JP5157317B2 - 有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、有機EL素子と略称する)を発光素子として用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、有機EL表示装置と略称する)において、有機EL素子の輝度は、有機EL素子を流れる電流値によって制御される。そして、液晶表示装置と同様に、有機EL表示装置においても、駆動方式として、単純マトリクス方式、及び、アクティブマトリクス方式が周知である。アクティブマトリクス方式は、単純マトリクス方式に比べて構造が複雑となるといった欠点はあるが、画像の輝度を高いものとすることができる等、種々の利点を有する。
有機EL素子を構成する有機エレクトロルミネッセンス発光部(以下、単に、発光部と略称する)を駆動するための回路として、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部から構成された駆動回路(5Tr/1C駆動回路と呼ぶ)が、例えば、特開2006−215213号公報から周知である。5Tr/1C駆動回路は、図12に示すように、映像信号書込みトランジスタTSig、駆動トランジスタTDrv、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2の5つのトランジスタから構成され、更には、1つのコンデンサ部C1から構成されている。ここで、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域は第2ノードND2を構成し、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は第1ノードND1を構成する。
尚、これらのトランジスタ及びコンデンサ部については、後に詳しく説明する。
例えば、各トランジスタはnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)から成り、発光部ELPは、駆動回路を覆うように形成された層間絶縁層等の上に設けられている。発光部ELPのアノード電極は、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCat(例えば、0ボルト)が印加される。符号CELは発光部ELPの寄生容量を表す。
有機EL表示装置は、図13に概念図を示すように、
(1)走査回路101、
(2)映像信号出力回路102、
(3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向(具体的には、第1の方向に直交する方向)にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列され、それぞれが有機エレクトロルミネッセンス発光部ELP、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部ELPを駆動するための駆動回路を備えている有機エレクトロルミネッセンス素子10、
(4)走査回路101に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線SCL、
(5)映像信号出力回路102に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線DTL、
(6)電流供給部100、
(7)発光制御トランジスタ制御回路103、
(8)第1ノード初期化トランジスタ制御回路104、並びに、
(9)第2ノード初期化トランジスタ制御回路105、
を備えている。尚、図13においては、便宜のため3×3個の有機EL素子10を示したが、これは単なる例示に過ぎない。
各有機エレクトロルミネッセンス素子10における駆動のタイミングチャートを模式的に図14に示し、各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図15の(A)〜(D)及び図16の(A)〜(E)に示す。図14に示すように、[期間−TP(5)1]において、閾値電圧キャンセル処理を行うための前処理が実行される。即ち、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104及び第2ノード初期化トランジスタ制御回路105の動作に基づき、第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1及び第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2をハイレベルとする。これにより、図15の(B)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2をオン状態とすることで、第1ノードND1の電位は、VOfs(例えば、0ボルト)となる。一方、第2ノードND2の電位は、VSS(例えば、−10ボルト)となる。そして、これによって、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差が、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth以上となる。駆動トランジスタTDrvはオン状態である。
次いで、図14に示すように、[期間−TP(5)2]において、閾値電圧キャンセル処理が行われる。図15の(D)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、[期間−TP(5)2]の始期において発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをハイレベルとする。これにより、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位は変化する。即ち、浮遊状態の第2ノードND2の電位が上昇する。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差がVthに達すると、駆動トランジスタTDrvがオフ状態となる。この状態にあっては、第2ノードの電位は、概ね(VOfs−Vth)である。その後、[期間−TP(5)3]において、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをローレベルとし、発光制御トランジスタTEL_Cをオフ状態とする。次に、[期間−TP(5)4]において、第1ノード初期化トランジスタ制御回路104の動作に基づき第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1をローレベルとすることによって、第1ノード初期化トランジスタTND1をオフ状態とする。
次いで、図14に示すように、[期間−TP(5)5]において、駆動トランジスタTDrvに対する書込み処理を行う。具体的には、図16の(C)に示すように、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cのオフ状態を維持したまま、データ線DTLの電位を映像信号に相当する電圧[発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号(駆動信号、輝度信号)VSig]とし、次いで、走査線SCLをハイレベルとすることによって映像信号書込みトランジスタTSigをオン状態とする。その結果、第1ノードND1の電位は、VSigへと上昇する。第1ノードND1の電位の変化分に基づく電荷は、コンデンサ部C1、発光部ELPの寄生容量CEL、駆動トランジスタTDrvにおけるゲート電極と発光部ELP側のソース/ドレイン領域との間の寄生容量に振り分けられる。従って、第1ノードND1の電位が変化すると、第2ノードND2の電位も変化する。しかし、発光部ELPの寄生容量CELの容量値が大きな値である程、第2ノードND2の電位の変化は小さくなる。そして、一般に、発光部ELPの寄生容量CELの容量値は、コンデンサ部C1の容量値及び駆動トランジスタTDRVの寄生容量の値よりも大きい。そこで、第2ノードND2の電位は殆ど変化しないとすれば、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、以下の式(A)のとおりとなる。
gs≒VSig−(VOfs−Vth) (A)
その後、図14に示すように、[期間−TP(5)6]において、駆動トランジスタTDrvの特性(例えば、移動度μの大小等)に応じて駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域の電位(即ち、第2ノードND2の電位)を上昇させる移動度補正処理を行う。具体的には、図16の(D)に示すように、駆動トランジスタTDrvのオン状態を維持したまま、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とし、次いで、所定の時間(t0)が経過した後、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とする。その結果、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は大きくなり、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は小さくなる。ここで、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、式(A)から以下の式(B)のように変形される。尚、移動度補正処理を実行するための所定の時間([期間−TP(5)6]の全時間t0)は、有機EL表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。
gs≒VSig−(VOfs−Vth)−ΔV (B)
以上の操作によって、閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理が完了する。そして、その後の[期間−TP(5)7]において、映像信号書込みトランジスタTSigがオフ状態となり、第1ノードND1、即ち、図16の(E)に示すように、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は浮遊状態となる一方、発光制御トランジスタTEL_Cはオン状態を維持しており、発光制御トランジスタTEL_Cの一方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPの発光を制御するための電流供給部(電圧VCC、例えば20ボルト)に接続された状態にある。従って、以上の結果として、第2ノードND2の電位が上昇し、所謂ブートストラップ回路におけると同様の現象が駆動トランジスタTDrvのゲート電極に生じ、第1ノードND1の電位も上昇する。その結果、駆動トランジスタTDrvのゲート電極と他方のソース/ドレイン領域との間の電位差Vgsは、式(B)の値を保持する。また、発光部ELPを流れる電流は、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域からソース領域へと流れるドレイン電流Idsであるので、式(C)で表すことができる。発光部ELPは、ドレイン電流Idsの値に応じた輝度で発光する。
ds=k・μ・(Vgs−Vth2
=k・μ・(VSig−VOfs−ΔV)2 (C)
以上に概要を説明した5Tr/1C駆動回路の駆動等についても、後に詳しく説明する。
特開2006−215213号公報
以上説明したように、図13に示す従来の有機EL表示装置にあっては、走査回路、映像信号出力回路、発光制御トランジスタ制御回路の他、第1ノード初期化トランジスタ制御回路、及び、第2ノード初期化トランジスタ制御回路を用いて、有機EL素子を制御している。有機EL表示装置の製造の容易化や歩留まりの向上等を図る観点からは、有機EL素子を制御するために用いられる回路の種類は、少ないことが望ましい。
従って、本発明の目的は、有機EL素子を制御するための回路を削減することができる有機EL表示装置、及び、係る有機EL表示装置を用いた有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法に用いられる有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、これらを単に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置と呼ぶ場合がある)は、
(1)走査回路、
(2)映像信号出力回路、
(3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列され、それぞれが有機エレクトロルミネッセンス発光部、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を備えている有機エレクトロルミネッセンス素子、
(4)走査回路に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線、
(5)映像信号出力回路に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線、並びに、
(6)電流供給部、
を備えている。
上述した有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路は、
(A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた駆動トランジスタ、
(B)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタ、
(C)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた発光制御トランジスタ、
