JP2004027396A - 炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクリル系重合体溶液の濾過に際し、フィルターの長寿命化を図りかつ製糸工程の稼働時間の延長化を図ることが可能な炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供する。
そして、異物に起因する製糸工程での糸切れを未然に防止することで工程の安定化を図ることが可能な炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供する。
さらには、補強繊維用や炭素繊維製造用アクリル系繊維の高強度化を図ることが可能な炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸するに先立ち、開孔径の大きなフィルターの開孔径をA(μm)とし、それに続く次のフィルターの開孔径をB(μm)としたときの比B/A(×100)が10〜80%であり、かつ最終フィルターの開孔径が5μm以下であるフィルターを用いて2段以上の多段濾過を行うことを特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、品質、性能のバラツキが小さく、信頼性の高められた炭素繊維用アクリル系前駆体繊維、特に機械的特性に優れた炭素繊維を製造するための炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、補強繊維として有用な高強度系や炭素繊維製造用のプリカーサー等に使用可能なアクリル系繊維の高性能化に関しては、これまで多くの技術が開示されている。これらの技術の中で重合体中の異物に起因する欠点を回避するため、重合に供給する原料を濾過する方法が、例えば特開昭61−108716号公報や特開昭61−152812号公報、特開平1−271401号公報等によって提案されている。
【0003】
一方、重合体あるいはその紡糸原液を濾過する方法が、例えば特開昭58−115121号公報、特開昭58−220821号公報、特開昭59−88924号公報によって提案されている。これらは、いずれも目開きの小さなフィルターによる濾過技術であり、特に、特開昭58−220821号公報においては、紡糸原液を5μm以下の開孔径を持つフィルターを用いて濾過することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
アクリル系重合体中の異物に起因する繊維欠陥の発生や、それに伴う物性低下を極力抑制するために、重合原料や紡糸原液などを濾過することは上述の通り知られている。
【0005】
しかし、かかる従来技術においてはフィルターの開孔径をただ単に小さくするに止まるためフィルターの目詰まりが早く、フィルターの濾圧上昇速度が著しく増大する。換言すれば、フィルター寿命が極めて短く、フィルター交換の都度、製糸工程の停機を行う必要があるという問題点があった。
【0006】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、フィルターの長寿命化を図り、かつ製糸工程の稼働時間の延長化を図ることことが可能な炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供することにある。
【0007】
さらに、重合体ないし紡糸原液を清浄化し、異物に起因する製糸工程での糸切れを未然に防止することにより工程の安定化を図ることが可能な炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供することにある。
【0008】
さらには、紡糸原液を清浄化し、異物に起因する物性低下を小さくすることで補強繊維用や炭素繊維製造用アクリル系繊維の高強度化あるいは高強伸度化を図ることが可能な素繊維用アクリル系前駆体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸するに先立ち、開孔径の大きなフィルターの開孔径をA(μm)とし、それに続く次のフィルターの開孔径をB(μm)としたときの比B/A(×100)が10〜80%であり、かつ最終フィルターの開孔径が5μm以下であるフィルターを用いて2段以上の多段濾過を行うことを特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法。
【0010】
(2)アクリロニトリル系重合体溶液を濾過するにあたり、開孔径の大きなフィルターの濾過通過流量a(dm3 /hr)を基準として、それに続く次のフィルターの濾過通過流量b(dm3 /hr)との比a/bが2以上となるように、開孔径の大きなフィルターで循環濾過した重合体溶液をそれに続く次のフィルターで濾過することを特徴とする前記(1)に記載の炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法。
【0011】
なお、開孔径の大きなフィルターでの循環濾過とは、開孔径の大きなフィルターにおいて、フィルター出側から出た濾液の一部を入り側に戻す濾過をいう(フィルター出側から出た濾液の一部は、次のフィルターの入り側へ入る)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく説明をする。
【0013】
