JP5135912B2 - リチウム二次電池用正極活物質材料、及びそれを用いたリチウム二次電池用正極並びにリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
さらに、低コスト、安全性、寿命(特に高温下)にも優れた、性能バランスの良い材料が求められている。
しかしながら、特許文献13〜46及び非特許文献3〜5には、いずれも本発明で規定するリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体B(スピネル構造を有するリチウムマンガン系複合酸化物粉体)と混合したものをリチウム二次電池用正極活物質材料として用いることの記載は無い。
しかしながら、ここで使用されているリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体A(層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体)にあっては、本発明が示すところの製法かつ「焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤」を添加処理したことの記載は無く、さらに層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物に、W,Mo,Nb,Ta,Reを含む化合物等を添加処理又は置換処理したことも明記されていない。
LiMO2 …(I)
〔ただし、上記式(I)中、
Mは、Li、Ni及びMn、或いは、Li、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり
Mn/Niモル比は0.8以上、5以下
Co/(Mn+Ni+Co)モル比は0以上、0.35以下、
M中のLiモル比は0.001以上、0.2以下
である。〕
M=Liz/(2+z){(Ni(1+y)/2Mn(1-y)/2)1-xCox}2/(2+z) …(II)
〔ただし、上記式(II)中、
0≦x≦0.1
−0.1≦y≦0.1
(1−x)(0.05−0.98y)≦z≦(1−x)(0.20−0.88y)
である。〕
Li(Mn2-x'-y'Lix'M’y')O4 …(III)
〔ただし、上記式(III)中、M’は、Mn及びLi以外のMn(16d)サイトに置換し得る少なくとも1種以上の金属元素であり、x’は0.01〜0.10、y’は0.01〜0.5である。〕
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料(以下「正極活物質」と称す場合がある。)は、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物からなり、少なくとも特定の2種類の化合物(以下のリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aとリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体B)を混合したものであることを特徴とする。
本発明のリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aは、リチウム化合物と、少なくともMn、Ni、及びCoを含む1種類以上の遷移金属化合物と、焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する焼成工程とを少なくとも含む製造方法により得たものであり、遷移金属として少なくともMn、Ni、及びCoを含み、さらに焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤に由来する元素を含んで構成される。
本発明のリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bは、Li及び遷移金属元素として少なくともMnを含有してなるスピネル構造を有する複合酸化物からなる。
スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくともMnを含む1種以上の元素)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiMn2−x−yLixAlyO4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4などが挙げられるが、Mnの一部を置換する元素については、これに限定されない。
本発明において、「焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤」とは、高温焼成時における正極活物質の一次粒子間又は二次粒子間の焼結を抑制するなどして、活物質粒子の成長
を抑制し、高結晶化を図りつつ、微細で多数空隙を有する粉体性状を得る効果があるものをいう。
して原子価が5価又は6価をとり得る金属元素から構成される化合物が共通して効果を発現することから、これらが、リチウム遷移金属系化合物を構成するカチオン元素のいずれとも異なる、5〜7価といった高価数状態を安定にとり得るものであり、固相反応によって殆ど固溶しない結果、リチウム遷移金属系化合物粒子の表面又は粒界に偏在することになる。そのため、正極材活物質粒子同士の接触による物質移動が阻害され、粒子の成長や焼結が抑制されたものと推察している。
本発明のリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aは、下記組成式(I)で示され、前述の焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤に由来するMo、W、Nb、Ta、及びReよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有するものであることが好ましい。
〔ただし、上記式(I)中、
Mは、Li、Ni及びMn、或いは、Li、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり
Mn/Niモル比は0.8以上、5以下
Co/(Mn+Ni+Co)モル比は0以上、0.35以下、
M中のLiモル比は0.001以上、0.2以下
である。〕
Co/(Mn+Ni+Co)モル比は通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、更に好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.30以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、更に好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.099以下である。
M中のLiモル比は通常0.001以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、最も好ましくは0.05以上、通常0.2以下、好ましくは0.19以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.17以下、最も好ましくは0.15以下である。
〔ただし、上記式(II)中、
