ところで、ステアリングホイール装置は、車両の車種によって上記操作スイッチ部材の有無、操作スイッチ部材の種類(操作スイッチ部材の形状、大きさ、個数、内部構造等)が異なってなるものである。
従って、操作スイッチ部材を組付けるための部材(以下、操作スイッチ部材組付用部品と呼ぶ)は、車両の車種に対応して複数用意しておく必要がある。
一方、近年ユーザーニーズの多様化により車両の車種のバリエーションが増加する中、車両の車種ごとに専用の車両組立ラインを設けることにより必要となる専用投資を削減するために、一本のメインライン上に複数種類の車両の車体を搬送して流す混流生産ラインを採用する場合がある。
このような混流生産ラインにおいては、作業者が車両の車種に対応する操作スイッチ部材組付用部品を迅速且つ容易にステアリング本体に取付けることができるように、予め操作スイッチ部材組付用部品を分類してメインラインの側方に載置しておく必要がある。この場合、操作スイッチ部材組付用部品を分類し載置しておくための分類スペースが必要となる。従って、該分類スペースの省スペース化を図る意味においても、操作スイッチ部材組付用部品は小部品であることが望ましい。
しかしながら、上述の特許文献1に示すような従来のステアリングホイール装置では、エアバッグユニットのカバー体に操作スイッチ部材が組付けられるので、大部品であるエアバッグユニットが操作スイッチ部材組付用部品とされている。このため、例えば上記混流生産ラインにおいて、エアバッグユニットを予め分類して載置しておくための分類スペースが増大してスペース効率が悪化したり、分類作業に要する作業工数が増大するという問題がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ステアリングホイール装置の構成に工夫を凝らすことで操作スイッチ部材組付用部品の小型化を図ることによって、例えば車両の混流生産ラインにおいて車体にステアリングホイール装置を組付ける際に、車両の機種切替に対応して、所定種類の操作スイッチ部材組付用部品を迅速且つ容易に車体に組付けることができるようにするとともに、該操作スイッチ部材組付用部品を分類して載置しておくための分類スペースを削減して工場内のスペース効率を向上させようとすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、エアバッグユニットと、カバー部材とを備え、上記カバー部材に、上記ステアリング本体に形成された係合凹部に係合する係合爪と、上記エアバッグユニットの一部に当接する当接面とを設けるとともに、上記エアバッグユニットを該当接面に当接させた状態でステアリング本体中心部に取付固定することにより、上記カバー部材の係合爪に対して、上記ステアリング本体及び上記カバー部材同士の係合を解除不能に拘束する拘束力を生じさせて、カバー部材をステアリングに取付固定するようにした。
具体的には、請求項1の発明では、車両の乗員が把持するリング部と、該リング部の略中心部に配設され、ステアリングシャフトが連結固定されるステアリング本体中心部とを有するステアリング本体と、上記ステアリング本体中心部の乗員側を覆うパッド部とを備えたステアリングホイール装置を対象とする。
そして、上記ステアリング本体中心部に取付固定されて上記パッド部を構成するとともに、内部に、折り畳まれたエアバッグが収容されて所定条件成立時に該エアバッグを乗員側に膨張展開させるエアバッグユニットと、所定種類の操作スイッチ部材を組付可能に構成された組付部を有していて、上記エアバッグユニットのステアリング本体中心部への取付固定により上記ステアリング本体に取付固定されるカバー部材と、上記カバー部材の組付部に組付けられた操作スイッチ部材とを備え、上記ステアリング本体は係合凹部を有し、上記カバー部材は、所定方向に変位可能に構成され且つ上記ステアリング本体の係合凹部と係合する係合爪と、上記エアバッグユニットの一部に当接する当接面と、を有していて、上記エアバッグユニットを、上記当接面に当接させた状態で上記ステアリング本体中心部に取付固定することで上記係合爪を上記所定方向に変位させて上記係合凹部に押付けることによって、上記係合爪に対して、上記ステアリング本体及び上記カバー部材同士の係合を解除不能に拘束する拘束力を生じさせるように構成されているものとする。
この構成により、例えば、カバー部材を操作スイッチ部材組付用部品とすることで、ステアリング本体やエアバッグユニット等の大部品に対して該操作スイッチ部材組付用部品を別部品化して小型化することができる。
従って、例えば、車両組立ラインにおいて一本のメインライン上に複数種類の車両の車体を搬送して流す混流生産ラインを採用した場合に、ステアリング本体等の大部品を車両の車種によらず共通化できる基本的な汎用部品とする一方で、車両の車種ごとに異なる、操作スイッチ部材の種類に対応して、予め操作スイッチ部材組付用部品であるカバー部材を複数種類用意しておくことで、操作スイッチ部材組付用部品を予め分類しておく分類作業に要する労力を低減して作業工数を削減することができるとともに、分類した操作スイッチ部材組付用部材を保管しておくための分類用スペースを削減して工場内のスペースの有効活用を図ることが可能となる。