本発明のアクリル系重合体は、少なくと85mol%、好ましくは90mol%以上のアクリロニトリルと、15%以下、好ましくは10mol%以下のアクリロニトリルと共重合性を有する少なくとも1種類以上のモノエチレン性ビニルモノマー成分とのアクリロニトリル系共重合体であることが望ましい。
【0014】
この場合の共重合成分の例としては、カルボキシル基含有ビニル系モノマーのアンモニウム塩、アミン塩またはヒドラン塩からなる群から選ばれた少なくと も1種を挙げることができる。
【0015】
ここで、カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸等を例示することができる。
【0016】
本発明においては、カルボキシル基含有ビニルモノマーのアンモニウム塩、アミン塩またはヒドラン塩を1種類共重合するものであるが、その理由は該共重合成分を共重合することにより、紡糸時の失透化現象を防止して緻密な構造のアクリル繊維を製造することが可能となり、そのような緻密な構造のアクリル繊維を焼成することにより高品位の炭素繊維が得られるからである。
【0017】
カルボン酸のアンモニウム塩、アミン塩またはヒドラン塩の共重合体を得る方法としては、直接これらを共重合してもよいが、カルボン酸の共重合体にアンモニア、ヒドラジンあるいはアミン等を混合してカルボキシル基の末端水素をアンモニア、ヒドラジンまたは第4級アミンイオン等で置換してもよい。
【0018】
さらに、上記カルボキシル基含有ビニル系モノマー等の他に、次のようなビニルモノマーを耐炎化反応促進を目的に第3成分として共重合してもよい。
【0019】
このような耐炎化促進の効果を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の前記カルボキシル基含有ビニル化合物およびそれらのアルキルエステル類、オキシアルキルアクリル化合物などを例示できるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
また、上記共重合モノマーの他に、次のようなビニルモノマーをポリマー溶解性、紡糸時の失透化現象防止効果を目的に第4成分として共重合してもよい。
【0021】
このような紡糸時の失透化現象防止効果を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸の低級アルキルエステル類、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびそれらのアルカリ金属塩、酢酸ビニルや塩化ビニルなど例示できるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
もちろん、これらのアクリロニトリル系共重合体は、本発明の目的を達成するのに支障がない限り、単独または混合して用いることができ、さらに他の公知のアクリロニトリル系共重合体と併用してもよい。
【0023】
上記したアクリロニトリル系重合体は、公知の水系懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合、乳化懸濁重合法によって製造することができる。重合は、バッチ法または連続重合法で製造することができる。
【0024】
本発明のアクリロニトリル系重合体の極限粘度は1.0〜4.0の範囲が好ましく、1.2〜1.8がさらに好ましい。
【0025】
極限粘度が1.0未満であると、紡糸工程や焼成工程において単糸同士が融着しやすく、また極限粘度が4.0を越えると紡糸原液の溶液粘度が高くなるとともに、延伸性が低下するので、通常の紡糸方法では製糸が非常に困難になる。
【0026】
アクリロニトリル系重合体から炭素繊維用アクリル系前駆体を製造する際、ジメチルアセトアミドやジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、硝酸、ロダンソーダ水溶液および塩化亜鉛水溶液等の該重合体の溶媒からなるポリマー溶液を紡糸原液とするが、そのポリマー濃度は18〜22重量が好ましく、19.0〜20.0がさらに好ましい。
【0027】
本発明におけるフィルターには、種々のフィルターを用いることができるが、フィルターを通過する薬品(濾過する物質)に対して耐薬品性であることが重要であることはいうまでもない。
【0028】
例として、不織布フィルター、膜型フィルター、中空糸型フィルターなどを挙げることができる。また、フィルターを構成する物質としては、ガラス繊維、焼結金属、ポリプロピレン、ポリテトラクロロエチレン等が好適である。
【0029】
本発明において、アクリロニトリル系重合体溶液は、90Wt%以上のアクリロニトリルを含有するものであることが好ましい。
【0030】
本発明の実施に当たって、90wt%以上のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系重合体溶液を濾過する際には、まず2段以上の多段フィルターによる濾過を行う。
【0031】
この時、開孔径の大きなフィルターの開孔径をA(μm)とし、それに続く次のフィルターの開孔径をB(μm)としたとき、これらの比B/A(×100)が10〜80%であり、かつ最終フィルターは開孔径が5μm以下のフィルターを用いることが重要である。基準としたフィルターの開孔径Aと後段のフィルターの開孔径Bとの比B/Aが80%を越えると前段と後段のフィルターとの開孔径差が小さくなり過ぎるために濾過段数が増大し、効率のよい異物の捕集ができなくなり、且つ段数がアップしたことにより設備イニシャルコストが大幅に増大する。
