JP5170634B2 - 光学積層体、それを用いた偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
本願は、日本国特許出願2005−44231号、同特許出願2005−99269号、同特許出願2005−95831号、及び同特許出願2005−99351号を基礎とするパリ条約の優先権を伴うものである。従って、本願はこれら特許出願の出願内容の全てを包含するものである。
本発明は、CRT、液晶パネル等のディスプレイに用いられる光学積層体に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、または液晶ディスプレイ(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射または像の写り込みによるコントラストの低下、視認性の低下を防止することが要求される。このため、光の散乱原理または光学干渉の原理を用いて像の写り込みまたは反射率を低減する目的で画像表示装置の最表面に、反射防止積層体が設けられることが一般的である。
本発明者等は、本発明時において、防眩性を付与しつつ、かつ、ギラツキ防止性とコントラスト改善性、とりわけ黒色再現性を向上させていわゆる艶黒感を達成することができる光学積層体が得られるとの知見を得た。本発明の第一の態様はかかる知見によるものである。従って、本発明の第一の態様は防眩性機能と優れたギラツキ防止性を持ち、視認性の高い画像表示を同時に実現することができる光学積層体の提供を目的とする。
前記防眩層の凹凸の平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθa(度)とし、凹凸の平均粗さをRz(μm)とした場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であるものである。
本発明者等は、本発明時において、防眩性を付与しつつ、かつ、ギラツキ防止性とコントラスト改善性、とりわけ黒色再現性を向上させていわゆる艶黒感を達成し、かつ、最表面の光学特性を向上させることができる光学積層体を得られるとの知見を得た。本発明の第二の態様はかかる知見によるものである。
光透過性基材と、該光透過性基材上に防眩層と、表面調整層とをこれらの順で備えてなるものであって、
前記防眩層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記防眩層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であるものである。
本発明者等は、本発明時において、防眩性を付与しつつ、かつ、ギラツキ防止性とコントラスト改善性、とりわけ黒色再現性を向上させていわゆる艶黒感を達成することができる光学積層体を得られるとの知見を得た。本発明の第三の態様はかかる知見によるものである。
前記光拡散層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記光拡散層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下とされてなるものである。
本明細書、実施例において使用する用語は下記の通り定義される。
平均粗さの測定方法は、表面形状を2次元または3次元のプロファイルとして測定する。実際には、走査型プローブ顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いて測定する。曲線そのものを客観的に比較するのは一般には困難なため、そのプロファイル曲線データから色々な粗さ指数を計算する。従って、本発明にあっては、上記測定結果を用いて、10点平均粗さ(Rz)を算出する。よって、10点平均粗さ(Rz)とは、平均値からもとめた偏差の値のうち、最大のものから上位5つの偏差の値の平均と、最小のものから下位5つの偏差の値の絶対値の平均の値の和として表される。
本発明による光学積層体を構成する防眩層は凹凸形状を有する。Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表す。これらは、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)の取り扱い説明書(1995,07,20改訂)に記載されたものとして定義することができる。θa(度)は角度単位であり、傾斜を縦横比率で表したものがΔaである場合、θa(度)=tan −1 Δa=tan −1 (各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和/基準長さ)で求められる。ここで、「基準長さ」とは、下記の測定条件1と同じである。
測定条件
1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μ標準)(株)小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):2.5mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):12.5mm
触針の送り速さ:0.5mm/s
ψ≡Rz/Sm
凹凸の平均粗さRzと凹凸の平均間隔Smとの比率ψは、ψ≡Rz/Smで定義し、凹凸の平均粗さRzと凹凸の平均間隔Smの比を取ることで、凹凸の傾斜の傾きを示す指標として用いることができる。凹凸の平均粗さRzと凹凸の平均間隔Smとの比率ψは、ψ≡Rz/Smで定義し、凹凸の平均粗さRzと凹凸の平均間隔Smの比を取ることで、凹凸の傾斜の傾き角を示す指標として用いることができる。
反射Y値は、島津製作所製 MPC3100分光光度計にて、5°正反射率を380〜780nmまでの波長範囲で測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフト(MPC3100内蔵)で算出される、視感反射率を示す値である。なお、5°正反射率を測定する場合には、光学積層体であるフィルムの裏面反射を防止するため、測定膜面とは逆側に、黒テープ(寺岡製)を貼って測定する。
ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HR−100(村上色彩技術研究所)が挙げられる。防眩性積層体の全光線透過率は、JIS K−7361に従って、ヘイズ値と同じ測定器で測定できる。なお、ヘイズ、全光線透過率は、塗工面を光源に向けて測定する。60度グロスは、JIS Z8741により、精密光沢計((株)村上色彩研究所製 GM−26D)を用いて測定可能である。測定は、サンプルの裏面反射の影響を除去するため、サンプルの裏面と測定器の黒蓋を両面テープ(寺岡製作所製)で貼り付けた状態で行う。透過鮮明度は、写像性測定器(スガ試験機(株)、品番;「ICM−1DP」)を用いて、JIS K7105に準拠し、4種類の光学櫛(0.125mm、0.5mm、1mm、および2mm)で測定した数値の合計をもって表す。
本発明で使用している「表面ヘイズ」は、以下のように求められる。防眩層の凹凸上にペンタエリスリトールトリアクリレートなどの樹脂(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をトルエンなどで希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布する。これによって、防眩層の表面凹凸がつぶれ、平坦な層となる。ただし、この防眩層を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩フィルムをケン化処理(2mol/l のNaOH(又はKOH)溶液 55度 3分浸したのち、水洗し、キムワイプで水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸によるヘイズをもたない、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このヘイズを、内部ヘイズとして求めることができる。そして、内部ヘイズを、元のフィルムのヘイズ(全体ヘイズ)から差し引いた値が、表面凹凸だけに起因するヘイズ(表面ヘイズ)として求められる。
防眩層の層厚は、基材の表示面側界面から空気と接する防眩性凹凸最表面までをいう。基材界面から最表面までには、防眩層が一層である場合と、表面調整層、その他光学機能層などが積層され、多層になっている場合がある。
層厚の測定方法
共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS-NT:ライカ社製:倍率「100〜300倍」)にて、光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断した。具体的には、ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察し判断した。オイルの使用は、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるために用いた。
測定手順
1:レーザー顕微鏡観察により平均層厚を測定した。
2:測定条件は、上記の通りであった。
3:1画面につき 凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの膜厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を算出した。
鉛筆硬度は、JIS K−5400に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、鉛筆硬度試験機(東洋精機社製)が挙げられる。本発明における「光学積層体の鉛筆硬度」とは、透明基材上に形成された光学積層体の膜をJIS K−5400に準じた鉛筆硬度試験によって測定した鉛筆硬度である。該鉛筆硬度試験は、5回の鉛筆硬度試験の内、1回以上の傷等の外観異常が認められなかった場合に使用した鉛筆についての硬度を求めるものである。例えば、3Hの鉛筆を用いて、5回の試験を行い、1回でも外観異常が生じなければ、その光学積層体の鉛筆硬度は少なくとも3Hである。
接触角は、協和界面化学社CA−Xを用いて、光学積層体の純水の接触角を測定を行うことが可能である。
JIS K 5600に準拠。1mmの碁盤目を100目いれ、ニチバン製工業用セロテープ(ニチバン株式会社の登録商標。以下同じである。)を用いて5回剥離試験を実施し、残っているマス目が、100%であれば、良好、100%に不足であれば、不良とした。
光学積層体
本発明による光学積層体は、防眩性特性と優れた黒色再現性、コントラストとを兼ね備えたものである。本発明では、この光学積層体をハーフグレア光学積層体(HG)と称する。HGは、従来の優れた防眩性を有するアンチグレア光学積層体(AG)と優れた黒色再現性、コントラストを有するクリアーハードコート(グレア)層に低反射率層を備えた光学積層体(AR)の両特性を兼ね備えたものということができる。具体的には、ハーフグレア光学積層体(HG)の形成方法の一つとして考えられる表面調整層をアンチグレア光学積層体(AG)上に形成させることにより、防眩層の凹凸形状は滑らかになり、更に、アンチグレア(AG)と同等の表面粗さパラメーターを持たせることで、充分な防眩性を付与しつつ、極めて艶黒感の高い防眩性積層体を作製することが可能となる。そこで、
本発明による光学積層体(HG)の内容について、従来のARとAGとの対比において説明する。
本発明による光学積層体(HG)について図3を用いて説明する。図3は本発明による光学積層体の断面図を示す。光透過性基材2の上面に防眩層4が形成されてなり、この防眩層4は樹脂と微粒子とを含んでなるものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層4の上部には滑性層6が形成されてなるものが好ましい。本発明のより好ましい態様によれば、滑性層6の表面に、防眩層4または滑性層6の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層8が形成されてなる光学積層体が好ましい。
本発明にあっては、光透過性基材の上に、防眩層を形成する。本発明にあっては、光学積層体の表面に、予め調製した防眩層を形成させてよい。また、これ以外に、光学積層体の表面に、1)樹脂に微粒子を添加した防眩性用組成物を用いて凹凸形状を有した防眩層を形成する方法、2)微粒子を添加しないで、樹脂等のみを含んだ防眩性用組成物を用いて凹凸形状を有した防眩層を形成する方法、3)凹凸形状を付与する処理を用いて防眩層を形成する方法等が挙げられる。本発明にあっては、予め防眩層を調製する場合、上記1)〜3)の方法によって別途調製された防眩層であってよい。防眩層の厚さは、0.5μm以上27μm以下(好ましくは12μm以下)であり、好ましくは下限が1μm以上であり、上限が23μm以下(好ましくは7μm以下)である。
微粒子
