JP5141598B2 - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高性能かつ高品位な炭素繊維を得るための炭素繊維前駆体繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる高性能化と低コスト化両立の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと記述することがある。)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。炭素繊維は、脆性材料であり、わずかな表面欠陥、内在欠陥により強度低下を引き起こすため、欠陥の生成に関しては、繊細な注意が払われてきた。原料中の粉塵などの異物を取り除くことは当然のことながら、紡糸原液が一部滞留、熱劣化することでできたゲル状物を口金から吐出前に取り除くことが強度低下だけでなく、口金から吐出時、製糸・焼成工程での糸切れを低減するためにも行われてきた。例えば、5μm以下の開孔径を持つフィルターを用いて濾過する方法(特許文献1参照)や濾過精度が5μm以下の金属焼結フィルターを用いて濾過する方法(特許文献2参照)、開孔径を段階的に小さくして多段濾過する方法(特許文献3参照)が提案されている。
一方、本発明者らは、炭素繊維の生産コストを低減するため、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いることで、紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる技術を提案した(特願2007−269822号)。一般に、ゲル状物などの異物を口金からの吐出前に取り除くためには、厚みが大きく目の細かいフィルター濾材で濾過する方法が有効だと考えられてきたが、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を含む紡糸溶液からゲル状物などの異物を濾過することで、紡糸速度を高め、かつ高強度炭素繊維を得るための異物含有量の少ない炭素繊維前駆体繊維を得ようとフィルターの検討をする中で、厚みのある不織布フィルターを用いると濾過圧損が高まり、特に紡糸速度を高めたときに濾過後の紡糸溶液にゲル状物が流出することが多々あった。また、一般的に、重合体はフィルター濾材の深部に堆積しかつ堆積が進行したのち、圧力によってゲルとして流出する結果、濾過されて清浄化した紡糸溶液中に再度異物が混合することとなり、濾過された紡糸溶液の品質を低下させることが知られており、避けなければならない(特許文献4参照)。また、細かく砕かれたゲルが紡糸溶液に僅かに混入していても製糸工程にはさして影響を及ぼさずに前駆体繊維を製造することはできることが多いが、そのような前駆体繊維を用いて製造される炭素繊維は、物性が低下するため、避けなければならない。これらのことから、高強度炭素繊維を得るための前駆体繊維を紡糸速度を高めて製造するためには、ゲル状物などの異物を濾過前の紡糸溶液中から精度良く濾過し、濾過後の紡糸溶液に混入させないようにする必要がある。
特開昭58―220821号公報 特開昭59―88924号公報 特開2004−27396号公報 特開2003―24727号公報(0008段落)
本発明は、前記した従来技術が有する問題を解決すること、すなわち、ゲル状物などの異物を濾過前の紡糸溶液中から精度良く濾過できるだけでなく、フィルター濾材の閉塞を抑制して、濾過後の紡糸溶液へ混入することを極力少なくして、安定して炭素繊維前駆体繊維を製造できる方法を提案することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、次の構成を有するものである。すなわち、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、紡糸に先立ち、濾過保証層目付A(g/m)と材質密度B(g/m)が次式を満足する濾過保証層を有するとともに、濾過抵抗係数Cが5〜30×10cm−1であるフィルター濾材を用いたフィルター装置で、紡糸溶液を濾過する炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
0.01≦A/B×1000≦0.06
本発明によれば、ゲル状物などの異物の混入の少ない炭素繊維前駆体繊維を、紡糸速度を高めて製造できるため炭素繊維の低コスト化を図ることができる。また、内在する異物の少ない炭素繊維前駆体繊維を用いることで焼成工程でも糸切れが少なく、毛羽が少なく高強度な炭素繊維を安定して製造することができる。
図1は、本発明で用い得るフィルター装置を示す概略断面図である。 図2は、本発明で用い得るリーフディスク型フィルターを示す概略断面図である。 図3は、リーフディスク型フィルターを用いたフィルター装置を示す概略断面図である。
本発明では、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるPAN系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を用いて紡糸する。かかるPAN系重合体は分子量の大きな重合体成分を含んでいるので、本発明の効果が顕著に現れる。
まず、本発明で好適に用いることができるPAN系重合体について説明する。本発明では、重量平均分子量(以下、Mwと略記する)が30万〜50万であるPAN系重合体が好ましく用いられる。Mwが30万未満の低分子量のPAN系重合体の場合、繊維軸方向の分子同士のつながりが低下するため、紡糸および焼成工程での高い延伸に耐えられず、炭素繊維としての強度が低くなることが多い。また、Mwは大きい方が好ましいが、Mwが50万を越えるような高分子量のPAN系重合体では絡み合いが多くなりすぎ、かかる高分子量のPAN系重合体を用いる場合には重合体濃度を下げざるを得ず、生産性が低下することがある。PAN系重合体のMwは、重合時の単量体、ラジカル開始剤および連鎖移動剤などの量を変えることにより制御できる。また、かかるPAN系重合体は、Z平均分子量(以下、Mzと略記する)とMwとの比で示される多分散度Mz/Mwが1.5〜6.0、好ましくは2.7〜6.0であるのが良い。
本発明において、各種平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCと略記する)法で測定され、ポリスチレン換算値として得られるものである。なお、多分散度Mz/Mwは、次の意味を有する。すなわち、数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。これに対して、Mwは、高分子量物の寄与を敏感に受け、Mzは、高分子量物の寄与をさらに敏感に受ける。そのため、多分散度であるMw/MnやMz/Mwを用いることにより分子量分布の広がりを評価することができる。Mw/Mnが1であるとき単分散であり、大きくなるにつれて分子量分布が低分子量側を中心にブロードになることを示すのに対して、Mz/Mwは大きくなるにつれて、分子量分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。
上記のように、Mw/MnとMz/Mwの示すところが異なるため、Mw/Mnが大きくても、Mz/Mwが大きくなるということでは必ずしもない。
上記のようなPAN系重合体を用いることにより、生産性の向上と安定化の両立を図りつつ、毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができるメカニズムは、必ずしも明確になった訳ではないが、次のように考えられる。口金孔直後でPAN系重合体が伸長変形する際に、超高分子量物と高分子量物が絡み合い、超高分子量物を中心に絡み合い間の分子鎖が緊張することで伸長粘度の急激な増大、すなわち、歪み硬化がおこる。PAN系重合体溶液の細化に伴い細化部分の伸長粘度が高くなり、流動安定化するため紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができ、ひいては製糸速度を高めることができる。上記のようなPAN系重合体を溶媒に溶解させた溶液を用いることにより、20000mm/分もの高速で糸を曳いても糸が切れることはなく、曳糸長としては測定ができないほどとすることができる。
