JP5113112B2 - 化繊複合糸条及び織編物 - Google Patents
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本欠点を克服するための方法として、特許文献1では、中空率が15〜30%の中空の単糸で構成された伸度80〜150%を有するシックアンドシン構造のポリエステル繊維マルチフィラメントを鞘糸成分とし、セルロース繊維マルチフィラメントを芯糸成分として形成し、仮撚加工した複合加工糸が開示されている。該複合加工糸は特定の中空ポリエステル繊維が被覆層を形成する構造となることにより、抗ピリング性やスナッキング性を向上させ、清涼感のある布帛を得ているものである。
しかしながら、このような複合加工糸ではセルロース繊維とポリエステル繊維の二層構造となるため、曲げ剛性が高く、張り腰感のある複合糸を得ることは困難である。
即ち、本発明は下記の通りである。
1.無機顔料1.0〜4.0wt%を含有するセルロース繊維マルチフィラメントと中空率15〜45%の中空単糸であるポリエステル繊維マルチフィラメントが混繊されてなり、セルロース繊維マルチフィラメントの混率が30〜75wt%であることを特徴とする化繊複合糸条。
2.無機顔料がカーボンブラックであることを特徴とする上記1記載の化繊複合糸条。
3.上記1または2記載の化繊複合糸が少なくとも一部に配置されたことを特徴とする織編物。
本発明の化繊複合糸条は特定のセルロース繊維マルチフィラメントとポリエステル繊維マルチフィラメントが混繊されてなる。
本発明において、セルロース繊維マルチフィラメントとしてはビスコース法レーヨン、ポリノジックレーヨン、精製セルロース繊維、銅アンモニア法レーヨンなどのマルチフィラメントが挙げられる。
該セルロース繊維マルチフィラメントの単糸繊度は0.1〜5.6dtexであることが好ましく、より好ましくは2.8dtex以下、さらに好ましくは1.4dtex以下である。セルロース繊維マルチフィラメントの単糸繊度が5.6dtexを超えると肌触りが悪くなる。該ポリエステル繊維マルチフィラメントの単糸繊度は0.1〜5.6dtexであることが好ましく、より好ましくは2.2dtex以下、さらに好ましくは1.4dtex以下である。5.6dtexを超えると手触りおよび肌触りが悪くなり好ましくない。
本発明の織編物としては、該化繊複合糸条が少なくとも一部に用いられていれば良く、例えば、更に、他の繊維素材を共に用いて交編織された織編物織物も包含される。本発明の織編物は、肌に直接触れる衣料用途に好適に提供されるものであり、例えば、衣料、寝具、タオル、ハンカチ類などの肌に直接触れる用途に好適に用いることができる。衣料としては、例えば、アウター衣料、インナー衣料、パジャマ類、靴下類等が挙げられる。
また、編物または織物を染色加工するに当たり、通常、染色前に実施される精練、晒・漂白、セルロース系繊維の染色性改善のためのアルカリ処理や、ポリエステル系繊維で実施されるアルカリ減量などの前処理を施してもよい。
(1)曲げ剛性
カトーテック社製のKES FB−2を使用して、曲げ剛性を測定する。具体的な測定方法としては、測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間調湿した後、20cm×20cmにサンプリングしたものを用いて、測定した。
無機顔料を含有するセルロース繊維マルチフィラメントとして、カーボンブラック2.5wtを含有する84dtex45フィラメントのキュプラブライト糸[旭化成せんい社製、ベンベルグ(登録商標)]を用い、中空断面を有する単糸からなるポリエステル繊維マルチフィラメントとしてメガネ型中空(中空率27%)断面を有する単糸からなる72dtex24フィラメントのW型断面ポリエステルフルダル糸[旭化成せんい社製、ツインエアー(登録商標)]を用い、両フィラメント糸を下記条件でインターレース交絡させてセルロース繊維混率54%の複合糸条を得た。
インターレースインターレースノズル:京セラ KC−AJI−L(1.5mm径、推進型)、
フィード率:両フィラメントとも1.5%オーバーフィード、
エアー圧:1.5×105Pa、加工速度:300m/分
該糸を用いて、20ゲージ、ダブル丸編機にて、フライス組織を編成した。
該編地を液流染色機にて精練剤と過酸化水素で80〜90℃×30分間下晒後、PH調整、水洗し、乾燥した後、170℃×1分の熱セットを行い、実施例1の布帛を得た。
セルロース繊維マルチフィラメントとして、カーボンブラックを含有しない84dtex45フィラメントのキュプラブライト糸を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の布帛を得た。
芯糸に無機顔料を含有しない84dtex45フィラメントのキュプラマルチフィラメント糸[旭化成せんい社製、ベンベルグ(登録商標)]を使用し、鞘糸に伸度120%、沸水収縮率73%のPOY三角断面中空(中空率:22%)糸66dtex12フィラメントを80℃のホットピンを通して、延伸倍率1.3倍に延伸した後、130℃の中空ヒーター中で1.3倍で熱弛緩処理を行うことによって調製した高伸度シックアンドシンポリエステルマルチフィラメント糸を用いた。
芯糸と前記のシックアンドシン糸を混繊した後、ヒーター温度150℃、撚数2450T/M、フィード率0%で仮撚加工を行った。得られた混繊仮撚糸は芯糸の周りにシックアンドシン糸が極めて強調されて被覆層構造を形成した複合構造仮撚加工糸であった。
該加工糸を用いて、20ゲージ、ダブル丸編機にて、フライス組織を編成した。該編地を液流染色機にて精練剤と過酸化水素で80〜90℃×30分間下晒後、PH調整、水洗し、乾燥した後、170℃×1分の熱セットを行い、比較例2の布帛を得た。
以上の実施例及び比較例について、評価結果等をまとめて表に示す。
実施例の複合糸条は曲げ剛性が高く、ハンドリング評価において張り腰感があるという特徴を有する。これに対して、比較例1、2の複合糸条は曲げ剛性が低く、ハンドリング評価において張り腰感が不足する。
Claims (3)
- 無機顔料1.0〜4.0wt%を含有するセルロース繊維マルチフィラメントと中空率15〜45%の中空単糸であるポリエステル繊維マルチフィラメントが混繊されてなり、セルロース繊維マルチフィラメントの混率が30〜75wt%であることを特徴とする化繊複合糸条。
- 無機顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1記載の化繊複合糸条。
- 請求項1または2記載の化繊複合糸が少なくとも一部に配置されたことを特徴とする織編物。
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