JP5131422B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二つのモータを備えた電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)があり、こうしたEPSには、油圧式のパワーステアリング装置と比較して、レイアウト自由度が高く、且つエネルギー消費量が小さいという特徴がある。このため、近年では、小型車両のみならず大型車両においても、EPSの採用が検討されるようになっており、これに対応すべく、その出力性能の更なる向上が強く求められている。
ところが、現実には、EPSアクチュエータを設置可能な車両スペースは限られており、特に、所謂ラック型やピニオン型のEPSにおいては、その駆動源であるモータを大型化する余地は、既にほとんど残されていないのが実情である。そして、比較的設置スペースに余裕のあるコラム型のEPSについても、その大出力化に対応すべくステアリングシャフトを強化することによって大幅な重量増を招くという問題がある。
そこで、従来、二つのモータを駆動源として用い、一方のモータによってラック軸にアシスト力を付与するとともに、他方のモータによってステアリングシャフトにアシスト力を付与するEPSが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このようなEPSを採用することで、設置スペースや重量増の問題を回避しつつ大出力化に対応することが可能になるとともに、冗長性を確保して高い信頼性を確保することができるようになる。
特開2004−82798号公報
しかしながら、二つモータを駆動源とした場合、その制御上の位相を一致させることが難しく、その位相のずれにより両モータの制御が互いに干渉するおそれがある。特に、上記のように、一方がラック軸をアシストし他方がステアリングシャフトをアシストする構成では、ステアリングシャフトの捩れ等が存在することから、両者の位相を一致させることが難しい。このため、上記干渉の発生により、操舵フィーリングが悪化するおそれがあり、この点になお、改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、モータ制御の干渉を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ラック軸にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与すべく設けられた第1の操舵力補助装置と、ステアリングシャフトに前記アシスト力を付与すべく設けられた第2の操舵力補助装置と、対応する前記各操舵力補助装置の駆動源である第1及び第2のモータに対して駆動電力を供給することにより該各操舵力補助装置の作動を制御する第1及び第2の制御手段と、前記第1及び第2のモータに通電される実電流値をそれぞれ検出する第1及び第2の電流センサとを備え、前記第1及び第2の制御手段は、基本アシスト成分に、各種の補償制御により演算された補償成分を重畳することにより、対応する前記各操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力としての電流指令値を演算して、前記電流指令値を演算して、前記電流指令値に前記実電流値を追従させるべくフィードバック制御をそれぞれ実行する電動パワーステアリング装置であって、前記第1及び第2の制御手段は、他方と同一の補償制御を同時に行わないこと、を要旨とする。
即ち、モータ制御の相互干渉は、その補償制御実行時において顕著となる傾向がある。従って、上記構成のように、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を行わないことで、こうした相互干渉の発生を抑制することができる。その結果、良好な操舵フィーリングを確保することができる。
請求項2に記載の発明は、前記第1の操舵力補助装置に対応する前記第1の制御手段は、前記操舵力補助装置の慣性による影響を補償するためのトルク慣性補償制御を行い、前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、該トルク慣性補償制御を行わないこと、を要旨とする。
即ち、トルク慣性補償制御は、モータやアクチュエータ等、操舵力補助装置の慣性による影響を補償する制御であり、ステアリング操作における「切り始め」時の「引っ掛かり感(追従遅れ)」、及び「切り終わり」時の「流れ感(オーバーシュート)」を抑制する目的で実行されるものである。従って、より転舵輪に近い第1の操舵力補助装置の制御において行うことが望ましく、これにより、当該トルク慣性補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、ステアリングの中立位置への復帰を円滑なものとするためのステアリング戻し補償制御を行い、前記第1の操舵力補助装置に対応する前記第1の制御手段は、該ステアリング戻し補償制御を行わないこと、を要旨とする。
