JP4477192B2 - 導電性部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性部材に関し、さらに詳しくは静電式複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどの電子写真複写装置において使用される導電性ローラまたは導電性ベルトなどの導電性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電式複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真複写装置における帯電および転写のプロセスには、コロナチャージャーでコロナ放電を行って高電圧を印加させる非接触型の帯電方法あるいは転写方法が用いられている。しかしながら、この方法ではコロナ放電の際に有害なオゾンが発生するという問題がある。そこで近年、コロナ放電を使用しない接触型の帯電方法あるいは転写方法として、電圧を印加したゴムローラまたはベルト等の導電性部材を使用する帯電および転写が実用化されつつある。
【0003】
前記導電性部材に使用されるゴム材料は、通常、その電気抵抗Rが104〜1012[Ω.cm]程度であることが要求されている。この導電性を付与する方法としては、(1)ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロロヒドリンゴム等のイオン導電性ゴムを用いる方法と、(2)ゴム中に金属酸化物の粉末や カーボンブラック等の導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムを用いる方法がある。
【0004】
上記(2)の方法の場合、導電性充填剤を配合した電子導電性ゴムは、得られる導電性部材の電気抵抗値が印加電圧に依存し、一定の抵抗値を示さないという問題がある。特に、導電性充填剤としてカーボンブラックを使用した場合は、カーボンブラックの添加量とゴムの電気抵抗との間に一次関数的な関係が見られないことや、添加量のわずかな変化によって電気抵抗が急激に変化する領域があるため、電気抵抗の制御が非常に困難になる。またゴム中で導電性充填剤が均一に分散し難いことから、導電性部材の周方向や幅方向で抵抗値がバラツキという問題も生ずる。このような大きなバラツキがたとえ低減できたとしても、マイクロメーターオーダーの微小な範囲での電気抵抗のバラツキは依然として存在する。
【0005】
最近、デジタルカラー化等、高画質化技術がめざましく進歩していることから、電子導電性ゴムではなく、上記(1)のイオン導電性ゴムの方が好んで用いられる傾向がある。ところが、イオン導電性ゴムの場合、対象とする装置が使用される雰囲気の温度、湿度等の環境の変化によりイオン化合物の移動性が大きく変化し、これによって導電性部材の抵抗値が大きく変化するという問題がある。すなわち、環境依存性が大きいことが問題である。
【0006】
このために、イオン導電性ゴムの導電性部材を用いた電子写真複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等の画像形成装置内には、装置の置かれている環境下での、導電性ローラまたは導電性ベルトなどの導電性部材の電気抵抗値を検出し、それに対応して印加する電流あるいは電圧値を変更、補正する機構が設けられている。しかし、このような機構を設けたとしても、環境依存性が大きければ、より大きな容量の電源を供給できるようにする必要が生ずることになり、省スペース・省資源の観点からも、これら導電性部材の環境依存性が小さいことが望まれる。
【0007】
また、前記導電性部材を使用する際、とりわけ印刷紙に直に接する転写ローラや転写ベルトとして用いる場合、ローラまたはベルト本体に紙粉やトナーが付着して残り、以降の画像を乱す原因となることがある。この解決法としては、紫外線照射処理等の表面処理を施すことにより分解する方法、あるいは表面にフッ素樹脂やウレタン樹脂を含んだコーティング層を設ける方法が知られている。
しかし、一般に水との親和性が高く、環境依存性の大きいイオン導電性ゴムに紫外線照射をすると、表面が酸化し水との親和性がより強くなることによって、電気抵抗の環境依存性がさらに悪化することになり、できるだけ紫外線照射量が少なくて済む方法が望まれている。フッ素樹脂やウレタン樹脂のコーティングは、これら樹脂が一般にかなり高価であることに加えて製造工程も増えることから、製造コストの面からは採用し難い。
【0008】
