JP5103693B2 - 電池用積層フィルムおよびそれを用いた電池用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の外装材に使用する電池用積層フィルム、およびそれを用いた電池用容器に関し、更に詳しくは、薄型化と軽量化に対するニーズの大きいリチウム電池などの外装材にも好適に使用できるよう、薄くて軽く、各種の機械的強度、高度の水蒸気その他のバリヤー性、電解液や酸などに対する耐性、ヒートシール時などの熱に対する耐熱性に優れると共に、トレー状容器などへの成形性にも優れた電池用積層フィルム、およびそれを用いてなる性能に優れた電池用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電池の外装材となる容器には、大抵の場合、金属製の容器が用いられていた。しかし、ノート型パソコン、携帯電話など各種の電子機器の発達、普及に伴い、その薄型化と軽量化が進められると共に、これらに使用される電池についても、その重量をできるだけ軽くし、また、使用機器における電池用スペースをできるだけ少なくできるよう薄型化、軽量化が求められている。
【0003】
このような要望に応えるために、例えば、電池の電極や電解質などに、高分子材料を導入し、シート状などに薄型化、軽量化した種々のポリマー電池が研究開発されている。
このようなポリマー電池の代表的な例として、例えば、リチウムポリマー電池が挙げられるが、これらのポリマー電池は、電池自体の厚さを薄くするため、その外装材についても積層フィルムを用いて薄型化、軽量化する方法が採られている。
【0004】
リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池などの外装材に積層フィルムを使用する場合、その形態、使用方法としては、例えば、積層フィルムを、周囲にフランジ部を備えたトレー状容器に成形し、その成形凹部に電池の構成材料を収納すると共に、電極端子を外側に延長し、その上部を積層フィルム製の蓋材で覆って、フランジ部で熱接着して密封し、電池を形成する方法、或いは、積層フィルムを、三方シール形式、四方シール形式、ピローパウチ形式などで、一端が開口する袋状に製袋し、内部に電池の構成材料を収納すると共に、電極端子を内部から開口部を通して外側に延長し、その開口部を熱接着により封止して電池を形成する方法などがある。
【0005】
このような電池の外装材に用いる積層フィルムには、その軽さおよび薄さと共に、各種の機械的強度や電解液などに対する耐性、水蒸気その他のバリヤー性、熱封緘性、更に電極端子との熱接着性など様々な性能が必要であり、特に、前記フランジ付きのトレー状容器に成形して用いる場合は、その成形性にも優れることが必要である。
また、電池が、リチウムイオン電池などの場合は、水分が内部に侵入すると、電解質成分と反応してフッ化水素を発生し、これが熱接着性樹脂層を通して金属箔層を侵すため、熱接着性樹脂層などを剥離させてしまうことがある。従って、その積層フィルムには、高度の防湿性が必要となる。
【0006】
このような電池の外装材に用いる積層フィルムは、外装の形状として、成形加工を施したトレー状容器形式を採るか、或いは、製袋による袋形式を採るかにより、積層材料の材質や厚さなどを若干変える必要があるが、できるだけ積層フィルムの厚さを薄くするためには、外側から、基材フィルム層、金属箔層、熱接着性樹脂層が順に積層された構成を基本とし、必要に応じて、これに接着層、表面保護層などを付加した構成を採ることができる。
【0007】
そして、上記基材フィルム層には、例えば、各種の機械的強度や低温特性などに優れた2軸延伸ナイロンフィルムを使用することができ、金属箔層には、アルミニウムなどの金属箔を、そして、熱接着性樹脂層には、熱封緘性に加えて電解液などに対する耐性を考慮した場合、例えば、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどを使用することができ、これらのうち、いずれか一種の単層、または二種以上を適宜に積層した複合層として使用することができる。
また、前記電解液に対する耐性や、その他の耐薬品性については、上記の中でも、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンが優れており、これらを使用することが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電池用積層フィルムを前記のように構成することにより、電池の外装材としての基本的な性能は満たすことができる。しかし、熱接着性樹脂層に前記ポリプロピレンや酸変性ポリプロピレンを使用した場合でも、熱封緘性に加えて、電解液や酸などに対する耐性には優れているが、例えば、積層フィルムを、周囲にフランジ部を設けたトレー状の電池用容器に成形して用いる場合、成形凹部の形状、即ち、深さや側壁の角度、角部の形状などによっては、ポリプロピレンや酸変性ポリプロピレンが比較的硬く、脆さのある樹脂であるため、絞り部に亀裂を生じ易い問題があった。
