JP5133803B2 - 収納体の生産方法 - Google Patents
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Description
本発明は、先述した課題を鑑み、収納体に収納した状態で冷凍対象品を冷凍した場合であっても、解凍時のドリップの発生を抑制できる技術を提供することを目的とする。
この発明によれば、解凍時にドリップの発生を防ぐことができる。尚、理由は実施例で述べる。
[袋の構造]
図1は、本発明が適用された収納袋100と、収納袋100に収納される未冷凍の冷凍対象物200とを表した図である。図1(a)は収納袋100を表している。図1(b)は、冷凍対象物200が収納袋100に収納された様子を表している。図1(c)は、冷凍対象物200を収納した収納袋100の収納口がシールされ、冷凍対象物200が真空包装された様子を表している。本実施例では、このようにして、未冷凍の冷凍対象物200を収納した収納袋100を作る。
[実施例1]
[袋の組成と製造方法]
実施例1では、収納袋100を、カリウム−アイオノマー(K−I)ブレンドフィルムにより構成している。
[表面電圧測定実験]
図2に表面電圧測定装置1のブロック図を示す。この表面電圧測定装置1は、冷凍庫10、絶縁性支持部20、トレー30、直流電源40、電圧計50から成る。なお、冷凍庫10、直流電源40、及び電圧計50はアースされている。そして、トレー30は金属性なので導電性であると共に、絶縁性支持部20の上に載せられている。また、直流電源40は、トレー30に電圧を印加できるように、トレー30と導線でつながれている。
また図4に、測定結果をグラフにしたものを示す。縦軸は測定電圧(V)、横軸はK−Iの添加率(%)である。両者には強い正の相関があると共に実験値を直線で近似できることが、グラフから読み取れる。
[表面抵抗測定実験]
先述したフィルムについて、表面抵抗(Ω/□)を測定した結果を示す。この表面抵抗の値は、市販の装置を用いて通常の方法で測定した。具体的には、三菱電機社製の「HIRE STA UP」を用い、500V・10秒・23℃・湿度50%の条件で測定した。
[冷凍−解凍実験]
冷凍−解凍実験の手順を説明する。まず、先述したフィルムをヒートシールによって、図1(a)に示したような袋100にする。そして、図1(b)に示したように、生きたドロメ(カタクチイワシの稚魚)を冷凍対象物200として袋100に入れる。ドロメを選んだのは、特に冷凍保存が難しいものとして知られているからである。そして、図1(c)に示したように、ドロメ入りの袋を真空包装機で脱気包装シール、つまり真空パックする。
[実施例2〜6]
ここから、実施例2〜実施例6について述べる。但し、実施例2〜実施例4で用いる収納袋100は、その組成が実施例1と異なる程度で、袋の構造は同じであるので、袋の構成の説明については省略する。一方、実施例5・実施例6は、収納袋100ではなく収納箱を形成するものである(詳細後述)。また、何れの実施例においても表面電圧測定実験の結果は無い。
[袋の組成と製造方法]
[実施例2]
実施例2では、収納袋100を、K−Iブレンドフィルム、及び、二軸延伸ナイロン貼合フィルムからなる多層フィルムにて構成している。
[実施例3]
実施例3の収納袋100は、CPP(無延伸ポリプロピレン)の単層フィルムからなる。このCPP単層フィルムは、周知なものなので、製造方法等の説明については省略する。なお、後述する実験では、厚さが20μmのもの及び厚さが40μmのものを用いているので、以下では、厚さが20μmのものを[3−ア]、厚さが40μmのものを[3−イ]と呼ぶ。
[実施例4]
実施例4の収納袋100は、第一層がAl蒸着、第二層がCPPフィルムで構成されるものである。この多層フィルムについても周知であるので、その詳細については特に説明しない。なお、後述する実験では、Al蒸着も含めた厚さが20μmのもの及びAl蒸着も含めた厚さが40μmのものを用いているので、以下では、Al蒸着も含めた厚さが20μmのものを[4−ア]、厚さが40μmのものを[4−イ]と呼ぶ。
[実施例5]
実施例5は、袋ではなく収納箱を収納体とするものである。収納箱全体の組成は、第一層がAl蒸着、第二層がPP(ポリプロピレン)フィルム、第三層がPPラミ層(ポリプロピレン・ラミネート層)、第四層がPP+(K−I)からなる多層フィルムで構成される。第一層と第二層とを合わせた厚さは20μm、第三層の厚さは20μm、第四層の厚さは500μmである。
[実施例6]
実施例6も、袋ではなく収納箱を収納体とするものである。収納箱全体の組成は、第一層がPPフィルム、第二層がAl蒸着、第三層がPPラミ層、第四層がPP+(K−I)からなる多層フィルムで構成される。第一層と第二層とを合わせた厚さは20μm、第三層の厚さは20μm、第四層の厚さは500μmである。
[表面抵抗測定実験]
実験方法は実施例1で説明したものとほぼ同じである。ただし、複数の層を有するものに関しては、第一層と反対側の面をトレー30と接するように置き、第一層の面の電圧を測定した。結果は図3に示す通り、[2−ア]:320V、[2−イ]:500V、[3−ア]:430V、[3−イ]:330V、[4−ア]:520V、[4−イ]:330V、[5−ア]:1930V、[5−イ]:420V、[6−ア]:600V、[6−イ]:420V、である。
[冷凍−解凍実験]
実験方法は、実施例2〜実施例4は実施例1で説明したものと同じである。一方、実施例5・実施例6は、冷凍対象物を収納箱の中に入れた後に、アルミ蒸着させたOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムで、アルミ蒸着面を内側にして、ふたをする。結果は、図3に示す通りである。なお、○がドリップ無し、△が少しドリップ有り、×がドリップ有り、を示す。◎は、ドリップが無かったことに加えて、食感や風味が解凍前に特に近かったことを示す。[2−ア]:×、[2−イ]:○、[3−ア]:△、[3−イ]:×、[4−ア]:○、[4−イ]:×、[5−ア]:◎、[5−イ]:△〜○、[6−ア]:○、[6−イ]:△〜○、である。
