JP5105676B2 - スチレン樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスチレンオリゴマー等のスチレン系低分子成分、スチレン単量体及び残存炭化水素溶媒等の含有量が少なく、加工性及び熱安定性に優れるスチレン樹脂を、反応槽内にポリスチレンゲル等の蓄積物の生成がなく長期間連続的に安定製造できる方法に関するものである。得られたスチレン樹脂は成形材料、例えば電気製品材料、雑貨材料、食品容器材料、食品包装材料等の各種用途、特に食品容器材料及び食品包装材料に好ましく用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
スチレン樹脂は軽量性、高い剛性、水に対する抵抗性、電気的絶縁性に優れる等の多くの優れた物理的特性を有する。また、種々の形状の成型品を容易かつ大量に生産できるとの優れた成型加工性も有する。これらの特長を生かして、電気製品材料、雑貨、食品容器、包装材料等の各種用途に大量に用いられている。
一般に、スチレン樹脂は反応機構的には熱ラジカル重合法又は開始剤を用いてのラジカル重合法の2タイプにより製造される。また、製造プロセス的には塊状重合法及び懸濁重合法の2タイプがあるが、分散剤等の不純物が入り難いこと、コスト的に有利なことから塊状ラジカル重合法が、現在主流となっている。
【0003】
しかし、一般にラジカル重合法は樹脂製造時にオリゴマーの生成を伴い、またスチレン単量体も残り易いことはよく知られている。
例えば、総説文献(Encyclopedia of chemical technology,Kir k-Othmer, Third Edition,John Wily & Sons,21巻,817頁)によれば100℃以上のスチレンの熱重合ではスチレン二量体、スチレン三量体等のオリゴマーの副生を伴い、その量は約1重量%程度になるとされている。また具体的なオリゴマー成分は主として1−フェニル−4−(1' −フェニルエチル)テトラリン、1,2−ジフェニルシクロブタンからなり、その他に2,4−ジフェニル−1−ブテンと2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセンが存在するとされている。
【0004】
一般には塊状ラジカル重合プロセスにおいては通常80〜180℃で重合を行い、次いで含まれる溶媒や未反応単量体を加熱揮発除去することにより、重合体を回収している。しかし、ラジカル重合法では単量体の重合体への転化を高度に達成することができず、これを加熱脱揮した後も、一般に比較的多量の未反応スチレン単量体がスチレン樹脂中に残る。このため、脱揮工程を工夫する方策、例えば加熱脱揮後、さらに水を添加、混合した後に再度脱揮することにより、残存するスチレン単量体を水と共沸除去する方法等が開発されているが、十分満足できるレベルは達成できていない。
また、副生したスチレンの二量体及び三量体等のオリゴマー類は揮発し難いため、一般にその多くが重合体中に残る。
【0005】
この様にして製造されたスチレン樹脂を分析すると、原料から由来の残留物、不純物及び重合中の副生成物が検出される。具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、2,4−ジフェニル−1−ブテン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセン、1,3,5−トリフェニルシクロヘキサン、1−フェニル−4−(1' −フェニルエチル)テトラリン等がスチレン樹脂中に含まれる。
この様に、現在広く実施されているラジカル重合法のスチレン樹脂は、その製造方法に起因してスチレン単量体及びスチレンオリゴマー等から成る低分子成分を多く含む。更に、これらのラジカル重合法のスチレン樹脂は、一般に安定性に劣り、成形加工時の機械的履歴又は熱的履歴によって、樹脂中のスチレン単量体及びスチレンオリゴマー等の低分子成分量が増大しやすい。成形加工時に新たに生成する低分子成分も、重合時に生成する低分子成分と同様の問題を来す。例えば電気製品材料、雑貨材料、食品包装材料や食品容器材料に用いた場合、樹脂中に含まれる低分子成分が原因となって種々の問題を来す。
【0006】
具体的には、この様な低分子成分を多く含むスチレン樹脂は、一般に成形、加工時の熱安定性が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣る。また成型加工時に油状物質が、金型や成形品に付着する等の問題を来す場合がある。樹脂中に含まれる低分子成分は、成形品の内部から表面に拡散又は滲むため、印刷が乗り難い、又は印刷が剥離しやすいといった問題を来す場合もある。さらには食品容器や食品包装に用いた場合、樹脂材料中に含まれる低分子成分が溶出又は揮発する場合があり、その低減が望まれている。
これらのラジカル重合法に対して、有機リチウム等を用いたアニオン重合法によるスチレン樹脂の製造方法も、技術的には古くから公知である。
例えば、米国特許第5,391,655号明細書、米国特許第5,089,572号明細書、米国特許第4,883,846号明細書、米国特許第4,748,222号明細書、米国特許第4,205,016号明細書、米国特許第4,200,713号明細書、米国特許第4,016,348号明細書、米国特許第3,954,894号明細書、米国特許第4,859、748号明細書等に詳細な紹介がされている。
【0007】
これらの米国特許技術を要約すると、アニオン重合法においての分散度を下げる方法(米国特許第4,883,846号明細書)、アニオン重合法によりポリスチレン製造するにおいて連続重合方式を用いる等の製造装置に関連した方法(米国特許第4,016,348号明細書、米国特許第4,748,222号明細書、米国特許第5,391,655号明細書)、アニオン重合方式に用いる開始剤の製造方法及び適用例(米国特許第4,205,016号明細書、米国特許第5,089,752号明細書)に限られている。米国特許第4,859、748号明細書は連続攪拌槽反応器中でスチレンのアニオン重合反応を制御する方法を開示している。しかし、これらのスチレン樹脂のアニオン重合法技術においては、本願発明の目的に係るスチレン系低分子成分に関する開示は全くなかった。
【0008】
