JP5108520B2 - 窒素酸化物精製方法および窒素酸化物精製装置 - Google Patents

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Description

本発明は、窒素酸化物である一酸化窒素や、二酸化窒素、亜酸化窒素を精製するための方法および装置に関する。
窒素元素のとり得る原子価は1価から5価までと広く、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)など窒素酸化物(常温・常圧では通常は気体)の種類は多い。また、窒素酸化物どうしの反応により、新たな窒素酸化物が容易に生成する場合がある。そのため、窒素酸化物を含む系は、存在する窒素酸化物の種類や量について複雑になりやすい。例えば、一般的な工業的NO製造方法であるアンモニア酸化法によりNOを製造する場合、目的とするNOに加え、N2O,NO2,N2が副生し、これらは不純物としてNOガスに混入してしまう。
窒素酸化物を高純度化ないし精製するための手法としては、蒸留が採用される場合がある。しかしながら、N2OとNOの沸点が相当程度に低温であることなどから(N2Oの沸点−89℃,NOの沸点−152℃)、窒素酸化物の蒸留では、多くの場合、極低温でのプロセスを実行しなければならない。窒素酸化物はいわゆる吸熱化合物であるので、そのような極低温プロセスでは、条件によっては、凝縮した窒素酸化物が衝撃を受けて爆発に至ることが知られており、安全面で問題がある。特に、液化NOが爆発に至る衝撃感度はニトログリセリンのそれに匹敵するので、蒸留によるNOの精製は安全面での問題が大きい。
一方、窒素酸化物の精製方法としては、ゼオライトなどの吸着剤が充填されたカラムに所定条件で窒素酸化物の粗ガス(原料ガス)を通流する手法が知られている。この手法によると、原料ガス中の所定成分が、吸着剤に吸着され、非吸着成分と分離される。ゼオライト吸着剤を用いたN2OとNOの分離技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。しかしながら、ゼオライト吸着剤を用いた分離技術では、目的とする窒素酸化物を精製するにあたり、原料ガス中の窒素酸化物種が多いほど、必要とされるゼオライト吸着剤の種類は多くなり且つカラムの本数も増大する傾向にあるので、精製過程が煩雑となる。このような手法では、窒素酸化物(精製前には多成分系で存在する場合が多い)を効率よく精製することができない場合が多い。
特開2004−10391号公報
本発明の目的は、安全性が高く且つ効率よく窒素酸化物を精製するのに適した窒素酸化物精製方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安全性が高く且つ効率よく窒素酸化物を精製するのに適した窒素酸化物精製装置を提供することにある。
本発明の第1の側面によると窒素酸化物精製方法が提供される。この方法は、一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2)を含む原料ガスを降温および/または昇圧させて凝縮三酸化二窒素(凝縮N23)および/または凝縮四酸化二窒素(凝縮N24)を生じさせるための凝縮分離工程を含む。凝縮N23とは、液化または固化したN23であり、凝縮N24とは、液化または固化したN24である。凝縮N2 3 および凝縮N24は、衝撃を受けても爆発には至らない。
気体状態においては、下記式(1)で表されるように、NOおよびNO2はN23と平衡状態に至り、且つ、下記式(2)で表されるように、NO2はN24と平衡状態に至る。これら平衡状態は速やかに達成される。NOとNO2からN23を生ずる反応は発熱反応であり且つ分子数が減少する反応であるので、冷却や加圧により、式(1)の平衡は右側にずれる。NO2からN24を生ずる反応も発熱反応であり且つ分子数が減少する反応であるので、冷却や加圧により、式(2)の平衡も右側にずれる。
Figure 0005108520
一方、各種窒素酸化物の融点および沸点を下記表1にまとめる。N23は、沸点以上では殆どが分解してNOとNO2となる。また、NO2とN24は、常圧において広い温度範囲で平衡状態にあり、当該平衡系におけるNO2の存在率は、N24の融点(−9℃)で約0.01%、N24の沸点(21℃)で約0.1%、100℃で約90%、140℃以上で略100%である。
Figure 0005108520
上述の第1の側面の窒素酸化物精製方法では、凝縮分離工程に付される前の原料ガスには、NOと、NO2と、これらと平衡状態にあるN23とN24とが、気体の状態で含まれている。そして、凝縮分離工程では、このような原料ガス中のN23およびN24が凝縮して気相から除かれる条件となるように、当該原料ガスが降温および/または昇圧される。N23とN24が凝縮して気相から除かれると、当該気相では、存在する場合にはNOとNO2から、式(1)および式(2)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23およびN24が生じ、生じたN23およびN24は直ちに凝縮して気相から除かれることとなる。