微粒子は球状、例えば真球状、楕円状等のものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。本発明にあっては、微粒子の平均粒子径R(μm)が1.0μm以上20μm以下であり、好ましくは上限が15.0μmであり下限が、3.5μmであるものが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、第一の微粒子とその平均粒径が異なる第二微粒子をさらに含んでなるものが好ましくは挙げられる。また、本発明の好ましい態様によれば、微粒子の中でも凝集型微粒子を用いることが好ましい。凝集型微粒子は、同一の微粒子であっても、または平均粒径が異なる複数の微粒子で構成されてよい。本発明の好ましい態様によれば、凝集型微粒子は、第一微粒子とその平均粒径が異なる第二微粒子を含んでなるものが好ましくは挙げられる。さらに、本発明のより好ましい態様によれば、第二微粒子の単体自体またはその凝集部自体のみでは、前記防眩層において防眩性を発揮しないものが好ましい。
0.25R(好ましくは0.50)≦r≦1.0R(好ましくは0.70)(I)
を満たすものが好ましい。
0.08≦(M1+M2)/M≦0.36 (II)
0≦M2≦4.0M1 (III)
を満たすものが好ましい。
Δn=|n1−n3|<0.15および/またはΔn=|n2−n3|<0.18(IV)
を満たすものが好ましい。
本発明による防眩層は(硬化型)樹脂により形成することができる。本発明において、「樹脂」は、モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する概念である。硬化型樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げら、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
防眩層は、微粒子または凝集型微粒子(好ましくは第一微粒子と第二微粒子)と樹脂とを適切な溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;またはこれらの混合物に混合して得た液体組成物を光透過性基材に塗布することにより形成されてよい。
防眩層は、少なくとも一つのポリマーと少なくとも一つの硬化性樹脂前駆体とを、適切な溶媒を用いて混合した防眩層用組成物を光透過性基材上に付与して形成することができる。
ポリマーは、スピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマー、例えば、セルロース誘導体と、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等、またはこれらの組合せが挙げられる。硬化性樹脂前駆体は、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有していてもよい。複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基、例えば、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。
硬化性樹脂前駆体としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線等)等により反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線等により硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基等を有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂)]、活性光線(紫外線等)により硬化可能な光硬化性化合物(例えば、光硬化性モノマー、オリゴマーの紫外線硬化性化合物)等が例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物等であってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂等の光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用される。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組み合わせや、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ等が挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常、(a)複数のポリマー同士の組み合わせや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が低い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離し、防眩層としての機能が向上する。
溶媒は、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよく、湿式スピノーダル分解において使用することができる。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
防眩層は、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とを含む防眩層用組成物を用いて形成することができる。そして、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とを、適切な溶媒と共に混合した防眩層組成物を用いることにより、液相からのスピノーダル分解により、相分離構造を形成し、硬化性樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成することにより製造できる。
防眩層は、少なくとも一つのポリマーと少なくとも一つの硬化性樹脂前駆体とを、適切な溶媒を用いて混合した防眩層用組成物を光透過性基材に付与し、その後、溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成する工程と、硬化性樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成する工程とを経ることによりを得ることができる。相分離工程は、通常、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液(特に均一溶液等の液状組成物)を光透過性基材の表面に塗布又は流延する工程と、塗布層又は流延層から溶媒を蒸発させて規則的又は周期的な平均相間距離を有する相分離構造を形成する工程とで構成されており、硬化性樹脂前駆体を硬化させることにより防眩層を得ることができる。
3−1)本発明による防眩層は、防眩層を形成し、その後に、防眩層の表面に対して、凹凸形状を付与する賦型処理を行って凹凸形状を有する防眩層を形成してよい。例えば、光透過性基材上に、防眩層を形成し、該防眩層の表面に凹凸形状を形成することが挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、防眩層が有する凹凸形状と逆の凹凸形状を有する型を用いた賦型処理で行われることが好ましい。逆の凹凸形状を有する型はエンボス版、エンボスロール等が挙げられ、これらの内容は後記する3−2)と同じであってよい。
本発明にあっては、防眩層の凹凸表面を調整するために、滑性層を形成してもよい。この場合、滑性層は防眩層と一体となって防眩性機能を発揮するものである。従って、滑性層を形成する場合、表面の凹凸形状の値であるSm、θa、Rz等の光学特性値は本願発明の範囲内にある。付言すれば、防眩層の上に滑性層が付与される場合、滑性層の表面凹凸形状が、本発明における防眩層の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致する。以上のことは、滑性層の下記内容及び実施例からも理解される。
樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
滑性層を形成する際に、光重合開始剤を用いることができ、その具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが挙げられる。この化合物は市場入手可能であり、例えば商品名イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が挙げられる。
本発明にあっては、滑性層中に、帯電防止剤を含んでなるものが好ましい。この様な場合、滑性層を表面調整層と呼ぶことがある。
滑性層を形成するには、上記成分を溶剤ともに混合した帯電防止層用組成物を利用する。溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
滑性層は、上記した樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)と溶剤と任意成分とを混合して得た組成物を防眩層に塗布することにより形成されてよい。本発明の好ましい態様によれば、上記の液体組成物に、フッ素系またはシリコーン系などのレベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤を添加した液体組成物は、塗工面を良好にし、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性の効果とを付与することを可能とする。
本発明の好ましい態様によれば、防眩層または滑性層の表面に低屈折率層を形成したものが好ましい。低屈折率層は、防眩層または滑性層の表面に形成されてなり、低屈折率層は、その屈折率が防眩層または滑性層のものより低いものである。低屈折率層は、それが形成された本発明による光学積層体の最表面の凹凸形状が、本発明における防眩層の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致することは先に述べた通りである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
フッ素含有共重合体と樹脂とを、必要に応じて光重合開始剤の存在下で活性エネルギー線を照射することにより、または熱重合開始剤の存在下で加熱されることにより重合して塗膜を形成することができる。使用する樹脂は、防眩層で説明したのと同様であってよい。
dA=mλ/(4nA) (V)
(上記式中、
nAは低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記数式(VI):
120<nAdA<145 (VI)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
本発明の別の態様によれば、本発明による光学積層体(HG)の各層間に、任意の層として、帯電防止層(導電層)を形成してもよい。
帯電防止層の形成の具体例としては、光学積層体の各層の上面に導電性金属もしくは導電性金属酸化物等を蒸着またはスパッタリングすることにより蒸着膜を形成する方法または樹脂中に導電性微粒子を分散した樹脂組成物を塗布するにより塗膜を形成する方法が挙げられる。
帯電防止層を蒸着膜で形成する場合、帯電防止剤として導電性金属もしくは導電性金属酸化物、例えばアンチモンドープのインジウム・錫酸化物(以下、「ATO」という)、インジウム・錫酸化物(以下、「ITO」という)が挙げられる。帯電防止層としての蒸着膜の厚さは、10nm以上200nm以下であり、好ましくは上限が100nm以下であり、下限が50nm以下である。
帯電防止層は帯電防止剤を含む塗液により形成されてもよい。帯電防止剤は先の滑性層において説明したのと同様であってよい。
本発明にあっては、導電性微粒子を用いて塗膜する場合、好ましくは硬化型樹脂を用いる。硬化型樹脂としては、防眩層を形成するものと同様であってよい。
帯電防止層として塗膜を形成するには、導電性微粒子に硬化型樹脂に含ませた塗液を、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法により塗布する。塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電子線または紫外線の照射によって硬化する。電子線硬化の場合には、100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度とに優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、またはポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様における防眩層の凹凸形状の上に表面調整層が形成されてなるものである。よって、下記する内容以外は、本発明の第二の態様における、防眩層、低屈折率層、任意の層、光透過性基材は、本発明の第一の態様と同様であってよい。
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様と同様に図1乃至図3を用いて説明することができる。この際、本発明の第一の態様で説明した「滑性層6」が、本発明の第二の態様における「表面調整層6」に置き換わるのみであり、それ以外の構成及び内容は同様である。本発明にあっては、防眩層用組成物を付与して防眩層を形成する場合には、防眩層用組成物をゲル分率で30%以上80%以下、好ましくは下限が35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、好ましくは下限が70%以下であり、より好ましくは60%以下で硬化させることが好ましい。
