JP5133803B2 - 収納体の生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、凍品を収納した収納体の生産方法に関する。特に、冷凍対象物に電場や磁場を印加しながら冷凍する技術に関する。
食品や臓器等の冷凍対象物を冷凍する際に、冷凍対象物に電場や磁場を印加しながら冷凍する技術(以下「印加冷凍」という)が知られている(例えば特許文献1〜6参照)。印加冷凍によれば、細胞が破壊されることによって浸出する液体(以下「ドリップ」という)が、解凍した際に出にくくなることが確認されている。ドリップが出なければ、冷解凍によって冷凍対象物が傷まない。従って、食品の場合、風味や食感が損なわれないことになる。また、臓器の場合、移植に適した状態で保存することができる。
WO2005/013730号公報 特許第3973429号公報 特許第4041673号公報 特開2003−088347号公報 特開2004−081133号公報 特開2004−081134号公報
先述した技術の課題は、真空包装してから冷凍すると、印加冷凍したにも関わらず、解凍時にドリップが出てしまうというものである。そもそも、冷凍食品を流通させるときには、透明なフィルム等で真空包装することが多い。そこで、真空包装してから冷凍するか、冷凍してから真空包装するか、どちらかを選ぶことになる。しかし、冷凍してから真空包装すると、その間に解凍が進んでしまうことがある。また、衛生面でも望ましくない。
従って、真空包装してから冷凍するのが望ましい。ところが、真空包装してから冷凍すると、印加冷凍したにも関わらず、解凍時にドリップが出てしまうのである。
本発明は、先述した課題を鑑み、収納体に収納した状態で冷凍対象品を冷凍した場合であっても、解凍時のドリップの発生を抑制できる技術を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた本発明は、冷凍品を収納した収納体を生産する方法であって、次の第一工程及び第二工程を備えることを特徴とする。第一工程では、収納対象物を収容するための空間としての収納空間を有し、この収納空間に収納対象物として未冷凍の冷凍対象物を収納した収納体を、導電性の載置板に載置する。
収納体としては、収納空間の境界を形成する当該収納体の冷凍対象物と接触する内面の表面抵抗が、1.3×10 10 Ω/□以下であり、少なくとも内面が、所定の高分子物質とカリウム−アイオノマーとを配合した材料からなり、この材料におけるカリウム−アイオノマーの配合比が19%以上であり、高分子物質がポリオレフィンである収納体を用いる。
そして、第二工程では、交流電圧と直流電圧とを同時に載置板に印加した状態で、載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷却する。本発明では、この第一工程および第二工程を通じて、冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を生産する。
この発明によれば、解凍時にドリップの発生を防ぐことができる。尚、理由は実施例で述べる。
ところで、本発明は、第二工程終了後、交流電圧あるいは直流電圧のみを載置板に印加した状態で、載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷凍する第三工程を備えるものとすることができる。即ち、第一から第三工程までの各工程により、冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を生産することができる。
また、上記収納体は、フィルムにより構成され、収納空間で冷凍対象物を脱気包装したものとすることができる。
この他、上記収納体は、内面を構成するカリウムーアイオノマーが配合された上記材料からなる内面構成層と、二軸延伸ポリアミド層と、を有する多層フィルムにより構成することができる。
上記多層フィルムとしては、内面を構成する第一層が、ポリオレフィンとしての直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とカリウム−アイオノマーとを配合した内面構成層からなり、第一層に続く第二層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層からなり、第二層に続く第三層が二軸延伸ポリアミド層からなる多層フィルムを採用することができる。
以下、図面と共に説明する。
[袋の構造]
