JP5105672B2 - テトラクロロエチレンの精製方法および該方法を用いるペンタフルオロエタンの製造方法 - Google Patents

テトラクロロエチレンの精製方法および該方法を用いるペンタフルオロエタンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テトラクロロエチレンの精製方法および該精製方法を用いるペンタフルオロエタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラクロロエチレン(以下、「CCl2=CCl2」あるいは「PCE」ということがある。)の製造方法としては、例えば、(1)四塩化炭素の熱分解法、(2)塩素化オレフィンの塩素化と脱塩酸を同時に行う方法、(3)天然ガスまたはLPGなどの炭化水素と塩素を原料とする方法等が知られている。その製造工程では、テトラクロロエチレンの安定性を確保するため、安定剤が添加され、一般的に安定剤が数百〜数千ppm添加される。また、テトラクロロエチレンの用途としては、ドライクリーニング溶媒、フロンガス製造原料、溶剤等に使用される。
【0003】
一方、ペンタフルオロエタン(以下、「CF3CHF2」ということがある。)を製造する方法としては、例えば、(1)テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物をフッ化水素でフッ素化する方法(特表平9−511515号公報等)、(2)クロロペンタフルオロエタン(CClF2CF3)を水素化分解する方法(特許第2540409号公報等)、(3)ハロゲン含有エチレンにフッ素ガスを反応させる方法(特開平1−38034号公報等)が挙げられる。
【0004】
例えば、テトラクロロエチレンとフッ化水素とを気相でフッ素化触媒の存在下にて反応させてペンタフルオロエタンを製造する方法は、反応条件が異なる2段階の反応によって行われる。すなわち、テトラクロロエチレンとフッ化水素(以下、「HF」ということがある。)をフッ素化触媒の存在下、気相で反応させて、主として1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタン(以下、「CHCl2CF3」ということがある。)および1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタン(以下、「CHClFCF3」ということがある。)を生成せしめる第1の反応と、第1の反応で生成した、主としてCHCl2CF3およびCHClFCF3とHFを、フッ素化触媒の存在下、気相で反応させて、主としてペンタフルオロエタンを生成せしめる第2の反応によって製造される。
【0005】
この製造方法において、第1の反応原料の1つであるテトラクロロエチレン中には、通常数十質量ppm〜数百質量ppm程度の安定剤が分解による酸分発生等を抑えるために含まれている。例えば、フェノール、クレゾール等の水酸基を有する芳香族化合物が含まれており、テトラクロロエチレン中に安定剤が含まれない場合は、テトラクロロエチレンは安定性に欠け、酸分の発生等の副反応が進行する。
【0006】
しかしながら、テトラクロロエチレン中に含まれる安定剤は、例えばペンタフルオロエタンを製造する際に用いられる触媒の活性劣化の原因となり、好ましくは安定剤は含まれないことが望ましい。そこで、例えば第1の反応前に安定剤を除去すればよいが、従来の分別蒸留等による除去方法は、操作が煩雑であり、実装置に多額の費用を要するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような背景の下になされたものであって、本発明は、テトラクロロエチレン中に含まれる安定剤を除去することができる、操作が容易で工業的に実施可能なテトラクロロエチレンの精製方法と、該精製方法を用いるペンタフルオロエタンの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、安定剤を含むテトラクロロエチレンを、平均細孔径が3.4〜11Åであるゼオライト及び/または平均細孔径が3.4〜11Åである炭素質吸着剤と液相で接触させることにより、安定剤を低減することができることを見出した。さらに、安定剤が低減されたテトラクロロエチレンを原料として用いることにより、効率的にペンタフルオロエタンを製造することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の[1]〜[10]に示されるテトラクロロエチレンの精製方法および該精製方法を用いるペンタフルオロエタンの製造方法である。
【0009】
[1]安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンを、平均細孔径が3.4〜11Åであるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åである炭素質吸着剤と液相で接触させ、前記安定剤を低減させることを特徴とするテトラクロロエチレンの精製方法。
[2]前記ゼオライトのSi/Al比が2以下である上記[1]に記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
[3]前記ゼオライトが、モレキュラーシーブス4A、モレキュラーシーブス5A、モレキュラーシーブス10Xおよびモレキュラーシーブス13Xからなる群から選ばれる少なくとも1種のゼオライトである上記[1]または[2]に記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
[4]前記炭素質吸着剤が、モレキュラーシービングカーボン4Aおよび/またはモレキュラーシービングカーボン5Aである上記[1]に記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
[5]安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンと、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤を接触させる温度が−20〜80℃である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
【0010】