更に、近年になって、特開平10−110074号公報は有機リチウムを開始剤とするアニオン重合において、オリゴマーの少ない重合体が得られることを開示している。その参考例2の記載において、有機リチウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、分子量分布の狭い、単分散の重合体が得られ、酸化防止剤を添加後に乾燥することにより、二量体含有量1ppm、三量体含有量170ppmのスチレン重合体を得ている。更には、この様にして得られたアニオン重合法のスチレン重合体が、食品包装材等に利用できることを開示している。
【0009】
食品衛生誌、39巻、3号、199頁(1998)には食品用ポリスチレン製品からスチレン二量体、スチレン三量体が溶出することが報告されている。
国際出願PCT/JP97/00796号はビニル重合体の製造方法、ビニル系単量体のアニオン重合用開始剤及びスチレン樹脂組成物に関するものである。
この明細書の記載において、得られたスチレン重合体中に存在するスチレン三量体が250ppm以下の重合体を食品包装材に使用した場合、食料品等へのマイグレーションは無視できる程度であることを開示している。
また、特開2000−143725号公報はアニオン重合法によるスチレン重合体及びその製造方法に関するものであり、スチレン二量体含量が80ppm以下、かつスチレン三量体含量が800ppm以下のスチレン重合体及びその製造方法、食品用途への利用が開示されている。
【0010】
この様に、次の(a)〜(c)の事項は既に公知であった。
(a)有機リチウムを用いるアニオン重合法によりスチレン重合体が得られること。
(b)有機リチウムを用いたアニオン重合法により得られるスチレン重合体は、ラジカル重合法によるスチレン重合体に比較して、スチレン二量体及びスチレン三量体の含有率が低いこと。
(c)有機リチウムを用いて得られたスチレン重合体を、樹脂材料として各種用途、特に食品容器材料及び食品包装材料に利用できること。
【0011】
しかし、これらのアニオン重合法により得られるスチレン樹脂にはいくつかの問題点もあり、スチレン樹脂材料としての各種用途に、現在広く用いられるに至っていない。即ち、次の(d)〜(f)の問題点が挙げられる。
(d)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン樹脂は、塊状ラジカル重合法のスチレン樹脂に比較して、製造が高コストであること。
(e)生産性を高めてコスト低減を達成するため、高温、高単量体濃度でアニオン重合を実施するとスチレン系低分子成分、特に二量体、三量体の増大を来たして、アニオン重合スチレン樹脂の大きな特長の一つが失われること。
(f)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン樹脂は一般に分子量分布が狭く、加工性に劣ること。
【0012】
上記の従来技術における各問題点について、次に具体的に説明する。
(d)項の製造がコスト高の大きな原因の一つに、アニオン重合法が生産性に劣る点が挙げられる。即ち、塊状ラジカル重合法では単量体濃度を90重量%、もしくは更に高濃度で重合するのに対して、アニオン重合法、特にバッチプロセスのアニオン重合法では、通常、単量体濃度は25重量%程度未満に限定される。これは、主にアニオン重合法における重合熱の除熱の難しさに起因するものであり、低い単量体濃度での製造は生産性に劣る。
即ち、有機リチウムを用いたアニオン重合法においては、120℃を超える高温では開始剤の失活が顕著に起こる。それ故、十分に反応を完結するには、除熱により重合温度を120℃以下に抑えることが必要である。しかし、高い単量体濃度では重合速度及び重合溶液粘度が著しく増大する。それ故、発熱量、発熱速度は増大し、かつ除熱性は低下して、温度制御が困難になる。
【0013】
このことは、実験室レベルの反応器では除熱を効かせることで解決可能である。しかし、相対的に伝熱面積の低下する大型のプラント反応槽では深刻な問題点となり、高単量体濃度でのバッチ重合は極めて困難がある。
これを避けるために、単量体濃度を下げて重合熱を重合系の温度上昇の潜熱で吸収しようとする考え方がある。しかし、この場合も単量体濃度は自ずと制限され、バッチ重合法で温度制御するには、やはり単量体濃度が通常25重量%程度未満に制限される。それ故アニオン重合法においては、低い単量体濃度は生産性を低下させ、コスト高の大きな原因となる。
【0014】
高濃度重合で除熱問題を根本的に解決する方策として、特殊な除熱能力の高い反応器を用い連続重合する方法の提案がある。例えば、米国特許第4,859,748号明細書においては、表面積の大きな、除熱能力の高いチューブ状の循環型反応槽に30〜80重量%の高濃度単量体を連続的に流し、アニオン重合する法が開示されている。
この様な方法で高い単量体濃度のアニオン重合を達成できるが、今一つ問題が残る。即ち、細いチューブ中の高粘度重合体溶液の流れは無攪拌状態となる。この様な無攪拌のチューブ型の反応槽中での重合は、条件によりゲル生成ひいてはチューブ型反応槽の閉塞を来し、致命的欠点となる。
【0015】
(e)項はスチレン系低分子成分、特に二量体、三量体問題である。ラジカル合法と異なり、一般にアニオン重合法ではスチレンの二量体、三量体の副生成は無いとされている。
しかし、本発明者が鋭意検討した結果、有機リチウムを用いたアニオン重合においても、実用的な重合条件である温度、単量体濃度では二量体、三量体の生成が少なからず起こることを解明した。更にスチレンの二量体、三量体以外にも、アニオン重合法に特有のスチレン系低分子成分の生成が起こることも解明した。
これは主に特定の溶媒や、溶媒あるいは単量体に含まれる微量の不純物とスチレン単量体が、有機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやスチレンオリゴマーとは言えない構造を有する。
即ち、アニオン重合法においても、得られるスチレン樹脂には分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が、無視できない量で含まれるとの問題があることが、本発明者の検討の結果明らかとなった。
【0016】
