JP5092327B2 - 銀系無機抗菌剤 - Google Patents
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Description
また、ZrとPとの比が異なるリン酸ジルコニウムも知られている。例えば、Na1+4xZr2-x(PO4)3(例えば、非特許文献1参照)、Na1+2xMgxZr2-x(PO4)3(例えば、非特許文献1、2参照)、Na1+xZr2SixP3-xO12(例えば、非特許文献2、3参照)などである。
NH4ZrH(PO4)2 〔4〕
無機系抗菌剤の一つとして、モンモリロナイトおよびゼオライトなどの粘土鉱物中のナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンと銀イオンとをイオン交換させた抗菌剤が知られている。これは粘土鉱物自体の骨格構造が耐酸性に劣るため、例えば酸性溶液中では容易に銀イオンが溶出し、抗菌効果の持続性がない。
また、銀イオンは、熱および光の暴露に対して不安定であり、すぐ金属銀に還元されてしまい、着色を起こすなど、長期間の安定性に問題があった。
更に、他の無機系抗菌剤として、吸着性を有する活性炭に抗菌性金属を担持させた抗菌剤がある。しかし、これらは溶解性の抗菌性金属塩を物理的に吸着または付着させているため、水分と接触させると抗菌性金属イオンが急速に溶出してしまい、抗菌効果の持続性がない。
M1M2xHyAz(PO4)2・nH2O 〔5〕
(式〔5〕において、M1は4価金属より選ばれる一種、M2は銀、銅、亜鉛、錫、水銀、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、砒素、アンチモン、ビスマス、バリウム、カドミウム又はクロムより選ばれる一種、Aはアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンより選ばれる一種、nは0≦n≦6を満たす数、x、y及びzは、0<(l)×(x)<2、0<y<2、0<z<0.5及び(l)×(x)+y+z=2の各式を満たす数である。但し、lはM2の価数とする。)
この抗菌剤は化学的および物理的に安定であり、長期間、防かびおよび抗菌性を発揮する材料として知られている。しかし、ナイロンなどの合成樹脂に練り込むとき、樹脂全体が着色する場合があること、粒子の大きさにより加工性が悪く、製品として使用できないことがあった。
(1)下記式〔1〕で示される銀系無機抗菌剤である。
AgaNabHc(H3O)dZreHff(PO4)3・nH2O 〔1〕
式〔1〕において、a、b、c、d、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、a+b+c+d+4(e+f)=9を満たす数であり、nは2以下の正数である。
(2)下記式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム銀系化合物に加水処理させて得た前記1に記載の銀系無機抗菌剤である。
AgaNabHC1ZreHff(PO4)3 〔2〕
式〔2〕において、a、b、c1、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、a+b+c1+4(e+f)=9を満たす数である。
(3)下記式〔3〕で示されるリン酸ジルコニウム系化合物1モル当たり0.6b1モル〜0.99b1モルの硝酸銀を含む水溶液を用いて銀を含有させた後、これを焼成して得た前記式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム銀系化合物に加水処理させて得た前記2に記載の銀系無機抗菌剤である。
Nab1Ac1ZreHff(PO4)3・nH2O 〔3〕
式〔3〕において、Aはアンモニウムイオンおよび/または水素イオンであり、b1、c1、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、b1+c1+4(e+f)=9を満たす数である。
(4)前記1〜3のいずれか1つに記載の銀系無機抗菌剤を含有する抗菌製品である。
本発明の銀系無機抗菌剤は、上記一般式〔1〕で示されるものである。
e+fが1.75以下または2.25以上の場合は、式〔1〕で表される均質なリン酸ジルコニウムが得られ難いことがあるため好ましくない。
式〔1〕で示される銀系無機抗菌剤として下記のものが例示できる。
Ag0.05Na0.02H0.3(H3O)0.55Zr2Hf0.02(PO4)3・0.15H2O
Ag0.1Na0.02H0.25(H3O)0.47Zr2.01Hf0.03(PO4)3・0.1H2O
Ag0.17Na0.02H0.35(H3O)0.3Zr2.03Hf0.01(PO4)3・0.05H2O
Ag0.17Na0.04H0.2(H3O)0.55Zr1.99Hf0.02(PO4)3・0.25H2O
Ag0.17Na0.05H0.2(H3O)0.3Zr1.92Hf0.15(PO4)3・0.15H2O
Ag 0.17 Na 0.1 H 0.35 (H 3 O) 0.5 Zr 1.92 Hf 0.05 (PO 4 ) 3 ・0.15H 2 O
