JP5166059B2 - タイヤの設計方法及び、タイヤ。 - Google Patents
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Description
基準となる周方向溝のタイヤ幅方向内側(タイヤ赤道面側)とタイヤ幅方向外側(タイヤ赤道面から離れる側)とで発生の仕方が異なる。この基準となる周方向溝のタイヤ幅方向内側では、パターン成分が主に接地面内に生じる前後方向のせん断力によって発生する。具体的には、タイヤ外周面側から見て右上がりのラグ溝によって形成されるブロックでは進行方向に対して左方向のパターン成分が発生し、タイヤ外周面側から見て左上がりのラグ溝によって形成されるブロックでは進行方向に対して右方向のパターン成分が発生する。この基準となる周方向溝のタイヤ幅方向内側で発生するパターン成分は、ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度が半分になれば荷重当たりのパターン成分の発生量もおよそ半分となり、角度が倍になれば荷重当たりのパターン成分の発生量もおよそ倍となる。
第1ステップでは、走行路のカント角度が設定され、設定されたカント角度においてタイヤがカントを下ろうとする力がタイヤ負担荷重に応じて算出される。算出された下ろうとする力とタイヤ負担荷重との関係から傾きが求められる。
第2ステップでは、走行時に、最外層ベルトのコードのタイヤ幅方向に対する角度、外側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度、及び内側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度が発生に寄与するタイヤ進行方向と直交方向の力の合力(PRCF)とタイヤ負担荷重との関係から求められる傾きが、第1のステップで求められた傾きと等しくなるように、最外層ベルトのコードのタイヤ幅方向に対する角度、外側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度、及び内側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度が設定される。
本発明のタイヤの設計方法で設計したタイヤの第1の実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。本実施形態のタイヤは、乗用車用の空気入りラジアルタイヤ10(以下、タイヤと記載。)であり、カント角度θが平均2度の左側通行(進行方向Fに対して右上がりのカント)の国向けに設計されている。なお、タイヤサイズは195/65R15である。
図2に示されるように、ベルト18は、互いに平行に設けられた複数本のベルトコード18Cを被覆ゴム中に埋設して形成されている。ベルトコード18Cは、タイヤ赤道面CL上においてタイヤ幅方向に対して角度φで傾斜している。なお、図2は、タイヤ10をタイヤ外周側から見た平面図の部分断面図であり、本実施形態のベルトコード18Cは図2で見て右上がりに傾斜している。
図2に示されるように、トレッド20には赤道面CLを挟んで両側にタイヤ周方向に延びるセンター周方向溝30が形成され、両センター周方向溝30のタイヤ幅方向外側にはショルダー周方向溝32が形成されている。なお、本実施形態のショルダー周方向溝32は、80%正規荷重時の接地形状の接地端20Eとタイヤ赤道面CLとを2等分する線に最も近い位置(線上も含む)に設けられている。
(第1のステップ)
まず、タイヤ10を使用する走行路Rのカント角度θを設定する。次に、設定したカント角度θにおいて、タイヤ10がカントを下ろうとする力DFを、DF=Wsinθを用いて、タイヤ負担荷重Wに応じて算出する(図4参照)。そして、図5に示されるように、横軸(X軸)をタイヤ負担荷重Wとし、縦軸(Y軸)を下ろうとする力DFとして、各角度θにおける下ろうとする力DFとタイヤ負担荷重Wとの関係を示す直線を求めるとともに、この直線の傾きmを求める。
次に、走行路Rのカント方向(進行方向Fに対して右上がり、又は左上がりか)について設定する。なお、本実施形態では、走行路Rのカント方向を進行方向Fに対して右上がりに設定している。
また、80%正規荷重時の接地面とは、タイヤをJATMA YEAR BOOK(2008年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている適用リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の80%の内圧を充填し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、最大負荷能力を負荷したときのトレッドの接触面を指し、接地形状は接地面の形状を指すものである。なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
本発明によるタイヤの性能改善効果を確かめるために、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを用意し、国産乗用車A、又は国産乗用車Bに夫々装着し、各タイヤにおける車両流れを訓練されたドライバーの官能評価にて行った。なお、表1には国産乗用車Aの試験結果を示し、表2には国産乗用車Bの試験結果を示す。また、表中の評価は、◎が最も良好、○が良好、×が良好でない、ことを示している。