(f)項のアニオン重合法のスチレン樹脂が加工性に劣る点は、主に狭い分子量分布に起因する。バッチ重合法又はチューブ状反応槽による連続重合では得られる重合体の分子量分布は、一般に極めて狭いものとなる。例えば、前述の特開平10−110074号公報は、その参考例2の記載において、有機リチウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、分子量分布の狭い(Mw/Mn=1.04)、単分散の重合体を得ている。狭い分子量分布の重合体は成形、加工性に劣り、通常は好ましいものではない。
分子量分布拡大の一つの方策として、重合終了後にカップリング剤を添加して多分散化を図る方法が公知である。即ち、予めやや分子量の低い重合体を重合し、それをカップリングして分子量を部分的にジャンプさせ、多分散な形で分子量分布を拡大する方法である。
【0017】
しかし、カップリング前の低分子量重合体の重合には、それだけ多量の有機リチウム開始剤を必要とする。また、重合後にカップリング工程を必要とする。即ち、触媒使用量の増大及び製造工程の複雑化を伴い、それぞれ製造コスト増大を来すとの問題がある。
しかも、分子量分布の十分な拡大を達成するには、3官能以上の多官能カップリング剤の使用が必要になる。この様な方法で多分散化された重合体は長鎖の分岐構造を持ち、特異的な流動性を示して、シート押出し性や発泡特性においては通常好ましくなく、成形、加工性における問題もある。
分子量分布を拡大する今一つの方策として、重合開始剤の分割フィード、又はアルコール等の添加により、開始剤を部分失活する技術も公知である。
【0018】
重合開始剤の分割フィード、例えば2段分割フィードの場合、結果的に分子量の高い重合体と分子量の低い重合体のブレンド組成として、分子量分布を拡大できる。重合途中での失活剤による開始剤の部分失活の場合も、同様な効果をもたらす。
しかし、この様な方法でもいくつかの問題がある。例えば、得られる重合体は低分子成分を多量に含む組成の樹脂となり、この様な樹脂は力学特性や耐熱性に劣る等の問題がある。また、分子量や分子量分布の制御が難しく、製造工程が複雑化して生産性が低下する等の問題もある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、樹脂の加工性、加工安定性及び力学特性を改良し、低分子成分の含有含有量が少ない故に溶出又は揮発量の極めて少ないスチレン樹脂を高い生産効率で製造する方法等を提供することにある。
即ち、本発明は有機リチウムを用いたスチレン樹脂の製造方法においては、次の(g)〜(j)の課題の解決を、一挙に達成しようとするものである。
(g)生産性の高い連続重合プロセスの達成。
(h)分子量分布の拡大によるスチレン樹脂の加工性改良。
(i)得られるスチレン樹脂中に含まれるスチレン単量体の低減。
(j)得られるスチレン樹脂中に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分の低減。
【0020】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段である本発明は請求の範囲にも示すところである。
即ち本発明は、
1.逆混合流れを有する反応槽R1の一方から、一括で又は分割して下記組成(A)を有する原料系を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成系を連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスを含み、減圧下に付帯するリフラックスコンデンサーを用いて、重合熱を除熱することによって、反応槽R1の内温を60℃以上、80℃未満に制御し、かつ反応槽R1中に存在するスチレン単量体、シクロヘキサン系溶媒及びスチレン重合体の合計量に対する該単量体の平均割合を5重量%未満に制御して重合し、得られたスチレン重合体溶液を脱揮乾燥してなるスチレン樹脂の製造方法
(A)
スチレン単量体 1.0Kg
シクロヘキサン系溶媒 0.5〜2Kg
有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。
2.得られたスチレン樹脂が下記の特徴(B)を有する上記1記載の製造方法、
(B)
スチレン樹脂に含まれるスチレン重合体の重量平均分子量が5万〜100万の範囲、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0の範囲にあり、スチレン樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分の合計量が160ppm未満、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が40ppm未満である。
3.反応槽R1に次いで、反応槽R2を1槽又はそれ以上の反応槽を直列に結合して用いる複合重合プロセスで重合を行う上記1または2記載の製造方法、
4.シクロヘキサン系溶媒がシクロヘキサン85〜99重量%と炭素数5〜7の他の脂肪族炭化水素15〜1重量%からなることを特徴とする上記1ないし3のいずれか一つに記載の製造方法、
である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のスチレン樹脂の製造方法においては、スチレン樹脂は有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法によって製造される。
アニオン重合法のプロセスは連続重合法に限定する。即ち、逆混合流れを有する反応槽R1の一方から、一括又は分割して原料系を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成系を連続的に抜き出す連続重合プロセスを含むスチレン樹脂製造方法に限定する。
本発明のスチレン樹脂製造方法においては、反応槽R1単独の重合プロセス、又は反応槽R1に次いで反応槽R2を1槽又はそれ以上の反応槽を直列に結合した複合重合プロセスを用いて重合することができる。反応槽R1は混合状態として、逆混合流れを有することが必要である。逆混合流れとは、反応槽にフィードされた原料系の一部が、流れと逆方向に混合することを意味する。最も好ましい逆混合流れを有する反応槽とは、完全混合流れを有する反応槽である。
【0022】