(D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、
(E)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ、並びに、
(F)一対の電極を備えたコンデンサ部、
から構成されており、
駆動トランジスタにおいては、
(A−1)一方のソース/ドレイン領域は、発光制御トランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続されており、
(A−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部の一方の電極に接続されており、第2ノードを構成し、
(A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部の他方の電極に接続されており、第1ノードを構成し、 映像信号書込みトランジスタにおいては、
(B−1)一方のソース/ドレイン領域は、データ線に接続されており、
発光制御トランジスタにおいては、
(C−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部に接続されており、
(C−2)ゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線に接続されており、
第1ノード初期化トランジスタにおいては、
(D−1)一方のソース/ドレイン領域は、第1ノード初期化電圧供給線に接続されており、
(D−2)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードに接続されており、
第2ノード初期化トランジスタにおいては、
(E−1)一方のソース/ドレイン領域は、第2ノード初期化電圧供給線に接続されており、
(E−2)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードに接続されている。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置にあっては、第m番目(但し、m=1,2・・・,M)の走査線をSCLm、該走査線SCLmよりも第P本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_P、該走査線SCLmよりも第Q本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_Q(但し、PとQは、1<P<Q<Mの関係を満たし、有機エレクトロルミネッセンス表示装置において所定の値)と表すとき、第m行目の有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCLmに接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Pに接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Qに接続されていることを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置にあっては、走査回路の動作に基づき各走査線は順次走査されると共に、各走査線が走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しない条件を満たしていることを特徴とする。
そして、上記の目的を達成するための本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法(以下、単に、本発明の駆動方法と呼ぶ場合がある)は、
(a)第1ノードと第2ノードとの間の電位差が、駆動トランジスタの閾値電圧を越え、且つ、第2ノードと有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたカソード電極との間の電位差が、有機エレクトロルミネッセンス発光部の閾値電圧を越えないように、走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、走査線SCLm_pre_Qからの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタを介して、第2ノード初期化電圧供給線から第2ノードに第2ノード初期化電圧を印加する前処理を行い、次いで、
(b)走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態を維持した第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加した状態で、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタを介して駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させ、以て、第1ノードの電位を保った状態で、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行い、その後、
(c)走査線SCLmからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタを介して、データ線から映像信号を第1ノードに印加する書込み処理を行い、次いで、
(d)走査線SCLmからの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とすることにより第1ノードを浮遊状態とし、電流供給部から、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタと駆動トランジスタとを介して、第1ノードと第2ノードとの間の電位差の値に応じた電流を有機エレクトロルミネッセンス発光部に流す、
工程から成ることを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、有機EL表示装置と呼ぶ場合がある)にあっては、第m行目の有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCLmに接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Pに接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Qに接続されている。従って、背景技術において説明した第1ノード初期化トランジスタ制御回路、及び、第2ノード初期化トランジスタ制御回路を必要としない。これにより、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、有機EL素子と呼ぶ場合がある)を制御するための回路を削減することができる。
また、本発明の有機EL表示装置にあっては、各走査線が走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複する。これにより、本発明の駆動方法にあっては、上記の重複期間において、第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタとが共にオン状態となり、背景技術において説明した閾値電圧キャンセル処理を行うための前処理を支障なく行うことができる。また、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しないので、前処理に引き続く各種の処理を背景技術において説明したと同様に行うことができる。従って、表示画像の品質に何ら影響を与えることがない。
上述したように、本発明の有機EL表示装置にあっては、第m行目の有機EL素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCLmに接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Pに接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Qに接続されている。上述したP、Qの値は、各走査線が走査される所定の長さに固定された期間が、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しない条件を満たすことを妨げない限り、有機EL表示装置の設計に応じて適宜設定することができる。尚、第m行目の有機EL素子から走査線SCLm_pre_P,SCLm_pre_Qへ至る配線の長さは、P、Qの値が大きい程、長くなる。有機EL表示装置の製造上、走査線SCLm_pre_P,SCLm_pre_Qへ至る配線の長さは、できるだけ短いことが望ましい。上記の観点からは、P=2、且つ、Q=3とする構成であることが好ましい。
本発明の駆動方法にあっては、工程(b)において、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行なう。定性的には、閾値電圧キャンセル処理において、第1ノードと第2ノードとの間の電位差(換言すれば、駆動トランジスタのゲート電極とソース領域との間の電位差)が駆動トランジスタの閾値電圧に近づく程度は、閾値電圧キャンセル処理の時間により左右される。従って、例えば閾値電圧キャンセル処理の時間を充分長く確保した形態にあっては、第2ノードの電位は第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に達する。そして、第1ノードと第2ノードとの間の電位差は駆動トランジスタの閾値電圧に達し、駆動トランジスタはオフ状態となる。一方、例えば閾値電圧キャンセル処理の時間を短く設定せざるを得ない形態にあっては、第1ノードと第2ノードとの間の電位差が駆動トランジスタの閾値電圧より大きく、駆動トランジスタはオフ状態とはならない場合がある。本発明の駆動方法にあっては、閾値電圧キャンセル処理の結果として、必ずしも駆動トランジスタがオフ状態となることを要しない。
尚、工程(b)において、第1ノードの電位を保った状態で、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させるには、前記工程(a)における第2ノードの電位に駆動トランジスタの閾値電圧を加えた電圧を超える電圧を電流供給部から駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域に印加すればよい。
本発明の駆動方法にあっては、工程(d)において、走査線からの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とする。この時期と、発光制御トランジスタ制御線からの信号により発光制御トランジスタをオン状態とする時期との先後関係は、有機EL表示装置の設計に応じて適宜設定することができる。例えば、映像信号書込みトランジスタをオフ状態とした後、直ちに、あるいは、所定の間隔を空けて、発光制御トランジスタをオン状態とする態様であってもよいし、発光制御トランジスタをオン状態とした後、映像信号書込みトランジスタをオフ状態とする態様であってもよい。尚、発光制御トランジスタをオン状態とした後、映像信号書込みトランジスタをオフ状態とする態様にあっては、発光制御トランジスタと映像信号書込みトランジスタとが共にオン状態となる期間が存在する。この期間において、駆動トランジスタの特性に応じて第2ノードの電位を上昇させる移動度補正処理の動作が行われる。尚、発光制御トランジスタをオン状態とした状態で、工程(c)を行う構成とすることもできる。この構成にあっては、書込み処理において実質的に移動度補正処理が併せて行なわれる。
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の有機EL表示装置、及び、本発明の駆動方法、(以下、これらを単に、本発明と略称する場合がある)において、走査回路、映像信号出力回路等の各種の回路、走査線、データ線等の各種の配線、電流供給部、有機エレクトロルミネッセンス発光部(以下、単に、発光部と呼ぶ場合がある)の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。具体的には、発光部は、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等から構成することができる。
有機EL素子を構成する駆動回路は、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部から構成された駆動回路(5Tr/1C駆動回路)である。駆動回路の詳細は後述する。
駆動回路を構成するトランジスタとして、nチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT)を挙げることができるが、場合によっては、例えば、発光制御トランジスタや映像信号書込みトランジスタ等にpチャネル型の薄膜トランジスタを用いることもできる。コンデンサ部は、一方の電極、他方の電極、及び、これらの電極に挟まれた誘電体層(絶縁層)から構成することができる。駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部は、或る平面内に形成され(例えば、支持体上に形成され)、発光部は、例えば、層間絶縁層を介して、駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部の上方に形成されている。また、駆動トランジスタの他方のソース/ドレイン領域は、発光部に備えられたアノード電極に、例えば、コンタクトホールを介して接続されている。尚、半導体基板等にトランジスタを形成した構成であってもよい。