供試タイヤは、何れもベルトが2層構造(交錯ベルト)のタイヤを用いた。
試験に用いた実車走行路は、進行方向に対して右上がりのカントで、カント角度が1.5〜2.5度の間のばらつきを有していた。
供試タイヤを国産乗用車Aに装着した場合、タイヤ(前輪)が負担する過重は一輪当たり4.5kNであった。
供試タイヤを国産乗用車Bに装着した場合、タイヤ(前輪)が負担する過重は一輪当たり3.9kNであった。
実施例1のタイヤは、6A−Bが72.5となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
実施例2のタイヤは、6A−Bが111.6となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
実施例3のタイヤは、6A−Bが151.7となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
比較例1のタイヤは、6A−Bが60となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
比較例2のタイヤは、6A−Bが160となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
なお、実施例1〜3、及び比較例1、2のタイヤの角度φ、角度A、及び角度Bの値を表1中に示す。
実施例4のタイヤは、6A−Bが72.5となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
実施例5のタイヤは、6A−Bが111.6となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
実施例6のタイヤは、6A−Bが151.7となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
比較例3のタイヤは、6A−Bが60となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
比較例4のタイヤは、6A−Bが160となるように角度φ、角度A、及び角度Bを設定した。
なお、実施例4〜6、及び比較例3、4のタイヤの角度φ、角度A、及び角度Bの値を表2中に示す。
表1及び表2から分かるように、実施例1〜6のタイヤは車両流れが問題ないレベルである。これは、実施例1及び実施例4がカント角度θを1.5度に設定して本発明のタイヤの設計方法で設計したタイヤと同等のPRCFを発生させることができるためである。また、実施例3及び実施例6はカント角度θを2.5度に設定して本発明のタイヤの設計方法で設計したタイヤと同等のPRCFを発生させることができる。このため、試験に用いた走行路においては、良好な結果を表している。これに対して、比較例1〜4のタイヤは、カント角度θが1.5〜2.5度の範囲以外に設定されて設計されたタイヤのため、PRCFの発生量が適正値でなく、車両流れが生じている。なお、実施例2及び実施例5のタイヤはカント角度θを2度に設定して本発明のタイヤの設計方法で設計したタイヤと同等のPRCFを発生させることができるため、最も良好な結果が得られている。
18 ベルト
18C ベルトコード(ベルトのコード)
20 トレッド
30 センター周方向溝(周方向溝)
32 ショルダー周方向溝(周方向溝)
40 第1センターラグ溝(ラグ溝)
42 第2センターラグ溝(ラグ溝)
44 ショルダーラグ溝(ラグ溝)
50 第1センターブロック(ブロック)
52 第2センターブロック(ブロック)
54 ショルダーブロック(ブロック)
A 角度
B 角度
φ 角度
DF 下ろうとする力
F 進行方向
PRCF 残留コーナリングフォース(合力)
R 走行路
W タイヤ負担荷重
θ カント角度
Claims (2)
- 複数の周方向溝、及び前記周方向溝と交差する複数のラグ溝で区画された複数のブロックを有するトレッドと、
前記トレッドのタイヤ径方向内側に設けられ、互いに平行に設けられた複数本のコードを有する少なくとも1枚のベルトと、を備えるタイヤの設計方法であって、
走行路のカント角度を設定し、設定した前記カント角度においてタイヤがカントを下ろうとする力をタイヤ負担荷重に応じて算出し、算出した前記下ろうとする力とタイヤ負担荷重との関係から傾きを求める第1のステップと、
走行時に、最外層の前記ベルトのコードのタイヤ幅方向に対する角度、タイヤ幅方向の最外側ブロックを区画する外側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度、及び前記最外側ブロックよりもタイヤ幅方向内側の内側ブロックを区画する内側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度が発生に寄与するタイヤ進行方向と直交方向の力の合力とタイヤ負担荷重との関係から求められる傾きが、前記第1のステップで求められた傾きと等しくなるように、最外層の前記ベルトのコードのタイヤ幅方向に対する角度、前記外側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度、及び前記内側ラグ溝のタイヤ幅方向に対する角度を設定する第2のステップと、
を有することを特徴とするタイヤの設計方法。 - 請求項1に記載のタイヤの設計方法によって設計されたことを特徴とするタイヤ。
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