また、金属箔層に関しても、例えばアルミニウム箔は、水蒸気その他のバリヤー性およびプレス成形などの成形性に優れているが、そのままでは、前記フッ化水素が発生した場合、熱接着性樹脂層を通過して侵されやすいなどの問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電池の外装材に用いられる積層フィルムであって、薄くて軽く、高度の水蒸気その他のバリヤー性を有し、各種の機械的強度、電解液や酸などに対する耐性、熱封緘性などに優れると共に、袋状への製袋適性はもとより、トレー状容器などへの成形性にも優れ、各種の性能に対する要求の厳しいリチウムイオン電池などの外装にも好適に使用することのできる電池用積層フィルムと、それを用いた性能に優れた電池用容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により解決することができる。即ち、請求項1に記載した発明は、電池の外装材に用いられる積層フィルムであって、該積層フィルムが、少なくとも外側から、2軸延伸ナイロンフィルム層、金属箔層、接着性強化層、熱接着性樹脂層が順に積層された積層体で形成され、且つ、前記接着性強化層が、下記(1)〜(4)のいずれかの樹脂で形成されると共に前記熱接着性樹脂層が、プロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィンとの共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体で形成されていることを特徴とする電池用積層フィルムからなる。
(1)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体
(2)酸変性プロピレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂
(3)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂
(4)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・ブテン共重合体とをブレンドした樹脂
【0011】
このような構成を採ることにより、本発明の電池用積層フィルムは、外側の2軸延伸ナイロンフィルム層により強靱性、高衝撃強さ、高破裂強さ、高突き刺し強さ、耐ピンホール性など各種の優れた機械的強度と優れた低温特性が付与され、金属箔層により高度の水蒸気その他のバリヤー性が付与される。
そして、金属箔層の内側には、接着性強化層を介して、プロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど)との共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体で形成された熱接着性樹脂層が積層されている。
【0012】
上記接着性強化層は、金属箔層と熱接着性樹脂層との積層強度を向上させるために設けたものであり、両者との熱接着性に優れた酸変性ポリプロピレン、酸変性プロピレン・エチレン共重合体なども使用できるが、次の項で説明する(1)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、(2)酸変性プロピレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂、(3)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂、(4)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・ブテン共重合体とをブレンドした樹脂のうちのいずれかを用いることが、両者との接着性を向上できると同時に、それ自体が伸びやすく成形性にも優れている点で更に好ましい。
【0013】
また、熱接着性樹脂層のプロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィンとの共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体は、プロピレン単独のポリマーよりも成形性がよく、且つ、熱封緘性および電解液や酸などに対する耐性においても優れているので、上記熱接着性樹脂層により、良好な熱封緘性および電解液や酸などに対する耐性が付与されると共に、積層フィルムを薄型のフランジ付きトレー状容器に成形した際も、熱接着性樹脂層に亀裂などを生じることがなく、成形性も向上させることができる。
従って、軽くて薄く、各種の機械的強度、水蒸気その他のバリヤー性、電解液や酸などに対する耐性、熱封緘性など電池の外装材としての基本的な性能に優れると共に、薄型のフランジ付きトレー状容器などへの成形性にも優れた電池用積層フィルムを提供することができる。
【0015】
接着性強化層は、先にも一部説明したように、金属箔層と熱接着性樹脂層との積層強度を向上させることが主たる目的であるが、同時に、積層フィルムをトレー状容器に成形する場合は、その成形性も必要であり、また、熱接着性樹脂層に対応してある程度の耐熱性も必要である。従って、上記(1)〜(4)の樹脂において、酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体は、密度が0.85g/cm3よりも大きく、融点が105℃以上のものを用いることが接着性、成形性と共に、耐熱性をよくする点で好ましい。
【0016】
また、これらに酸変性プロピレン・エチレン共重合体、または酸変性プロピレン・ブテン共重合体をブレンドする場合、そのブレンド比は、酸変性プロピレン・ブテン共重合体、または酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体100重量部に対して、酸変性プロピレン・エチレン共重合体、または酸変性プロピレン・ブテン共重合体を200重量部までの範囲でブレンドすることができる。