【0032】
また、前記開孔径比B/Aが10%未満では、前段と後段のフィルターの開孔径差が大きくなり過ぎるために不純物が各フィルターにうまく分配されず、フィルターの寿命が極端に短くなる。
【0033】
このような観点から前段と後段のフィルターの開孔径比が10〜80%でかつ最終フィルターの開孔径が5μm以下のものを用いた2〜10段の多段濾過が望ましい。
【0034】
本発明においては、開孔径の大きなフィルターと、それに続く次のフィルターを少なくとも有するものであり、それに続くフィルターは最終フィルターを兼ねることもある。
【0035】
ここでいうフィルターの開孔径とは、炭素粒子、石英粒子、球形粒子などをふるい分けしたとき、95%以上の濾過精度で捕集できる開孔径を意味する。
【0036】
たとえば、開孔径が5μmとは、原液中に5μmにふるい分けした粒子を添加し、一定圧力、温度下で濾過した際に下記式で表される捕集効率ηが95%以上であるフィルターのことである。
【0037】
捕集効率η(%)=((λ−λ)/λ )×100
λ :原液中の粒径(X=5μm)の個数
       λ :濾液中の粒径(X=5μm)の個数
前記アクリロニトリル系重合体溶液を濾過する際、最小開孔径を有するフィルターを紡糸口金直近に設置し濾過することが望ましい。
【0038】
この紡糸原液は一般に粘度が高く、このため最小開孔径を有するフィルターの開孔径は5μm以下、好ましくは1〜5μm程度のものが好適である。
【0039】
なお、開孔径の大きなフィルターの開孔径Aは5〜20μmであることが好ましく、それに続く次のフィルターの開孔径(最終フィルターを含む)Bは、1〜16μmであることが好ましい。
【0040】
また、アクリロニトリル系重合体溶液を濾過するにあたり、開孔径の大きなフィルターの濾過通過流量a(dm3 /hr)を基準として、それに続く次のフィルターの濾過通過流量b(dm3 /hr)との比b/aが2以上となるように、開孔径の大きなフィルターで循環濾過した重合体溶液をそれに続く次のフィルターで濾過することが重要である。比b/aが2未満であると濾過回数アップによる異物捕集効果が得られないだけでなく、濾過面積減少により濾過段数が増大し、さらに悪化すると開孔径の小さなフィルターの濾過寿命が短くなる。
【0041】
濾過通過流量とは、濾材(フィルター)を通過する流量のことであり、たとえば、供給設備であるポンプの回転数により測定は可能である。
【0042】
なお、dはデシ=10−1をあらわす。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
なお、本例中に記載した物性の測定は以下の方法で求めたものである。
(1)原液中の異物の個数
採取原液を0.1μmの濾材で濾過し、濾材上に光束を当て発光する異物の個数を数えた。
(2)原糸(アクリル系繊維束)表面の傷の個数
製糸工程において油剤付与後の乾燥緻密化工程の糸条を採取し、長さ5cmの単糸を100本ランダムにサンプリングし、顕微鏡(50倍)で観察し、ねじれ、変形、キズを単糸1mあたりの数に換算した。
(3)炭素繊維のストランド引っ張り強度評価
空気中210〜250℃で耐炎化処理し、次いで窒素雰囲気下1400℃まで加熱して炭素繊維を得、次いで濃度0.1モル/dm3 の硫酸水溶液を電解液として、10クーロン/gで電解処理、水洗し、150℃の空気中で乾燥した炭素繊維に、JIS−R−7601に規定されている方法によって、エポキシ樹脂を含浸し、引張試験機にてストランド強度を測定した。
【0045】
実施例1
重合に際して、アクリロニトリル、ジメチルスルホキシド(以下DMSO) はそれぞれ、1.2μm、0.6μmの開孔径をもつポリプロピレン製不織布フィルター、並びに0.2μmの開孔径をもつポリテトラクロロエチレン製膜型フィルターで3段濾過し、一方、共重合成分としてのイタコン酸及び開始剤、また重合度調節剤はいずれもジメチルスルホキシドに溶解後、0.6μm、0.2μmの目開きを持つフィルターで2段濾過を行った。
【0046】
単量体組成をアクリロニトリル(AN)/アクリル酸メチル(MEA)/メタクリル酸スルホン酸ナトリウム(SMAS)/イタコン酸(IA)=95.2/4.0/0.2/0.6(mol%)とし、DMSOを溶媒として重合を行い極限粘度1.50の共重合体19.5〜21.5%を含む重合原液を得た。
【0047】
該原液を本発明の濾過工程である、20μm、5μmの開孔径を持つ金属焼結フィルターで2段濾過を行った。この際、開孔径の大きい20μm金属焼結フィルターにおいては、20μmのフィルターを通過した濾液の一部が再度20μmフィルターで濾過されるようなプロセスにした。
【0048】
そして、開孔径が20μmのフィルターに400dm3 /hrを通液し、最小開孔径を有する5μmフィルターにも同様に400dm3 /hrと、各段において同一になるようにした。
【0049】
この紡糸原液を孔径0.55mmφ、孔数48000の口金より30℃、60%DMSO水溶液中に吐出し凝固せしめ、以後、温水浴中での4〜5倍に延伸後、水洗、油剤付与、乾燥緻密化等のプロセスを経て、1.1dtex(デシテックス)の繊維束を得た。
【0050】
ここで得られた繊維束を210〜250℃の温度で耐炎化した後、N2雰囲気下で最高温度1400℃の加熱炉を用いて炭化処理し炭素繊維ストランドを得た。
