JP5126837B2 - 応力発光材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的な外力を加えることによって発光する応力発光材料およびその製造法に関する。
応力発光は、機械的に加えられる外力によって発光材料が光を発する現象である。近年、このような性質を持つ応力発光材料を、構造体の応力異常検出および損傷の検出に用いる応用面の可能性から、応力発光は注目を集めている。たとえば、地震予知、橋およびパイプラインの安全管理、航空機および自動車の損傷の検出、人の疾患の研究など幅広い応用が期待されている。
三原色の光(赤、緑、青)を組み合わせることにより全ての色を表現することが可能となるため、各色に対応する応力発光材料の開発がなされてきている。たとえば、赤色の光を発する応力発光材料として、BaTiO−CaTiO:Prが特許文献1および非特許文献1に開示されており、緑色の光を発する応力発光材料として、SrAl:Euが特許文献2、非特許文献2および3に開示されている。また、青色の光を発する応力発光材料として、CaAlSi:Euが特許文献3に開示されており、CaAlSiO:Ce、およびCaMgSi:Ceなどが特許文献4に開示されている。
特開2006−152089号公報(平成18年6月15日公開) 特開2001−49251号公報(平成13年2月20日公開) 特開2006−312718号公報(平成18年11月16日公開) 特開2001−64638号公報(平成13年3月13日公開) X. Wang, C.N. Xu, H. Yamada, K. Nishikubo, X.G. Zheng, Adv. Mater. 17, 1254 (2005) C.N. Xu, H. Yamada, X. Wang, X.G. Zheng, Appl. Phys. Lett. 84, 3040 (2004) Y. Liu, C.N. Xu, J Phys. Chem. B 107, 3391 (2003)
ところで、これまでに開示されている応力発光材料は、実用に供するにはまだその発光強度が十分ではなく、青色の発光が生じる新たな応力発光材料およびその製造方法の開発が強く要求されている。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光強度が強い応力発光材料およびその製造方法を提供することにある。
本発明に係る応力発光材料は、上記の問題を解決するために、一般式CaMAlで表される正方相構造の酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含み、上記酸化物の原料から形成される不純物相をさらに含んでいることを特徴とする。
また、本発明に係る応力発光材料の製造方法は、上記の問題を解決するために、一般式CaMAlで表される酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含む応力発光材料の製造方法であって、上記酸化物の原料とEu2+の原料とを混合することで調製される混合物を、酸化雰囲気下で仮焼成し、仮焼成の後に、還元雰囲気下で仮焼成時の温度以上かつ1400℃以下の温度で本焼成することを特徴とする。
本発明に係る応力発光材料は、以上のように、CaMAl(Mは、Y、LaまたはGdを表す)の原料から形成される不純物相をさらに含んでいる。それにより応力発光強度が強く、安定な応力発光材料を提供することができる。
〔応力発光材料〕
本発明に係る応力発光材料の一実施形態について以下に説明する。
本発明に係る応力発光材料は、一般式CaMAlで表される正方相構造の酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含み、上記酸化物の原料から形成される不純物相をさらに含んでいる。
本発明に係る応力発光材料は、一般式CaMAlで表される正方相構造の酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)(以下、単に「上記一般式で表される酸化物」ともいう)を母体材料として含んでいる。この母体材料を用いた場合には、他の物質を用いる場合に比べて、発光強度が強くなる。