また、上記酸変性は、特に限定はされず、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水シトラコ酸、イタコン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸、または、その無水物をグラフト重合して変性することができる。
このような酸変性により、金属に対する接着性が向上されるので、接着性強化層は、金属箔層と熱接着性樹脂層の両方に強固に接着し、熱接着性樹脂層の積層強度を向上させることができる。
【0017】
従って、熱接着性樹脂層を金属箔層に強固に積層できると同時に、接着性強化層の樹脂自体も伸びやすく成形性に優れるため、トレー状の容器に成形する際、熱接着性樹脂層と共に亀裂などを生じることがなく、安全に成形することができる。
【0018】
請求項2に記載した発明は、前記金属箔層がアルミニウム箔であって、且つ、少なくともその内側の面がクロメート処理されていることを特徴とする請求項1に記載の電池用積層フィルムである。
【0019】
前記金属箔層としては、アルミニウム箔のほか、銅箔、錫箔、ニッケル箔などを使用することができるが、中でもアルミニウム箔は、軽量で展延性に富み、成形およびラミネートなどの加工性に優れると共に、水蒸気その他のバリヤー性にも優れ、更に、汎用性金属箔として比較的安価で経済性にも優れている。
また、アルミニウム箔層の少なくとも内側の面をクロメート処理することにより、前述の電解質に由来するフッ化水素に対する耐性を向上させることができる。
上記クロメート処理は、例えば、フェノール樹脂、リン酸、フッ化クロム(III) 化合物の水溶液をロールコート法などで塗布した後、アルミニウム箔の温度が170〜200℃になるように加熱して皮膜形成するものである。
このようなクロメート処理は、アルミニウム箔層の内側の面のみに行ってもよいが、両側の面に行うことが更に好ましい。
【0020】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、ラミネートなどの加工が容易で、プレス成形などの成形性もよく、水蒸気その他のバリヤー性に優れると共に、前記フッ化水素などに対する耐性、更には経済性にも優れた電池用積層フィルムを生産性よく製造することができる。
【0021】
そして、請求項3に記載した発明は、内部に電池の構成材料を収納し、電池を形成するために用いる電池用容器であって、該容器が、前記請求項1、2のいずれかに記載の電池用積層フィルムで形成されていることを特徴とする電池用容器からなる。
【0022】
このような構成をとることにより、前記請求項1、2のいずれかに記載した発明の電池用積層フィルムを用いて電池用容器を作製することができるので、容器の形式が、四方シール形式などの袋形式、またはフランジ付きトレー状容器と蓋材などからなる成形容器形式のいずれであっても、電池用積層フィルムは、良好な製袋適性と成形適性とを有しており、容易に製袋または成形して電池用容器を作製することができる。特に、前記トレー状容器に成形する際も、積層フィルムの最内層の熱接着性樹脂層が、接着性強化層と共に、成形性にも優れた構成に改善されているので、この部分に亀裂などが発生することもなく、電池用容器の性能、安全性を向上させることができる。そして、作製された電池用容器は、薄くて軽く、各種の機械的強度に優れると共に、高度の水蒸気その他のバリヤー性を有し、電解液やフッ化水素などに対する耐性にも優れており、総合的に優れた性能の電池用容器を提供することができる。
【0023】
請求項4に記載した発明は、前記容器が、プレス成形により形成されたフランジ付きトレー状容器に蓋材を重ねて、そのフランジ部で熱接着する形式、または、前記フランジ付きトレー状容器を、その内面同士が対向するように上下に重ねてフランジ部で熱接着する形式のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電池用容器である。
【0024】
このような構成をとることにより、前記請求項3に記載した発明の作用効果に加えて、フランジ付きトレー状容器に電池の構成材料を収納して電池を形成する際、大きく開口したトレー状容器の上部から電池の構成材料を装着し、フランジ部で蓋材を熱接着して密封し、電池を形成することができるので、操作が簡単でし損じも少なく、生産性よく電池を製造することができる。また、電池用容器を、その身蓋両方にフランジ付きトレー状容器を用いて構成した場合は、身のみにフランジ付きトレー状容器を用いて、蓋材はフラットな積層フィルムで構成した場合と比較して、成形凹部の深さを1/2に浅くすることができるので、その分、積層フィルムの2軸延伸ナイロンフィルム層や金属箔層の厚さを薄くできる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の電池用積層フィルムに用いる材料、およびその積層方法、また、その積層フィルムを用いた電池用容器の製造方法など発明の実施の形態について説明する。
本発明の電池用積層フィルムは、先に説明したように、電池の外装材に用いられる積層フィルムであって、少なくとも外側から、2軸延伸ナイロンフィルム層、金属箔層、接着性強化層、熱接着性樹脂層が順に積層された積層体で形成され、且つ、該熱接着性樹脂層が、プロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィンとの共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体で形成された構成を基本とする。