[6]安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンと、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤を接触させる圧力が0〜3MPaである上記[1]〜[5]のいずれかに記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の精製方法を用いることを特徴とする安定剤として含まれる水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンの製造方法。
[8]次の3つの工程を含むことを特徴とするペンタフルオロエタンの製造方法。
(1)上記[1]〜[6]のいずれかに記載の精製方法を用いてテトラクロロエチレン中に含まれる水酸基を有する芳香族化合物を低減する工程
(2)(1)の工程を経て前記水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させて1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程
(3)(2)の工程で得られる1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させてペンタフルオロエタンを得る工程
[9]前記(1)の工程を経た、前記水酸基を有する芳香族化合物が30質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンを用いて工程(2)を行う上記[8]に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[10]水酸基を有する芳香族化合物が、フェノール、クレゾール、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールおよびアミノメチルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である上記[8]または[9]に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
ペンタフルオロエタンの製造方法としては、例えば、テトラクロロエチレンとHFをフッ素化触媒の存在下、気相で2段階の反応で製造する方法が知られている。
出発原料の1つであるテトラクロロエチレン中には、前記の理由により数百〜数千質量ppm程度の安定剤が含まれており、安定剤は微量であっても触媒活性劣化の原因となるため、反応を行う前にできる限り低減することが望ましい。
【0012】
本発明者らは、操作が容易で安価であり、工業的に実用可能である、テトラクロロエチレン中に含まれる安定剤を低減する方法を開発すべく鋭意検討した結果、安定剤を含むテトラクロロエチレンを、平均細孔径が3.4〜11Åであるゼオライト及び/または平均細孔径が3.4〜11Åである炭素質吸着剤と液相で接触させることにより、安定剤を低減することができることを見出した。
【0013】
本発明のテトラクロロエチレンの精製方法に用いられるゼオライトは、3.4〜11Åの平均細孔径を有するものがよく、好ましくは3.4〜10Åの平均細孔径を有するものがよい。平均細孔径が11Åより大きいゼオライトは、テトラクロロエチレンの吸着量が多くなり好ましくなく、平均細孔径が3.4Åより小さいゼオライトは安定剤を吸着する能力が小さくなり好ましくない。
【0014】
また、ゼオライトのSi/Al比は2以下であることが好ましく、ゼオライトのSi/Al比が2より大きい場合には、安定剤が選択的に吸着されない傾向が見られる。ゼオライトとしては、モレキュラーシーブス4A(MS−4A)、モレキュラーシーブス5A(MS−5A)、モレキュラーシーブス10X(MS−10X)およびモレキュラーシーブス13X(MS−13X)からなる群から選ばれる少なくとも1種のゼオライトが好ましい。これらのゼオライトを用いることにより、テトラクロロエチレン中の水分も同時に低減することができる。
【0015】
炭素質吸着剤は、3.4〜11Åの平均細孔径を有するものがよく、平均細孔径が11Åより大きい炭素質吸着剤は、テトラクロロエチレンの吸着量が多くなり好ましくなく、平均細孔径が3.4Åより小さい炭素質吸着剤は安定剤を吸着する能力が小さくなり好ましくない。炭素質吸着剤は、モレキュラーシービングカーボン4A及び/またはモレキュラーシービングカーボン5Aが好ましい。
【0016】
ゼオライトと炭素質吸着剤はそれぞれ単独で使用することが吸着剤の再生を考慮すると好ましいが、混合して使用することもできる。ゼオライトと炭素質吸着剤を混合する割合は特に制限はないが、テトラクロロエチレン中の水分も低減することを考慮すると、混合比はゼオライトに富む比率が好ましい。
【0017】
安定剤を含むテトラクロロエチレンを、ゼオライト及び/または炭素質吸着剤と液相で接触させる方法としては、回分式、連続式等の公知の方法を用いることができる。工業的には吸着剤を固定床にて連続的に流通させる方法が好ましく、液体基準の空間速度(LHSV)は安定剤の濃度およびテトラクロロエチレンの処理量により適宣選択することができる。通常は1〜50Hr-1の範囲が好ましい。また、テトラクロロエチレン中の安定剤を低減する方法を工業的に実施するため、吸着塔を2塔設け、2塔を切り替えて連続的に精製を行う方法を用いてもよい。
【0018】
テトラクロロエチレンを液相で精製する際の処理温度としては、−20〜80℃が好ましく、より好ましくは0〜50℃の範囲がよい。処理温度が80℃より高いと、装置の加熱や耐圧等の点で設備費が増大することになるので好ましくなく、−20℃より低い温度では、冷却設備等が必要となり好ましくない。また、圧力は0〜3MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0〜1MPaの範囲がよい。圧力が3MPaより大きい場合には、設備の耐圧等の点で経済的でなく、好ましくない。
【0019】
以上説明したように、本発明の精製方法を用いることにより、テトラクロロエチレン中に含まれる安定剤を低減することができる。本発明の精製方法は、特にベンゼン環に水酸基を有する化合物に対して好ましく用いられ、ベンゼン環に水酸基を有する化合物としては、フェノール、クレゾール、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、アミノメチルフェノール等が挙げられる。
【0020】
安定剤を含むテトラクロロエチレンを前記のゼオライト及び/または前記の炭素質吸着剤と液相で、前記の条件下で接触させ、安定剤が30質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンを得ることができる。安定剤が10質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレン、さらに安定剤が5質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンを得ることも可能である。