本発明の有機EL表示装置にあっては、第m行目の有機EL素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCLmに接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Pに接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCLm_pre_Qに接続されている。即ち、背景技術において説明した第1ノード初期化トランジスタ制御回路、及び、第2ノード初期化トランジスタ制御回路を必要としない。これにより、有機EL素子を制御するための回路を削減することができる。また、本発明の有機EL表示装置にあっては、各走査線が走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複する。これにより、本発明の駆動方法にあっては、上記の重複期間において、第1ノード初期化トランジスタと第2ノード初期化トランジスタとが共にオン状態となり、背景技術において説明した閾値電圧キャンセル処理を行うための前処理を支障なく行うことができる。また、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しないので、前処理に引き続く各種の処理を背景技術において説明したと同様に行うことができる。従って、表示画像の品質に何ら影響を与えることがない。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例の有機EL表示装置は、図1に概念図を示すように、
(1)走査回路101、
(2)映像信号出力回路102、
(3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向(具体的には、第1の方向に直交する方向)にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列され、それぞれが発光部ELP、及び、発光部ELPを駆動するための駆動回路を備えている有機EL素子10、
(4)走査回路101に接続され、第1の方向に延びるM本の走査線SCL、
(5)映像信号出力回路102に接続され、第2の方向に延びるN本のデータ線DTL、並びに、
(6)電流供給部100、
を備えている。尚、図1においては、3×3個の有機EL素子10を図示しているが、これは、あくまでも例示に過ぎない。
上述したように、各有機EL素子10は、駆動回路、及び、発光部ELPを備えている。ここで、発光部ELPは、例えば、アノード電極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソード電極等の周知の構成、構造を有する。また、走査線SCLの一端に走査回路101が設けられている。更には、走査回路101、映像信号出力回路102、走査線SCL、データ線DTL、電流供給部100の構成、構造は、周知の構成、構造とすることができる。
駆動回路は、5つのトランジスタと1つのコンデンサ部C1から構成された駆動回路(5Tr/1C駆動回路)である。即ち、実施例の駆動回路は、図2に示すように、(A)駆動トランジスタTDrv、(B)映像信号書込みトランジスタTSig、(C)発光制御トランジスタTEL_C、(D)第1ノード初期化トランジスタTND1、(E)第2ノード初期化トランジスタTND2、並びに、(F)一対の電極を備えたコンデンサ部C1を備えた駆動回路である。
上述した駆動トランジスタTDrv、映像信号書込みトランジスタTSig、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、及び、第2ノード初期化トランジスタTND2は、それぞれ、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた、nチャネル型のTFTから成る。尚、映像信号書込みトランジスタTSig、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、及び、第2ノード初期化トランジスタTND2をpチャネル型のTFTから形成してもよい。
図3に有機EL素子10の一部分の模式的な一部断面図を示す。有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタ及びコンデンサ部C1は支持体20上に形成され、発光部ELPは、例えば、層間絶縁層40を介して、駆動回路を構成するトランジスタ及びコンデンサ部C1の上方に形成されている。また、駆動トランジスタTDrvのソース領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に、コンタクトホールを介して接続されている。尚、図3においては、駆動トランジスタTDrvのみを図示する。駆動トランジスタTDrv以外のトランジスタは隠れて見えない。
より具体的には、駆動トランジスタTDrvは、ゲート電極31、ゲート絶縁層32、半導体層33、半導体層33に設けられたソース/ドレイン領域35、及び、ソース/ドレイン領域35の間の半導体層33の部分が該当するチャネル形成領域34から構成されている。一方、コンデンサ部C1は、他方の電極36、ゲート絶縁層32の延在部から構成された誘電体層、及び、一方の電極37(第2ノードND2に相当する)から成る。ゲート電極31、ゲート絶縁層32の一部、及び、コンデンサ部C1を構成する他方の電極36は、支持体20上に形成されている。駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域35は配線38に接続され、他方のソース/ドレイン領域35は一方の電極37(第2ノードND2に相当する)に接続されている。駆動トランジスタTDrv及びコンデンサ部C1等は、層間絶縁層40で覆われており、層間絶縁層40上に、アノード電極51、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び、カソード電極53から成る発光部ELPが設けられている。尚、図面においては、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層を1層52で表した。発光部ELPが設けられていない層間絶縁層40の部分の上には、第2層間絶縁層54が設けられ、第2層間絶縁層54及びカソード電極53上には透明な基板21が配置されており、発光層にて発光した光は、基板21を通過して、外部に出射される。尚、一方の電極37(第2ノードND2)とアノード電極51とは、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホールによって接続されている。また、カソード電極53は、第2層間絶縁層54、層間絶縁層40に設けられたコンタクトホール56,55を介して、ゲート絶縁層32の延在部上に設けられた配線39に接続されている。
以上、有機EL素子10の構造を簡単に説明した。次いで、有機EL素子10の駆動回路を構成するトランジスタ等の接続について説明する。
図2に示すように、駆動トランジスタTDrvにおいては、
(A−1)一方のソース/ドレイン領域は、発光制御トランジスタTEL_Cの他方のソース/ドレイン領域に接続されており、
(A−2)他方のソース/ドレイン領域は、発光部ELPに備えられたアノード電極に接続され、且つ、コンデンサ部C1の一方の電極に接続されており、第2ノードND2を構成し、
(A−3)ゲート電極は、映像信号書込みトランジスタTSigの他方のソース/ドレイン領域に接続され、且つ、コンデンサ部C1の他方の電極に接続されており、第1ノードND1を構成する。
また、映像信号書込みトランジスタにおいては、一方のソース/ドレイン領域は、データ線DTLに接続されている。
そして、発光制御トランジスタTEL_Cにおいては、
(C−1)一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部100に接続されており、
(C−2)ゲート電極は、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cに接続されている。尚、発光制御トランジスタTEL_Cのゲート電極の接続については、後程、図4や図5を参照して改めて説明する。
また、第1ノード初期化トランジスタにおいては、
(D−1)一方のソース/ドレイン領域は、第1ノード初期化電圧供給線PSND1に接続されており、
(D−2)他方のソース/ドレイン領域は、第1ノードND1に接続されている。
そして、第2ノード初期化トランジスタにおいては、
(E−1)一方のソース/ドレイン領域は、第2ノード初期化電圧供給線PSND2に接続されており、
(E−2)他方のソース/ドレイン領域は、第2ノードND2に接続されている。
以上、有機EL素子10の駆動回路を構成するトランジスタ等の接続の概要を説明した。
尚、図13を参照して説明した従来の有機EL表示装置は、有機EL素子の駆動回路において、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極が第1ノード初期化トランジスタ制御回路に接続され、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極が第1ノード初期化トランジスタ制御回路に接続される点が相違する他、上記で説明したと同様の構成を有する。
次いで、実施例の有機EL表示装置における各有機EL素子10の映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cの各ゲート電極の接続について説明する。
以下の説明において、実施例の有機EL表示装置における第m番目(但し、m=1,2・・・,M)の走査線をSCLmと表す。また、記載の便宜のため、第m番目の発光制御トランジスタ制御線CLEL_CをCLmと表す。後述する図6に示すように、実施例の有機EL表示装置にあっては、走査回路101の動作に基づき、走査線SCL1乃至SCLMの順に、各走査線SCLは順次走査される。
図1に示すように、実施例の有機EL表示装置にあっては、有機EL素子10を構成する駆動回路において、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極は第P本分先行して走査される走査線SCLに接続されており、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極は第Q本分先行して走査される走査線SCLに接続されている。
実施例の有機EL表示装置にあっては、第m番目の走査線SCLmよりも第P本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_P、該走査線SCLmよりも第Q本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_Q(但し、PとQは、1<P<Q<Mの関係を満たし、有機EL表示装置において所定の値)と表すとき、第m行目の有機EL素子10を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタTSigのゲート電極は走査線SCLmに接続されており、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極は走査線SCLm_pre_Pに接続されており、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極は走査線SCLm_pre_Qに接続されている。
より具体的には、実施例の有機EL表示装置にあっては、P=2、且つ、Q=3である。図4は、実施例の有機EL表示装置において、有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのゲート電極の配線を模式的に示した図である。尚、図5は、図4から主に第m行目の有機EL素子10に関係する部分を抜き出した図である。図4や図5に示すように、第m行目の有機EL素子10を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタTSigのゲート電極は走査線SCLmに接続されている。そして、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極は、走査線SCLmよりも第P本分(実施例においては第2本分)先行して走査される走査線SCLm_pre_Pに対応する走査線SCLm-2に接続されている。また、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極は、走査線SCLmよりも第Q本分(実施例においては第3本分)先行して走査される走査線SCLm_pre_Qに対応する走査線SCLm-3に接続されている。また、発光制御トランジスタTEL_Cのゲート電極は、第m番目の発光制御トランジスタ制御線CLEL_CであるCLmに接続されている。
上述したように、実施例の有機EL表示装置にあっては、走査線SCL1乃至SCLMの順に各走査線SCLは順次走査される。従って、P=2、且つ、Q=3であるとき、第1行目の有機EL素子10を構成する駆動回路においては、第Q本分先行して走査される走査線SCLm_pre_Qは走査線SCLM-2であり、第P本分先行して走査される走査線SCLm_pre_Pは走査線SCLM-1である。図4に示す配線Cは図示せぬ走査線SCLM-2に接続され、配線Eは走査線SCLM-1に接続されている。同様に、図示せぬ第3行目の有機EL素子10を構成する駆動回路における配線Aは走査線SCLMに接続されている。第2行目の有機EL素子10を構成する駆動回路における配線Bは、走査線SCLM-1に接続され、配線Dは、走査線SCLMに接続されている。尚、画像表示に寄与しないダミーの走査線を走査線SCL1の前段(例えば、走査線SCL0,SCL-1,SCL-2等)に形成しておき、これらのダミーの走査線を含めて順次走査し、走査線SCLm_pre_PやSCLm_pre_Qがこれらのダミーの走査線に対応する構成とすることもできる。