特開平9−59434号公報には、導電性部材の電気抵抗の環境依存性を低減するために、「電気抵抗が104〜1012Ωのポリマー100重量部に、シランカップリング剤またはシリル化剤を3〜15重量部配合してなる導電性ゴム組成物」を導電性ローラや導電性ベルトに適用することが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記公開公報に記載の導電性ゴム組成物は、所期の目的を達するために効果はあるものの、さらなる環境依存性の低減化が望まれている。
そこで、本発明の目的は、印加電圧および環境の変化に対して電気抵抗が安定した導電性ゴム組成物を創製してそれを用いた導電性ローラや導電性ベルト等の導電性部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランという特定のアルコキシシラン化合物を、液状および固体アクリロニトリルブタジエンゴムを特定割合で含有するポリマーに添加したゴム組成物を用いて導電性部材を作製することによって、従来の部材よりも環境依存性が顕著に低減されることを見出し、これに基づいてさらに検討して本発明を完成したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
1) (i) 液状アクリロニトリルブタジエンゴム1〜50重量部と固体アクリロニトリルブタジエンゴム50〜99重量部の量比からなるゴム成分を含み、電気抵抗が104〜1012Ωであるポリマー100重量部と、(ii)γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランまたは/およびテトラアルコキシシラン3〜15重量部とを含有してなるゴム組成物で導電性弾性体を形成したことを特徴とする導電性部材、
2)前記導電性弾性体で導電性ローラまたは導電性ベルトを形成する上記1)項記載の導電性部材、
3)前記導電性部材が導電性ローラであって、荷重1000gをかけたときのアスカーC硬度が50〜60である上記2)項記載の導電性部材、および
4)250nm付近にピーク感度のある積算光量計で測定した積算光量が100〜10000mJ/cm2の紫外線照射処理を施してなる上記1)〜3)項のいずれかに記載の導電性部材、
である。
【0012】
前記1)項の導電性部材は、(i)で特定されるポリマーに(ii)で特定されるアルコキシシラン化合物を含有させたゴム組成物で形成されており、電気抵抗の環境依存性、とりわけ湿度依存性を著しく小さくしたものである。この(i)のポリマーと(ii)のアウコキシシラン化合物の組合わせは相溶性が高く、このゴム組成物用いて形成される前記1)項の導電性部材はブリードや感光体汚染の問題を生ずることがない。電気抵抗も導電性ローラや導電性ベルトとして非常に適切な範囲にある。また材料コストも従来品よりも安価である。
【0013】
本発明の導電性部材が導電性ローラ、とりわけ転写体ローラであるとき、その好ましい硬度は上記3)項で特定される範囲であって従来のものに比べて柔軟性を有するものである。従って、被印刷物への接触状態が良好であり、排紙等がスムーズに進行する。さらにはニップ幅を広くでき、転写や帯電、現像やトナー供給の効率が良い導電性ローラを提供できる。
本発明において、導電性部材に紫外線照射による表面処理をするときは、上記4)項のように、積算光量が100〜10000mJ/cm2という比較的、少ない照射線量で処理することを特徴とする。この結果、従来の照射線量の場合よりも、導電性部材表面上の酸化の程度が少なくでき、またアルコキシシラン化合物の環境依存性抑制効果と相俟って、環境依存性(特に湿度依存性)が良好な導電性部材を提供することができる。
【0014】
本発明の導電性部材、とりわけ導電性性ローラはそのニップ幅を広くでき、転写や帯電、現像やトナー供給の効率がよく、紙粉やトナー汚染のより少ない製品を提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明でいう電気抵抗が104 〜1012Ω程度のポリマーは、液状アクリロニトリルブタジエンゴム(以下において液状NBRと称することがある)を1〜50重量部と固体アクリロニトリルブタジエンゴム(以下において固体NBRと称することがある)を50〜99重量部の量比で含有するものである。
前記液状NBRは、常温において液体状態であって、その数平均分子量が通常1,000〜10,000の範囲のものである。また、JIS K 6300で規定する測定法によるムーニー粘度が、通常、1以下である。その体積固有電気抵抗は、通常、106〜1014Ω・cmであり、好ましくは106〜1012Ω・cmである。
【0016】