したがって、原料ガスにおいてNOがNO2より多く含まれている場合には、原料ガス中のNO2が充分に除去されるまで上述の凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のNOを高純度化することが可能である。また、原料ガスにおいてNO2がNOより多く含まれている場合には、原料ガス中のNOが充分に除去されるまで上述の凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のNO2を高純度化することが可能である。このような第1の側面の方法によると、NOおよびNO2を含み従ってN23とN24も含む、窒素酸化物多成分系の原料ガスから、単一のプロセス(凝縮分離工程)にてNOまたはNO2を効率よく精製することができる。加えて、第1の側面の方法では、NOまたはNO2を高純度化するにあたり、NOを凝縮ないし液化する必要はないので(即ち、NOの沸点−152℃以下の極低温プロセスを経る必要はないので)、安全性高くNOまたはNO2を精製することができる。
一方、第1の側面において原料ガスにN2Oが含まれている場合、原料ガス中のNOおよび/またはNO2が充分に除去されるまで上述の凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のN2Oを高純度化することが可能である。原料ガスにN2Oが含まれている場合には、好ましくは、原料ガスにおけるNOおよびNO2の濃度を調整するための濃度調整工程を、凝縮分離工程の前に行う。濃度調整工程にて原料ガス中のNOおよびNO2の濃度を適切に設定することにより、凝縮分離工程にて、原料ガス中のNOおよびNO2を共に充分に除去することが可能である。好ましくは、濃度調整工程で達成される、NO濃度とNO2濃度の比率は、モル比でNO2/NO≧1である。このように、第1の側面の方法によると、原料ガスがNOおよびNO2を含み従ってN23とN24も含み、更にN2Oを含む場合において、当該窒素酸化物多成分系の原料ガスから、単一のプロセス(凝縮分離工程)にてN2Oを効率よく精製することができる。加えて、第1の側面の方法では、原料ガス中にN2Oを含む場合にN2Oを高純度化するにあたり、N2O自体を凝縮ないし液化する必要はないので(即ち、N2Oの沸点−89℃以下の極低温プロセスを経る必要はないので)、安全性高くN2Oを精製することができる。
以上のように、本発明の第1の側面に係る窒素酸化物精製方法は、安全性が高く、且つ、効率よく窒素酸化物(NO、NO2、またはN2O)を精製するのに適しているのである。
本発明の第2の側面によると第1の側面とは別の窒素酸化物精製方法が提供される。この方法は、吸収工程と、再気化工程と、凝縮分離工程とを含む。吸収工程では、NOを含む原料ガスに、液化N24を含む吸収液を作用させて、NOを当該吸収液に吸収させる(第1の吸収工程)。再気化工程では、吸収工程の後に吸収液を昇温および/または降圧させて、相対的に多いNOおよび相対的に少ないNO2を含む中間ガスを当該吸収液から発生させる。凝縮分離工程では、中間ガスを降温および/または昇圧させて凝縮N23および/または凝縮N24を生じさせる。
NOは、液化N24とは下記の式(3)の可逆反応に従ってN23を生成し、所定温度以下では、生成したN23は液化N24に吸収される。第2の側面における吸収工程では、このような特性を利用して、NOを含む原料ガスに、液化N24を含む吸収液を作用させて、実質的にNOを当該吸収液に吸収させるのである。原料ガスにNO2が含まれている場合、吸収工程では、このNO2は、液化N24を含む吸収液に液化N24として吸収される。また、原料ガスに例えばN2やCO2が含まれている場合、吸収工程では、これらN2やCO2は、液化N24を含む吸収液に実質的には吸収されずにNOから分離される。
Figure 0005108520
再気化工程では、N23が吸収されている吸収液を昇温および/または降圧させ、これにより吸収液中のN23の気化が促進される。気化したN23の殆どは直ちにNOおよびNO2に分解し、こうして生じたNOおよびNO2から、上記の式(1)および式(2)に従ってNO,NO2,N23,N24間で平衡状態に至った中間ガスが発生することとなる。また、この中間ガスは、等量のNOおよびNO2から式(1),(2)に従ってNO,NO2,N23,N24間の平衡状態に至ったものであるため、NO2より多くのNOを含むこととなる。
凝縮分離工程では、このような中間ガス中のN23およびN24が凝縮して気相から除かれる条件となるように、当該中間ガスが降温および/または昇圧される。N23とN24が凝縮して気相から除かれると、当該気相では、残存するNOとNO2から式(1)および式(2)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23およびN24が生じ、生じたN23およびN24は直ちに凝縮して気相から除かれることとなる。したがって、中間ガス中のNO2が充分に除去されるまで当該凝縮分離工程を継続することにより、中間ガス中のNOを高純度化することが可能である。