最も好ましい複合重合プロセスは実質的に完全混合の連続反応槽R1、次いでプラグフローの連続反応槽R2を直列に結合した複合重合プロセスである。逆混合流れを有する反応槽、又は完全混合の反応槽では、その混合性の故に効率的に高い転化率を達成し難い。これに他の反応槽を1槽又は多槽直列に結合することは好ましい。
ここで言う逆混合流れは狭い意味に限定しない。開始剤が広い滞留時間分布をもち、これにより重合体の分子量分布が顕著に広くなる混合状態を意味する。具体的には、得られる重合体の分子量分布、即ち重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnが1.5以上となる混合状態を意味する。
【0023】
逆混合流れあるいは完全混合流れの具体的定義は、本発明者等の先願である特願2001−136262号明細書に記載している。具体的には、反応槽R1内の各部位における溶液中の重合体の重量平均分子量が、その全反応槽内平均の重量平均分子量の好ましくは0.7〜1.3倍の分布範囲、更に好ましくは0.8〜1.2倍、特に好ましくは0.9〜1.1倍の分布範囲にある混合状態である。この分布が狭いことは、反応槽の各部位に存在する重合体の分子量に偏りがなく、攪拌により槽内が均一化されていることを意味する。
逆混合流れを有する、又は完全混合の反応槽において重合体の分子量分布を広げ、次のプラグフローの反応槽で、残存する単量体を効率的に転化することができる。分子量分布を広げることは樹脂の加工性改良に役立ち、単量体の完全転化により、脱揮乾燥後に樹脂中に混入する単量体及び単量体由来の低分子成分を低量体の転化率は好ましくは99.9%以上、更に好ましくは99.99%以上、特に好ましくは99.995%以上に制御すべきである。
【0024】
本発明のスチレン樹脂の製造方法においては、反応槽R1中に存在する平均単量体濃度は10重量%未満に制御することが必要である。即ち、スチレン単量体、炭化水素溶媒及びスチレン重合体の合計量に対する該単量体の割合を10重量%未満に制御することが必要である。好ましくは5重量%未満、更に好ましくは3重量%未満であり、特に好ましくは2重量%未満である。
即ち、フィードされるスチレン単量体濃度が33重量%を越えるにも関わらず、重合場の単量体濃度は10重量%未満に制御して運転することが必要であり、残余の15重量%以上は溶液中に重合体として共存する。安定した連続重合プロセスではこの値は、常に変化しない。
これに対して、バッチ重合法では反応当初の単量体濃度はフィード組成に当然一致し、経時的に低減する。また、逆混合流れの無いプラグフロータイプ反応槽での連続重合法では、フィード部位では単量体濃度はフィード組成に一致し、抜き出し部へ移動するに従って低減することになる。即ち、重合場の実質的な単量体濃度はフィード組成に近い。
【0025】
本発明のスチレン樹脂の製造方法においては、反応槽R1に存在する単量体濃度は混合状態にも依存するが、基本的には原料系のフィード速度および組成と、反応槽中の重合速度で決まる。完全混合流れの反応槽に存在する単量体濃度を下げるには、例えば重合速度に見合って単量体フィー速度を抑制することで達成できる。
アニオン重合の重合速度は単量体濃度の1乗に比例するために、単量体濃度の2乗又は3乗に比例する副反応は、重合場の実質的な単量体濃度を低くすることにより、極めて低いレベルに抑えることができる。スチレン二量体及びスチレン三量体等のオリゴマーの生成速度は単量体濃度の多乗数に比例するためか、単量体濃度を抑えることによって、顕著に低減できる。
【0026】
本発明のスチレン樹脂の製造方法においては、重合開始剤として有機リチウム化合物が用いられる。有機リチウム化合物とは炭素−リチウム結合を有する、いわゆるリチウムの有機金属化合物である。より具体的にはアルキルリチウム、アルキル置換フェニルリチウム化合物等が挙げられる。アルキルリチウムの好ましい例としてエチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ベンジルリチウム等が挙げられる。
有機リチウム開始剤の使用量は得ようとする重合体の分子量に依存する。即ち、重合体の分子量は単量体量と有機リチウム開始剤の組成比で基本的には決まる。単量体1Kg当たりの有機リチウム使用量は0.5〜200ミリモルの範囲である。好ましくは1〜100ミリモル、特に好ましくは2〜20ミリモルの範囲である。
【0027】
有機リチウム量をこの範囲より減らすと重合速度の低下を来したり、得られる重合体の分子量が著しく大きくなる等、好ましくない。また、有機リチウム量を、この上限を超えて増やすことは製造コストを増大させ、得られる重合体の分子量を極端に低下させる等、やはり好ましくない。
本発明のスチレン樹脂の製造方法において、使用される単量体の主成分はスチレンである。しかし、スチレン以外に共重合可能な他の単量体を少量含んでいても構わない。この例としてスチレン以外のビニル芳香族炭化水素類、共役ジエン類等が挙げられる。これらの重合単量体の使用は樹脂の耐熱性、軟化温度、耐衝撃強度、剛性、加工性等を調整するのに有用である場合がある。
【0028】
本発明のスチレン樹脂の製造方法において用いられる重合溶媒は、有機リチウム開始剤に対して不活性で、単量体及び生成重合体を溶解できる炭化水素溶媒であって、重合時に液状を保ち、重合後の脱溶媒工程で揮発除去が容易な溶媒が挙げられる。具体的にはシクロヘキサンが好ましく利用できる。しかし、シクロヘキサンは凝固点が6.5℃と比較的高いため、脱揮工程の凝縮温度によってはコンデンサー内で凝固し、脱揮能力が著しく低下する。このため、シクロヘキサン85〜99重量%と炭素数5〜7の他の脂肪族炭化水素15〜1重量%を混合することは、コンデンサー内でのシクロヘキサンの凝固を防ぐ意味で好ましく利用できる。
さらに好ましい炭素数5〜7の他の脂肪族炭化水素10〜2重量%、特に好ましくは7〜3重量%の範囲である。
【0029】
炭素数5〜7の他の炭化水素の混合量が1重量%未満では、凝固点の低下効果が十分期待できず、15重量%を越えると、溶媒に対するスチレン重合体の溶解性が低下し、場合により好ましくない。
炭素数5〜7の他の炭化水素の具体例としてはn−ヘキサン、イソヘキサン、工業ヘキサンと呼ばれるC6の脂肪族炭化水素の混合物、メチルシクロペンタン、n−ペンタン、イソペンタン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキセン等及びこれらの混合物が挙げられる。
