JP5141598B2 - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents
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0.01≦A/B×1000≦0.06
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フィルター濾材には、フィルター面に垂直な軸に沿って線径や充填率が均一なものもあるが、線径や充填率の異なる層が複数積層されてなるものが多い。濾過保証層とは、フィルター濾材を構成する層のうち、最も細かい開孔径を有する層、すなわち最も濾過精度の高い層のことを指す。フィルター濾材を構成する層のうち、濾過保証層を除いた部分は補強層と称し、詳細は後述する。濾過精度が同等である濾過保証層が断続的に複数層ある場合は、全て積算した値を用いる。濾過保証層の目付については、かかる濾過保証層の1m2 当たりにおける質量(g)、すなわちg/m2 として示される。濾過保証層は、金属繊維の接触部分で結晶化を促す焼結という工程を経ることで構造を固定し、機械的強度を持たせてあるのが一般的である。濾過保証層が焼結によって作製された場合であっても、焼結前後での重量および面積の変化は無視できる程度なので、濾過保証層目付Aは焼結により変化しないため焼結前の値を用いる。焼結後の濾過保証層部分だけ取り出して測定した値を用いても構わないが、焼結前後の濾過保証層目付が異なる場合は、焼結前の値を優先して用いる。濾過抵抗係数Cは単位時間当たりの通気量から計算することが出来る、フィルター濾材の流体の通過させにくさを示す値である。
かかるフィルター濾材の濾過保証層圧縮厚みを、上記した範囲内に制御すると従来品に比べ、強度が落ちる可能性があり、低い圧力損失でも濾材が破れることがある。そこでそのような場合には、先述のように、濾過保証層の上下両側あるいはどちらか片側に、濾過保証層よりも濾過精度の低い補強層を積層したのち焼結してフィルター濾材とすることで、強度をもたせることができる。補強層は、濾過保証層とは目付、充填率、材質などの仕様が異なっても良いし、両者の積層枚数および順序も任意に選択できる。補強層の種類は、金属不織布、金属粒子焼結体、金属繊維を織った金網など、濾過保証層に用いるものと同様のものが用いられ、適宜組み合わせてもよい。補強層を濾過保証層の上流側にも配置する場合、開孔径を段階的に変化させて多層積層することも圧力の分散による高耐圧化、異物の多段濾過の観点から好ましい。かかる観点からフィルター濾材を構成する層の積層数は、2〜7層が好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた測定方法を次に説明する。
まず、測定すべき紡糸溶液に、炭素微粉末を100ppmとなるようにメカニカルスターラーによって混合し、炭素微粉末混合溶液を作製する。炭素微粉末は活性炭を砕いて63μmの開口径の平織メッシュでふるったものを用いる。次に、この炭素微粉末混合溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、127L/m3/時間の濾過速度で濾過を行なう。濾過前後の溶液の波長650nmでの吸光度を測定し、下式に代入して除去率を算出する。
<ゲル除去率>
まず、測定すべき紡糸溶液に、ゲル状物を100ppmとなるようにメカニカルスターラーによって混合し、ゲル状物混合溶液を作製する。かかるゲル状物混合溶液300gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、予め絶乾重量を測定しておいたガラスフィルターGA−100を通過させた後、ガラスフィルターの絶乾重量を測定し、濾過前後のガラスフィルターの絶乾重量差から、ゲル状物の重量(M1)を求める。ゲル状物は実施例1記載の方法により得られた紡糸溶液を120℃で24時間加熱し、さらにこのゲル状物を1mmの開口径の平織メッシュを用いて裏漉しすることによって調整する。次に、このゲル状物混合溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、12.7L/m3/時間の速度で濾過を行なう。濾液300gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、予め絶乾重量を測定しておいたガラスフィルターGA−100を通過させた後、ガラスフィルターの絶乾重量を測定し、濾過前後のガラスフィルターの絶乾重量差から、フィルター濾材濾過後の濾液300gに含まれるゲル状物の重量(M2)を求める。このようにして得た重量M1およびM2を100×(1−M2/M1)の式に代入して除去率を算出する。
<ミクロゲル個数>
紡糸原液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、12.7L/m3/時間の速度で濾過を行なう。濾液50gをジメチルスルホキシドで20倍に希釈したのち、PTFEメンブレンフィルターJHWP(0.45μm)を通過させた後、メンブレンフィルター表面を蛍光顕微鏡にて観察し、一視野当りの黄色輝点の個数をミクロゲル個数とする。
<フィルター閉塞限界速度>
測定すべき紡糸溶液を、測定すべきフィルター濾材が配置された図1に示すフィルター装置に流入させ、流量を断続的に変化させながら圧力損失と流量の関係を記録する。通常、流量を変更してから5分間待つと圧力損失が一定値を示すので、その値を該当する流量での圧力損失として記録する。流量を上げていくと、ある流量に設定したところで圧力損失が経時的に増加するようになり、数分の内に圧力損失が7MPaを超える。このような流量のひとつ手前の観測点をフィルター閉塞限界速度と呼ぶ。厳密な意味ではフィルター閉塞限界速度は、圧力損失急上昇の流量と、その一つ手前の観測点との間のどこか一点に存在するが、測定の便宜上このように定義した。
<各種分子量:Mz、Mw、Mn>
測定しようとする重合体が0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量の分布曲線を求め、Mz、MwおよびMnを算出する。測定は3回行い、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いた。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤として2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(以下、AIBNと略記)0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmとなるまで窒素置換した後、撹拌しながら次の(1)〜(4)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
[実施例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件(重合条件Aと呼ぶ。)の熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
重合条件A
・ 70℃の温度で2時間保持
・ 70℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)
得られたPAN系重合体の一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ580万、340万および140万であった。また、得られたPAN系重合体の一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、1.5重量%であった。
重合条件B
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られた二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
[実施例3]
重合条件Aの(1)における保持時間を1.5時間に変更した以外は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は330GPaであった。なお、一次溶液から実施例1と同様の手順で得た乾燥重合体は、Mz、MwおよびMnが、それぞれ580万、340万および140万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、0.7重量%であり、二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった
[実施例4]
反応容器内の空間部を窒素置換する際の酸素濃度を100ppmに変更し、重合条件Aの(1)における保持温度を65℃に変更した以外は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は316GPaであった。なお、一次溶液から実施例1と同様の手順で得た乾燥重合体は、Mz、MwおよびMnが、それぞれ680万、500万および330万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、2.1重量%であり、二次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
[実施例5]
AN100重量部、イタコン酸0.3重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.003重量部、およびジメチルスルホキシド360重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmになるまで窒素置換した後、重合開始剤としてAIBN0.003重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件の熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