Mz/Mwが1.5以上では、延伸性が高く、炭素繊維前駆体繊維として満足できる配向状態とすることができる。また、Mz/Mwが2.7以上では、歪み硬化が強く発現し、紡糸溶液の吐出安定性が向上し、生産性が大幅に向上する。加えて、Mz/Mwが2.7以上では、フィルター濾材通過時に濾過すべきでない高分子量成分も濾過されてしまうことが多いため、本発明と組み合わせることで、ゲル状物などの異物のみを効率よく濾過する効果が極めて大きくなる。一方、Mz/Mwが6.0を越えるPAN系重合体は絡み合いが大きくなりすぎて、紡糸溶液を口金から吐出することが困難となる場合がある。
また、Mw/Mnは、小さいほど炭素繊維の構造欠陥となりやすい低分子成分の含有量が少ないため、小さいほど好ましく、Mz/MwよりもMw/Mnが小さいことが好ましい。すなわち、高分子量側にも、低分子量側にもブロードであっても、吐出安定性低下は少ないが、低分子量側はなるべくシャープであることが好ましく、Mz/MwがMw/Mnに対して、1.5倍以上であることが好ましく、更には1.8倍以上であることがより好ましい。本発明者らの検討によると、通常、アクリロニトリル(以下、ANと略記する)の重合でよく行われている、水系懸濁、溶液法などのラジカル重合においては、分子量分布が低分子量側に裾を引いているため、Mw/MnがMz/Mwよりも大きくなる。そのため、重合開始剤の種類と割合や逐次添加など、特殊な条件で重合を行うか、一般的なラジカル重合を用いる場合、2種以上のPAN系重合体を混合する方法があり、重合体を混合する方法が簡便である。混合する種類は、少ないほど簡便であり、吐出安定性の観点からも2種で十分なことが多い。
混合する重合体のMwは、Mwの大きいPAN系重合体をA成分とし、Mwの小さいPAN系重合体をB成分とすると、A成分のMwは好ましくは100万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMwは5万〜90万であることが好ましい。A成分とB成分のMwの差が大きいほど、混合された重合体のMz/Mwが大きくなる傾向があるため好ましい態様であるが、A成分のMwが1500万より大きいときはA成分の生産性は低下する場合があり、B成分のMwが15万未満のときは前駆体繊維の強度が不足する場合があり、Mz/Mwは10以下とすることが現実的である。
具体的には、A成分とB成分の重量平均分子量の比は、4〜45であることが好ましく、20〜45であることがより好ましい。
また、A成分とB成分の重量比は、0.003〜0.3であることが好ましく、0.005〜0.2であることがより好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。A成分とB成分の重量比が0.003未満では、歪み硬化が不足することがあり、また0.3より大きいときは重合体溶液の吐出粘度が上がりすぎて吐出困難となることがある。
A成分とB成分の重合体を混合する場合、両重合体を混合してから溶媒で希釈する方法、重合体それぞれを溶媒に希釈したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分を溶媒に希釈した後にB成分を混合溶解する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。混合には、混合槽で攪拌する方法やギヤポンプなどで定量してスタティックミキサーで混合する方法、二軸押出機を用いる方法などが好ましく採用できる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特に、炭素繊維前駆体製造用とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要であり、わずかであっても未溶解物が存在していた場合には異物として認識され、フィルター濾材に濾過されるか、濾過させないほど小さいときには炭素繊維内部にボイドを形成することがある。
具体的には、A成分の溶媒に対する重合体濃度、すなわちA成分と溶媒のみからなる溶液を仮想したときの、その溶液中におけるA成分の重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する。上記のA成分の重合体濃度は、より好ましくは0.3〜3重量%であり、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。上記のA成分の重合体濃度は、より具体的には、重合体の集合状態として、重合体がわずかに重なり合った準希薄溶液とすることが好ましく、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する際に、混合状態が均一となりやすいため、孤立鎖の状態となる希薄溶液とすることが更に好ましい態様である。希薄溶液となる濃度は、重合体の分子量と溶媒に対する重合体の溶解性によって決まる分子内排除体積によって決まるとみられるため、一概には決められないが、本発明においては概ね前記範囲にすることにより凝集してフィルター濾材内に堆積することが少ない。上記の重合体濃度が5重量%を超える場合は、A成分の未溶解物が存在することがあり、0.1重量%未満の場合は、分子量にもよるが希薄溶液となっているため効果が飽和していることが多い。
上記のように、A成分の溶媒に対する重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、それにB成分を混合溶解する方法でもかまわないが、工程省略の観点から高分子量物を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法を採用する方が好ましい。
A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%になるようにする方法としては、希釈による方法でも重合による方法でも構わない。希釈する場合は、均一に希釈できるまで撹拌することが重要であり、希釈温度としては50〜120℃が好ましく、希釈時間は希釈温度や希釈前濃度によって異なるため、適宜設定すればよい。希釈温度が50℃未満の場合は、希釈に時間がかかることがあり、120℃を超える場合は、A成分が変質する恐れがある。また、重合体の重なり合いを希釈する工程を減らし、均一に混合する観点から、前記のA成分の製造から前記のB成分の混合開始、あるいは、B成分を構成する単量体の重合開始までの間、A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%の範囲に制御することが好ましい。具体的には、A成分を溶液重合により製造する際に、重合体濃度が5重量%以下で重合を停止させ、それにB成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合しその単量体を重合する方法である。通常、溶媒に対する仕込み単量体の割合が少ないと、溶液重合により高分子量物を製造することは困難なことが多いため仕込み単量体の割合を多くするが、上記のA成分の重合体濃度が5重量%以下の段階では、重合率が低く、未反応単量体が多く残存していることになる。未反応単量体を揮発除去してから、B成分を混合してもかまわないが、工程省略の観点からその未反応単量体を用いてB成分を溶液重合することが好ましい。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
ANと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
A成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMwを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系重合体の組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど耐炎化工程で共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。
ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
B成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。これらの重合に用いる原料は、全て濾過精度1μm以下のフィルター濾材を通した後に用いることが好ましい。
前記したPAN系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPAN系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸溶液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたPAN系重合体を分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となる。
紡糸溶液における重合体濃度は、5〜30重量%の範囲であることが好ましく、14〜25重量%であることがより好ましく、18〜23重量%であることが最も好ましい。重合体濃度が5重量%未満では溶剤使用量が多くなり経済的でなく、凝固浴内での凝固速度を低下させ内部にボイドが生じて緻密な構造が得られないことがある。一方、重合体濃度が30重量%を超えると粘度が上昇し、紡糸が困難となる傾向を示す。紡糸溶液の重合体濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。
本発明において重合体濃度とは、PAN系重合体の溶液中に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体の溶液を計量した後、PAN系重合体を溶解せずかつPAN系重合体溶液に用いる溶媒と相溶性のあるものに、計量したPAN系重合体溶液を脱溶媒させた後、PAN系重合体を計量する。重合体濃度は、脱溶媒後のPAN系重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系重合体の溶液の重量で割ることにより算出する。
また、45℃の温度における紡糸溶液の粘度は、15〜200Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜150Pa・sの範囲であることがより好ましく、30〜100Pa・sの範囲であることが最も好ましい。溶液粘度が15Pa・s未満では、紡糸糸条の賦形性が低下するため、口金から出た糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液粘度は200Pa・sを超えるとゲル化し易くなり、フィルター濾材が閉塞しやすくなる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、重合開始剤や連鎖移動剤の量などにより制御することができる。
45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、B型粘度計により測定することができる。具体的には、ビーカーに入れたPAN系重合体溶液を、45℃の温度に温度調節された温水浴に浸して調温した後、B型粘度計として、例えば、(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、PAN系重合体溶液の粘度が0〜100Pa・sの範囲はローター回転数6r.p.m.で測定し、またそのPAN系重合体溶液の粘度が100〜1000Pa・sの範囲はローター回転数0.6r.p.m.で測定する。
本発明では、上記したような紡糸溶液を紡糸するに先立ち、フィルター装置に通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去する。本発明におけるフィルター装置とは、紡糸溶液中に存在する異物を濾過して除去する設備を意味し、濾過処理を施す紡糸溶液をフィルター装置内に導くための流入路と、紡糸溶液を濾過するためのフィルター濾材と、濾過された紡糸溶液をフィルター装置外に導くための流出路と、これらを収納するための容器とより構成される。ここで、フィルター濾材とは、フィルター装置内に収納される紡糸溶液の濾過手段である。
本発明で用い得るフィルター装置を図1〜3を用いて説明すると次のとおりである。ただし、図1〜3は例示であり、本発明はこれらの図およびこれらの図を用いる説明によって制限されるものではない。
図1はフィルター装置の断面図であり、濾過容器1に作られた空間内に、フィルター濾材2と、フィルター濾材の変形を抑制し液体透過性を有する支持体3が固定されている。紡糸溶液は紡糸溶液流入路4を経て、フィルター濾材2で濾過され、紡糸溶液流出路5を経てフィルター装置外に出る。この基本構成以外にも、例えば、図2に示すように、フィルター濾材2が外周に沿って多孔板等からなる支持体3に支持され、紡糸溶液流出路への開口6を有するリーフディスク型フィルター7を、図3に示すように、濾過容器1に作られた空間内に、紡糸溶液流出路を兼ねる芯体8とフィルター押さえ9の間に複数枚積み重ね、固定してあるフィルター装置も好ましい様態である。すなわち、芯体8は側面に開口10を有しており、紡糸溶液は、紡糸溶液流入路4を経て、それぞれのリーフディスク型フィルター7におけるフィルター濾材2で濾過され、支持体3、リーフディスクの内径側にある紡糸溶液流出路への開口6、芯体の開口10、芯体8を順に経て、流出されることで濾過される。なお、リーフディスク型フィルターの外径は距離Dで表され、リーフディスク型フィルターの内径は距離dで表される。リーフディスク型フィルターにおいて、ドーナッツ状の内周部分は支持体がむき出しになっているか、開口を有する板で覆われており、リーフディスク型フィルターの上下面から流入した紡糸溶液が内周部分から排出されるようになっている。
リーフディスク型フィルター以外にも、キャンドル型、プリーツキャンドル型のタイプも選択できるが、フィルター濾材をほぼ平面上に使用できるリーフディスク型フィルターに対し、キャンドル型、プリーツキャンドル型は一定の曲率を持つため、開孔径の分布が広がることや洗浄性が悪化する原因となることがあるので、リーフディスク型フィルターが最も好ましい。
本発明で使用されるフィルター濾材2は、紡糸溶液中に存在する異物を除去するための直接的役割を担う部分であり、定められた開孔径を狭いばらつきで保有することが求められ、加えて、被処理物質に対する化学的安定性と耐熱性とある程度の耐圧性とが要求される。このようなフィルター濾材としては、金属の繊維を織って作製した金網や、ガラス不織布、金属の短繊維をカード機やエアーレイド方法での開繊を行なってウェブ状とした金属繊維不織布とした後焼結して組織を固定した焼結金属繊維組織よりなるフィルター濾材などが好ましく使用される。また、フィルター濾材の材質は、紡糸溶液に不活性であり、かつ溶媒への溶出成分がなければ特に限定されるものではない。具体的な金属としては、ステンレス鋼(SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等)、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)の他、ニッケル、チタン、コバルトベースの種々合金が選択される。金属繊維の製造方法は、特に多数本の線材を束としてまとめて線引き細径化したのち、各線を分離して線材を細径化するいわゆる集束繊維製造方法や、コイル切削法、ビビリ振動切削法などが挙げられる。金網の場合には、繊維束ではなく、単繊維である必要があるため、伸線と熱処理を繰り返す方法などによって得られる。