本発明に係る応力発光材料は、結晶構造においてMで表される原子が欠損している格子欠陥構造(以下、単に「Mサイト格子欠陥構造」ともいう)である上記酸化物の結晶をさらに含むことが好ましい。本明細書において、「Mサイト格子欠陥構造」とは、M(Y、LaまたはGd)が本来存在する位置に、Mが存在していない格子構造を表す。母体材料の構造において、M四面体構造のMサイトに適切に欠陥が形成されると構造がフレキシブルとなる。これにより応力を加えたときに構造が変形しやすくなり、Eu2+周囲の結晶場は変わりやすくなる。そのため、応力発光効率を向上させることができる。したがって、Mサイト格子欠陥をもつ酸化物を用いた場合には、発光強度がさらに強くなる。
本発明に係る応力発光材料は、発光中心としてEu2+を含んでいる。発光中心であるEu2+は、機械的エネルギーによって励起された電子が基底状態に戻るときに、440nm付近の青色の光を発する。
Eu2+は、上記一般式で表される酸化物100モルに対し、0.01モル以上20モル以下の範囲内であることが好ましく、0.05モル以上10モル以下の範囲内であることがより好ましく、0.1モル以上5モル以下の範囲内でることがさらに好ましい。Eu2+の含有量が0.01モル以上であれば、強い発光強度を得ることが可能である。Euの量が増大すると、発光するEu2+イオンの量が増大し、発光強度が上昇する。20モル以下であれば、Mサイトに入るEu3+イオンの量を抑えることができ、Mサイトの欠陥が保持され、高い応力発光効率を維持できる。
本発明に係る応力発光材料は、上記一般式で表される酸化物の原料から形成される不純物相をさらに含んでいる。本明細書において「酸化物の原料」および「上記一般式で表される酸化物」とは、本応力発光材料を製造する際に用いられる金属供給原料、すなわちカルシウム供給原料、アルミニウム供給原料、およびイットリウム供給原料またはランタン供給原料またはガドリニウム供給原料のことをいう。カルシウム供給原料としては、たとえば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウムもしくはシュウ酸カルシウムなど焼成により酸化カルシウムになり得る化合物、または酸化カルシウムが挙げられる。また、アルミニウムの供給原料としては、たとえば、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウムもしくはハロゲン化アルミニウムなどの焼成により酸化アルミニウムになり得る化合物、アルミニウムアルコキシド、または酸化アルミニウムが挙げられる。また、イットリウムの供給原料としては、たとえば、水酸化イットリウム、炭酸イットリウム、硝酸イットリウム、ハロゲン化イットリウムもしくはシュウ酸イットリウムなど焼成により酸化イットリウムになり得る化合物、または酸化イットリウムが挙げられる。また、ランタンの供給原料としては、たとえば、水酸化ランタン、炭酸ランタン、硝酸ランタン、ハロゲン化ランタンもしくはシュウ酸ランタンなど焼成により酸化ランタンになり得る化合物、または酸化ランタンが挙げられる。また、ガドリニウムの供給原料としては、たとえば、水酸化ガドリニウム、炭酸ガドリニウム、硝酸ガドリニウムもしくはハロゲン化ガドリニウムなど焼成により酸化ガドリニウムになり得る化合物、または酸化ガドリニウムが挙げられる。
本明細書において「酸化物の原料から形成される不純物相」および「上記一般式で表される酸化物の原料から形成される不純物相」とは、上記金属供給原料の混合物を焼成したときに形成され得る上記一般式で表される酸化物以外の化合物、または上記金属供給原料そのものの相をいう。金属供給原料の混合物を焼成したときに形成され得る上記一般式で表される酸化物以外の化合物としては、一般式中MがYの場合には、たとえば、Y、YAlおよびYAl12が挙げられる。
不純物相の含有量としては、上記不純物相を形成する物質が上記一般式で表される酸化物100モルに対し0.1モル以上80モル以下であることが好ましく、0.1モル以上30モル以下であることがより好ましく、1モル以上20モル以下であることがさらに好ましい。0.1モル以上であればMサイト格子欠陥構造を効果的に形成することができる。また、80モル以下であれば母体材料の構造を適切に保持できる。
、YAl12およびYAlは、析出して母体材料に密着している。またこれらの化合物を含む不純物相は機械的に硬い。またこれらの粒子は母体構造に均一に析出される。そのため、応力を加えたときに、局部の応力集中を起こさせ、応力発光の効率が向上する。