【0026】
そして、このような積層フィルムを、例えば、身蓋形式などで周囲にフランジ部を設けた浅いトレー状容器に成形し、或いは、四方シール形式などで一端が開口する袋状に製袋して電池用容器を製造し、その内部に電池の構成材料を収納すると共に、内部から外側に電極端子を延長して、開口部を熱接着により封止して、薄型などの電池を製造するものである。
【0027】
前記積層フィルムの構成において、2軸延伸ナイロンフィルム層には、ナイロン6、66、12、MXD6などの2軸延伸フィルムを使用することができる。
また、金属箔層は、積層フィルムに高度の水蒸気その他のバリヤー性を付与するために設けるものであり、この金属箔層には、先に説明したように、アルミニウム箔を好適に使用することができる。そして、少なくともその内側の面(熱接着性樹脂層が積層される側の面)には、前記フッ化水素などに対する耐性、即ち、防食性を向上させるために、化成処理、具体的には前述のクロメート処理を施すことが好ましい。このクロメート処理はアルミニウム箔の両面に施すことが更に好ましい。
上記クロメート処理を施した場合、アルミニウム箔の防食性が向上するだけでなく接着性も向上し、2軸延伸ナイロンフィルムや熱接着性樹脂層をラミネートした時、その接着強度も強くすることができる。
【0028】
上記2軸延伸ナイロンフィルム層と金属箔層とのラミネートは、例えば、公知のドライラミネーション法により、ポリウレタン系などの2液硬化型接着剤を用いて容易に行うことができる。
また、上記各層の積層面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理などの易接着性処理を施して接着性を向上させることができる。
【0029】
そして、金属箔層の内側の面には、接着性強化層を介して、熱接着性樹脂層を積層する。
熱接着性樹脂層は、熱接着性のほか、耐内容物性、即ち、電解質を含む電解液に対する耐性や、特に積層フィルムをトレー状の容器に成形して用いる場合、その成形性も必要となる。
このような熱接着性樹脂層には、プロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど)との共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体を用いることが好ましく、特に、プロピレン−エチレンのランダム共重合体で、エチレン成分の含有量が7重量%程度のものを用いることが更に好ましい。
【0030】
前記接着性強化層は、先に説明したように、金属箔層と熱接着性樹脂層との積層強度を向上させるために設けたものであり、前記請求項1に記載した発明で挙げた(1)〜(4)の樹脂を特に好適に使用することができる。これらの樹脂については、先に詳しく説明したのでここでは省略する。只、これらの樹脂以外にも、例えば酸変性ポリプロピレン、酸変性プロピレン・エチレン共重合体などを良好に使用することができる。
【0031】
金属箔層の内側の面に、接着性強化層を介して、熱接着性樹脂層を積層する方法は、押し出しラミネーション法を採ることが好ましく、熱接着性樹脂層の樹脂を予め所定の厚さ(30μm程度)のフィルム状に製膜し、金属箔層と熱接着性樹脂層のフィルムとの間に、前記接着性強化層の樹脂を所定の厚さ(15μm程度)の膜状に押し出して、両側からニップロールなどで加圧、密着させて積層することができる。
この場合、金属箔、例えばアルミニウム箔面を、熱風や熱ロールを用いて、接着性強化層の樹脂の軟化点よりも高い温度になるように加熱しながら積層することにより、その接着強度を一層強くすることができる。また、金属箔層の表面にオゾン処理を施しながら積層する方法でも、その接着性を一層向上させることができる。
【0032】
このような電池用積層フィルムを、周囲にフランジ部を設けた薄型のトレー状の電池用容器に成形する場合、例えば、雄型と雌型とを用いたプレス成形などにより成形することができる。
上記成形の際、積層フィルムの滑り性が不足する場合は、必要に応じて、外側の面には、シリコーン処理などを施すか、或いは、シリコーン処理などを施した表面保護層を設けてもよく、また、内側の面には、流動パラフィンを薄く塗布して滑り性を向上させることができる。
【0033】
【実施例】
以下に、図面を用い、また、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の図面および実施例に限定されるものではない。
図1、図2は、それぞれ本発明の電池用積層フィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。
図3、図4、図5は、それぞれ本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の一実施例の構成を示す模式断面図または模式平面図である。
また、図5は、本発明の電池用容器を用いて作製される電池の一例の構成を説明する斜視図である。
【0034】
図1に示した電池用積層フィルム50は、外側(図において上側)から、2軸延伸ナイロンフィルム層1、接着剤層2、金属箔層3、接着性強化層4、熱接着性樹脂層5が順に積層されて構成されている。
上記の構成において、2軸延伸ナイロンフィルム層1の厚さは、積層フィルム50を、四方シール形式などの袋状の電池用容器に加工して用いる場合は、15μm程度の厚さでもよいが、例えば、深さが3〜5mm程度のフランジ付きトレー状容器に成形して用いる場合は、25μm程度の厚さが好ましい。