重合溶媒の使用量は、単量体1Kg当たり0.5〜2Kgの範囲である。好ましくは0.67〜1.5Kgの範囲である。重合溶媒の使用量が少ないと除熱や攪拌が難しくなり、重合溶媒使用量が多いと、重合後に除去すべき溶媒量が多くなり、熱的エネルギー使用量が増大して好ましくない。
【0030】
スチレン樹脂の製造方法においては、原料系の単量体濃度にもよるが、一般に重合時の溶液粘度は著しく高い。このため、通常の反応槽に付随するジャケットのみによる重合熱の除熱には困難を伴う。また条件により局部的な温度上昇が起こる。本製造方法においては、減圧下に付帯するリフラックスコンデンサーを用いて、重合熱を除熱することによって、反応槽R1の内温を重合温度は60℃以上、80℃未満の範囲に、均一に制御される。
重合熱が60℃以下に制御するには、反応槽内の減圧度を上げねばならず、重合熱による発泡が激しくなり好ましくない。また、重合温度を80℃以上にすると、スチレンオリゴマー類の生成量が増加し、本発明の目的にとって好ましくない。
また、設備の除熱能力を高めるため、公知の除熱方法を同時に利用することもできる。例えば、反応槽中に除熱コイルを張り巡らしたり、反応槽ジャケットとは別に外部循環ジャケットを設ける等の方法が好ましく利用できる。
【0031】
重合後は重合体末端には基本的に炭素−リチウム結合が残る。これをこのまま残すと、仕上げ段階等で空気酸化又は熱分解等を受け、得られるスチレン樹脂の安定性低下や着色の原因となる。重合後は、重合体の活性末端、即ち炭素−リチウム結合を安定化させることが好ましい。例えば水、アルコール、フェノール、カルボン酸等の酸素−水素結合を有する化合物の添加が好ましく、エポキシ化合物、エステル化合物、ケトン化合物、カルボン酸無水物、炭素−ハロゲン結合を有する化合物等も同様な効果を期待できる。これらの添加物の使用量は炭素−リチウム結合に対して0.1〜10倍当量程度が好ましい。余りに多いとコスト的に不利なだけでなく、残存する添加物の混入が障害になる場合もある。
【0032】
炭素−リチウム結合を利用して多官能化合物でカップリング反応させ、重合体分子量を増大、更には重合体鎖を分岐構造化させることもできる。この様なカップリング反応に用いるカップリング剤は公知のものから選ぶことができる。カップリング剤としてはポリハロゲン化合物、ポリエポキシ化合物、モノ又はポリカルボン酸エステル、ポリケトン化合物、モノ又はポリカルボン酸無水物、珪素又はスズのアルコキシ化合物等を挙げることができる。具体例としてはシリコンテトラクロリド、ジ(トリクロルシリル)エタン、1,3,5−トリブロモベンゼン、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、シュウ酸ジメチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、ピロメリット酸二無水物、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
また、有機リチウム由来のアルカリ成分、例えば酸化リチウムや水酸化リチウムを酸性化合物の添加によって中和安定化させることもできる。この様な酸性化合物の例として炭酸ガス、ホウ酸、各種カルボン酸化合物等が挙げられる。これらの添加により、特に得られるスチレン樹脂の吸水白濁や着色を改善できる場合がある。
【0033】
本発明のスチレン樹脂に含まれるスチレン重合体の分子量は、一般に重量平均分子量で50,000〜1,000,000、好ましく100,000〜600,000、特に好ましくは200,000〜400,000の範囲である。重量平均分子量が余りに低いと樹脂の各種の力学的性能、例えば衝撃強度、熱時剛性等が低下して好ましくない。また、重量平均分子量が高いと樹脂の成形、加工性が低下してやはり好ましくない。
本発明のスチレン樹脂に含まれるスチレン重合体の重量平均分子量と数平均分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜5.0の範囲、好ましくは2〜4の範囲である。分子量分布が余りに狭いと加工性や特定の樹脂性能、例えば衝撃強度や発泡特性が低下して好ましくない。また、余りに広い場合にも特定の樹脂性能、例えば成形時の流動特性や熱時剛性等が低下してやはり好ましくない。
本発明のスチレン樹脂は、その熱的又は機械的安定性、酸化防止性、耐候性、耐光性を改善するために、スチレン樹脂に対して使用が公の各種安定剤類を添加することができる。その例としてフェノール系安定剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤が挙げられる。
【0034】
特開平7−292188号公報によればポリスチレンの安定化方法として、2, 4,6−三置換フェノールの添加が特に有利であることが開示されている。2,4,6−三置換フェノールの好ましい例として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3' ,5' −ジ−t−ブチル−4' −ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−トリオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4' −ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0035】
リン系安定剤の好ましい具体例としては、トリス(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−,4‘−ビスフェニレンホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4,ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールホスファイト、ビス(2,6,ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビスフェニレン−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
【0036】