前記固体NBRは、常温において固体状態であって、通常、その数平均分子量が10,000を超えるものである。また、また、JIS K 6300で規定する測定法によるムーニー粘度が、通常、10〜200のものである。その体積固有電気抵抗は、通常、107〜1011Ω・cmであり、好ましくは107〜1010Ω・cmである。
導電性部材におけるポリマーは、液状NBRと固体NBRは、前記のとおり、前者を1〜50重量部と後者を50〜99重量部の量比で含有する。液状NBRがこの量比を下回ると硬度が高くなり、逆に上回ると感光体として使用するとき汚染の原因となるのでいずれも好ましくない。ゴム成分を上記の量比に調整するとき、導電性部材、特に転写ローラ、は前記のアスカー硬度(測定法は後述する)の範囲に調整しやすくなり、柔軟性を有することから被印刷物への接触状態が良好になる。例えば、固体NBR量が上記量を超えるときにはローラ硬度が硬くなり過ぎることから、また液状NBRが上記量よりも多くなると感光体汚染を生じてくることなどからいずれも避けることが必要である。
【0017】
また、導電性部材の電気抵抗は、通常104〜1012Ωであることを要するが、本発明における液状NBRと固体NBRとの量比にすることによって、この範囲の電気抵抗を呈することになる。
本発明における導電性部材のポリマーは、前記のとおり、液状NBRと固体NBRとを含み、電気抵抗が104〜1012Ω、好ましくは104〜1010Ωであることを前提に、また本発明で目的とする導電性部材の性能を損なわない限りにおいて、その他のポリマーをさらに含有せしめてもよい。そのようなポリマーとしては、例えばポリエピクロロヒドリン(CHR)、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体(ECO)、ポリクロロプレン(CR)、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記例示のポリマーのうち、特にポリエピクロロヒドリン(CHR)またはエピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合体(ECO)を好ましく併用できる。
【0018】
次に、本発明でいうγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランとしては、 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどがあげられる。一方、テトラアルコキシシランとして、テトラエトキシシラン、テトラエトキシシランなどがあげられる。本発明では、このような特定のシラン化合物を、前記のとおり液状NBRと固体NBRを有するポリマーに添加することにより、所期の目的を達するものである。
【0019】
前記シラン化合物の添加量は、上記ポリマー100重量部に対して3〜15重量部である。前記添加量が3重量未満のときは、ゴムの表面自由エネルギーを低下させる効果が少ないために好ましくない。一方、前記添加量が15重量部を超えるときは、シラン化合物の過飽和分が表面に析出する恐れがあり、その結果、摩擦抵抗が極度に低下したり、周囲を汚染するなどの問題が生ずる。
本発明において、ゴム組成物を用いて導電性弾性体を形成するが、そのためには加硫する必要があり、ゴム組成物には加硫剤と、さらに通常は加硫促進剤、加硫促進助剤が添加される。
【0020】
加硫剤としては、例えば硫黄、有機系硫黄化合物のほか、有機過酸化物や金属酸化物などの従来公知の加硫剤が使用可能である。特に硫黄または有機系硫黄化合物を用いた場合は、ゴム組成物の絶縁抵抗を低下させることができるために好ましい。前記有機系硫黄化合物としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。
【0021】
加硫剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して0.3〜4重量部、好ましくは0.5〜3重量部であるのが適当である。
加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のチウラム類、ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛などのジチオカーバメート類、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのチアゾール類、トリメチルチオ尿酸、N,N’−ジエチルチオ尿酸などのチオウレア類などの有機促進剤が挙げられる。
【0022】
