JP5141260B2 - エンボス文字形成用積層カード - Google Patents
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Description
カードにエンボス文字を形成する目的は、エンボス文字の痕跡を伝票にコピーし、カードが利用された証拠を残すためである。
クレジットカード加盟店には、インプリンタと呼ばれる売上げ伝票発行器が配備され、顧客がクレジットカードを利用して支払いを行った場合は、顧客のクレジットカードをインプリンタの所定の位置に装着して、その上に売上伝票を載せ、売上伝票の上から加圧ローラで売上げ伝票にクレジットカードのエンボス文字を写し取る。
売上伝票にはカード上に形成されたエンボス文字の印影が複写カーボンや発色カプセルなどによってコピーされる。売上伝票の利用金額欄に金額を記載し、顧客にサインをもらって、売上伝票の一部を顧客控として顧客に渡し、加盟店には加盟店控を残し、残りの伝票をクレジットカード会社に送付する。
また、クレジットカードなどは、国際的に使用されるために、ISO(International Organization for Standardization)規格に準拠して作られる。
カードメーカーでは、不透明なコア材の表裏に所定の印刷を行い、透明な保護シートを貼り合わせて所定の厚みとし、最表面に磁気ストライプやICモジュールを形成してISO規格に準拠したカードとして発行している。
特許文献1によれば、一般会員用、準特別会員用、特別会員用などといった複数種類のカードを同時に取り扱うカード発行装置にあっては、異なる種類のカードに対し、文字部分におけるチッピングの色(前述のエンボス文字の頂上を着色した色)も、例えば、金、銀、白とするなどそれぞれ異ならせたいとする場合があり、このように異なる色でチッピングしようとすれば、例えば、カードの種類ごとにリボンを交換する(A)、必要とする色の数だけチッピング装置を設ける(B)、1本のリボンに複数色の領域を交互に設けたいわゆるマルチカラーリボンを採用する(C)などの手段が挙げられる。
しかしながら、上述のAの場合にあってはカードの種類を変えるごとにリボンを交換する手間が生じ、Bの場合は装置が大がかりとなって費用がかかる一方で、チッピング装置の台数を限定すると利用できる色の種類が限られてしまう。
また、Cの場合はチッピング装置にリボン色を検出するセンサや制御機能の追加が必要となることに加え、リボンが高価になり、リボンに無駄となる領域が生じて色の変更や追加が困難となり、さらにはリボンの種類が増えてしまうといった問題点がある。
ということで、従来の装置の増設や変更を伴わずにカードの種類に応じて着色することができるチッピング方法として、カードのエンボス形成部分に着色用のチッピングシートを剥離可能に貼り付け、チッピングシートのカード側の面に着色塗料が塗布されたチッピング用カードを提供するとしている。
使用頻度が多いカードは、エンボス文字の頂上に施された着色材料が無くなって、カードの基材の色が露出する。
特許文献1に記載の技術は、エンボス文字の着色材料が複数存在するときに、従来のエンボス装置をそのまま利用でき、着色リボンを交換する必要が生じないことを特徴としているが、エンボス文字の着色部の保護に関するものではない。
美しいデザインのカードに形成されたエンボス文字の着色材料が、磨耗によって無くなり、醜い状態になっていることはカードを発行する側にとっては耐え難いことである。
そこで本発明は、エンボス文字の着色部が磨耗しても外観が醜くならないエンボス文字形成用積層カードを提供することを目的とする。
前記エンボス文字形成予定部には、前記表保護シートと前記コアシートの間に、前記着色されたエンボス文字部の着色層と同系色の印刷インキによる着色層が形成されたことを特徴とするものである。
図1は、本発明のエンボス文字形成用積層カードの一例について説明するための図,図2は、図1のA−A線断面について説明するための図,図3は、図1のB−B線断面について説明するための図,図4は、本発明のエンボス文字形成用積層カードの他の一例について説明するための図,図5は、図1のA−A線断面の他の一例について説明するための図,である。