2, 4,6−三置換フェノールの使用量は通常はスチレン樹脂100重量部に対して1重量部以下の量で使用される。しかし、本発明のスチレン樹脂においては0.01重量部以上、0.05重量部未満であることが特に好ましい。2, 4,6−三置換フェノールの使用量が0.01重量部未満では、熱的あるいは機械的安定性、耐酸化性、耐候性等の改善効果が十分発現しない。また、0.05重量部より多いと、スチレン樹脂の使用あるいは加工条件にもよるが、安定剤自身もしくはその分解物のマイグレーションや溶出等の心配が増大する。
これらの安定剤は樹脂回収後に混合することもできる。しかし、混合が容易である点、及び溶媒回収工程での樹脂の劣化を抑えることができる点で、重合後に溶液段階での添加が特に好ましい。
【0037】
重合終了後、未反応単量体や溶媒は重合体溶液から揮発除去、回収される。揮発除去には公知の方法が利用できる。揮発除去装置としては、例えば真空タンクにフラッシュさせる方法及び押出機を用いてのベント口からの揮発除去等の方法が好ましく利用できる。溶媒の揮発性にもよるが、一般には温度を150〜300℃、好ましくは180〜260℃、特に好ましくは200〜240℃、真空度は好ましくは0〜常圧、さらに好ましくは100Pa〜50KPa にて、溶媒や残存単量体等の揮発成分を揮発除去する。複数の揮発除去装置を直列に接続し、並べる方法は高度な脱揮に効果的である。また、1段目と2段目の間に水を添加して2段目の揮発能力を高める方法も、好ましく利用できる。
【0038】
本発明のスチレン樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分は1000ppm未満であって、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が500ppm未満でなければならない。スチレン系低分子成分は好ましくは600ppm未満、更に好ましくは400ppm未満、特に好ましくは160ppm未満である。またその内の非スチレンオリゴマー成分は好ましくは300ppm未満、更に好ましくは100ppm未満、特に好ましくは40ppm未満である。
本発明のスチレン樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分は、スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とからなる。
具体的には、ここで言うスチレンオリゴマー成分とはスチレンの二量体及び三量体である。非スチレンオリゴマー成分とはこれらのスチレンオリゴマーを除く、フェニル基を1〜3個有する分子量140〜400の範囲の低分子成分である。
【0039】
スチレンの二量体は分子量が208であって、2,4−ジフェニル−1−ブテン、シス−1,2−ジフェニルシクロブタン、トランス−1,2−ジフェニルシクロブタン等が挙げられる。スチレンの三量体は分子量312であって、2,4,6−トリフェニルー1−ヘキセン、1−フェニル−4−(1' −フェニルエチル)テトラリン(4種類の異性体を含む)、1,3,5−トリフェニル−シクロヘキサン等が挙げられる。
非スチレンオリゴマー成分は、分子中に芳香環を1〜3個有する炭化水素化合物である。具体的には、芳香環を2個有する炭化水素化合物として1,3−ジフェニルプロパン、1,3−ジフェニルブタン、2,4−ジフェニルペンタン、芳香環を3個有する炭化水素化合物として1,3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5−トリフェニルヘキサン、1,2,4−トリフェニルシクロペンタン等が挙げられる。
【0040】
これらの非スチレンオリゴマー成分は、主に特定の溶媒や含まれる不純物とスチレン単量体が、有機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやスチレンオリゴマーとは言えない構造を有する。例えば、含まれるトルエンにスチレンが1分子又は2分子付加して、1,3−ジフェニルプロパンや1,3,5−トリフェニルペンタンが生成する。また、エチルベンゼンにスチレンが1分子又は2分子付加して、1,3−ジフェニルブタン、1,3,5−トリフェニルヘキサンが生成する。
その他にも、そのスチレン樹脂が分解して生成する等、生成機構は必ずしも明らかではないが、1,2,4−トリフェニルシクロペンタン、2,4−ジフェニルペンタン、1,2−ジフェニルシクロプロパン等も加熱脱揮後のスチレン樹脂中に認められる。
【0041】
本発明のスチレン樹脂に含まれるスチレン単量体は200ppm未満であることが好ましい。更に好ましくは100ppm未満、特に好ましくは20ppm未満、最も好ましくは10ppm未満である。
本発明のスチレン樹脂に含まれる残存炭化水素溶媒は2000ppm未満であることが好ましい。更に好ましくは1000ppm未満、特に好ましくは300ppm未満、最も好ましくは100ppm未満である。
これらの低分子成分、即ちスチレン単量体、スチレン系低分子成分及び残存炭化水素溶媒の含有量が多いと、スチレン樹脂の成形、加工時の熱安定性が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣る。樹脂中に含まれる低分子成分は、成形品の内部から表面に拡散又は滲むため、印刷が乗り難い、又は印刷が剥離しやすい。さらには樹脂中に含まれる低分子成分が溶出又は揮発する等の問題を来す場合がある。特にスチレン系低分子成分が多いと、成型加工時に油状物質が、金型や成形品に付着する等の問題を来す場合がある。
【0042】
スチレン単量体が20ppm未満、分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が200ppm以下かつ非スチレンオリゴマー成分が100ppm以下では、拡散又は溶出が殆ど認められず、特に好ましい。
本発明のスチレン樹脂の製造方法においては、溶媒等の揮発成分を脱揮除去されたスチレン樹脂は公知の方法でペレット状に仕上げることができる。
本発明のスチレン樹脂は、必要によりスチレン樹脂材料において使用が公知の樹脂添加剤を混合することができる。その例として染料、顔料、充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられる。また、本発明のスチレン樹脂は、必要によりその特長が失われない範囲で、他の公知の樹脂を混合して含むことができる。その好ましい例としてラジカル重合により得られるポリスチレンやハイインパクトポリスチレン、ポリフニレンエーテル、ABS、スチレン−共役ジエンブロック共重合体及びその水素添加物が挙げられる。