図1は、本発明が適用された収納袋100と、収納袋100に収納される未冷凍の冷凍対象物200とを表した図である。図1(a)は収納袋100を表している。図1(b)は、冷凍対象物200が収納袋100に収納された様子を表している。図1(c)は、冷凍対象物200を収納した収納袋100の収納口がシールされ、冷凍対象物200が真空包装された様子を表している。本実施例では、このようにして、未冷凍の冷凍対象物200を収納した収納袋100を作る。
尚、収納袋100内に冷凍対象物を収納したまま、印加冷凍しても、解凍時にドリップが発生しないようにするためには、冷凍対象物が収納される空間の境界を形成する当該収納袋100の内面の表面抵抗を1.3×1010Ω/□以下に設定すればよい。ここで用いる表面抵抗の単位Ω/□は、「Ω/sq」とも表記され、単位面積当たりの電気抵抗を表すものである。この単位は、JIS規格に基づく。
以下では、収納袋100の内面の表面抵抗を1.3×1010Ω/□以下に設定すれば、ドリップが防げることを、収納袋100を構成するシートの組成例を、複数例挙げて、実験結果と共に説明する(実施例1〜実施例6)。
[実施例1]
[袋の組成と製造方法]
実施例1では、収納袋100を、カリウム−アイオノマー(K−I)ブレンドフィルムにより構成している。
カリウム−アイオノマー(K−I)ブレンドフィルムとは、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene:直鎖状低密度ポリエチレン)にK−I(カリウム−アイオノマー)をブレンドしたものである。本発明者らは、K−Iの添加率を代えて、ドリップの発生有無を実験で調べているので、以下では、K−Iの添加率が20%のものを特に、[1−ア]、30%のものを[1−イ]、40%のものを[1−ウ]、100%のものを[1−エ]と表現する。
なお、K−Iは、三井デュポンポリケミカル社のEntira(登録商標)を使用した。主な性質は、所定の高分子物質、例えばポリオレフィン(本実施例ではLLDPE)に添加すると電気抵抗を下げる効果があることである。
[表面電圧測定実験]
図2に表面電圧測定装置1のブロック図を示す。この表面電圧測定装置1は、冷凍庫10、絶縁性支持部20、トレー30、直流電源40、電圧計50から成る。なお、冷凍庫10、直流電源40、及び電圧計50はアースされている。そして、トレー30は金属性なので導電性であると共に、絶縁性支持部20の上に載せられている。また、直流電源40は、トレー30に電圧を印加できるように、トレー30と導線でつながれている。
実験方法は、まず、先述したフィルムを、袋状ではなく一枚のフィルムの状態で絶縁性支持部20に載せる。そして、直流電源40によって2000Vをトレー30に印加しながら、トレー30に載せたフィルムの、トレー30と接している面(トレー面)と反対側の面(測定面)の、アース面に対する電圧を、電圧計50によって測る。なお、冷凍庫10の扉を開けたまま実験する必要があるので、冷凍庫10内は室温で実験する。
この結果を、図3の右の列の測定値の列に表す。図3に示す通り、[1−ア]:420V、[1−イ]:730V、[1−ウ]:900V、[1−エ]:1800V、である。
また図4に、測定結果をグラフにしたものを示す。縦軸は測定電圧(V)、横軸はK−Iの添加率(%)である。両者には強い正の相関があると共に実験値を直線で近似できることが、グラフから読み取れる。
[表面抵抗測定実験]
先述したフィルムについて、表面抵抗(Ω/□)を測定した結果を示す。この表面抵抗の値は、市販の装置を用いて通常の方法で測定した。具体的には、三菱電機社製の「HIRE STA UP」を用い、500V・10秒・23℃・湿度50%の条件で測定した。
この結果を、図3の右の列の表面抵抗の列に表す。図3に示す通り、[1−ア]:2×1010Ω/□、[1−イ]:4×109Ω/□、[1−ウ]:3×109Ω/□、[1−エ]:1×108Ω/□、である。
図5に、この測定結果を、縦軸:測定電圧(V)、横軸:表面抵抗(Ω/□)で表したグラフに示す。なお、表面抵抗の値は、対数で表示されている。このグラフから、測定電圧(V)と表面抵抗(Ω/□)との間には、強い負の相関があると共に実験値を直線で近似できることが分かる。
[冷凍−解凍実験]
冷凍−解凍実験の手順を説明する。まず、先述したフィルムをヒートシールによって、図1(a)に示したような袋100にする。そして、図1(b)に示したように、生きたドロメ(カタクチイワシの稚魚)を冷凍対象物200として袋100に入れる。ドロメを選んだのは、特に冷凍保存が難しいものとして知られているからである。そして、図1(c)に示したように、ドロメ入りの袋を真空包装機で脱気包装シール、つまり真空パックする。