本発明にあっては、防眩層の凹凸表面を調整するために、表面調整層が形成されてなる。この場合、表面調整層は防眩層と一体となって防眩性機能を発揮するものである。従って、表面調整層の表面の凹凸形状の値であるSm、θa、Rz等の光学特性値は本願発明の範囲内にある。付言すれば、表面調整層の表面凹凸形状が、本発明における防眩層の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致する。以上のことは、表面調整層の下記内容及び実施例からも理解される。
表面調整剤としては、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、撥水剤、撥油剤、指紋付着防止剤、高硬化剤および硬度調整剤(緩衝性付与剤)からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられる。
表面調整層中に、帯電防止剤を含んでなることにより、光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
表面調整層に、屈折率調整剤を添加し、光学積層体の光学特性を調整することが可能となる。屈折率調整剤には、低屈折率剤、中屈折率剤、高屈折率剤等が挙げられる。
低屈折率剤は、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率剤の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
高屈折率剤、中屈折率剤は、反射防止性をさらに向上させるために表面調整層に添加されてよい。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
表面調整層は、レベリング剤を添加することができる。レベリング剤の好ましいものとしては、フッ素系またはシリコーン系等が挙げられる。レベリング剤を添加した表面調整層は、塗工面を良好にし、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性の効果とを付与することを可能とする。
表面調整層は防汚染剤を添加することができる。防汚染剤は、光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とし、さらに光学積層体の耐擦傷性を付与することが可能となる。防汚染剤の具体例としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効である。より具体例としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、またはこれらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
表面調整層は、表面調整剤と、樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)とにより少なくとも調整されてよい。表面調整剤を含まない場合には、この樹脂が高効果剤として、または防眩層の凹凸を滑面とする役割を担う。
表面調整層を形成する際に、光重合開始剤を用いることができ、その具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが挙げられる。この化合物は市場入手可能であり、例えば商品名イルガキュア184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)が挙げられる。
表面調整層を形成するには、上記成分を溶剤ともに混合した表面調整層用組成物を利用する。溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
表面調整層は、表面調整層用組成物を防眩層に付与することにより形成されてよい。表面調整層用組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。表面調整層用組成物の塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、または直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本発明による光学積層体は、光透過性基材と、防眩層と、表面調整層とにより構成されてなるが、さらに任意の層として帯電防止層、低屈折率層、防汚染層等を備えてなるものであってよい。任意の層は、それが形成された本発明による光学積層体の最表面の凹凸形状が、本発明における防眩層の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致することは先に述べた通りである。低屈折率層は、防眩層または表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有するものが好ましい。帯電防止層、低屈折率層、防汚染層は表面調整層において説明した、帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤等に、樹脂等を添加した組成物を調整し、それぞれの層を形成してよい。従って、帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤、樹脂等も同様であってよい。
光学積層体
本発明による(防眩性)光学積層体は、光透過性基材の上に、光拡散層を形成してなるものである。防眩性光学積層体にあっては、光透過性基材の上に、防眩層を形成することが一般的であるが、本発明にあっては、光拡散層を形成してなるものである。本発明による「光拡散層」とは、光拡散板または光拡散フィルムに使用されるものであり、防眩性光学積層体(反射防止積層体)に使用される防眩層とは相違するものである。光拡散板または光拡散フィルムは、一般的に各種ディスプレイあるいは照明器具において、光源の光を均一に広げ、視認性を高めるために用いられている。これらの光拡散板あるいは光拡散フィルムは、通常、光源とディスプレイの間に設置され、点光源ないしは線光源を均一な面光源に変換することを目的として用いられるものである。液晶表示のバックライト用の光拡散板または光拡散フィルムとしては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂の表面に凹凸を形成したりものが挙げられる。また、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の光透過性樹脂に光拡散剤を分散したり、さらには光拡散剤を光透過性樹脂中に配合分散させた組成物をフィルム基材上に塗布したりして作製される。従って、本発明にあっては、光拡散層を備えてなるが、光拡散層が形成された光拡散板または光拡散フィルムを備えてなるものであってよい。
本発明による光学積層体は、防眩層の代わりに光拡散層を用いるものであるが、防眩性特性と優れたコントラストとを兼ね備えたものとして利用されるものである。従って、本発明の第三の態様における光学物性及び層構成は、本発明の第一の態様と同様に図1乃至図3を用いて説明することができる。この際、本発明の第一の態様で説明した「防眩層4」及び「滑性層6」が、本発明の第三の態様における「光拡散層4」及び「表面調整層6」にそれぞれ置き換わるのみであり、それ以外の構成及び内容は同様である。
光拡散剤
光拡散剤としては、炭酸カルシウム、アクリル系粒子等が挙げられる。光拡散剤に使用されるアクリル系粒子の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリレート重合体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリレート重合体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニルモノマー;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート等の架橋性モノマー等を重合させることによって得られるものである。アクリル系粒子は単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系粒子の平均粒子径は1μm以上50μm以下であり、好ましくは下限が6μm以上であり、上限が20μm以下である。
光拡散層の形成に使用される樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、セルローズ系樹脂、オルガノシロキサン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が挙げられる。この中でも、光拡散剤との屈折率差の制御性、濡れ性や透明基材との接着性あるいは樹脂自体の耐擦傷性、耐光性、透明性などの点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。
光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、その他の添加剤を別に添加してもよい。レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系等のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤を添加した光拡散層用組成物は、塗布または乾燥時に塗膜表面に対して酸素による硬化阻害を有効に防止し、かつ、耐擦傷性の効果とを付与することを可能とする。レベリング剤は、耐熱性が要求されるフィルム状光透過性基材(例えばトリアセチルセルロース)に好ましくは利用される。
本発明による「光拡散層」は、光透過性基材に形成された板またはフィルムとして使用されてもよい。この場合、光透過性基材の具体例としては、一般的なものを使用することができるが、透明性、耐光性、コーティング適性等の理由から、ポリカーボネートまたはポリエチレンテレフタレートが好ましくは挙げられる。光透過性基材の厚みは50μm以上200μm以下程度である。
本発明にあっては、光拡散層が、光透過性基材に対して浸透性溶剤を有する光拡散層用組成物を用いて形成されることにより、光透過性基材と光拡散層との界面が存在しないものとされてなるものが提案される。また、光透過性基材と前記光拡散層との間に、薄層を備えてなり、これにより、光透過性基材と光拡散層との界面が存在しないものとされてなるものが提案される。本発明の第一の態様及び本発明の第二の態様における、光透過性基材と防眩層との界面についても、同様のことを行うことができる。
本発明の好ましい態様によれば、光透過性基材と光拡散層の界面が存在しない光学積層体が提案される。本発明による光学積層体は、光透過性基材と光拡散層との界面が実質的に存在しないものとされてなるものである。本発明において、「界面が(実質的に)存在しない」とは、二つの層面が重なり合ってはいるが実際に界面が存在しないこと、および屈折率からみて両者の面に界面が存在していないと判断される場合をも含むものをいう。「界面が(実質的に)存在しない」との具体的な基準としては、例えば、光学積層体の断面を、レーザー顕微鏡により観察し、干渉縞が目視される積層体断面には界面が存在し、干渉縞が目視されない積層体断面には界面が存在しないことを測定することにより行うことができる。レーザー顕微鏡は屈折率に違いのあるものを非破壊にて断面観察できるものであることから、屈折率に大きな違いのない素材同士において界面が存在しないとの測定結果が生じる。このことから、屈折率からみても基材と光拡散層の間に界面が存在しないと判断しうる。
本発明の好ましい態様によれば、光透過性基材と光拡散層との界面が存在しないものとするために、光拡散層が光透過性基材に対して浸透性を有する光拡散層用組成物を用いて形成されてなることが好ましい。光拡散層用組成物に浸透性を付与するために用いられる浸透性溶剤は、光透過性基材に対して浸透性のあるものである。よって、本発明にあっては、浸透性溶剤の「浸透性」とは、光透過性基材に対して浸透性、膨潤性、湿潤性等のすべての概念を包含する意である。浸透性溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、エステル類が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、透過性基材と光拡散層との間に、薄層を備えてなり、この薄層の存在により、光透過性基材と光拡散層の界面が存在しないものとされてなる光学積層体が提案される。この薄層は、重量平均分子量が200以上1000以下であり、かつ、一または二つの官能基を有する樹脂と、浸透性溶剤とを含んでなる組成物により形成されてなるものである。本発明にあっては、この「薄層」は薄膜、薄い塗膜等の概念を包含するものである。本発明の好ましい態様によれば、薄層の層厚は、0.001μm以上、50μm以下であり、好ましくは下限が0.01μm以上であり、上限が20μm以下である。