Ag 0.45 Na 0.12 H 0.2 (H 3 O) 0.35 Zr 1.95 Hf 0.02 (PO 4 ) 3 ・0.05H 2 O
Ag0.55Na0.1H0.1(H3O)0.25Zr1.99Hf0.01(PO4)3・0.15H2O
AgaNabHC1ZreHff(PO4)3 〔2〕
式〔2〕において、a、b、c1、eおよびfは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、a+b+c1+4(e+f)=9を満たす数である。
加水した水分は、一部は結晶水として存在するが、リン酸ジルコニウム中に含まれる水素イオンの量に応じ、水素イオンがオキソニウムイオンに変わることに用いられる。水素イオンとオキソニウムイオンの区別は、水素イオンに起因する820cm-の赤外吸収スペクトル振動ピークの減少などにより確認することが可能である。このオキソニウム基の確認については、J Materials Sci.,19,2691−5(1984)を参照のこと。
Ag0.05Na0.02H0.85Zr2Hf0.02(PO4)3
Ag0.1Na0.02H0.72Zr2.01Hf0.03(PO4)3
Ag0.17Na0.02H0.65Zr2.03Hf0.01((PO4)3
Ag0.17Na0.04H0.75Zr1.99Hf0.02(PO4)3
Ag0.17Na0.05H0.5Zr1.92Hf0.15(PO4)3
Ag 0.17 Na 0.1 H 0.85 Zr 1.92 Hf 0.05 (PO 4 ) 3
Ag 0.45 Na 0.12 H 0.55 Zr 1.95 Hf 0.02 (PO 4 ) 3
Ag0.55Na0.1H0.35Zr1.99Hf0.01(PO4)3
Nab1Ac1ZreHff(PO4)3・nH2O 〔3〕
式〔3〕において、Aはアンモニウムイオンおよび/または水素イオンであり、b1、c1、eおよびfは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、b1+c1+4(e+f)=9を満たす数である。
式〔3〕で表されるリン酸ジルコニウムの合成原料として使用することができるハフニウム化合物には、水溶性または酸可溶性のハフニウム塩であり、塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウムおよびハフニウムエトキシドなどが例示され、ハフニウムを含有するジルコニウム化合物も使用できる。ジルコニウム化合物に対して含有されるハフニウム含有率は、0.1%以上〜5%以下が好ましく、0.3%以上〜4%以下がより好ましい。本発明においては、このようなハフニウムを微量含有したオキシ塩化ジルコニウムを使用することが、反応性や経済性などを考慮すると好ましい。
即ち、式〔3〕で表されるリン酸ジルコニウムの合成方法は、ジルコニウム化合物1モル当たりリン酸またはその塩のモルが1.3超〜2未満の範囲にある湿式法または水熱法である。
即ち、式〔3〕で表されるリン酸ジルコニウムの合成方法は、アンモニアまたはその塩を含有する湿式法または水熱法である。
即ち、式〔3〕で表されるリン酸ジルコニウムの合成方法は、シュウ酸またはその塩を含有する湿式法または水熱法である。ただし、水熱法の場合はシュウ酸またはその塩を含有する必要がない。
式〔3〕で表されるリン酸ジルコニウムの合成時間は、合成温度により異なる。例えば、本発明のリン酸ジルコニウムの合成時間として4時間以上が好ましく、8時間〜72時間がより好ましく、10時間〜48時間が更に好ましい。
Na0.07(NH4)0.85Zr2Hf0.02(PO4)3・0.65H2O
Na0.12(NH4)0.72Zr2.01Hf0.03(PO4)3・0.85H2O
Na0.19(NH4)0.65Zr2.03Hf0.01(PO4)3・0.75H2O
Na0.21(NH4)0.75Zr1.99Hf0.02(PO4)3・0.6H2O
Na0.22(NH4)0.50Zr1.92Hf0.15(PO4)3・0.75H2O
Na 0.27 (NH 4 ) 0.85 Zr 1.92 Hf 0.05 (PO 4 ) 3 ・0.5H 2 O
Na 0.57 (NH 4 ) 0.55 Zr 1.95 Hf 0.02 (PO 4 ) 3 ・0.35H 2 O
Na0.65(NH4)0.35Zr1.99Hf0.01(PO4)3・0.4H2O
Na0.07H0.85Zr2Hf0.02(PO4)3・0.65H2O
Na0.12H0.72Zr2.01Hf0.03(PO4)3・0.85H2O
Na0.19H0.65Zr2.03Hf0.01(PO4)3・0.75H2O
Na0.21H0.75Zr1.99Hf0.02(PO4)3・0.6H2O
Na0.22H0.5Zr1.92Hf0.15(PO4)3・0.75H2O
Na 0.27 H 0.85 Zr 1.92 Hf 0.05 (PO 4 ) 3 ・0.5H 2 O
Na 0.57 H 0.55 Zr 1.95 Hf 0.02 (PO 4 ) 3 ・0.35H 2 O
Na0.65H0.35Zr1.99Hf0.01(PO4)3・0.4H2O