炭素繊維前駆体繊維用に用いられる紡糸溶液には、わずかな異物が存在しても工程異常や強度低下を招くため、異物が口金に至るまでに濾過により取り除く必要があるが、先に述べたようにゲル状物などの異物は濾圧で変形しフィルター濾材を通過しやすい。炭素繊維の低コスト化のために紡糸速度を高めるためには、フィルター濾材の単位面積当たりの濾過量を増やす必要があるが、そうすると濾圧が上昇しゲル状物などの異物は変形しフィルター濾材を通過しやすくなる。低コスト化と炭素繊維の更なる高強度化を両立するためには、低い濾圧でゲル状物を精度良く濾過する方法が必要である。従来は、厚みが大きく目の細かいフィルター濾材で濾過する方法が主流であり、低い濾圧でゲル状物の変形を防いで捕集する方法については議論されてこなかった。そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、目付A(g/m)と材質密度B(g/m)が次式を満足する濾過保証層を有するフィルター濾材であって、かつ、濾過抵抗係数Cが5〜30×10cm−1であるフィルター濾材を用いることにより、低い濾圧でゲル状物を精度良く濾過できることを見出したものである。
0.01≦A/B×1000≦0.06
フィルター濾材には、フィルター面に垂直な軸に沿って線径や充填率が均一なものもあるが、線径や充填率の異なる層が複数積層されてなるものが多い。濾過保証層とは、フィルター濾材を構成する層のうち、最も細かい開孔径を有する層、すなわち最も濾過精度の高い層のことを指す。フィルター濾材を構成する層のうち、濾過保証層を除いた部分は補強層と称し、詳細は後述する。濾過精度が同等である濾過保証層が断続的に複数層ある場合は、全て積算した値を用いる。濾過保証層の目付については、かかる濾過保証層の1m2 当たりにおける質量(g)、すなわちg/m2 として示される。濾過保証層は、金属繊維の接触部分で結晶化を促す焼結という工程を経ることで構造を固定し、機械的強度を持たせてあるのが一般的である。濾過保証層が焼結によって作製された場合であっても、焼結前後での重量および面積の変化は無視できる程度なので、濾過保証層目付Aは焼結により変化しないため焼結前の値を用いる。焼結後の濾過保証層部分だけ取り出して測定した値を用いても構わないが、焼結前後の濾過保証層目付が異なる場合は、焼結前の値を優先して用いる。濾過抵抗係数Cは単位時間当たりの通気量から計算することが出来る、フィルター濾材の流体の通過させにくさを示す値である。
紡糸溶液中に存在するゲル状物の、フィルター濾材上での変形あるいは粉砕による流出を低減するためには、ゲル状物に付加される剪断応力を低減することが必要である。剪断応力は圧力損失と正の相関があるため、ゲル状物の流出を避けるためには、圧力損失を低減することが有効である。そのためには、圧力損失と比例の関係にある濾過抵抗係数Cを低減させることが必要である。濾過抵抗係数Cはフィルター濾材の開孔径、充填率、厚みなどに依存する。
中でも、フィルター濾材の充填率を後述するように調節すると、濾過抵抗係数Cを効果的に低減することができる。フィルター濾材の充填率は、フィルター濾材を成す濾過保証層および補強層それぞれの垂直断面を顕微鏡撮影し、画像解析の方法により、視野面積に占める繊維等の材料の面積比率を3個所で測定した平均値を、さらに各層毎の厚みで重み付けした加重平均として示される。フィルター濾材の充填率と濾過抵抗係数Cには正の相関があり、充填率が高いほど濾過抵抗係数Cは大きい。濾過抵抗係数Cを低減するために単に充填率を下げるだけでは、濾過精度の低下を招くという問題があるため、フィルター濾材を成す金属繊維の線径を0.5〜2.5μmと細くすることで、濾過抵抗係数Cの低減を図ることがある。
一方、Mz/Mwが1.5以上であり高分子量側に広い分布を有するPAN系重合体は、濾過抵抗係数Cだけでは説明できない圧力損失挙動を示し、高分子量側に長い分布をもたない通常のPAN系重合体を濾過するときにはみられないような、突然のフィルター濾材閉塞が起こることがある。このような閉塞が起こったときは、フィルター濾材通過後の分子量分布が通過前と変化していたため、フィルター濾材に高分子量の成分が堆積していると推定される。異なる成分が相溶してなる重合体溶液に剪断応力をかけると、異なる成分が分離しそれぞれドメインを形成する剪断誘起相分離という現象が生じることが知られており、上記の結果はその一種であろうと推定される。剪断誘起相分離が管内流れ場で起こるときには、流路の長さ方向に進むに従って相分離の度合いが高まっていくことになる。そのため、剪断誘起相分離によるフィルター濾材閉塞を避けるためには、フィルター濾材の厚みを制御すればよいと考えられるが、実際にはフィルター濾材内でも最も濾過精度の高い、従って最も剪断応力がかかっている濾過保証層の厚みを制御することが有効であることが検討の結果明らかになった。A/Bは、濾過保証層を開孔ゼロとなるように圧縮したと想定した際の厚み(単位:m)に相当し、以下、濾過保証層圧縮厚みという。A/B×1000は、濾過保証層圧縮厚みをmm単位に換算したものである。濾過保証層圧縮厚みは濾過保証層の開孔径に関わらず、厚みの一定の基準として用いることができる。
かかる濾過保証層圧縮厚みA/B×1000は0.01〜0.06mmであることが好ましい。0.01mm未満である場合は、濾過時に作用する圧力損失に対してフィルター濾材の強度が確保できずにフィルター濾材が破断し、ゲル状物の流出が発生し、0.06mmを超える場合には、剪断誘起相分離によりフィルター濾材が閉塞する。濾過保証層がステンレスから成る場合には、Bは約8×10g/mなのでAが80〜500g/mとなるように制御することで濾過保証層圧縮厚みを上記範囲内に調節すると良い。
また、濾過抵抗係数Cは5〜30×10cm−1であることが好ましく、5〜20×10cm−1であることがより好ましく、5〜10×10cm−1であることが最も好ましい。5×10cm−1未満である場合には、開孔径が大きく、ゲル状物が目を通り抜け、30×10cm−1を超える場合には、圧力損失が高く、ゲル状物の流出が発生する。
具体的に、上述の条件を満たすフィルター濾材としては、線径10〜25μmのワイヤーを綾畳織で経糸を500〜800メッシュ、好ましくは635〜800メッシュ、緯糸を3500〜6000メッシュ、好ましくは4300〜6000メッシュとして織製し、それを単層あるいは、複数層積層し、焼結した金網が挙げられる。従来、金網を用いた濾過は、薄く、目が粗いためゲル状物の濾過には向かないといわれてきたが、線径が細く、高メッシュで緻密な金網を用いて、ゲル状物を含んだ重合体溶液を濾過した結果、ゲル状物の流出が少ないというこれまでにない新たな知見を得た。また、上述の条件を満たすフィルター濾材として、焼結金属不織布を使用することも可能である。不織布は、線径の小さいものを使用することができるため、開孔径を細かくしやすい利点があり、好ましい。一方、不織布にありがちな開孔径の分布が広い点を補うため、厚みを増すこともあるが、厚みを増さずとも線径を0.5〜2.5μmと細くすることで濾過段数が稼げるため解消することが多い。不織布では、アスペクト比が1〜1000である金属繊維や粉末を目的に合わせて使用し、開孔径を制御することもできるし、アスペクト比の異なる金属繊維や粉末を混ぜることも有効な手段のひとつである。
焼結としては常法を用いてもよいが、焼結時間や焼結温度、あるいは焼結回数などを調節することにより、織布、不織布の開孔径を制御するのが良い。
本発明において、開孔径とも関係の深い、フィルター濾材の濾過精度は1〜10μmが好ましく、より好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。かかる濾過精度が大きくなりすぎると、フィルター濾材通過後の紡糸溶液中の異物が増大し好ましくないため、小さいほど好ましいが、1μmもあれば十分である。本発明におけるフィルター濾材の濾過精度とは、フィルター濾材を通過する間に95%を捕集することができる球粒子の粒子径(直径)で定義する。その測定方法は、JIS B8356に準じ、粒子は標準物質を用いる。