薄層形成に使用する樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)は、その重量平均分子量が200以上1000以下であり、好ましくは下限が220以上であり、上限が900以下のものである。このような樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトール(メタ)アクリレートモノステアレート等の(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられ、好ましくは、ウレタン樹脂が挙げられる。
薄層を形成する際に、樹脂は浸透性溶剤と混合して使用することができる。本発明にあって、浸透性溶剤とは、光透過性基材に対して浸透性を有する溶剤を主として意味するが、この浸透性溶剤はハードコート層に対して浸透性を有するものであってもよい。浸透性溶剤は、光学積層体の干渉縞を有効に防止する効果を有する。
本発明の光学積層体は、光透過性基材と、光拡散層と、必要に応じて薄層とを備えてなるものとして形成されてなるが、光学積層体の光学特性を向上させる目的で下記の層を形成させてなるものであってよい。
本発明にあっては、光拡散層の凹凸表面を調整するために、表面調整層を形成してもよい。表面調整層は、構成及び効果等、本発明の第二の態様で説明したのと同様であって良い。
本発明による光学積層体は、光透過性基材と光拡散層と、必要に応じて表面調整層とにより構成されてなるが、さらに任意の層として帯電防止層、低屈折率層、防汚染層等を備えてなるものであってよい。任意の層は、それが形成された本発明による光学積層体の最表面の凹凸形状が、本発明における光拡散層の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致することは先に述べた通りである。低屈折率層は光拡散層または表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有するものが好ましい。帯電防止層、低屈折率層、防汚染層は表面調整層において説明した、帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤等に、樹脂等を添加した組成物を調整し、それぞれの層を形成してよい。従って、帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤、樹脂等の内容もまた、表面調整層(本発明の第二の態様)において説明したの同様であってよい。
本発明の第一の態様乃至第三の態様による光学積層体は下記のものとして利用されてよい。
本発明の別の態様によれば、偏光素子と、本発明による光学積層体とを備えてなる偏光板を提供することができる。具体的には、偏光素子の表面に、本発明による光学積層体を該光学積層体における防眩層(又は光拡散層)が存在する面と反対の面に備えてなる、偏光板を提供することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、画像表示装置を提供することができ、この画像表示装置は、透過性表示体と、前記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなり、この透過性表示体の表面に、本発明による光学積層体または本発明による偏光板が形成されてなるものである。本発明による画像表示装置は、基本的には光源装置(バックライト)と表示素子と本発明による光学積層体とにより構成されてよい。画像表示装置は、透過型表示装置に利用され、特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に用いられる。
光学積層体を構成する各層の組成物を下記組成に従い調製した。
防眩層用組成物A1
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を20.28質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.62質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.03質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.86質量部(チバガイギー(株)製)、光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.31質量部(チバガイギー(株)製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを6.39質量部((株)日本触媒製、粒径5.0μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.013質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A1を調製した。
透光性微粒子として粒子径が9.5μmの単分散アクリルビーズ((株)日本触媒製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物A1と全く同じく調製したものを防眩層用組成物A2とした。
透光性微粒子として粒子径が13.5μmの単分散アクリルビーズ((株)日本触媒製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物A1と全く同じく調製したものを防眩層用組成物A3とした。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.08質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを10.33質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.24質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.02質量部(チバガイギー(株)製)、光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.34質量部(チバガイギー(株)製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを3.47質量部((株)日本触媒製、粒径13.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.014質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A4を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.88質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを12.03質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.46質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.19質量部(チバガイギー(株)製)、光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.37質量部(チバガイギー(株)製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを6.39質量部((株)日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.015質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A5を調製した。
透光性微粒子として粒子径が5.0μmの粒度分布を持つアクリルビーズ(((株)日本触媒製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物A1と全く同じく調製したものを防眩層用組成物A6とした。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を20.28質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.62質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.03質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.86質量部(チバガイギー(株)製)、光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.31質量部(チバガイギー(株)製)、第1透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを4.80質量部((株)日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)第2透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを1.59質量部((株)日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.013質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A7を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.28質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.63質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.18質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.96質量部(チバガイギー(株)製)、光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.33質量部(チバガイギー(株)製)、第1の透光性微粒子としてのアクリルビーズを4.96質量部((株)日本触媒製、粒径4.6μm、屈折率1.53)、第2の透光性微粒子としてのアクリルビーズを1.65質量部((株)日本触媒製、粒径3.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.013質量部、トルエンを46.40質量部、及び、シクロヘキサノンを11.60質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A8を調製した。
不定形シリカの防眩層用マット剤インキとして、EXG40−77(V−15M)(不定形シリカインキ、シリカの平均粒径2.5μm、固形分濃度60% 大日精化(株)製)1.77g、および紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を2.93g(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を0.37g、光硬化開始剤であるイルガキュア184を0.17g(チバガイギー(株)製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.お6g(チバガイギー(株)製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.043g、トルエンを7.8g、及び、MIBK(メチルイソブチルケトン)を1.0gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径80μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物A9を調製した。
滑性層用組成物A1
紫外線硬化型樹脂であるDPHAを39.30質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー(株)製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー(株)製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.19質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して滑性層用組成物A1を調製した。
帯電防止層の材料であるC-4456 S-7(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45% 日本ペルノックス(株)製)21.6g、および紫外線硬化型樹脂であるDPHAを28.69g(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.56g(チバガイギー(株)製)、MIBK(メチルイソブチルケトン)を33.7g及び、シクロヘキサノンを14.4gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して滑性層用組成物A2を調製した。