また、カバー部材は、エアバッグユニットのステアリング本体中心部への取付固定により、ステアリング本体に取付固定される。このため、カバー部材をステアリング本体に取付固定するために専用のボルト等を使用する必要もなく、従って部品点数を削減して製造コストを低減することができる。また、上記専用のボルト等を締付けるための作業を無くして作業工数を削減することができる結果、ステアリング装置の車体への組付作業に要する時間であるサイクルタイムの短縮を図ることができる。
更に、エアバッグユニットをカバー部材の当接面に当接させることで、カバー部材の係合爪がステアリング本体の係合凹部に押付けられて、係合爪には拘束力が働く結果、該係合爪の外れを防止することができる。従って、該カバー部材を確実に且つ強固にステアリング本体に取付固定することが可能となる。
請求項2の発明では、請求項1記載のステアリングホイール装置において、上記ステアリング本体は、上記ステアリング本体中心部と上記リング部とを連結するスポーク部を有し、上記カバー部材は、上記スポーク部に沿って上記ステアリング本体中心部側から上記リング部側に向かって延びる延設部を有し、上記係合爪は、上記延設部におけるリング部側の端部に設けられているものとする。
これにより、カバー部材をステアリング本体に仮固定する際に、カバー部材の延設部の延びる方向を、ステアリング本体のスポーク部の延びる方向に合わせることで、カバー部材を所定の位置に容易に合わせることができる。従って、例えば、上述のような車両の混流生産ラインにおいて、カバー部材をステアリング本体に仮固定する際に、カバー部材を素早く所定の位置に合わせてステアリング本体に仮固定することができ、従って上記サイクルタイムの短縮を図ることができる。
請求項3の発明では、請求項2記載のステアリングホイール装置において、上記操作スイッチ部材を組付けるための組付部は、上記延設部に設けられているものとする。
これにより、乗員(運転手)は、上記操作スイッチ部材を容易に操作することができる。すなわち、運転手は、車両運転中はリング部を把持しているので、操作スイッチ部材等はリング部側に近い方が望ましい。本発明によれば操作スイッチ部材は、ステアリング本体中心部とリング部との間に位置するカバー部材の延設部に設けられているので、例えばステアリング本体中心部の乗員側を覆うパッド部に操作スイッチ部材を設ける等した場合に比べて、操作スイッチ部材を容易に操作することができる。具体的には、例えばオーディオ等の車載装置を操作する操作ボタンや車両変速用のパドルスイッチ等を操作スイッチ部材とすることで、運転手は、容易にオーディオ操作や車両の変速操作を行うことができる。
請求項4の発明では、請求項2又は3記載のステアリングホイール装置において、上記スポーク部は、上記ステアリング本体中心部を挟んで略直線状に配置された第一スポーク部と第二スポーク部とを有し、上記カバー部材は、上記第一スポーク部及び第二スポーク部に沿ってそれぞれ延びる二つの延設部と、上記ステアリング本体中心部の周縁部に沿うように湾曲して上記二つの延設部を繋ぐ連結部とを有しているものとする。
これにより、上記連結部を容易に撓ませることができる。そして、該連結部を撓ませた状態でカバー部材の係合爪をステアリング本体の係合凹部に係合させることができ、従ってカバー部材をステアリング本体に容易に仮固定することができる。
請求項5の発明では、請求項2乃至4のいずれか一つに記載の発明において、上記所定方向は上記リング部の径方向であり、上記当接面は、上記リング部軸心方向の乗員側に向かって、リング部径方向の外側に傾斜する傾斜面部を有しており、上記傾斜面部におけるリング部軸心方向の乗員側の端部は、上記延設部のステアリング本体中心部側の端部に連接されているものとする。
この構成により、請求項2乃至4の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることができる。
請求項6の発明は、ステアリングシャフトが連結固定されるステアリング本体中心部を有するステアリング本体と、該ステアリング本体中心部に取付固定され、内部に、折り畳まれたエアバッグが収容されて所定条件成立時に該エアバッグを乗員側に膨張展開させるエアバッグユニットと、上記エアバッグユニットのステアリング本体中心部への取付固定により上記ステアリング本体に取付固定されるカバー部材とを備えたステアリングホイール装置の組立方法を対象とする。
そして、予め、車両の車種ごとに設定された操作スイッチ部材の有無又は操作スイッチ部材の種類に対応して、複数種類のカバー部材を用意しておくとともに、上記ステアリング本体には係合凹部を形成し、該カバー部材には、所定方向に変位可能に構成され且つ該ステアリング本体の係合凹部に係合する係合爪と、上記エアバッグユニットの一部に当接する当接面とを形成しておく準備工程と、上記車両の車種に対応する複数種類のカバー部材の中から一種類を選択する選択工程と、上記選択工程後に、上記選択された種類のカバー部材の係合爪を上記ステアリング本体の係合凹部に係合させるとともに、上記エアバッグユニットを、上記カバー部材の当接面に当接させた状態でステアリング本体中心部に取付固定することにより、上記カバー部材を上記ステアリング本体に固定する固定工程とを含み、上記固定工程は、上記エアバッグユニットを、上記カバー部材の当接面に当接させた状態で上記ステアリング本体中心部に取付固定することで、上記係合爪に対して、上記ステアリング本体及び上記カバー部材同士の係合を解除不能に拘束する拘束力を生じさせることによって、上記カバー部材を上記ステアリング本体に固定する工程であるものとする。