即ち、ステアリング戻し補償制御は、ステアリングの中立位置への復帰を円滑なものとするため補償制御である。従って、よりステアリングに近い第2の操舵力補助装置の制御において行うことが望ましく、これにより、当該ステアリング戻し補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、ステアリングのふらつきを抑制するためのダンパ補償制御を行い、前記第1の操舵力補助装置に対応する前記第1の制御手段は、該ダンパ補償制御を行わないこと、を要旨とする。
即ち、ダンパ補償制御は、ステアリングのふらつきを抑えるための補償制御である。従って、よりステアリングに近い第2の操舵力補助装置の制御において行うことが望ましく、これにより、当該ダンパ補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
本発明によれば、モータ制御の干渉を抑制して良好な操舵フィーリングを実現することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。具体的には、本実施形態のステアリングシャフト3は、自在継手7a,7bを介して、コラムシャフト8、インターミディエイトシャフト9、及びピニオンシャフト10を連結してなり、上記ラックアンドピニオン機構4は、ピニオンシャフト10の一端に形成されたピニオン歯10aとラック軸5側のラック歯5aとを噛合させることにより構成される。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪12の舵角、即ち車両の進行方向が変更されるように構成されている。
本実施形態のEPS1は、上記のように構成された操舵系に対し、ステアリング操作を補助するアシスト力を発生させるための駆動源として複数(二つ)のモータ21,22を有している。具体的には、EPS1は、モータ21を駆動源としてラック軸5にアシスト力を付与する第1の操舵力補助装置としてのラックアクチュエータ23と、モータ22を駆動源としてコラムシャフト8にアシスト力を付与する第2の操舵力補助装置としてのコラムアクチュエータ24とを備えている。
詳述すると、本実施形態では、ラックアクチュエータ23は、駆動源であるモータ21と、ボール螺子機構26とを備えており、モータ21のモータトルクをボール螺子機構26により軸方向の押圧力に変換してラック軸5に伝達する。そして、そのモータトルクによってラック軸5を軸方向に移動させることにより同ラック軸5にアシスト力を付与するように構成されている。
一方、コラムアクチュエータ24は、駆動源であるモータ22と、変速機構(ウォーム&ホイール)27とを備えて構成されている。そして、コラムアクチュエータ24は、モータ22のモータトルクを、変速機構27を介してコラムシャフト8に伝達することにより、同コラムシャフト8(ステアリングシャフト3)にアシスト力を付与するように構成されている。
また、本実施形態のEPS1は、ラックアクチュエータ23の作動を制御する第1の制御手段としてのラックECU31、及びコラムアクチュエータ24の作動を制御する第2の制御手段としてのコラムECU32を備えている。
本実施形態では、ステアリングシャフト3(コラムシャフト8)には、トルクセンサ35及びステアリングセンサ36が設けられており、ラックECU31及びコラムECU32には、これらの各センサにより検出された操舵トルクτ、操舵角θs及び操舵速度ωsが入力される。加えて、ラックECU31及びコラムECU32には、車速センサ37により検出された車速Vが入力される。尚、本実施形態では、ラックECU31及びコラムECU32は、図示しない車内ネットワークを介して相互通信を行う。そして、ラックECU31及びコラムECU32は、これらの状態量に基づいて、目標アシスト力を演算し、これに応じた駆動電力を各モータ21,22に供給する。尚、本実施形態では、ラックアクチュエータ23及びコラムアクチュエータ24のモータ21,22には、ブラシレスモータが採用されており、ラックECU31及びコラムECU32は、各モータ21,22に対して三相(U,V,W)の駆動電力を供給する。そして、各ラックECU31及びコラムECU32は、その駆動電力の供給を通じて、対応するラックアクチュエータ23及びコラムアクチュエータ24に上記の目標アシスト力を発生させるべく、その作動を制御する。
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。尚、以下に示す各制御ブロックは、後述するマイコン41,42が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。