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華などの金属酸化物、ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸などの脂肪酸、その他従来公知の種々の加硫促進助剤が挙げられる。尚、前記例示の加硫促進助剤のうち亜鉛華などの金属酸化物は、単独で加硫剤として使用することもできるが、前述の理由により、硫黄または有機系硫黄化合物を加硫剤として使用する場合に併用して使用することが好ましい。
前記ゴム組成物には、常法によって、さらに導電性付与剤、発泡剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤などの添加物を適宜添加してもよい。
【0023】
導電性付与剤は、ゴムの導電性を所望の値に調整するために用いられ、カーボンブラック、金属酸化物などの導電性粉体が使用可能である。
上記カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等があげられ、これらのうち、平均粒径が18〜120nm、好ましくは22〜90nmのものが好適に用いられる。
カーボンブラックの添加量は、ゴム成分100重量部に対して50重量部以下である。カーボンブラックの添加量が上記範囲を超えると、得られるゴム組成物の電気抵抗が印加電圧に大きく依存するようになるために好ましくない。また、場合によってはポリエーテル型化合物等のイオン導電剤を添加してもよい。
【0024】
発泡剤は、得られるゴム組成物をスポンジ状にして用いる場合などに添加される。また、発泡剤の添加量を調整し、加硫時の発泡倍率を調整することによってゴムの電気抵抗を調整することもできる。この発泡剤としては、例えばジアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のアミン類、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類などが挙げられる。
【0025】
軟化剤としては、例えばステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックス等が挙げられる。可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート等が挙げられる。補強剤としては、従来公知のものが使用でき、その中でもカーボンブラックが代表例として挙げられるが、カーボンブラックは前述のように導電性付与剤としても作用する。従って、カーボンブラックを補強剤として用いるときであっても、その添加量は上記導電性付与剤の添加量の範囲に限定される。充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ藻土などが挙げられる。
【0026】
本発明において、導電性ゴム組成物の調製は、まず、電気抵抗が前述の範囲である前記ポリマーに、前記特定のアルコキシシラン化合物と、必要に応じてその他の添加剤を配合した後、混練し、さらに加硫剤、加硫促進剤などを加えて混練する。次いで、これを所望の形状に成形し、加硫および必要に応じて二次加硫などを行うことによって導電性弾性体が形成される。
上記加硫は缶加硫が好適であるが、その他の加硫方法であってもよい。また、加硫条件は、ゴム組成物の使用目的や、加硫剤などの配合量に応じて変化するが、通常140〜180℃の温度、好ましくは150〜170℃の温度で、15〜120分、好ましくは20〜60分行われる。
【0027】
本発明の導電性部材は、電子写真装置における導電性ローラ、導電性ベルトなどの用途に好適である。導電性ローラとして用いる場合は、上記した導電性ゴム組成物を成形する際、円筒状に押出成形すればよい。成形後、加硫を行って得られた円筒状のゴム組成物に金属シャフトを挿入し、さらに所定の長さおよび外径に成形することで導電性ローラが得られる。なお、前記金属シャフトとしては、従来、導電性ローラのシャフトとして用いられているものがいずれも使用可能であり、例えばスチール、銅、アルミニウム等の金属シャフトが挙げられる。
【0028】
また、本発明における導電性弾性体を導電性ベルトとして用いる場合は、例えば上記した導電性ゴム組成物を成形する際に円筒状に押出成形し、加硫を行って得られたゴム組成物を輪切りに切断して成形すればよい。
