。後述の実施例においては、帯電部材には直流電圧のみの電圧(−1000V)を印加した。また、後述の実施例において、暗部電位は−500V、明部電位は−120Vとした。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像(反転現像もしくは正規現像)されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送された転写材(紙など)Pに順次転写されていく。
現像手段としては、例えば、ジャンピング現像手段、接触現像手段および磁気ブラシ手段などが挙げられるが、トナーの飛散性改善の観点から、接触現像手段が好ましく、後述の実施例においては、接触現像手段を採用した。
また、転写ローラーとしては、支持体上に中抵抗に調整された弾性樹脂層を被覆したものが例示される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合、この画像形成物は、不図示の再循環搬送機構に導入されて転写部へ再導入される。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段が接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電部材3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図3では、電子写真感光体1、帯電部材3、現像手段5およびクリーニング手段7を一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
(実施例)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
エピクロルヒドリンゴム[商品名:エピクロマーCG105、ダイソー(株)製]100部、充填剤としてのMTカーボン[商品名:N990、Thermax社製]35部、導電剤としてのHAF[商品名:シースト3、東海カーボン(株)製]14部、導電性カーボン[商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン(株)製]4部、酸化亜鉛5部およびステアリン酸1部を、6Lニーダーで24分間混練した。この混練物に、加硫促進剤としてのジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド[商品名:ノクセラーDM−P、大内新興化学(株)製]1部、加硫促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィド[商品名:ノクセラーTS、大内新興化学(株)製]0.5部および加硫剤としてのイオウ1.2部を加え、オープンロールでさらに10分間混練することによって、混練物Iを得た。
次に、混練物Iを、ゴム押し出し機で、外径9.5mm、内径5.4mmの円筒形に押し出し、250mmの長さに裁断し、加硫缶で160℃の水蒸気で30分間1次加硫することによって、導電性弾性層用1次加硫チューブを得た。
一方、直径6mm、長さ256mmの円柱形の鋼製の支持体(表面をニッケルメッキ加工したもの)の円柱面軸方向中央を挟んで両側115.5mmまでの領域(あわせて軸方向幅231mmの領域)に、金属およびゴムを含む熱硬化性接着剤[商品名:メタロックU−20、(株)東洋化学研究所製]を塗布し、これを30分間80℃で乾燥させた後、さらに1時間120℃で乾燥させた。
この円柱面に熱硬化性接着剤を塗布し乾燥させた支持体を、導電性弾性層用1次加硫チューブの中に挿入し、その後、導電性弾性層用1次加硫チューブを160℃1時間で加熱した。この加熱によって、導電性弾性層用1次加硫チューブが2次加硫され、また、熱硬化性接着剤が硬化した。このようにして、表面研磨前の導電性弾性ローラー−1を得た。
次に、表面研磨前の導電性弾性ローラー−1の導電性弾性層部分(ゴム部分)の両端を切断し、導電性弾性層部分の軸方向幅を231mmとした後、導電性弾性層部分の表面を回転砥石で研磨する。その結果、端部直径8.26mm、中央部直径8.5mmのクラウン形状で、表面の十点平均粗さ(Rz)が3.5μmで、振れが20μmの導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)−2を得た。
十点平均粗さ(Rz)はJISB6101に準拠して測定した。
振れの測定は、ミツトヨ(株)製高精度レーザー測定機LSM−430Vを用いて行った。詳しくは、該測定機を用いて外径を測定し、最大外径値と最小外径値の差を外径差振れとし、この測定を5点で行い、5点の外径差振れの平均値を被測定物の振れとした。
得られた導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)−2の硬度は71度(アスカーC)であった。なお、本発明において、アスカーC硬度の測定は、測定対象の表面にアスカーC型硬度計(高分子計器(株)製)の押針を当接し、1000g加重の条件で行った。
次に表面層の処理剤を得るために、加水分解性シラン化合物としてのグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)[商品名:KBE−403、信越化学工業(株)製]35.64g(0.128mol)、フェニルトリエトキシシラン(PhTES)[商品名:KBE−103、信越化学工業(株)製]30.77g(0.128mol)、ヘキシルトリメトキシシラン(HeTMS)[商品名:KBM−3063、信越化学工業(株)製]13.21g(0.064mol)と、水25.93gおよびエタノール63.07gとを300mlのナスフラスコ中で混合した。この混合物を室温で30分攪拌し、次いで120℃に設定したオイルバス上で、24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物の縮合物I(固形分28質量%)を得た。
この縮合物Iの25gを2−ブタノール5g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液にアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたA−Bタイプのブロック共重合体−1[商品名:モディパーFS−710(固形分:15質量%、日本油脂(株)製)]5gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。
この縮合物含有アルコール溶液 100gに対して、光カチオン重合開始剤としての芳香族スルホニウム塩[商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製]をメチルイソブチルケトン(MIBK)で10%希釈したものを2g添加し、表面層用塗布液−1を調製した。
