JP5141489B2 - 温度式膨張弁 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用される温度式膨張弁に関する。
従来、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、蒸発器流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように、高圧冷媒を減圧膨張させる温度式膨張弁が知られている。この種の温度式膨張弁は、蒸発器流出冷媒の温度および圧力に応じて変位作動するエレメント部を備え、エレメント部によって弁体を変位させることによって、高圧冷媒を減圧膨張させる絞り通路の開度を調整している。
より具体的には、エレメント部は、温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入された封入空間の内圧と蒸発器流出冷媒の圧力との圧力差に応じて変位するダイヤフラム(圧力応動部材)を有している。そして、このダイヤフラムの変位が、蒸発器流出冷媒の温度を感温媒体に伝達する感温棒等を介して、弁体に伝えられる。
これにより、封入空間内の感温媒体の圧力を蒸発器流出冷媒の温度に応じた圧力とし、封入空間内の内圧と蒸発器流出冷媒の圧力との圧力差によってダイヤフラムを変位させている。つまり、蒸発器流出冷媒の温度および圧力に応じてダイヤフラムを変位させて弁体を変位させることで、絞り通路の開度を調整している。
さらに、特許文献1には、感温棒の内部に形成されて封入空間と連通する柱状空間内に、感温棒から感温媒体への熱伝達を遅らせる時定数遅延材(樹脂チューブ又はステンレスチューブ)および熱バラスト材(粒状活性炭)を、配置した温度式膨張弁が開示されている。これにより、特許文献1の温度式膨張弁では、弁体部の急変位を抑制して、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング)の防止を狙っている。
また、特許文献2には、特許文献1の温度式膨張弁に対して、柱状空間の内周壁と時定数遅延材の外周壁に空間を形成することで、感温棒から時定数遅延材への熱伝達を遅らせた温度式膨張弁が開示されている。これにより、特許文献2の温度式膨張弁では、上述の冷凍サイクルのハンチング防止効果を向上させている。
特許第3995828号公報 特開2002−54861号公報
ところで、この種の温度式膨張弁では、一般的に、その外殻を形成するボデー部の内部に高圧冷媒を流通させる冷媒通路、高圧冷媒を減圧膨張させる絞り通路、蒸発器流出冷媒を流通させる冷媒通路等が形成され、さらに、感温棒、弁体等もボデー部の内部に収容される。一方、エレメント部はボデー部の外部に配置される。
このため、エレメント部に形成される封入空間内の感温媒体の温度は、外気温の影響を受けやすい。従って、特許文献1、2のように、ボデー部の内部に配置される感温棒の内部の柱状空間内に時定数遅延材等を配置しても、外気温の影響による冷凍サイクルの不安定な作動を効果的に防止することは難しい。
例えば、冬季のように、感温棒から柱状空間内の感温媒体に伝達される温度よりも外気温が低下すると、エレメント部に形成される封入空間内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となってしまう。
そして、この過冷却液相状態となった感温媒体が柱状空間内の感温媒体と熱的に接触してしまうと、柱状空間内の冷媒温度が低下して、柱状空間内および封入空間内の感温媒体の飽和圧力が低下してしまう。その結果、弁体が絞り通路を閉弁する側に変位して、所望の弁開度を実現できず蒸発能力不足や除湿能力不足、蒸発器内へのオイル滞留等の影響が出てしまう。また、これらの現象が急激に起こると、冷凍サイクルの作動不安定化にもつながる。
上記点に鑑み、本発明は、外気温の影響による膨張弁の誤作動および冷凍サイクルの不安定な作動を防止可能に構成された温度式膨張弁を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)と、ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、圧力応動部材(53b)の変位を弁体(52a)に伝えるとともに、第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を感温媒体へ伝達する感温棒(52b)とを備え、
感温棒(52b)の内部には、感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、感温媒体は、柱状空間(10)内にその気液界面(40)が存在するように封入され、さらに、感温棒(52b)には、柱状空間(10)のうち、一部の部位の軸方向断面積を、他の部位の軸方向断面積よりも縮小させる小断面積形成部(52d)が設けられており、
小断面積形成部(52d)は、気液界面(40)よりも上方に設けられ、
感温媒体は、その温度が少なくとも0℃以上かつ40℃以下の範囲において、柱状空間(10)内に気液界面(40)が存在するように封入されており、
第2冷媒通路(51f)の下面からエレメント部(53)が配置されるボデー部(51)上面までの範囲を低圧冷媒流路領域(α)としたとき、感温媒体は、気液界面(40)が低圧冷媒流路領域(α)内となるように封入されており、
小断面積形成部(52d)における柱状空間(10)の軸方向断面の直径をφとし、小断面積形成部(52d)の下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとし、液相状態の感温媒体の密度をρとし、小断面積形成部(52d)における表面張力をSとし、円周率をπとし、重量加速度をgとしたときに、
