JP3869801B2 - ヒートポンプ式給湯暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、HFCやCO2等の冷媒を用いたヒートポンプ式給湯暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヒートポンプ式給湯暖房装置は、ヒートポンプユニットで熱交換して得られた高温水を貯湯タンクに貯湯・蓄熱し、このタンクの高温水を給湯や風呂に使用するとともに、この高温水と熱交換して得られた暖房用温水を用いて温水暖房を行うものが知られている。このものでは、暖房負荷が大きいと十分な温度の温水が得られないものであった。
【0003】
また、ヒートポンプユニットの冷媒回路に給湯用の水冷媒熱交換器と暖房用の水冷媒熱交換器を組み込み、貯湯運転と温水暖房運転が行えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、このものでは、温水暖房運転中に暖房負荷が少なくなると、温水循環路の戻り側の温水温度が高くなり、熱交換が十分に行われずに冷媒温度が高くなり、圧縮機の負荷が高くなる問題があり、圧縮機の保護のため運転を停止せざるを得なかった。そのため、ヒートポンプユニットを暖房用に使用する場合、暖房用温水循環路の戻り温度が高い場合には対応が困難となっていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−257366号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、貯湯運転や温水暖房運転が行えるようにしたものにおいて、給湯用の水冷媒熱交換器や暖房用の水冷媒熱交換器での放熱が十分行われなくとも、これとは別に熱交換器を設けることにより冷媒温度の低下を可能として、種々の暖房負荷に対応できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、圧縮機、暖房用の温水を生成するための第1水冷媒熱交換器と貯湯タンクの貯湯水を生成するための第2水冷媒熱交換器との並列回路、内部熱交換器、減圧装置及び空気熱交換器とを順次環状に接続してなる冷媒回路と、前記第1水冷媒熱交換器と温水暖房器との間で温水を循環させる第1温水循環路と、前記第2水冷媒熱交換器と貯湯タンクとの間で貯湯水を循環させることにより前記第2水冷媒熱交換器で前記冷媒回路の冷媒と熱交換して加熱された高温水を前記貯湯タンクに貯湯する第2温水循環路と、前記第1温水循環路による温水暖房運転中及び前記第2温水循環路による貯湯運転中に前記第1水冷媒熱交換器及び第2水冷媒熱交換器から流出した冷媒と更に前記空気熱交換器を経た冷媒との熱交換を前記内部熱交換器が行うように制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1はヒートポンプ式給湯暖房装置の全体システムを示す系統図である。図1において、Aはヒートポンプユニット、Bはタンクユニット、C1は温水暖房用の第1温水循環路、C2は貯湯用の第2温水循環路、RはヒートポンプユニットAに内蔵された冷媒回路である。HFCやCO2等の冷媒を用いることができるが、本実施形態ではCO2を用いる。
【0012】
1及び2は第1温水循環路C1に設けられた床暖房パネル、3及び4は床暖房パネル1及び2に対応して設けられた床暖房リモートコントローラ(以下、「床暖房リモコン」という)であり、前記第1温水循環路C1には、熱動弁5及び6、循環ポンプ7、膨張タンク8、第1水冷媒熱交換器9の水流路9B、バイパス管10などが設けられている。
【0013】
前記冷媒回路Rは、CO2冷媒を用いた能力調整が可能な2段圧縮式の圧縮機11と、前記第1水冷媒熱交換器9の冷媒流路9A、第2水冷媒熱交換器12の一次流路12A、一端が前記冷媒流路9Aに接続される第1開閉弁13及び一端が一次流路12Aに接続される第2開閉弁14と、第1及び第2開閉弁13、14が接続される内部熱交換器15の一次流路15A、膨張弁(減圧装置)16、空気熱交換器17と、内部熱交換器15の二次流路15Bと、アキュムレーター18とが順次環状に配管接続されている。
