JP5104433B2 - 包装体 - Google Patents

Description

本発明は、外装カートン内に収納される物品を流通時における衝撃や振動等から確実に保護して、被保持物品に対する取扱いの安全性及び使用時の信頼性を確保する包装体に関するものである。

従来から、流通等において落下衝撃等の外力が加わった際に直接に外力が物品に作用して物品が損傷することがないように、また、流通時等において包装体内で物品が動くことによる損傷がないように物品を保護する各種の緩衝材からなる包装体が用いられている。具体的には、物品の形状に合せて成形した型、たとえば、発泡成形体、紙製成形体（パルプモールド）からなる緩衝材に嵌め込み、あるいは、発泡緩衝シートや発泡チップ、気泡緩衝シート〔いわゆる、エアーキャップ（登録商標）〕などと共に収納し、これを外装体で包装した包装体などが知られている。

また、他の包装体としては、窓孔を開けた基台の前記窓孔をフィルムで被覆した物品保持具を用い、物品を２枚の物品保持具のそれぞれのフィルムで挟圧し、該挟圧姿勢を拘束して物品を中空位置に保持してなる包装体（たとえば、特許文献１参照）が知られている。特許文献１に開示された包装体は、基台２の角部の強度を向上させて基台２の安定性と信頼性の高い物品保持具を提供するものであるが、特許文献１の図２、３からも明らかなように左右の側面は基台２の周壁４と外箱２０により壁が二重の構成となっているものの、外箱２０のみの壁（一重の構成）である上下の面は、側面に比べて外力に抗する力が劣るため、フィルムを損傷しやすく、物品に損傷を与える危険性があるという問題がある。
特許第３７１８４６１号公報

そこで本発明は、外装カートン内に収納される物品を流通時における衝撃や振動等から確実に保護して、被保持物品に対する取扱いの安全性及び使用時の信頼性を確保する包装体を提供することである。

本発明者は、上記課題を達成するために、請求項１記載の本発明は、外装カートンの内部で被保持物品を保持する包装体において、空気が封入された多数の緩衝突起を設けた気泡緩衝性シートで構成され、前記多数の緩衝突起で前記被保持物品の外表面を保護する緩衝保護具と、該緩衝保護具で保護された前記被保持物品を窓開き部に保持した状態で、前記緩衝保護具を挟持して固定手段により固定する略矩形状の一対の基板と、該各基板の少なくとも一組の対向する辺に折罫を介して連接され、外装カートンの内壁と当接して一対の前記基板を所定の位置から動かないように窮屈な状態で支持する支持フラップとからなる物品保持具とを備え、前記物品保持具の支持フラップは、互いに当接した状態で乖離する方向に略９０度折り曲げられる二組の台形状フラップと、互いに当接した状態でそれぞれが当接する前記台形状フラップの傾斜片と同一の角度で折り曲げられる二組の矩形状フラップとからなり、前記物品保持具の一対の基板を、前記外装カートンの対向する一組の角部の位置で支持することを特徴とするものである。

本発明によれば、物品保持具の支持フラップが外装カートンの内壁と当接して被保持物品を窓開き部で保持した一対の基板を所定の位置から動かないように窮屈な状態で支持し、かつ、緩衝保護具の多数の緩衝突起が被保持物品の外表面を保護しているため、流通時等において衝撃や振動が生じたとしても、包装体の緩衝機能を十分に発揮させることができる。また、本発明の緩衝保護具を少なくとも２層構成の気泡緩衝性シートで構成して、衝撃や振動に対する耐久性を向上させているため、緩衝保護具にピンホールが形成されることが少ない。その結果、流通時等おける被保持物品に対する取扱いの安全性及び使用時の信頼性を確保することができる。