そして、脱気包装シールされたドロメを、WO2005/013730に記載の冷凍装置を用いて−20℃で2時間半かけて冷凍する。この冷凍装置を簡単に説明すると、表面電圧測定装置1とほぼ同じような構成をしている。但し、電圧計は不要であり、装置内部の空気を循環させるためのファン、及び、トレーに交流電圧を印加できるように構成された交流電源を備える。
そして、直流電圧−2000V、交流電圧60Hz・1750Vをトレーに印加する。その後、通常の冷凍庫に移して−20℃で1月かけて冷凍する。そして、室温で自然解凍させて、ドリップの有無によって、冷凍効果を測定する。
その結果を、図3の冷凍効果に示す。○がドリップ無し、△が少しドリップ有りを示す。図3から、表面抵抗が4×109Ω/□以下であれば、冷凍効果に○が付くことが言える。さらに、表面抵抗を4×109Ω/□以下にするためには、K−Iの添加率を30%以上にすればよいことが言える。
即ち、この実験によって、少なくとも収納袋100を、カリウム−アイオノマー(K−I)ブレンドフィルムにより構成すれば、表面抵抗が4×109Ω/□以下となるように、K−Iの添加率を調整することで、ドリップを防ぐことができるといえる。
また、収納袋100をカリウム−アイオノマー(K−I)ブレンドフィルムにより構成しなくてもドリップを防止することができること、及び、表面抵抗を4×109Ω/□以下にしなくとも、収納袋100の内面の表面抵抗を1.3×1010Ω/□以下に設定すればドリップを防止することができることを、実施例2〜実施例6で説明する。
[実施例2〜6]
ここから、実施例2〜実施例6について述べる。但し、実施例2〜実施例4で用いる収納袋100は、その組成が実施例1と異なる程度で、袋の構造は同じであるので、袋の構成の説明については省略する。一方、実施例5・実施例6は、収納袋100ではなく収納箱を形成するものである(詳細後述)。また、何れの実施例においても表面電圧測定実験の結果は無い。
[袋の組成と製造方法]
[実施例2]
実施例2では、収納袋100を、K−Iブレンドフィルム、及び、二軸延伸ナイロン貼合フィルムからなる多層フィルムにて構成している。
即ち、実施例2の収納体は、LLDPE+(K−I)を第一層、LLDPEを第二層、二軸延伸Ny(Nylon:ナイロン)を第三層とした三層構造にされている。そして、第一層および第二層の厚さは合計50μm、第三層の厚さは15μmに設定されている。
この多層フィルムの製造方法は、次の通りである。まず、LLDPE+(K−I)/LLDPEを共押出で作る。そして、共押出したLLDPE+(K−I)/LLDPEと二軸延伸Nyとをドライラミネートして完成させる。なお、後述する実験では、K−Iの添加率が0%のもの及びK−Iの添加率が20%のものを用いているので、以下では、LLDPE+(K−I)におけるK−Iの添加率が0%のものを[2−ア]、K−Iの添加率が20%のものを[2−イ]と呼ぶ。
なお、実施例2においては、ヒートシールによって収納袋100にする際に、第一層が袋の内面になるように作る。他の実施例でも、複数の層を有するのものについては同じである。
[実施例3]
実施例3の収納袋100は、CPP(無延伸ポリプロピレン)の単層フィルムからなる。このCPP単層フィルムは、周知なものなので、製造方法等の説明については省略する。なお、後述する実験では、厚さが20μmのもの及び厚さが40μmのものを用いているので、以下では、厚さが20μmのものを[3−ア]、厚さが40μmのものを[3−イ]と呼ぶ。
[実施例4]
実施例4の収納袋100は、第一層がAl蒸着、第二層がCPPフィルムで構成されるものである。この多層フィルムについても周知であるので、その詳細については特に説明しない。なお、後述する実験では、Al蒸着も含めた厚さが20μmのもの及びAl蒸着も含めた厚さが40μmのものを用いているので、以下では、Al蒸着も含めた厚さが20μmのものを[4−ア]、厚さが40μmのものを[4−イ]と呼ぶ。
[実施例5]
実施例5は、袋ではなく収納箱を収納体とするものである。収納箱全体の組成は、第一層がAl蒸着、第二層がPP(ポリプロピレン)フィルム、第三層がPPラミ層(ポリプロピレン・ラミネート層)、第四層がPP+(K−I)からなる多層フィルムで構成される。第一層と第二層とを合わせた厚さは20μm、第三層の厚さは20μm、第四層の厚さは500μmである。
この多層フィルムの製造方法は、次の通りである。即ち、PP+(K−I)を基材として、PPラミ層を介して、Al蒸着面が外側になるように、Al蒸着したPPフィルムをサンドイッチ・ラミネートする。なお、後述する実験では、Al蒸着があるもの及びAl蒸着がないものを用いているので、以下では、Al蒸着があるものを[5−ア]、Al蒸着がないものを[5−イ]と呼ぶ。そして、製造したフィルムを圧空成形して、ふたを除いた弁当箱のような形の容器を作る。