ジルコニア含有塗料組成物A(JSR(株)製、商品名;「KZ7973」、屈折率:1.69の樹脂マトリックス、固形分50%)を用い、樹脂マトリックスの屈折率が、1.60となるように、下記の組成の滑性層用組成物A3を作製した。
低屈折率層用組成物A1
フッ素樹脂系低反射層形成用塗料組成物A34.14g(JSR(株)製、商品名;「TM086」)に対し、光重合開始剤(JSR(株)製、商品名;「JUA701」)0.85g、MIBK65gを添加、攪拌の後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用組成物Aを調製した。
下記組成表の成分を攪拌した後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用組成物A2を調製した。
表面処理シリカゾル(空隙を有する微粒子) 14.3重量部
(20%メチルイソブチルケトン溶液使用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート
(PETA 日本化薬(株)製、屈折率1.51) 1.95重量部
イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.1重量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル TSF4460 0.15重量部
(商品名、GE東芝シリコーン社製)
メチルイソブチルケトン 83.5重量部
帯電防止層の材料はC-4456 S-7(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45% 日本ペルノックス(株)製)2.0g、およびメチルイソブチルケトン2.84g、シクロヘキサノン1.22gを添加、攪拌の後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過し、帯電防止層用組成物Aを調製した。
本発明による光学積層体を下記の通りにして調製し、HG1光学積層体とした。
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明基材として用い、防眩層用組成物A1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が5μmの防眩性ハードコート層を形成した。尚、透光性微粒子は、粒子径が、5.0μの単分散アクリルビーズを使用した。
形成した防眩層を透明基材として用い、滑性層用組成物A1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの滑性層を形成し、光学積層体(HG1)を製造した。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A2を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体(HG2)を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の透光性微粒子には、9.5μの単分散アクリルビーズを使用し、滑性層の膜厚は、4.0μmとなるようにした。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A3を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体(HG3)を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の透光性微粒子には、13.5μの単分散アクリルビーズを使用した。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A4を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の透光性微粒子には、13.5μの単分散アクリルビーズを使用し、固形分の総重量における透光性微粒子の比率が、実施例A3の1/2となるようにした。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A5を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の透光性微粒子には、9.5μの単分散アクリルビーズを使用し、固形分の総重量における透光性微粒子の比率が、実施例A2の75/1000となるようにした。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A6を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の透光性微粒子には、5.0μの粒度分布を持つアクリルビーズを使用した。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A7を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体を得た。防眩層形成用塗料組成物A中の第1透光性微粒子には、9.5μの単分散アクリルビーズを使用し、第2透光性微粒子には、5.0μの単分散アクリルビーズを使用した。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A4を用いて、滑性層を形成する際に滑性層組成物A2を使用した以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を塗布し、更に、同様に滑性層を塗布して、光学積層体を得た。滑性層形成用塗料には、導電性を持つ滑性層を形成する為に、ATO含有した組成物Aを使用した。
本発明による光学積層体を下記の通りにして調製し、光学積層体とした。
帯電防止層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明基材として用い、帯電防止用組成物Aを、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、50℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が1μmの帯電防止層を形成した。
形成した帯電防止層を透明基材として用い、防眩層用組成物A4を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアで照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの防眩層を形成した。
形成した防眩層を透明基材として用い、滑性層用組成物A1を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの滑性層を形成して、光学積層体を得た。
防眩層を形成する時に、防眩層用組成物A4を用いた以外は、実施例A1と同様にして、防眩層を形成した。更に、滑性層は、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させた以外は、実施例A1と同様形成した。
形成した防眩層を透明基材として用い、低屈折率層用組成物Aを、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、50℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が150mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が98nmの低屈折率層を形成して、光学積層体を得た。低屈折率層用組成物A1を低屈折率層用組成物A2に変更してもよく、その場合、反射Y値は1.8%となる。
滑性層を形成する際に、滑性層組成物A3を使用した以外は、実施例A10と同様に形成して、HG11光学積層体を得た。実施例A11では、滑性層として、ジルコニア含有の樹脂マトリックスを用い、滑性層の屈折率が1.60となるように調製した。
従来の防眩性光学積層体(AG)を下記の通りにして調製し、AG1光学積層体とした。80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明基材として用い、防眩層用組成物A8を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるように照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が6μmの防眩性ハードコート層を形成した。AG1は、第1の透光性微粒子としてのアクリルビーズを4.96質量部((株)日本触媒製、粒径4.6μm、屈折率1.53)、第2の透光性微粒子としてのアクリルビーズを1.65質量部((株)日本触媒製、粒径3.5μm、屈折率1.53)の混合粒子系の防眩性光学積層体(AG)である。
従来の防眩性光学積層体(AG)を下記の通りにして調製し、AG2光学積層体とした。防眩層用組成物A9を用いて、膜厚を3μmとした以外は、比較例A1と同様に、形成した。比較例A2は、不定形シリカを用いた防眩性光学積層体(AG)である。
下記の評価試験を行いその結果を表1に記載した。
実施例Aと比較例Aの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状を光学顕微鏡(商品名OLYMPUS製BX60−F3;200倍)にて写真撮影した。その結果は図4に表された通りであった。図4によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が人間の皮膚を拡大した写真のように粗さが存在し、凹凸形状鋭利であることが理解される。
実施例Aと比較例Aの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状をAFM(商品名:走査型プローブ顕微鏡)にて写真撮影した。その結果は図5と図6に記載した通りであった。図5によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが非常に滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、図6によれば、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が多数の鋭利な凹凸形状で形成されていることが理解される。
実施例Aと比較例Aの光学積層体について、本明細書に定義に従って、ヘイズ値(%)、60度グロス、Sm、θa、Rz、反射Y値(5度反射)、表面抵抗を測定し、その結果を表1に記載した。
実施例Aと比較例Aの光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、三波長蛍光下で官能評価を行って、艶黒感を下記基準によって詳細に評価した。
評価基準
評価○:艶のある黒色を再現することができた。
評価△:艶のある黒色を若干再現できたが、製品としては十分ではなかった。
評価×:艶のある黒色を再現することができなかった。
HAKUBA製ビュアー(ライトビュアー7000PRO)上に、0.7mm厚みのガラスに形成されたブラックマトリクスパターン板(105ppi)を、パターン面を下にして置き、その上に得られた光学積層体フィルムを凹凸面を空気側にして載せて、フィルムが浮かないようにフィルムの縁を指で軽く押さえながら、暗室にてギラツキを目視観察し、評価した。
評価基準
評価○:105ppiでギラツキがなく良好であった。
評価×:105ppiでギラツキがみえ不良であった。
結果
実施例A1からA11、及び比較例A2は、全て○で良好であったが、比較例A1は、ギラツキがあり、×であった。
得られた光学積層体の裏面に、黒のアクリル板を、光学性粘着剤ではり、水平な机にサンプルをおいて、机より2.5m上方にある白色蛍光灯管(32ワット×2本)のエッジ部分の映りこみを目視観察し、評価した。
評価基準
評価○:エッジが映りこまず、良好な防眩性を有した。
評価×:エッジが映りこみ、防眩性に劣った。
結果
実施例A1からA11、及び比較例A1は、全て映り込みがなく○で防眩性良好であったが、比較例A2は、蛍光灯のエッジが映り込み、防眩性×であった。
光学積層体を構成する各層の組成物を下記組成に従い調製した。
防眩層用組成物B1
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を20.28質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.62質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.03質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.86質量部(チバガイギー(株)製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.31質量部(チバガイギー(株)製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを6.39質量部((株)日本触媒製、粒径5.0μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.013質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物Bとして調製した。この組成物Bを孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B1を調製した。
