JP5097624B2 - 温水供給システム - Google Patents
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Description
ヒートポンプは、水を高効率で加熱することができる。なお、ヒートポンプの効率とは、ヒートポンプへの入力電力に対して水に与えられる熱量(エネルギー量)をいう。一方、ヒートポンプは、加熱能力(単位時間当たりに水に与える熱量)はそれほど高くない。すなわち、短時間で多量の温水を生成することはできない。このため、特許文献1の温水供給システムは、ヒートポンプで加熱した温水を蓄熱タンクに貯留し、必要時に蓄熱タンク内の温水を温水利用箇所に供給する。したがって、浴槽に湯張りをする場合等のように、一度に多量の温水が必要とされる場合でも、十分な量の温水を供給できる。
一方で、特許文献1の温水供給システムでは、全ての温水利用箇所に蓄熱タンク内の温水が供給される。すなわち、ヒートポンプで生成した温水が、蓄熱タンクを経由しないで温水利用箇所に供給されることがない。ヒートポンプは蓄熱タンク内の水の加熱にのみに用いられる。したがって、常に加熱効率が低い条件でヒートポンプが運転されるという問題があった。
なお、上記の「浴槽水加熱水路」は、単一の熱交換器を介して熱媒体から浴槽内の水(以下では、浴槽水という場合がある)に熱を伝達する水路であってもよい。また、第1の熱交換器によって熱媒体から第2の熱媒体に熱を伝達し、第2の熱交換器によって第2の熱媒体から浴槽水に熱を伝達する水路であってもよい。すなわち、複数の熱交換器を介して熱媒体から浴槽水に熱が伝達される水路であってもよい。
また、上記の「温水利用箇所に温水を供給する」とは、給湯栓や浴槽等で出湯するために温水を供給する(すなわち、供給した水を回収しない)ことだけではなく、熱交換器や暖房機等に温水を供給し(すなわち、熱を供給し)、放熱後の温水を回収することも含む。
また、この温水供給システムでは、タンク水を加熱するタンク水加熱水路とは別に、浴槽水を加熱する浴槽水加熱水路を備えている。浴槽水を加熱(すなわち、追い焚き)するときには、ヒートポンプの熱媒体の熱は、浴槽水加熱水路により浴槽水に伝達される。すなわち、タンク水の熱を利用することなく、浴槽水を加熱する。追い焚き運転は、通常は、浴槽水の温度を数℃程度上昇させる運転である(例えば、37℃前後の浴槽水を42℃前後に昇温させる)。したがって、ヒートポンプを非常に高効率で作動させることができる。
このように、この温水供給システムは、蓄熱タンクを備えているにも係わらず、浴槽水を追い焚きするときにタンク水の熱を利用しない。ヒートポンプの熱媒体の熱を、蓄熱タンクを経由しないで、浴槽水に伝達する。したがって、非常に高効率で浴槽水を加熱することが可能となる。
このような構成によれば、熱媒体循環路とタンク水加熱水路の間の熱交換と、熱媒体循環路と浴槽水加熱水路の間の熱交換を1つの熱交換器で行うことができる。したがって、システムを小型化することができる。
(特徴1)温水供給システムは、
熱媒体を循環させる熱媒体循環路を備えたヒートポンプと、
温水利用箇所に供給する水を貯留する蓄熱タンクと、
蓄熱タンクの下部から蓄熱タンク内の水を導入し、導入した水を蓄熱タンクの上部に戻すタンク水加熱水路と、
熱媒体循環路内の熱媒体とタンク水加熱水路内の水との間で熱交換させて、タンク水加熱水路内の水を加熱するタンク熱交換器と、
浴槽と、
浴槽から水を導入し、導入した水を浴槽に戻す浴槽水加熱水路と、
熱媒体を循環させる第2熱媒体循環路と、
熱媒体循環路内の熱媒体と第2熱媒体循環路内の熱媒体との間で熱交換させて、第2熱媒体循環路内の熱媒体を加熱する第1浴槽熱交換器と、
第2熱媒体循環路内の熱媒体と浴槽循環路内の水との間で熱交換させて、浴槽循環路内の水を加熱する第2浴槽熱交換器
を備えている。
(特徴2)蓄熱タンク内の水、または、蓄熱タンク内の水により加熱された水を温水利用箇所に供給する供給水路をさらに備えている。
また、低温暖房水路66には、開閉弁66aの上流側と低温暖房水路66の下流側とを接続するバイパス水路66bが形成されている。バイパス水路66bには、開閉弁66cが介装されている。開閉弁66cは、バイパス水路66bを開閉する。