[実施例6]
実施例6も、袋ではなく収納箱を収納体とするものである。収納箱全体の組成は、第一層がPPフィルム、第二層がAl蒸着、第三層がPPラミ層、第四層がPP+(K−I)からなる多層フィルムで構成される。第一層と第二層とを合わせた厚さは20μm、第三層の厚さは20μm、第四層の厚さは500μmである。
この多層フィルムの製造方法は、次の通りである。即ち、PP+(K−I)を基材として、PPラミ層を介して、Al蒸着面が内側になるように、Al蒸着したPPフィルムをサンドイッチ・ラミネートする。なお、後述する実験では、Al蒸着があるもの及びAl蒸着がないものを用いているので、以下では、Al蒸着があるものを[6−ア]、Al蒸着がないものを[6−イ]と呼ぶ。そして、製造したフィルムを圧空成形して、ふたを除いた弁当箱のような形の容器を作る。
[表面抵抗測定実験]
実験方法は実施例1で説明したものとほぼ同じである。ただし、複数の層を有するものに関しては、第一層と反対側の面をトレー30と接するように置き、第一層の面の電圧を測定した。結果は図3に示す通り、[2−ア]:320V、[2−イ]:500V、[3−ア]:430V、[3−イ]:330V、[4−ア]:520V、[4−イ]:330V、[5−ア]:1930V、[5−イ]:420V、[6−ア]:600V、[6−イ]:420V、である。
[冷凍−解凍実験]
実験方法は、実施例2〜実施例4は実施例1で説明したものと同じである。一方、実施例5・実施例6は、冷凍対象物を収納箱の中に入れた後に、アルミ蒸着させたOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムで、アルミ蒸着面を内側にして、ふたをする。結果は、図3に示す通りである。なお、○がドリップ無し、△が少しドリップ有り、×がドリップ有り、を示す。◎は、ドリップが無かったことに加えて、食感や風味が解凍前に特に近かったことを示す。[2−ア]:×、[2−イ]:○、[3−ア]:△、[3−イ]:×、[4−ア]:○、[4−イ]:×、[5−ア]:◎、[5−イ]:△〜○、[6−ア]:○、[6−イ]:△〜○、である。
実施例2〜実施例6の結果から言えるのは、表面電圧測定実験の結果と冷凍効果とには密接な関係があることである。具体的には、電圧の測定値が500V以上あれば、冷凍効果に○が付く。さらに、1930Vあれば◎が付く。
[考察]
実施例2〜実施例6の結果を、実施例1に当てはめる。つまり、表面電圧測定実験の結果が500V以上あれば、実施例2〜6では良好な結果が得られているので、これらの実験結果に依れば、図4・図5のグラフを用いて、実施例1で述べた表面抵抗やK−Iの添加率に関する数値限定を拡張できる。
図4に示したグラフにおいては、測定電圧500Vに対応するK−Iの添加率は、19%である。従って、LLDPE+(K−I)の単層フィルムの場合は、K−Iの添加率を19%以上にすれば、本発明に特有な冷凍効果を得ることができると言える。なお、LLDPEは絶縁体であるので電気伝導にはほとんど寄与しない。従って、LLDPE以外のポリオレフィン等と混ぜても、K−Iが少なくとも19%配合されていれば、本実施例と同様な結果が得られるはずである。
また、図5に示したグラフにおいて、測定電圧500Vに対応する表面抵抗の値は、1.3×1010Ω/□となる。従って、本発明に特有な冷凍効果を得るためには、表面抵抗が1.3×1010Ω/□以下のフィルムを用いればよいことになる。
また、当然ながら、[実施例2]及び[実施例4]の結果から、膜厚と表面電圧とには負の相関があると言える。従って、膜厚方向の抵抗値(体積抵抗)が小さい程、表面電圧が上がり、さらには冷凍効果が良くなることが予想される。
ただし、実施例5及び実施例6の結果から考えられるのは、体積抵抗よりも表面抵抗の方が、冷凍効果に対して支配的なことである。つまり、体積抵抗に関しては、Al蒸着面が内部だろうが外部だろうが、値に影響しない。それに対して、表面抵抗に関しては、Al蒸着面が内部なのか外部なのかで、値が大きく変わる。
そして、冷凍効果の実験結果は、Al蒸着無し<Al蒸着有り(内部)<Al蒸着有り(外部)であることから、冷凍効果と表面抵抗との強い関係が推測される。
[その他の実験結果]
サバ、イカ、マグロでも同様な結果が得られた。従って、本発明によって得られ効果は、ドロメだけでなく、種々の生鮮食品に適用できると言える。
[実施例7・8]
収納体として箱を採用したもので、追加の実験を行った。
[箱の組成と製造方法]
[実施例7]