本発明においては、フィルター濾材の内有効容積V(L)と重合体溶液濾過流量W(L/分)の比で示されるフィルター濾材内滞留時間V/Wの値を0.01〜10分にすることも分子量の高い成分を濾過させないために好ましい。ここでフィルター濾材の内有効容積Vはフィルター濾材の空間容積を表す。かかる容積は、フィルター濾過面積とフィルター濾材の厚みから計算される。フィルター濾材は層構造になっていることがあるが、フィルター濾材の開孔径の最も狭い部分の厚みを指す。かかる厚みは、フィルター濾材の断面を切り出し、顕微鏡等で観察することにより特定することができる。重合体溶液濾過流量Wは1分間にフィルター濾材を通過する紡糸溶液の体積流量を表し、濾材内滞留時間V/Wはフィルター濾材を通過する紡糸溶液の平均滞留時間を表す。分子量分布が高分子量側に広い場合は、フィルター濾材中の深層で分子量の高い成分が濾過されていることが多く、フィルター濾材の厚みは薄いことが好ましい。そのため、V/Wが10分を超えると分子量の高い成分が濾過されないことが多く、逆に、V/Wが0.01分未満であると濾過の操作圧が上昇し好ましくない。V/Wのより好ましい範囲は、0.1〜5分であり、更に好ましい範囲は、0.1〜0.5分である
かかるフィルター濾材の濾過保証層圧縮厚みを、上記した範囲内に制御すると従来品に比べ、強度が落ちる可能性があり、低い圧力損失でも濾材が破れることがある。そこでそのような場合には、先述のように、濾過保証層の上下両側あるいはどちらか片側に、濾過保証層よりも濾過精度の低い補強層を積層したのち焼結してフィルター濾材とすることで、強度をもたせることができる。補強層は、濾過保証層とは目付、充填率、材質などの仕様が異なっても良いし、両者の積層枚数および順序も任意に選択できる。補強層の種類は、金属不織布、金属粒子焼結体、金属繊維を織った金網など、濾過保証層に用いるものと同様のものが用いられ、適宜組み合わせてもよい。補強層を濾過保証層の上流側にも配置する場合、開孔径を段階的に変化させて多層積層することも圧力の分散による高耐圧化、異物の多段濾過の観点から好ましい。かかる観点からフィルター濾材を構成する層の積層数は、2〜7層が好ましい。
さらに耐圧性をもたせるために、フィルター濾材とは別に、その上下両側あるいは下流側にサポートとして、リテーナーメッシュやパンチングメタル、0.1〜0.5mm程度の金属線を10〜100#程度に織成してなるシート状の織物体、それを圧延した偏平スクリーンなどを組合せて用いることができる。これらのサポートをフィルター濾材の上流側に重ねる場合は、異物によるフィルター濾材の傷つきを防ぐためや、洗浄再利用中のハンドリング性を高める効果がある。
フィルター濾材は、濾過保証層および補強層の目付の合計である総目付を300〜2500g/mとすることが好ましく、1000〜2500g/mとすることがより好ましい。圧力損失を低減するという観点からは、総目付は小さい方が好ましいが、総目付が300g/mより小さいと、フィルター濾材が圧力損失に耐えられず破断することがある。一方、総目付が2500g/mより大きいと、フィルター濾材の圧力損失が大きくなり、ゲル状物が変形あるいは粉砕し、流出することがある。また、総目付が300g/m以上1000g/m未満の範囲では、圧力損失が小さい濾過初期には問題ないが、濾過保証層が金属不織布の場合、圧力損失が経時増加したときに圧力損失に耐えられずフィルター濾材が破断することがある。フィルター濾材の総目付を上述の範囲とすると、曲げ加工を必要としない平面状で、濾過面積を増やしやすいリーフディスク型フィルターに用いるフィルター濾材として特に有効となる。一方、総目付がかかる範囲にあるフィルター濾材は、曲げ加工が必要なプリーツ型フィルターやキャンドル型フィルターに採用した場合、曲げにより開孔径分布が広がり、ゲル状物の濾過性能が低下することもある。
本発明において濾過操作は紡糸溶液の温度が高いほど粘度が低下し、圧力損失が低減できるが、紡糸溶液の温度が高いとゲル状物が発生しやすいため、低い温度で濾過することが好ましく、具体的には20〜80℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。上述のフィルター濾材を用いることで低い温度で濾過しても従来よりも大幅に圧力損失を低減でき、ゲル状物の流出が減少できる。口金での吐出温度と同等にすることもフィルター濾材以降の加熱や冷却装置を減らせるために好ましい手段である。
本発明では、最も濾過精度の高い(開孔径の小さい)フィルター濾材を用いたフィルター装置が前記したようなものであることが重要であるが、そのフィルター装置で濾過する以前にプレフィルター装置を用いて濾過しても良い。紡糸溶液が大きな凝集体やゲル状物を含む場合があり、その際は、濾過精度を落としたフィルター濾材をプレフィルターとして段階的に配置し濾過することも好ましい。また、凝集体を減少させることで一般的に知られているサンドあるいは、タフミックフィルターを用いることも有効となることがあり、プレフィルターとして適宜使用することができる。
本発明では、上述のようにして濾過した紡糸溶液を、乾式、湿式、あるいは乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維を製造する。なかでも特に、乾湿式紡糸法は、前記した特定の分子量分布を有するPAN系重合体の特性を発揮させるため、好ましく用いられる。
紡糸に用いる口金孔径は、0.05mm〜0.3mmであることが好ましく、0.1〜0.15mmであることがより好ましい。口金孔径が0.05mmより小さい場合、紡糸溶液に剪断応力がかかり、口金を閉塞させることがある。一方、口金孔径が0.3mmを超えると1.5dtex以下の単繊維繊度の繊維を得ることが困難となることがある。
本発明において、凝固浴には、紡糸溶液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶剤と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつ紡糸溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましく、具体的には、水を使用することが好ましい。凝固浴としての条件は、凝固糸における単繊維の断面ができるだけ真円に近くなるように制御することが好ましく、溶媒の濃度は、臨界浴濃度といわれる濃度以下であることが好ましい。溶媒の濃度が高いとその後の溶媒洗浄工程が長くなり、生産性が低下する。例えば、溶剤にジメチルスルホキシドを用いた場合は、ジメチルスルホキシド水溶液の濃度を5〜55重量%とするのが好ましく、5〜30重量%とすることがより好ましい。凝固浴の温度は、繊維側面ができるだけ平滑となるように制御することが好ましく、具体的には、−10〜30℃とすることが好ましく、−5〜5℃とすることがより好ましい。
紡糸溶液を凝固浴中に導入して凝固させ糸条を形成して凝固糸とした後、駆動源を持ったローラーで引き取るが、その凝固糸の引き取り速度は、50〜500m/分であることが、前記した特定の分子量分布を有するPAN系重合体溶液の特性を発揮させる観点から好ましい。その引き取り速度が50m/分未満では生産性が落ち、また引き取り速度が500m/分を超えると凝固浴の液面揺れが顕著になり、得られる繊度にムラが生じる傾向がある。
引き取られた凝固糸は、その後、通常、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。凝固後の糸条は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。そのときの延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、1〜3倍であることがより好ましい。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された繊維糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥工程としては、例えば、乾燥温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒から200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。生産性の向上や結晶配向度の向上として、乾燥工程後に加熱熱媒中で延伸することが好ましい。加熱熱媒としては、例えば、加圧水蒸気あるいは過熱水蒸気が操業安定性やコストの面で好適に用いられ、延伸倍率は通常1.5〜10倍である。