このように、第2の側面の方法によると、原料ガスがNO,NO2,N2,CO2を含む多成分系ガスの場合であっても、最終的には凝縮分離工程にてNOを分離して、当該原料ガスからNOを効率よく精製することができる。加えて、第2の側面の方法では、NOを高純度化するにあたり、NO自体を凝縮ないし液化する必要はないので(即ち、NOの沸点−152℃以下の極低温プロセスを経る必要はないので)、安全性高くNOを精製することができる。以上のように、本発明の第2の側面に係る窒素酸化物精製方法は、安全性が高く、且つ、効率よく窒素酸化物(NO)を精製するのに適しているのである。
第2の側面の窒素酸化物精製方法では、好ましくは、吸収工程にて吸収液に吸収されない非吸収ガスに対して液化N24を含む吸収液を作用させて、当該非吸収ガス中のNOを当該吸収液に吸収させるための吸収工程(第2の吸収工程)を、上述の第1の吸収工程と併行して行う。2段階の吸収工程は、吸収液に対するNOの正味の吸収量ないし吸収率を向上するのに好適であり、従って、NOの収率を向上するのに好適である。
一方、第2の側面の窒素酸化物精製方法においては、原料ガスにN2Oが含まれていてもよい。この場合、上述の第1の吸収工程では、当該N2Oの殆どは、液化N24を含む吸収液に吸収されずにNOから分離されるが、温度条件や圧力条件によっては、原料ガス中のN2Oの一部が、吸収液に溶解吸収される場合がある。この場合、上述の再気化工程では、吸収液中にN2Oが存在する限りにおいて、当該吸収液から発生する中間ガスには、NOおよびNO2に加えてN2Oも含まれることとなる。したがって、原料ガスにN2Oが含まれている場合には特に、再気化工程にて発生する中間ガスに対して液化N24を含む吸収液を作用させて、当該中間ガス中のNOおよびNO2を当該吸収液に吸収させるための吸収工程(第3の吸収工程)を、上述の再気化工程と併行して行うのが好ましい。再気化工程と併行して第3の吸収工程を実行することにより、吸収液に対するNOおよびN2Oの実質的吸収率の差(相当程度に大きい)を利用して、中間ガス中のN2Oを効率よくNOから分離することが可能である。また、このような第3の吸収工程を採用する場合、当該第3の吸収工程は、再気化工程の途中で終了され、第3の吸収工程を伴わない再気化工程では、充分にN2Oが除去されて吸収液中にNOが濃縮された状態において、NOおよびNO2を含む中間ガスを吸収液から発生させる。
第2の側面の窒素酸化物精製方法において、上述の少なくとも何れか一つの吸収工程にて吸収液に吸収されない非吸収ガスが、少なくともN2Oおよび不純物NOを含む場合、非吸収ガスにNO2を加える組成調整工程と、組成調整工程を経た非吸収ガスを降温および/または昇圧させて凝縮N23および/または凝縮N24を生じさせるための凝縮分離工程と、を更に実行してもよい。これにより、第2の側面の方法において、NOを精製するのに加えてN2Oも精製することができる。当該N2O精製手法については、具体的には、第1の側面の方法において原料ガスにN2Oが含まれている場合と同様である。
本発明の第3の側面によると窒素酸化物精製装置が提供される。この装置は、ガス吸収槽および凝縮器を備える。ガス吸収槽は、液化N24を含んでNOを吸収するための吸収液を受容することが可能で、且つ、原料ガスを受け入れて当該原料ガスおよび吸収液の温度および/または圧力を変化させることが可能に構成されたものである。凝縮器は、ガス吸収槽からのガスを受け入れて当該ガスの温度および/または圧力を変化させることが可能に構成されたものである。このような構成を有する装置は、上述の第2の側面に係る窒素酸化物精製方法を実行するうえで好適である。
第3の側面の装置は、好ましくは、ガス吸収槽から凝縮器までのガス流路内に配された、気液接触を可能ならしめる中間吸収部を更に備え、且つ、ガス流路内ではガス通流方向とは逆の方向に吸収液が流れるように、ガス吸収槽および中間吸収部の間で吸収液が循環可能に構成されている。この中間吸収部には、例えば、充填剤を詰めたカラムや泡鐘塔などの吸収塔が好適に用いられる。このような構成は、上述の第2の側面に係る窒素酸化物精製方法を実行するうえで、好適である。
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下に添付図面に基づき説明する実施形態から明らかとなろう。