【0021】
次に、本発明のペンタフルオロエタンの製造方法について説明する。
本発明のペンタフルオロエタンの製造方法は、次の3つの工程を含むことを特徴とする。
(1)前記の精製方法を用いてテトラクロロエチレン中に含まれる水酸基を有する芳香族化合物を低減する工程
(2)(1)の工程を経て前記水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させて1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程
(3)(2)の工程で得られる1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させてペンタフルオロエタンを得る工程
【0022】
(1)の工程を経て得られるテトラクロロエチレンは、前記水酸基を有する芳香族化合物が30質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンであることが好ましく、さらに好ましくは前記水酸基を有する芳香族化合物が10質量ppm以下に低減されていることがよく、特に好ましくは、前記水酸基を有する芳香族化合物が5質量ppm以下に低減されていることがよい。水酸基を有する芳香族化合物が30質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンを原料としてペンタフルオロエタンを製造すると、製造工程で使用する触媒の高寿命が図れ、効率的、経済的にペンタフルオロエタンを製造することができる。
【0023】
本発明のペンタフルオロエタンの製造方法を反応式で表すと以下のようになる。
CCl2=CCl2+3HF→CF3CHCl2+3HCl(式1)
CCl2=CCl2+4HF→CF3CHClF+4HCl(式2)
CF3CHCl2+2HF→CF3CHF2+2HCl(式3)
CF3CHClF+HF→CF3CHF2+HCl(式4)
【0024】
上記の反応は、例えばアルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で行われるが、その反応条件は異なり、式1および式2で表される第1の反応においては、反応圧力が約0.3MPa、反応温度が約300℃、HF/PCEが6(モル比)、式3および式4で表される第2の反応においては、反応圧力が約0.4MPa、反応温度が約330℃、HF/(CF3CHCl2+CF3CHClF)が4〜8(モル比)の条件下で行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(原料例)
市販のテトラクロロエチレンをガスクロマトグラフ(カラム:キャピラリー式/FID法)で分析したところ、安定剤のフェノールとクレゾールが総量で150質量ppm含まれ、テトラクロロエチレン中の水分は約50質量ppmであった。
【0026】
(実施例1)
内容積200mlのステンレス製シリンダーに、ゼオライト[モレキュラーシーブス5A(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径4.2Å、Si/Al比=1)]を20g充填した。ゼオライトを真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら(原料例)のテトラクロロエチレンを100g充填し、温度を20℃に保ちながら時々撹拌し、約4時間後、液相部の一部を採取して前記のガスクロマトグラフ条件下で分析した。その結果、安定剤であるフェノールとクレゾールは共に検出されなかった。また、処理後のテトラクロロエチレン中の水分をカールフィシャーを用いて分析したところ、水分値は3質量ppm以下であった。
【0027】
(実施例2)
内容積200mlのステンレス製シリンダーに、炭素質吸着剤[モレキュラ−シービングカーボン5A、武田薬品工業株式会社製:平均細孔径5Å]を20g充填した。炭素質吸着剤を真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら(原料例)のテトラクロロエチレンを80g充填し、温度を20℃に保ちながら時々撹拌し、約5時間後、液相部の一部を採取して前記のガスクロマトグラフ条件下で分析した。その結果、安定剤であるフェノールとクレゾールは共に検出されなかった。
【0028】
(実施例3)
吸着剤としてゼオライト[モレキュラーシーブス13X(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径10Å、Si/Al比=0.81)]を20g充填した以外は(実施例1)と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、フェノールとクレゾールは共に検出されなかった。
【0029】
(比較例1)
吸着剤としてゼオライト[モレキュラーシーブスXH−9(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径3.2Å、Si/Al比=1)]を20g充填した以外は(実施例1)と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、安定剤であるフェノールとクレゾールはほとんど吸着されず、その総量は132質量ppmであった。平均細孔径が3.4Åより小さいゼオライトを用いた場合には安定剤の吸着効率が低いことが分かった。
【0030】
(比較例2)
吸着剤として炭素質吸着剤[活性炭:粒状白さぎKL、武田薬品工業株式会社:平均細孔径35Å]を20g充填した以外は(実施例2)と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、安定剤であるフェノールとクレゾールはほとんど吸着されず、その総量は119質量ppmであった。また、テトラクロロエチレンの吸着による吸着熱が大きく、新たな分解生成物が検出された。
【0031】
(実施例4)