このようにして得られた炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、0.01〜1.5dtexであることが好ましく、0.05〜1.0dtexであることがより好ましく、0.1〜0.8dtexであることがさらに好ましい。単繊維繊度が小さすぎると、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および炭素繊維の焼成工程のプロセス安定性が低下することがある。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。
得られる炭素繊維前駆体繊維は、通常、連続繊維(フィラメント)の形状である。また、その1糸条(マルチフィラメント)当たりのフィラメント数は、好ましくは1,000〜3,000,000本であり、より好ましくは12,000〜3,000,000本であり、さらに好ましくは24,000〜2,500,000本であり、最も好ましくは24,000〜2,000,000本である。得られる炭素繊維前駆体繊維は、延伸性が高いことから、単繊維繊度を従来よりも小さくすることができる一方、1糸条あたりのフィラメント数は、生産性の向上の目的からは多い方が好ましいが、あまりに多すぎると、束内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。
上記のようにして得られた炭素繊維前駆体繊維は、常法に従って炭素繊維となすことができる。すなわち、上記のようにして得られた炭素繊維用前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理するのである。特に、炭素繊維の引張弾性率を高める観点から炭化処理における張力を、前駆体の単位繊度(dtex)当り5.9〜13mNとすることが好ましいが、その際に、本発明では高品位な炭素繊維前駆体繊維が得られているため、焼成工程において毛羽巻付きなどの問題を起こしにくい。

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた測定方法を次に説明する。
<カーボン除去率>
まず、測定すべき紡糸溶液に、炭素微粉末を100ppmとなるようにメカニカルスターラーによって混合し、炭素微粉末混合溶液を作製する。炭素微粉末は活性炭を砕いて63μmの開口径の平織メッシュでふるったものを用いる。次に、この炭素微粉末混合溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、127L/m/時間の濾過速度で濾過を行なう。濾過前後の溶液の波長650nmでの吸光度を測定し、下式に代入して除去率を算出する。
除去率(%)=(濾過前吸光度―濾過後吸光度)/濾過前吸光度×100(%)
<ゲル除去率>
まず、測定すべき紡糸溶液に、ゲル状物を100ppmとなるようにメカニカルスターラーによって混合し、ゲル状物混合溶液を作製する。かかるゲル状物混合溶液300gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、予め絶乾重量を測定しておいたガラスフィルターGA−100を通過させた後、ガラスフィルターの絶乾重量を測定し、濾過前後のガラスフィルターの絶乾重量差から、ゲル状物の重量(M)を求める。ゲル状物は実施例1記載の方法により得られた紡糸溶液を120℃で24時間加熱し、さらにこのゲル状物を1mmの開口径の平織メッシュを用いて裏漉しすることによって調整する。次に、このゲル状物混合溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、12.7L/m/時間の速度で濾過を行なう。濾液300gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、予め絶乾重量を測定しておいたガラスフィルターGA−100を通過させた後、ガラスフィルターの絶乾重量を測定し、濾過前後のガラスフィルターの絶乾重量差から、フィルター濾材濾過後の濾液300gに含まれるゲル状物の重量(M)を求める。このようにして得た重量MおよびMを100×(1−M/M)の式に代入して除去率を算出する。
<ミクロゲル個数>
紡糸原液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、12.7L/m/時間の速度で濾過を行なう。濾液50gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、PTFEメンブレンフィルターJHWP(0.45μm)を通過させた後、メンブレンフィルター表面を蛍光顕微鏡にて観察し、一視野当りの黄色輝点の個数をミクロゲル個数とする。
<フィルター閉塞限界速度>
測定すべき紡糸溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、流量を断続的に変化させながら圧力損失と流量の関係を記録する。通常、流量を変更してから5分間待つと圧力損失が一定値を示すので、その値を該当する流量での圧力損失として記録する。流量を上げていくと、ある流量に設定したところで圧力損失が経時的に増加するようになり、数分の内に圧力損失が7MPaを超える。このような流量のひとつ手前の観測点をフィルター閉塞限界速度と呼ぶ。厳密な意味ではフィルター閉塞限界速度は、圧力損失急上昇の流量と、その一つ手前の観測点との間のどこか一点に存在するが、測定の便宜上このように定義した。
<各種分子量:Mz、Mw、Mn>
測定しようとする重合体が0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量の分布曲線を求め、Mz、MwおよびMnを算出する。測定は3回行い、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いた。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
本実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC2010を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)+東ソー(株)製TSK−guard Column αを、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.45μm−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000、1300000、1810000および4240000のものを、それぞれ用いた。
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤として2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(以下、AIBNと略記)0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmとなるまで窒素置換した後、撹拌しながら次の(1)〜(4)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。
得られた紡糸溶液について、フィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価した。このとき用いたフィルター濾材は、平均線径20μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径13μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、総目付220g/m、充填率85%としたものであり、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数C、および濾過保証層の厚みは表1に示すとおりであった。