本発明の窒素酸化物精製方法を実施するために用いられる凝縮器を示す概略構成図である。 本発明の窒素酸化物精製方法を実施するために用いられる精製装置を示す概略構成図である。 本発明の窒素酸化物精製方法を実施するために用いられる別の精製装置を示す概略構成図である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るNO精製方法を実行するのに使用することのできる凝縮器Xを表す。凝縮器Xは、これに導入される原料ガスに含まれる所定の成分を凝縮(液化または固化)させるためのものであり、その内部温度および内部圧力を可変制御可能に構成されている。凝縮器Xの内部温度可変域は例えば−160〜30℃であり、内部圧力可変域は例えば0.01〜6MPaである。
第1の実施形態のNO精製方法では、主成分としてのNOと、これより少量のNO2と、これらと平衡状態にあるN23とN24とが含まれる原料ガスを、凝縮器Xにて所定の凝縮分離工程に付す。具体的には、当該原料ガスを凝縮器Xに導入し、導入前よりも原料ガスを降温および/または昇圧して当該原料ガスから凝縮N23や凝縮N24が生じるように、凝縮器Xの内部温度および/または内部圧力を制御する。そして、このような凝縮分離工程を経たガスを精製ガスとして分取する。
凝縮分離工程においては、凝縮器X内でN23とN24が凝縮して気相から除かれる。しかしながら、当該気相にNO2が残存する限り、上記の式(1)および式(2)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23およびN24が生じ、生じたN23およびN24は直ちに凝縮して気相から除かれることとなる。したがって、原料ガス中のNO2が充分に除去されるまで凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のNOを高純度化することが可能である。
このように、第1の実施形態では、主成分としてのNOと、これより少量のNO2と、N23と、N24とを含む、窒素酸化物多成分系の原料ガスから、単一のプロセス(凝縮分離工程)にてNOを効率よく精製することができる。加えて、本実施形態では、NOを高純度化するにあたり、NO自体を凝縮ないし液化する必要はないので、安全性高くNOを精製することができる。
凝縮器Xは、本発明の第2の実施形態に係るNO2精製方法を実行するのにも使用することができる。第2の実施形態のNO2精製方法では、主成分としてのNO2と、これより少量のNOと、これらと平衡状態にあるN23とN24とが含まれる原料ガスを、凝縮器Xにて所定の凝縮分離工程に付す。具体的には、当該原料ガスを凝縮器Xに導入し、導入前よりも原料ガスを降温および/または昇圧して当該原料ガスから凝縮N23や凝縮N24が生じるように、凝縮器Xの内部温度および/または内部圧力を制御する。そして、このような凝縮分離工程を経たガスを精製ガスとして分取する。
凝縮分離工程においては、凝縮器X内でN23とN24が凝縮して気相から除かれる。しかしながら、当該気相にNOが残存する限り、上記の式(1)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23が生じ、生じたN23は直ちに凝縮して気相から除かれることとなる。したがって、原料ガス中のNOが充分に除去されるまで凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のNO2を高純度化することが可能である。
このように、第2の実施形態では、主成分としてのNO2と、これより少量のNOと、N23と、N24とを含む、窒素酸化物多成分系の原料ガスから、単一のプロセス(凝縮分離工程)にてNO2を効率よく精製することができる。加えて、本実施形態では、NOを分離してNO2を高純度化するにあたり、NO自体を凝縮ないし液化する必要はないので、安全性高くNO2を精製することができる。
凝縮器Xは、本発明の第3の実施形態に係るN2O精製方法を実行するのにも使用することができる。第3の実施形態のN2O精製方法では、主成分としてのN2Oと、これより少量のNOおよびNO2と、当該NOおよびNO2と平衡状態にあるN23とN24とが含まれる原料ガスを、凝縮器Xにて所定の凝縮分離工程に付す。具体的には、当該原料ガスを凝縮器Xに導入し、導入前よりも原料ガスを降温および/または昇圧して当該原料ガスから凝縮N23や凝縮N24が生じるように、凝縮器Xの内部温度および/または内部圧力を制御する。そして、このような凝縮分離工程を経たガスを精製ガスとして分取する。
凝縮分離工程においては、凝縮器X内でN23とN24が凝縮して気相から除かれる。しかしながら、当該気相にNOやNO2が残存する限り、上記の式(1)および式(2)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23およびN24が生じ、生じたN23およびN24は直ちに凝縮して気相から除かれることとなる。したがって、原料ガス中のNOおよび/またはNO2が充分に除去されるまで凝縮分離工程を継続することにより、原料ガス中のN2Oを高純度化することが可能である。