次に、導電性弾性ローラー(表面研磨後の導電性弾性ローラー)−2の導電性弾性層上に表面層用塗布液−1を、さらにエタノールで固形分0.5質量%となるように調整し、リング塗布した。これに254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cm2になるように照射し、表面層用塗布液−1を硬化(架橋反応による硬化)および乾燥させることによって表面層を形成した。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用いた。
紫外線の照射によってグリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ基が開裂し、表面層用塗布液−1の架橋反応が生じたと考えられる。
表面層用塗布液−1を硬化させた表面層の体積抵抗率は、1.3×1012Ω・cmであった。
以上のようにして作製した帯電ローラーを、帯電ローラー−Iとする。
作製した帯電ローラー−Iの全表面自由エネルギー(γTotal)は22.1mJ/m2であった。このときγp+γhは1.2mJ/m2であった。
・帯電ローラーの評価
帯電ローラー−Iとともにプロセスカートリッジに組み込んだ電子写真感光体は、支持体上に層厚14μmの有機感光層を形成してなる有機電子写真感光体である。また、この有機感光層は、支持体側から電荷発生層と変性ポリカーボネート(結着樹脂)を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型感光層であり、この電荷輸送層は電子写真感光体の表面層となっている。
上記と同様にして作製した帯電ローラー−Iを用いて、以下に示す出力画像評価を行った。
作製した帯電ローラー−Iと電子写真感光体とを、これらを一体に支持するプロセスカートリッジに組み込み、このプロセスカートリッジをA4紙縦出力用のレーザービームプ
リンターに装着した。このレーザービームプリンター(HP Color LaserJet 3600)の現像方式は反転現像方式であり、転写材の出力スピードは94mm/sであり、画像解像度は600dpiである。
なお、帯電ローラー−Iとともにプロセスカートリッジに組み込んだ電子写真感光体は、上記と同様のものである。
また、上記レーザービームプリンターに使用したトナーは、ワックス、荷電制御剤、色素、スチレン、ブチルアクリレートおよびエステルモノマーを含む重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られた粒子にシリカ微粒子および酸化チタン微粒子を外添してなるトナー粒子を含む、いわゆる重合トナーであって、そのガラス転移温度は63℃、体積平均粒子径は6μmである。
画像出力は、30℃/80%RH環境下で行い、A4紙にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を形成し、これを94mm/sのプロセススピードで3000枚出力した。
出力画像の評価は、1000枚ごとに出力画像を目視することによって行った。
評価基準は以下のとおりである。
AA:帯電ローラーの表面にトナーや外添剤が固着したことによる帯電ムラが出力画像上ないもの。
A:帯電ローラーの表面にトナーや外添剤が固着したことによる帯電ムラが出力画像上ほとんどないもの。
B:帯電ローラーの表面にトナーや外添剤が固着したことによる帯電ムラが出力画像上あるもの。
C:帯電ローラーの表面にトナーや外添剤が固着したことによる帯電ムラが出力画像上あり、その帯電ムラの程度が大きいもの。具体的には、白い縦スジ状の帯電ムラがあるもの。
以上の評価結果を表3に示す。
また、帯電ローラー−Iの表面層の組成分析を以下のとおりに行った。
10倍から1000倍の光学顕微鏡下、光学顕微鏡に設置した3次元粗微動マイクロマニピュレーター[(株)ナリシゲ製]を用い、上記と同様にして作製した帯電ローラーVの表面層から1mg程度の試料を採取した。
採取した試料を、TG−MS法(TG装置にMS装置を直結)により、加熱時に発生する気体の質量数ごとの濃度変化を、重量変化と同時に、温度の関数として追跡した。測定の条件を表2に示す。
上記条件で測定して得られたTG−DTG(Derivative thermogravimetry)曲線によると、室温付近から重量減少が認められ、また、400℃から500℃付近および500℃から600℃付近の2段階の顕著な重量減少が認められた。
ここで、400℃から600℃で発生する気体について、質量数(m/z)29、31、43、58、59のオキシアルキレン基(グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ基由来)が確認できた。さらに、その重量減少率から、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して17.10質量%であることがわかった。
また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、質量数(m/z)41、55、69などのアルキル基が確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン全質量に対して7.89質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、質量数(m/z)43,44、78のベンゼンや質量数(m/z)91(トルエン)などのフェニル基が確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン全質量に対して12.88質量%であった。また、質量数(m/z)87、100のアクリル基由来が確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、3.61質量%であることがわかった。
残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(17.10+12.88+7.89+3.61)=58.52質量%である。
(実施例2)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
次に表面層の処理剤として、実施例1で使用した加水分解性シラン化合物の縮合物Iを用い、この縮合物Iの25gを2−ブタノール5g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液にアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたA−Bタイプのブロック共重合体−2[商品名:モディパーFS−720(固形分:15質量%、日本油脂(株)製)]5gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。次いで、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−2を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−IIを作製した。