同図に示すように、ラックECU31及びコラムECU32は、それぞれ、モータ制御信号を出力するマイコン41,42と、そのモータ制御信号に基づいて、対応する各アクチュエータの駆動源であるモータ21,22に駆動電力を供給する駆動回路43,44とを備えて構成されている。
本実施形態では、ラックECU31及びコラムECU32には、各モータ21,22に通電される実電流値I_r,I_cを検出するための電流センサ45,46、及び各モータ21,22の回転角θm_r,θm_cを検出するための回転角センサ47,48が接続されている。そして、各マイコン41,42は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ21,22の実電流値I_r,I_c及び回転角θm_r,θm_c、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、駆動回路43,44にモータ制御信号を出力する。
詳述すると、各マイコン41,42は、それぞれが対応するラックアクチュエータ23及びコラムアクチュエータ24に発生させるべき目標アシスト力に対応した電流指令値I_r*,I_c*を演算する電流指令値演算部51,52と、電流指令値演算部51,52により算出された電流指令値I_r*,I_c*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部53,54とを備えている。
本実施形態では、各電流指令値演算部51,52は、目標アシスト力の基礎的制御成分である基本アシスト制御成分Ias_r*,Ias_c*を演算する基本アシスト制御部55,56と、その補償成分Ic_r*,Ic_c*を演算する補償系制御部57,58とを備えている。各基本アシスト制御部55,56は、操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、基本アシスト制御成分Ias_r*,Ias_c*を演算する。具体的には、各基本アシスト制御部55,56は、検出される操舵トルクτが大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな基本アシスト制御成分Ias_r*,Ias_c*を演算する。一方、各補償系制御部57,58には、操舵トルクτ及び車速Vに加えて、操舵角θs及び操舵速度ωsが入力されるようなっており、各補償系制御部57,58は、これら各状態量に基づき各種補償制御を実行することにより、補償成分Ic_r*,Ic_c*を演算する。そして、各電流指令値演算部51,52は、各基本アシスト制御部55,56において演算された基本アシスト制御成分Ias_r*,Ias_c*に、各補償系制御部57,58において演算された補償成分Ic_r*,Ic_c*を重畳することにより、目標アシスト力としての電流指令値I_r*,I_c*を演算し、各モータ制御信号出力部53,54に出力する。
各モータ制御信号出力部53,54には、各電流指令値演算部51,52が出力する電流指令値I_r*,I_c*とともに、各電流センサ45,46により検出された実電流値I_r,I_c、及び回転角センサ47,48により検出された回転角θm_r,θm_cが入力される。そして、各モータ制御信号出力部53,54は、目標アシスト力に対応する電流指令値I_r*,I_c*に実電流値I_r,I_cを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算し、これを駆動回路43,44に出力する。
具体的には、本実施形態では、各モータ制御信号出力部53,54は、実電流値I_r,I_cとして検出された各モータ21,22の各相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、各電流指令値I_r*,I_c*は、q軸電流指令値として各モータ制御信号出力部53,54に入力され、各モータ制御信号出力部53,54は、回転角センサ47,48により検出された回転角θm_r,θm_cに基づいて各相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部53,54は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより各相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該各相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、ラックECU31及びコラムECU32は、その各マイコン41,42が、そのモータ制御信号出力部53,54において演算されたモータ制御信号を各駆動回路43,44に出力し、各駆動回路43,44が、その当該モータ制御信号に基づく三相の駆動電力を各モータ21,22に供給することにより、対応する各アクチュエータの作動を制御する構成となっている。