【0014】
前記温水循環路C1には、第1水冷媒熱交換器9の水流路9Bから流出した暖房用温水の温度を検出するサーミスタ19、流量調整弁20、浴室暖房用のファンコイル21が設けられている。22は浴室暖房リモートコントローラ(以下、「浴室暖房リモコン」という)、23はファンコイルの21の入口部に設けられた熱動弁、24は循環ポンプ7によって膨張タンク8から流出した温水の一部を床暖房パネル1、2に供給するための熱動弁、25は床暖房パネル1、2に流入する温水温度を検知するサーミスタである。
【0015】
前記第2温水循環路C2は、第2水冷媒熱交換器12の水流路12Bと貯湯タンク26とが循環ポンプ27、流量調整弁29を介して環状に接続されている。30は第2水冷媒熱交換器12の水流路12Bから流出した温水温度を検知するサーミスタである。
【0016】
前記貯湯タンク26には水々熱交換器31の一次流路31Aが循環ポンプ32を介して接続されている。また、水々熱交換器31の二次流路31Bには循環ポンプ33を介して浴槽34が接続されている。35は貯湯タンク26の上部に接続された給湯管であり、この給湯管35にはミキシングバルブ36が設けられている。38は給水管であり、この給水管38は貯湯タンク26の下部とミキシングバルブ36とに分岐接続され、更に開閉弁39を介して膨張タンク8に接続されている。
【0017】
なお、部屋が暖まってくると、床暖房パネル1、2ではそれほど放熱されなくなり、膨張タンク8から水冷媒熱交換器9へは50〜60℃の高温水が供給されることとなるため、水冷媒熱交換器9ではそれほど熱交換されず、冷媒温度も高温となり、圧縮機11に高負荷が掛かることとなる。そこで、高温となった冷媒の冷却機構として前記水冷媒熱交換器9の他に設けたのが前記内部熱交換器15である。この内部熱交換器15での放熱分は同じ冷媒回路R内の空気熱交換器17を通過した後の冷媒に取込まれるので、冷媒回路Rの吸熱効率をも向上させている。
【0018】
また、ヒートポンプユニットAとタンクユニットBにはそれぞれマイクロコンピュータから成る制御装置(制御手段)S1、S2が設けられている。この制御装置S1、S2は床暖房リモコン3、4や浴室暖房用ファンコイル21からの運転信号や温度信号と、サーミスタ19、25、30の温度信号とに応じて、圧縮機11の運転と周波数制御、循環ポンプ7、27の運転制御、熱動弁5、6、24、膨張弁16の開度制御、流量調整弁20、29の開度制御などを行うものであり、以下その動作を説明する。
【0019】
〈床暖房運転〉
床暖房パネル1による床暖房を行う場合、その部屋の壁面等に取り付けられた床暖房リモコン3の運転スイッチをオンにする。すると、これに対応した熱動弁5が開き、循環ポンプ7が運転し、第1温水循環路C1では、膨張タンク8→循環ポンプ7→第1水冷媒熱交換器9の水流路9B→流量調整弁20→熱動弁5→床暖房パネル1→膨張タンク8の順に温水が流れる。なお、バイパス管10は、熱動弁5が開くのに時間がかかり、また熱動弁5が故障している場合でも対応できるように、温水の一部をバイパスさせるものであり、微少量の温水が流れる。
【0020】
また、前記床暖房リモコン3の運転スイッチをオンにした際に、ヒートポンプユニットAの圧縮機11が運転すると共に第1開閉弁13が開き、冷媒回路Rでは、圧縮機11→第1水冷媒熱交換器9の冷媒流路9A→第1開閉弁13→内部15の一次流路15A→膨張弁16→空気熱交換器17→内部熱交換器15の二次流路15B→アキュムレーター18→圧縮機11の順に冷媒が流れる。このとき、貯湯は行われないので、第2開閉弁14は閉じており、水冷媒熱交換器12の一次流路12Aには冷媒は流れない。
【0021】
前記床暖房パネル1に供給される温水の温度は60〜70℃であるが、サーミスタ19が検知する温水温度がこの温度になるように圧縮機11の周波数制御、膨張弁16の弁開度制御及び流量調整弁20の弁開度制御が行われる。
【0022】
また、床暖房制御は、床暖房リモコン3に搭載された室温サーミスタ(図示せず)により室温を検知し、設定温度と室温との偏差に基づき熱動弁5を開閉制御し、床暖房パネル1への温水量を制御することにより行われる。