第3の実施形態では、好ましくは、原料ガスにおけるNOおよびNO2の濃度を調整するための濃度調整工程を、凝縮分離工程の前に行う。濃度調整工程にて原料ガス中のNOおよびNO2の濃度を適切に設定することにより、凝縮分離工程にて、原料ガス中のNOおよびNO2を共に充分に除去することが可能である。好ましくは、濃度調整工程にて達成される、NO濃度とNO2濃度の比率は、モル比でNO2/NO≧1である。
このように、第3の実施形態では、主成分としてのN2Oと、これより少量のNOと、NO2と、N23と、N24含む窒素酸化物多成分系の原料ガスから、単一のプロセス(凝縮分離工程)にてN2Oを効率よく精製することができる。加えて、本実施形態では、NOおよびNO2を分離してN2Oを高純度化するにあたり、N2O自体を凝縮ないし液化したり、NOを凝縮ないし液化する必要はないので、安全性高くN2Oを精製することができる。
図2は、本発明の第4の実施形態に係る精製装置Yを模式的に表した図であり、当該装置は、上記何れの目的窒素酸化物(NOまたはN2OまたはNO2)を精製する場合にも使用することができる。図示の精製装置Yは、ガス吸収槽1と、温度調節部2と、吸収塔3と、温度調節部4と、循環ポンプ5a,5bと、凝縮器6と、導入ライン7a,7bと、循環ライン7cと、移送ライン7d,7eと、導出ライン7fと、圧力調整弁8a,8bとを備えている。
ガス吸収槽1は、吸収液を受容するためのものであり、その内部温度および内部圧力を可変制御するように構成されている。ガス吸収槽1の内部温度可変域は例えば−80〜30℃であり、内部圧力可変域は例えば0.01〜6MPaである。ガス吸収槽1には、導入ライン7aを介して吸収液や原料ガスが導入される。ガス吸収槽1に受容される吸収液は、純液化N24またはMON(Mixed Oxides of Nitrogen)である。MONは、液化N23と液化N24の混合物であり、ロケット燃料用液体酸化剤としての用途がある。
温度調節部2は、槽外からの加熱または冷却によりガス吸収槽1の内部温度を可変制御するためのものである。
吸収塔3は、中間吸収部として機能するものであり、その内部においてガス相と液相が接触可能な構造を有する。吸収塔3としては、例えば、充填剤を詰めたカラムや泡鐘塔などが好適に用いられる。吸収塔3の内部温度可変域は例えば−80〜30℃であり、内部圧力可変域は例えば0.01〜6MPaである。温度調節部4は、吸収塔3の外部からの加熱または冷却により吸収塔3の内部温度を可変制御する。
循環ポンプ5aは、ガス吸収槽1から循環ライン7cを介して吸収塔3の上部へ吸収液を順次移送するためのものである。循環ポンプ5aの稼働により、吸収塔3からガス吸収槽1へと、ガス通流方向とは逆の方向に吸収液が流れ、ガス吸収槽1および吸収塔3の間で吸収液が循環することとなる。
凝縮器6は、吸収塔3から移送ライン7dを介して送られてくるガスに含まれる所定の成分を凝縮(液化または固化)させるためのものであり、その内部温度および内部圧力を可変制御可能に構成されている。凝縮器6の内部温度可変域は例えば−120〜0℃であり、内部圧力可変域は例えば0.1〜6MPaである。移送ライン7dを介して凝縮器6に導入されるガスについては、導入ライン7bを介して所望のガス成分を添加することにより、組成調整が可能である。また、凝縮器6にて凝縮分離された成分は、循環ポンプ5bの稼働により、凝縮器6から移送ライン7eを介して吸収塔3に戻され得る。また、凝縮されずに凝縮器6を通過したガスは、導出ライン7fを介して装置外に導出される。
精製装置Yにおけるガス吸収槽1、吸収塔3および凝縮器6の内部圧力は、移送ライン7dに設けた圧力調整弁8aおよび導出ライン7fに設けた圧力調整弁8bを適宜調整することにより任意に設定することができる。その内部圧力は、ガス吸収槽1内の吸収液の組成および温度、並びに凝縮器6内の凝縮液の組成および温度に依存する。必要に応じ、凝縮器6の内部圧力をガス吸収槽1および吸収塔3の内部圧力とは異なる圧力に設定してもよい。
精製装置Yを用いて窒素酸化物を精製するには、まず、導入ライン7aを介してガス吸収槽1内に吸収液を導入する。吸収液の導入量は、例えば100〜1000dm3である。この後、導入ライン7aを介してガス吸収槽1内に原料ガスを導入して吸収工程(第1の吸収工程)を実行する。本実施形態では、原料ガスには、主成分としてのNOと、NO2と、N2Oと、NOおよびNO2に対して平衡状態にあるN23およびN24と、N2と、CO2とが含まれる。原料ガスの導入量は、吸収液1dm3に対して例えば1〜2000Ndm3/hである。また、吸収工程におけるガス吸収槽1の内部温度は例えば−40〜30℃であり、内部圧力は例えば0.1〜6MPaである。