以上、実施例の有機EL表示装置における各有機EL素子10の映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cの各ゲート電極の接続について説明した。次いで、走査線SCLにおける信号、及び、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cにおける信号について説明する。
図6は、実施例の有機EL表示装置の走査線SCLと発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cにおける信号の模式的なタイミングチャートである。図6に示すように、或るフレーム、例えば、第U番目のフレームは、期間T1〜期間TMで形成される。期間T1を含む図6に示す各期間の長さは、所謂水平走査期間(1H)である。期間T1前の状態は前フレーム(即ち、第(U−1)番目のフレーム)の形成中の状態であり、第(U−1)番目のフレームにおける期間TM以前の状態である。同様に期間TM後の状態は、後フレーム(即ち、第(U+1)番目のフレーム)の形成中の状態である。尚、図6においては、便宜のため、第(U−1)番目、第(U+1)番目のフレームにおける各期間の表記を省略した。他の図面においても同様である。
実施例の有機エレクトロルミネッセンス表示装置にあっては、走査回路101の動作に基づき各走査線SCLは順次走査される。そして、各走査線SCLが走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しない条件を満たしている。以下、図6を参照して詳しく説明する。
実施例の有機EL表示装置にあっては、各走査線SCLに印加される走査パルスの固定された長さを、所謂水平走査期間(1H)の略1.5倍の長さとした。より具体的には、図6に示すように、走査線SCLmに印加される走査パルスは、期間Tmの始期よりも水平走査期間(1H)の略半分先行して立ち上がり、期間Tmの終期で立ち下がる。他の走査線SCLについても同様に、走査パルスは本来の期間よりも水平走査期間(1H)の略半分先行して立ち上がる。
これにより、図6に示すように、走査線SCLm_pre_Q(実施例においては走査線SCLm-3)が走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_P(実施例においては走査線SCLm-2)が走査される期間の一部とが重複する。また、走査パルスが先行して立ち上がる期間の長さは水平走査期間(1H)未満であるから、走査線SCLm_pre_P(実施例においては走査線SCLm-2)が走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とは重複しない。
尚、走査パルスの立ち上がりが、水平走査期間(1H)以上先行して立ち上がる構成とすることもできる。例えば、走査パルスの立ち上がりが、水平走査期間(1H)の2倍先行して立ち上がる構成とすることもできる。但し、その場合には、走査線SCLm-2が走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複し、上記の条件を満たさない。従って、上述した条件、即ち、走査線SCLm_pre_Qが走査される期間の一部と走査線SCLm_pre_Pが走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCLm_pre_Pが走査される期間と走査線SCLmが走査される期間とが重複しない条件を満たすP、Qを、改めて選択する必要がある。
また、図6に示すように、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cには、所定の波形の信号が印加される。発光制御トランジスタ制御線CLm-1における信号の波形と、発光制御トランジスタ制御線CLm1における信号の波形とは、立ち上がり/立ち下がりが水平走査期間(1H)ずれている点を除く他、同様の形状である。尚、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cの信号の変化の詳細は、後述する有機EL素子10の動作の説明において述べる。
以上、走査線SCLにおける信号、及び、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cにおける信号について説明した。次いで、図6に示す信号と、各行における有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態との関係について、概要を簡単に説明する。
上述したように、実施例においては、有機EL素子10の駆動回路を構成する駆動トランジスタTDrv、映像信号書込みトランジスタTSig、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、及び、第2ノード初期化トランジスタTND2は、nチャネル型のTFTから成る。従って、ゲート電極がハイレベルであればトランジスタはオン状態となる。また、ゲート電極がローレベルであればトランジスタはオフ状態となる。従って、各トランジスタのオン/オフ状態の変化は、各トランジスタのゲート電極の信号の形状に倣う。
図7は、図4に示す有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのゲート電極の配線と、図6に示す走査線SCLと発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cにおける信号の模式的なタイミングチャートに基づき、有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態を模式的に示した図である。図7においては、第(m−3)行目乃至第m行目の有機EL素子10の駆動回路を構成する映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、及び、発光制御トランジスタTEL_Cのオン/オフ状態を示した。
以上、図6に示す信号と、各行における有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態との関係について簡単に説明した。
次いで、実施例の発光部ELPの駆動方法を説明する。
有機EL表示装置は、(N/3)×M個の2次元マトリクス状に配列された画素から構成されているが、以下の説明において、1つの画素は、3つの副画素(赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、青色を発光する青色発光副画素)から構成されているとする。また、各画素を構成する有機EL素子10は、上述したように線順次駆動され、表示フレームレートをFR(回/秒)とする。即ち、第m行目(但し、m=1,2,3・・・M)に配列された(N/3)個の画素、より具体的には、N個の副画素のそれぞれを構成する有機EL素子10が同時に駆動される。換言すれば、1つの行を構成する各有機EL素子10にあっては、その発光/非発光のタイミングは、それらが属する行単位で制御される。尚、1つの行を構成する各画素について映像信号を書き込む処理は、全ての画素について同時に映像信号を書き込む処理(以下、単に、同時書込み処理と呼ぶ場合がある)であってもよいし、各画素毎に順次映像信号を書き込む処理(以下、単に、順次書込み処理と呼ぶ場合がある)であってもよい。いずれの書込み処理とするかは、駆動回路の構成に応じて適宜選択すればよい。
ここで、原則として、第m行目、第n列(但し、n=1,2,3・・・N)に位置する有機EL素子10に関する駆動、動作を説明するが、係る有機EL素子10を、以下、第(n,m)番目の有機EL素子10あるいは第(n,m)番目の副画素と呼ぶ。そして、第m行目に配列された各有機EL素子10の水平走査期間(第m番目の水平走査期間)が終了するまでに、各種の処理(後述する閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理)が行われる。
そして、上述した各種の処理が全て終了した後、第m行目に配列された各有機EL素子10を構成する発光部ELPを発光させる。尚、上述した各種の処理が全て終了した後、直ちに発光部ELPを発光させてもよいし、所定の期間(例えば、所定の行数分の水平走査期間)が経過した後に発光部ELPを発光させてもよい。この所定の期間は、有機EL表示装置の仕様や駆動回路の構成等に応じて、適宜設定することができる。尚、以下の説明においては、説明の便宜のため、各種の処理終了後、直ちに発光部ELPを発光させるものとする。そして、第m行目に配列された各有機EL素子10を構成する発光部ELPの発光は、第(m+m’)行目に配列された各有機EL素子10の水平走査期間の開始直前まで継続される。ここで、「m’」は、有機EL表示装置の設計仕様によって決定される。即ち、或る表示フレームの第m行目に配列された各有機EL素子10を構成する発光部ELPの発光は、第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続される。一方、第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、次の表示フレームにおける第m番目の水平走査期間内において書込み処理や移動度補正処理が完了するまで、第m行目に配列された各有機EL素子10を構成する発光部ELPは、非発光状態を維持する。上述した非発光状態の期間(以下、単に、非発光期間と呼ぶ場合がある)を設けることにより、アクティブマトリクス駆動に伴う残像ボケが低減され、動画品位をより優れたものとすることができる。但し、各副画素(有機EL素子10)の発光状態/非発光状態は、以上に説明した状態に限定するものではない。また、水平走査期間の時間長は、(1/FR)×(1/M)秒未満の時間長である。(m+m’)の値がMを越える場合、越えた分の水平走査期間は、次の表示フレームにおいて処理される。
1つのトランジスタの有する2つのソース/ドレイン領域において、「一方のソース/ドレイン領域」という用語を、電源部に接続された側のソース/ドレイン領域といった意味において使用する場合がある。また、トランジスタがオン状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されている状態を意味する。係るトランジスタの一方のソース/ドレイン領域から他方のソース/ドレイン領域に電流が流れているか否かは問わない。一方、トランジスタがオフ状態にあるとは、ソース/ドレイン領域間にチャネルが形成されていない状態を意味する。また、或るトランジスタのソース/ドレイン領域が他のトランジスタのソース/ドレイン領域に接続されているとは、或るトランジスタのソース/ドレイン領域と他のトランジスタのソース/ドレイン領域とが同じ領域を占めている形態を包含する。更には、ソース/ドレイン領域は、不純物を含有したポリシリコンやアモルファスシリコン等の導電性物質から構成することができるだけでなく、金属、合金、導電性粒子、これらの積層構造、有機材料(導電性高分子)から成る層から構成することができる。また、以下の説明で用いるタイミングチャートにおいて、各期間を示す横軸の長さ(時間長)は模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
図8の(A)に、第(n,m)番目の有機EL素子10における映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、発光制御トランジスタTEL_Cの各ゲート電極の信号を模式的に示す。図8の(A)に示すように、映像信号書込みトランジスタTSigのゲート電極には、図6に示す走査線SCLmの信号が印加され、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極には、図6に示す走査線SCLm-2の信号が印加され、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極には、走査線SCLm-3の信号が印加される。上述したように、各トランジスタのオン/オフ状態の変化は、各トランジスタのゲート電極の信号の形状に倣う。図8の(B)に、有機EL素子10における映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、発光制御トランジスタTEL_Cのオン/オフ状態を示す。
図9に、図8の(B)に示す映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2、発光制御トランジスタTEL_Cのオン/オフ状態のタイミングチャートと、有機EL素子10を構成する駆動回路における第1ノードND1の電位と、第2ノードND2の電位とを合わせて示した。即ち、図9は、第(n,m)番目の有機EL素子10の駆動のタイミングチャートの模式図である。
実施例の駆動方法においては、
(a)第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差が、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを越え、且つ、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差が、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELを越えないように、走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、第1ノード初期化電圧供給線PSND1から第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、走査線SCLm_pre_Qからの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタTND2を介して、第2ノード初期化電圧供給線PSND2から第2ノードND2に第2ノード初期化電圧を印加する前処理を行い、次いで、