内容積200mlのステンレス製シリンダーに吸着剤として(実施例1)に記載したモレキュラーシーブス5Aを15gと(実施例2)に記載したモレキュラーシービングカーボン5Aを5g混合して充填した。吸着剤を真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら(原料例)のテトラクロロエチレンを80g充填し、温度を20℃に保ちながら時々撹拌し、約4時間後、液相部に一部を採取して前記のガスクロマトグラフ条件下で分析を行った。その結果、安定剤であるフェノールとクレゾールは共に検出されなかった。また、テトラクロロエチレン中の水分を分析したところ、水分値は5質量ppmであった。
【0032】
(実施例5)
内容積5Lのステンレス製シリンダーにモレキュラーシーブス5A(MS−5A)を4.8L充填し、(原料例)のテトラクロロエチレンを室温(15℃)、圧力約0.3MPaの条件下で液相10L/hr-1の線速で連続供給した。供給開始より100時間後、300時間後および500時間後の出口液を採取し分析を行った。その結果、いずれも安定剤であるフェノールとクレゾールは検出されず、水分値もいずれも5質量ppm以下であった。
【0033】
次に反応器にアルミナ−クロミア触媒を充填し、反応温度300℃、反応圧力が約0.3MPa、HF/PCEが6(モル比)、SV750hr-1の条件下で、前記のテトラクロロエチレンとHFを原料とする連続反応を行った。
反応を開始して、24時間後のPCE転化率は99.6%、500時間後のPCE転化率は99.4%であり、触媒の活性低下は認められなかった。
【0034】
(比較例3)
反応器にアルミナークロミア触媒を充填し、(原料例)の安定剤(総量150質量ppm)を含むテトラクロロエチレンとHFを、反応温度300℃、反応圧力約0.3MPa、HF/PCEが6(モル比)、SV750hr-1の条件下で連続反応を行った。
反応を開始して、24時間後のPCE転化率は99.5%、500時間後のPCE転化率は81.2%であり、触媒の活性低下が認められた。これにより安定剤が触媒活性低下に関係しているのは明らかである。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の精製方法を用いることにより、テトラクロロエチレン中に含まれる安定剤を低減することができる。本発明の精製方法は、特にフェノールやクレゾールのような水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンに対して好ましく用いられるが、アミン基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンに対しても用いることができる。また、水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンを原料としてペンタフルオロエタンを製造すると、製造工程で使用する触媒の高寿命が図れ、効率的、経済的にペンタフルオロエタンを製造することができる。

Claims (9)

  1. 安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンを、モレキュラーシーブス5Aおよびモレキュラーシーブス13Xからなる群から選ばれる少なくとも1種のゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åである炭素質吸着剤と液相で接触させ、前記安定剤を低減させることを特徴とするテトラクロロエチレンの精製方法。
  2. 前記ゼオライトのSi/Al比が2以下である請求項1に記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
  3. 前記炭素質吸着剤が、モレキュラーシービングカーボン4Aおよび/またはモレキュラーシービングカーボン5Aである請求項1に記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
  4. 安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンと、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤を接触させる温度が−20〜80℃である請求項1〜のいずれかに記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
  5. 安定剤として水酸基を有する芳香族化合物を含むテトラクロロエチレンと、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤を接触させる圧力が0〜3MPaである請求項1〜のいずれかに記載のテトラクロロエチレンの精製方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の精製方法を用いることを特徴とする安定剤として含まれる水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンの製造方法。
  7. 次の3つの工程を含むことを特徴とするペンタフルオロエタンの製造方法。
    (1)請求項1〜のいずれかに記載の精製方法を用いてテトラクロロエチレン中に含まれる水酸基を有する芳香族化合物を低減する工程
    (2)(1)の工程を経て前記水酸基を有する芳香族化合物が低減されたテトラクロロエチレンとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させて1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程
    (3)(2)の工程で得られる1、1−ジクロロ−2、2、2−トリフルオロエタンおよび1−クロロ−1、2、2、2−テトラフルオロエタンを含む混合ガスとHFを、アルミナ−クロミア触媒の存在下、気相で反応させてペンタフルオロエタンを得る工程
  8. 前記(1)の工程を経た、前記水酸基を有する芳香族化合物が30質量ppm以下に低減されたテトラクロロエチレンを用いて工程(2)を行う請求項に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  9. 水酸基を有する芳香族化合物が、フェノール、クレゾール、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールおよびアミノメチルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項またはに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
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