次いで、得られた紡糸溶液を、上記と同様のフィルター濾材を配置した図3に示すフィルター装置にて濾過した後、40℃の温度で、孔数1,500、口金孔径0.15mmの紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸し凝固糸とした。このときの吐出線速度は2m/分となるように口金への送液量を調整し、凝固糸の巻取り速度を変更することで糸切れの発生する限界紡糸ドラフト率の測定を行った。また、紡糸ドラフト率4の条件で凝固糸条を得、水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、165℃の温度に加熱したローラーを用いて30秒間乾燥を行い、5倍の水蒸気延伸倍率条件で加圧水蒸気延伸を行い、単繊維繊度0.8dtexの炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維の品位は優れており、製糸工程通過性も安定していた。得られた炭素繊維前駆体繊維をフィラメント数が12000本になるよう合糸し、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で延伸しながらで90分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.2で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.97に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件(重合条件Aと呼ぶ。)の熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
重合条件A
・ 70℃の温度で2時間保持
・ 70℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)
得られたPAN系重合体の一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ580万、340万および140万であった。また、得られたPAN系重合体の一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、1.5重量%であった。
次に、得られた一次溶液中に残存する未反応ANを重合させるために、その一次溶液中に、ジメチルスルホキシド240重量部、ラジカル開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入し、反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmとなるまで窒素置換した後、さらに撹拌しながら下記の条件(重合条件Bと呼ぶ。)の熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体の二次溶液を得た
重合条件B
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られた二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
得られた二次溶液を用いて、それに含まれるPAN系重合体の各種分子量を測定した。次いで、得られた二次溶液を用いて重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液について、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価した。
次いで、使用する紡糸溶液を、上記のようにして得られた紡糸溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は330GPaであった。
[実施例3]
重合条件Aの(1)における保持時間を1.5時間に変更した以外は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は330GPaであった。なお、一次溶液から実施例1と同様の手順で得た乾燥重合体は、Mz、MwおよびMnが、それぞれ580万、340万および140万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、0.7重量%であり、二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった
[実施例4]
反応容器内の空間部を窒素置換する際の酸素濃度を100ppmに変更し、重合条件Aの(1)における保持温度を65℃に変更した以外は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は316GPaであった。なお、一次溶液から実施例1と同様の手順で得た乾燥重合体は、Mz、MwおよびMnが、それぞれ680万、500万および330万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、2.1重量%であり、二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
[実施例5]
AN100重量部、イタコン酸0.3重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.003重量部、およびジメチルスルホキシド360重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmになるまで窒素置換した後、重合開始剤としてAIBN0.003重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件の熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
・ 60℃の温度で3.5時間保持
得られたPAN系重合体の一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ480万、280万および120万であった。得られたPAN系重合体の一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、0.5重量%であった。
次に、その一次溶液中に、イタコン酸0.7重量部、ジメチルスルホキシド10重量部、重合開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.01重量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の条件の熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体の二次溶液を得た。
(2)60℃の温度で2時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった
次いで、得られた二次溶液を用いて重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。
得られた紡糸溶液について、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価した。
次いで、使用する紡糸溶液を、上記のようにして得られた紡糸溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例6]
実施例1と同様にして得た紡糸溶液について、フィルター閉塞限界速度、カーボン除去率およびゲル除去率を評価した。このとき用いたフィルター濾材は、平均線径20μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径13μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、濾過保証層目付220g/m、充填率85%とした濾過保証層に、平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みが表1に示すとおりであった。
使用するフィルター濾材を、上記したものに変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[比較例1]