なお、発光材料中の不純物相は、X線回折により測定することができる。
〔応力発光材料の製造方法〕
本発明に係る応力発光材料の製造方法(以下、単に「本発明に係る製造方法」ともいう)の一実施形態について以下に説明する。
本発明に係る応力発光材料の製造方法は、一般式CaMAlで表される酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含む応力発光材料の製造方法であって、上記酸化物の原料とEu2+の原料とを混合することで調製される混合物を、酸化雰囲気下で仮焼成し、仮焼成の後に、還元雰囲気下で仮焼成時の温度以上かつ1400℃以下の温度で本焼成する。
本発明に係る製造方法にて用いる上記一般式で表される酸化物の原料のうち、カルシウムの供給原料としては、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、ハロゲン化カルシウムもしくはシュウ酸カルシウムなど焼成により酸化カルシウムになり得る化合物、または酸化カルシウムを用いることできる。中でも炭酸カルシウム(CaCO)が好ましい。
また、イットリウムの供給原料としては、水酸化イットリウム、炭酸イットリウム、硝酸イットリウム、ハロゲン化イットリウムもしくはシュウ酸イットリウムなど焼成により酸化イットリウムになり得る化合物、または酸化イットリウムを用いることができ、中でも酸化イットリウム(Y)が好ましい。
また、アルミニウムの供給原料としては、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウムもしくはハロゲン化アルミニウムなどの焼成により酸化アルミニウムになり得る化合物、アルミニウムアルコキシド、または酸化アルミニウム、を用いることができ、中でも酸化アルミニウム(Al)が好ましい。
また、ランタンの供給原料としては、水酸化ランタン、炭酸ランタン、硝酸ランタン、ハロゲン化ランタンもしくはシュウ酸ランタンなどの焼成により酸化ランタンになり得る化合物、または酸化ランタン、を用いることができ、中でも酸化ランタン(La)が好ましい。
また、ガドリニウムの供給原料としては、たとえば、水酸化ガドリニウム、炭酸ガドリニウム、硝酸ガドリニウムもしくはハロゲン化ガドリニウムなど焼成により酸化ガドリニウムになり得る化合物、または酸化ガドリニウム、用いることができ、中でも酸化ガドリニウム(Gd)が好ましい。
本発明に係る製造方法にて用いるEu2+の原料としては、水酸化ユーロピウム、炭酸ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、ハロゲン化ユーロピウムもしくはシュウ酸ユーロピウムなど焼成により酸化ユーロピウムになり得る化合物、または酸化ユーロピウムを用いることができ、中でも酸化ユーロピウム(Eu)が好ましい。
Eu2+の原料の添加量は、上記一般式で表される酸化物の原料の混合物100モルに対して、0.01モル以上20モル以下であることが好ましく、0.05モル以上10モル以下であることがより好ましく、0.1モル以上5モル以下であることがさらに好ましい。0.01モル以上であれば、強い発光強度を有する応力発光材料を製造することができ、20モル以下であれば、Mサイトに入るEu3+イオンの量が抑えられ、Mサイトの欠陥が保持されている応力発光材料を製造できる。それにより高い応力発光効率が維持される応力発光材料を提供できる。
上記金属供給原料とEu2+の原料との混合には、従来公知の手法によりおこなうことができ、たとえば、ボール・ミル、および自動乳鉢を用いることができる。
また、上記混合物を調製する際に、アセトン、エタノールおよび蒸留水などを添加することが好ましく、エタノールを用いることがより好ましい。エタノールは毒性がなく、反応せず均一に混合することができる。
仮焼成の温度は、500℃以上1200℃以下であることが好ましく、600℃以上1000℃以下であることがより好ましく、700℃以上900℃以下であることがさらに好ましい。また、仮焼成は、30分から4時間おこなうことが好ましい。
仮焼成時の酸化雰囲気としては、空気、酸素を挙げることができ、中でも空気が好ましい。