表面層用塗布液−2を硬化させた表面層の体積抵抗率は、4.3×1012Ω・cmであった。
作製した帯電ローラーIIの全表面自由エネルギー(γTotal)は21.3mJ/m2であった。このときγp+γhは0.5mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−IIの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して15.98質量%であることがわかった。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して9.06質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して12.86質量%であった。またポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、4.34質量%であることがわかった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(15.98+9.06+12.86+4.34)=57.76質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
(実施例3)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
次に表面層の処理剤として、実施例1で使用した加水分解性シラン化合物の縮合物Iを用い、この縮合物Iの25gを2−ブタノール7.5g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液にアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたA−Bタイプのブロック共重合体−3[商品名:モディパーFS−730(固形分:30質量%、日本油脂(株)製]2.5gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。次いで、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−3を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−IIIを作製した。
表面層用塗布液−3を硬化させた表面層の体積抵抗率は、6.8×1012Ω・cmであった。
作製した帯電ローラーIIIの全表面自由エネルギー(γTotal)は22.5mJ/m2であった。このときγp+γhは0.3mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−IIIの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して16.60質量%であることがわかった。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して8.11質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して14.69質量%であった。またポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、4.06質量%であることがわかった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(16.60+8.11+14.69+4.06)=56.54質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
(実施例4)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
次に表面層の処理剤として、実施例1で使用した加水分解性シラン化合物の縮合物Iを用い、この縮合物Iの25gをエタノール65gの溶剤に加え、得られた溶液にさらにアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたA−Bタイプのブロック共重合体−1[商品名:モディパーFS−710(固形分:15質量%、日本油脂(株)製)]10.0gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。次いで、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−4を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−IVを作製した。
表面層用塗布液−4を硬化させた表面層の体積抵抗率は、5.2×1013Ω・cmであった。
作製した帯電ローラー−IVの全表面自由エネルギー(γTotal)は21.1mJ/m2であった。このときγp+γhは0.3mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−IVの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して14.21質量%であることがわかった。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して6.94質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して12.57質量%であった。またポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、8.19質量%であることがわかった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(14.21+6.94+12.57+8.19)=58.09質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
(実施例5)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