上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図１は本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の一実施例を示す平面図、図２は本実施形態にかかる包装体に用いる外装カートンの一実施例を示す展開図、図３は本実施形態にかかる包装体に用いる緩衝保護具の一実施例を示す平面図、図４は図３におけるＩＶ−ＩＶ線部分拡大断面図、図５は本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の使用方法を説明する図であり、図中の１は物品保持具、２は基板、３は支持フラップ、４は緩衝保護具、１０は外装カートン、２０は窓開き部、２３，２４，２０１，２０２，２０３，２０４，３１１，３１２，３１３，３１４は折罫、３０は矩形状フラップ、３１は台形状フラップ、３２は糊代フラップ、４１は緩衝突起、４２，４３は気泡緩衝性シート、１００はブランク板、１０１は正面板、１０２は背面板、１０３，１０４は側面板、１０５は糊代片、１１１，１２１は表面フラップ、１１２，１２２は裏面フラップ、１１３，１１４，１２３，１２４は折込みフラップをそれぞれ示す。

図１は本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の平面図である。物品保持具１は、略矩形状の窓開き部２０を有する略矩形状の一対の基板２と、該各基板２の二組の対向する辺に折罫２３を介して連接する支持フラップ３とを備える。支持フラップ３は、対向する２つの矩形状フラップ３０と、４つの角部が切り欠かれた対向する２つの台形状フラップ３１とからなるものである。前記台形状フラップ３１の切り欠く角度としては、長辺側の折罫２３を延長した線に対して、４５度以上の角度で切り欠かれていればよいものであるが、好ましくは４５度丁度の角度である。

図２は本実施形態にかかる包装体に用いる外装カートンの一実施例を示す展開図であって、外装カートン１０〔図５（ニ）参照〕は糊代片１０５と背面板１０２と側面板１０３と正面板１０１と側面板１０４とが折罫２０１、２０２、２０３、２０４を介して連接し、前記正面板１０１に折罫３０１、３１１を介して表面フラップ１１１、１２１が連接し、前記背面板１０２に折罫３０２、３１２を介して裏面フラップ１１２、１２２が連接し、前記側面板１０３、１０４に折罫３０３、３１３および折罫３０４、３１４を介して折込みフラップ１１３、１２３および折込みフラップ１１４、１２４が連接したブランク板１００からなり、該ブランク板１００を前記側面板１０４の裏面に前記糊代片１０５を貼着して断面矩形状の筒状となし、一方の開口部を前記折込みフラップ１１３、１１４を折り込むと共に前記裏面フラップ１１２を折り込み、次いで前記表面フラップ１１１を折り込むと共に前記裏面フラップ１１２と前記表面フラップ１１１を貼着した後に、物品（収納物）を他方の開口部から収納し、次いで、前記折込みフラップ１２３、１２４を折り込むと共に前記裏面フラップ１２２を折り込み、次いで前記表面フラップ１２１を折り込むと共に前記裏面フラップ１２２と前記表面フラップ１２１を貼着したものであって、いわゆるシールエンドカートンである。なお、本発明の外装カートン１０は、シールエンドカートンに限ることはなく、たとえば、オートボトムカートン、ロックカートン、差し込み型カートンであってもよいものである。

図３は本実施形態にかかる包装体に用いる緩衝保護具の平面図であって、図４は図３におけるＩＶ−ＩＶ線部分拡大断面図である。緩衝保護具４は、空気が封入された多数の緩衝突起４１を設けた公知の気泡緩衝性シート４２，４３で構成される。緩衝保護具４は、多数の緩衝突起４１を相互に対向させた状態で、矩形状の２枚の気泡緩衝性シート４２，４３の周縁部を略Ｕ字状に溶着して一端のみが開口した袋状に構成し、被保持物品Ａを収納して保護する。前記気泡緩衝性シート４２，４３は、緩衝機能を確保するため少なくとも２層で構成されていればよいが、本実施形態では、シール時の耐熱性及び流通時等の防湿性等を考慮して、外層をポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルム４２ａ，４３ａ、中層を独立気泡型ポリエチレン（ＰＥ）フィルム４２ｂ，４３ｂ、内層をポリエチレン（ＰＥ）フィルムで構成したものである。また、２枚の気泡緩衝性シート４２，４３は、全体に緩衝突起が形成されたロール状の気泡緩衝性シートを切断したものであればよいが、本実施形態では、シール時の溶着を簡易なものとするため、製造過程でシートの所定の位置のみに多数の緩衝突起を形成し、その周囲に設けた平坦なシール領域を溶着して緩衝保護具４を構成する。例えば、感光体ドラムが露出したトナーカートリッジ等のような光が悪影響を与える物品を包装する場合には、外層のポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルム４２ａ，４３ａにグラビア印刷を施し、太陽光等の強い光を遮断することとする。