銀イオンを含有する水溶液の調整には、イオン交換水に硝酸銀を溶解した水溶液を使用することが好ましい。イオン交換時の水溶液の温度は、0〜100℃で可能であり、好ましくは20〜80℃である。このイオン交換は速やかに行われるので、浸漬時間は5分以内でも可能であるが、均一で高い銀イオン交換率を得るためには30分〜5時間が好ましい。浸漬を5時間以上行っても、銀イオンの交換がそれ以上進まない。
銀イオン交換終了後には、これをイオン交換水などでよく水洗後、焼成することにより、式〔2〕で示される銀系無機抗菌剤を得ることができる。
本発明の銀系無機抗菌剤は、防カビ、防藻および抗菌性を必要とされる種々の分野、即ち電化製品、台所製品、繊維製品、住宅建材製品、トイレタリー製品、紙製品、玩具、皮革製品、文具およびその他の製品などとして利用することができる。
さらに具体的用途を例示すると、電化製品としては食器洗浄機、食器乾燥機、冷蔵庫、洗濯機、ポット、テレビ、パソコン、ラジカセ、カメラ、ビデオカメラ、浄水器、炊飯器、野菜カッタ−、レジスタ−、布団乾燥器、FAX、換気扇、エア−コンデショナ−などがあり、台所製品としては、食器、まな板、押し切り、トレ−、箸、給茶器、魔法瓶、包丁、おたまの柄、フライ返し、弁当箱、しゃもじ、ボ−ル、水切り篭、三角コ−ナ−、タワシいれ、ゴミ篭、水切り袋などがある。
その他の製品としてはインソ−ル、化粧容器、タワシ、化粧用パフ、補聴器、楽器、タバコフィルタ−、掃除用粘着紙シ−ト、吊革握り、スポンジ、キッチンタオル、カ−ド、マイク、理容用品、自販機、カミソリ、電話機、体温計、聴診器、スリッパ、衣装ケ−ス、歯ブラシ、砂場の砂、食品包装フィルム、抗菌スプレ−、塗料などがある。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
メジアン径および最大粒径は、レーザー回折式粒度分布を用いて体積基準により測定した。
ジルコニウムの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をICP発光分光分析計にて測定し算出した。リンの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をICP発光分光分析計にて測定し算出した。ナトリウムの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液を原子吸光光度計にて測定し算出した。アンモニアの量は、強酸を用いて検体を溶解後、この液をインドフェノール法にて測定し算出した。オキソニウムイオンの量は、熱分析により160〜190℃の重量減少量を測定し算出した。
純水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、ハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.2モルおよび塩化アンモニウム0.1モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.7に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を合成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Na0.6(NH4)0.4Zr1.98Hf0.02(PO4)3・0.09H2O
であった。
得られたリン酸ジルコニウム0.09モルに硝酸銀0.05モル(Ag/Na=0.93)を溶解したイオン交換水溶液450mlを加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。その後よく洗浄し、120℃で乾燥したものを650℃で4時間焼成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.55Na0.05H0.4Zr1.98Hf0.02(PO4)3
であった。
この焼成後の粉末を軽く粉砕した後、相対湿度40%、温度55℃の雰囲気で6時間静置し、加水処理することで本発明の銀系無機抗菌剤を得た。この銀系無機抗菌体の各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.55Na0.05H0.2(H3O)0.2Zr1.98Hf0.02(PO4)3・0.2H2O
であった。そして、この銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
純水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、ハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.19モルおよび塩化アンモニウム0.10モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.7に調整後、98℃で14時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を合成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Na0.5(NH4)0.8Zr1.91Hf0.015(PO4)3・0.11H2O