S×φ≧(φ/2) 2 ×π×h×ρ×gとなっていることを特徴とする。
これによれば、感温棒(52b)に小断面積形成部(52d)が設けられているので、小断面積形成部(52d)における液相状態の感温媒体の流動を抑制できる。つまり、低外気温時にエレメント部(53)側の封入空間(20)内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となっても、この過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間(10)側へ流れ込むことを抑制できる。
従って、低外気温時に過冷却液相状態となった封入空間(20)内の感温媒体および柱状空間(10)内の感温媒体が熱的に接触してしまうことを抑制して、柱状空間(10)内および封入空間(20)内の感温媒体の飽和圧力が変化してしまうことを抑制できる。その結果、外気温の影響による弁体(52a)の誤作動を抑制して、冷凍サイクルを所望の運転状態に保ち、不安定な作動を防止することができる。
また、請求項1に記載の発明では、小断面積形成部(52d)を、気液界面(40)よりも上方に設けているので、低外気温時における封入空間(20)内の過冷却液相状態の感温媒体と、柱状空間(10)内の飽和液相状態の感温媒体が直接接触してしまうことを回避できる。このため、柱状空間(10)内および封入空間(20)内の感温媒体の飽和圧力が変化してしまうことを、より一層効果的に抑制できる。
また、請求項に記載の発明では感温媒体は、その温度が少なくとも0℃以上かつ40℃以下の範囲において、柱状空間(10)内に気液界面(40)が存在するように封入されているこれによれば、適用される蒸気圧縮式冷凍サイクルの使用温度範囲(0℃以上かつ40℃以下の範囲)において、外気温の影響による冷凍サイクルの不安定な作動を防止できる。
さらに、請求項1に記載の発明では、小断面積形成部(52d)における柱状空間(10)の軸方向断面の直径をφとし、小断面積形成部(52d)の下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとし、液相状態の感温媒体の密度をρとし、小断面積形成部(52d)における表面張力をSとし、円周率をπとし、重量加速度をgとしたときに、S×φ≧(φ/2) 2 ×π×h×ρ×gとなっている。
これによれば、エレメント部(53)側で凝縮した過冷却液相状態の感温媒体に対して、小断面積形成部(52d)を通過して柱状空間(10)下方側へ落下する方向に作用する重力((φ/2) 2 ×π×h×ρ×g)よりも、小断面積形成部(52d)を通過して柱状空間(10)下方側へ落下することを妨げる方向に作用する表面張力による抗力(S×φ)が大きくなる。
従って、過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間(10)下方側へ落下することを回避して、外気温の影響による弁体(52a)の急変位を確実に回避できる。その結果、冷凍サイクルの不安定な作動を防止することができる。
請求項に記載の発明では、請求項1に記載の温度式膨張弁において、小断面積形成部(52d)における柱状空間(10)の軸方向断面の直径をφとし、小断面積形成部(52d)の下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとしたときに、
3.5≧φ×h(単位:mm2)となっていることを特徴とする。
これによれば、後述する実施形態で説明するように、感温媒体として幅広い種類の媒体を採用しても、エレメント部(53)側で凝縮した過冷却液相状態の感温媒体に対して、小断面積形成部(52d)を通過して柱状空間(10)下方側へ流れ込む方向に作用する重力よりも、小断面積形成部(52d)を通過して柱状空間(10)下方側へ流れ込むことを妨げる方向に作用する表面張力による抗力を大きくすることができる。
従って、感温媒体として幅広い種類の媒体を採用しても、外気温の影響による冷凍サイクルの不安定な作動を防止することができる。
請求項に記載の発明では、請求項1または2に記載の温度式膨張弁において、感温棒(52b)の外径をφoutとし、柱状空間(10)の軸方向断面の直径のうち最大直径をφmaxとしたときに、
(φout−φmax)/2≧φmaxとなっていることを特徴とする。
これによれば、柱状空間(10)の軸方向断面の直径よりも、感温棒(52b)の内周側と外周側との間の肉厚が大きくなるので、感温棒(52b)から柱状空間(10)内の感温媒体への熱伝達を遅らせることができる。
従って、外気温の影響による膨張弁の誤作動および冷凍サイクルの不安定な作動を抑制できるだけでなく、感温媒体が第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度変化に敏感に反応して圧力変化してしまうことを抑制して、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング)も抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、感温棒(52b)の内部には、感温棒(52b)よりも熱伝達率の低い材質で形成された、筒状の低熱伝達率部材(60)が配置されており、柱状空間(10)は、低熱伝達率部材(60)の内周側に形成されていることを特徴とする。
これによれば、低熱伝達率部材(60)によって、感温棒から感温媒体への熱伝達を遅らせることができる。従って、外気温の影響による冷凍サイクルの不安定な作動を抑制できるだけでなく、が第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度変化による冷凍サイクルのハンチングも抑制できる。