使用するフィルター濾材を、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1700g/m、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例2と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価したのち、炭素繊維前駆体繊維を得ようとしたが、濾過に際して圧力損失が高く、焼成に耐える品位の高い前駆体繊維は得られなかった。
[実施例7]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した、濾過保証層目付400g/m、充填率20%の濾過保証層に、平均線径8μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.3GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例8]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した濾過保証層目付400g/m、充填率20%の濾過保証層に、平均線径6μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例9]
使用するフィルター装置を図1に示すものに変更し、濾過保証層の厚みを0.2mmに変更した以外は、実施例8と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例10]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した濾過保証層目付400g/m、充填率20%の濾過保証層に、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。しかしながらフィルター濾材の耐圧が低く、初期にはフィルター性能および製糸性は良好であったが、経時的な圧力損失の上昇が2.5MPaに達したところでフィルター濾材が破断した。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[比較例2]
使用するフィルター濾材を、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1700g/m、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は320GPaであった。実施例1と比較して、ゲル状物の流出によると考えられる強度低下が見られた。
[実施例11]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例6と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例12]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例7と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.3GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例13]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例8と同様してフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例14]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例15]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例10と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。しかしながらフィルター濾材の耐圧が低く、初期にはフィルター性能および製糸性は良好であったが、経時的な圧力損失の上昇が2.5MPaに達したところでフィルター濾材が破断した。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例16]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径25μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径15μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、濾過保証層目付290g/m、充填率85%とした濾過保証層に、平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例17]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1800g/m、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.6GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例18]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1800g/m、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.6GPaであり、弾性率は320GPaであった。

上記した実施例および比較例におけるフィルター濾材、PAN系重合体の各種分子量、製糸での限界ドラフト倍率、および、得られた炭素繊維束の引張強度などの結果を、表1にまとめて示す。
Figure 0005141598
本発明では、高速紡糸を行うことの可能なPAN系重合体を用いて、問題を起こすことなく、濾過して用いることにより、生産性を損なうことなく高品位な前駆体繊維を製造することができ、その得られた前駆体繊維を用いることにより、焼成工程でも安定して高品位、かつ、高強度な炭素繊維の製造することができ有用である。
D:リーフディスク型フィルターの外径
d:リーフディスク型フィルターの内径
1:濾過容器
2:フィルター濾材
3:支持体
4:紡糸溶液流入路
5:紡糸溶液流出路
6:流出路への開口
7:リーフディスク型フィルター
8:芯体
9:フィルター押さえ
10:芯体の開口

Claims (5)

  1. Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、紡糸に先立ち、濾過保証層目付A(g/m)と材質密度B(g/m)が次式を満足する濾過保証層を有するとともに、濾過抵抗係数Cが5×10〜30×10cm−1であるフィルター濾材を用いたフィルター装置で、紡糸溶液を濾過する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
    0.01≦A/B×1000≦0.06
  2. 前記フィルター濾材は、その濾過保証層の厚みが0.033〜0.25mmである請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  3. フィルター装置は、総目付が300〜2500g/mである前記フィルター濾材を用いたリーフディスク型フィルターを複数枚積み重ねてなる、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  4. 前記ポリアクリロニトリル系重合体は、Mwが30万〜50万であり、Mz/Mwが1.5〜6.0である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. Mz/Mwが2.7〜6.0である請求項4に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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