仮焼成を適切におこなうことにより、新鮮な酸化物微粒子表面が形成され、本焼成過程において固相反応が進みやすくなる。したがって、母体構造を持つ発光材料の合成に有利である。また、混合時に混入した有機溶媒および水を除去することができる。本焼成は還元雰囲気中でおこなうため、炭素が残存すると、発光材料が黒くなり発光効率が低下する。したがって、仮焼成において有機溶媒を除去することにより、応力発光材料の発光効率を向上させることができる。
本焼成の温度は、仮焼成の温度以上、1400℃以下であればよいが、1200℃以上1400℃以下であることが好ましく、1250℃以上1350℃以下であることがより好ましい。仮焼成の温度以上とすることにより、Eu2+に還元することに有利であり、1400℃以下とすることにより、Eu3+の形成を抑えEu2+の含有量を増加させることができる。それにより、青色の発光強度が強い応力発光材料を製造することができる。また、1400℃以下とすることにより、応力発光材料中に上記一般式で表される酸化物の原料から形成される不純物相が好適に形成される。それにより発光強度が強い応力発光材料を提供できる。また、本焼成は、60分から30時間おこなうことが好ましい。
本焼成時の還元雰囲気としては、水素、または1体積%〜10体積%の水素を含有する窒素、ヘリウム、アルゴンもしくはネオンなどの不活性ガスを挙げることができる。中でも5体積%の水素を含有するアルゴンが好ましい。
以上の条件以外の点については、仮焼成および本焼成は従来公知の手法によりおこなえばよい。
製造される応力発光材料の所望する物性を損なわない範囲において、反応を促進するためにフラックス剤を添加することができる。フラックス剤としては、ホウ酸、およびフッ化アルミニウムなどが挙げられる。この場合には、上記一般式で表される酸化物の原料とEu2+の原料との混合物において、フラックス剤の含有量は、50モル%以下であり、好ましくは30モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔実施例1〕
49.54gのCaCO(純度99.9%)、56.45gのY(純度99.9%)、76.47gのAl(純度99.9%)、および0.879gのEu(純度99.9%)を、エタノールを添加しながら混合した。この混合物を1時間混合して得た均一な粉末状の混合物を、空気中、800℃の条件で2時間仮焼成した。仮焼成の後に、水素を含むアルゴン(Ar/H:95%/5%)中、1200℃、1300℃、または1400℃の条件で4時間焼成して、応力発光材料を得た。以下、1200℃、1300℃、および1400℃で焼成して得た応力発光材料を、それぞれCYAE−1200、CYAE−1300、およびCYAE−1400という。なお、ユーロピウムの濃度は全てのサンプルにおいて1モル%である。
また、本焼成の温度条件を1500℃にした以外は同様の条件下で、サンプル(CYAE−1500)を比較例として調製した。
得られたサンプルの相純度および結晶構造は、X線回折計(RINT−2000;リガク社)により決定した。
応力発光は、C.N. Xu, in Encyclopedia of smart materials, Vol.1 (Ed: M. Schwartz), Wiley, New York pp190 (2002)、に記載のシステムを用いて測定した。このシステムは、万能試験機(RTC−1310A;オリエンテック社)、ならびに、光電子増倍管(R585S;浜松ホトニクス社)およびフォトン計数器(C5410−51;浜松ホトニクス社)からなるフォトン計数システムを備えている。
応力発光スペクトルは、フォトン多チャンネル分析装置システム(PMA100;浜松ホトニクス社)を用いて測定した。
応力発光の測定に用いるサンプルは、粉末状のサンプルを光学エポキシ樹脂に混合し、直径25mm、厚さ15mmのディスク状のペレットとして調製した。
室温での光ルミネセンス(photoluminescence、適宜「PL」という)の測定には、150Wのキセノンランプを備えた分光蛍光光度計(FP6600;ジャスコ社)を用いた。