上述したように、NOは、液化N24とは上記の式(3)の可逆反応に従ってN23を生成し、所定温度以下では、生成したN23は液化N24に吸収される。ガス吸収槽1での吸収工程では、このような特性を利用して、NOを含む原料ガスに、液化N24を含む吸収液を作用させて、NOを当該吸収液に反応吸収させるのである。また、当該吸収工程では、原料ガス中のNO2は、液化N24を含む吸収液に液化N23あるいは液化N24として吸収される。吸収液に対するNOおよびNO2の吸収効率を向上させる観点からは、吸収液はより低温で且つより高圧であることが望ましい。これは、上記の式(1)および式(2)の可逆反応において平衡を右にずらしてN23およびN24の生成および凝縮を促すためである。原料ガス中のN2Oは、液化N24を含む吸収液に対して殆ど吸収されないが、吸収工程の温度条件や圧力条件によっては、当該N2Oの一部は、液化N24に対して溶解吸収される場合がある。原料ガス中のN2やCO2は、吸収液に対してはN2Oよりも更に吸収されにくい。
このような吸収工程(第1の吸収工程)の実行中、第1の吸収工程にて吸収液に吸収されない非吸収ガスに対して更に吸収液を作用させる追加の吸収工程(第2の吸収工程)を実行してもよい。第2の吸収工程を実行するためには、循環ポンプ5aを稼働させることにより、ガス吸収槽1および吸収塔3の間で上述のように吸収液を循環させる。これにより、第1の吸収工程にて吸収液に吸収されない非吸収ガス(NO,NO2,N2O,N2,CO2などを含む)は、ガス吸収槽1から吸収塔3に移動して吸収塔3内を上昇中に、循環吸収液と気液接触することとなる。この気液接触により、非吸収ガス中のNOおよびNO2は、第1の吸収工程と同様に、優先的に循環吸収液に反応吸収される(即ち、非吸収ガス中の他成分から分離される)。以上の2段階の吸収工程(第1および第2の吸収工程)は、吸収液に対するNOの正味の吸収量ないし吸収率を向上するのに好適であり、従って、NOの収率を向上するのに好適である。
吸収工程(第1の吸収工程や第2の吸収工程)にて吸収液に吸収されない非吸収ガスは、ガス吸収槽1から吸収塔3および移送ライン7dを経て凝縮器6に至る。この非吸収ガスからは、第3の実施形態と同様に、N2Oを高純度化することができる。高純度化されたN2Oは導出ライン7fを介して装置外に導出され、精製ガスとして分取することができる。N2Oの高純度化にあたり、凝縮器6にて凝縮分離工程を実行する前に、NOおよびNO2の濃度を調整するには、移送ライン7dを流れるガスに対し、導入ライン7bを介してNOやNO2を添加する。
吸収工程(第1の吸収工程や第2の吸収工程)の後、ガス吸収槽1および吸収塔3にて再気化工程を実行する。具体的には、温度調節部2,4の制御や、必要に応じた圧力調整弁8a,8bの制御により、ガス吸収槽1内および吸収塔3内の吸収液を昇温および/または降圧させる。吸収液の昇温および/または降圧により、吸収液中のN23の気化が促進される。気化したN23の殆どは直ちにNOおよびNO2に分解し、こうして生じたNOおよびNO2から、上記の式(1)および式(2)に従ってNO,NO2,N23,N24間で平衡状態に至った中間ガスが発生することとなる。この中間ガスは、等量のNOおよびNO2から式(1),(2)に従ってNO,NO2,N23,N24間の平衡状態に至ったものであるため、NO2より多くのNOを含むこととなる。
このような再気化工程の初期段階では、発生する中間ガスに対して再び吸収液を作用させる追加の吸収工程(第3の吸収工程)を実行してもよい。第3の吸収工程を実行するためには、第2の吸収工程と同様に、循環ポンプ5aを稼働させることにより、ガス吸収槽1および吸収塔3の間で上述のように吸収液を循環させる。この際、第3の吸収工程は第2の吸収工程に引き続き実行するのが好ましい。再気化工程の初期段階においては、吸収液に吸収されていた微量のN2Oや極微量のN2,CO2などがNOおよびNO2に較べて優先的に気化してくるので、当該初期段階の中間ガスにはN2O,N2,CO2などが比較的多く含まれる(NOおよびNO2も含まれるが)。第3の吸収工程を実行すると、このような初期段階の中間ガスは、吸収塔3内を上昇中に、循環吸収液と気液接触し、この気液接触において、中間ガス中のNOおよびNO2は、第1の吸収工程と同様に、優先的に循環吸収液に反応吸収されることとなる。そのため、再気化工程と併行して第3の吸収工程を実行することにより、吸収液に対するガス成分間の吸収率の差を利用して、中間ガス中のN2O,N2,CO2などを効率よくNOから分離することが可能である。また、このような第3の吸収工程を採用する場合、当該第3の吸収工程は、再気化工程の途中で終了され、第3の吸収工程を伴わない再気化工程では、N2O,N2,CO2などが充分に除去されて吸収液中にNOが濃縮された状態において、NOおよびNO2を含む中間ガスを吸収液から発生させることが可能となる。