(b)走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態を維持した第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、第1ノード初期化電圧供給線PSND1から第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加した状態で、発光制御トランジスタ制御線CLmからの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cを介して駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部100と導通させ、以て、第1ノードND1の電位を保った状態で、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位を変化させる閾値電圧キャンセル処理を行い、その後、
(c)走査線SCLmからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介して、データ線DTLから映像信号を第1ノードND1に印加する書込み処理を行い、次いで、
(d)走査線SCLmからの信号により映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とすることにより第1ノードND1を浮遊状態とし、電流供給部100から、発光制御トランジスタ制御線CLmからの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cと駆動トランジスタTDrvとを介して、第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差の値に応じた電流を発光部ELPに流すことにより、発光部ELPを駆動する。
上述したように、5Tr/1C駆動回路の等価回路図を図2に示し、有機EL表示装置の概念図を図1に示し、駆動のタイミングチャートを模式的に図9に示した。また、有機EL素子10の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に図10の(A)〜(E)及び図11の(A)〜(F)に示した。これらの図を参照して、以下、上述した工程(a)乃至(d)を詳細に説明する。
尚、背景技術において、図14、図15の(A)〜(D)、及び、図16の(A)〜(E)を参照して概略を説明した従来の5Tr/1C駆動回路における動作は、実施例の動作に対し、以下の点が相違する。
従来の5Tr/1C駆動回路における動作では、図14に示すように[期間−TP(5)1]の始期において、第1ノード初期化トランジスタTND1と第2ノード初期化トランジスタTND2とがオン状態となるのに対し、実施例の動作では、図9に示すように[期間−TP(5)1A]〜[期間−TP(5)1B]において、第2ノード初期化トランジスタTND2がオン状態となった後に、第1ノード初期化トランジスタTND1がオン状態となる。
また、実施例の動作では、走査パルスが先行して立ち上がるため、図9に示すように、[期間−TP(5)5A]において前段の映像信号が書き込まれ、次いで、[期間−TP(5)5B]において本来の映像信号が書き込まれる。一方、従来の5Tr/1C駆動回路における動作では、図9に示す[期間−TP(5)1A]に対応する期間はないので、前段の映像信号が書き込まれることがない。
上記の相違を除く他、従来の5Tr/1C駆動回路における動作は、実質的に実施例と同様である。従来の5Tr/1C駆動回路におけるタイミングチャートである図14に示す各期間は、図9に示す各期間に概ね対応する。
上述したように、実施例の有機EL表示装置を構成する5Tr/1C駆動回路は、映像信号書込みトランジスタTSig、駆動トランジスタTDrv、発光制御トランジスタTEL_C、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2の5つのトランジスタから構成され、更には、1つのコンデンサ部C1から構成されている。
[発光制御トランジスタTEL_C
発光制御トランジスタTEL_Cの一方のソース/ドレイン領域は、電流供給部100(電圧VCC)に接続され、発光制御トランジスタTEL_Cの他方のソース/ドレイン領域は、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域に接続されている。また、発光制御トランジスタTEL_Cのオン状態/オフ状態は、発光制御トランジスタTEL_Cのゲート電極に接続された発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cによって制御される。尚、電流供給部100は、有機EL素子10の発光部ELPに電流を供給し、発光部ELPの発光を制御するために設けられている。また、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cは、発光制御トランジスタ制御回路103に接続されている。
[駆動トランジスタTDrv
駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域は、上述のとおり、発光制御トランジスタTEL_Cの他方のソース/ドレイン領域に接続されている。即ち、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域は、発光制御トランジスタTEL_Cを介して、電流供給部100に接続されている。一方、駆動トランジスタTDrvの他方のソース/ドレイン領域は、
(1)発光部ELPのアノード電極、
(2)第2ノード初期化トランジスタTND2の他方のソース/ドレイン領域、及び、
(3)コンデンサ部C1の一方の電極、
に接続されており、第2ノードND2を構成する。また、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は、
(1)映像信号書込みトランジスタTSigの他方のソース/ドレイン領域、
(2)第1ノード初期化トランジスタTND1の他方のソース/ドレイン領域、及び、
(3)コンデンサ部C1の他方の電極、
に接続されており、第1ノードND1を構成する。
ここで、駆動トランジスタTDrvは、有機EL素子10の発光状態においては、以下の式(1)に従ってドレイン電流Idsを流すように駆動される。有機EL素子10の発光状態においては、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域はドレイン領域として働き、他方のソース/ドレイン領域はソース領域として働く。説明の便宜のため、以下の説明において、駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域を単にドレイン領域と呼び、他方のソース/ドレイン領域を単にソース領域と呼ぶ場合がある。尚、
μ :実効的な移動度
L :チャネル長
W :チャネル幅
gs:ゲート電極とソース領域との間の電位差
th:閾値電圧
ox:(ゲート絶縁層の比誘電率)×(真空の誘電率)/(ゲート絶縁層の厚さ)
k≡(1/2)・(W/L)・Cox
とする。
ds=k・μ・(Vgs−Vth2 (1)
このドレイン電流Idsが有機EL素子10の発光部ELPを流れることで、有機EL素子10の発光部ELPが発光する。更には、このドレイン電流Idsの値の大小によって、有機EL素子10の発光部ELPにおける発光状態(輝度)が制御される。
[映像信号書込みトランジスタTSig
映像信号書込みトランジスタTSigの他方のソース/ドレイン領域は、上述のとおり、駆動トランジスタTDrvのゲート電極に接続されている。一方、映像信号書込みトランジスタTSigの一方のソース/ドレイン領域は、データ線DTLに接続されている。そして、映像信号出力回路102からデータ線DTLを介して、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigが、一方のソース/ドレイン領域に供給される。尚、データ線DTLを介して、VSig以外の種々の信号・電圧(プリチャージ駆動のための信号や各種の基準電圧等)が、一方のソース/ドレイン領域に供給されてもよい。また、映像信号書込みトランジスタTSigのオン状態/オフ状態は、映像信号書込みトランジスタTSigのゲート電極に接続された走査線SCL(SCLm)によって制御される。
[第1ノード初期化トランジスタTND1
第1ノード初期化トランジスタTND1の他方のソース/ドレイン領域は、上述のとおり、駆動トランジスタTDrvのゲート電極に接続されている。一方、第1ノード初期化トランジスタTND1の一方のソース/ドレイン領域には、第1ノードND1の電位(即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位)を初期化するための電圧VOfsが供給される。また、第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態/オフ状態は、第1ノード初期化トランジスタTND1のゲート電極に接続された第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1によって制御される。第1ノード初期化トランジスタ制御線AZND1は、第P本分先行して走査される走査線SCLm_pre_P(実施例においては、走査線SCLm-2)に接続されている。
[第2ノード初期化トランジスタTND2
第2ノード初期化トランジスタTND2の他方のソース/ドレイン領域は、上述のとおり、駆動トランジスタTDrvのソース領域に接続されている。一方、第2ノード初期化トランジスタTND2の一方のソース/ドレイン領域には、第2ノードND2の電位(即ち、駆動トランジスタTDrvのソース領域の電位)を初期化するための電圧VSSが供給される。また、第2ノード初期化トランジスタTND2のオン状態/オフ状態は、第2ノード初期化トランジスタTND2のゲート電極に接続された第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2によって制御される。第2ノード初期化トランジスタ制御線AZND2は、第Q本分先行して走査される走査線SCLm_pre_Q(実施例においては、走査線SCLm-3)に接続されている。
[発光部ELP]
発光部ELPのアノード電極は、上述のとおり、駆動トランジスタTDrvのソース領域に接続されている。一方、発光部ELPのカソード電極には、電圧VCatが印加される。発光部ELPの寄生容量を符号CELで表す。また、発光部ELPの発光に必要とされる閾値電圧をVth-ELとする。即ち、発光部ELPのアノード電極とカソード電極との間にVth-EL以上の電圧が印加されると、発光部ELPは発光する。
以下の説明において、電圧あるいは電位の値を以下のとおりとするが、これは、あくまでも説明のための値であり、これらの値に限定されるものではない。
Sig :発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号
・・・0ボルト〜10ボルト
CC :発光部ELPの発光を制御するための電流供給部の電圧
・・・20ボルト
Ofs :駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位(第1ノードND1の電位)を初期化するための電圧
・・・0ボルト
SS :駆動トランジスタTDrvのソース領域の電位(第2ノードND2の電位)を初期化するための電圧
・・・−10ボルト
th :駆動トランジスタTDrvの閾値電圧
・・・3ボルト
Cat :発光部ELPのカソード電極に印加される電圧
・・・0ボルト
th-EL:発光部ELPの閾値電圧
・・・3ボルト
以下、実施例の有機EL表示装置を構成する5Tr/1C駆動回路の動作説明を行う。尚、上述したように、各種の処理(閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理)が全て完了した後、直ちに発光状態が始まるものとして説明するが、これに限るものではない。
[期間−TP(5)-1](図9、図10の(A)参照)
この[期間−TP(5)-1]は、例えば、前の表示フレームにおける動作であり、前回の各種の処理完了後に第(n,m)番目の有機EL素子10が発光状態にある期間である。即ち、第(n,m)番目の副画素を構成する有機EL素子10における発光部ELPには、後述する式(5)に基づくドレイン電流I’dsが流れており、第(n,m)番目の副画素を構成する有機EL素子10の輝度は、係るドレイン電流I’dsに対応した値である。ここで、映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1及び第2ノード初期化トランジスタTND2はオフ状態であり、発光制御トランジスタTEL_C及び駆動トランジスタTDrvはオン状態である。第(n,m)番目の有機EL素子10の発光状態は、第(m+m’)行目に配列された有機EL素子10の水平走査期間の開始直前まで継続される。
図9に示す[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)5A]は、前回の各種の処理完了後の発光状態が終了した後から、次の書込み処理が行われる直前までの動作期間である。即ち、この[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)5A]は、実施例においては、前の表示フレームにおける第(m+m’)番目の水平走査期間の始期から、現表示フレームにおける第(m−1)番目の水平走査期間までの或る時間長さの期間である。
