JP5097049B2 - 帯電防止性多層シートの製造方法 - Google Patents
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Description
また、光拡散シートにおいても、表面状態が良好で、厚みの厚いシートは得られていない。
そこで、本発明者等は、ロール汚染防止のために、透明樹脂に高分子型帯電防止剤を添加した樹脂組成物層の外側に、高分子型帯電防止剤を添加しない透明樹脂層が形成されるようにして共押出しする方法を試みた。その結果、長時間にわたってロール汚染が防止されることが確認された。
しかしながら、上記のように、共押出方法により多層化した場合では、得られる多層シートの各層の界面にウロコ模様が発生するという別な問題が発生した。
ル表面の汚染の発生が防止され、シートの外観を損なうことなく、安定的に厚みの厚い多
層シート製品の生産が可能な製造方法、かつ持続的な帯電防止性能を有する多層シート
並びに同様の作用効果を有する光拡散シートを提供することを目的とするものある。
なお、本発明において、「高分子型帯電防止剤」を単に「帯電防止剤」、「高分子型帯電防止剤を含有する層」を単に「帯電防止層」と表記することがある。
(1)透明樹脂(a)を基材樹脂とするコア層(A)形成用溶融物と、透明樹脂(b)を基材樹脂として高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層(B)形成用溶融物と、透明樹脂(c)を基材樹脂として高分子型帯電防止剤を実質的に含まない被覆層(C)形成用溶融物とを、ダイ内で積層合流させて共押出する帯電防止性多層シートの製造方法であって、前記被覆層が前記多層シートの少なくとも一方の最外面となり、且つ前記帯電防止層が前記被覆層の内面に接して、且つ前記コア層の少なくとも外面側となるように前記各溶融物をダイ内で積層合流することにより、積層合流物となし、下記式(1)で表される前記ダイのリップ部分の平行ランド部の前記積層合流物のせん断量を0.1〜170とすることを特徴とする帯電防止性多層シートの製造方法。
(数2)
を要旨とする。
上記の共押出において、被押出物がダイリップの平行ランド部を通過する時にせん断によって帯電防止剤を含有する層と帯電防止剤を含有しない層、とりわけ帯電防止層と被覆層との界面でゆがみ(ズレ)を生じ、多層シートの表面全体に目視で確認できるウロコ模様が発生する。上記したウロコ模様は、シート外観を悪化させ、商品価値を低下させる。
また、前記多層シートを構成する少なくとも一つの層に光拡散剤を含有させることができるので、帯電によるゴミや埃の付着を防止することができ、静電気によるトラブルの発生を防止することができる、持続的な帯電防止性を有すると共に光拡散性を有する表面が平滑で外観が良好な光拡散性多層シートを提供することができる。
したがって、本発明の多層シートは、光拡散性を要求される照明器具のカバー材として、エレクトロニクス製品、家電製品、OA機器等の各種機器、計器等におけるディスプレー部の前面板として、また光拡散性並びに透過性と帯電防止性とが求められる他の用途に有用なものである。
本発明により得られる多層シートは、コア層(A)形成用溶融物と、高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層(B)形成用溶融物と、被覆層(C)形成用溶融物とを、ダイ内で積層合流させ、前記被覆層が前記多層シートの少なくとも一方の最外面となり、且つ前記帯電防止層が前記被覆層の内面に接して、前記コア層の少なくとも片面側となるように前記各溶融物を積層したものである。
また、光拡散剤を添加する場合には、前記多層シートを構成するコア層(A)、帯電防止層(B)の少なくとも一つの層に光拡散剤が添加される。
図1は、コア層(A)の両面に光拡散剤を含有させた帯電防止層(B1)が位置しており、該帯電防止層(B1)の外面に帯電防止剤および光拡散剤を含有しない被覆層(C)が存在する構成からなる多層シートである。
さらには、図示はしないが、コア層と帯電防止層の層間や、被覆層よりも最外面側に、新たな層を積層させることも可能である。