この方法により、車両の車種に対応するカバー部材を選択してステアリング本体に取付けることでステアリングホイール装置の組立が可能となる。また、カバー部材の係合爪をステアリング本体に係合させることで、カバー部材の取付位置がずれたりするのを防止してステアリングホイール装置組立中の作業性を向上させることができる。
請求項7の発明は、請求項6記載のステアリングホイール装置の組立方法において、上記選択工程及び上記固定工程は共に、車両にステアリングホイール装置を取付ける取付ライン上で実施する工程であること特徴とするステアリングホイール装置の組立方法。
この方法により、取付ライン上を連続的に流れて来る車両の車体に対して、ステアリングホイール装置を遅延無く確実に取付けることができる。また、例えば取付ラインを上記混流生産ラインとした場合に、取付ライン上を流れて来る車両の車種に対応して、ステアリングホイール装置を該車両の車体に迅速且つ容易に取付けることができる。
以上説明したように、本発明によると、ステアリング本体やエアバッグユニット等の大部品とは別に比較的小部品のカバー部材を設けるとともに、該カバー部材を、エアバッグユニットのステアリング本体への取付固定によりステアリング本体に取付固定するようにしたことにより、例えば、車両の混流生産ラインにおいて車体にステアリングホイール装置を組付ける場合に、車両の車種により異なる操作スイッチ部材を分類して保管しておくための分類スペースを削減することが可能になるとともに、分類作業に要する労力を低減して作業工数を削減することができる。更に、カバー部材をステアリング本体に取付固定するために専用のボルト等を使用する必要もなく、従って部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のステアリングホイール装置Wの概略構造を示す図である。このステアリングホイール装置Wは、人が把持するリング部10を有し且つステアリングシャフト100(図2参照)が連結固定されたステアリング本体1と、ステアリング本体1の乗員側に装着されたエアバッグユニット2と、所定種類の操作ボタン3A(操作スイッチ部材に相当)と、車両の変速操作用に設けられた所定種類のパドルスイッチ6A(操作スイッチ部材に相当)と、上記所定種類の操作ボタン3A及びパドルスイッチ6Aを組付可能に構成された正面カバー5A(カバー部材に相当)と、化粧カバー7とを備えている。ここで、上記操作ボタン3Aは、例えば、乗員Mがオーディオ等の車載装置を操作するためのものであって、操作用のボタン70を有している。尚、後述するように、操作ボタン3Aの代わりに該操作ボタン3Aとは異なる操作ボタン3Bを設けたり、操作ボタン3Aを複数設ける等してもよい。また、正面カバー5Aを、操作ボタン3A,3B及びパドルスイッチ6Aの有無や種類(大きさ、形状、内部構造、個数等)に対応して、該正面カバー5Aとは構成の異なる正面カバー5B,5Cとする等してもよい。
尚、以下の説明において、上側及び下側とは、車両直進状態にあるときのステアリングホイール装置Wをリング部軸方向の乗員側から視たとき(以下、乗員視と呼ぶ)の上下方向の上側及び下側をそれぞれ意味し、また、正面側及び背面側とは、それぞれリング部軸方向の乗員側及び反乗員側を意味するものとする。
上記ステアリング本体1は、図3及び図4に示すように、該ステアリング本体1の骨格を形成する芯金11と、芯金11の外周部を覆うウレタン等からなる被覆層12と、該芯金11の反乗員側を覆う背面カバー9とを備えていて、上記外周側のリング部10と、該リング部10の略中心部に配設され、上記ステアリングシャフト100が連結固定されるステアリング本体中心部13と、リング部10及びステアリング本体中心部13を互いに連結する3つのスポーク部15,16,17とからなる。スポーク部15,16,17は、ステアリング本体中心部13を挟んで左右両側にそれぞれ略直線状に配設された第一スポーク部15及び第二スポーク部16と、該ステアリング本体中心部13の下端部から第一スポーク部15及び第二スポーク部16に対して垂直に下側に向かって延びる第三スポーク部17とで構成されていて乗員視略T字状になっている。
上記芯金11は、断面逆U字状の芯金リング部18(図3参照)と、該芯金リング部18の略中心部に配設された芯金中心部19と、該芯金リング部18及び芯金中心部19(図4参照)を互いに連結する芯金スポーク部29,30,31とで構成されている。
芯金中心部19は、角部が面取りされた略矩形状の板材からなるボスプレート19aを有している。
上記ボスプレート19aの車幅方向略中央部には、ステアリングシャフト100を連結固定するための連結孔19gが形成されており、ステアリングシャフト100は、外周面を連結孔19gの内周面に嵌合した状態でワッシャ22を介してボルト23によりボスプレート19aに連結固定されている。こうして、ボスプレート19aはステアリングシャフト100(リング部軸方向)に対して略垂直になるように配設されている。尚、ワッシャ22とボルト23とは一体部品であってもよい。
また、ボスプレート19aの車幅方向両端部には段差部19bが設けられている。該段差部19bの正面側の面25は、ボスプレート19aに対して略平行になるように形成されていて、正面カバー5Aが当接する当接面25とされている。