本発明において、導電性部材に紫外線照射する場合、その照射処理装置自体は従来公知のものを使用できる。紫外線は低波長であるときエネルギーが大きく、また表面の有機不純物を分解できるので、本発明においては有利に選択できる。すなわち、紫外線照射にあたっては、受光器はUV−35(320nm〜390mn、ピーク感度360nm)やUV−42(330nm〜490nm、ピーク感度400nm)よりも、UV−25(240nm〜270nm,ピーク感度254nm)で測定し、その積算光量で規定することが好ましい。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜13
表1および表2に示す配合組成物を、オープンロール、密閉式混練機で混練した。次に、上記のようにして得られたゴム組成物を、チューブ状に押し出し、成形した。次いで、160℃、0.6MPaの水蒸気加圧の加硫缶にいれて最適時間、加硫した。加硫後、直径6mmのスチール芯材を挿入、ホットメルト接着材により接着したのち、表面を研磨処理し、直径15mm、円筒の長さ218mmのロールに成形して、イオン導電性ゴムローラを作製した。
【0030】
紫外線照射処理をする場合、照射装置として(株)オーク製作所製のHMW−615N−4型を用い、ランプはVUV−110A−6Uを使用した。処理時において、紫外線積算光量は紫外線照度計/光量計 UV−M10で、受光器としてUV−25(ピーク感度:254nm)を用いて測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
比較例1〜12
表3および表4に示す配合組成物を用いて、上記実施例と同様にしてイオン導電性ゴムローラを作製した。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
上記実施例および比較例で用いた成分の詳細は次の通りである。
・NBR(液状+固体): アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)の液状のものと固体のものの混合物であって、日本ゼオン製のニッポールDN223(商品名)を使用した。この製品は固体NBR100重量部に対し、液状NBR50重量部を含有する。すなわち、この製品100重量部は、固体NBR67重量部と液状NBR33重量部を含有する。
【0035】
・固体NBR: 日本ゼオン製のニッポール1032(商品名)を使用した。
・液状NBR: 日本ゼオン製のニッポール1312(商品名)を使用した。
・炭酸カルシウム: 丸尾カルシウム製の軽質炭酸カルシウムを使用した。
・酸化亜鉛: 三井金属鉱業製の酸化亜鉛2種を使用した。
・ステアリン酸: ユニケマオーストラリア製の4931(商品名)を使用した。
【0036】
・シラン化合物(1): 化合物名γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、信越化学製のKBM403(商品名)を使用した。
・シラン化合物(2): 化合物名テトラエトキシシランであり、米山化学製のものを使用した。
・シラン化合物(3): 化合物名フェニルトリメトキシシランであり、信越化学製のKBM103(商品名)を用いた。
【0037】
・加硫剤: 鶴見化学製の粉末硫黄を用いた。
・加硫促進剤(1): 化合物名 ジベンゾチアジルジスルフイド、大内新興化学工業製のノクセラーDM(商品名)を使用した。
・加硫促進剤(2): 化合物名 テトラメチルチウラムモノスルフィド、大内新興化学工業製のノクセラーTS(商品名)を使用した。
上記実施例および比較例において、導電性ローラの評価試験は次の方法によった。
【0038】
[電気抵抗の測定と環境依存性の評価]
上記実施例および比較例で得られた導電性ローラを、アドバンテストコーポレーション社製のデジタル超高抵抗微小電流計R−8340Aを用い、ローラに1000gの荷重をかけたもとで測定した。導電性ローラの電気抵抗の環境依存性は、1000Vの印加電圧のもとで、低温低湿(10℃、15%RH)および高温高湿(32.5℃、90%RH)の環境下で24時間放置し、それぞれ表面抵抗率Rを測定し、それらの常用対数値を求めた。環境依存性を次の指標(Δlog R)で表わした。
【0039】
Δlog R=logR(10℃、15%RH)−logR(32.5℃、90%RH)
上記Δlog Rは、その値が小さいほど環境依存性が少ないことを示す。一般に1.5以下であれば適性であり、1.6〜2.0のときは実用的にどうにか使えるもののあまり適性ではない範囲であり、2.1以上は不適である。
[ローラ硬度]
上記実施例および比較例で得られた導電性ローラについて、高分子計器(株)製のゴム硬度計「SRIS0101型」を用いて、1000g荷重をかけたときの硬度を測定した(アスカーC硬度)。
【0040】
[感光体汚染試験]