0≦x≦0.1
−0.1≦y≦0.1
(1−x)(0.05−0.98y)≦z≦(1−x)(0.20−0.88y)
である。〕
yの値は通常−0.1以上、好ましくは−0.05以上、より好ましくは−0.03以上、最も好ましくは−0.02以上、通常0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、最も好ましくは0.02以下である。
zの値は通常(1−x)(0.05−0.98y)以上、好ましくは(1−x)(0.06−0.98y)以上、より好ましくは(1−x)(0.07−0.98y)以上、さらに好ましくは(1−x)(0.08−0.98y)以上、最も好ましくは(1−x)(0.10−0.98y)以上、通常(1−x)(0.20−0.88y)以下、好ましくは(1−x)(0.18−0.88y)以下、より好ましくは(1−x)(0.17−0.88y)、最も好ましくは(1−x)(0.16−0.88y)以下である。
ここで、層状構造に関してさらに詳しく述べる。層状構造を有するものの代表的な結晶系としては、LiCoO2、LiNiO2のようなα−NaFeO2型に属するものがあり、これらは六方晶系であり、その対称性から空間群
このように層状構造は必ずしもR(−3)m構造に限られるものではないが、R(−3)m構造に帰属しうるものであることが電気化学的な性能面から好ましい。
本発明のリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bは、下記組成式(III)で表されるものが好ましい。
〔ただし、上記式(III)中、M’は、Mn及びLi以外のMn(16d)サイトに置換し得る少なくとも1種以上の金属元素であり、x’は0.01〜0.10、y’は0.01〜0.5である。〕
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料のメジアン径は通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.3μm以上、更に好ましくは1.6μm以上、最も好ましくは2μm以上で、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは7μm以下、最も好ましくは6μm以下である。メジアン径がこの下限を下回ると、正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる可能性があり、上限を超えると電池性能の低下をきたす可能性がある。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料の一次粒子の平均径(平均一次粒子径)としては、特に限定されないが、下限としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、最も好ましくは0.25μm以上、また、上限としては、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、最も好ましくは1.5μm以下である。平均一次粒子径が、上記上限を超えると、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が低下したりするために、レート特性や出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる可能性があり、上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる可能性がある。
本発明のリチウムリチウム二次電池用正極活物質材料はまた、BET比表面積が、通常0.5m2/g以上、好ましくは0.6m2/g以上、更に好ましくは0.8m2/g以上、最も好ましくは1.0m2/g以上で、通常5m2/g以下、好ましくは4m2/g以下、更に好ましくは3m2/g以下、最も好ましくは2.7m2/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなり、正極活物質形成時の塗布性に問題が発生しやすくなる可能性がある。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料の嵩密度は通常0.5g/cm3以上、好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.9g/cm3以上、最も好ましくは1.0g/cm3以上で、通常2.5g/cm3以下、好ましくは2.3g/cm3以下、より好ましくは2.1g/cm3以下、最も好ましくは1.9g/cm3以下である。嵩密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる可能性があり、電池性能が低下する可能性がある。嵩密度がこの下限を下回ると粉体充填性や電極調製に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料を40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率の値は、下限としては、50Ω・cm以上が好ましく、1×102Ω・cm以上がより好ましく、1.5×102Ω・cm以上がさらに好ましい。上限としては、1×106Ω・cm以下が好ましく、5×105Ω・cm以下がより好ましく、1×105Ω・cm以下がさらに好ましい。この体積抵抗率がこの上限を超えると電池とした時の負荷特性が低下する可能性がある。一方、体積抵抗率がこの下限を下回ると、電池とした時の安全性などが低下する可能性がある。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料の含有炭素濃度C(重量%)値は、通常0.005重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.015重量%以上、最も好ましくは0.02重量%以上であり、通常0.1重量%以下、好ましくは0.08重量%以下、更に好ましくは0.06重量%以下、最も好ましくは0.04重量%以下である。C値がこの下限を下回ると電池性能が低下する可能性があり、上限を超えると電池とした時のガス発生による膨れが増大したり電池性能が低下したりする可能性がある。
なお、後述の炭素分析により求めたリチウム二次電池用正極活物質材料の含有炭素成分は、炭酸化合物、特に炭酸リチウムの付着量についての情報を示すものとみなすことができる。これは、炭素分析により求めた炭素量を、全て炭酸イオン由来と仮定した数値と、イオンクロマトグラフィーにより分析した炭酸イオン濃度が概ね一致することによる。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料が前述の効果をもたらす理由としては、次のように考えられる。