また、ボスプレート19aの下端部には、車幅方向両端部からそれぞれ下側に向かって延びる二つの延設部19cが設けられている。該延設部19cの車幅方向外側には、エアバッグユニット2を取付固定するための取付孔19fを有するエアバッグユニット取付部19dがそれぞれ正面側に向かって延びるようにして設けられている。取付孔19fは、エアバッグユニット取付部19dに沿って延びる長孔とされている(図4及び図10参照)。
上記芯金スポーク部29,30,31は、乗員視において上記芯金中心部19を挟むようにして、上記段差部19bから左右両側に略直線状に延びる芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30と、上記延設部19cの下端部から上記芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30に対して垂直に下側に向かって延びる二つの芯金第三スポーク部31とで構成されている(図4参照)。より詳細には、芯金第一スポーク部29は、芯金リング部18から径方向内側に向かって背面側に傾斜する傾斜部29aと、該傾斜部29aから径方向内側に向かって略水平に延びて段差部19bに連設されてなる棚部29bとからなる(図3参照)。同様に芯金第二スポーク部30は、芯金リング部18から径方向内側に向かって背面側に傾斜する傾斜部30aと、該傾斜部30aから径方向内側に向かって略水平に延びて段差部19bに連設されてなる棚部30bとからなる(図3参照)。また、上記芯金第三スポーク部31は、上記延設部19cの下端部から一旦正面側に向かって延びた後、折れ曲がって下側に向かって伸びて芯金リング部18に連設されてなる(図4参照)。
一方、上記被覆層12は、芯金リング部18の表面を被覆して該芯金リング部18と共に上記ステアリング本体1のリング部10を構成している。また、該被覆層12は、芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30のリング部側の端部を被覆して、上記正面カバー5Aを取付けるための係合凹部1aを形成するとともに、芯金第三スポーク部31全体を覆って化粧カバー7を取付けるための取付部を形成している。
上記芯金11の被覆層12に覆われていない部分は、背面側が背面カバー9により覆われている一方、正面側が上記正面カバー5A及び上記エアバッグユニット2により覆われている。
上記背面カバー9は、芯金中心部19を覆う背面カバー中心部32と、該背面カバー中心部32の車幅方向両端部から上記芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30に沿って左右両側にそれぞれ延びる背面カバー第一延設部33及び背面カバー第二延設部34とから一体化されている(図3及び図4参照)。
上記背面カバー中心部32は、正面側に開放する略円筒状部材からなり、該円筒状部材の側面は、周方向の一部が上記芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30に干渉しないように開放されてなる。
また、上記背面カバー中心部32の側面には、エアバッグユニット2を芯金中心部19に固定するボルト64を締付けるための作業孔32cが、上記取付孔19fに対応する箇所に形成されている。これにより、上記作業孔32cに工具を挿通してボルト締付け作業を行うことができ、従ってエアバッグユニット2を芯金11に容易に取付固定することができる。
また、上記背面カバー中心部32の底面には、ステアリングシャフト100やハーネス等を挿通するための略円形状の開口部32aが形成されている。また、該底面には、該背面カバー9を芯金11に取付けるための取付ボス(図示略)が複数設けられており、背面カバー9は、芯金中心部19に設けられた取付孔19eに取付螺子(図示略)を挿通して上記各取付ボスに螺合することにより芯金11に取付固定されている。
そして、上記芯金中心部19と上記背面カバー中心部32とでもって上記ステアリング本体中心部13が構成され、上記芯金第一スポーク部29及び芯金第二スポーク部30と背面カバー第一延設部33及び背面カバー第二延設部34とでもって上記ステアリング本体1の第一スポーク部15及び第二スポーク部16がそれぞれ構成されている。
一方、正面カバー5Aは、多少の変形を許容する合成樹脂材からなっていて、図5及び図6に示すように上記第一スポーク部15及び第二スポーク部16に沿ってそれぞれ左右両側に延びる第一直線部36(延設部に相当)及び第二直線部37(延設部に相当)と、上記ステアリング本体中心部13の周縁部(背面カバー中心部32の上端縁)に沿うように湾曲して上記第一直線部36及び第二直線部37を繋ぐ、乗員視略U字状のU字状連結部38(連結部に相当)と、該正面カバー5Aをステアリング本体1に取付固定するための正面カバー固定部39とで構成されている。
上記第一直線部36の正面側の面には、所定種類の操作ボタン3Aを組付可能に構成された略矩形状の操作部材組付用開口部36a(組付部に相当)が形成されている。また、第一直線部36の上端部には、パドルスイッチ6Aを組付けるためのパドルスイッチ組付用開口部36dが形成されている。これら開口部36a,36dに対して、操作ボタン3Aやパドルスイッチ6Aは、正面カバー5Aがステアリング本体1に取付固定される前に予め取付用螺子71(図3では操作ボタン3Aを取付固定するための取付用ネジ71のみを示す)により取付固定されるように構成されている。
尚、操作部材組付用開口部36a及びパドルスイッチ組付用開口部36dは、該正面カバー5Aにおいては第一直線部36に一つだけ設けられているが、これに限ったものではなく、後述するように例えば第一直線部36と第二直線部37との両方に設ける等してもよい。