ヒューレットパッカード社製のLaser Jet 4000型レーザービームプリンターのカートリッジ(カートリッジタイプ C4127X)にセットされている感光体に、上記実施例および比較例で得られた導電性ローラを押し付けた状態で、32.5℃、90%RHの条件下で1週間保管した。その後、感光体から導電性ローラを除去し、当該感光体と導電性ローラを用いて上記プリンターにてハーフトーンの印刷を行い、印刷物に汚れがでるかどうかを次の基準で判定した。
【0041】
○:目視するかぎり印刷物に汚染なし
△:軽度の汚染あり(2枚以内の刷り込みにより、目視ではわからない程度の使用上問題のない汚染)
×:重度の汚染あり(3枚以上刷り込んでも、目視でも印刷物に異常がわかる汚染)
[紙粉・トナー離型性評価用実用耐久試験]
上記実施例および比較例の方法によって、ヒューレットパッカード社製のLaser Jet 4000型レーザービームプリンター搭載の転写ローラと同寸法のローラを作製した。転写ローラを、上記プリンターに新品カートリッジ(カートリッジタイプ C4127X)と共にセットした。23℃、55%RHの条件下で、ハーフトーンの印刷(印刷用紙:キャノン社製PBペーパーA4サイズ紙)を1000枚行い、トナーや紙紛の付着による転写ローラの重量変化を測定した。すなわち、次式により、重量変化を求めた。
【0042】
ハーフトーン1K印刷後重量変化(g)=刷り出し後ローラ重量(g)−刷り出し前ローラ重量(g)
[評価結果]
表1および2の評価試験結果に示すように、実施例1〜13の導電性ローラは、いずれもΔlogRの値が小さく環境依存性の少ないものである。ローラ硬度もアスカーC硬度で50〜70の範囲にあり柔軟性を有する。また、実施例10〜13のように、紫外線積算光量が100〜10000のように比較的少ない量であっても、ローラ重量増加が極めて僅かでありその抑制に効果があり、また感光体汚染も生じていない。
【0043】
一方、表3および4に示すように、比較例1〜12の導電性ローラはいずれも良好な評価結果が得られていない。比較例1、2および4は、本発明で特定するシラン化合物の添加量が少ないためにΔlogRが大きく環境依存性の抑制効果が少ない。この反対に、比較例3および5ではシラン化合物の添加量が多いために感光体汚染が発生する。
比較例6は、固体NBRの量が多すぎるために、ローラ硬度が硬過ぎて柔軟性に欠けるものであり、この反対に比較例7は液状NBRの量が多すぎるために感光体汚染が発生する。比較例8は本発明で特定するシラン化合物を添加していないために、ΔlogRが大きくローラの重量増加も大きい。一方、比較例9ではシラン化合物を添加せずに紫外線照射したものであるが1200mJ/cm2程度の線量でもΔlogRが大きくなり、ローラとして適切ではない。
【0044】
比較例10および11は、本発明で特定するシラン化合物とともに紫外線照射量を比較的に多くした例を示しており、これらの場合ローラの重量変化は抑えられるものの、ΔlogRはかなり大きくなる。本発明では紫外線照射はその量が比較的に少なくてもその目的が達せられることを示すものである。
比較例12は、本発明で特定する以外のシラン化合物を用いた例を示すが、ΔlogRの低下効果が小さい。
Claims (4)
- (1)液状アクリロニトリルブタジエンゴム1〜50重量部と固体アクリロニトリルブタジエンゴム50〜99重量部の量比からなるゴム成分を含み、電気抵抗が104〜1012Ωであるポリマー100重量部と、(2) テトラアルコキシシラン3〜15重量部とを含有してなるゴム組成物で導電性弾性体を形成したことを特徴とする導電性部材。
- 前記導電性弾性体で導電性ローラまたは導電性ベルトを形成する請求項1記載の導電性部材。
- 前記導電性部材が導電性ローラであって、荷重1000gを負荷したときのアスカーC硬度が50〜70である請求項2記載の導電性部材。
- 250nm付近にピーク感度のある積算光量計で測定した積算光量が100〜10000mJ/cm2の紫外線照射処理を施してなり、かつ電気抵抗1000Vの印加のもとで、10℃で関係湿度(RH)15%および32.5℃で関係湿度(RH)の環境下でそれぞれ24時間放置し、それぞれの表面抵抗率Rを測定し、環境依存性Δlog Rを式(1):
Δlog R = log R(10℃、15%RH) − log R(32.5℃、90%RH) (1)
で表わすとき、Δlog Rが1.5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性部材。
Priority Applications (1)
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