透光性微粒子として粒子径が9.5μmの単分散アクリルビーズ(日本触媒社製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物B1と同様にして防眩層用組成物B2を調製した。
透光性微粒子として粒子径が13.5μmの単分散アクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物B1と同様にして防眩層用組成物B3を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.08質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを10.33質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.24質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.02質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.34質量部(チバガイギー製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを3.47質量部(日本触媒製、粒径13.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.014質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B4を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.88質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを12.03質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.46質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.19質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.37質量部(チバガイギー製)、透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを6.39質量部(日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.015質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B5を調製した。
透光性微粒子として粒子径が5.0μmの粒度分布を持つアクリルビーズ(日本触媒製、屈折率1.53)に変えた以外は、防眩層用組成物B1と同様にして防眩層用組成物B6を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を20.28質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.62質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.03質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.86質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.31質量部(チバガイギー製)、第1透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを4.80質量部(日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)第2透光性微粒子としての単分散アクリルビーズを1.59質量部(日本触媒製、粒径9.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.013質量部、トルエンを47.60質量部、及び、シクロヘキサノンを11.90質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B7を調製した。
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を21.28質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、紫外線硬化型樹脂であるDPHAを8.63質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)を3.18質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.96質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.33質量部(チバガイギー製)、第1の透光性微粒子としてのアクリルビーズを4.96質量部(日本触媒製、粒径4.6μm、屈折率1.53)、第2の透光性微粒子としてのアクリルビーズを1.65質量部(日本触媒製、粒径3.5μm、屈折率1.53)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.013質量部、トルエンを46.40質量部、及び、シクロヘキサノンを11.60質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B8を調製した。
不定形シリカの防眩層用マット剤インキとして、EXG40−77(V−15M)(不定形シリカインキ、シリカの平均粒径2.5μm、固形分濃度60% 大日精化製)1.77g、および紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)を2.93g(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を0.37g、光硬化開始剤であるイルガキュア184を0.17g(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.お6g(チバガイギー製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.043g、トルエンを7.8g、及び、MIBK(メチルイソブチルケトン)を1.0gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径80μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物B9を調製した。
表面調整層用組成物B1
紫外線硬化型樹脂であるDPHAを39.30質量部(日本化薬製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.19質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調整層用組成物B1を調製した。
帯電防止層の材料であるC-4456 S-7(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45% 日本ペルノックス製)21.6g、および紫外線硬化型樹脂であるDPHAを28.69g(日本化薬製、屈折率1.51)、光硬化開始剤であるイルガキュア184を1.56g(チバガイギー製)、MIBK(メチルイソブチルケトン)を33.7g及び、シクロヘキサノンを14.4gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調製層用組成物B2を調製した。
ジルコニア含有塗料組成物B(JSR(株)製、商品名;「KZ7973」、屈折率:1.69の樹脂マトリックス、固形分50%)を用い、樹脂マトリックスの屈折率が、1.60となるように、下記組成の表面調整層用組成物B3を調製した。
紫外線硬化型樹脂である紫光UV1700Bを27.51質量部(日本合成化学製、屈折率1.51)、アロニックスM315を11.79質量部(東亞合成製、屈折率1.51)アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック製)を0.19質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調整層用組成物B4を調製した。
紫外線硬化型樹脂である紫光UV1700Bを27.51質量部(日本合成化学製、屈折率1.51)、アロニックスM315を11.79質量部(東亞合成製、屈折率1.51)アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー製)、フッ素反応性添加剤F3001(大日本インキ製)を2.5質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調整層用組成物B5を調製した。
紫外線硬化型樹脂である紫光UV1700Bを27.51質量部(日本合成化学製、屈折率1.51)、アロニックスM315を11.79質量部(東亞合成製、屈折率1.51)アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー製)、フッ素反応性添加剤F3001(大日本インキ製)を2.5質量部、フッ素系レべリング剤F445(大日本インキ製)を0.8質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調整層用組成物B6を調製した。
低屈折率層用組成物B1
フッ素樹脂系低反射層形成用塗料組成物B34.14g(JSR(株)製、商品名;「TM086」)に対し、光重合開始剤(JSR(株)製、商品名;「JUA701」)0.85g、MIBK65gを添加、攪拌の後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用組成物B1を調製した。
下記組成表の成分を攪拌した後、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用組成物B2を調製した。
表面処理シリカゾル(空隙を有する微粒子) 14.3重量部
(20%メチルイソブチルケトン溶液使用)
ペンタエリスリトールトリアクリレート
(PETA 日本化薬(株)製、屈折率1.51) 1.95重量部
イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.1重量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル TSF4460 0.15重量部
(商品名、GE東芝シリコーン社製)
メチルイソブチルケトン 83.5重量部
帯電防止層の材料はC−4456 S−7(ATO含有導電インキ、ATOの平均粒径300〜400nm、固形分濃度45% 日本ペルノックス製)2.0g、およびメチルイソブチルケトン2.84g、シクロヘキサノン1.22gを添加、攪拌の後、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、帯電防止層用組成物Bを調製した。
下記のようにして光学積層体を作成した。
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を光透過性基材として用い、防眩層用組成物B1を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が5μmの防眩層を形成した。尚、透光性微粒子は、粒子径が、5.0μの単分散アクリルビーズを使用した。
防眩層の上に、表面調整層用組成物B1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの表面調整層を形成し、光学積層体(HG1)を得た。
防眩層用組成物B2を用いた以外は、実施例B1と同様にして光学積層体(HG2)を得た。防眩層用組成物B2中の透光性微粒子には、9.5μの単分散アクリルビーズを使用し、表面調整層の膜厚は、4.0μmとなるようにした。
防眩層用組成物B3を用いた以外は、実施例B1と同様にして光学積層体(HG3)を得た。防眩層用組成物B3中の透光性微粒子には、13.5μの単分散アクリルビーズを使用した。
防眩層用組成物B4を用いた以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。防眩層用組成物B4中の透光性微粒子には、13.5μの単分散アクリルビーズを使用し、固形分の総重量における透光性微粒子の比率が、実施例B3の1/2となるようにした。