実施例1においては以下の方法によって、計算することができる。1時間当たりの吐出重量が60kgであり、この場合、1秒当たりの吐出重量は16.7g/秒(60000g÷3600秒)と計算される。上記より溶融時の樹脂の密度を、常温下での密度1.0g/cm3とし、実施例1について、1秒当たりの押出量(Q)を計算すると、16.7cm3/秒(27.8g/秒÷1.0g/cm3)となる。
実施例1のケースでは、せん断量は図8の平行ランド部分のせん断量である。平行ランド部分における部分の樹脂の流路の体積は、長さ15mm、リップ幅(w)500mm、リップ間隙(h)4mmより、30cm3と計算される。そして、平行ランド部を通過する溶融樹脂の滞留時間は、平行ランド部の体積を押出量で除すことにより1.8秒と計算される(30cm3÷16.7cm3/秒)。
せん断量を求めるためのせん断速度は、6Q/Wh2により求められ、12.5(s−1)となる。以上をまとめると、せん断量は、平行ランド部分のせん断速度と滞留時間の積であるから、22.5と計算される(12.45秒−1×1.81秒)。
実施例1では、平行ランド部が平行スリット状であるとして計算したが、本明細書では、平行ランド部は、ダイの略平行状の最終部分をいう。上記せん断量の範囲であれば、たとえば、平行ランド部が略テーパ状であってもよい。この場合には、ランド部分の中点の断面でのせん断速度を採用し、同様に計算することができる。
上記式(1)は、平行ランド部における溶融樹脂に対するせん断速度と、溶融樹脂が平行ランド部を通過する時間(平行ランド部通過時間)との積で現される。故に、せん断速度は、3〜30s−1となる。好ましくは5〜25s−1であり、10〜20s−1であることが更に好ましい。
特に、アクリル系樹脂を選択すれば、高分子型帯電防止剤との屈折率が近いものとなる。
さらに、アクリル系樹脂が、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸エチル共重合体、又はメタクリル酸メチル/アクリル酸エチル共重合体であることが好ましい。
多層シートの最外面に、帯電防止層(B)と接して位置する樹脂層である被覆層は厚み2〜50μmの薄膜である。該被覆層の厚みは薄いほど帯電防止性能を有効に発現できるが余りに薄い場合にはシート全体での厚みのコントロールが困難となり、ロール表面の汚染の問題が生じ表面が平滑で、外観が良好なシートが得られ難い。また安定した帯電防止性能を発現させることができない場合がある。かかる観点から、帯電防止層(B)と接して位置する必要があり、その厚さは好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上である。一方、被覆層の厚みが厚すぎると帯電防止効果を妨げる結果となり好ましくない。被覆層の厚さは、好ましくは25μm以下、より好ましくは15μm以下である。
また、ロール汚染を防止する観点から、被覆層には実質的に帯電防止剤が含まれていないことが必要である。ここで、実質的に帯電防止剤が含まれていないとは、含有量がゼロ又は、帯電防止性を有しない程度まで含まれていることをいう。具体的には、被覆層100部に対して0〜4重量部、好ましくは0〜2重量部である。
一方、全光線透過率の最大値は概ね基材樹脂の透明樹脂の光線透過率と略等しく94%であるが、ヘーズとのバランスで93%以下が望ましい。
ヘーズは光透過性とのバランスを考慮することが必要で、光拡散性の観点から40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。一方その最大値は93%であるが、高すぎると光源のエネルギーロスを招く結果となり、好ましくは90%以下、85%以下が特に好ましい。
イエローインデックス値は配合される光拡散剤の種類や量にもよるが概ね1.0以上となる。なお、イエローインデックス値はブルーイング剤と呼ばれる染料を添加することで、幾らかその数値を下げることが可能である。ただし、大量に添加した場合には、全光線透過率の減少を招く。
本発明により得られる多層シートの表面抵抗率は5×1012Ω以上、望ましくは1013Ω以上となる。すなわち、被覆層の厚みが十分に確保されておりこれにより表面の平滑性が確保されており、該被覆層には耐候安定剤や紫外線吸収剤を含有させることができる。