再気化工程中に吸収塔3を抜け出る中間ガスは、移送ライン7dを介して凝縮器6に至り、凝縮器6にて凝縮分離工程に付される。また、当該中間ガスは、必要に応じて、圧力調整弁8aと凝縮器6との間に設けられた導入ライン7bを介して供給されるNO2と共に凝縮器6に至り、凝縮器6にて凝縮分離工程に付される。具体的には、凝縮器6では、中間ガス中のN23およびN24が液化して気相から除かれる条件となるように、当該中間ガスが降温および/または昇圧される。N23とN24が液化して気相から除かれると、当該気相に残存するNOとNO2から、式(1)および式(2)に従って平衡状態を充たすように速やかにN23およびN24が生じ、新たに生じたN23およびN24は直ちに液化して気相から除かれることとなる。したがって、中間ガス中のNO2が充分に除去されるまで当該凝縮分離工程を継続することにより、中間ガス中のNOを高純度化することが可能である。高純度化されたNOは導出ライン7fを介して装置外に導出され、精製ガスとして分取することができる。また、循環ポンプ5bの稼働により、液化N23および液化N24は、移送ライン7eを介して吸収塔3の上部に戻される。凝縮分離工程実行中の凝縮器6の内部温度は例えば−9℃以下であって、好ましくは−102〜−50℃であり、内部圧力は例えば0.01〜6MPaである。
凝縮分離工程の後、温度調節部2,4の制御や、必要に応じた圧力調整弁8a,8bの制御により、ガス吸収槽1内および吸収塔3内の吸収液を昇温および/または降圧させてN24の気化を促進させると、N24から高純度のNO2が生ずる。このNO2は、移送ライン7d、凝縮器6、および導出ライン7fを介して装置外に導出され、精製ガスとして分取することができる。
以上のように、第4の実施形態に係る精製装置Yを用いることにより、原料ガスがNO,NO2,N23,N24,N2O,N2,CO2を含む多成分系ガスの場合であっても、当該原料ガスからN2O,NO,NO2を順次効率よく精製することができる。加えて、本実施形態では、当該精製プロセスにおいてNOやN2Oを凝縮ないし液化する必要はないので、安全性高く窒素酸化物を精製することができる。
図3は、図2に示した精製装置Yを簡略化した変形例に係る精製装置Y1を示す。同図に示す精製装置Y1は、図2に示す精製装置Yのうちの、吸収塔3と、温度調節部4と、循環ポンプ5aと、循環ライン7cと、圧力調整弁8a,8bとを省略したものであり、凝縮器6からの凝縮液を循環ポンプ5bおよび移送ライン7eを介してガス吸収槽1に直接戻すように構成されている。このため、原料ガスからの所定成分の吸収はガス吸収槽1のみで行われ、上記式(1)〜(3)に示す平衡反応の調整は温度調整と導入ライン7bを介して実行される組成調整によってのみ行われる。
実施例
次に、本発明の実施例について説明する。
実施例1では、図1に示した凝縮器Xを用いてNO精製方法を行った。本実施例では、凝縮器Xとして、−80℃に冷却したガラス製トラップ(500cm3)を用い、原料ガスとして、5000ppmのNO2を含む粗NOガスを用い、当該原料ガスを100cm3/分の速度で凝縮器Xに通流した(凝縮分離工程)。その結果、原料ガス中のNOおよびNO2から生じたN23およびN24が凝縮器X内に凝縮され、凝縮器Xから導出された精製NOガスにおけるNO2濃度は80ppmであった。
実施例2では、図1に示した凝縮器Xを用いてN2O精製方法を行った。本実施例では、凝縮器Xとして、−80℃に冷却したガラス製トラップ(500cm3)を用い、原料ガスとして、2000ppmのNOを含む粗N2Oガスを用いた。本実施例では、まず、当該原料ガスに、2000ppmの最終濃度となるようにNO2を加えた(濃度調整工程)。次に、このようにして濃度調整がなされた原料ガスを、100cm3/分の速度で凝縮器Xに通流した(凝縮分離工程)。その結果、原料ガス中のNOおよびNO2から生じたN23およびN24が凝縮器X内に凝縮され、凝縮器Xから導出された精製N2OガスにおけるNO濃度は50ppmであり且つNO2濃度は30ppmであった。
実施例3では、図3に示した凝縮器Y1を用いてNO精製方法を行った。本実施例では、ガス吸収槽1として、−10℃に冷却した容器(500cm3)を用い、凝縮器6として、−70℃に冷却したガラス製トラップ(500cm3)を用い、吸収液として液化N24(90g)を用い、原料ガスとして、1000ppmのN2と1000ppmのN2Oと含む粗NOガスを用いた。
本実施例では、ガス吸収槽1での吸収工程および再気化工程、並びに凝縮器6での凝縮分離工程を行った。吸収工程では、常圧で、液化N24(90g,−10℃)に対して32gの原料ガスを吸収させた。再気化工程では、ガス吸収槽1の内部温度を−10℃から2℃まで徐々に上げた。凝縮分離工程では、再気化工程にて気化したガスを凝縮器6に通流し、ガス中のNOおよびNO2から生じたN23およびN24が凝縮器6内に凝縮された。凝縮器6から導出される精製NOガスの経時的な組成変化を調べたところ、導出開始からの2gのガス中にはN2が検出されたが、その後に導出された27gのガス中にはN2は検出されなかった。一方、導出ガス中のN2O濃度は経時的に漸減し、導出終了時に分取したガスにおけるN2O濃度は80ppmであった。
実施例4では、図2に示した凝縮器Yを用いてN2OおよびNOの精製方法を行った。本実施例では、ガス吸収槽1および吸収塔3での第1〜第3の吸収工程および再気化工程を行い、並びに凝縮器6での凝縮分離工程を行った。
ガス吸収槽1として、3dm3の容器を用い、その上部に吸収塔3として、3mmφのガラスビーズを充填したカラム(直径5cm,長さ20cm)を取り付けた。また、圧力調整弁8bは用いず、凝縮器6としては、ガラス製トラップ(500cm3)を用いた。