図５は本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の使用方法を説明する図である。図５（イ）に示すように、横断面が略長円形状の筒状形状の被保持物品Ａを緩衝保護具４の内部に収納する。図５（ロ）に示すように、一対の基板２に緩衝保護具４を固定するため、例えば、各基板２の窓開き部２０の周囲に、緩衝保護具４の固定手段として、例えばホットメルト接着剤を塗布する。前記窓開き部２０に被保持物品Ａを保持した状態で緩衝保護具４を挟圧して緩衝保護具４内の脱気を行った後、緩衝保護具４の開口部をシールして内部を密閉し、被保持物品Ａを封入する。

次いで、前記物品保持具１の互いに当接する二組の前記台形状フラップ３１、３１を互いに乖離する方向に前記折罫２３を介して略９０度折り曲げると共に、前記物品保持具１の互いに当接する二組の前記矩形状フラップ３０、３０を、当接する台形状フラップ３１、３１の傾斜辺と同一の角度に折り曲げることで、図５（ハ）に示す成形品Ｂを成形する。一方を封止した図５（ニ）に示す外装カートン１０に、前記成形品Ｂの前記台形状フラップ３１、３１および前記矩形状フラップ３０、３０が前記外装カートン１０の６面の内壁にそれぞれ当接するように収納すると、前記物品保持具の一対の基板２が、外装カートン１０の対向する一組の角部の位置で支持され、開口部を先に説明した要領で封止して、本発明の包装体とすることができる。

このように構成した本発明の包装体によれば、支持フラップ３が、外装カートン１０の内壁と当接して一対の前記基板２を所定の位置から動かないように窮屈な状態で支持するため、一対の前記基板２の窓開き部２０に保持された被保持物品Ａが外装カートン１０内に宙吊り状態で収納されると共に、外装カートン１０の全ての面（全６面）が前記物品保持具１の支持フラップ３により少なくともその一部が二重の壁を備えた包装体となる。

これにより、流通時等において外力が包装体に加わった際にも直接に外力が物品に作用して物品を損傷することがなく、流通時等において包装体内で物品が動くことによる損傷（ガタつくことによる損傷）を防止することができる。また、前記支持フラップ３は設計の許す範囲において、より幅広の方が望ましいものである。さらに、被保持物品Ａを保護する緩衝保護具４に衝撃や振動が直接加わっても、緩衝保護具４自体の緩衝機能によって、被保持物品Ａの損傷を招くピンホールが形成されることが少ない。例えば、緩衝保護具４を破損するような衝撃が加わったとしても、緩衝保護具４は上述したように３層の気泡緩衝性シート４２，４３で構成されているため、被保持物品Ａまでに到達するようなピンホールを形成することはない。なお、符号Ｔはタックラベルを示し、被保持物品Ａを取り出す際に、タックラベルＴを手指等で摘んで開封方向へ引っ張ることにより、伸縮フィルム４を容易に引き裂くことができ、引き裂き開口部から被保持物品Ａを簡単に取り出すことができる。

次に、前記物品保持具１を構成する一対の前記基板２および前記支持フラップ３、および、外装カートン１０の材質としては、被保持物品Ａが小型の場合には、板紙、Ｅフルート段ボールが適当であり、また、大型化して重量が増える場合には、Ａ，Ｂフルート段ボールが適当であり、被保持物品Ａの重量や形状、大きさ、あるいは、印刷の有無等を考慮してダンボールを構成する素材、厚み等について適宜選定すればよいものである。

なお、前記各基板２に連接される物品保持具１の支持フラップ３は、上記の実施例では、二組の矩形状フラップ３０と、二組の台形状フラップ３１とからなるものであるが、このような構成に限定されるものではなく、二組の台形状フラップ３１のみからなるものであってもよい。また、前記支持フラップ３の矩形状フラップ３０には、図６に示すように、折罫２４を介して糊代フラップ３２が連接されてもよいし、前記支持フラップ３は、図７に示すように、四組の矩形状フラップ３０，３０及び３１，３１からなるものであってもよいし、矩形状フラップ３０，３０及び３１，３１のいずれか一方のみの二組の矩形状フラップからなるものであってもよい。