防眩層用組成物B5を用いた以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。防眩層用組成物B5中の透光性微粒子には、9.5μの単分散アクリルビーズを使用し、固形分の総重量における透光性微粒子の比率が、実施例B2の75/1000となるようにした。
防眩層用組成物B6を用いた以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。防眩層用組成物B6中の透光性微粒子には、5.0μの粒度分布を持つアクリルビーズを使用した。
防眩層用組成物B7を用いた以外は、実施例B1と同様にして光学積層体を得た。
防眩層用組成物B4、表面調整層組成物B2を使用した以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。表面調整層用組成物B2には、導電性を持つ表面調整層を形成する為に、ATO含有した組成物Bを使用した。
帯電防止層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を光透過性基材として用い、帯電防止用組成物Bを、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、50℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が1μmの帯電防止層を形成した。
帯電防止層の上に、防眩層用組成物B4を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアで照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの防眩層を形成した。
防眩層の上に、表面調整層用組成物B1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの表面調整層を形成して、光学積層体を得た。
防眩層用組成物B4を用いた以外は、実施例B1と同様にして、防眩層を作製した。更に、表面調整層は、紫外線を照射線量が30mJになるようハーフキュアでの照射をして塗膜を硬化させた以外は、実施例B1と同様形成し、光学積層体を得た。
表面調整層の上に、低屈折率層用組成物B1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、50℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が150mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が98nmの低屈折率層を形成して、光学積層体を得た。低屈折率層用組成物B1を低屈折率層用組成物B2に変更してもよく、その場合、反射Y値は1.8%となる。
表面調整層用組成物B3を使用した以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。表面調整層用組成物B3として、ジルコニア含有の樹脂マトリックスを用い、表面調整層の屈折率が1.60となるように作成した。
表面調整層組成物B4を使用した以外は、実施例B1と同様に作製して、光学積層体を得た。表面調整層組成物B4として、高硬度化を実現するための多官能ウレタンアクリレートと、カールを緩和させるための低収縮樹脂の混合樹脂系を添加した。
表面調整層用組成物B5を使用した以外は、実施例B1と同様にして、光学積層体を得た。表面調整層用組成物B5として、高硬度化を実現するために、多官能ウレタンアクリレートとカールを緩和させるための低収縮樹脂の混合樹脂系を用い、更に、防汚染性(マジック拭き取り性、指紋付着防止性)を向上させるために、反応型のフッ素系添加剤を2.0%添加した。
表面調整層組成物B6を使用した以外は、実施例B1と同様にして光学積層体を得た。表面調整層組成物B6として、高硬度化を実現するための多官能ウレタンアクリレートと、カールを緩和させるための低収縮樹脂の混合樹脂系を添加し、防汚染性を向上させるために、反応型のフッ素系添加剤を2.0%添加し、更に、撥水性と表面の滑り性を付与するためにフッ素系レべリング剤を0.2%添加した。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフイルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明基材として用い、防眩層用組成物B8を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるように照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が6μmの防眩性光学積層体(AG1)を形成した。
防眩層用組成物B9を用いて、膜厚を3μmとした以外は、比較例B1と同様にして従来の防眩性光学積層体を作成した。この防眩性光学積層体(AG)は、不定形シリカを用いて形成した。
下記の評価試験を行いその結果を表2に記載した。
実施例Bと比較例Bの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状を光学顕微鏡(商品名OLYMPUS製BX60−F3;200倍)にて写真撮影した。その結果は図4に表された通りであった。図4によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が人間の皮膚を拡大した写真のように粗さが存在し、凹凸形状鋭利であることが理解される。
実施例Bと比較例Bの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状をAFM(商品名:走査型プローブ顕微鏡)にて写真撮影した。その結果は図5と図6に記載した通りであった。図5によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが非常に滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、図6によれば、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が多数の鋭利な凹凸形状で形成されていることが理解される。
実施例Bと比較例Bの光学積層体について、本明細書に定義に従って、ヘイズ値(%)、60度グロス、Sm、θa、Rz、反射Y値(5度反射)、表面抵抗、鉛筆硬度、水の接触角を測定した。
実施例Bと比較例Bの光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、三波長蛍光下で官能評価を行って、艶黒感を下記基準によって評価した。
評価○:艶のある黒色を再現することができた。
評価△:艶のある黒色を若干再現できたが、製品としては十分ではなかった。
評価×:艶のある黒色を再現することができなかった。
実施例Bと比較例Bの光学積層体の表面に油性マジック(ゼブラ製商品名「マッキーケア」)を用いて文字を書き、その文字を布で拭き取った時の繰り返し拭き取り性を下記の基準で評価した。
評価基準
評価○:10回繰り返し、文字を完全に拭き取ることができた。
評価△:10回繰り返し、一部の文字を拭き取れない部分が残存したが、20回繰り返しでは文字を完全に拭き取ることができた。
評価×:20回繰り返し、文字を完全に拭き取ることができなかった。
実施例Bと比較例Bの光学積層体のフィルム表面を布で擦ったときの滑り性を下記の基準で評価した。
評価基準
評価○:布は抵抗なく滑らかに滑った。
評価△:布は若干抵抗を感じるが、概ね滑らかに滑った。
評価×:布は強く抵抗を感じて、滑らかに滑らなかった。
HAKUBA製ビュアー(ライトビュアー7000PRO)上に、0.7mm厚みのガラスに形成されたブラックマトリクスパターン板(105ppi)を、パターン面を下にして置き、その上に得られた光学積層体フィルムを凹凸面を空気側にして載せて、フィルムが浮かないようにフィルムの縁を指で軽く押さえながら、暗室にてギラツキを目視観察し、評価した。
評価○:105ppiでギラツキがなく良好であった。
評価×:105ppiでギラツキがみえ不良であった。
結果
実施例B1からB14、及び比較例B2は、全て○で良好であったが、比較例B1は、ギラツキがあり、×であった。
得られた光学積層体の裏面に、黒のアクリル板を、光学性粘着剤ではり、水平な机にサンプルをおいて、机より2.5m上方にある白色蛍光灯管(32ワット×2本)のエッジ部分の映りこみを目視観察し、評価した。
評価基準
評価○:エッジが映りこまず、良好な防眩性を有した。
評価×:エッジが映りこみ、防眩性に劣った。
結果
実施例B1からB14、及び比較例B1は、全て映り込みがなく○で防眩性良好であったが、比較例B2は、蛍光灯のエッジが映り込み、防眩性×であった。
ゲル分率
本発明において、「ゲル分率」は以下の通りに求めることができる。
1)UV照射条件:5、10、20、30、40、50、60、70、80mjで照射したサンプルを作製し、
2)10cm角に切り、n数を三点をとり、
3)重さ:Aを測定した。
4)モノマーが溶解すると考えられる溶剤に12h以上漬け込み、
5)溶剤から各サンプルを取り出して、オーフ゛ンで十分乾燥(60℃×2分)し、
6)乾燥したサンプルの重さ:Bを測定した。
7)溶剤に漬け込む前の重さ:Aとの差をとり、この値をCとした。
8)最後に、「ゲル分率%」=100−C/Aとして算出した。
光学積層体を構成する各層の組成物を下記組成に従い調製した。
光拡散層用組成物C1の調製
下記組成で混合し、ザーンカップ♯3で20秒に調製し光拡散層用組成物C1とした。
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100重量部
光拡散剤 120重量部
(積水化成品工業(株)製MBX-8:平均粒子径10μm)
希釈溶剤:トルエン 130重量部
:メチルエチルケトン 100重量部
(固形分50%)
表面調整層用組成物C1の調製
紫外線硬化型樹脂であるDPHAを39.30質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量40,000)を3.13質量部、光硬化開始剤であるイルガキュア184を2.12質量部(チバガイギー(株)製)、同じく光硬化開始剤であるイルガキュア907を0.43質量部(チバガイギー(株)製)、シリコン系レベリング剤10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.19質量部、トルエンを49.35質量部、及び、シクロヘキサノンを5.48質量部を十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して表面調整層用組成物C1を調製した。
光拡散層の形成
基材は100μm厚の帝人(株)製HSタイプポリエチレンテレフタレートフィルムに、光拡散層用組成物C1をコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて基材の片面に塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させて塗膜を熱硬化させた。この時乾燥時の塗工量は、11g/m2 、膜厚は20μmの光拡散層を形成した。
光拡散層の上に、表面調整層用組成物C1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が4μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。
光拡散層用組成物C2の調製
下記組成で混合し、ザーンカップ♯3で20秒に調製し光拡散層用組成物C2とした。
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100重量部
光拡散剤
(積水化成品工業(株)製MBX-8:平均粒子径10μm) 240重量部
希釈溶剤:トルエン 130重量部
:メチルエチルケトン 100重量部
(固形分50%)
光学積層体の製造
光拡散層用組成物C2を用いた以外は、実施例C1と同様にして膜厚が4μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。
光拡散層用組成物C3の調製
下記組成で混合し、ザーンカップ♯3で調整し光拡散層用組成物C3とした。
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100重量部
光拡散剤 240重量部
(積水化成品工業(株)製MBX-12:平均粒子径14μm)
希釈溶剤:トルエン 130重量部
:メチルエチルケトン 100重量部
(固形分50%)
光学積層体の製造
光拡散層用組成物C3を用いた以外は、実施例C1と同様にして膜厚が4μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。
光拡散層用組成物C4の調製
下記組成で混合し、ザーンカップ♯3で調整し光拡散層用組成物C4とした。
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100重量部
光拡散剤 120重量部
(積水化成品工業(株)製MBX-8:平均粒子径10μm)
耐電防止剤(日本油脂(株)製エレガンTOF-1100) 10重量部