上記第一直線部36及び第二直線部37のリング部側(径方向外側)の端部には、該端部から径方向外側に向かって突出するとともに、上記ステアリング本体1に形成された係合凹部1aに係合する係合爪36c,37cがそれぞれ設けられている。該係合爪36c,37cは、図3に示すように断面略くの字状に形成されていて、正面カバー5Aを撓ませることにより所定方向つまりリング部10の径方向に変位可能に構成されている。そして、該係合爪36c,37cは、後述するようにエアバッグユニット2を芯金中心部19に取付固定することによって上記係合凹部1aに押付けられている。
一方、上記正面カバー固定部39は、上記芯金11のボスプレート19aに当接する第一当接部40と、第一当接部40の下端部から正面側に向かって延びる垂直部41と、該垂直部41の正面側の端部から下側に向かって延びて、背面側の面が段差部19bの当接面25に当接する一方で正面側の面42a(以下、エアバッグ第一当接面42aと呼ぶ)がエアバッグユニット2に当接する第二当接部42と、該第二当接部42の径方向外側(車幅方向外側)の端部から正面側に向かって延びて、径方向内側の面43a(以下、エアバッグ第二当接面43aと呼ぶ)にエアバッグユニット2が当接する第三当接部43と、第一当接部40及び第三当接部43からそれぞれ正面側に向かって延びてU字状連結部38に連設されてなる第一連結部44及び第二連結部45とからなる。また、第一連結部44と第一当接部40との間には、該第一連結部の支持剛性を高めるためのリブ40aが設けられている。ここで、上記エアバッグ第一当接面42aは、リング部軸方向(ステアリングシャフト軸方向)に対して略垂直になるように形成され、上記エアバッグ第二当接面43aは、リング部軸方向の正面側に向かって径方向外側に僅かに傾斜するように形成されている。尚、上記エアバッグ第一当接面42a及びエアバッグ第二当接面43aが、本発明の当接面に相当するものである。
一方、エアバッグユニット2は、図3に示すように該エアバッグユニット2をステアリング本体1に取付けるための基材となるホーンプレート50と、該ホーンプレート50に対してホーンスイッチ装置59を介して弾性支持され、リング部軸方向に移動可能に構成されたエアバッグ中央部2aとからなる。そして、エアバッグ中央部2aをリング部軸方向の背面側に押圧することによって、ホーンスイッチ装置59が作動して所定の警告音(ホーン)が鳴るようになっている。
上記エアバッグ中央部2aは、リアクションプレート46と、該リアクションプレート46の正面側を覆って、上記リアクションプレート46とともにエアバッグ60を収容する収容空間65を形成するエアバッグカバー47と、該リアクションプレート46の底面に取付固定され、エアバッグ60を膨張させるためのガスを発生させるインフレータ61と、インフレータ61を覆うようにして上記収容空間65内に配設されたエアバッグ60とで構成されている。
上記インフレータ61は、略円筒状のケース部材からなっていて、内部に、ガスを発生させるためのガス発生剤や該ガス発生剤に着火するためのイグタイナが封入されている。ケース部材の側面には、ガス発生材によって発生したガスを排出するための複数のガス噴出口(図示略)が設けられている。そして、上述のように、エアバッグ60は、インフレータ61を覆うように配設されているため、ガス噴出口から排出されたガスはエアバッグ60内に確実に供給されるようになっている。そして、所定条件成立時に、インフレータ61が起動することにより、エアバッグ60が、上記収容空間65内で膨張するとともに、エアバッグカバー47に形成された所定の薄肉部(図示略)を破断させて扉上に開いた開口から乗員M側に膨張展開することによって該乗員Mを保護するように構成されている(図2参照)。ここで、本実施形態においては、車両が正面衝突する等して、車体に取付けられたセンサ等により検出された加速度が予め設定した設定値を超えたときを所定条件成立時としている。尚、エアバッグ60を膨張展開させるための条件については、これに限ったものではない。
一方、上記リアクションプレート46は、図7に示すように、乗員視略台形状の板状部材からなるリアクションプレート本体部46aを有している。該リアクションプレート本体部46aの上端側の両隅部及び下端部における車幅方向略中央部には、正面側に向かって延びる支持部材46b(図8参照)に連設されて、該リアクションプレート本体部46aの径方向外側に延出する3つの延出部46cが設けられている。また、リアクションプレート46の車幅方向両端縁上には、エアバッグカバー47を取付固定するための取付孔46fを有する3つのエアバッグカバー取付部46dが、正面側に向かって延びるようにして設けられている。
上記ホーンスイッチ装置59は、図3に示すように、上記リアクションプレート46の延出部46cと、先端部がホーンプレート50に螺合固定されるとともに正面側に向かって延びるように配設されたガイド軸51と、上記延出部46cとホーンプレート50との間における、上記ガイド軸51の周囲に挿通された状態で配設されたバネ部材53とからなるものであって、上記エアバッグ中央部2aをホーンプレート50に対して弾性支持するように構成されている。