さて、上述のように、駆動源として二つのモータを有するEPSにおいては、これら二つのモータ制御の相互干渉、及びそれに伴う操舵フィーリングの悪化を抑制することが重要な課題となる。
この点を踏まえ、本実施形態のEPS1においては、ラックECU31及びコラムECU32は、他方側で行う補償制御と同一の補償制御は行わない。即ち、モータ制御の相互干渉は、その補償制御実行時において顕著となる傾向がある。そこで、本実施形態では、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を行わないことにより、こうした相互干渉の発生を抑制する構成となっている。
詳述すると、本実施形態では、ラックECU31(マイコン41)側の補償系制御部57は、トルク慣性補償制御部61を備える一方、コラムECU32(マイコン42)側の補償系制御部58は、ステアリング戻し補償制御部62、及びダンパ補償制御部63を備えている。
ここで、「トルク慣性償補制御」は、モータやアクチュエータ等、EPSの慣性による影響を補償する制御であり、具体的には、ステアリング操作における「切り始め」時の「引っ掛かり感(追従遅れ)」、及び「切り終わり」時の「流れ感(オーバーシュート)」を抑制する効果がある。また、「ステアリング戻し補償制御」は、ステアリングの中立位置への復帰を円滑なものとするため補償制御であり、「ダンパ補償制御」は、ステアリングのふらつきを抑えるための補償制御である。
そして、本実施形態では、これらの各補償制御を、それぞれ、ラックECU31又はコラムECU32のうち上記のように一方でのみ実行することにより、モータ制御の相互干渉の発生を抑制するようになっている。
さらに詳述すると、本実施形態では、ラックECU31(マイコン41)側の補償系制御部57において、トルク慣性補償制御部61には、操舵トルクτの微分値(操舵トルク微分値dτ)及び車速Vが入力される。そして、トルク慣性補償制御部61は、これら操舵トルク微分値dτ及び車速Vに基づいて、上記トルク慣性補償制御を実行する。
具体的には、図3に示すように、本実施形態のトルク慣性補償制御部61は、操舵トルク微分値dτと基礎補償量εtiとが関連付けられたマップ61aと、車速Vと補間係数αとが関連付けられたマップ61bとを備えている。マップ61aにおいて、基礎補償量εtiは、入力される操舵トルク微分値dτの絶対値が大きいほど、基本アシスト制御部55において演算された基本アシスト制御成分Ias_r*(の絶対値)をより増加させる値となるように設定されている。また、マップ61bにおいて、補間係数αは、低車速領域では車速Vが大きくなるほど大きな値となるように、高車速領域では、車速が大きくなるほど小さな値となるように設定されている。そして、トルク慣性補償制御部61は、これらの各マップ61a,61bを参照することにより求められた基礎補償量εti及び補間係数αを乗ずることによりトルク慣性補償成分Iti*を演算する。
そして、補償系制御部57は、このトルク慣性補償成分Iti*を補償成分Ic_r*として出力する。
一方、図2に示すように、本実施形態では、コラムECU32(マイコン42)側の補償系制御部58において、ステアリング戻し補償制御部62には、操舵角θs及び車速Vが入力され、ダンパ補償制御部63には、操舵速度ωs及び車速Vが入力される。そして、ステアリング戻し補償制御部62は、操舵角θs及び車速Vに基づいて、ステアリング戻し補償を実行し、ダンパ補償制御部63は、操舵速度ωs及び車速Vに基づいて、ダンパ補償制御を実行する。
具体的には、図4に示すように、本実施形態のステアリング戻し補償制御部62は、操舵角θsと基礎補償量εsbとが関連付けられたマップ62aと、車速Vと車速ゲインK1とが関連付けられたマップ62bとを備えている。マップ62aにおいて、基礎補償量εsbは、入力される操舵角θsの絶対値が大きいほど、基本アシスト制御部55において演算された基本アシスト制御成分Ias_c*(の絶対値)をより減少させる値となるように設定されている。尚、本実施形態では、マップ62aにおいて、操舵角θs(の絶対値)の小さいステアリング中立位置付近には不感帯が設定されている。また、マップ62bにおいて、車速ゲインK1は、車速Vが大きくなるほど小さな値となるように設定されている。そして、ステアリング戻し補償制御部62は、これらの各マップ62a,62bを参照することにより求められた基礎補償量εsb及び車速ゲインK1を乗ずることによりステアリング戻し補償成分Isb*を演算する。