初期帯電圧は0(ゼロ)に近ければより好ましいが、帯電防止剤の性能およびロール汚染を防ぐ被覆層の存在から、概ね0.3kV以上となる。
先に記述したように、高分子型帯電防止剤の帯電防止層への配合量は多いほどまた帯電防止層の坪量が高いほど帯電防止効果は高まるが、一方で、光拡散性、透過性などの光学特性はヘーズやイエローインデックス値が高まり、耐候性も低下するために、光学特性とのバランスから要求される本発明の積層シートの初期帯電圧は0.4kV以上が好ましく、さらには0.5kV以上がより好ましい。
厚みが15mm以上の多層シートでは、ロール(ポリッシングロール)を通過させる際に、一定の板状の形状のものが得られなくなる。かかる観点から、厚みが0.5mm〜10mmであることが好ましい。このような多層シートは、例えば照明カバー、ディスプレー拡散板、照明看板等、各種の形状に成形され帯電防止性を有する光拡散性製品とされる。
本発明により得られる多層シートは、原料の基材樹脂の剛性にもよるが、厚みが1mm以下の比較的薄い積層シートは、一般にはロール形状に巻き取られて製品とされ、保管および搬送される。厚みの厚い板状の多層シートは、所要の長さに切断され保管および搬送される。
透明樹脂としては、具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。アクリル系樹脂は、アクリル酸アルキルエステル又は/およびメタクリル酸アルキルエステル(これらを総称して以下、(メタ)アクリル酸エステルという)の単独重合体または(メタ)アクリル酸エステル同士の共重合体、(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位が50モル%以上であり他のコモノマーに基づく単位が50モル%以下である(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、及びこれらの2以上の混合物である。(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体、などが例示される。これらのうち、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、ポリメタクリル酸メチルがより好ましい。
これらの樹脂は多層シートの透明性等の光学特性を損わない範囲で少量使用することができる。
紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、マロン酸エステル系から選択される。紫外線吸収剤およびヒンダートアミン系光安定剤の添加量は、被覆層100重量部に対して、0.05〜0.8重量部が好ましい。上記添加量が少ない場合には、光拡散シートに十分な耐光性を付与することが困難である。一方添加量が多い場合には、光拡散性シートの着色や明るさ(輝度)の低下を招き易く、さらにコストアップに繋がるため好ましくない。好ましくは0.1〜0.6重量部である。ここで、添加量は被覆層の坪量に対する量である。なお、紫外線吸収剤や耐候性安定剤は帯電防止層やコア層にも添加することができる。この場合、光拡散剤の添加量は積層シート全体として前記の添加量の範囲となるように調整することが必要である。多層シート全体に対する量が多くなると着色の要因となり好ましくない。
前記5層の多層シートにおいて、コア層全体に光拡散剤を配合した構成とする場合は、コア層を形成する基材樹脂に光拡散剤を添加した樹脂組成物、帯電防止層を形成する基材樹脂に帯電防止剤を添加した樹脂組成物、および被覆層を形成する樹脂を夫々の押出機にて溶融混練し、溶融樹脂組成物をダイス内で積層し、Tダイを通してシート状に押出し、押出されたシートを少なくとも2本のロール(ポリッシングロール)を通過させてシート厚みの均一化を行って積層シートとして引取り製品とされる。
また、光拡散剤を帯電防止層に配合する場合には、帯電防止層形成用基材樹脂に、帯電防止剤及び光拡散剤を配合して、前記5層積層シートの場合と同様に押出して目的の多層シートが製造される。
また光拡散剤をコア層および帯電防止層に配合する場合は、光拡散剤を配合したコア層形成用樹脂組成物、光拡散剤を配合した帯電防止層形成用樹脂組成物及び被覆層形成用樹脂を前記5層積層シートの場合と同様に押出して目的の多層シートが製造される。
