JP5086602B2 - 4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の駆動力配分制御装置

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Description

本発明は、前後輪に駆動力を配分可能な駆動力配分制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載の駆動力配分制御装置にあっては、駆動力の配分率を変更するクラッチの締結トルクを前輪と後輪の回転数差に基づいて演算し、目標ヨーレイトに対して実ヨーレイトの偏差が小さくなるように補正係数を掛け合わせて演算された締結トルクを補正している。
特開平5−278490号公報
しかしながら、車両走行中は走行路の路面μの状態や車両速度などの違いにより、車両挙動を安定させる適切な締結トルクが得られないおそれがあった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、走行状態に応じて適切な分配率を達成する締結トルクを付与可能な4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、前輪と後輪とに対する駆動力の配分を締結トルクに応じて変更可能なクラッチを備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前輪と後輪の回転速度差に基づいて基準締結トルクを演算する基準締結トルク演算手段と、車両に発生したヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、車両の目標ヨーレイトを演算する目標ヨーレイト演算手段と、前記検出されたヨーレイトと演算された目標ヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算出手段と、走行中の路面摩擦係数を検出または推定する路面摩擦係数検出手段と、前記ヨーレイト偏差と前記路面摩擦係数に応じた補正係数を演算する摩擦係数型補正係数演算手段と、前記基準締結トルクに前記補正係数を乗算し、前記検出されたヨーレイトと前記目標ヨーレイトとが一致するように前記クラッチの締結トルクを演算する補正締結トルク演算手段と、車両のオーバーステア傾向またはアンダーステア傾向を判定し、前記補正締結トルク演算手段により演算された締結トルクにより、所定のオーバーステア介入条件または所定のアンダーステア介入条件を満たした時にはオーバーステア制御又はアンダーステア制御に介入し、所定のアンダーステア制御終了条件を満たした時に前記アンダーステア制御を終了し、所定のオーバーステア制御終了条件を満たした時は前記オーバーステア制御を所定時間遅延させてから終了するディレイ手段と、を備えたことを特徴とする。