また、図5に示すように、本実施形態のダンパ補償制御部63は、操舵速度ωsと基礎補償量εdpとが関連付けられたマップ63aと、車速Vと車速ゲインK2とが関連付けられたマップ63bとを備えている。マップ63aにおいて、基礎補償量εdpは、入力される操舵速度ωsの絶対値が大きいほど、基本アシスト制御部55において演算された基本アシスト制御成分Ias_c*(の絶対値)をより減少させる値となるように設定されている。尚、本実施形態では、マップ63aにおいて、操舵速度ωs(の絶対値)の小さい領域には不感帯が設定されている。また、マップ63bにおいて、車速ゲインK2は、車速Vが大きくなるほど大きな値となるように設定されている。そして、ダンパ補償制御部63は、これらの各マップ63a,63bを参照することにより求められた基礎補償量εdp及び車速ゲインK2を乗ずることによりダンパ補償成分Idp*を演算する。
そして、本実施形態の補償系制御部58は、これらステアリング戻し補償制御部62において演算されたステアリング戻し補償成分Isb*、及びダンパ補償制御部63において演算されたダンパ補償成分Idp*を重畳することにより補償成分Ic_c*を演算する。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)EPS1は、ラックアクチュエータ23の作動を制御するラックECU31と、コラムアクチュエータ24の作動を制御するコラムECU32とを備える。ラックECU31及びコラムECU32(の各マイコン41,42)は、それぞれ、基本アシスト制御成分Ias_r*,Ias_c*に、補償制御により演算された補償成分Ic_r*,Ic_c*を重畳することにより、目標アシスト力としての電流指令値I_r*,I_c*を演算する。そして、ラックECU31及びコラムECU32は、他方側で行う補償制御と同一の補償制御は行わない。
即ち、モータ制御の相互干渉は、その補償制御実行時において顕著となる傾向がある。従って、上記構成のように、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を行わないことで、こうした相互干渉の発生を抑制することができる。その結果、良好な操舵フィーリングを確保することができる。
(2)ラックECU31(マイコン41)は、トルク慣性補償制御を実行し、コラムECU32(マイコン42)は、当該トルク慣性補償制御を実行しない。
即ち、トルク慣性補償制御は、モータやアクチュエータ等、EPSの慣性による影響を補償する制御であり、ステアリング操作における「切り始め」時の「引っ掛かり感(追従遅れ)」、及び「切り終わり」時の「流れ感(オーバーシュート)」を抑制する目的で実行されるものである。従って、より転舵輪12に近いラックアクチュエータ23の制御において行うことが望ましく、これにより、当該トルク慣性補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
(3)コラムECU32は、ステアリング戻し補償制御を実行し、ラックECU31は、当該ステアリング戻し補償制御を実行しない。
即ち、ステアリング戻し補償制御は、ステアリングの中立位置への復帰を円滑なものとするため補償制御である。従って、よりステアリング2に近いコラムアクチュエータ24の制御において行うことが望ましく、これにより、当該ステアリング戻し補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
(4)コラムECU32は、ダンパ補償制御を実行し、ラックECU31は、当該ダンパ補償制御を実行しない。
即ち、ダンパ補償制御は、ステアリング2のふらつきを抑えるための補償制御である。従って、よりステアリング2に近いコラムアクチュエータ24の制御において行うことが望ましく、これにより、当該ダンパ補償制御の効果を低下させることなく、上記の相互干渉の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、EPS1は、ラックアクチュエータ23の作動を制御する第1の制御手段としてのラックECU31、及びコラムアクチュエータ24の作動を制御する第2の制御手段としてのコラムECU32を備えることとした。しかし、これに限らず、ラックアクチュエータ23及びコラムアクチュエータ24を一のECUにより制御する構成に適用してもよい。即ち、第1及び第2の制御手段は、物理的に別体である必要はない。