なお、帯電防止剤と混合される基材樹脂(透明樹脂)の各溶融粘度は、一般的には300〜3000Pa・s程度であるが、混練性や製膜性を高いものとするためには600〜2500Pa・s、さらに好ましくは900〜2200Pa・sが好ましい。
[全光線透過率及びヘーズ]
多層シートより50mm×50mmのサイズ(厚みは多層シートの厚み)に複数枚切り出し、これらを試験片として、濁度計(日本電飾工業株式会社のNDH2000)を使用し、JIS K7136(2000年)に従って各試験片を測定し、各測定値をそれぞれ平均して全光線透過率とする。
尚、複数枚の試験片は、多層シートの無作為に選んだ幅方向の一方の端部から他方の端部側に50mm内側に入った箇所を第1の基点とし、第1の基点から、上記他方の端部側へ100mm毎の新たな箇所をそれぞれ基点とし(ただし最後の基点は上記他方の端部より50mm以上一方の端部側とする)、第1の基点も含め各基点を試験片の中心となるように、かつ試験片の一辺が多層シートの押出方向と一致するようにそれぞれ切り出されたものである。
透明樹脂については、厚み2mmの表面が平滑な平らな成形板(50mm×50mmのサイズ)を試験片とし、上記と同様に、濁度計(日本電飾工業株式会社のNDH2000)を使用し、JIS K7136(2000年)に従って全光線透過率及びヘーズを測定する。
多層シートより50mm×50mmのサイズ(厚みは多層シートの厚み)に複数枚切り出し、これらを試験片として、分光式色差計(日本電色工業株式会社製 SE−2000)の透過法にてASTM D1925に従った方法にて各試験片を測定し、各測定値を平均してYI値とした。また、この測定における光源としてはCIE光源における視野角2度のC光源を選択する。
尚、複数枚の試験片は、上記全光線透過率及びヘーズ測定試験片と同様にして多層シートの異なる位置から切り出されたものである。
多層シートより40mm×40mmのサイズ(厚みは積層シートの厚み)に複数枚切り出し、これらを試験片として、23℃、50%RH環境下にて24時間状態調節した後、スタティックオネストメーター(シシド静電気株式会社製 TIPE S−5109)を使用して23℃、50%RH環境下にてJIS L1094(1988年)A法に従って各試験片に電圧を印加し、印加を停止した際の初期帯電圧を測定値として、各測定値を平均して初期帯電圧とする。尚、複数枚の試験片は、上記全光線透過率及びヘーズ測定試験片と同様にして多層シートの異なる位置から切り出されたものである。また、各試験片は、切り出された後、60℃のイオン交換水に浸漬させた状態で10分間超音波洗浄機にて洗浄を行い、更にイオン交換水で十分に濯いだ後に60℃のオーブンにて1時間乾燥させてから、上記状態調節する。試験片を、温水に浸漬させる場合には、予め油分を除去した金属製の冶具にて試験片の端部を上から押さえて温水から浮かび上がらないようにする。
多層シートより100×100mmのサイズ(厚みは多層シートの厚み)に複数枚切り出し、これらを試験片として、初期帯電圧の測定と同様に試験片を洗浄、濯ぎ、乾燥させた後、試験片を23℃、50%RH環境下にて24時間調湿した後、超絶縁抵抗/微小電流計(タケダ理研工業株式会社製 TR−8601)を使用して、23℃、50%RH環境下にてJIS K6911(1995年)に準拠して各試験片について表面抵抗を測定し、各測定値を平均して得られた表面抵抗値(装置の読取値)に、係数18.8を乗じて表面抵抗率とする。尚、測定は絶縁抵抗測定試料箱(タケダ理研工業株式会社製 TR42)内にて行い、測定に使用した電極は表面電極の内円の外形が50mm、表面の環状電極の内径が70mmのものを使用する。また、複数枚の試験片は、上記全光線透過率及びヘーズ測定試験片と同様にして多層シートの異なる位置から切り出されたものである。
多層シートの無作為に選んだ幅方向の一方の端部から他方の端部側へ30mm入った所を基点として50mm間隔で幅方向に株式会社ミツトヨ社製のデジタルマイクロメーターにて測定を行い、平均して厚みとする。