本実施形態のエンボス文字形成用積層カード1は、透明な表保護シート、一枚又は複数枚で構成されたコアシート(図示せず)、透明な裏保護シートが順次積層され、表保護シート側のエンボス文字形成予定部にエンボス文字の凸部が形成されるエンボス文字形成積層カードである。
前記エンボス文字形成予定部12のエンボス文字の凸部が形成される面(おもて面)の保護シートの裏側には着色層(図示せず)が形成される。
前記着色層は、積層カードに施されるエンボス文字部の着色層と同系色の印刷インキによって形成される。
また、積層カードのエンボス文字の凸部が形成される面に印刷される表図柄印刷層(図示せず)は、表保護シートの表出面に形成される。
前述のカード情報記録部3としての磁気ストライプは、図1に示すように、表印刷図柄11で遮蔽されてその存在が視認できないようになっている。
図1に示すエンボス文字形成用積層カードは、カードの表(おもて)面の最表面に表図柄印刷層が形成されたエンボス文字形成用積層カードの一例を示している。
図2に示すエンボス文字形成用積層カード1のコアシートは三枚のコアシート102,103,104で構成され、コアシート102の上面には透明な表保護シート101が積層され、コアシート104の下面には透明な裏保護シート105が積層された積層カードである。
また、図5に示すエンボス文字形成用積層カード1のコアシートは二枚のコアシート102,104で構成され、コアシート102の上面には透明な表保護シート101が積層され、コアシート104の下面には透明な裏保護シート105が積層された積層カードである。
また、裏保護シート105とコアシート104の間には裏図柄印刷層13が形成されている。前述の着色層120,裏図柄印刷層13は、それぞれコアシート102,コアシート104側に印刷される。
図示しないがコアシートは、一枚で構成されてもよく、前述のように二枚,三枚で構成されてもよい。コアシートは通常、光を遮蔽させるために不透過度が高い乳白色のシートで構成される。
図3は、図1のエンボス文字、「1」の部分の断面を示したものである。
エンボス文字形成用積層カードは、図2,図5で説明したように、コアシートが三枚で構成された場合、二枚で構成された場合、何れの場合も、コアシート102,104の外側表面に透明な表保護シート101,105が積層される。
エンボス文字形成用積層カードの表保護シート101の表出面には表図柄印刷層11が形成され、表保護シート101の裏側のエンボス文字形成予定部には、着色層120が印刷される 。
前記着色層120は、積層カードに施されるエンボス部の着色層20と同系色の印刷インキによって形成される。
エンボス文字部の着色層20の色は事前に決定されるために、使用される転写箔を入手し、エンボス文字形成予定部に印刷されるインキは転写箔の色に合せて調合され、スクリーン印刷方式などで印刷される。
エンボス文字形成予定部には、エンボス文字形成時に衝撃が加わるために着色層120に使用されるインキには、表用コアシート102や表保護シート101によく接着するメジウム樹脂が選定される。
そのときに、表保護シート101の裏側に形成された表図柄印刷層11のインキが露出し、表図柄印刷層11のインキが磨り減って消滅すると着色層120が視認されるようになる。前述の着色層120は、表保護シート101で保護されているために容易に磨耗せずに長期にわたって消えることはない。
即ち、エンボス文字の頂上は一度は表図柄印刷層11のインキ色になるが、最終的にはエンボス文字部の着色層20と同系色に戻る。
図4に示すエンボス文字形成用積層カードは、三枚で構成されたコアシート102,103,104の、コアシート102の外側表面に透明な表保護シート101が積層され、コアシート104の外側表面に透明な裏保護シート105が積層された積層カードである。
図4に示すエンボス文字形成用積層カードは、図1においてカードの表(おもて)面の表図柄印刷層が表保護シート101の裏側に形成されたエンボス用積層カードのA−A線断面を示している。
前記着色層120は、積層カードに施されるエンボス文字部の着色層と同系色の印刷インキによって形成される。
また、裏保護シート105と裏用コアシート104の間には裏図柄印刷層13が形成されている。
前述の着色層120,裏図柄印刷層13は、それぞれ表用コアシート102,裏用コアシート104側に印刷される。
図示しないが、コアシートは、一枚で構成されてもよい。
コアシート102,103,104は通常、光を遮蔽させるために不透過度が高い乳白色のシートで構成される。