請求項に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の温度式膨張弁において、柱状空間(10)は、圧力応動部材(53b)側の上側空間(10a)および弁体(52a)側の下側空間(10b)によって構成され、下側空間(10b)の軸方向断面の内径は、上側空間(10a)の軸方向断面の内径よりも小さく形成されていることを特徴とする。
これによれば、下側空間(10b)外周側における感温棒(52b)の内周側と外周側との間の肉厚を大きく形成できるので、より一層、感温棒(52b)から感温媒体への熱伝達を遅らせることができ、冷凍サイクルのハンチングを抑制できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1により、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態の温度式膨張弁5の断面図である。本実施形態では、この温度式膨張弁5を採用した蒸気圧縮式冷凍サイクル1を車両用空調装置に適用しており、図1では、温度式膨張弁5と蒸気圧縮式冷凍サイクル1の各構成機器との接続関係についても模式的に図示している。
この蒸気圧縮式冷凍サイクル1では、冷媒としてフロン系冷媒(例えば、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界サイクルを構成している。まず、図1に示す蒸気圧縮式冷凍サイクル1において、圧縮機2は図示しない車両走行用エンジンから電磁クラッチ等を介して駆動力を得て、冷媒を吸入して圧縮するものである。
放熱器3は、圧縮機2から吐出された高圧冷媒と図示しない冷却ファンにより送風される外気(車室外空気)とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる放熱用熱交換器である。放熱器3の出口側には、放熱器3流出冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して、サイクル内の余剰液相冷媒を溜める受液器(レシーバ)4が接続されている。さらに、レシーバ4の液相冷媒出口には、温度式膨張弁5が接続されている。
この温度式膨張弁5は、レシーバ4から流出した高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、蒸発器6流出冷媒の温度と圧力とに基づいて、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように絞り通路面積(弁開度)を変化させて、蒸発器6入口側へ流出させる冷媒流量を調整するものである。なお、温度式膨張弁5の詳細構成については後述する。
蒸発器6は、温度式膨張弁5にて減圧膨張された低圧冷媒と、図示しない送風ファンによって送風された空気とを熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。さらに、蒸発器6の出口側は、温度式膨張弁5の内部に形成された第2冷媒通路51fを介して、圧縮機2の吸入側に接続されている。
次に、温度式膨張弁5の詳細構成について説明する。この温度式膨張弁5は、いわゆる内部均圧式のもので、図1に示すように、ボデー部51、弁体部52およびエレメント部53等を有して構成される。
まず、ボデー部51は、温度式膨張弁5の外殻および温度式膨張弁5内の冷媒通路等を構成するもので、円柱状あるいは角柱状の金属ブロックに穴開け加工等を施して形成されている。ボデー部51には、冷媒流入口・流出口51a、51b、51d、51e、弁室51g、絞り通路51h、連通室51i、取付穴51j等が形成されている。
冷媒流入口・流出口としては、レシーバ4の液相冷媒出口に接続されて高圧液相冷媒を流入させる第1流入口51a、第1流入口51aから流入した冷媒を蒸発器6入口側へ流出させる第1流出口51bが形成されている。従って、本実施形態では、第1流入口51aから第1流出口51bへ至る冷媒通路によって、第1冷媒通路51cが形成される。
また、他の冷媒流入口・流出口として、蒸発器6から流出した低圧冷媒を流入させる第2流入口51d、第2流入口51dから流入した冷媒を圧縮機2吸入側へ流出させる第2流出口51eが形成されている。従って、本実施形態では、第2流入口51dから第1流出口51eへ至る冷媒通路によって、第2冷媒通路51fが形成される。
弁室51gは、第1冷媒通路51cに設けられて、その内部に後述する弁体部52の球状弁52aが収容される空間である。より具体的には、弁室51gは、第1流入口51aに直接連通し、絞り通路51hを介して第2流出口51bに連通している。絞り通路51hは、第1冷媒通路51cに設けられて、第1流入口51aから弁室51gへ流入した冷媒を、減圧膨張させながら弁室51g側から第1流出口51b側へ導く通路である。
連通室51iは、第2冷媒通路51fおよびボデー部51上面に形成された取付穴51jに連通するように設けられた空間である。この取付穴51jには、ボデー部51の外部から、後述するエレメント部53が取り付けられている。
弁体部52は、一方の端部に設けられた弁体である球状弁52a、エレメント部53のダイヤフラム53bに溶接、接着等の接合手段によって連結された略円柱状の感温棒52b、および、感温棒52bに同軸上に圧入等の手段よって連結されて、球状弁52aに当接する略円柱状の作動棒52cを有して構成されている。
球状弁52aは、感温棒52bおよび作動棒52cの軸方向に変位することによって、絞り通路51hの冷媒通路面積を調整する弁体である。また、弁室51gには、コイルバネ54が収容されており、このコイルバネ54は、支持部材54aを介して、球状弁52aに対して絞り通路51hを閉弁させる側に付勢する荷重をかけている。さらに、コイルバネ54による荷重は、調整ネジ54bによって調整可能になっている。