多層シートの無作為に選んだ幅方向の一方の端部から他方の端部側に30mm内側に入った箇所を第1の基点とし、第1の基点から、上記他方の端部側へ50mm毎の新たな箇所をそれぞれ基点とし(ただし最後の基点は上記他方の端部より30mm以上一方の端部側とする)、第1の基点も含め各基点のそれぞれ位置で多層シートの厚みを、株式会社ミツトヨ製のデジタルマイクロメーターにて測定を行い、各測定値を平均して多層シートの厚みとする。
本発明における溶融粘度は株式会社東洋精機製作所のキャピログラフ 型式1Dにて測定を行って得られた値である。測定の詳細は以下のとおりである。内径9.55mm(有効長さ250mm)のシリンダーの先端に穴径1.0mm、長さ10mmのキャピラリーを取付け、シリンダーおよびキャピラリーを230℃(ポリカーボネート樹脂のみ260℃とした)に昇温し、シリンダー内に測定試料(樹脂ペレット)を充填する。充填後、シリンダー内にピストンを装填し、4分間の予備加熱にて測定試料を溶融させる。なお、予備加熱中にピストンを一時的に押し下げ溶融状態の測定試料から気泡を十分に除去する。また、測定試料の充填量は、気泡除去後に測定試料が15cc以上確保できる十分な量にする。予備加熱終了後、ピストンにてキャピラリー部のせん断速度が100s−1となる様にシリンダー内の測定試料を押出し、そのときの溶融粘度を計測する。なお、溶融粘度の計測は押出荷重が安定した後に行う。
コア層を形成する押出機は、内径65mmの単軸押出機を使用し、帯電防止層形成用には内径40mmの単軸押出機、被服層形成用押出機には内径20mmの単軸押出機を用いた。
シート成形及び引取り機は、ロール径195mmの硬質クロムメッキでコーティングされた鏡面状の平滑面を持つ金属ロールからなる図7に示す3連ポリッシングロールを用いた。
各押出機内における各樹脂または樹脂組成物の最高温度は、表1中に示した樹脂温度プラス25℃を超えないように調整した。
上記内径65mmの混練押出機には、ギヤポンプを押出機出口に取付けた押出量を制御した。さらに3種5層の積層が可能なリップ幅(W)500mmのマルチマニホールドTダイを取付け、各層を合わせた総吐出量として吐出量60kg/hrとし、表3および表4に示した条件、層構成で共押出した。
引取り速度は目的の製品厚みに合わせて調整した。各層の厚みは、例示された樹脂ごとの比重から必要坪量(g/m2)を計算し、さらにそれに応じて各層形成押出機の吐出量を変更することにより調整した。ロール温度は3台のオイルポンプを用いて個別に温度調整を行った。ロールの位置関係は図7に示した配置とした。表3、表4のロール温度の項1、2および3は、それぞれ図7に示した符号13、14、15のポリッシングロールを意味する。ロール温度はロール温度の温調オイルの温度を示した。
また、表3および表4の樹脂温度はコア層についてはギヤポンプ出口に設置されたブレーカープレート中央の温度を、帯電防止層及び被覆層については押出機出口に取付けられたブレーカープレートの中央部の温度を計測しそれぞれ示した。
コア層、帯電防止層、および被覆層用透明樹脂としてアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製 「VH5−000」)を用い、高分子型帯電防止剤として、VH5−000との屈折率差が0.01である三洋化成工業株式会社製のポリエーテル系高分子型帯電防止剤(VH230)を用いた。
帯電防止層には、帯電防止剤による着色を防止する為に、ブルーイング材と呼ばれる染料を、帯電防止層に対し0.02%となるようにマスターバッチを用いて添加した。
コア層には光拡散材として平均粒径3μmの架橋シリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン トスパール130)、平均粒径6μmの架橋シリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン トスパール200)をコア層基材100部に対して、それぞれ1.2部ずつ加えた(計 2.4部)。そして、被覆層および帯電防止層の基材樹脂100部に対して、耐候安定剤をその添加量がそれぞれ0.3重量部となるように添加した。添加の際には、マスターバッチを用いた。