【0035】
金属箔層3には、両面に前記クロメート処理の施されたアルミニウム箔を用いることが好ましく、その厚さは、積層フィルム50を、袋状の電池用容器に加工して用いる場合は、20〜30μm程度の厚さでよく、深さが3〜10mm程度のフランジ付きトレー状容器に成形して用いる場合は、30〜100μm程度の厚さが好ましい。
尚、接着剤層2は、この場合、2軸延伸ナイロンフィルム層1と金属箔層3とをドライラミネーション法で積層するために用いるドライラミネート用接着剤であり、例えば、ポリウレタン系などの2液硬化型接着剤を使用することができる。接着剤層2の厚さは、2〜8μm程度が適当である。
【0036】
また、金属箔層3の内側には、先にも説明したように、前記接着性強化層4を介して、熱接着性樹脂層5が積層されており、それぞれの厚さは、接着性強化層4が15μm程度で、熱接着性樹脂層5は30μm程度が適当である。
このような構成を採ることにより、電池用積層フィルム50は、薄くて軽く、強靱性、高衝撃強さ、高破裂強さ、高突き刺し強さなど各種の機械的強度、水蒸気その他のバリヤー性、電解液や酸などに対する耐性、熱封緘性など電池の外装材としての基本的な性能に優れると共に、薄型のフランジ付きトレー状容器などへの成形性にも優れたものとなる。
【0037】
図2は、本発明の電池用積層フィルムの別の一実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した電池用積層フィルム60は、前記図1に示した電池用積層フィルム50の構成において、最外層の2軸延伸ナイロンフィルム層1の上に、更に、接着層2′を介して、表面保護層6を積層して構成したものである。
表面保護層6には、電解液などに対する耐性や耐熱性、耐擦傷性などに優れ、また、吸湿性も少ない2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムなどの2軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ6〜12μm程度)、或いは、電離放射線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂の塗膜層(厚さ0.5〜3μm程度)を用いることができる。
【0038】
表面保護層6に上記2軸延伸ポリエステルフィルムを用いる場合は、ドライラミネーション法で2軸延伸ナイロンフィルム層1の外側に積層できるので、接着層2′には、ポリウレタン系などの2液硬化型接着剤を用いることができる。
また、表面保護層6を電離放射線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂の塗膜層で形成する場合は、接着層2′は、プライマーコート層としてもよく、不要な場合は省略してもよい。
【0039】
尚、上記電離放射線硬化型樹脂または熱硬化性樹脂は、一般的には、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合した組成物であり、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどの各種アクリレート樹脂のほか、シロキサンなどの珪素樹脂、そして、ポリエステル、エポキシ樹脂などの組成物を使用することができる。
このような構成を採ることにより、前記図1に示した電池用積層フィルム50の構成で説明した作用効果に加えて、厚さは若干厚くなるが、表面の電解液などに対する耐性や耐熱性などを一層向上させることができる。
【0040】
次に、図3は、本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第1の実施例の構成を示す模式断面図である。
図3に示した電池用容器100は、プレス成形などにより形成された周囲にフランジ部8を備えたトレー状容器7と、その上に被せられるフラットな蓋材9とで構成されており、それぞれが、前記図1または図2に示したような構成の電池用積層フィルム50、60を用いて、その熱接着性樹脂層5が内側になるように形成されている。
【0041】
このような電池用容器100は、フランジ付きトレー状容器7の成形凹部に電池の構成材料を装着し、内部から外側に電極端子を延長した後、その上部に蓋材9を被せて、周囲のフランジ部8で両者を熱接着して密封することにより、薄型の電池を作製することができる(図6参照)。
この時、電極端子のヒートシール部に、予め酸変性ポリプロピレンなどの被覆を施すか、或いは、電極端子の両側に酸変性ポリプロピレンなどのフィルムを挿入してヒートシールすることにより、電極端子の通過部のヒートシールを一層良好に行うことができる。このような電極端子のヒートシール方法は、以下の図4、図5に示す電池用容器においても同様に適用することができる。
【0042】
尚、この電池用容器100は、フランジ付きトレー状容器7と蓋材9とが別々に切り離された2ピース構成としたが、この場合、蓋材9は、フラットな形状で成形加工が行われないので、電池用積層フィルムの2軸延伸ナイロンフィルム層や金属箔層の厚さを薄くすることができる。
また、電池用容器100は、フランジ付きトレー状容器7と蓋材9とが、フランジ部8の一端でヒンジ状につながった1ピース構成とすることもできる。
このような構成を採ることにより、フランジ付きトレー状容器7への電池の構成材料の装着は、成形凹部の上部が大きく開口しているので、操作が極めて容易であり、生産性よく電池を製造することができる。