感温棒52bは、連通室51i、取付穴51jを貫通するように延びており、その外周面が、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒、および、連通室51iへ流入した蒸発器6流出冷媒に晒されるように配置されている。これにより、感温棒52bは、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒の温度をエレメント部53側へ伝達することができる。
さらに、感温棒52bの内部には、感温棒52bの軸方向へ延びるように形成された略円柱上の柱状空間10が形成されている。また、この柱状空間10の軸方向断面の直径のうち最大直径をφmaxとし、感温棒52bのうち柱状空間10外周側の外径をφoutとしたときに、本実施形態では、φmaxおよびφoutが、以下式F1の関係を満たすように設定されている。
(φout−φmax)/2≧φmax…(F1)
つまり、柱状空間10の軸方向断面の直径よりも、感温棒52bの内周側と外周側との間の肉厚が大きくなっている。
作動棒52cは、ボデー部51bに連通室51i側と弁室51g側とを貫通するように形成された弁体部配置穴51kおよび絞り通路51hを貫通するように配置されている。なお、弁体部配置穴51kと弁体部52の作動棒52cとの隙間は、図示しないO−リング等のシール部材によってシールされており、弁体部52が変位しても弁体部配置穴51kと弁体部52との隙間から冷媒が漏れることはない。
エレメント部53は、取付穴51jにネジ止め等の固定手段によって取り付けられるエレメントハウジング53a、圧力応動部材であるダイヤフラム53b、エレメントハウジング53aとともにダイヤフラム53bの外縁部を狭持してエレメント部53の外殻を形成するエレメントカバー53cによって構成される。
エレメントハウジング53aおよびエレメントカバー53cは、ステンレス(SUS304)等の金属で杯状に形成され、ダイヤフラム53bの外縁部を狭持した状態で、その外周端部同士が溶接、ろう付け等の接合手段によって一体に接合されている。従って、エレメントハウジング53aおよびエレメントカバー53cによって形成されるエレメント部53の内部空間は、ダイヤフラム53bによって2つの空間に区画される。
この2つの空間のうち、エレメントカバー53cとダイヤフラム53bとによって形成される空間は、蒸発器6流出冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入される封入空間20である。この封入空間20は、ダイヤフラム53bの中心部に形成されてダイヤフラム53bの表裏を貫通する貫通穴を介して、感温棒52bの内部に形成された柱状空間10と連通している。
さらに、本実施形態では、感温棒52bの内部であって、封入空間20と柱状空間10が連通する部位の近傍の一部に、柱状空間10の軸方向断面積を他の部位の軸方向断面積よりも縮小させる小断面積形成部52dを設けている。より具体的には、この小断面積形成部52dは、柱状空間10の内径に適合する外径を有する円柱状金属部材で形成され、その中心軸部に貫通穴を形成したものである。
そして、この円柱状金属部材を柱状空間10の内部に圧入、接着等の固定手段によって固定することによって、感温棒52bの内部に小断面積形成部52dが設けられる。もちろん、小断面積形成部52dを感温棒52bの内壁面に直接形成してもよい。
さらに、本実施形態では、小断面積形成部52dにおける柱状空間10の軸方向断面の直径、すなわち、円柱状金属部材の中心軸部に形成された貫通穴の直径をφとし、小断面積形成部52dの下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとし、液相状態の感温媒体の密度をρとし、小断面積形成部52dにおける液相状態の感温媒体の表面張力をSとしたときに、φおよびhが、以下式F2の関係を満たすように設定されている。
S×φ≧(φ/2)2×π×h×ρ×g…(F2)
なお、πは円周率であり、gは重量加速度である。
また、小断面積形成部52dの下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さとは、例えば、低外気温時に、封入空間20内の感温媒体が凝縮した際の液相状態の感温媒体の高さである。
ここで、封入空間20内の容積は十分に小さいので、封入空間20内の感温媒体が全て凝縮した場合であっても、感温媒体の鉛直方向高さhが、小断面積形成部52dの軸方向の厚み以下となるように設定すれば、感温媒体の鉛直方向高さhの最大値は、小断面積形成部52dの軸方向の厚み相当寸法となる。従って、本実施形態では、上記式F2のhとして、小断面積形成部52dの軸方向の厚み相当寸法を用いている。
さらに、本実施形態では、上記式F2の関係を満たすために、貫通穴の直径φおよび液相状態の感温媒体の鉛直方向高さh(=小断面積形成部52dの軸方向の厚みh)が以下式F3の関係を満たすようにしている。
3.5≧φ×h…(F3)
なお、φおよびhの単位は、それぞれmm(ミリメートル)であり、φ×hの単位は、mm2(平方ミリメートル)である。より具体的には、貫通穴の直径を1mmとして、小断面積形成部52dの軸方向の厚みを3mmとしている。
一方、エレメントハウジング53aとダイヤフラム53bとによって形成される空間は、連通室51iと連通して蒸発器6流出冷媒を導入させる導入空間30である。従って、柱状空間10および封入空間20に封入された感温媒体には、感温棒52bを介して、第2冷媒通路51fを流通する蒸発器6流出冷媒の温度が伝達されるだけでなく、ダイヤフラム53bを介して、導入空間30に導入された蒸発器6流出冷媒の温度も伝達される。