希釈溶剤:トルエン 130重量部
:メチルエチルケトン 100重量部
(固形分50%)
光学積層体の製造
光拡散層用組成物C4を用いた以外は、実施例C1と同様にして膜厚が4μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。表面抵抗は、1012Ω/□(測定条件25℃、55%RH)であった。
光拡散層用組成物C5の調製
下記組成で混合し、ザーンカップ♯3で調整し光拡散層用組成物C5とした。
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100重量部
光拡散剤 120重量部
(総研化学(株)製MR-7HG(平均粒子径6.0μm)
希釈溶剤:トルエン 130重量部
:メチルエチルケトン 100重量部
(固形分50%)
光学積層体の製造
光拡散層用組成物C5を用いた以外は、実施例C1と同様にして膜厚が4μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。
光学積層体の製造
120μm厚の(株)ツジデン製光拡散フィルム「商品名:D122」を使用した。この光拡散フィルムの光透過性基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであった。この光拡散フィルムの上に、表面調整層用組成物C1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの表面調整層を形成し、光学積層体を得た。
防眩層用組成物C1の調製
不定形シリカ含有塗料組成物(大日精化(株)製、商品名;「EXG40−77(Z−15M)」(不定形シリカの平均粒子径:2.5μm))を3.3g、紫外線硬化樹脂組成物(大日精化(株)製、商品名;「EXG40−77(S−2)」)を1.5g、シリコン系レベリング剤10−28を0.03g(ザ・インクテック社製)、トルエンを3.3g、及び、MIBKを1.1gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径80μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物C1を調製した。
80μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、東洋紡(株)製)を透明基材として用い、防眩層用組成物C1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるように照射をして塗膜を硬化させ、膜厚が3μmの防眩性ハードコート層を形成し、光学積層体を得た。透光性微粒子として平均粒子径が、2.5μmの不定形シリカを用いた防眩性光学積層体(AG1)である。
防眩層用組成物C2の調製
不定形シリカ含有塗料組成物(大日精化(株)製、商品名;「EXG40−77(D−30M)」(不定形シリカの平均粒子径:1.5μm))を3.5g、紫外線硬化樹脂組成物(大日精化(株)製、商品名;「EXG40−77(S−2)」)を1.6g、シリコン系レベリング剤10−28を0.03g(ザ・インクテック社製)、トルエンを3.3g、及び、MIBKを1.2gを十分混合して組成物として調製した。この組成物を孔径80μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物C2を調製した。
防眩層用組成物C2、平均粒子径が1.5μmの不定形シリカを使用した以外は、比較例C1と同様にして、防眩性光学積層体(AG)を調製した。比較例C2の防眩性光学積層体もまた不定形シリカを用いたものであった。
下記の評価試験を行いその結果を表3に記載した。
実施例Cと比較例Cの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状を光学顕微鏡(商品名OLYMPUS製BX60−F3;200倍)にて写真撮影した。その結果は図4に表された通りであった。図4によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が人間の皮膚を拡大した写真のように粗さが存在し、凹凸形状鋭利であることが理解される。
実施例Cと比較例Cの光学積層体を画像表示装置のパネルに実装し、その表面形状をAFM(商品名:走査型プローブ顕微鏡)にて写真撮影した。その結果は図5と図6に記載した通りであった。図5によれば、本発明の光学積層体であるHG1〜HG3のものは、凹凸形状のうねりが非常に滑らかであり、また凹凸形状が鋭利ではなく、表面全体に亘り、非常に緩やかな複数の丘状形状を有していることが理解される。他方、図6によれば、従来の防眩性光学積層体であるAG1は、その表面が多数の鋭利な凹凸形状で形成されていることが理解される。
実施例Cと比較例Cの光学積層体について、本明細書に定義に従って、ヘイズ値(%)、60度グロス、Sm、θa、Rzを測定し、その結果を表1に記載した。
実施例Cと比較例Cの光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、三波長蛍光下で官能評価を行って、艶黒感を下記基準によって詳細に評価した。
評価基準
評価○:艶のある黒色が再現することができた。
評価△:艶のある黒色が若干再現できたが、製品としては十分ではなかった。
評価×:艶のある黒色が再現することができなかった。
HAKUBA製ビュアー(ライトビュアー7000PRO)上に、0.7mm厚みのガラスに形成されたブラックマトリクスパターン板(105ppi)を、パターン面を下にして置き、その上に得られた光学積層体フィルムを凹凸面を空気側にして載せて、フィルムが浮かないようにフィルムの縁を指で軽く押さえながら、暗室にてギラツキを目視観察し、評価した。
評価基準
評価○:105ppiでギラツキがなく良好であった。
評価×:105ppiでギラツキがみえ不良であった。
結果
実施例C1からC6、及び比較例C1は、全て○で良好であったが、比較例C2は、ギラツキがあり、×であった。
得られた光学積層体の裏面に、黒のアクリル板を、光学性粘着剤ではり、水平な机にサンプルをおいて、机より2.5m上方にある白色蛍光灯管(32ワット×2本)のエッジ部分の映りこみを目視観察し、評価した。
評価基準
評価○:エッジが映りこまず、良好な防眩性を有した。
評価×:エッジが映りこみ、防眩性に劣った。
結果
実施例C1からC6、及び比較例C2は、全て映り込みがなく○で防眩性良好であったが、比較例C1は、蛍光灯のエッジが映り込み、防眩性×であった。
Claims (22)
- 光透過性基材と、該光透過性基材上に防眩層を備えてなる光学積層体であって、
前記防眩層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記防眩層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとし、基準長さを2.5mmとしてSm、θaおよびRzを測定した場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であり、
ただし、Smが131μm、θaが0.94度、かつRzが0.38μmである場合を除く、
前記光学積層体の表面ヘイズが0.2%以上3.5%以下である、光学積層体。 - Smが100μm以上400μm以下であり、
θaが0.1度以上0.6度以下であり、
Rzが0.2μm超過0.9μm以下である、請求項1に記載の光学積層体。 - 前記防眩層の表面に、前記防眩層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層をさらに備えてなる、請求項1または2に記載の光学積層体。
- 光透過性基材と、該光透過性基材上に、防眩層と、表面調整層とをこれらの順で備えてなる光学積層体であって、
前記表面調整層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記表面調整層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとし、基準長さを2.5mmとしてSm、θaおよびRzを測定した場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であり、
前記光学積層体の表面ヘイズが0.2%以上3.5%以下である、光学積層体。 - θaが0.1度以上0.912度以下である、請求項4に記載の光学積層体。
- Smが100μm以上400μm以下であり、
θaが0.1度以上0.6度以下であり、
Rzが0.2μm超過0.9μm以下である、請求項4に記載の光学積層体。 - Rzが0.35μm以上1μm以下である、請求項4に記載の光学積層体。
- 前記表面調整層の厚みが、0.5μm以上20μm以下である、請求項4ないし7のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記表面調整層が、帯電防止剤、屈折率調整剤、防汚染剤、撥水剤、撥油剤、指紋付着防止剤、高硬化剤および硬度調整剤からなる群から選択される一種または二種以上の混合物を含んでなる組成物により形成されてなる、請求項4ないし8のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記防眩層が、防眩層用組成物をゲル分率で30〜80%で硬化して形成されてなる、請求項4ないし8のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記防眩層の層厚が、0.5μm以上12μm以下である、請求項4ないし8のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記表面調整層の表面に、前記表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層をさらに備えてなる、請求項4ないし8のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学積層体と、前記光学積層体における前記防眩層が存在する面と反対の面に設けられた偏光素子とを備える、偏光板。
- 透過性表示体と、前記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなる画像表示装置であって、
前記透過性表示体の表面に、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学積層体、または請求項13に記載の偏光板を備えてなる、画像表示装置。 - 光透過性基材と、該光透過性基材上に光拡散層を備えてなる光学積層体であって、
前記光拡散層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記光拡散層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとし、基準長さを2.5mmとしてSm、θaおよびRzを測定した場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であり、
ただし、Smが131μm、θaが0.94度、かつRzが0.38μmである場合を除く、
前記光学積層体の表面ヘイズが0.2%以上3.5%以下である、光学積層体。 - Smが100μm以上400μm以下であり、
θaが0.1度以上0.6度以下であり、
Rzが0.2μm超過0.9μm以下である、請求項15に記載の光学積層体。 - 光透過性基材と、該光透過性基材上に、光拡散層と、表面調整層とをこれらの順で備えてなる光学積層体であって、
前記表面調整層の最表面が凹凸形状を有してなり、
前記表面調整層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとし、基準長さを2.5mmとしてSm、θaおよびRzを測定した場合に、
Smが100μm以上600μm以下であり、
θaが0.1度以上1.2度以下であり、
Rzが0.2μm超過1μm以下であり、
前記光学積層体の表面ヘイズが0.2%以上3.5%以下である、光学積層体。 - θaが0.1度以上0.604度以下である、請求項17に記載の光学積層体。
- Smが100μm以上400μm以下であり、
θaが0.1度以上0.6度以下であり、
Rzが0.2μm超過0.9μm以下である、請求項17に記載の光学積層体。 - 前記表面調整層の厚みが、0.5μm以上20μm以下である、請求項17ないし19のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 請求項15ないし20のいずれか一項に記載の光学積層体と、前記光学積層体における前記光拡散層が存在する面と反対の面に設けられた偏光素子とを備える、偏光板。
- 透過性表示体と、前記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなる画像表示装置であって、
前記透過性表示体の表面に、請求項15ないし20のいずれか一項に記載の光学積層体、または請求項21に記載の偏光板を備えてなる、画像表示装置。
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