【0043】
図4は、本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第2の実施例の構成を示す模式断面図であり、図4に示した電池用容器200は、前記図3に示した電池用容器100の構成において、蓋材9にも下側のフランジ付きトレー状容器7と同様なフランジ付きトレー状容器7を用いて構成したものである。
このような構成を採った場合、身蓋両方のフランジ付きトレー状容器7、7に成形凹部が形成されているので、それぞれの成形凹部の深さは、例えば、1/2に浅くすることができる。従って、フランジ付きトレー状容器7の成形に用いる電池用積層フィルム50、60は、その2軸延伸ナイロンフィルム層や金属箔層の厚さを、絞り深さが浅くなった分、薄くすることができる。
また、この場合も、上下のフランジ付きトレー状容器7、7が、周囲のフランジ部8の一端でヒンジ状につながった1ピース構成にすることもできる。
【0044】
このような構成を採った場合も、下側のフランジ付きトレー状容器7の成形凹部の上から、電池の構成材料を装着し、内部から外側に電極端子を延長した後、その上部に上側のフランジ付きトレー状容器7を被せて、周囲のフランジ部8で両者を熱接着して密封することにより、薄型の電池を作製することができる。
従って、前記図3に示した電池用容器100と同様、電池の構成材料の装着も容易に行うことができ、生産性よく薄型の電池を製造することができる。
【0045】
図5は、本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第3の実施例の構成を示す模式平面図である。図5に示した電池用容器300は、前記図1または図2に示したような構成の電池用積層フィルム50、60を用いて、四方シール形式の袋状に製袋して構成したものである。
このような構成の電池用容器300は、プレス成形などの成形を必要としないので、成形性を向上させた本発明の電池用積層フィルムを用いて作製する電池用容器としては必ずしも本筋ではないが、製造が容易で且つ性能に優れているので、一実施例として挙げたものである。
このような電池用容器300は、前記図1または図2に示した構成の積層フィルム50、60を、その熱接着性樹脂層同士が対向するように重ね合わせて、周囲三方の端縁部を熱接着部10でヒートシールし、一端が開口部11で開口する袋状に製袋して構成したものである。
【0046】
このような電池用容器300を用いて電池を作製する場合、開口部11から電池の構成材料を挿入し、内部から開口部11を通して外側に電極端子を延長した後、開口部11を電極端子と共にヒートシールして密封することにより、薄型の電池を作製することができる。
【0047】
また、電池用容器を四方シール形式の袋状容器に形成する場合、必ずしも図示したような一端が開口する袋状容器を予め形成する必要はなく、例えば、専用の充填シール装置を用意することにより、一方の電池用積層フィルムの上に、電池の構成材料を配置し、電極端子を一端から外側に延長した後、その上にもう一方の積層フィルムを重ねて周囲四方の端縁部を、逐次または同時にヒートシールして密封し、薄型の電池を作製することもできる。
【0048】
図6は、本発明の電池用容器を用いて作製される電池の一例の構成を説明する斜視図である。但し、電池自体が薄型であるため、その厚さは省略して示した。
図6に示した電池500は、上面がフラットな形状になっているので、前記図3に示した電池用容器100を用いて作製した電池に相当するが、図4、図5に示した電池用容器200、300を用いて電池を作製した場合も、上面に僅かな膨らみ部が形成される以外は、略同様な形状となる。
【0049】
このような薄型の電池500は、例えば、図3に示した電池用容器100を用いて、そのフランジ付きトレー状容器7の成形凹部に、上部から電池の構成材料を装着し、内部から一端のフランジ部8の上を経由して外側に、正極および負極の電極端子12a 、12b を延長して設けた後、その上に蓋材9を被せて、周囲のフランジ部8、即ち、熱接着部10で両者を熱接着して密封することにより作製することができる。
この場合、フランジ付きトレー状容器7への電池の構成材料の装着は、先に説明したように、成形凹部の上部が大きく開口しているので、操作が極めて容易であり、生産性よく電池を製造することができる。
【0050】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
以下の実施例1〜実施例10、および比較例1は、いずれも電池用積層フィルムを、外側から、2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)、接着剤層(厚さ3μm)、アルミニウム箔(厚さ40μm)、接着性強化層(厚さ15μm)、熱接着性樹脂層(厚さ30μm)が順に積層された構成で作製し、その接着性強化層の樹脂と熱接着性樹脂層の樹脂のみを、下記実施例1〜実施例10、および比較例1に示した樹脂に変更して作製すると共に、それぞれの電池用積層フィルムを用いて、前記図3に示した形式のフランジ部を備えたトレー状容器と蓋材からなる身蓋形式の電池用容器を作製した。
【0051】
上記アルミニウム箔には、JIS8079材の軟質アルミニウム箔を用い、その両面に予め前記クロメート処理を施したものを用いた。