・ 60℃の温度で3.5時間保持
得られたPAN系重合体の一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ480万、280万および120万であった。得られたPAN系重合体の一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、0.5重量%であった。
(2)60℃の温度で2時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった
次いで、得られた二次溶液を用いて重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。
[実施例6]
実施例1と同様にして得た紡糸溶液について、フィルター閉塞限界速度、カーボン除去率およびゲル除去率を評価した。このとき用いたフィルター濾材は、平均線径20μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径13μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、濾過保証層目付220g/m2、充填率85%とした濾過保証層に、平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みが表1に示すとおりであった。
[比較例1]
使用するフィルター濾材を、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1700g/m2、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例2と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価したのち、炭素繊維前駆体繊維を得ようとしたが、濾過に際して圧力損失が高く、焼成に耐える品位の高い前駆体繊維は得られなかった。
[実施例7]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した、濾過保証層目付400g/m2、充填率20%の濾過保証層に、平均線径8μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.3GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例8]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した濾過保証層目付400g/m2、充填率20%の濾過保証層に、平均線径6μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例9]
使用するフィルター装置を図1に示すものに変更し、濾過保証層の厚みを0.2mmに変更した以外は、実施例8と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例10]
使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布に形成した濾過保証層目付400g/m2、充填率20%の濾過保証層に、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。しかしながらフィルター濾材の耐圧が低く、初期にはフィルター性能および製糸性は良好であったが、経時的な圧力損失の上昇が2.5MPaに達したところでフィルター濾材が破断した。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[比較例2]
使用するフィルター濾材を、平均線径5μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1700g/m2、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は320GPaであった。実施例1と比較して、ゲル状物の流出によると考えられる強度低下が見られた。
[実施例11]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例6と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.7GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例12]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例7と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.3GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例13]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例8と同様してフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例14]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例9と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例15]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例10と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに炭素繊維束を得た。しかしながらフィルター濾材の耐圧が低く、初期にはフィルター性能および製糸性は良好であったが、経時的な圧力損失の上昇が2.5MPaに達したところでフィルター濾材が破断した。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.5GPaであり、弾性率は320GPaであった。
[実施例16]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径25μmのSUS316製金属繊維を経糸に、平均線径15μmのSUS316製金属繊維を緯糸に用いて綾畳織のメッシュとしたのちに焼結し、濾過保証層目付290g/m2、充填率85%とした濾過保証層に、平均線径20μmのSUS316L製金属繊維を用いて形成した不織布を積層したものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
[実施例17]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1800g/m2、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
[実施例18]
使用する紡糸溶液を実施例2で得た紡糸溶液に変更し、使用するフィルター濾材を、平均線径2μmのSUS316L製金属繊維を用いて不織布を形成したのちに焼結して、総目付1800g/m2、充填率50%としたものであって、濾過保証層目付A、濾過保証層の材質密度B、濾過抵抗係数Cおよび濾過保証層の厚みを表1に示すものとしたフィルター濾材に変更した以外は、実施例11と同様にしてフィルター閉塞限界速度、カーボン除去率、ゲル除去率およびミクロゲル個数を評価するとともに、炭素繊維束を得た。
上記した実施例および比較例におけるフィルター濾材、PAN系重合体の各種分子量、製糸での限界ドラフト倍率、および、得られた炭素繊維束の引張強度などの結果を、表1にまとめて示す。
d:リーフディスク型フィルターの内径
1:濾過容器
2:フィルター濾材
3:支持体
4:紡糸溶液流入路
5:紡糸溶液流出路
6:流出路への開口
7:リーフディスク型フィルター
8:芯体
9:フィルター押さえ
10:芯体の開口
Claims (5)
- Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、紡糸に先立ち、濾過保証層目付A(g/m2)と材質密度B(g/m3)が次式を満足する濾過保証層を有するとともに、濾過抵抗係数Cが5×105〜30×105cm−1であるフィルター濾材を用いたフィルター装置で、紡糸溶液を濾過する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
0.01≦A/B×1000≦0.06 - 前記フィルター濾材は、その濾過保証層の厚みが0.033〜0.25mmである請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- フィルター装置は、総目付が300〜2500g/m2である前記フィルター濾材を用いたリーフディスク型フィルターを複数枚積み重ねてなる、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- 前記ポリアクリロニトリル系重合体は、Mwが30万〜50万であり、Mz/Mwが1.5〜6.0である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
- Mz/Mwが2.7〜6.0である請求項4に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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