なお、上記耐候安定剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリテイケミカルズ社製 商品名「チヌビン234」)とヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャリテイケミカルズ社製 商品名「チヌビン770DF」)との重量比で2:1の混合物である。
表3に示す条件および層構成として共押出にて多層シートを得た。押出に用いたTダイリップはクリアランス4(h)mm、ランド長さ(t)15mmとし、せん断量を23にコントロールした。そして、厚さ2.0mmの5層構造からなる積層シートを得た。その結果、12時間連続押出ししてもロールには付着物によるロール表面の汚染は全く発生せず、安定して多層シートを得ることができた(表3)。測定結果を表5に示した。得られた多層シートは、光拡散性、帯電防止性に優れるものであった。
コア層、帯電防止層M及び被覆層用の透明樹脂としてメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学株式会社製 「MS600」)を用い、高分子型帯電防止剤として、MS600との屈折率差が0である三洋化成工業株式会社製のポリエーテルエステルアミド系高分子型帯電防止剤(NC7530)を用いた。耐候安定剤を被覆層、帯電防止層に、ブルーイング材を帯電防止層に実施例1と同様に添加した。コア層には光拡散材として平均粒径2μmの架橋シリコーン粒子(信越化学社製 KMP−590)をコア層基材樹脂に対し1部加えた。表3に示す条件および層構成で共押出にて多層シートを得た。押出に用いたTダイリップはクリアランス4mm、ランド長さ3mmとし、せん断量を3にコントロールした。そして、厚さ2.0mmの5層構造からなる多層シートを得た。そして、厚さ2.0mmの5層構造からなる積層シートを得た。その結果、12時間連続押出ししてもロールには付着物によるロール表面の汚染は全く発生せず、安定して多層シートを得ることができた。測定結果を表5に示した。 得られた多層シートは光拡散性、帯電防止性に優れるものであった。
コア層用透明樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンプラ製「H4000」)、帯電防止層および被覆層用の透明樹脂としてアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製「VH5−000」を用い、高分子型帯電防止剤として、VH5−000と屈折率差が0.01である三洋化成工業株式会社製のポリエーテル系高分子型帯電防止剤VH230を用いた。耐候安定剤を被覆層、帯電防止層に、ブルーイング材を帯電防止層に実施例1と同様に添加した。コア層には光拡散材として平均粒径2μmの架橋シリコーン粒子(東芝シリコーン社製、トスパール120)をコア層基材に対し0.3部加えて積層シートを得た。表3に示す条件および層構成として共押出して、実施例1と同じリップ部を有するものを用い、厚さ2.0mmの5層構造からなる多層シートを得た。その結果、12時間連続押出ししてもロールには付着物によるロール表面の汚染は全く発生せず、安定して多層シートを得ることができた。測定結果を表5に示した。得られた多層シートは光拡散性、帯電防止性に優れるものであった。
コア層基材としてポリスチレン樹脂(PSジャパン製 HH32)、帯電防止層及び被覆層用の透明樹脂としてメタクリル酸メチル−スチレン共重合体(新日鐵化学株式会社製 「MS600」)を用い、高分子型帯電防止剤として、MS600との屈折率差が0である三洋化成工業株式会社製のポリエーテルエステルアミド系高分子型帯電防止剤(NC7530)を用いた。耐候安定剤を被覆層、帯電防止層に、ブルーイング材を帯電防止層に実施例1と同様に添加した。コア層には光拡散材として平均粒径8μmのアクリル系架橋粒子(積水化成品工業社製 MBX−8)をコア層基材樹脂100部に対し3部加えた。表3に示す条件および層構成で共押出して、実施例2と同じTダイリップ部を有するものを用い、厚さ2.0mmの5層構造からなる多層シートを得た。その結果、12時間連続押出ししてもロールには付着物によるロール表面の汚染は全く発生せず、安定して多層シートを得ることができた。測定結果を表5に示した。得られた多層シートは光拡散性、帯電防止性に優れるものであった。