上記各延出部46cにおいて上記ガイド軸51が挿通される挿通孔46gの周縁部には、スリーブ接点52が設けられているとともに、ガイド軸51の下端部にはピン接点51aが設けられている。これにより、エアバッグ中央部2aが、背面側に押圧されると、各延出部46c及びそのスリーブ接点52がバネ部材53の弾性復元力に抗しながら移動して、上記スリーブ接点52とピン接点51aとが接することによりホーン回路(図示省略)が閉成されて、ホーンが鳴るようになっている。一方、エアバッグ中央部2aへの押圧力が無くなると、エアバッグ中央部2aは、上記バネ部材53の弾性復元力によって初期位置(図3の状態)まで戻るように構成されている。
エアバッグカバー47は、正面側にエンブレム等が取付けられるとともにステアリング本体中心部13を覆うパッド部を構成するカバー部47aと、該カバー部47aから背面側に向かって内径が縮小するように延びる縮径部47bと、該縮径部47bから背面側に向かって延びる略円筒状の円筒部47cとで構成されている。
そして、上記エアバッグカバー47は、リアクションプレート46のエアバッグカバー取付部46dに設けられた取付孔46fに螺子62を挿通するとともに、上記円筒部47cの側面に設けられた螺子孔47fに螺合してリアクションプレート46に取付固定されている(図3及び図9参照)。
一方、上記ホーンプレート50は、図7及び図8に示すように、乗員視で略台形状の板状部材からなるホーンプレート本体部50aを有している。該ホーンプレート本体部50aの車幅方向両端部には、ホーンプレート50を芯金11に取付固定するための取付孔50fを有し且つ背面側に向かって延びる板状部材からなる芯金固定部50bが設けられている。上記芯金固定部50bの径方向内側の面には、該取付孔50fと同軸にナット58が溶接して一体に固定されている。
そして、エアバッグユニット2は、上記ホーンプレート本体部50aの背面を、上記エアバッグ第一当接面42aに当接させるとともに、該ホーンプレート本体部50aの側面を、上記エアバッグ第二当接面43aに当接させた状態で、該ホーンプレート本体部50aを芯金中心部19に取付固定することによって、ステアリング本体1に取付固定されている。ここで、ホーンプレート50は、取付孔19e及び取付孔50fにボルト63を挿通するとともにナット58に螺合させることによって、芯金中心部19に取付固定されている(図10参照)。
一方、上記正面カバー5Aは、ステアリング本体中心部13への取付固定により、上記係合爪36c,37cに対して、上記ステアリング本体1及び上記正面カバー5A同士の係合を解除不能に拘束する拘束力が生じることによって、ステアリング本体1に取付固定されている。より詳細には、上記エアバッグ第二当接面43aは、リング部軸方向の正面側に向かって径方向外側に僅かに傾斜する傾斜面とされている。そして、上記エアバッグユニット2のステアリング本体1への取付固定によりホーンプレート50(ホーンプレート本体部50a)の側面が上記傾斜面に当接する結果、該傾斜面には、該傾斜面を径方向外側に向かって押圧する押圧力が作用する。そして、この押圧力により、第一直線部36及び第二直線部37が撓むことで上記係合爪36c,37cが係合凹部1aに押付けることによって、上記ステアリング本体1及び上記正面カバー5A,5B,5C同士の係合を解除不能に拘束する拘束力が生じている。こうして、正面カバー5Aはステアリング本体1に取付固定されている(図3参照)。尚、上記押圧力を係合爪36c,37cに確実に作用させるためにも、エアバッグ第二当接面43aは、上記係合爪36c,37cの径方向外側の端縁36b(図5参照)に略平行であることが好ましい。
次に、車両の車両組立ライン250において、本実施形態に係るステアリングホイール装置Wを車体へ組付ける組付方法の一例を図11に基づいて説明する。
車両組立ライン250は、車体を搬送するメインライン200を備えており、このメインライン200の途中には、ステアリング装置Wを車体に組付けるための組付箇所1xが設けられている。メインライン200は、3種類の車種A,B,Cの車体が搬送される所謂混流生産ラインとされており、図11の左側(以下、メインライン上流側と呼ぶ)から右側(以下、メインライン下流側と呼ぶ)に向かって車体が搬送される。尚、本図は、メインライン200上を流れる車両の車種が車種Aから車種Bへと切替わる直前の状態を示している。
ここで、各車両の車種A,B,Cごとに、操作ボタン3A,3B及びパドルスイッチ6Aの有無又は種類(大きさ、形状、内部構造、個数等)が異なっている。すなわち、車種Aは、上述のようにパドルスイッチ6A及び操作ボタン3Aが組付けられたものとされ、車種Bは、操作ボタン3Aとは異なる操作ボタン3Bが二つ設けられている一方でパドルスイッチ6Aが無いものとされている。また、車種Cは、パドルスイッチ6Aも操作ボタン3A,3Bも無いものとされている。
そして、各車両の車種A,B,Cに対応して、予め種類の異なる正面カバー5A,5B,5Cが用意されている。正面カバー5A,5B,5Cは互いに、操作部材組付用開口部36a及びパドルスイッチ組付用開口部36dの構成のみが異なってなるものである。すなわち、正面カバー5Bは、上記第一直線部36と第二直線部37とに操作ボタン3A,3Bを組付け可能に構成されおり、正面カバー5Cは、操作ボタン3A,3Bやパドルスイッチ6Aを組付けるための組付部を有しない構成とされている。