そして、上記電池用積層フィルムは、2軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔とをポリウレタン系の2液硬化型接着剤を用いて公知のドライラミネーション法で貼り合わせた後、そのアルミニウム箔面に、予め厚さ30μmに製膜された熱接着性樹脂層のフィルムを、前記押し出しラミネーション法により、両者の間に接着性強化層の樹脂を厚さ15μmに溶融押し出して、圧着、冷却して積層し、作製したものである。また、上記押し出しラミネーションの際には、アルミニウム箔面が、接着性強化層の樹脂の軟化点よりも高い温度になるように、熱風と熱ロールを用いて、加熱しながら積層した。
また、上記トレー状容器は、雄型と雌型を用いて熱プレス成形により成形したものであり、その成形凹部は、縦横の長さが30×50mmで、深さが4mmとなるように成形した。
【0052】
以上のように作製した実施例1〜実施例10、および比較例1の電池用積層フィルムとそれを用いて作製された電池用容器の評価は、その成形性については、それぞれのトレー状容器を成形した後、目視により亀裂の発生や、積層フィルムの剥がれの有無を調べると共に、それぞれの電池用容器に、内容物として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの重量比1:1の混合液にLi PF6 を1Mol/L溶解させた電解液を充填し、脱気シールして密封した後、130℃の恒温室に3時間静置して漏れの有無を調べ、その結果を以下に、接着性強化層の樹脂および熱接着性樹脂層の樹脂と併せて示した。
【0053】
(実施例1)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.90g/cm3 、融点130℃)
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点132℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
(実施例2)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点135℃)
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・ブテン共重合体(密度0.89g/cm3 、融点115℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
【0054】
(実施例3)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・ブテン共重合体(密度0.87g/cm3 、融点110℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点133℃)を200重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点133℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
(実施例4)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・ブテン共重合体(密度0.87g/cm3 、融点110℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点133℃)を66重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点133℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
【0055】
(実施例5)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点131℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・ブテン共重合体(密度0.87g/cm3 、融点110℃)を50重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点132℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
(実施例6)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点131℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・ブテン共重合体(密度0.87g/cm3 、融点110℃)を180重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点132℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
【0056】
(実施例7)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点131℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・エチレン共重合体(密度0.90g/cm3 、融点130℃)を30重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点135℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