即ち、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aとリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bとを混合してなる混合物を使用すると、それぞれの単独のリチウム遷移金属複合酸化物粉体を使用した場合より、負荷特性と容量、サイクル維持率のバランスが向上した電池性能を発現できる。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料を製造する方法は、リチウム化合物と、少なくともMn、Co、及びNiを含む1種類以上の遷移金属化合物と、焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する焼成工程とを含んで製造されたリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aと、スピネル構造(空間群Fd−3m(No.227))を有し、Li及び遷移金属として少なくともMnを含有するリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bとを混合することにより製造される。
まず、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aの製造方法について説明する。
リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aを製造するに当たり、スラリーの調製に用いる原料化合物のうち、リチウム化合物としては、Li2CO3、LiNO3、LiNO2、LiOH、LiOH・H2O、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CH3OOLi、Li2O、Li2SO4、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム等が挙げられる。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、焼成処理の際にSOx、NOx等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子、ハロゲン原子を含有しないリチウム化合物であり、また、焼成時に分解ガスを発生することなどから、噴霧乾燥粉体の二次粒子内に分解ガスを発生するなどして空隙を形成しやすい化合物であり、これらの点を勘案すると、とりわけLi2CO3、LiOH、LiOH・H2Oが好ましく、中でも取り扱い易く、比較的安価であることからLi2CO3が好ましい。これらのリチウム化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
混合の時間は、混合方法により異なるが、原料が粒子レベルで均一に混合されていれば良く、例えばボールミル(湿式又は乾式)では通常1時間から2日間程度、ビーズミル(湿式連続法)では滞留時間が通常0.1時間から6時間程度である。
ことができる。
上述のスラリー調製工程で得られたスラリーは、次いで噴霧乾燥工程に供される。ここで乾燥方法としては、生成する粒子状物の均一性や粉体流動性、粉体ハンドリング性能、乾燥粒子を効率よく製造できる等の観点から噴霧乾燥法を採用する。
以下、更に好ましくは4500以下、最も好ましくは4200以下である。
噴霧乾燥工程で得られた焼成前駆体としての噴霧乾燥粉体は、次いで焼成処理される。
ここで、本発明において「焼成前駆体」とは、噴霧乾燥粉体を処理して得られる焼成前のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物等のリチウム遷移金属系化合物の前駆体を意味する。例えば、前述の焼成時に分解ガスを発生又は昇華して、二次粒子内に空隙を形成させる化合物を、上述の噴霧乾燥粉体に含有させて焼成前駆体としてもよい。
ましくは15体積%以上で、100体積%以下、好ましくは50体積%以下、より好ましくは25体積%以下の雰囲気とする。
続いて、このようにして得られたリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aと、スピネル構造(空間群Fd−3m(No.227))を有し、Li及び遷移金属として少なくともMnを含有するリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bとを前述の好適な重量比で混合して本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料を得る。
なお、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bの製造方法には特に制限はない。
本発明のリチウム二次電池用正極は、本発明のリチウム二次電池用正極活物質材料及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
かくして、本発明のリチウム二次電池用正極が調製される。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な上記の本発明のリチウム二次電池用正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウム塩を電解塩とする非水電
解質とを備える。更に、正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
負極は通常、正極と同様に、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。
負極集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。負極集電体として金属薄膜を使用する場合、その好適な厚さの範囲は、正極集電体について上述した範囲と同様である。
0〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPBの強度IBとの強度比IA/IBが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPAの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
化錫や酸化ケイ素などの金属酸化物、Li2.6Co0.4Nなどの窒化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する液体媒体や結着剤、増粘剤、導電材等としては、正極活物質層について上述したものと同様のものを使用することができる。
非水電解質としては、例えば公知の有機電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解液は、有機溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
例としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiBOB、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO3CF3)2等が挙げられる。これらの電解塩は任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電解質として前述の有機電解液を用いる場合には、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。セパレータの材質や形状は特に制限されないが、使用する有機電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。好ましい例としては、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子が用いられる。特に、セパレータの重要な因子である化学的及び電気化学的な安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましく、電池におけるセパレータの使用目的の一つである自己閉塞温度の点からは、ポリエチレンが特に望ましい。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明のリチウム二次電池用正極と、負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
後述の各実施例及び比較例において製造されたリチウム遷移金属系化合物粉体の物性等は、各々次のようにして測定した。
(Li/Co)(Li/Mn/Al)>
ICP−AES分析により求めた。
ICP−AES分析により求めた。
公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。分散媒としては0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
試料粉体4〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度として求めた。
BET法により求めた。
(株)堀場製作所製EMIA−520炭素硫黄分析計を使用した。数十から100mgの試料を、空焼きした磁性るつぼに秤り取り、助燃剤を加えて、酸素気流中、高周波加熱炉で炭素を燃焼抽出した。燃焼ガス中のCO2を、非分散赤外吸光光度法により定量した。感度較正には社団法人日本鉄鋼連盟製150−15低合金鋼1号(C保障値:0.469重量%)を使用した。
粉体抵抗率測定装置(ダイアインスツルメンツ社製:ロレスターGP粉体低効率測定システムPD−41)を用い、試料重量2〜3gとし、粉体用プローブユニット(四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mm)により、印加電圧リミッタを90Vとして、種々加圧下の粉体の体積抵抗率[Ω・cm]を測定し、40MPaの圧力下における体積抵抗率の値について比較した。
公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。分散媒としては0.1重量%ヘキサメタリン
酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定を行った。
平均粒子径としてのメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)によって、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。また、分散媒としては0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定を行った。比表面積は、BET法により求めた。嵩密度は、試料粉体4〜6gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度として求めた。
(実施例1)
Li2CO3、Ni(OH)2、Mn3O4、CoOOH、WO3を、Li:Ni:Mn:Co:W=1.12:0.45:0.45:0.10:0.01のモル比となるように秤量して混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.23μmに粉砕した。
このリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aとリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bを、1:1(重量比)の比率で十分に混合し、目的とする混合粉体を得た。
実施例1で使用したリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aを、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bと混合せずに評価を行った。
この非混合粉体の体積抵抗率は6.3×104Ω・cm、含有炭素濃度Cは0.031重量%、メジアン径は2.7μm、90%積算径(D90)は4.9μm、嵩密度は1.0g/cm3、BET比表面積は2.8m2/gであった。
実施例1で使用したリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bを、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aと混合せずに評価を行った。
この非混合粉体の体積抵抗率は1.3×104Ω・cm、含有炭素濃度Cは0.001重量%、メジアン径は11.7μm、90%積算径(D90)は18.0μm、嵩密度は1.8g/cm3、BET比表面積は0.7m2/gであった。
リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bの代わりに、組成がLi1.03Co1.00O2の層状構造を有するリチウムコバルト複合酸化物粉体を用いた以外は実施例1と同様にして混合粉体を作製した。
この混合粉体の体積抵抗率は2.3×104Ω・cm、含有炭素濃度Cは0.041重量%、メジアン径は2.6μm、90%積算径(D90)は5.6μm、嵩密度は1.4g/cm3、BET比表面積は1.7m2/gであった。
比較例3で使用したリチウムコバルト複合酸化物粉体を、リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aと混合せずに評価を行った。
この非混合粉体の体積抵抗率は1.3×104Ω・cm、含有炭素濃度Cは0.026重量%、メジアン径は11.6μm、90%積算径(D90)は16.9μm、嵩密度は2.6g/cm3、BET比表面積は0.7m2/gであった。
上述の実施例1及び比較例1〜4で製造した混合粉体又は非混合粉体をそれぞれ正極材料(正極活物質)として用いて、以下の方法によりリチウム二次電池を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例1及び比較例1〜4で製造した混合粉体又は非混合粉体の各々75重量%と、アセチレンブラック20重量%、及びポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチを用いて打ち抜いた。この際、全体重量は約8mgになるように調整した。これをアルミニウムエキスパンドメタルに圧着して、9mmφの正極とした。
実施例1及び比較例1〜4で製造した混合粉体又は非混合粉体を各々75重量%と、アセチレンブラック20重量%及びポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを12mmφのポンチを用いて打ち抜いた。この際、全体重量は約18mgになるように調整した。これをアルミニウムエキスパンドメタルに圧着して、12mmφの正極とした。
正極活物質重量[g]/負極活物質重量[g]
=(Qf[mAh/g]/1.2)Qs(C)[mAh/g]