【0051】
この場合の濾過時における濾過寿命(最終フィルターの濾過圧力損失が2MPaに到達するまでの単位濾過面積あたり濾液通過量)、および原糸表面の傷、炭素繊維物性(ストランド強度)を測定し表1に示した。
【0052】
【表1】
Figure 2004027396
【0053】
比較例1
実施例1において多段濾過をせず5μmの目開きを持つ金属焼結フィルターで1段濾過を行った以外は、実施例1と全く同様の操作を行い炭素繊維ストランドを得た。この結果を表1に示した。
これらの結果が示すように、実施例1において濾過寿命が4.2倍に向上したことが分かる。
【0054】
実施例2
実施例1において、各段における開孔比差の割合を変えず最終フィルターの開孔径を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様とした。
【0055】
ここで最終フィルターの開孔径と原液中の異物、炭素繊維の関係を調べ、実施例1の原液中の異物、原糸表面の傷、炭素繊維ストランド強度を対比させて表2に示した。
【0056】
この結果が示すように、最終フィルターの開孔径を5μm以下とすることによって原液中の異物を少なくすることができ、異物に起因する原糸表面の損傷を少なくすることができ、高性能な炭素繊維を得られることが分かる。
【0057】
【表2】
Figure 2004027396
【0058】
実施例3
実施例1において、開孔径差の割合の変化に伴う濾過形態及びフィルターの開孔径の変化を見るため初段開孔径を20μm、最終フィルターの開孔径を5μm以下とした時の最終フィルターの濾過寿命を調べた結果を表3に示した。
【0059】
この結果が示すように、開孔径の大きなフィルターを基準とした開孔径比が10%より低い場合、濾過の段数アップが著しい。
【0060】
また、80%を越えると隣接する後段のフィルターの開孔径差が大きすぎ効率のよい多段濾過ができないため、濾過寿命が短くなった。
【0061】
【表3】
Figure 2004027396
【0062】
実施例4
実施例1において、開孔径の大きいフィルターへの濾過通過流量a(dm)と開孔径の小さいフィルターへの濾過通過流量b(dm)との比(通液比)a/bの変化における影響を見るために、開孔径の大きい20μmのフィルターの濾過通過流量を変化させ、最小開孔径を有する5μmのフィルターに400dm/hrと一定にした。
【0063】
この際、1段目の20μmのフィルターを通過した原液の一部が20μmのフィルターに再循環されるようにした。                   ここで通液比a/bと原液中の異物、炭素繊維の関係を調べ、実施例1の原液中の異物、原糸表面の傷、炭素繊維ストランド強度を対比させて表4に示した。
【0064】
この結果が示すように、通液比a/bを2以上とすることによって原液中の異物を少なくすることができ、異物に起因する原糸表面の損傷を少なくすることができ、高性能な炭素繊維を得られることが分かる。
【0065】
また、開孔径の小さなフィルターの濾過寿命をアップすることができることが分かる。
【0066】
【表4】
Figure 2004027396
【0067】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明におけるアクリル系重合体溶液の濾過において、特定の多段濾過を適用したことにより重合原液中の異物がその粒子径に応じて的確に捕捉され、開孔の小さいフィルターの濾圧上昇を小さくでき開孔径の小さいフィルターの長寿命化がはかれる。
【0068】
また、特定の最小開孔径を有するフィルターを採用することにより、異物個数(欠陥)の少ないアクリル系重合体溶液が得られる。
【0069】
該アクリル系重合体溶液が得られる炭素繊維用アクリル系前駆体繊維(原糸)は、原糸表面の損傷(欠陥)が少なく、該原糸からは機械的特性(強度)に優れる炭素繊維が得られる。
【0070】
さらに、開孔径の異なるフィルターの濾過通過流量の比を特定することにより、更なるアクリル系重合体溶液中の異物個数(欠陥)の減少、開孔径の小さいフィルターの長寿命化、原糸表面の傷の減少、炭素繊維の高強度化がはかれる。

Claims (2)

  1. アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸するに先立ち、開孔径の大きなフィルターの開孔径をA(μm)とし、それに続く次のフィルターの開孔径をB(μm)としたときの比B/A(×100)が10〜80%であり、かつ最終フィルターの開孔径が5μm以下であるフィルターを用いて2段以上の多段濾過を行うことを特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法。
  2. アクリロニトリル系重合体溶液を濾過するにあたり、開孔径の大きなフィルターの濾過通過流量a(dm3 /hr)を基準として、それに続く次のフィルターの濾過通過流量b(dm3 /hr)との比a/bが2以上となるように、開孔径の大きなフィルターで循環濾過した重合体溶液をそれに続く次のフィルターで濾過することを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維用アクリル系前駆体の製造方法。
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