PP(ポリプロピレン)+(K−I)をブレンドした厚さ0.5mmのフィルムを圧空成形して、ふたを除いた弁当箱のような形の容器を作る。なお、後述する実験では、K−Iの添加率が、20%、30%、40%、100%のものを夫々用意する(計4種類)。そして、アルミ蒸着させたOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムを、ふたとして用いる。
[実施例8]
PP:80%+(K−I):20%でブレンドしたものと、アルミ蒸着CPPフィルムとを、PP押出ラミ方法で積層フィルムにする。このとき、アルミ蒸着面が外側に来るようにする。そして、この積層フィルムを圧空成形によって、アルミ蒸着面が内部になるように、ふたを除いた弁当箱の形にする。そして、アルミ蒸着させたOPPフィルムを、ふたとして用いる。
[冷凍−解凍実験]
冷凍対象物として、握り鮨(イカ、タイ、マグロ、甘エビ)、刺身(マグロ、ヒラメ)、及び野菜の煮染めを用いた。魚介類は何れも新鮮なものを選んだ。そして、実施例7及び実施例8で述べた容器に、冷凍対象物のどれか一つを入れて、アルミ蒸着面が内部にくるように、ふたをした。そして、実施例1〜6と同じ条件で冷凍した。その後、室温で自然解凍した。
結果は、実施例7・実施例8における何れの場合も冷凍効果は○であった。つまり、ドリップはほとんど見られず、風味、食感ともに冷凍前とほとんど変わらなかった。
[高電圧印加による弊害]
実施例1〜8の結果より、食品に電圧が印加されれば、冷凍効果が得られるということが推測される。そうであるならば、たとえ食品を包んでいるものが絶縁性であるとしても、高電圧を印加すれば、先述したような冷凍効果が得られると予想される。しかし、高電圧を印加すると種々の弊害が起きる。なお、これはフィルムの電気的性質によらないことが確認されている。
例えば、3500Vを印加すると、解凍後に食品の臭気が無くなるという現象が起こる。食材が有する特有の臭気は味の一部と考えられるので、冷解凍によって不味くなることを防ぐ、という目的が達成できないことになる。
更に印加電圧を5000V、10000Vと上げていくと、細胞が破壊されることで食品が原形を留めなくなってしまい、論外である。
[その他]
特許文献1(WO2005/013730)に記載されているように、印加する電圧を食品毎に変えてもよい。
サンドイッチ・ラミネートによって作られる三層のシートである、二軸延伸Ny/PE/(PE/PE+K−I共押出フィルム)を用いてもよい。
収納体の内面を構成する層に、グリセリンを配合するとよい。なぜなら、グリセリンには水酸基があるので、表面抵抗を下げる効果があるからである。
また、食品に接する層のK−Iの配合比は、50%以下が望ましい。なぜなら、食品安全性保証範囲を超えるからである。危険になる訳ではないけれど、FDA適合やPL登録範囲を超えてしまう。さらに好ましくは、30%以下である。K−I配合率が高すぎると製膜が困難になるからである。
K−Iをブレンドするポリエチレンにハイヤーαオレフィン(C5、C6、C8以上)をコポリマーとしたLLDPE、特にメタロセン触媒などを用いた単段重合時の分子量分布が狭いLLDPEを用いると、ヒートシール強度の低下が少ないK−I配合物が得られる。なお、分子量分布が狭いとは、例えば、GPCで求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.5以下である。
特に推奨されるのは、メタロセン触媒を用いたハイヤーαオレフィンをコモノマーとした密度が0.925g/cm3以下のLLDPEである。なぜなら、フィルムの強度や良好なヒートシール性が得られるからである。LLDPEのMFRは、フィルムを成形する機械毎に好ましい範囲がある。しかし、当該用途の印加冷凍の効果には影響しないので、成形設備に適したものでK−Iと相溶性の良いMFRの樹脂を選べば良い。
また、LDPE(高圧法・低密度ポリエチレン)を用いてもよい。過酸化物を重合開始剤として、酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸などのコモノマーを用いた共重合樹脂を用いてもよい。
複合フィルムの最外層は、内容物を保護でき、真空包装できるフィルムであれば何でも良い。従来技術で用いられているバリア性中間層フィルムは用いても、用いなくても、どちらでも良い。
また、樹脂そのものが導電性の樹脂を用いてフィルムにしたものを用いても、実施例1・2と同様な効果が得られると考えられる。例えば、シリコン樹脂や導電性インキである。しかし、何れも食品に接触する用途には、少なくとも出願時においては、適さないと言える。食品に接触する物質としての安全性評価または安全性認可がなされていないからである。これが確認されれば、使用してもよい。