また、熱回収水路63には、三流体熱交換器54の上流側と下流側とを接続するバイパス水路63aが形成されている。バイパス水路63aは、流路の直径が大きく、三流体熱交換器54を通過する水路(熱回収水路63の一部)より通水抵抗が非常に小さい。バイパス水路63aには、開閉弁63bが介装されている。開閉弁63bは、バイパス水路63aを開閉する。
循環ポンプ82は、浴槽水加熱水路80内の水を下流側へ送り出す。また、上述したように、循環ポンプ82には、浴槽水路36cの下流端が接続されている。浴槽水路36cから水が供給されている状態で作動すると、循環ポンプ82は浴槽水路36cからの水を浴槽水加熱水路80の下流側に送り出す。
サーミスタ86は、循環ポンプ82の下流側に介装されている。サーミスタ86は、浴槽水加熱水路80内の水の温度を検出する。
蓄熱運転は、ヒートポンプ50で生成した熱により、蓄熱タンク22内の水を加熱する運転である。図1中の実線矢印は、蓄熱運転中の熱媒体及び蓄熱タンク22内の水の流れを示している。蓄熱運転では、制御装置90がヒートポンプ50と循環ポンプ32を作動させる。ヒートポンプ50を作動させると、熱媒体循環路51内を熱媒体が循環して、三流体熱交換器54に熱が供給される。また、循環ポンプ32を作動させると、タンク水加熱水路30内を蓄熱タンク22内の水が循環する。すなわち、蓄熱タンク22の下部に存在する水がタンク水加熱水路30内に導入され、導入された水が三流体熱交換器54で加熱され、加熱された水が蓄熱タンク22の上部に戻される。したがって、蓄熱タンク22に高温の水が貯められる。
このように、タンク水加熱水路30は、加熱された水を蓄熱タンク22の上部に供給する。また、後に詳述するが、蓄熱タンク22内の水を給湯栓100または浴槽102に供給すると、水道水導入水路34から蓄熱タンク22の下部に水道水(冷水)が供給される。したがって、蓄熱タンク22内には、その上部に高温の水の層が形成され、その下部に低温の水の層が形成される。このように、高温の層と低温の層が形成されている状態を、温度成層という。通常、蓄熱タンク22の下部に存在する水の温度は20℃前後である。また、蓄熱タンク22の上部には50℃前後の温水を供給する必要がある。蓄熱タンク22の上部に比較的温度の低い水(例えば、40℃未満の水)を供給すると、蓄熱タンク22内の温度成層が破壊されてしまうためである。したがって、蓄熱運転では、蓄熱タンク22の下部からタンク水加熱水路30に導入された20℃前後の水が、三流体熱交換器54で50℃前後まで加熱される。
湯張り運転は、蓄熱タンク22内の水を浴槽102に供給して、浴槽102に湯張りする運転である。図1中の点線矢印は、湯張り運転中のタンク水系統20及び浴槽水加熱水路80内の水の流れを示している。湯張り運転では、制御装置90は、流量調整弁36aと開閉弁36dを開く。すると、水道水供給源110からの水圧によって、水道水導入水路34(第1導入水路34a)から蓄熱タンク22の下部に水道水が流入する。それと同時に、蓄熱タンク22の上部の水が、供給水路36(浴槽水路36c)を介して循環ポンプ82に供給される。また、制御装置90は、循環ポンプ82を作動させる。すると、循環ポンプ82に供給された水が浴槽水加熱水路80内を下流側へ送り出され、浴槽102に供給される。これによって、湯張りが行われる。
なお、制御装置90は、蓄熱タンク22から供給水路36に供給される水の温度(すなわち、サーミスタ23の検出温度)が浴槽102に供給する水の設定温度より高い場合には、流量調整弁34eを開いて第2導入水路34bから供給水路36に水道水を導入する。したがって、蓄熱タンク22から供給された水と第2導入水路34bから供給された水道水とが供給水路36内で混合される。制御装置90は、浴槽102に供給される水の温度(すなわち、サーミスタ86の検出温度)が設定温度と一致するように、流量調整弁34eの開度を調整する。
また、蓄熱タンク22から供給水路36に供給される水の温度が設定温度より低い場合には、制御装置90はバーナ加熱装置38を作動させる。制御装置90は、浴槽102に供給される水の温度が設定温度と一致するように、バーナ加熱装置38の出力を制御する。
給湯運転は、蓄熱タンク22内の水を給湯栓100に供給する運転である。給湯栓100が開かれると、制御装置90は、流量調整弁36aを開く。すると、水道水供給源110からの水圧によって、水道水導入水路34(第1導入水路34a)から蓄熱タンク22の下部に水道水が流入する。それと同時に、蓄熱タンク22の上部の水が、供給水路36(給湯栓水路36b)を介して給湯栓100に供給される。