物品保持具１の支持フラップ３が四組の矩形状フラップ３０，３０及び３１，３１からなるものである場合も、上記の実施例と同様の方法で被保持物品Ａを封入した緩衝保護具４を物品保持具１の一対の基板２で挟持して固定した後、前記折罫２３を介して互いに乖離する方向に互いに当接する四組の矩形状フラップ３０，３０及び３１，３１を略９０度折り曲げることで、図８（ハ）に示す成形品Ｂを成形する。一方を封止した図８（ニ）に示す外装カートン１０に、前記成形品Ｂの前記矩形状フラップ３０，３０及び３１，３１が前記外装カートン１０の６面の内壁にそれぞれ当接するように収納すると、前記物品保持具の一対の基板２が、外装カートン１０の対向する一方の壁部と平行な位置で支持され、開口部を先に説明した要領で封止して、本発明の包装体とすることができる。

本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の一実施例を示す平面図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる外装カートンの一実施例を示す展開図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる緩衝保護具の一実施例を示す平面図である。 図３におけるＩＶ−ＩＶ線部分拡大断面図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる図１の物品保持具の使用方法を説明する図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の別の実施例を示す平面図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる物品保持具の別の実施例を示す平面図である。 本実施形態にかかる包装体に用いる図７の物品保持具の使用方法を説明する図である。

符号の説明

１ 物品保持具
２ 基板
３ 支持フラップ
４ 緩衝保護具
１０ 外装カートン
２０ 窓開き部
２３，２４，２０１，２０２，２０３，２０４ 折罫
３０ 矩形状フラップ
３０’ 矩形状フラップ
３１ 台形状フラップ
３１’ 矩形状フラップ
３２ 糊代フラップ
４１ 緩衝突起
４２，４３ 気泡緩衝性シート
４２ａ，４３ａ ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルム
４２ｂ，４３ｂ 独立気泡型ポリエチレン（ＰＥ）フィルム
４２ｂ，４３ｂ ポリエチレン（ＰＥ）フィルム
１００ ブランク板
１０１ 正面板
１０２ 背面板
１０３，１０４ 側面板
１０５ 糊代片
１１１，１２１ 表面フラップ
１１２，１２２ 裏面フラップ
１１３，１１４，１２３，１２４ 折込みフラップ
３１１，３１２，３１３，３１４ 折罫

Claims (3)

1. 外装カートンの内部で被保持物品を保持する包装体において、
   空気が封入された多数の緩衝突起を設けた気泡緩衝性シートで構成され、前記多数の緩衝突起で前記被保持物品の外表面を保護する緩衝保護具と、
   該緩衝保護具で保護された前記被保持物品を窓開き部に保持した状態で、前記緩衝保護具を挟持して固定手段により固定する略矩形状の一対の基板と、該各基板の少なくとも一組の対向する辺に折罫を介して連接され、外装カートンの内壁と当接して一対の前記基板を所定の位置から動かないように窮屈な状態で支持する支持フラップとからなる物品保持具とを備え、前記物品保持具の支持フラップは、互いに当接した状態で乖離する方向に略９０度折り曲げられる二組の台形状フラップと、互いに当接した状態でそれぞれが当接する前記台形状フラップの傾斜片と同一の角度で折り曲げられる二組の矩形状フラップとからなり、前記物品保持具の一対の基板を、前記外装カートンの対向する一組の角部の位置で支持することを特徴とする包装体。
2. 前記緩衝保護具は、外層をポリエチレンテレフタレートフィルム、中層を独立気泡型ポリエチレンフィルム、内層をポリエチレンフィルムで構成した気泡緩衝性シートからなることを特徴とする請求項１に記載の包装体。
3. 前記緩衝保護具は、多数の前記緩衝突起の周囲に設けた平坦なシール領域を溶着した気泡緩衝性シートで構成されることを特徴とする請求項１又は２に記載の包装体。

Images