1C[mA] = Qs(D)×正極活物質重量[g]/時間[h]
R[Ω] = ΔV[mV]/0.5C[mA]
P[%]={Qh(100)/Qh(1)}×100
Claims (15)
- リチウム化合物と、少なくともMn、Ni、及びCoを含む1種類以上の遷移金属化合物と、焼成時の粒成長及び焼結を抑制する添加剤とを、液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを得るスラリー調製工程と、得られたスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥工程と、得られた噴霧乾燥粉体を焼成する焼成工程とを少なくとも含む製造方法により得られたリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aと、
スピネル構造(空間群Fd−3m(No.227))を有し、Li及び遷移金属として少なくともMnを含有するリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bと
を混合してなるリチウム二次電池用正極活物質材料であって、
前記リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aの組成が、下記組成式(I)で表され、かつMo、W、Nb、Ta、及びReよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有してなり、
組成式(I)中のMが、下記組成式(II)で表され、
前記リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bの組成が、下記組成式(III)で表されることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質材料。
LiMO 2 …(I)
〔ただし、上記式(I)中、
Mは、Li、Ni及びMn、或いは、Li、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり
Mn/Niモル比は0.8以上、5以下
Co/(Mn+Ni+Co)モル比は0以上、0.35以下、
M中のLiモル比は0.001以上、0.2以下
である。〕
M=Li z/(2+z) {(Ni (1+y)/2 Mn (1-y)/2 ) 1-x Co x } 2/(2+z) …(II)
〔ただし、上記式(II)中、
0≦x≦0.1
−0.1≦y≦0.1
(1−x)(0.05−0.98y)≦z≦(1−x)(0.20−0.88y)
である。〕
Li(Mn 2-x'-y' Li x' M’ y' )O 4 …(III)
〔ただし、上記式(III)中、M’は、Mn及びLi以外のMn(16d)サイトに置換し得る少なくとも1種以上の金属元素であり、x’は0.01〜0.10、y’は0.01〜0.5である。〕 - リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aとリチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bの混合割合が、重量比で20:1〜1:20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 前記リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aが、
スラリー調製工程において、リチウム化合物及び、前記遷移金属化合物と、前記添加剤とを、液体媒体中で、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定するメジアン径が0.4μm以下になるまで粉砕し、
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥時のスラリー粘度をV(cp)、スラリー供給量をS(L/min)、ガス供給量をG(L/min)とした際、50cp≦V≦4000cp、1500≦G/S≦5000となる条件で噴霧乾燥を行い、
焼成工程において、前記噴霧乾燥粉体を、酸素含有ガス雰囲気下、950℃以上で焼成する
ことにより得られたことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。 - 前記添加剤が、Mo、W、Nb、Ta、及びReよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する酸化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 前記添加剤が、Wを含有する酸化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 前記添加剤が、Wと、Mo、Nb、Ta、及びReよりなる群から選ばれる1種以上の元素とを含有する酸化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 前記リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Bが、リチウムマンガンアルミニウム複合酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 前記リチウム含有遷移金属複合酸化物粉体Aが、層状構造に帰属する結晶構造を含んで構成されるリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率を1.24に設定し、粒子径基準を体積基準として、5分間の超音波分散(出力30W、周波数22.5kHz)後に測定されたメジアン径が0.5μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- BET比表面積が0.5m2/g以上、5m2/g以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 嵩密度が0.5g/cm3以上、2.5g/cm3以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が50Ω・cm以上、1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 含有炭素濃度をC(重量%)とした時、C値が0.005重量%以上、0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料。
- 請求項1乃至13のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質材料と結着剤とを少なくとも含有する正極活物質層を集電体上に有することを特徴とするリチウム二次電池用正極。
- リチウムを吸蔵・放出可能な負極、リチウム塩を含有する非水電解質、及びリチウムを吸蔵・放出可能な正極を備えたリチウム二次電池であって、正極として請求項14に記載のリチウム二次電池用正極を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
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