・本実施形態では、ラックECU31(マイコン41)側の補償系制御部57は、トルク慣性補償制御部61を備える一方、コラムECU32(マイコン42)側の補償系制御部58は、ステアリング戻し補償制御部62、及びダンパ補償制御部63を備えることとした。しかし、これに限らず、ラックECU31側で、ステアリング戻し補償制御やダンパ補償制御を行う構成、或いはコラムECU32側でトルク慣性補償制御を行う構成のものに適用してもよい。即ち、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を行わない構成であればよい。
・また、ラックECU31及びコラムECU32ともに、同一の補償制御演算部を有するものであっても、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を同時に行わなければよい。
・更に、適用される補償制御は、トルク慣性補償、ステアリング戻し補償制御、及びダンパ補償制御に限るものではなく、摩擦補償制御等、その他の各種補償制御についても同様に、他方側で行う補償制御と同一の補償制御を行わないこととしてもよい。
・本実施形態では、本発明を、ステアリングシャフト3にアシスト力を付与する操舵力補助装置として、コラムシャフト8にアシスト力を付与するコラムアクチュエータ24を備えたEPS1に具体化した。しかし、これに限らず、ステアリングシャフト3にアシスト力を付与する操舵力補助装置として、ピニオンシャフトにアシスト力を付与するピニオン型のEPSアクチュエータを備えたもの具体化してもよい。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 トルク慣性補償制御部の制御ブロック図。 ステアリング戻し制御部の制御ブロック図。 ダンパ補償制御部の制御ブロック図。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、5…ラック軸、8…コラムシャフト、10…ピニオンシャフト、12…転舵輪、21,22…モータ、23…ラックアクチュエータ、24…コラムアクチュエータ、31…ラックECU、32…コラムECU、41,42…マイコン、51,52…電流指令値演算部、55,56…基本アシスト制御部、57,58…補償系制御部、61…トルク慣性補償制御部、62…ステアリング戻し補償制御部、63…ダンパ補償制御部、I_r*,I_c*…電流指令値、Ias_r*,Ias_c*…基本アシスト制御成分、Ic_r*,Ic_c*…補償成分、Iti*…トルク慣性補償成分、Isb*…ステアリング戻し補償成分、Idp*…ダンパ補償成分。

Claims (4)

  1. ラック軸にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与すべく設けられた第1の操舵力補助装置と、ステアリングシャフトに前記アシスト力を付与すべく設けられた第2の操舵力補助装置と、対応する前記各操舵力補助装置の駆動源である第1及び第2のモータに対して駆動電力を供給することにより該各操舵力補助装置の作動を制御する第1及び第2の制御手段と、前記第1及び第2のモータに通電される実電流値をそれぞれ検出する第1及び第2の電流センサとを備え、前記第1及び第2の制御手段は、基本アシスト成分に、各種の補償制御により演算された補償成分を重畳することにより、対応する前記各操舵力補助装置に発生させるべき目標アシスト力としての電流指令値を演算して、前記電流指令値に前記実電流値を追従させるべくフィードバック制御をそれぞれ実行する電動パワーステアリング装置であって、
    前記第1及び第2の制御手段は、他方と同一の補償制御を同時に行わないこと、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    第1の操舵力補助装置に対応する第1の制御手段は、前記操舵力補助装置の慣性による影響を補償するためのトルク慣性補償制御を行い、前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、該トルク慣性補償制御を行わないこと、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、ステアリングの中立位置への復帰を円滑なものとするためのステアリング戻し補償制御を行い、前記第1の操舵力補助装置に対応する前記第1の制御手段は、該ステアリング戻し補償制御を行わないこと、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記第2の操舵力補助装置に対応する前記第2の制御手段は、ステアリングのふらつきを抑制するためのダンパ補償制御を行い、前記第1の操舵力補助装置に対応する前記第1の制御手段は、該ダンパ補償制御を行わないこと、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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