(実施例8)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点131℃)100重量部に対して酸変性プロピレン・エチレン共重合体(密度0.90g/cm3 、融点130℃)を150重量部ブレンドした樹脂。
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.91g/cm3 、融点135℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
【0057】
(参考例1)
接着性強化層の樹脂:酸変性ポリプロピレン(密度0.91g/cm3、融点157℃)
接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.92g/cm3、融点140℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
(参考例2)
接着性強化層の樹脂:酸変性プロピレン・エチレン共重合体(密度0.90g/cm3、融点132℃)
熱接着性樹脂層の樹脂:プロピレン・エチレン共重合体(密度0.90g/cm3、融点130℃)
評価:亀裂の発生および積層フィルムの剥がれとも無く、電解液の漏れもなく良好。
【0058】
(比較例1)
接着性強化層の樹脂:酸変性ポリプロピレン(密度0.92g/cm3 、融点157℃)
熱接着性樹脂層の樹脂:ポリプロピレン(密度0.92g/cm3 、融点157℃)
評価:亀裂の発生が有り、電解液の漏れは認められなかったが、漏れる危険性があるため好ましくない。
【0059】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、電池の外装材に用いられる積層フィルムであって、薄くて軽く、高度の水蒸気その他のバリヤー性を備え、各種の機械的強度、電解液や酸などに対する耐性、熱封緘性などに優れると共に、袋状容器への製袋適性はもとより、薄型のトレー状容器などへの成形性にも優れ、各種の性能に対する要求の厳しいリチウムイオン電池などの外装にも好適に使用することのできる電池用積層フィルムと、それを用いた性能に優れた電池用容器を生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池用積層フィルムの一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の電池用積層フィルムの別の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第1の実施例の構成を示す模式断面図である。
【図4】本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第2の実施例の構成を示す模式断面図である。
【図5】本発明の電池用積層フィルムを用いて作製される電池用容器の第3の実施例の構成を示す模式平面図である。
【図6】本発明の電池用容器を用いて作製される電池の一例の構成を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 2軸延伸ナイロンフィルム層
2 接着剤層
2′接着層
3 金属箔層
4 接着性強化層
5 熱接着性樹脂層
6 表面保護層
7 フランジ付きトレー状容器
8 フランジ部
9 蓋材
10 熱接着部
11 開口部
12a 、12b 電極端子
50、60 電池用積層フィルム
100、200、300 電池用容器
500 電池
Claims (4)
- 電池の外装材に用いられる積層フィルムであって、該積層フィルムが、少なくとも外側から、2軸延伸ナイロンフィルム層、金属箔層、接着性強化層、熱接着性樹脂層が順に積層された積層体で形成され、且つ、前記接着性強化層が、下記(1)〜(4)のいずれかの樹脂で形成されると共に前記熱接着性樹脂層が、プロピレンとエチレンもしくはその他のα−オレフィンとの共重合体、または、プロピレン・エチレン・ブテンの三元共重合体で形成されていることを特徴とする電池用積層フィルム。
(1)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体
(2)酸変性プロピレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂
(3)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・エチレン共重合体とをブレンドした樹脂
(4)酸変性プロピレン・エチレン・ブテン共重合体と酸変性プロピレン・ブテン共重合体とをブレンドした樹脂 - 前記金属箔層が、アルミニウム箔であって、且つ、少なくともその内側の面がクロメート処理されていることを特徴とする請求項1に記載の電池用積層フィルム。
- 内部に電池の構成材料を収納し、電池を形成するために用いる電池用容器であって、該容器が、前記請求項1、2のいずれかに記載の電池用積層フィルムで形成されていることを特徴とする電池用容器。
- 前記容器が、プレス成形により形成されたフランジ付きトレー状容器に蓋材を重ねて、そのフランジ部で熱接着する形式、または、前記フランジ付きトレー状容器を、その内面同士が対向するように上下に重ねてフランジ部で熱接着する形式のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電池用容器。
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