図3の例も同様であるが、多くの場合、表図柄印刷層11はオフセットインキで構成される。
一方、積層カードにエンボス文字形成が行われたときに、エンボス文字の凸部の頂上付近では基材のシートが伸びて面積が広くなる。
前述のオフセットインキで構成された表図柄印刷層11は柔軟性に欠けるために、エンボス文字の凸部の頂上付近にはひび割れが生じ、そのひび割れの間から表図柄印刷層11の裏側に形成された着色部120のインキが露出する状態になる。
即ち、エンボス文字の凸部の頂上は構造的には表図柄印刷層11のインキ色になっているが、実質はエンボス文字部の着色層20と同系色に見えている。
図2を一部参照して、本発明のエンボス文字形成用積層カードに使用される材料の一例について説明する。
ただし、以下に記載する材料に拘るものではない。
表保護シート101,裏保護シート105には透明の非結晶性ポリエステル系樹脂,透明なポリ乳酸系樹脂,透明なポリ塩化ビニル樹脂等を、表用コアシート102,コアシート103,裏用コアシート104には乳白色の非結晶性ポリエステル系樹脂,透明なポリ乳酸系樹脂,透明なポリ塩化ビニル樹脂等を使用する。
非結晶性ポリエステル系樹脂は、一般的には芳香族ジカルボン酸とジオールとの脱水縮合体であって、共重合ポリエステルの中でも特に結晶性が低い非結晶性の芳香族ポリエステル樹脂からなる。ジカルボン酸としてはテレフタル酸,イソフタル酸,アジピン酸,ナフタレンジカルボン酸等があり、ジオールとしてはエチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等がある。ジカルボン酸成分とジオール成分の組合せは適宜行われる。
前記非結晶性ポリエステル系樹脂として、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の30モル%を1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換した商品(商品名「PETG」)がイーストマンケミカル社から市販されており、これらを使用することができる 。
ポリ乳酸系樹脂は、例えば、ポリー3ーヒドロキシアルカノエート、或いは3又は4ーヒドロキシアルカノエートの共重合体、又はこれらの混合物と、ジカルボン酸とグリコールを重縮合して成る脂肪族ポリエステル、又は/及び、乳酸を原料としてこれを直接又は二量体の開環重合してなるポリ乳酸を、二種又は三種ブレンドして使用する。
ポリ塩化ビニル樹脂については公知の市販材料を使用する。
表図柄印刷部,裏図柄印刷部に使用する印刷インキには、市販されている紫外線硬化型のオフセットインキ、または、市販されているスクリーン用印刷インキを使用する。
または、前述のフェライトを使用した転写用磁気材料を使用する。
積層方法は、熱融着方式、接着剤を使用した方式、何れの方式によって行ってもよい。
また、コアシートが複数枚で構成される場合は、着色層120を表用コアシートに印刷し、表図柄印刷を転写紙上に行って表裏保護シートで複数枚のコアシートを挟んで積層し、転写紙を剥がしてカードとする。
2 エンボス文字
3 カード情報記録部
11 表図柄印刷層,表印刷図柄
12 エンボス文字形成予定部
13 裏図柄印刷層,裏印刷図柄
20 エンボス文字部の着色層
101 表保護シート(エンボス文字の凸部が形成される面の保護シート)
102 表用コアシート
103 コアシート
104 裏用コアシート
105 裏保護シート
120 着色層
Claims (2)
- 透明な表保護シート、一又は複数枚で構成されたコアシート、透明な裏保護シートが順次積層され、前記表保護シート側のエンボス文字形成予定部に着色されたエンボス文字の凸部が形成されるエンボス文字形成用積層カードにおいて、
前記エンボス文字形成予定部には、前記表保護シートと前記コアシートの間に、前記着色されたエンボス文字部の着色層と同系色の印刷インキによる着色層が形成されたことを特徴とするエンボス文字形成用積層カード。 - 請求項1に記載のエンボス文字形成用積層カードにおいて、
前記エンボス文字の凸部が形成される面に印刷される表図柄印刷層は、表保護シートの表出面に形成されたことを特徴とするエンボス文字形成用積層カード。
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