図1は、CYAE−1200、1300、1400および1500のX線回折(X-ray diffraction、以下適宜「XRD」という)のパターンを示す図である。図1に示すように、CYAE−1200、1300、1400および1500の全てにおいて、CaYAl相が形成されている。CYAE−1200では、CaYAlの製造原料であるYおよびCaYAlの製造原料から形成される中間体であるYAlなどの不純物が優先的に存在している。焼成温度が上昇すると、不純物相の割合が減少し、CaYAl相の割合が上昇した。XRDパターンから、CYAE−1300およびCYAE−1400ではCaYAlが主として含まれており、不純物としてYAlが含まれている。焼成温度を1500℃にして製造した場合には、純粋なCaYAlが形成された。このサンプルは、正方晶構造を示した(JCPDS77−1120、スペースグループP42m、a=7.676Å、c=5.040Å、V=321.93Å)。
図2(a)は、各サンプルを326nmの光で励起したときのPLのスペクトルを示した図であり、図2(b)は、各サンプルを256nmの光で励起したときのPLのスペクトルを示した図である。図2(a)に示すように、いずれのサンプルにおいても、440nmに幅の広いバンドピークが検出された。これは、CaAl:Euにみられる発光と類似したものである。XRDパターンから、CYAE−1300は主としてCaYAlを含んでおり、また不純物としてYAlを含んでいるものの、CaAlの不純物相は含まれていなかった。さらにCYAE−1300は、440nmの強い青色発光を示した。この青色発光は、CaYAl:Eu2+の発光によるものであり、Eu2+の、7/2(4f)基底状態と4f5d遷移状態との間の遷移によるものである。
焼成温度を高くすると、この青色発光強度は強くなり、焼成温度が1300℃のときに最も強くなる。しかし焼成温度がさらに高くなるとPL強度は低下し、焼成温度を1500℃にして調製したCYAE−1500のPL強度は、CYAE−1300のPL強度の10%程度である。
図3は、CYAE−1300ペレットの応力活性化による応力発光スペクトルを示す図である。測定範囲は300−670nmの範囲である。図3に示すように、応力発光スペクトルでは、440nm付近にピークがあるバンドが検出される。これは、Eu2+イオンのPLスペクトルと同様のバンドである。550nmから730nmの間にピークをもつEu3+に由来する発光は検出されなかった。また、CaAl:Euについて応力発光を測定したが、CaAl:Euは全く応力発光を生じなかった(図示せず)。
図4は、応力発光材料製造時の焼成温度と、応力発光強度またはPL強度との関係を示す図である。図4に示すように、焼成温度が1300℃のときに応力発光の強度が最大となる。一方、焼成温度を1500℃としたときに得られる発光材料(CYAE−1500)の応力発光強度は、焼成温度を1300℃としたときに得られる発光材料(CYAE−1300)の応力発光強度の10%程度である。したがって、高い応力発光強度を有する発光材料を得るためには、温度を厳密にコントロールする必要がある。
図5は、CYAE−1300の応力発光強度と、圧縮荷重との関係を示す図である。図5に示すように、圧縮荷重と応力発光強度とは、正比例の関係にあることが分かる。つまり、発光強度は応力に依存し、圧縮荷重が増加するにつれて応力発光強度も増加した。CYAE−1300を圧縮したときに生じる青色発光は、肉眼でも観察できる。
応力発光の明るさの変化は、応力分布に対応している。したがって、ある対象物の表面をCYAE−1300でコートすると、CYAE−1300層が覆っている対象物の応力の分布を、応力発光の明るさに反映させることができ、肉眼で直接観察することができる。換言すれば、本発明に係る応力発光材料を用いることにより、対象物における応力分布および損傷の分布を可視化することができる。
〔実施例2〕
以下に、本発明の応力発光材料および比較例の応力発光材料を用いて、発光強度を測定した結果について説明する。
実施例1において調製したCYAE−1300の発光強度を表1に示す。
(CaGdAl:Eu2+
CaCO(純度99.9%)、Gd(純度99.9%)、Al(純度99.9%)、およびEu(純度99.9%)を用いて、実施例1と同様の方法によりCaGdAl:Eu2+を調製した。焼成温度を1300℃および1500℃として調製した応力発光材料を、それぞれ、CGAE−1300およびCGAE−1500とした。CGAE−1300およびCGAE−1500の発光強度を表1に示す。
(CaLaAl:Eu2+