そして、この[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)5A]において、第(n,m)番目の有機EL素子10は非発光状態にある。即ち、[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)1B]、[期間−TP(5)3]〜[期間−TP(5)5A]においては、発光制御トランジスタTEL_Cはオフ状態であるので、有機EL素子10は発光しない。尚、[期間−TP(5)2]においては、発光制御トランジスタTEL_Cはオン状態となる。しかし、この期間においては後述する閾値電圧キャンセル処理が行われている。閾値電圧キャンセル処理の説明において詳しく述べるが、後述する式(2)を満たすことを前提とすれば、有機EL素子10が発光することはない。
以下、先ず、[期間−TP(5)0]〜[期間−TP(5)4]の各期間について説明する。尚、[期間−TP(5)1A]の始期、[期間−TP(5)1B]の始期は、上述したP、Qの値に応じて定まる。実施例においては、[期間−TP(5)1A]の始期は期間Tm-4の始期であり、[期間−TP(5)1B]の始期は期間Tm-3の始期である。[期間−TP(5)2]の始期、[期間−TP(5)2]〜[期間−TP(5)3]の各期間の長さは、有機EL表示装置の設計に応じて適宜設定すればよい。尚、[期間−TP(5)4]の始期は上述したPの値に応じて定まり、期間の長さは、上述したPの値と走査パルスが先行して立ち上がる程度に応じて定まる。
[期間−TP(5)0
上述したように、この[期間−TP(5)0]において、第(n,m)番目の有機EL素子10は、非発光状態にある。映像信号書込みトランジスタTSig、第1ノード初期化トランジスタTND1、第2ノード初期化トランジスタTND2はオフ状態である。また、[期間−TP(5)-1]から[期間−TP(5)0]に移る時点で、発光制御トランジスタTEL_Cがオフ状態となるが故に、第2ノードND2(駆動トランジスタTDrvのソース領域あるいは発光部ELPのアノード電極)の電位は、(Vth-EL+VCat)まで低下し、発光部ELPは非発光状態となる。また、第2ノードND2の電位低下に倣うように、浮遊状態の第1ノードND1(駆動トランジスタTDrvのゲート電極)の電位も低下する。
[期間−TP(5)1A]〜[期間−TP(5)1B
上記の期間(実質的には[期間−TP(5)1B])において、上記の工程(a)、即ち、上述した前処理を行う。以下、詳細に説明する。
[期間−TP(5)1A](図9、図10の(B)参照)
この[期間−TP(5)1A](実施例では、期間Tm-4に対応する)の完了以前において、走査線SCLm_pre_Qに対応する走査線SCLm-3はローレベルからハイレベルとなる。走査線SCLm-3からの信号に基づき、第2ノード初期化トランジスタTND2はオン状態となる。そして、オン状態とされた第2ノード初期化トランジスタTND2を介して、第2ノード初期化電圧供給線PSND2から第2ノードND2に第2ノード初期化電圧を印加する。第2ノードND2の電位は、(Vth-EL+VCat)からVSSに低下する。また、第2ノードND2の電位低下に倣うように、浮遊状態の第1ノードND1の電位も低下する。
[期間−TP(5)1B](図9、図10の(C)及び(D)参照)
この[期間−TP(5)1B](実施例では、期間Tm-3と期間Tm-2の一部に対応する)の完了以前において、走査線SCLm_pre_Pに対応する走査線SCLm-2はローレベルからハイレベルとなる。走査線SCLm-2からの信号に基づき、第1ノード初期化トランジスタTND1はオン状態となる。また、走査線SCLm_pre_Qに対応する走査線SCLm-3はハイレベルであるので、第2ノード初期化トランジスタTND2もオン状態を維持する。オン状態とされた第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、第1ノード初期化電圧供給線PSND1から第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加し、オン状態を維持した第2ノード初期化トランジスタTND2を介して、第2ノード初期化電圧供給線PSND2から第2ノードND2に第2ノード初期化電圧を印加する。
その結果、第1ノードND1の電位はVOfs(0ボルト)となる。一方、第2ノードND2の電位は、VSS(−10ボルト)となる。第1ノードND1と第2ノードND2との間の電位差は10ボルトであり、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthは3ボルトであるので、駆動トランジスタTDrvはオン状態となる。尚、第2ノードND2と発光部ELPに備えられたカソード電極との間の電位差は−10ボルトであり、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELを越えない。
以上の処理により、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差がVth以上となる。駆動トランジスタTDrvはオン状態である。
この[期間−TP(5)1B]の完了以前(実施例では、期間Tm-3の終期)において、走査線SCLm_pre_Qに対応する走査線SCLm-3はハイレベルからローレベルとなり、第2ノード初期化トランジスタTND2はオフ状態となる。
[期間−TP(5)2](図9、図10の(E)参照)
この期間に、上記の工程(b)、即ち、上述した閾値電圧キャンセル処理を行う。以下、詳細に説明する。
走査線SCLm_pre_Pに対応する走査線SCLm-2からの信号によりオン状態を維持した第1ノード初期化トランジスタTND1を介して、第1ノード初期化電圧供給線PSND1から第1ノードND1に第1ノード初期化電圧を印加した状態で、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLmをローレベルからハイレベルとし、発光制御トランジスタ制御線CLmからの信号により発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする。そして、オン状態とされた発光制御トランジスタTEL_Cを介して駆動トランジスタTDrvの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部100と導通させる。
その結果、第1ノードND1の電位は変化しないが(VOfs=0ボルトを維持)、第1ノードND1の電位から駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthを減じた電位に向かって、第2ノードND2の電位は変化する。即ち、浮遊状態の第2ノードND2の電位が上昇する。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差がVthに達すると、駆動トランジスタTDrvがオフ状態となる。具体的には、浮遊状態の第2ノードND2の電位が(VOfs−Vth=−3ボルト>VSS)に近づき、最終的に(VOfs−Vth)となる。ここで、以下の式(2)が保証されていれば、云い換えれば、式(2)を満足するように電位を選択、決定しておけば、発光部ELPが発光することはない。
(VOfs−Vth)<(Vth-EL+VCat) (2)
以上説明したように、工程(b)により、第2ノードND2の電位は、最終的に、(VOfs−Vth)となる。即ち、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth、及び、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を初期化するための電圧VOfsのみに依存して、第2ノードND2の電位は決定される。そして、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELとは無関係である。
[期間−TP(5)3](図9、図11の(A)参照)
次いで、走査線SCLm_pre_Pに対応する走査線SCLm-2からの信号により第1ノード初期化トランジスタTND1のオン状態を維持したまま、[期間−TP(5)3]の始期において、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタTEL_Cをハイレベルからローレベルにする。その結果、発光制御トランジスタTEL_Cはオフ状態となる。第1ノードND1の電位は変化せず(VOfs=0ボルトを維持)、浮遊状態の第2ノードND2の電位も(VOfs−Vth=−3ボルト)を保持する。
[期間−TP(5)4](図9、図11の(B)参照)
この[期間−TP(5)4]の始期(実施例では、期間Tm-1の始期)において、走査線SCLm_pre_Pに対応する走査線SCLm-2からの信号により、第1ノード初期化トランジスタTND1はオフ状態となる。第1ノードND1及び第2ノードND2の電位は、実質上、変化しない。実際には、寄生容量等の静電結合により電位変化が生じ得るが、通常、これらは無視することができる。
次いで、[期間−TP(5)5A]〜[期間−TP(5)7]の各期間について説明する。尚、後述するように、[期間−TP(5)5B]において、上記工程(c)、即ち、書込み処理が行わわれる。そして、実施例においては、[期間−TP(5)6]において移動度補正処理が行われる。上述したように、これらの処理は、第m番目の水平走査期間内に行われる。
[期間−TP(5)5A](図9、及び、図11の(C)参照)
上述したように、実施例においては、走査パルスは水平走査期間(1H)の略半分先行して立ち上がる。従って、走査線SCLmは期間Tm-1においてローレベルからハイレベルとなり、映像信号書込みトランジスタTSigは、期間Tm-1においてオフ状態からオン状態となる。ここで、期間Tm-1においては、図1や図2に示すデータ線DTLには、前段の映像信号VSig_pre(換言すれば、第(n,m−1)番目の有機EL素子10のための映像信号)が、映像信号出力回路102によって印加される。従って、第1ノードND1の電位は、VSig_preへと上昇する。
[期間−TP(5)5B](図9、及び、図11の(D)参照)
そして、期間Tmにおいては、データ線DTLには、第(n,m)番目の有機EL素子10のための映像信号VSigが印加される。また、走査線SCLmはハイレベルを維持している。従って、走査線SCLmからの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタTSigを介して、データ線DTLから映像信号VSigが第1ノードND1に印加され、書込み処理が行われる。第1ノードND1の電位は、VSig_preからVSigへと変化する。従って、[期間−TP(5)5A]において、前段の映像信号VSig_preが印加されても、動作上問題となることはない。
ここで、コンデンサ部C1の容量は値c1であり、発光部ELPの寄生容量CELの容量は値cELである。そして、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の寄生容量の値をcgsとする。駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位がVOfsからVSig(>VOfs)に変化したとき、コンデンサ部C1の両端の電位(第1ノードND1及び第2ノードND2の電位)は、原則として、変化する。即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位(=第1ノードND1の電位)の変化分(VSig−VOfs)に基づく電荷が、コンデンサ部C1、発光部ELPの寄生容量CEL、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の寄生容量に振り分けられる。然るに、値cELが、値c1及び値cgsと比較して十分に大きな値であれば、駆動トランジスタTDrvのゲート電極の電位の変化分(VSig−VOfs)に基づく駆動トランジスタTDrvのソース領域(第2ノードND2)の電位の変化は小さい。そして、一般に、発光部ELPの寄生容量CELの容量値cELは、コンデンサ部C1の容量値c1及び駆動トランジスタTDRVの寄生容量の値cgsよりも大きい。そこで、説明の便宜のため、特段の必要がある場合を除き、第1ノードND1の電位変化により生ずる第2ノードND2の電位変化は考慮せずに説明を行う。尚、図9に示した駆動のタイミングチャートも、第1ノードND1の電位変化により生ずる第2ノードND2の電位変化を考慮せずに示した。駆動トランジスタTDrvのゲート電極(第1ノードND1)の電位をVg、駆動トランジスタTDrvのソース領域(第2ノードND2)の電位をVsとしたとき、Vgの値、Vsの値は以下のとおりとなる。それ故、第1ノードND1と第2ノードND2の電位差、即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、以下の式(3)で表すことができる。
g =VSig
s ≒VOfs−Vth
gs≒VSig−(VOfs−Vth) (3)
即ち、駆動トランジスタTDrvに対する書込み処理において得られたVgsは、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSig、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vth、及び、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を初期化するための電圧VOfsのみに依存している。そして、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELとは無関係である。
[期間−TP(5)6](図9、図11の(E)参照)