被覆層厚みを10μm、コア層厚みを調整で1830μmとし、帯電防止剤の添加量を25%に上げた以外は実施例1と同様の押出条件でに多層シートを得た。被覆層厚みを上げると帯電防止性能が下がる傾向となるが、帯電防止剤の増量で、実施例1とほぼ同様な帯防性能となった。YI値は上昇傾向であるが十分に良好な範囲のものであった。測定結果を表3−1、表4に示した。
帯防層を150μm、コア層を1690μmとした以外は実施例1と同様に多層シートを得た。帯電防止層を厚くしたので帯電防止性能は良化した。一方でYI値は上がる傾向であったが十分に許容範囲のものであった。測定結果を表5に示した。
実施例1で用いた光拡散材平均粒径3μの架橋シリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン トスパール130)、平均粒径6ミクロンの架橋シリコーン樹脂粒子(東芝シリコーン トスパール200)を、帯電防止層に、帯電防止層基材100部に対して、それぞれ0.5部ずつ加えた以外は実施例6と同様に積層シートを得た。帯電防止層に光拡散材を入れても特に問題なく帯電防止性能を持つ光拡散板を得ることができた。測定結果を表5に示した。
コア層、帯電防止層、および被覆層用透明樹脂としてアクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製 「VH5−000」)を用い、高分子型帯電防止剤として、VH5−000との屈折率差が0.01である三洋化成工業株式会社製のポリエーテル系高分子型帯電防止剤(VH230)を用いた。
帯電防止層には、帯電防止剤による着色を防止する為に、ブルーイング材と呼ばれる染料を、帯電防止層に対し0.02重量%となるようにマスターバッチを用いて添加した。
そして、被覆層および帯電防止層の基材樹脂100部に対して、耐候安定剤をその添加量がそれぞれ0.3重量部となるように添加した。添加の際には、マスターバッチを用いた。
なお、上記耐候安定剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリテイケミカルズ社製 商品名「チヌビン234」)とヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャリテイケミカルズ社製 商品名「チヌビン770DF」)との重量比で2:1の混合物である。
表3に示す条件および層構成として共押出を行い多層シートを得た。押出に用いたTダイリップのクリアランス、ランド長さは実施例1と同様とし、厚さ2.0mmの5層構造からなる多層シートを得た。その結果、12時間連続押出ししてもロールには付着物によるロール表面の汚染は全く発生せず、安定して多層シートを得ることができた(表3)。得られた多層シートは、透明性、帯電防止性に優れるものであった。
被覆層を1μm、その分の厚みを調整して、コア層厚みを1848μmに設定した以外は実施例1と同様に多層シートを得た。測定結果を表5に示した。
被覆層を60μm、その分の厚みを調整して、コア層厚みを1730μmとした以外は実施例1と同様に積層シートを得た。測定結果を表5に示した。
帯電防止層を400μm、その分の厚みを調整して、コア層厚みを1190μmに設定した以外は、実施例1と同様に多層シートを得た。測定結果を表5に示した。
帯電防止層を10μm、その分の厚みを調整して、コア層厚みを1970μmに設定した以外は実施例1と同様に多層シートを得た。測定結果を表5に示した。
帯電防止層の帯電防止剤の配合量を3%にした以外は実施例1と同様に多層シートを得た。測定結果を表5に示した。
帯電防止層の帯電防止剤の配合量を50%にした以外は実施例1と同様に多層シートを得た。表面状態も帯電防止層の粘度低下のため、デコボコな多層シートであった。測定結果を表5に示した。
表3に示す製造条件において、表5に示す層構成としてマルチマニホールドTダイにて共押出して、引き取り速度を1.14m/分として厚さ1.6mmの5層構造からなる多層シートを得た。平行ランド部(リップクリアランス2.5mm、平行ランド長さ55mm)を変更し、平行ランド部のせん断量を132として成形を行った。その他の条件は、実施例1と同様である。その結果、得られた多層シートは、せん断量の増加のため、わずかにウロコ模様が認められたが、許容範囲であった。