なお、制御装置90は、湯張り運転時と同様に、流量調整弁34eまたはバーナ加熱装置38を制御して、給湯栓100に供給される水の温度を設定温度に調整する。
低温暖房運転は、低温暖房機104を作動させて居室を暖房する運転である。
制御装置90は、最初に、開閉弁63b、66a、69aを開くとともに、循環ポンプ65aを作動させ、バーナ加熱装置67aを作動させる。これによって、熱供給循環水路62内に水を循環させるとともに、その循環させる水を加熱する。図2は、低温暖房運転開始時の温水供給システム10を示している。図2中の矢印に示すように、上記の制御を実行すると、熱供給循環水路62内に、シスターン64から、ポンプ水路65、低温暖房水路66、及び、熱回収水路63を経てシスターン64に戻る第1低温暖房循環経路と、シスターン64から、ポンプ水路65、バーナ加熱水路67、第1高温暖房水路69、バイパス水路71、及び、熱回収水路63の下流部を経てシスターン64に戻る第2低温暖房循環経路が形成される。
第1低温暖房循環経路及び第2低温暖房循環経路内を流れる水(以下では、単に循環水という場合がある)は、バーナ加熱装置67aにより加熱される。これによって、低温暖房機104に高温の循環水が供給される。低温暖房機104は、供給された循環水の熱を利用して、居室を暖房する。バーナ加熱装置67aの加熱能力は高いので、循環水は急速に加熱される。したがって、低温暖房機104は、短時間で適切な温度の暖房運転を実行可能となる(すなわち、立ち上がりが早い)。
なお、第1低温暖房循環経路の熱回収水路63では、開閉弁63b(すなわち、バイパス水路63a)が開かれている。したがって、熱回収水路63内をバイパス水路63aの上流端まで流れた水のほとんどは、バイパス水路63aへ流れ、三流体熱交換器54にはほとんど水が流れない。これによって、三流体熱交換器54で循環水と熱媒体循環路51内の熱媒体との熱交換が生じ、循環水が温度低下することが防止されている。
ヒートポンプ50の加熱能力はそれほど高くないが、バーナ加熱装置67aの加熱によって既に循環水の温度が上昇されているので、ヒートポンプ50は循環水の温度を維持する程度に加熱すればよい。したがって、ヒートポンプ50の加熱能力でも好適に暖房運転を実行することができる。また、ヒートポンプ50によれば、循環水を非常に高効率で加熱することができる。
高温暖房運転は、高温暖房機106を作動させて居室を暖房する運転である。
制御装置90は、最初に、開閉弁63b、69a、70aを開くとともに、循環ポンプ65aを作動させ、バーナ加熱装置67aを作動させる。これによって、熱供給循環水路62内に水を循環させるとともに、その循環させる水を加熱する。図3は、高温暖房運転開始時の温水供給システム10を示している。図3中の矢印に示すように、上記の制御を実行すると、熱供給循環水路62内に、シスターン64から、ポンプ水路65、バーナ加熱水路67、第1高温暖房水路69、第2高温暖房水路70及び熱回収水路63を経てシスターン64に戻る高温暖房循環経路が形成される。なお、第1高温暖房水路69の下流端に達した水の一部は、バイパス水路71を通って熱回収水路63に流入する。
高温暖房循環経路内を流れる水(以下では、単に循環水という場合がある)は、バーナ加熱装置67aによって加熱される。高温暖房機106は、循環水の熱を利用して、居室を暖房する。バーナ加熱装置67aの加熱能力は高いので、循環水は急速に加熱される。したがって、高温暖房機106は、短時間で適切な温度の暖房運転を実行可能となる(すなわち、立ち上がりが早い)。
また、熱回収水路63では、開閉弁63bが開いているので、ほとんどの水がバイパス水路63aを流れ、三流体熱交換器54にはほとんど水が流れない。これによって、三流体熱交換器54で循環水と熱媒体循環路51内の熱媒体との熱交換が生じ、循環水が温度低下することが防止されている。
追い焚き運転は、浴槽水を加熱する運転である。図4は、追い焚き運転時に制御装置90が実行する処理を示すフローチャートである。
このように、ステップS8を実行すると、第1追い焚き循環経路及び第2追い焚き循環経路を循環する水が、三流体熱交換器54で熱を回収し、浴槽熱交換器84で浴槽水加熱水路80内の水に熱を放出する。すなわち、ヒートポンプ50で生成した熱により浴槽水が加熱される。