上記メインライン200の側方には、ステアリング本体1を予め並べてストックしておくためのステアリング本体載置用スペース201と、パドルスイッチ6Aや操作ボタン3A,3Bが組付けられた正面カバー5A,5B,5Cをストックしておくための正面カバー載置用スペース202と、化粧カバー7をストックしておくための化粧カバー載置用スペース204と,エアバッグユニット2をストックしておくためのエアバッグユニット載置用スペース205とが、それぞれメインライン上流側から下流側に向かって順番に設けられている。
上記正面カバー載置用スペース202には、上記正面カバー5A,5B,5Cをそれぞれ分類して収容しておくための容器202a,202b,202cが用意されている。各正面カバー5A,5B,5Cは、各容器202a,202b,202c内に互いに積み重ねた状態で収容されている。これにより、正面カバー載置用スペース202の省スペース化を図ることができる。
一方、ステアリング本体載置用スペース201には、予め小組されて芯金11と背面カバー9とが一体化されたステアリング本体1が、シャフト状のハンガー201aに掛けられて並んだ状態でストックされている。ステアリング本体1は、車両の車種A,B,Cによらず共通の構成とされている。
同様に、エアバッグユニット載置用スペース205及び化粧カバー載置用スペース204には、車両の車種A,B,Cによらず同一構成のエアバッグユニット2及び化粧カバー7がそれぞれストックされている。
そして、作業者M2は、車種Aの車体がメインライン200上を搬送されてくると、上記ハンガー201aに掛けられたステアリング本体1の中から一つを選択して、上記ステアリングシャフト100(図2,図3参照)に取付固定する。
次に、車種Aに対応する種類の正面カバー5Aを選択する。尚、この段階で、正面カバー5Aには予め操作ボタン3A及びパドルスイッチ6Aが組付けられており、正面カバー5Bには予め操作ボタン3Bが組付けられている。
そして、正面カバー5Aが収容された容器202aの中から一つを取出し、該取出した正面カバー5Aを、該正面カバー5Aの係合爪36c,37cをステアリング本体1の係合凹部1aに係合させることによってステアリング本体1に仮固定する。
更に、該仮固定後に、上記エアバッグユニット2のホーンプレート50を、上記正面カバー5Aのエアバッグ第一当接面42a及びエアバッグ第二当接面43aに当接させた状態で、上記ステアリング本体中心部13に取付固定することにより上記正面カバー5Aを上記ステアリング本体1に本固定して、ステアリングホイール装置Wの車体への組付けが完了する。
一方、車両の車種が図11に示すように車種Aから車種Bに切替わる機種切替時には、
作業者は、車種Bに組付けられるステアリングホイール装置Wの構成に合わせて、所定の段取り作業を行う。具体的には、正面カバー載置用スペース202内に配設された、容器202a,202b,202cの配列を変更して、車種Bに対応する正面カバー5Bが収容された容器202bを最もメインライン寄りに位置するようにする。こうすることによって、作業者が所定の組付箇所1xから移動することなく、車種Bに組付ける正面カバー5Bを容易に取出すことができる。
以上の如く、上記実施形態では、ステアリングホイール装置Wは、上記ステアリング本体中心部13に取付固定され、内部に、折り畳まれたエアバッグ60が収容されて所定条件成立時に該エアバッグ60を正面側(乗員側)に膨張展開させるエアバッグユニット2と、操作部材組付用開口部36a又はパドルスイッチ組付用開口部36dを有していて、上記エアバッグユニット2のステアリング本体中心部13への取付固定により上記ステアリング本体1に取付固定される正面カバー5A,5B,5Cのいずれか一種(上記実施形態においては正面カバー5A)とを備えている。そして、上記正面カバー5A,5B,5Cは、上記ステアリング本体1と係合する係合爪36c,37cと、上記エアバッグユニット2(ホーンプレート50)に当接するエアバッグ第一当接面42a及びエアバッグ第二当接面43aとを有していて、上記エアバッグユニット2をエアバッグ第一当接面42a及びエアバッグ第二当接面43aに当接させた状態でステアリング本体中心部13に取付固定することにより、上記係合爪36c,37cに対して、上記ステアリング本体1及び上記正面カバー5A,5B,5C同士の係合を解除不能に拘束する拘束力を生じさせるように構成されている。
これより、操作ボタン3A,3Bやパドルスイッチ6Aを組付けるための部品を、ステアリング本体1やエアバッグユニット2等の大部品に対して、比較的小部品の正面カバー5A,5B,5Cとして別部品化することができる。
従って、上述のような、一本のメインライン200上に複数種類の車両の車体を流す混流生産ラインにおいて、ステアリング本体1やエアバッグユニット2等の大部品を車両の車種によらず共通に使用する汎用部品とする一方で、車両の車種ごとに異なる操作ボタン3A,3Bの有無や、操作ボタン3A,3Bの種類等に対応して、予め複数種類の正面カバー5A,5B,5Cを用意しておくことで、メインライン200上を流れる車両の車種A,B,Cが切替わった際にも、小部品である正面カバー5A,5B,5Cの種類を車両の車種A,B,Cに対応して変えるだけで該機種切替に迅速且つ容易に対応することができる。具体的には、上述のように、機種切替時の段取り作業において、正面カバー5A,5B,5Cが収容された容器の配列変更を容易に行うことができる。