従って、柱状空間10および封入空間20の内圧は、蒸発器6流出冷媒の温度に応じた圧力となる。そして、ダイヤフラム53bは、柱状空間10および封入空間20の内圧と導入空間30へ流入した蒸発器6流出冷媒の圧力との差圧に応じて変位する。このため、ダイヤフラム53bは弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、強靱な材質にて形成することが好ましく、例えば、ステンレス(SUS304)等の金属薄板にて形成される。
また、図1に示すように、エレメントカバー53cには、封入空間に感温媒体を充填するための充填穴53dが形成されており、この充填穴53dは、感温媒体の充填後に、その先端が封止プラグ53eによって閉塞される。さらに、本実施形態の封入空間20には、蒸気圧縮式冷凍サイクル1を循環する冷媒と同一組成の感温媒体が予め定めた密度となるように封入されている。従って、本実施形態における感温媒体は、R134aである。
ここで、封入空間20への感温媒体(R134a)の封入について説明する。本実施形態では、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の使用温度範囲(0℃以上かつ40℃以下の範囲)において、柱状空間10内に感温媒体の気液界面40が存在するように封入されている。従って、封入空間20と柱状空間10が連通する部位の近傍に位置付けられる小断面積形成部52dは、感温媒体の気液界面40よりも上方に設けられることになる。
より具体的には、第2冷媒通路51fの下面からボデー部51の取付穴51jまでの範囲(図1のαで示す範囲)を低圧冷媒流路領域としたときに、感温媒体の気液界面40が低圧冷媒流路領域の範囲となるように封入されている。なお、本実施形態のように、感温媒体の気液界面40が、柱状空間10内に存在するように封入する理由は、次のとおりである。
柱状空間10および封入空間20の圧力は、前述の如く蒸発器6流出冷媒の温度によって決定されるので、柱状空間10および封入空間20の内圧を精度良く感温媒体の飽和圧力とするためには、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の使用温度範囲の全域において、柱状空間10あるいは封入空間20に、飽和液相状態の感温媒体および飽和気相状態の感温媒体が共存していることが望ましい。
この際、封入空間20内よりも、外気温の影響を受けにくい柱状空間10内に気液界面40が存在していれば、柱状空間10および封入空間20の内圧を、精度良く蒸発器6流出冷媒温度における飽和圧力とすることができるからである。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。圧縮機2が車両エンジンの駆動力により回転駆動されると、圧縮機2から吐出された高温高圧冷媒は、放熱器3に流入し、冷却ファンにより送風された外気と熱交換して、放熱して凝縮する。放熱器3から流出した冷媒はレシーバ4にて気液分離される。
レシーバ4から流出した高圧液相冷媒は、温度式膨張弁5の第1流入口51aから弁室51gへ流入し、絞り通路51hにて減圧膨張される。この際、絞り通路51の冷媒通路面積は、後述するように、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように調整されている。
絞り通路51hにて減圧膨張された低圧冷媒は、第1流出口51bから流出して蒸発器6へ流入する。蒸発器6へ流入した冷媒は、送風ファンによって送風された空気から吸熱して蒸発する。さらに、蒸発器6から流出した冷媒は、第2流入口51dから温度式膨張弁5へ流入する。
ここで、第2流入口51dから連通室51iへ流入した蒸発器6流出冷媒の過熱度が上昇すると、柱状空間10および封入空間20に封入された感温媒体の飽和圧力が上昇して、柱状空間10および封入空間20の内圧から導入空間30の圧力を差し引いた差圧が大きくなる。これにより、ダイヤフラム53bは、弁体部52が絞り通路51hを開弁させる方向(図1では下方)へ変位する。
逆に、蒸発器6流出冷媒の過熱度が低下すると、封入空間20に封入された感温媒体の飽和圧力が低下して、柱状空間10および封入空間20の内圧から導入空間30の圧力を差し引いた差圧が小さくなる。これにより、ダイヤフラム53bは、弁体部52が絞り通路51hを閉弁させる方向(図1では上方)へ変位する。
このように蒸発器6流出冷媒の過熱度に応じてエレメント部53(具体的には、ダイヤフラム53b)が弁体部52を変位させることによって、蒸発器6流出冷媒の過熱度が予め定めた値に近づくように絞り通路51の通路面積が調整される。なお、調整ネジ54bによって、コイルバネ54から弁体部53にかかる荷重を調整することで、弁体部53の開弁圧を変更して、予め定めた過熱度の値を変更することもできる。
第2流出口51eから流出した冷媒は、圧縮機2に吸入されて再び圧縮される。一方、送風ファン5によって送風された空気は、蒸発器6にて冷却され、さらに、蒸発器6の空気流れ下流側に配置された図示しない加熱手段(例えば、温水ヒータコア等)によって目標温度まで温調されて、空調対象空間である車室内へ吹き出される。
ところで、本実施形態の温度式膨張弁5では、エレメント部53がボデー部51の外部に配置されているので、エレメントカバー53cとダイヤフラム53bとによって形成される封入空間20内の感温媒体の温度は、外気温の影響を受けやすい。例えば、冬季のように、感温棒52bおよびダイヤフラム53bから感温媒体に伝達される温度よりも外気温が低下すると、封入空間20内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となってしまう。