このため、ステップS8では、浴槽熱交換器84によって、浴槽水加熱水路80内を流れる水を数℃(例えば、5℃程度)昇温させることになる。この場合、熱交換水路68内を流れる水は浴槽熱交換器84を通過するときに数℃、温度低下する。したがって、三流体熱交換器54は、熱回収水路63内の水を数℃昇温させることになる。このように、ステップS8では、各熱交換器を流れる水が、その前後で数℃の温度変化が生じるように、各水路の水の流量(すなわち、循環ポンプ65a、82の回転数、及び、各開閉弁の開度)が設定されている。
三流体熱交換器54で熱回収水路63内の水を数度昇温させる場合、ヒートポンプ50の加熱効率は最も高くなる。したがって、ステップS8では、非常に高効率で浴槽水を加熱することができる。
仮に、蓄熱タンク22の蓄熱を浴槽水に伝達して加熱すると、蓄熱タンク22の蓄熱が減少する。この場合、蓄熱運転によって蓄熱タンク22に熱を補給する必要がある。上述したように、蓄熱運転では、三流体熱交換器54によって、蓄熱タンク22の下部の20℃前後の水を50℃前後まで昇温させる。このように、水を数十℃昇温させる場合、ヒートポンプ50の加熱効率はそれほど高くない。
このように、本実施例の温水供給システム10は、蓄熱タンク22を備えているにも関わらず、追い焚き運転においては、蓄熱タンク22を介さずにヒートポンプ50で生成した熱を浴槽水に伝達することを特徴とする。これによって、温水供給システム10の高効率化を実現している。
また、このように蓄熱タンク22の蓄熱を追い焚き運転に利用しなければ、蓄熱タンク22に追い焚き運転用の熱を蓄熱する必要が無くなる。したがって、蓄熱タンク22を小型化することができる。すなわち、温水供給システム10を小型化することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
20:タンク水系統
22:蓄熱タンク
30:タンク水加熱水路
32:循環ポンプ
34:水道水導入水路
36:供給水路
38:バーナ加熱装置
50:ヒートポンプ
51:熱媒体循環路
52:熱交換器
53:圧縮器
54:三流体熱交換器
55:膨張弁
60:追い焚き・暖房系統
62:熱供給循環水路
63:熱回収水路
64:シスターン
65:ポンプ水路
65a:循環ポンプ
66:低温暖房水路
67:バーナ加熱水路
67a:バーナ加熱装置
68:熱交換水路
69:第1高温暖房水路
70:第2高温暖房水路
71:バイパス水路
80:浴槽水加熱水路
82:循環ポンプ
84:浴槽熱交換器
90:制御装置
100:給湯栓
102:浴槽
104:低温暖房機
106:高温暖房機
110:水道水供給源
Claims (2)
- 温水利用箇所に温水を供給する温水供給システムであり、
熱媒体を循環させる熱媒体循環路を備えたヒートポンプと、
バーナ加熱装置と、
温水利用箇所に供給する水を貯留する蓄熱タンクと、
蓄熱タンクの下部から蓄熱タンク内の水を導入し、導入した水を熱媒体循環路内の熱媒体との熱交換によって加熱し、加熱した水を蓄熱タンクの上部に戻すタンク水加熱水路と、
浴槽と、
熱媒体循環路内の熱媒体との熱交換によって浴槽内の水を加熱することが可能であるとともに、バーナ加熱装置によって浴槽内の水を加熱することが可能な浴槽水加熱水路と、
浴槽水の温度を検出する温度検出手段と、
浴槽水を加熱する追い焚き運転を制御する制御装置、
を備えており、
追い焚き運転において、制御装置は、温度検出手段の検出温度が基準温度以上であるときに熱媒体循環路内の熱媒体との熱交換によって浴槽内の水を加熱し、温度検出手段の検出温度が基準温度未満であるときにバーナ加熱装置によって浴槽内の水を加熱する、
ことを特徴とする温水供給システム。 - 熱媒体循環路とタンク水加熱水路の間、及び、熱媒体循環路と浴槽水加熱水路の間で熱交換可能な三流体熱交換器を備えており、
浴槽水加熱水路が、浴槽水を循環する浴槽水循環水路と、水を循環する水循環水路を有しており、
熱媒体循環路内の熱媒体と水循環水路内の水との熱交換によって水循環水路内の水を加熱可能であり、
バーナ加熱装置は、水循環水路内の水を加熱し、
水循環水路内の水と浴槽水循環水路内の浴槽水との熱交換によって浴槽水循環水路内の浴槽水を加熱可能であり、
水循環水路内の水の熱を利用して暖房する暖房機をさらに有している、
ことを特徴とする請求項1の温水供給システム。
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