また、上記混流生産ラインにおいては、上記機種切替に迅速に対応するために、操作スイッチ部材組付用部品を予め分類する分類作業や、分類した操作スイッチ部材組付用部材を保管しておくための分類用スペースが必要となるが、該操作スイッチ部材組付用部品を比較的小部品の正面カバー5A,5B,5Cとすることで、例えば操作スイッチ部材組付用部品をステアリング本体1やエアバッグユニット2といった大部品に一体化した場合に比べて、分類作業に要する労力を低減して作業工数を削減することができるとともに、スイッチ組付用部品を分類して保管しておくための分類スペースを削減することができる。その結果、工場内のスペースの有効活用を図ることができる。
また、正面カバー5A,5B,5Cは、エアバッグユニット2のステアリング本体中心部13への取付固定により、ステアリング本体1に取付固定される。このため、正面カバー5A,5B,5Cをステアリング本体1に取付固定するために専用のボルト等を使用する必要もなく、従って部品点数を削減して製造コストを低減することができる。また、上記専用のボルト等を締付けるための作業を無くして作業工数を削減することができる結果、ステアリング装置Wの車体への組付作業に要するサイクルタイムの短縮を図ることができる。
更に、エアバッグユニット2(ホーンプレート50)をエアバッグ第一当接面42a及びエアバッグ第二当接面43aに当接させることで、正面カバー5A,5B,5Cの係合爪36c,37cには拘束力が働く結果、該係合爪36c,37cの係合外れを防止することができるとともに、該正面カバー5A,5B,5Cを確実に且つ強固にステアリング本体1に取付固定することが可能となる。
また、上記実施形態では、上記エアバッグ第二当接面43aは、リング部軸方向の正面側に向かって径方向外側に僅かに傾斜する傾斜面とされている。これにより、上記エアバッグユニット2のステアリング本体1への取付固定によりホーンプレート50(ホーンプレート本体部50a)の側面が上記傾斜面に当接する結果、該傾斜面には、該傾斜面を径方向外側に向かって押圧する押圧力が作用する。そして、この押圧力により、第一直線部36及び第二直線部37を撓ませて上記係合爪36c,37cを係合凹部1aに押付けることによって、上記ステアリング本体1及び上記正面カバー5A,5B,5C同士の係合をより一層強固なものとすることができる。
また、上記実施形態では、正面カバー5A,5B,5Cは、多少の変形を許容する合成樹脂材からなっていて、上記第一スポーク部15及び第二スポーク部16に沿ってそれぞれ左右両側に延びる第一直線部36及び第二直線部37と、上記ステアリング本体中心部13の周縁部(背面カバー9の上端部)に沿うように湾曲して上記第一直線部36及び第二直線部37を繋ぐ、乗員視略U字状のU字状連結部38と、該正面カバー5A,5B,5Cをステアリング本体1に取付固定するための正面カバー固定部39とで構成されている。これにより、上記U字状連結部38を容易に撓ませることができる。そして、該U字状連結部を撓ませた状態で正面カバー5A,5B,5Cの係合爪36c,37cをステアリング本体1の係合凹部1aに係合させることができ、従って正面カバー5A,5B,5Cをステアリング本体1に容易に仮固定することができる
また、正面カバー5A,5B,5Cをステアリング本体1に仮固定する際に、正面カバー5A,5B,5Cの第一直線部36及び第二直線部37の延びる方向を、ステアリング本体1の第一スポーク部15及び第二スポーク部16の延びる方向に合わせることで、正面カバー5Aを所定の位置に容易に合わせることができる。従って、上述のような車両の混流生産ラインにおいて、正面カバー5A,5B,5Cをステアリング本体1に仮固定する際に、カバー部材を素早く所定の位置に合わせてステアリング本体1に仮固定することができ、従ってステアリングホイール装置Wを車体に組付けるのに要する時間であるサイクルタイムの短縮を図ることができる。
また、上記実施形態では、上記第一直線部36の正面側の面に、所定種類の操作ボタン3A,3Bを組付可能に構成された略矩形状の操作部材組付用開口部36aが設けられている。これにより、乗員Mが容易に操作ボタン3A,3B等を操作することができる。すなわち、乗員Mは、車両運転中はリング部10を把持しているので、操作ボタン3A,3B等はリング部10に近い方が望ましい。本発明によれば操作ボタン3A,3Bは、ステアリング本体中心部13とリング部10との間に位置する正面カバー5A,5B,5Cの第一直線部36又は第二直線部37に設けられているので、例えばステアリング本体中心部13の乗員側を覆うパッド部に操作ボタン3A,3Bを設ける等した場合に比べて、操作ボタン3A,3Bを容易に操作することができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、メインライン200上を流れる車両の車種A,B,Cは三種類であり、正面カバー5A,5B,5Cの種類も該車両の車種A,B,Cに対応して予め三種類用意されていたが、これに限ったものではなく、例えばメインライン200上を流れる車両の車種A,B,Cを更に増やして、これに対応して正面カバー5A,5B,5Cの種類を増やす等してもよい。
また、上記実施形態では、ステアリング本体1として背面カバー9を含めているが、必ずしも含める必要はなく、例えば、ステアリング本体1を芯金11と該芯金11の外周部を覆う被覆層12とで構成し、背面カバー9を車両の車種ごとに複数種類用意する等してもよい。
また、上記実施形態では、くの字状の係合爪36c,37cを採用しているが、該係合爪36c,37cの形状はこれに限ったものではない。