そして、この過冷却液相状態となった感温媒体が柱状空間10内の液相状態の感温媒体と熱的に接触してしまうと、柱状空間10内の冷媒温度が低下して、柱状空間10内および封入空間20内の感温媒体の飽和圧力が低下してしまう。その結果、球状弁52aが絞り通路51hを閉弁する側に変位して所望の弁開度を実現できず、冷凍サイクルの作動が不安定になってしまうことが懸念される。
これに対して、本実施形態では、感温棒52bの内部であって封入空間20と柱上空間10が連通する部位の近傍に、小断面積形成部52dが設けられているので、小断面積形成部52dにおける液相状態の感温媒体の流動を抑制できる。つまり、低外気温時に封入空間20内の感温媒体が凝縮して過冷却液相状態となっても、この過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間10側へ流れ込む(落下)してしまうことを抑制できる。
従って、低外気温時に過冷却液相状態となった封入空間20内の感温媒体と柱状空間10内の感温媒体が熱的に接触してしまうことを抑制して、柱状空間10内および封入空間20内の感温媒体の飽和圧力が変化してしまうことを抑制できる。その結果、外気温の影響による弁体52aの誤作動を抑制して、蒸気圧縮式冷凍サイクル1を所望の運転状態に保ち、不安定な作動を防止することができる。
さらに、柱状空間10および封入空間20に対して、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の使用温度範囲(0℃以上かつ40℃以下)において、感温媒体の気液界面40が低圧冷媒流路領域の範囲となるように封入して、小断面積形成部52dが、感温媒体の気液界面40よりも上方に位置付けられるようにしている。
これにより、低外気温時における封入空間20内の過冷却液相状態の感温媒体と、柱状空間10内の飽和液相状態の感温媒体が直接接触してしまうことを回避できるので、柱状空間10内および封入空間20内の感温媒体の飽和圧力が変化してしまうことを、より一層効果的に抑制できる。
さらに、酷暑地や極寒冷地のような使用環境を考慮した場合、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の使用温度範囲は、−30℃以上かつ60℃以下の範囲となり得る。従って、感温媒体温度が−30℃以上かつ60℃以下の範囲において、感温媒体の気液界面40が低圧冷媒流路領域の範囲となるように封入して、小断面積形成部52dが、感温媒体の気液界面40よりも上方に位置付けられるようにすることが望ましい。
さらに、上記式F2およびF3を満たすように、小断面積形成部52dの貫通穴の直径φおよび小断面積形成部52dの軸方向の厚み寸法hを決定しているので、過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間10下方側へ流れ込むことを回避して、外気温の影響による弁体52aの誤作動を回避できるので、冷凍サイクルを所望の運転状態に保ち、不安定な作動を確実に防止することができる。
すなわち、上記式F2の右辺((φ/2)2×π×h×ρ×g)は、エレメント部53側で凝縮した過冷却液相状態の感温媒体に対して、小断面積形成部52dを通過して柱状空間10下方側へ流れ込む方向に作用する重力を意味し、式F2の左辺(S×φ)は、小断面積形成部52dを通過して柱状空間10下方側へ流れ込むことを妨げる方向に作用する表面張力による抗力を意味している。
従って、式F2を満足することにより、過冷却液相状態の感温媒体に作用する重力よりも効力が大きくなるので、重力よりも大きくすることができる。従って、過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間10下方側へ落下することを回避して、外気温の影響による弁体52aの誤作動を確実に回避できる。
さらに、上記式F3を満たすように、小断面積形成部52dの貫通穴の直径φおよび液相状態の感温媒体の鉛直方向高さh(=小断面積形成部52dの軸方向の厚み寸法h)を決定することにより、感温媒体として幅広い種類の媒体を採用しても同様の効果を得ることができる。このことを図2に基づいて、詳細に説明する。なお、図2は、外気温の変化に対するφ×hの変化を示すグラフである。
ここで、上述の式F2は、以下式F2’のように変形できる。
4×S/(π×ρ×g)≧φ×h…(F2’)
そこで、図2では、一般的な蒸気圧縮式冷凍サイクルに採用される冷媒である、R134a、R744、R600a、R404A、R410における、外気温(封入空間20側の温度)の変化に対するφ×hの変化をプロットしている。
図2から明らかなように、R600aでは、3.5≧φ×hの範囲で、上記式F2を満たす。また、感温媒体としてR600aを採用しない場合は、1.5≧φ×hの範囲で、上記式F2を満たすことができる。従って、本実施形態のように、式F3を満たすようにφ×hを設定することで、感温媒体として幅広い種類の媒体を採用しても過冷却液相状態の感温媒体が柱状空間10下方側へ落下することを回避できる。
さらに、上記式F1を満たすように、感温棒52bの外径φoutおよび柱状空間10の軸方向断面の直径のうち最大直径φmaxを決定して、柱状空間10の軸方向断面の直径よりも、感温棒(52b)の内周側と外周側との間の肉厚が大きくしているので、感温棒52bから柱状空間10内の感温媒体への熱伝達を遅らせることができる。