その後、駆動トランジスタTDrvの移動度μの大小に基づく駆動トランジスタTDrvのソース領域(第2ノードND2)の電位の補正(移動度補正処理)を行う。
一般に、駆動トランジスタTDrvをポリシリコン薄膜トランジスタ等から作製した場合、トランジスタ間で移動度μにばらつきが生じることは避け難い。従って、移動度μに差異がある複数の駆動トランジスタTDrvのゲート電極に同じ値の映像信号VSigを印加したとしても、移動度μの大きい駆動トランジスタTDrvを流れるドレイン電流Idsと、移動度μの小さい駆動トランジスタTDrvを流れるドレイン電流Idsとの間に、差異が生じてしまう。そして、このような差異が生じると、有機EL表示装置の画面の均一性(ユニフォーミティ)が損なわれてしまう。
従って、具体的には、駆動トランジスタTDrvのオン状態を維持したまま、期間Tmの完了以前に、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLEL_Cをハイレベルとし、発光制御トランジスタTEL_Cをオン状態とする。次いで、所定の時間(t0)が経過した後、走査回路101の動作に基づき走査線SCLをローレベルとすることによって、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1(駆動トランジスタTDrvのゲート電極)を浮遊状態とする。そして、以上の結果、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が大きい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は大きくなり、駆動トランジスタTDrvの移動度μの値が小さい場合、駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位の上昇量ΔV(電位補正値)は小さくなる。ここで、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、式(3)から以下の式(4)のように変形される。
gs≒VSig−(VOfs−Vth)−ΔV (4)
尚、移動度補正処理を実行するための所定の時間([期間−TP(5)6]の全時間t0)は、有機EL表示装置の設計の際、設計値として予め決定しておけばよい。また、このときの駆動トランジスタTDrvのソース領域における電位(VOfs−Vth+ΔV)が以下の式(2’)を満足するように、[期間−TP(5)6]の全時間t0は決定されている。そして、これによって、[期間−TP(5)6]において、発光部ELPが発光することはない。更には、この移動度補正処理によって、係数k(≡(1/2)・(W/L)・Cox)のばらつきの補正も同時に行われる。
(VOfs−Vth+ΔV)<(Vth-EL+VCat) (2’)
[期間−TP(5)7](図9、図11の(F)参照)
以上の操作によって、閾値電圧キャンセル処理、書込み処理、移動度補正処理が完了する。その後、この期間内に、上記の工程(d)を以下のように行う。即ち、走査回路101の動作に基づき走査線SCLmをローレベルとし、映像信号書込みトランジスタTSigをオフ状態とし、第1ノードND1、即ち、駆動トランジスタTDrvのゲート電極を浮遊状態とする。そして、発光制御トランジスタ制御回路103の動作に基づき、発光制御トランジスタ制御線CLmをハイレベルに保ち、発光制御トランジスタTEL_Cのオン状態を維持し、発光制御トランジスタTEL_Cのドレイン領域が、発光部ELPの発光を制御するための電流供給部100(電圧VCC、例えば20ボルト)に接続された状態に保つ。従って、以上の結果として、第2ノードND2の電位は上昇する。
ここで、上述したとおり、駆動トランジスタTDrvのゲート電極は浮遊状態にあり、しかも、コンデンサ部C1が存在するが故に、所謂ブートストラップ回路におけると同様の現象が駆動トランジスタTDrvのゲート電極に生じ、第1ノードND1の電位も上昇する。その結果、駆動トランジスタTDrvのゲート電極とソース領域との間の電位差Vgsは、式(4)の値を保持する。
また、第2ノードND2の電位が上昇し、(Vth-EL+VCat)を越えるので、発光部ELPは発光を開始する。このとき、発光部ELPを流れる電流は、駆動トランジスタTDrvのドレイン領域からソース領域へと流れるドレイン電流Idsであるので、式(1)で表すことができる。ここで、式(1)と式(4)から、式(1)は、以下の式(5)のように変形することができる。
ds=k・μ・(VSig−VOfs−ΔV)2 (5)
従って、発光部ELPを流れる電流Idsは、例えば、VOfsを0ボルトに設定した場合、発光部ELPにおける輝度を制御するための映像信号VSigの値から、駆動トランジスタTDrvの移動度μに起因した第2ノードND2(駆動トランジスタTDrvのソース領域)における電位補正値ΔVの値を減じた値の2乗に比例する。云い換えれば、発光部ELPを流れる電流Idsは、発光部ELPの閾値電圧Vth-EL、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthには依存しない。即ち、発光部ELPの発光量(輝度)は、発光部ELPの閾値電圧Vth-ELの影響、及び、駆動トランジスタTDrvの閾値電圧Vthの影響を受けない。そして、第(n,m)番目の有機EL素子10の輝度は、係る電流Idsに対応した値である。
しかも、移動度μの大きな駆動トランジスタTDrvほど、電位補正値ΔVが大きくなるので、式(4)の左辺のVgsの値が小さくなる。従って、式(5)において、移動度μの値が大きくとも、(VSig−VOfs−ΔV)2の値が小さくなる結果、ドレイン電流Idsを補正することができる。即ち、移動度μの異なる駆動トランジスタTDrvにおいても、映像信号VSigの値が同じであれば、ドレイン電流Idsが略同じとなる結果、発光部ELPを流れ、発光部ELPの輝度を制御する電流Idsが均一化される。即ち、移動度μのばらつき(更には、kのばらつき)に起因する発光部の輝度のばらつきを補正することができる。
発光部ELPの発光状態を第(m+m’−1)番目の水平走査期間まで継続する。この時点は、[期間−TP(5)-1]の終わりに相当する。
以上によって、有機EL素子10[第(n,m)番目の副画素(有機EL素子10)]の発光の動作が完了する。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した有機EL表示装置、有機EL素子、駆動回路を構成する各種の構成要素の構成、構造、発光部の駆動方法における工程は例示であり、適宜、変更することができる。
図1は、有機EL表示装置の概念図である。 図2は、5トランジスタ/1コンデンサ部から構成された駆動回路の等価回路図である。 図3は、有機EL素子の一部分の模式的な一部断面図である。 図4は、有機EL表示装置において、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのゲート電極の配線を模式的に示した図である。 図5は、図4から主に第m行目の有機EL素子10に関係する部分を抜き出した図である。 図6は、有機EL表示装置の走査線と発光制御トランジスタ制御線における信号の模式的なタイミングチャートである。 図7は、図4に示す有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのゲート電極の配線と、図6に示す走査線SCLと発光制御トランジスタ制御線における信号の模式的なタイミングチャートに基づき、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態を模式的に示した図である。 図8の(A)は、第(n,m)番目の有機EL素子における映像信号書込みトランジスタ、第1ノード初期化トランジスタ、第2ノード初期化トランジスタ、発光制御トランジスタの各ゲート電極の信号を模式的に示す。図8の(B)は、有機EL素子における映像信号書込みトランジスタ、第1ノード初期化トランジスタ、第2ノード初期化トランジスタ、発光制御トランジスタのオン/オフ状態を示す。 図9は、第(n,m)番目の有機EL素子の駆動のタイミングチャートの模式図である。 図10の(A)〜(E)は、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図11の(A)〜(F)は、図10の(E)に引き続き、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図12は、5トランジスタ/1コンデンサ部から基本的に構成された駆動回路の等価回路図である。 図13は、従来の有機EL表示装置の概念図である。 図14は、有機エレクトロルミネッセンス素子における駆動の模式的なタイミングチャートである。 図15の(A)〜(D)は、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。 図16の(A)〜(E)は、図15の(D)に引き続き、有機EL素子の駆動回路を構成する各トランジスタのオン/オフ状態等を模式的に示す図である。
符号の説明
Sig・・・映像信号書込みトランジスタ、TDrv・・・駆動トランジスタ、TEL_C・・・発光制御トランジスタ、TND1・・・第1ノード初期化トランジスタ、TND2・・・第2ノード初期化トランジスタ、C1・・・コンデンサ部、ELP・・・有機エレクトロルミネッセンス発光部(発光部)、CEL・・・発光部ELPの寄生容量、ND1・・・第1ノード、ND2・・・第2ノード、SCL・・・走査線、DTL・・・データ線、CLEL_C・・・発光制御トランジスタ制御線、AZND1・・・第1ノード初期化トランジスタ制御線、AZND2・・・第2ノード初期化トランジスタ制御線、10,101,10N・・・有機エレクトロルミネッセンス素子、20・・・支持体、21・・・基板、31・・・ゲート電極、32・・・ゲート絶縁層、33・・・半導体層、35・・・ソース/ドレイン領域、34・・・チャネル形成領域、36・・・他方の電極、37・・・一方の電極、38,39・・・配線、40・・・層間絶縁層、51・・・アノード電極、52・・・正孔輸送層、発光層及び電子輸送層、53・・・カソード電極、54・・・第2層間絶縁層、55,56・・・コンタクトホール、100・・・電流供給部、101・・・走査回路、102・・・映像信号出力回路、103・・・発光制御トランジスタ制御回路

Claims (16)

  1. (1)走査回路、
    (2)映像信号出力回路、
    (3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列され、それぞれが有機エレクトロルミネッセンス発光部、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を備えている有機エレクトロルミネッセンス素子、
    (4)走査回路に接続され、第1の方向に延びる走査線、
    (5)映像信号出力回路に接続され、第2の方向に延びるデータ線、並びに、
    (6)電流供給部、
    を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置における、有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法であって、
    前記駆動回路は、
    (A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備え、電流供給部と有機エレクトロルミネッセンス発光部との間に接続された駆動トランジスタ
    (D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、並びに、
    (E)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ
    を含んでおり、
    第1ノード初期化トランジスタにおいては、
    (D−1)一方のソース/ドレイン領域は、第1ノード初期化電圧供給線に接続されており、
    (D−2)他方のソース/ドレイン領域は、駆動トランジスタのゲート電極側の第1ノードに接続されており、
    第2ノード初期化トランジスタにおいては、
    (E−1)一方のソース/ドレイン領域は、第2ノード初期化電圧供給線に接続されており、
    (E−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部側の駆動トランジスタのソース/ドレイン領域である第2ノードに接続されており、
    走査回路の動作に基づき各走査線は順次走査され、
    第m番目(但し、m=1,2・・・,M)の走査線をSCLm、該走査線SCLmよりも第P本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_P、該走査線SCLmよりも第Q本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_Q(但し、PとQは、1<P<Q<Mの関係を満たし、有機エレクトロルミネッセンス表示装置において所定の値)と表すとき
    走査線SCL m が走査される所定の長さに固定された期間において、映像信号出力回路の動作に基づいてデータ線には第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも先に走査される有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号と第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号とが順次供給されるように設定されており、
    有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法は、