CaCO(純度99.9%)、La(純度99.9%)、Al(純度99.9%)、およびEu(純度99.9%)を用いて、実施例1と同様の方法によりCaLaAl:Eu2+を調製した。焼成温度を1300℃として調製した応力発光材料を、CLAE−1300とした。CLAE−1300の発光強度を表1に示す。
(比較例1:CaYAl:Ce3+
CaCO(純度99.9%)、Y(純度99.9%)、Al(純度99.9%)、およびCe(NO(純度99.9%)を用いて、実施例1と同様の方法によりCaYAl:Ce3+を調製した。焼成温度を1300℃として調製した応力発光材料を、CYAC−1300とした。CYAC−1300の発光強度を表1に示す。
(比較例2:CaAlSiO:Ce3+
CaCO(純度99.9%)、SiO(純度99.9%)、Al(純度99.9%)、およびCe(NO(純度99.9%)を用いて、実施例1と同様の方法によりCaAlSiO:Ce3+を調製した。CaAlSiO:Ce3+の発光強度を表1に示す。
Figure 0005126837
表1に示すように、焼成温度を1300℃として調製した本発明の応力発光材料は、焼成温度を1500℃として調製した応力発光材料、または発光中心としてセリウムイオンを含む応力発光材料もしくは上記特許文献4に開示されている応力発光材料(CaAlSiO:Ce3+)と比較して、はるかに強い発光強度を示した。
本発明に係る応力発光材料は、機械的な外力により発光するので、機械的外力を光に変換する光素子として利用することができる。また、機械的外力の検出を必要とする産業において利用することができる。また、青色の光を利用する光反応の光源、ユビキタス光源として利用できる。
本発明に係る応力発光材料および比較例のX線回折のパターンを示す図である。 (a)は、本発明に係る応力発光材料および比較例を326nmの光で励起したときの光ルミネッセンスのスペクトルを示した図であり、(b)は、本発明に係る応力発光材料および比較例を256nmの光で励起したときの光ルミネッセンスのスペクトルを示した図であり 本発明に係る応力発光材料の応力発光スペクトルを示す図である。 本発明に係る応力発光材料および比較例の焼成温度と、応力発光強度または光ルミネッセンス強度との関係を示す図である。 本発明に係る応力発光材料の応力発光強度と、圧縮荷重との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 一般式CaMAlで表される正方相構造の酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含み、
    上記酸化物の原料から形成される不純物相をさらに含んでいることを特徴とする応力発光材料。
  2. 上記Mで表される原子が欠損している格子欠陥構造である上記酸化物の結晶をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の応力発光材料。
  3. 上記Eu2+は、上記酸化物100モルに対し0.01モル以上20モル以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の応力発光材料。
  4. 上記不純物相を形成する物質が、上記酸化物100モルに対し0.1モル以上80モル以下であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の応力発光材料。
  5. 上記酸化物はCaYAlであり、上記不純物相は、Y、YAl12およびYAlの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の応力発光材料。
  6. 一般式CaMAlで表される酸化物(Mは、Y、LaまたはGdを表す)と、Eu2+とを含む応力発光材料の製造方法であって、
    上記酸化物の原料とEu2+の原料とを混合することで調製される混合物を、酸化雰囲気下で仮焼成し、
    仮焼成の後に、還元雰囲気下で仮焼成時の温度以上かつ1400℃以下の温度で本焼成する
    ことを特徴とする応力発光材料の製造方法。
  7. 上記混合物における上記Eu2+の原料の含有量が、上記酸化物の原料100モルに対し0.01モル以上20モル以下であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
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