であった。
得られたリン酸ジルコニウム0.09モルに硝酸銀0.035モル(Ag/Na=0.78)を溶解した1N硝酸水溶液450mlに、を加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。その後よく洗浄し、120℃で乾燥したものを720℃で4時間焼成した。
このリン酸ジルコニウムの組成式を測定したところ、組成式は、
Ag0.39Na0.11H0.8Zr1.91Hf0.015(PO4)3
であった。この焼成後の粉末を軽く粉砕した後、相対湿度5%、温度110℃の雰囲気中で6時間静置し、加水処理することで本発明の銀系無機抗菌剤を得た。この銀系無機抗菌体の各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.39Na0.11H0.21(H3O)0.59Zr1.91Hf0.015(PO4)3・0.19H2O
そして、この銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
純水300mlに、ハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.195モルおよび塩化アンモニウム0.12モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液に20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.7に調整後、140℃飽和蒸気圧下で4時間攪拌した。その後、得られた沈殿物をよく洗浄し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウム化合物を合成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Na0.25(NH4)0.95Zr1.93Hf0.02(PO4)3・0.09H2O
であった。
得られたリン酸ジルコニウム0.09モルに硝酸銀0.018モルを溶解したイオン交換水450mlに加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。その後よく洗浄し、120℃で乾燥したものを700℃で4時間焼成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.18Na0.07H0.95Zr1.93Hf0.02(PO4)3
であった。この焼成後の粉末を軽く粉砕した後、相対湿度50%、温度35℃の雰囲気中で24時間攪拌することにより加水処理することで本発明の銀系無機抗菌剤を得た。この銀系無機抗菌体の各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.18Na0.07H0.45(H3O)0.5Zr1.93Hf0.02(PO4)3・0.27H2O
であった。そして、この銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
純水300mlにシュウ酸2水和物0.1モル、ハフニウム0.18%含有オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.193モルを溶解後、攪拌しながらリン酸0.3モルを加えた。この溶液を20%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを2.9に調整後、98℃で14時間攪拌した。得られた沈殿物をよく洗浄後、1N硝酸水溶液を用いてイオン交換し、120℃で乾燥することによりリン酸ジルコニウムを合成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Na0.27H0.75Zr1.97Hf0.025(PO4)3・0.37H2O
であった。
得られたリン酸ジルコニウム0.09モルに硝酸銀0.018モル(Ag/Na=0.8)を溶解した1N硝酸水溶液450mlに、合成したを加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。その後よく洗浄し、120℃で乾燥したものを700℃で4時間焼成した。
このリン酸ジルコニウムの各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.2Na0.07H0.75Zr1.97Hf0.025(PO4)3
であった。
焼成後の粉末を軽く粉砕後、温度35℃、相対湿度50%の雰囲気中で24時間静置し、加水処理することで、本発明の銀系無機抗菌剤を得た。
この銀系無機抗菌体の各成分量を測定したところ、組成式は、
Ag0.2Na0.07H0.3(H3O)0.45Zr1.91Hf0.02(PO4)3・0.22H2O
であった。そして、この銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
加水処理を行わない以外は、実施例3と同様の操作により比較銀系無機抗菌剤を得た。この比較銀系無機抗菌体の組成式は、