次に表面層の処理剤として、実施例1で使用した加水分解性シラン化合物の縮合物Iを用い、この縮合物Iの25gを2−ブタノール8.35g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液にアクリル系単量体とシリコン系単量体のグラフトタイプの共重合体−2[商品名:LSI−60(固形分:45質量%、綜研化学(株)製)]1.65gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。次いで、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−5を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−Vを作製した。
表面層用塗布液−5を硬化させた表面層の体積抵抗率は、2.1×1013Ω・cmであった。
作製した帯電ローラー−Vの全表面自由エネルギー(γTotal)は25.6mJ/m2であった。このときγp+γhは3.5mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−Vの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して13.58質量%であることがわかった。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して6.64質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して12.02質量%であった。またポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、3.59質量%であることがわかった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(13.58+6.64+12.02+3.59)=64.17質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
(比較例1)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
次に表面層の処理剤として、実施例1で使用した加水分解性シラン化合物の縮合物Iを用い、この縮合物Iの25gを2−ブタノール10g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液に、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−6を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−VIを作製した。
表面層用塗布液−6を硬化させた表面層の体積抵抗率は、1.1×1012Ω・cmであった。
作製した帯電ローラー−VIの全表面自由エネルギー(γTotal)は33.2mJ/m2であった。このときγp+γhは8.5mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−VIの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して15.09質量%であることがわかった。また、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して7.37質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して13.36質量%であった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(15.09+7.37+13.36)=64.18質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
(比較例2)
導電性弾性層については、実施例1で使用したものを用いた。
表面層用塗布液−7は以下のようにして調製した。
すなわち、加水分解性シラン化合物としてのフェニルトリエトキシシラン(PhTES)[商品名:KBE−103、信越化学工業(株)製]61.54g(0.256mol)、ヘキシルトリメトキシシラン(HeTMS)[商品名:KBM−3063、信越化学工業(株)製]13.21g(0.064mol)と、水25.93gおよびエタノール45.95gとを混合した。この混合物を室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、加水分解性シラン化合物の縮合物−IIを得た。
この縮合物−IIの25gを2−ブタノール5g/エタノール65gの混合溶剤に加え、得られた溶液にアクリル系単量体およびシリコン系単量体から合成されたA−Bタイプのブロック共重合体−1[商品名:モディパーFS−710(固形分:15質量%、日本油脂(株)製)]5gを添加することによって、固形分7質量%の縮合物含有アルコール溶液を調製した。次いで、実施例1と同様に光カチオン重合開始剤を添加し、表面層用塗布液−7を得た。
その後の表面層の形成については、実施例1と同様な方法で形成し、帯電ローラー−VIIを作製した。
表面層の体積抵抗率は、表面層用塗布液−7がUV硬化しなかったため、測定できなかった。
作製した帯電ローラー−VIIの全表面自由エネルギー(γTotal)は25.6mJ/m2であった。このときγp+γhは3.5mJ/m2であった。
また、帯電ローラー−VIIの表面層の組成分析を、実施例1の帯電ローラー−Iの表面層の組成分析と同様に行ったところ、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して7.25質量%であった。また、ポリシロキサン中のフェニル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して26.72質量%であった。またポリシロキサン中のアクリル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して、3.41質量%であることがわかった。残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、よってポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して100.00−(7.25+26.72+3.41)=62.62質量%である。
画像出力と出力画像の評価を実施例1と同様に行い、その結果を表3に示す。
以上のとおり、本発明によれば、長期間の繰り返し使用によってもトナーやトナーに用いられる外添剤などが表面に固着しにくく、よってDC接触帯電方式に用いても、長期間安定した帯電および画像出力が可能な帯電部材を提供することができる。さらに、本発明によれば、該帯電部材を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。