【0043】
本発明のスチレン樹脂は、公知の樹脂成形方法により成形することができる。
具体的な樹脂成形方法としては射出成形、圧縮成型、押出し成形、中空成形、真空成形等が挙げられる。また、各種発泡成形技術と組み合わせて、発泡成型体を成型することもできる。
本発明のスチレン樹脂は、例えば電気製品材料、雑貨材料、玩具材料、住宅の発泡断熱材、畳の芯材、食品容器材料、食品包装材料等のスチレン樹脂の使用が公知の各種用途に好ましく用いることができる。スチレン単量体、スチレン系低分子成分の含有量が極めて少ないことを生かして、食品と直接接触するような食品容器、食品包装用途に特に好ましく使用できる。
食品容器、包装の具体例としては、例えば射出成形、射出中空成形又はシート状に二軸延伸加工する等して得られる乳酸飲料容器、プリン容器、ゼリー容器、醤油さし等の食品容器、発泡成形して得られる食品トレー、インスタント麺のどんぶり、弁当箱、飲料カップ等の食品容器、又はシート加工して得られる青果物包装、水産物包装等の食品包装が挙げられる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明の態様を具体的に説明する。しかし、これらは例であって、本発明の技術的範囲を何ら限定するものではないことは当然である。
実施例1
リフラックスコンデンサー及び攪拌器を備えた実容量2リッターの完全混合型である反応槽R1と、攪拌器を備えた容量1リッターのプラグフロー型の反応槽R2とを直列に結合した。
反応槽R1にはスチレン単量体と重合溶媒としてシクロヘキサン(5wt%のn−ヘキサンを含む)の40/60重量比の混合液を1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン単量体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同反応槽にフィードした。
【0045】
反応槽R1の絶対圧で500mmHgの減圧とし、重合時の発熱はリフラックスコンデンサーに重合溶媒をリフラックスしながら除熱した。反応液の温度は70℃でほぼ安定した。反応槽R2は温度を70℃に制御した。
反応槽R1からの流出した反応液は、引き続き反応槽R2をプラグフローで通過させた。反応槽R1から流出した時点での単量体の樹脂への転化率は平均96%、反応槽R2の通過後の転化率は99.99%以上であった。
【0046】
得られた重合体溶液はリチウム量の2倍モル量の水を添加することによりアニオン活性末端を失活させ、さらに等モルの炭酸ガスを添加することにより、生成した水酸化リチウムを中和し、さらに非揮発性の2,4,6−三置換フェノール系安定剤を0.04部添加、混合した。
その後、重合体溶液は減圧したフラッシングタンク中220℃に加熱処理することで、揮発成分を除去した。更に水を重合体に対して0.5重量%添加、混合した後、220℃の減圧ベント付き押出し機を通して、残余の揮発成分を除去した。
このようにして得られたスチレン樹脂の重合体の分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnで示す)、スチレン単量体、スチレン系低分子成分及び残存炭化水素溶媒(シクロヘキサン)の含有量を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。分析の結果は表1(スチレン単量体は単量体と略記)に示す。
【0047】
実施例2
重合溶媒としてシクロヘキサン単独、モノマー/溶媒の50/50重量比の混合液を用い、反応槽R1の絶対圧で470mmHgの減圧とし、反応槽R2は温度を70℃に制御した。その他の条件は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
比較例1
攪拌器を備えた容量2リッターの完全混合型である反応槽R1(付帯のリフラックスコンデンサーなし)と、攪拌器を備えた容量1リッターのプラグフロー型の反応槽R2とを直列に結合した。両反応槽は温度を100℃に制御した。
反応槽R1にはスチレン単量体と重合溶媒としてシクロヘキサンの60/40重量比の混合液を1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン単量体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同反応槽にフィードした。
【0048】
反応槽R1からの流出した反応液は、引き続き反応槽R2をプラグフローで通過させた。反応槽R1から流出した時点での単量体の樹脂への転化率は平均98%、反応槽R2の通過後の転化率は99.99%以上であった。
得られた重合体溶液はリチウム量の3倍量のメタノールを添加することによりアニオン活性末端を失活させた。その後、重合体溶液は減圧したフラッシングタンク中240℃に加熱処理することで、揮発成分を除去した。更に水を重合体に対して0.5重量%添加、混合した後、250℃の減圧ベント付き押出し機を通して、残余の揮発成分を除去した。
このようにして得られスチレン樹脂の重合体の分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnで示す)、スチレン単量体、スチレン系低分子成分および残存炭化水素溶媒(シクロヘキサン)の含有量を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。分析の結果は表1に示す。
【0049】
比較例2
重合溶媒にエチルベンゼンを用い、両反応槽の温度を122℃とする以外は比較例1と同様に操作を実施した。
比較例3
実施例1の攪拌速度を落とし、攪拌羽根形状を変えて、反応槽R1の流れをプラグフローの状態に設定し、他の条件は比較例1と同様にして操作を実施した。
比較例4