【0023】
また、床暖房パネル2で同時に床暖房を行う場合、床暖房リモコン4の運転スイッチをオンにすることにより、同様に熱動弁6が開閉制御され、床暖房パネル1及び2に同時に温水が供給され、床暖房パネル1及び2への温水量を個別に制御することにより、床暖房の個別制御が可能となっている。
【0024】
このような床暖房運転を行う場合、床暖房する部屋が暖まってくると、床暖房パネル1、2からの放熱量が小さくなり、膨張タンク8から水冷媒熱交換器9の水流路9Bへは50〜60℃の温水が供給されることとなる。このため、水冷媒熱交換器9ではそれほど熱交換されず、冷媒温度も高温となって圧縮機11に負荷がかかる。このような場合の冷媒の冷却機構として設けたのが内部熱交換器15であり、内部熱交換器15の一次流路15Aでの放熱分は同じ冷媒回路Rにある内部熱交換器15の二次流路15Bで再度吸収されるため、無駄なく、効率を落とすことなく、冷媒回路Rを構成できる。
【0025】
〈浴室暖房運転〉
ファンコイル21による浴室の温風暖房を行う場合、浴室暖房リモコン22をオンにする。すると、ファンコイル21入口部の熱動弁23が開き、循環ポンプ7が運転する。第1温水循環路C1では、膨張タンク8→循環ポンプ7→第1水冷媒熱交換器9の水流路9B→流量調整弁20→熱動弁23→ファンコイル21→膨張タンク8の順に温水が流れる。バイパス管10は、熱動弁23が開くのに時間がかかり、また熱動弁23が故障している場合でも対応できるように、温水の一部をバイパスさせるものであり、微少量の温水が流れる。
【0026】
ヒートポンプユニットAの動作と冷媒循環は床暖房運転と同様であり、貯湯は行われないので、第2開閉弁14は閉じており、水冷媒熱交換器12の一次流路12Aには冷媒は流れない。
【0027】
前記ファンコイル21に供給される温水の温度は80℃であるが、そのための温水制御は床暖房運転の場合と同様である。また、浴室暖房制御はファンコイル21に搭載された室温サーミスタ(図示せず)により室温を検知し、ファン回転数を制御し、熱動弁23を開閉制御することにより行われる。
【0028】
〈床暖房と浴室暖房の同時運転〉
床暖房パネル1、2による床暖房と、ファンコイル21による浴室温風暖房を同時に行う場合、それぞれのリモコン3、4、22の運転スイッチをオンにする。すると、熱動弁5、6、23が開き、循環ポンプ7が運転し、第1温水循環路C1では、膨張タンク8→循環ポンプ7→第1水冷媒熱交換器9の水流路9B→流量調整弁20→熱動弁5、6→床暖房パネル1、2→膨張タンク8の順に温水が流れると共に、膨張タンク8→循環ポンプ7→第1水冷媒熱交換器9の水流路9B→流量調整弁20→熱動弁23→ファンコイル21→膨張タンク8の順に温水が流れる。
【0029】
バイパス管10は、熱動弁5、6、23が開くのに時間がかかり、また熱動弁5、6、23が故障している場合でも対応できるように、温水の一部をバイパスさせるものであり、微少量の温水が流れる。
【0030】
このときのサーミスタ19による温水温度制御は80℃であるが、これでは床暖房パネル1、2用の温水としては温度が高すぎることになる。これを解決するために、熱動弁24を開くことで80℃の温水に膨張タンク8からの中温水を混ぜ、サーミスタ25にて検知される温水の温度が60〜70℃になるように制御している。また、中温水を混ぜすぎて低温になった場合は熱動弁24を閉じ、サーミスタ25の検知温度に基づく熱動弁24の開閉制御を行う。
【0031】
ヒートポンプユニットAの動作と冷媒循環は床暖房運転又は浴室暖房運転と同様であり、貯湯は行われないので、第2開閉弁14は閉じており、水冷媒熱交換器12の一次流路12Aには冷媒は流れない。
【0032】
〈貯湯運転〉
貯湯タンク26に貯湯を行う場合、循環ポンプ27が運転し、第2温水循環路C2では、貯湯タンク26→循環ポンプ27→第2水冷媒熱交換器12の水流路12B→流量調整弁29→貯湯タンク26の順に給湯用の温水が流れ、貯湯タンク26に貯湯される。
【0033】