    (a)第1ノードと第2ノードとの間の電位差が、駆動トランジスタの閾値電圧を越え、且つ、第2ノードと有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたカソード電極との間の電位差が、有機エレクトロルミネッセンス発光部の閾値電圧を越えないように、走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加し、走査線SCLm_pre_Qからの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタを介して、第2ノード初期化電圧供給線から第2ノードに第2ノード初期化電圧を印加、次いで、
    (b)走査線SCLm_pre_Pからの信号によりオン状態を維持した第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加した状態で、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させ、以て、第1ノードの電位を保った状態で、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させ、その後、
    (c)データ線から第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも先に走査される有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号と第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号とを順次第1ノードに印加する書込み処理を行い、次いで、
    (d)第1ノードを浮遊状態とし、電流供給部から、駆動トランジスタを介して、第1ノードと第2ノードとの間の電位差の値に応じた電流を有機エレクトロルミネッセンス発光部に流す、
    工程から成る有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  2. 各走査線が走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCL m_pre_Q が走査される期間の一部と走査線SCL m_pre_P が走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCL m_pre_P が走査される期間と走査線SCL m が走査される期間とが重複しない条件を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  3. P=2、且つ、Q=3である請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  4. 前記駆動回路は、データ線と駆動トランジスタのゲート電極との間に配され、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタを更に備えており、
    第m行目の有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCL m に接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCL m_pre_P に接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCL m_pre_Q に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  5. 前記(c)において、走査線SCL m からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタによって書込み処理を行う請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  6. 前記(d)において走査線SCL m からの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とすることにより第1ノードを浮遊状態とする請求項4または請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  7. 前記駆動回路は、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部との間に配され、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、発光制御トランジスタ制御線に接続されたゲート電極を備えた発光制御トランジスタを更に備えており、
    前記(b)において、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタを介して駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させる請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  8. 前記駆動回路は、駆動トランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続された一方の電極と、駆動トランジスタのゲート電極に接続された他方の電極とを有するコンデンサ部を更に備えている請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光部の駆動方法。
  9. (1)走査回路、
    (2)映像信号出力回路、
    (3)第1の方向にN個、第1の方向とは異なる第2の方向にM個、合計N×M個の、2次元マトリクス状に配列され、それぞれが有機エレクトロルミネッセンス発光部、及び、有機エレクトロルミネッセンス発光部を駆動するための駆動回路を備えている有機エレクトロルミネッセンス素子、
    (4)走査回路に接続され、第1の方向に延びる走査線、
    (5)映像信号出力回路に接続され、第2の方向に延びるデータ線、並びに、
    (6)電流供給部、
    を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
    前記駆動回路は、
    (A)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備え、電流供給部と有機エレクトロルミネッセンス発光部との間に接続された駆動トランジスタ
    (D)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第1ノード初期化トランジスタ、並びに、
    (E)ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた第2ノード初期化トランジスタ
    を含んでおり、
    第1ノード初期化トランジスタにおいては、
    (D−1)一方のソース/ドレイン領域は、第1ノード初期化電圧供給線に接続されており、
    (D−2)他方のソース/ドレイン領域は、駆動トランジスタのゲート電極側の第1ノードに接続されており、
    第2ノード初期化トランジスタにおいては、
    (E−1)一方のソース/ドレイン領域は、第2ノード初期化電圧供給線に接続されており、
    (E−2)他方のソース/ドレイン領域は、有機エレクトロルミネッセンス発光部側の駆動トランジスタのソース/ドレイン領域である第2ノードに接続されており、
    走査回路の動作に基づき各走査線は順次走査され、
    第m番目(但し、m=1,2・・・,M)の走査線をSCLm、該走査線SCLmよりも第P本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_P、該走査線SCLmよりも第Q本分先行して走査される走査線をSCLm_pre_Q(但し、PとQは、1<P<Q<Mの関係を満たし、有機エレクトロルミネッセンス表示装置において所定の値)と表すとき
    走査線SCL m が走査される所定の長さに固定された期間において、映像信号出力回路の動作に基づいてデータ線には第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも先に走査される有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号と第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号とが順次供給されるように設定されており、
    (a)第1ノードと第2ノードとの間の電位差が、駆動トランジスタの閾値電圧を越え、且つ、第2ノードと有機エレクトロルミネッセンス発光部に備えられたカソード電極との間の電位差が、有機エレクトロルミネッセンス発光部の閾値電圧を越えないように、走査線SCL m_pre_P からの信号によりオン状態とされた第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧が印加され、走査線SCL m_pre_Q からの信号によりオン状態とされた第2ノード初期化トランジスタを介して、第2ノード初期化電圧供給線から第2ノードに第2ノード初期化電圧が印加され、次いで、
    (b)走査線SCL m_pre_P からの信号によりオン状態を維持した第1ノード初期化トランジスタを介して、第1ノード初期化電圧供給線から第1ノードに第1ノード初期化電圧を印加した状態で、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させ、以て、第1ノードの電位を保った状態で、第1ノードの電位から駆動トランジスタの閾値電圧を減じた電位に向かって、第2ノードの電位を変化させ、その後、
    (c)データ線から第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも先に走査される有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号と第m番目の有機エレクトロルミネッセンス素子に対応する映像信号とが順次第1ノードに印加される書込み処理が行われ、次いで、
    (d)第1ノードが浮遊状態とされ、電流供給部から、駆動トランジスタを介して、第1ノードと第2ノードとの間の電位差の値に応じた電流が有機エレクトロルミネッセンス発光部に流される、
    有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  10. 各走査線が走査される所定の長さに固定された期間は、走査線SCL m_pre_Q が走査される期間の一部と走査線SCL m_pre_P が走査される期間の一部とが重複し、且つ、走査線SCL m_pre_P が走査される期間と走査線SCL m が走査される期間とが重複しない条件を満たす請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  11. P=2、且つ、Q=3である請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  12. 前記駆動回路は、データ線と駆動トランジスタのゲート電極との間に配され、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、ゲート電極を備えた映像信号書込みトランジスタを更に備えており、
    第m行目の有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する駆動回路において、映像信号書込みトランジスタのゲート電極は走査線SCL m に接続されており、第1ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCL m_pre_P に接続されており、第2ノード初期化トランジスタのゲート電極は走査線SCL m_pre_Q に接続されている請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  13. 前記(c)において、走査線SCL m からの信号によりオン状態とされた映像信号書込みトランジスタによって書込み処理が行われる請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  14. 前記(d)において走査線SCL m からの信号により映像信号書込みトランジスタをオフ状態とすることにより第1ノードを浮遊状態とする請求項12または請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  15. 前記駆動回路は、駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と電流供給部との間に配され、ソース/ドレイン領域、チャネル形成領域、及び、発光制御トランジスタ制御線に接続されたゲート電極を備えた発光制御トランジスタを更に備えており、
    前記(b)において、発光制御トランジスタ制御線からの信号によりオン状態とされた発光制御トランジスタを介して駆動トランジスタの一方のソース/ドレイン領域を電流供給部と導通させる請求項9ないし請求項14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  16. 前記駆動回路は、駆動トランジスタの他方のソース/ドレイン領域に接続された一方の電極と、駆動トランジスタのゲート電極に接続された他方の電極とを有するコンデンサ部を更に備えている請求項9ないし請求項15のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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