また、K−I以外の導電性付与剤を添加するなど、特許請求の範囲に記載した電気的性質を満たすものであれば、各実施例と同様な効果が得られると考えられる。例えば、ポリエチレン及び/又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂に導電性カーボンを添加したフィルムが挙げられる。しかし、カーボンを添加するとフィルムが黒くなり透明度が落ちるので、中身が視認できなくなり食品流通用には向かない。さらに、安全基準を満たし食品接触用途に使える導電性カーボンは、存在しないのが現状である。
収納袋100及び冷凍対象物200を表す図。 表面電圧測定装置1のブロック図。 各フィルムの特性および冷凍効果を示すテーブル。 測定電圧とK−I添加率との関係を表したグラフ。 測定電圧と表面抵抗との関係を表したグラフ。
符号の説明
1…表面電圧測定装置、10…冷凍庫、20…絶縁性支持部、30…トレー、40…直流電源、50…電圧計、100…収納袋、200…冷凍対象物

Claims (4)

  1. 収納対象物を収容するための空間としての収納空間を有し、前記収納空間に前記収納対象物として未冷凍の冷凍対象物を収納した収納体であって、前記収納空間の境界を形成する当該収納体の前記冷凍対象物と接触する内面の表面抵抗が、1.3×1010Ω/□以下であり、少なくとも前記内面が、所定の高分子物質とカリウム−アイオノマーとを配合した材料からなり、前記材料におけるカリウム−アイオノマーの配合比が19%以上であり、前記高分子物質がポリオレフィンである収納体を、導電性の載置板に載置する第一工程と、
    交流電圧と直流電圧とを同時に前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷却する第二工程と、
    を備え、前記収納体として、フィルムにより構成され、前記収納空間で前記冷凍対象物を脱気包装した収納体を用いて、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を、前記第一工程および前記第二工程を通じて生産することを特徴とする収納体の生産方法。
  2. 収納対象物を収容するための空間としての収納空間を有し、前記収納空間に前記収納対象物として未冷凍の冷凍対象物を収納した収納体であって、前記収納空間の境界を形成する当該収納体の前記冷凍対象物と接触する内面の表面抵抗が、1.3×1010Ω/□以下であり、少なくとも前記内面が、所定の高分子物質とカリウム−アイオノマーとを配合した材料からなり、前記材料におけるカリウム−アイオノマーの配合比が19%以上であり、前記高分子物質がポリオレフィンである収納体を、導電性の載置板に載置する第一工程と、
    交流電圧と直流電圧とを同時に前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷却する第二工程と、
    を備え、前記収納体として、前記内面を構成する前記カリウムーアイオノマーが配合された前記材料からなる内面構成層と、二軸延伸ポリアミド層と、を有する多層フィルムにより構成される収納体を用いて、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を、前記第一工程および前記第二工程を通じて生産することを特徴とする収納体の生産方法。
  3. 前記多層フィルムは、前記内面を構成する第一層が、前記ポリオレフィンとしての直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と前記カリウム−アイオノマーとを配合した前記内面構成層からなり、前記第一層に続く第二層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層からなり、前記第二層に続く第三層が前記二軸延伸ポリアミド層からなる多層フィルムであること
    を特徴とする請求項2記載の収納体の生産方法。
  4. 前記第二工程終了後、交流電圧あるいは直流電圧のみを前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷凍する第三工程
    を備え、
    前記第一から第三工程までの各工程により、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を生産することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の収納体の生産方法。
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