従って、外気温の影響による膨張弁の誤作動および冷凍サイクルの不安定な作動を抑制できるだけでなく、感温媒体が第2冷媒通路51f流通冷媒の温度変化に敏感に反応して圧力変化してしまうことを抑制して、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング)を抑制することもできる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図3に示すように、上述の第1実施形態に対して、感温棒52bの内部に、感温棒52bよりも熱伝達率の低い材質で形成された、筒状の低熱伝達率部材60を配置した例を説明する。なお、図3は、本実施形態の温度式膨張弁5の断面図である。また、図3では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
この低熱伝達率部材60は、樹脂(より具体的には、発泡樹脂)で形成されている。さらに、柱状空間10は、この低熱伝達率部材60の内周側に形成されている。また、第1実施形態に対して、感温棒52bの外径φoutを小さくし、柱状空間10の軸方向断面の最大直径φmaxを大きくしている。従って、本実施形態では、上述の式F1を満たしてない。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の温度式膨張弁5では、感温棒52bの内部に、低熱伝達率部材60を配置しているので、感温棒52bから柱状空間10内の感温媒体への熱伝達を遅らせることができる。さらに、低熱伝達率部材60を配置したことにより、第1実施形態に対して、同一の感温棒52bの外径φoutを小さくして、感温棒52bの肉厚を薄くできるので、膨張弁1の軽量化を図ることができる。
さらに、柱状空間10の軸方向断面の最大直径φmaxを拡大しているので、第1実施形態よりも感温媒体の封入量を増加できる。従って、設定温度にて封入冷媒を全て気化させて、柱状空間10および封入空間20内の圧力上昇を抑制するMOP特性の設定温度を高く設定することができる。
さらに、低熱伝達率部材60を配置したことにより、感温棒52bから柱状空間10内の感温媒体への熱伝達を遅らせることができるので、外気温の影響による膨張弁の誤作動および冷凍サイクルの不安定な作動を抑制できるだけでなく、感温媒体が第2冷媒通路51f流通冷媒の温度変化に敏感に反応して圧力変化してしまうことを抑制して、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング)を抑制することもできる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図4に示すように、第2実施形態に対して、感温棒52b内部の柱状空間10を上側空間10aおよび下側空間10bによって構成している。さらに、下側空間10bの軸方向断面の内径は、上側空間10aの内径よりも小さく形成されている。従って、下側空間10b外周側における感温棒52bの内周側と外周側との間の肉厚は、上側空間10a外周側における肉厚よりも薄くなる。
なお、下側空間10bの軸方向断面の内径は、小断面積形成部52dの貫通穴の直径φよりも大きい。また、本実施形態では、蒸気圧縮式冷凍サイクル1の使用温度範囲において、感温媒体の気液界面40が下側空間10b内に存在するように、感温媒体が封入されている。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
従って、本実施形態の温度式膨張弁5によれば、感温棒52bから下側空間10bの感温媒体への熱伝達を遅らせることができるので、外気温の影響による膨張弁の誤作動および冷凍サイクルの不安定な作動を抑制できるだけでなく、感温媒体が第2冷媒通路51f流通冷媒の温度変化に敏感に反応して圧力変化してしまうことを抑制して、冷凍サイクルの不安定な作動(ハンチング)を抑制することもできる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、感温媒体として、蒸気圧縮式冷凍サイクル1を循環する冷媒と同一組成の冷媒を採用しているが、感温媒体はこれに限定されない。例えば、複数の種類の冷媒を混合した感温媒体を採用してもよい。さらに、封入空間20内に、感温媒体に加えて、ヘリウム、窒素などの不活性ガスを封入してもよい。
前述の如く、コイルバネ54から弁体部52にかかる荷重、すなわち弁体部52の開弁圧力は、調整ネジ54bによって調整される。そのため、封入空間20内に封入される感温媒体の圧力を低く設定した場合、対向する調整バネによる荷重も弱く設定する必要がある。
ところが、この調整バネによる荷重を弱く設定すると、この調整バネの荷重を調整する調整ネジの締め付け力も低くなり、調整ネジが緩みやすくなる。これに対して、封入空間20内に感温媒体とともに、不活性ガスを封入することで、封入空間20内の内圧を増加させることができ調整ネジの締め付け力を増加させることができる。その結果、調整ネジの緩みを防止することができる。
しかも、ヘリウム、窒素といった不活性ガスは、温度式膨張弁5の使用温度範囲では、ほぼ理想気体と同様の温度−圧力特性を示すので、蒸発器5流出冷媒の温度によらず、封入空間20内の内圧をほぼ一定量増加させる働きをする。従って、封入空間20に不活性ガスを封入しても、蒸発器6流出冷媒の過熱度制御に悪影響を及ぼさない。
また、上述の実施形態では、小断面積形成部52dを、その中心軸部に貫通穴を形成した円柱状金属部材で形成した例を説明したが、この貫通穴は単数に限定されず、複数の形成されていてもよい。さらに、小断面積形成部52dを、網状体(金属メッシュ)等で形成してもよい。もちろん、小断面積形成部52dを樹脂で形成してもよい。
この場合も、エレメント部53側で凝縮した過冷却液相状態の感温媒体に対して、小断面積形成部52dを通過して柱状空間10下方側へ流れ込む方向に作用する重力よりも、小断面積形成部52dを通過して柱状空間10下方側へ流れ込むことを妨げる方向に作用する表面張力による抗力が大きくなるように、各貫通穴の径を設定すればよい。