[考察]
実施例2〜実施例6の結果を、実施例1に当てはめる。つまり、表面電圧測定実験の結果が500V以上あれば、実施例2〜6では良好な結果が得られているので、これらの実験結果に依れば、図4・図5のグラフを用いて、実施例1で述べた表面抵抗やK−Iの添加率に関する数値限定を拡張できる。
[その他の実験結果]
サバ、イカ、マグロでも同様な結果が得られた。従って、本発明によって得られ効果は、ドロメだけでなく、種々の生鮮食品に適用できると言える。
[実施例7・8]
収納体として箱を採用したもので、追加の実験を行った。
[箱の組成と製造方法]
[実施例7]
PP(ポリプロピレン)+(K−I)をブレンドした厚さ0.5mmのフィルムを圧空成形して、ふたを除いた弁当箱のような形の容器を作る。なお、後述する実験では、K−Iの添加率が、20%、30%、40%、100%のものを夫々用意する(計4種類)。そして、アルミ蒸着させたOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムを、ふたとして用いる。
[実施例8]
PP:80%+(K−I):20%でブレンドしたものと、アルミ蒸着CPPフィルムとを、PP押出ラミ方法で積層フィルムにする。このとき、アルミ蒸着面が外側に来るようにする。そして、この積層フィルムを圧空成形によって、アルミ蒸着面が内部になるように、ふたを除いた弁当箱の形にする。そして、アルミ蒸着させたOPPフィルムを、ふたとして用いる。
[冷凍−解凍実験]
冷凍対象物として、握り鮨(イカ、タイ、マグロ、甘エビ)、刺身(マグロ、ヒラメ)、及び野菜の煮染めを用いた。魚介類は何れも新鮮なものを選んだ。そして、実施例7及び実施例8で述べた容器に、冷凍対象物のどれか一つを入れて、アルミ蒸着面が内部にくるように、ふたをした。そして、実施例1〜6と同じ条件で冷凍した。その後、室温で自然解凍した。
[高電圧印加による弊害]
実施例1〜8の結果より、食品に電圧が印加されれば、冷凍効果が得られるということが推測される。そうであるならば、たとえ食品を包んでいるものが絶縁性であるとしても、高電圧を印加すれば、先述したような冷凍効果が得られると予想される。しかし、高電圧を印加すると種々の弊害が起きる。なお、これはフィルムの電気的性質によらないことが確認されている。
[その他]
特許文献1(WO2005/013730)に記載されているように、印加する電圧を食品毎に変えてもよい。
収納体の内面を構成する層に、グリセリンを配合するとよい。なぜなら、グリセリンには水酸基があるので、表面抵抗を下げる効果があるからである。
Claims (4)
- 収納対象物を収容するための空間としての収納空間を有し、前記収納空間に前記収納対象物として未冷凍の冷凍対象物を収納した収納体であって、前記収納空間の境界を形成する当該収納体の前記冷凍対象物と接触する内面の表面抵抗が、1.3×1010Ω/□以下であり、少なくとも前記内面が、所定の高分子物質とカリウム−アイオノマーとを配合した材料からなり、前記材料におけるカリウム−アイオノマーの配合比が19%以上であり、前記高分子物質がポリオレフィンである収納体を、導電性の載置板に載置する第一工程と、
交流電圧と直流電圧とを同時に前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷却する第二工程と、
を備え、前記収納体として、フィルムにより構成され、前記収納空間で前記冷凍対象物を脱気包装した収納体を用いて、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を、前記第一工程および前記第二工程を通じて生産することを特徴とする収納体の生産方法。 - 収納対象物を収容するための空間としての収納空間を有し、前記収納空間に前記収納対象物として未冷凍の冷凍対象物を収納した収納体であって、前記収納空間の境界を形成する当該収納体の前記冷凍対象物と接触する内面の表面抵抗が、1.3×1010Ω/□以下であり、少なくとも前記内面が、所定の高分子物質とカリウム−アイオノマーとを配合した材料からなり、前記材料におけるカリウム−アイオノマーの配合比が19%以上であり、前記高分子物質がポリオレフィンである収納体を、導電性の載置板に載置する第一工程と、
交流電圧と直流電圧とを同時に前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷却する第二工程と、
を備え、前記収納体として、前記内面を構成する前記カリウムーアイオノマーが配合された前記材料からなる内面構成層と、二軸延伸ポリアミド層と、を有する多層フィルムにより構成される収納体を用いて、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を、前記第一工程および前記第二工程を通じて生産することを特徴とする収納体の生産方法。 - 前記多層フィルムは、前記内面を構成する第一層が、前記ポリオレフィンとしての直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と前記カリウム−アイオノマーとを配合した前記内面構成層からなり、前記第一層に続く第二層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層からなり、前記第二層に続く第三層が前記二軸延伸ポリアミド層からなる多層フィルムであること
を特徴とする請求項2記載の収納体の生産方法。 - 前記第二工程終了後、交流電圧あるいは直流電圧のみを前記載置板に印加した状態で、前記載置板に載置された収納体に収納された冷凍対象物を冷凍する第三工程
を備え、
前記第一から第三工程までの各工程により、前記冷凍対象物を冷凍してなる冷凍品を収納した収納体を生産することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の収納体の生産方法。
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