攪拌器を備えた容量2リッターの反応器に、常温において0.75Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.75Kgのエチルベンゼン、有機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウム0.57ミリモルを仕込む。その後、攪拌しながら徐々に温度を上げたところ、50℃程度から内部発熱により昇温し、最終温度は133℃に到達した。その後、徐々に温度を下げて100℃にし、合計1.5時間反応を続けた。重合後の処理は比較例1と同様の条件で実施した。
【0050】
比較例5
攪拌器を備えた容量2リッターの反応器に、常温において1.35Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.15Kgのエチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しながら徐々に温度を上げ130〜140℃で6時間熱ラジカル重合し、その後160℃で2時間重合を続けた。重合後の処理は比較例1と同様の条件で実施した。
1)成形性評価
以上で得られたスチレン樹脂を用いて1.2mm厚のシートを樹脂温度240℃、金型温度50℃で射出成形した。また、成形性は成形シートのフローマークの状態で評価した。評価基準を以下に示す。
○:フローマークが全く認められない。
△:フローマークが僅かに認められる。
×:フローマークが顕著に認められる。
【0051】
2)金型汚染性評価
上記シート成型を500ショット実施後、金型表面をガーゼで強く拭い、ガーゼへの油状物質の付着状況で評価した。評価基準を以下に示す。
○:油状物質の付着が全く認められない。
×:油状物質の付着が僅かに認められる。
3)発泡特性
上記のスチレン樹脂を用いて、スチレン樹脂100重量部にタルク0.1重量部を添加し、一段目押出機に導入し、約220℃で熱可塑化した後、ブタンを約4重量%圧入、含浸させた。次いで、二段目押出機に送り込み、発泡に適した粘度に温調したものを約130℃のダイスより押出して、スチレン樹脂発泡シートを作成した。
【0052】
シートは十分に養生させた後、その厚み及び性能を測定もしくは評価した。スチレン樹脂発泡シートの平均厚みは約2.5mmであった。評価基準を以下に示す。
○:気泡のサイズが均一で独立
△:気泡のサイズがやや不均一で、一部連続した気泡が存在する。
×:気泡のサイズが不均一で、一部連続した気泡がやや多く存在する。
【0053】
4)溶出量の測定
前記の射出成形で得られた1.2mm厚のシートを切断し、表面積1cm2 当たり、2mlのn−ヘプタン溶媒を加え、25℃で1時間浸漬、溶出した後、ガラス容器に移し、この溶液を溶出液として分析、評価した。
(1)スチレン単量体及び炭化水素溶媒の分析方法
上記溶出液をガスクロマトグラフィー質量分析計にかけて定量分析した。
(2)スチレン系低分子成分の分析方法
上記溶出液50mlを濃縮後、ヘキサンを用いて2mlに定容し、ガスクロマトグラフィー質量分析計にかけて定量分析した。
評価結果を表2にまとめて示す。
【0054】
【表1】
Figure 0005105676
【0055】
【表2】
Figure 0005105676
【0056】
表1から明らかな様に、実施例1および2によるスチレン樹脂は、比較例5のラジカル重合によるスチレン樹脂はもとより、比較例1〜4のアニオン重合法によるスチレン樹脂に比較しても、含まれるスチレン系低分子成分や残存スチレン単量体の量が極めて少なくなっている。
また、表2から明らかな様に、実施例1および2のスチレン樹脂は、成形性、金型汚染性および発泡特性で示される樹脂性能に優れ、かつ溶出試験において単量体やスチレン系低分子成分の溶出が非検出であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明のスチレン樹脂の製造方法は、樹脂中の単量体及びスチレン系低分子成分の含有量を低減し、かつ樹脂の力学特性及び加工安定性が優れるスチレン樹脂の製造方法を提供するものである。得られるスチレン樹脂は力学特性及び加工安定性に優れ、また熱安定性が向上する。例えば成形形時に油状物質による金型汚染を顕著に改善し、成形、加工性、特に発泡特性が改善し、かつ樹脂材料からの揮発、溶出成分量が顕著に低減する。

Claims (4)

  1. 逆混合流れを有する反応槽R1の一方から、一括で又は分割して下記組成(A)を有する原料系を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成系を連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスを含み、減圧下に付帯するリフラックスコンデンサーを用いて、重合熱を除熱することによって、反応槽R1の内温を60℃以上、80℃未満に制御し、かつ反応槽R1中に存在するスチレン単量体、シクロヘキサン系溶媒及びスチレン重合体の合計量に対する該単量体の平均割合を5重量%未満に制御して重合し、得られたスチレン重合体溶液を脱揮乾燥してなるスチレン樹脂の製造方法。
    (A)
    スチレン単量体 1.0Kg
    シクロヘキサン系溶媒 0.5〜2Kg
    有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。
  2. 得られたスチレン樹脂が下記の特徴(B)を有する請求項1記載の製造方法。
    (B)
    スチレン樹脂に含まれるスチレン重合体の重量平均分子量が5万〜100万の範囲、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.0の範囲にあり、スチレン樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分の合計量が160ppm未満、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が40ppm未満である。
  3. 反応槽R1に次いで、反応槽R2を1槽又はそれ以上の反応槽を直列に結合して用いる複合重合プロセスで重合を行う請求項1または請求項2記載の製造方法。
  4. シクロヘキサン系溶媒がシクロヘキサン85〜99重量%と炭素数5〜7の他の脂肪族炭化水素15〜1重量%からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の製造方法。
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