ガス吸収槽1の内部温度を−5℃に冷却した後、当該ガス吸収槽1にNO2を導入し、700gの液化N24をガス吸収槽1内に仕込んだ。引き続き、ガス吸収槽1の内部温度を−5℃に維持しながら、N2O(400g)、NO(300g)、およびNO2(460g)からなる原料ガスを2時間かけて導入した(第1の吸収工程)。この期間中、循環ポンプ5aを稼働させ、ガス吸収槽1の吸収液を60cm3/分の速度で吸収塔3の上部に送液した(第2の吸収工程)。当該吸収工程実行中における吸収塔3からの出口ガス圧力は圧力調整弁8aを用いて1MPaに制御した。そして、圧力調整弁8aから導出されるガス(N2Oを主成分とし、それより少ないNOを含むガス)に、導入ライン7bを通じてNO2を20g/時間の速度で加えて、−80℃に冷却された凝縮器6に導入した。このとき、凝縮器6から導出された精製N2Oガスの純度は99.99%以上であり、回収量は378g、回収率は95%であった。
次に、導入ライン7bからのNO2の添加を止め、循環ポンプ5aを稼動させたまま、系内の圧力を1MPaに保持しつつ、ガス吸収槽1および吸収塔3の内部温度を徐々に30℃まで昇温することにより、N2Oが比較的多く含まれる中間ガスを発生させた(再気化工程,第3の吸収工程)。この中間ガスに含まれるNOとNO2は、吸収塔3にて優先的に循環吸収液に反応吸収され、系内のN2Oを効率よく抜き出すことができた。
その後、循環ポンプ5aを停止し、凝縮器6の内部温度を−90℃に更に低下させたうえで、圧力調整弁8aの設定値を1MPaから0.7MPaまで連続的に変化させることにより、ガス吸収槽1内および吸収塔3内の吸収液中のN23の気化を促進させつつ中間ガスを発生させた(再気化工程)。気化したN23の殆どは直ちにNOおよびNO2に分解し、等量のNOおよびNO2から式(1),(2)に従ってNO,NO2,N23,N24間の平衡状態に至ることから、当該中間ガスはNO2より多くのNOを含んでいる。この中間ガスを凝縮器6に導入して、NO2,N23,N24を凝縮させ(凝縮分離工程)、導出ライン7fを介して導出されるガスを精製NOガスとして回収した。このとき、圧力調整弁8aから順次導出される、NOを主成分とするガスには、回収当初は約1%のNO2が、回収終了時には約4%のNO2が含まれていた。そして、回収された精製NOガスの純度は99.99%以上であり、回収量は280g、回収率は93%であった。

Claims (6)

  1. 一酸化窒素を含む原料ガスに、液化四酸化二窒素を含む吸収液を作用させて、一酸化窒素を当該吸収液に吸収させるための初期の吸収工程と、
    前記吸収工程の後に前記吸収液を昇温および/または降圧させて、相対的に多い一酸化窒素および相対的に少ない二酸化窒素を含む中間ガスを当該吸収液から発生させるための、再気化工程と、
    前記中間ガスを降温および/または昇圧させて凝縮三酸化二窒素および/または凝縮四酸化二窒素を生じさせるための凝縮分離工程と、を含む、窒素酸化物精製方法。
  2. 前記吸収工程にて前記吸収液に吸収されない非吸収ガスに対して液化四酸化二窒素を含む吸収液を作用させて、当該非吸収ガス中の一酸化窒素を当該吸収液に吸収させるための追加の吸収工程を、前記初期の吸収工程と併行して行う、請求項に記載の窒素酸化物精製方法。
  3. 前記再気化工程にて発生する前記中間ガスに対して液化四酸化二窒素を含む吸収液を作用させて、当該中間ガス中の一酸化窒素および二酸化窒素を当該吸収液に吸収させるための追加の吸収工程を、前記再気化工程と併行して行う、請求項に記載の窒素酸化物精製方法。
  4. 前記原料ガスは、更に亜酸化窒素を含む、請求項1に記載の窒素酸化物精製方法。
  5. 前記吸収工程にて前記吸収液に吸収されない非吸収ガスは、少なくとも亜酸化窒素および不純物一酸化窒素を含み、
    前記非吸収ガスに二酸化窒素を加える組成調整工程と、
    前記組成調整工程を経た非吸収ガスを降温および/または昇圧させて凝縮三酸化二窒素および/または凝縮四酸化二窒素を生じさせるための凝縮分離工程と、を更に含む、請求項に記載の窒素酸化物精製方法。
  6. 液化四酸化二窒素を含んで一酸化窒素を吸収するための吸収液を受容することが可能で、且つ、原料ガスを受け入れて当該原料ガスおよび前記吸収液の温度および/または圧力を変化させることが可能な、ガス吸収槽と、
    前記ガス吸収槽からのガスを受け入れて当該ガスの温度および/または圧力を変化させることが可能な凝縮器と、
    前記ガス吸収槽から前記凝縮器までのガス流路内に配された中間吸収部と、を備え、
    前記ガス流路内ではガス通流方向とは逆の方向に前記吸収液が流れるように、前記ガス吸収槽および前記中間吸収部の間で前記吸収液が循環可能に構成されている、窒素酸化物精製装置。
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