また、上述の実施形態では、蒸発器6を室内側熱交換器として構成し、放熱器3を大気側へ放熱する室外熱交換器として構成しているが、蒸発器6を大気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として構成し、放熱器3を空気あるいは水等の被加熱冷媒を加熱する室内側熱交換器として構成するヒートポンプサイクルに、本発明の温度式膨張弁を適用してもよい。
このようなヒートポンプサイクルを備える装置では、外気温が極低温となりうる環境下に配置されることがある。従って、上述したように、−30℃以上かつ60℃以下の範囲において、感温媒体の気液界面40が低圧冷媒流路領域の範囲となるように感温媒体を封入して、小断面積形成部52dが、感温媒体の気液界面40よりも上方に位置付けられるようにすることは、極めて有効である。
第1実施形態の温度式膨張弁の断面図である。 冷媒によるφ×hの変化を示すグラフである。 第2実施形態の温度式膨張弁の断面図である。 第3実施形態の温度式膨張弁の断面図である。
符号の説明
6 蒸発器
10 柱状空間
10a 上側空間
10b 下側空間
20 封入空間
40 気液界面
51 ボデー部
51c 第1冷媒通路
51h 絞り通路
51f 第2冷媒通路
52a 球状弁
52b 感温棒
52d 小断面積形成部
53 エレメント部
53b ダイヤフラム
60 低熱伝達率部材

Claims (5)

  1. 蒸気圧縮式冷凍サイクルに適用されて、高圧冷媒を減圧膨張させるとともに、減圧膨張させた低圧冷媒を蒸発器(6)入口側へ流出させる温度式膨張弁であって、
    前記高圧冷媒を流通させる第1冷媒通路(51c)、前記第1冷媒通路(51c)に設けられて冷媒を減圧膨張させる絞り通路(51h)、および、前記蒸発器(6)流出冷媒を流通させる第2冷媒通路(51f)が形成されたボデー部(51)と、
    前記絞り通路(51h)の開度を調整する弁体(52a)と、
    前記ボデー部(51)の外部に配置されて、温度に応じて圧力が変化する感温媒体が封入された封入空間(20)の内圧と前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(53b)を有するエレメント部(53)と、
    前記圧力応動部材(53b)の変位を前記弁体(52a)に伝えるとともに、前記第2冷媒通路(51f)流通冷媒の温度を前記感温媒体へ伝達する感温棒(52b)とを備え、
    前記感温棒(52b)の内部には、前記感温棒(52b)の軸方向に延びるように形成されて、前記封入空間(20)と連通する柱状空間(10)が形成されており、
    前記感温媒体は、前記柱状空間(10)内にその気液界面(40)が存在するように封入され、
    さらに、前記感温棒(52b)には、前記柱状空間(10)のうち、一部の部位の軸方向断面積を、他の部位の軸方向断面積よりも縮小させる小断面積形成部(52d)が設けられており、
    前記小断面積形成部(52d)は、前記気液界面(40)よりも上方に設けられ、
    前記感温媒体は、その温度が少なくとも0℃以上かつ40℃以下の範囲において、前記柱状空間(10)内に前記気液界面(40)が存在するように封入されており、
    前記第2冷媒通路(51f)の下面から前記エレメント部(53)が配置されるボデー部(51)上面までの範囲を低圧冷媒流路領域(α)としたとき、前記感温媒体は、前記気液界面(40)が前記低圧冷媒流路領域(α)内となるように封入されており、
    前記小断面積形成部(52d)における前記柱状空間(10)の軸方向断面の直径をφとし、前記小断面積形成部(52d)の下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとし、前記液相状態の感温媒体の密度をρとし、前記小断面積形成部(52d)における表面張力をSとし、円周率をπとし、重量加速度をgとしたときに、
    S×φ≧(φ/2) 2 ×π×h×ρ×gとなっていることを特徴とする温度式膨張弁。
  2. 前記小断面積形成部(52d)における前記柱状空間(10)の軸方向断面の直径をφとし、前記小断面積形成部(52d)の下端側よりも上方側に存在する液相状態の感温媒体の鉛直方向高さをhとしたときに、
    3.5≧φ×h(単位:mm2)となっていることを特徴とする請求項に記載の温度式膨張弁。
  3. 前記感温棒(52b)の外径をφoutとし、前記柱状空間(10)の軸方向断面の直径のうち最大直径をφmaxとしたときに、
    (φout−φmax)/2≧φmaxとなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の温度式膨張弁。
  4. 前記感温棒(52b)の内部には、前記感温棒(52b)よりも熱伝達率の低い材質で形成された、筒状の低熱伝達率部材(60)が配置されており、
    前記柱状空間(10)は、低熱伝達率部材(60)の内周側に形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
  5. 前記柱状空間(10)は、前記圧力応動部材(53b)側の上側空間(10a)および前記弁体(52a)側の下側空間(10b)によって構成され、
    前記下側空間(10b)の軸方向断面の内径は、前記上側空間(10a)の軸方向断面の内径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の温度式膨張弁。
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