被覆層をなくし、その分の厚みを調整して、コア層厚みを1850μmとした以外は実施例1と同様に多層シート製造した。しかし、数分でロールが汚れてしまいシート表面が凹凸になってしまった。したがって、光拡散性、帯電防止性の評価は行わなかった。
押出に用いたTダイリップのクリアランス2mm、ランド長さ60mmとし、せん断量を180にコントロールした。それ以外は、実施例2と同様に三種五層の多層シートを得た。
得られた多層シートは光拡散性、帯電防止性は実施例2と大きな遜色はないものの、表面に不均一なウロコ模様が発生しており、光拡散性シートとして使用できるものではなかった。
A1 光拡散剤含有コア層
A2 光拡散剤が偏在したコア層
B 帯電防止層
B1 光拡散剤含有帯電防止層
C 被覆層
10 ダイ
11 リップ部
12 押出機
13、14、15 ポリッシングロール
16 多層シート
Claims (10)
- 透明樹脂(a)を基材樹脂とするコア層(A)形成用溶融物と、
透明樹脂(b)を基材樹脂として高分子型帯電防止剤を含む帯電防止層(B)形成用溶融物と、透明樹脂(c)を基材樹脂として高分子型帯電防止剤を実質的に含まない被覆層(C)形成用溶融物とを、ダイ内で積層合流させて共押出する帯電防止性多層シートの製造方法であって、
前記被覆層が前記多層シートの少なくとも一方の最外面となり、且つ前記帯電防止層が前記被覆層の内面に接して、且つ前記コア層の少なくとも外面側となるように前記各溶融物をダイ内で積層合流することにより、積層合流物となし、
下記式(1)で表される前記ダイのリップ部分の平行ランド部の前記積層合流物のせん断量を0.1〜170とすることを特徴とする帯電防止性多層シートの製造方法。
(数1)
- 前記帯電防止層において、前記高分子型帯電防止剤の溶融粘度と透明樹脂(b)の溶融粘度との比が1:35〜1:1.5であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記透明樹脂(b)の溶融粘度が600〜2500Pa・sであり、前記透明樹脂(c)の溶融粘度が前記透明樹脂(b)の溶融粘度以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記帯電防止層において、前記高分子型帯電防止剤の添加量が、前記透明樹脂(b)と前記高分子型帯電防止剤との総和量に対して5重量%〜40重量%であり、前記帯電防止層の厚みが20〜300μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記帯電防止性多層シートにおける前記被覆層の厚みが2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記帯電防止性多層シートの全体厚みが0.5〜15mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記帯電防止性多層シートのイエローインデックス値が2.6以下であり、
前記帯電防止性多層シートの帯電圧半減期測定における初期帯電圧が2.5kV以下である多層シートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。 - 前記帯電防止性多層シートが、前記コア層又は帯電防止層の少なくとも一つの層に光拡散剤を含有する多層シートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記被覆層において、耐候安定剤の添加量が、前記被覆層の基材樹脂100重量部に対して0.05〜0.8重量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
- 前記帯電防止性多層シートを構成する各層の基材樹脂がアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の帯電防止性多層シートの製造方法。
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