Ag0.18Na0.07H0.95Zr1.93Hf0.02(PO4)3
であった。そして、この比較銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
焼成を行わない以外は、実施例3と同様の操作により比較銀系無機抗菌剤を得た。この比較銀系無機抗菌体の組成式は、
Ag0.18Na0.07(NH4)0.95Zr1.93Hf0.02(PO4)3・0.43H2O
であった。そして、この比較銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
硝酸銀0.015モル(Ag/Na=0.33) 溶解したイオン交換水で銀を担持させた以外は、実施例2と同様の操作により比較銀系無機抗菌剤を得た。この比較銀系無機抗菌体の組成式は、
Ag0.16Na0.34H0.24(H3O)0.56Zr1.91Hf0.015(PO4)3・0.16H2O
であった。そして、この比較銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
市販のA型ゼオライト40gに硝酸銀1.2gを溶解したイオン交換水溶液450mlを加え、60℃で2時間攪拌することで銀を担持させた。この比較銀系無機抗菌体のメジアン径(μm)、最大粒径(μm)および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC、μg/ml)を測定し、これらの結果を表1に示した。
実施例1で得られた銀系無機抗菌剤を宇部興産製ナイロン6樹脂に0.1%配合し、280℃で厚さ2mmのプレートを射出成型し、成形品aを得た。この成形品aと銀置換をしていない以外は実施例1と同様の操作を行い得られたリン酸ジルコニウムを0.1%配合し成形したプレートとの成形直後の色差ΔEを色彩色差計を用いて測定した結果を表2に示した。また、この射出成型プレートを90℃の0.1%食塩水に1時間浸漬後、屋外暴露したプレートの色差ΔEを色彩色差計を用いて測定した結果も表2に示した。さらに、この射出成型プレートを用いてJIS Z2801 5.2プラスチック製品などの試験方法による抗菌性試験を実施した。この得られた抗菌活性値の結果も表2に示した。
同様に、実施例2〜4および比較例1〜4で作製した銀系無機抗菌剤および比較銀系無機抗菌剤を用いて、成形品b〜dおよび比較成形品e〜hを作製した。これらの成形品についても色差および抗菌活性を測定し、これらの結果を表2に示した。
ナイロン樹脂に実施例1で作製した銀系無機抗菌剤を10wt%になるように配合し、マスターバッチを作製した。そして、このマスターバッチとナイロン樹脂ペレットとを混合し、銀系無機抗菌剤が0.15wt%となるように抗菌樹脂を調製した。そして、この抗菌樹脂についてマルチフィラメント紡糸機を用いて、紡糸温度285℃で溶融紡糸し、24フィラメントの抗菌剤含有ナイロン繊維を(繊維a)を得た。同様に、実施例2〜4および比較例1〜4で作製した比較銀系無機抗菌剤を用いて、繊維b〜dおよび比較繊維e〜hを作製した。紡糸時の糸切れの有無および洗濯3回品の色差ΔEを色彩色差計を用いて測定した結果を表3に示した。また、得られた抗菌剤含有ナイロン繊維は精練後および洗濯3回後に、黄色ブドウ球菌を用いたJIS L 1902-1998の定量試験により抗菌性を評価し、その結果を表3に示した。
Claims (4)
- 下記式〔1〕で示される銀系無機抗菌剤。
AgaNabHc(H3O)dZreHff(PO4)3・nH2O 〔1〕
式〔1〕において、a、b、c、d、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、a+b+c+d+4(e+f)=9を満たす数であり、nは2以下の正数である。 - 下記式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム銀系化合物に加水処理させて得た請求項1に記載の銀系無機抗菌剤。
AgaNabHC1ZreHff(PO4)3 〔2〕
式〔2〕において、a、b、c1、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、a+b+c1+4(e+f)=9を満たす数である。 - 下記式〔3〕で示されるリン酸ジルコニウム系化合物1モル当たり0.6b1モル〜0.99b1モルの硝酸銀を含む水溶液を用いて銀を含有させた後、これを焼成して得た前記式〔2〕で示されるリン酸ジルコニウム銀系化合物に加水処理させて得た請求項2に記載の銀系無機抗菌剤。
Nab1Ac1ZreHff(PO4)3・nH2O 〔3〕
式〔3〕において、Aはアンモニウムイオンおよび/または水素イオンであり、b1、c1、およびeは正数であり、fは正数であり、1.75<(e+f)<2.25、b1+c1+4(e+f)=9を満たす数である。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の銀系無機抗菌剤を含有する抗菌製品。
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