ヒートポンプユニットAでは圧縮機11が運転すると共に第2開閉弁14が開き、冷媒回路Rでは、圧縮機11→第2水冷媒熱交換器12の一次流路12A→内部熱交換器15の一次流路15A→膨張弁16→空気熱交換器17→内部熱交換器15の二次流路15B→アキュムレーター18→圧縮機11の順に冷媒が流れる。このとき、暖房は行われないので、第1開閉弁13は閉じており、水冷媒熱交換器9の一次流路9Aには冷媒は流れない。
【0034】
従って、貯湯タンク26への貯湯の際にも、第2水冷媒熱交換器12から流出した冷媒と空気熱交換器17から流出した冷媒との熱交換を前記内部熱交換器15が行うものであるから、より高温の給水にも対応でき、貯湯タンク26全体のより高温度の保温が可能となる。
【0035】
貯湯タンク26へ供給される温水温度は90℃であるが、サーミスタ30が検知する温度がこの温度になるように、圧縮機11の周波数制御、膨張弁16の弁開度制御、流量調整弁29の弁開度制御が行われる。
【0036】
貯湯タンク26に貯湯された高温水はミキシングバルブ36にて適度な温度に調整され、給湯管35から台所やシャワーへの給湯や浴槽34へのお湯張り等に利用される。そして、給湯が行われると、給水管38から貯湯タンク26に給水が行われる。また、循環ポンプ32、33を運転することにより、貯湯タンク26の高温水と浴槽34の温水を水々熱交換器31で熱交換し、浴槽34の温水の追い焚きを行うこともできる。
【0037】
〈暖房と貯湯の同時運転〉
この場合の暖房用温水の循環経路と貯湯用の温水の循環経路は上述したとおりである。冷媒回路Rでは、第1及び第2開閉弁13、14が共に開き、圧縮機11→第1水冷媒熱交換器9の冷媒流路9A及び第2水冷媒熱交換器12の一次流路12A→内部熱交換器15の一次流路15A→膨張弁16→空気熱交換器17→内部熱交換器15の二次流路15B→アキュムレーター18→圧縮機11の順に冷媒が流れる。このとき、第1水冷媒熱交換器9、第2水冷媒熱交換器12及び内部熱交換器15で熱交換が行われるのは言うまでもない。
【0038】
また、サーミスタ19、25、30においてそれぞれ上述した目標温度になるように、圧縮機11の周波数制御、膨張弁16の弁開度制御、流量調整弁20、29の弁開度制御が行われる。同時運転が行われた場合には、圧縮機11は最大能力で運転するようにしてあり、暖房側と貯湯側とで十分な能力が得られるようにしてある。
【0039】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明は、貯湯運転や温水暖房運転が行えるようにしたものにおいて、給湯用の水冷媒熱交換器や暖房用の水冷媒熱交換器での放熱が十分行われなくとも、これとは別に熱交換器を設けることにより冷媒温度の低下を可能として、種々の暖房負荷に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートポンプ式給湯暖房装置の全体系統図である。
【符号の説明】
1、2 床暖房パネル(温水暖房器)
9、12 水冷媒熱交換器
11 圧縮機
15 内部熱交換器
16 膨張弁(減圧装置)
17 空気熱交換器
26 貯湯タンク
C1 第1温水循環路
C2 第2温水循環路
R 冷媒回路
S1、S2 制御装置(制御手段)
Claims (1)
- 圧縮機、暖房用の温水を生成するための第1水冷媒熱交換器と貯湯タンクの貯湯水を生成するための第2水冷媒熱交換器との並列回路、内部熱交換器、減圧装置及び空気熱交換器とを順次環状に接続してなる冷媒回路と、前記第1水冷媒熱交換器と温水暖房器との間で温水を循環させる第1温水循環路と、前記第2水冷媒熱交換器と貯湯タンクとの間で貯湯水を循環させることにより前記第2水冷媒熱交換器で前記冷媒回路の冷媒と熱交換して加熱された高温水を前記貯湯タンクに貯湯する第2温水循環路と、前記第1温水循環路による温水暖房運転中及び前記第2温水循環路による貯湯運転中に前記第1水冷媒熱交換器及び第2水冷媒熱交換器から流出した冷媒と更に前記空気熱交換器を経た冷媒との熱交換を前記内部熱交換器が行うように制御する制御手段とを備えたことを特徴とするヒートポンプ式給湯暖房装置。
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