よって、補正係数を路面摩擦係数に応じて変化させることが可能となり、車両挙動の安定化を図ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の4輪駆動車の駆動力配分制御装置が適用された車両のシステム構成図である。実施例1の車両は、通常時は前輪のみ駆動し、必要なときに後輪を駆動する4輪駆動車を前提としている。
エンジン1にはトルクコンバータや複数の遊星歯車から構成された変速機2が接続されている。変速機2に伝達された駆動力は、フロント側のデファレンシャルギヤDF1を介して前輪FL,FRのドライブシャフトを駆動する。更に、変速機2にはトランスファが内蔵され、トランスファを介して後輪側に駆動力を伝達する第1プロペラシャフトPS1が設けられている。
この第1プロペラシャフトPS1には、駆動力配分アクチュエータ3を介して第2プロペラシャフトPS2が接続されている。この第2プロペラシャフトPS2はリア側のデファレンシャルギヤDF2を介して後輪RL,RRのドライブシャフトを駆動する。
駆動力配分アクチュエータ3は電磁式多板クラッチが内蔵されており、電磁力によって多板クラッチの締結トルクを制御し、これにより、エンジン1からの駆動力を後輪側に配分可能としている。クラッチの締結トルクの制御は、前後回転数差制御とヨーレイトフィードバック4WD制御とが行われ、適宜必要に応じたクラッチの締結トルクが選択される。
前後回転数差制御とは、前輪FL,FRの車輪速と後輪RL,RRの車輪速との間の回転数差により前輪(駆動輪)のスリップ状態を監視し、スリップが発生したときはクラッチの締結トルクを付与し、前輪FL,FRに供給された過剰な駆動力を後輪側に配分することでスリップを抑制する制御を表す。
また、ヨーレイトフィードバック4WD制御とは、実ヨーレイトが目標ヨーレイトに一致するようにクラッチの締結トルクを制御するものであり、後述するVDC制御の一環として行われる。尚、詳細については後述する。
前輪FL,FR及び後輪RL,RRの各輪には、車輪と一体に回転するブレーキロータをブレーキパッドで押圧して制動する摩擦ブレーキB1〜B4が設けられている。この摩擦ブレーキB1〜B4内には、ブレーキ液によりブレーキパッドを押し付けるホイルシリンダが内蔵されている。
各摩擦ブレーキB1〜B4は、ブレーキアクチュエータ4と接続されている。ブレーキアクチュエータ4内には、図外のマスタシリンダから供給されたブレーキ液圧を各輪に伝達すると共に、車輪のロックを回避するアンチスキッド制御(以下、ABS制御と記載する)を実施するのに必要な増圧弁・減圧弁と、運転者のブレーキペダル操作状態にかかわらず、好ましい車両挙動を達成するために各輪に対して制動力を付与可能なポンプやゲート弁等が設けられている。
また、駆動力配分アクチュエータ3のクラッチの締結トルクを制御する4WD制御コントローラ5と、ブレーキアクチュエータ4により各摩擦ブレーキB1〜B4のホイルシリンダ圧を制御すると共にヨーレイトフィードバック4WD制御に必要な締結トルクを制御するVDC制御コントローラ6とが設けられている。4WD制御コントローラ5とVDC制御コントローラ6との間はCAN通信線により双方の情報を交換可能に接続されている。
また、VDC制御コントローラ6には、運転者の操舵角を検出する舵角センサ10と、各輪の車輪速を検出する車輪速センサ11と、車両に発生したヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ12と、車両に発生した前後加速度を検出する前後加速度センサ13とが接続され、各センサ信号を検出している。
ここで、ABS制御とは車輪速に基づいて車体速を推定し、各輪の車輪速が車体速(もしくは車体速から所定値減算した減圧しきい値等)に一致するようにホイルシリンダ圧を増減圧制御するものである。
また、VDC制御とは、車体速及び運転者の操舵角に基づいて理想車両挙動である目標ヨーレイトを設定し、実際のヨーレイトセンサ信号が目標ヨーレイトと一致するように、駆動力配分アクチュエータ3のクラッチの締結トルクを制御すると共に、必要な摩擦ブレーキのホイルシリンダ圧のみ増圧する(もしくは、必要な摩擦ブレーキのホイルシリンダ圧のみ減圧する)ものである。
更に具体的には、目標ヨーレイトに対し実ヨーレイトとの偏差を演算し、この偏差が実ヨーレイトの方が大きいことによる偏差の場合(以下、OS用ヨーレイト偏差信号と記載)にはオーバーステア傾向であると判断される。このとき、オーバーステアを解消するように、すなわち車両がアンダーステア傾向となるように締結トルクを制御し、更に必要な場合はホイルシリンダ圧を制御する。
一方、目標ヨーレイトに対し実ヨーレイトとの偏差を演算し、この偏差が実ヨーレイトの方が小さいことによる偏差の場合(以下、US用ヨーレイト偏差信号と記載)にはアンダーステア傾向であると判断される。このとき、アンダーステア傾向を解消するように、すなわち、車両がオーバーステア傾向となるようにクラッチの締結トルクを制御し、更に必要な場合はホイルシリンダ圧を制御する。尚、以下、オーバーステア関連信号にはOSと付記し、アンダーステア関連信号にはUSと付記する。
尚、VDC制御の中にはTCS制御を含むものとする。TCS制御とは、エンジン1から駆動力が過剰となり駆動輪がスリップした場合に、スリップした車輪の摩擦ブレーキによってスリップを抑制し、また、エンジン1のスロットル開度等を抑制することでエンジン出力トルクを抑制しスリップを抑制するものである。
また、VDC制御(ABS制御やTCS制御も含む)では、前後加速度等に基づいて路面摩擦係数(以下、路面μと記載する)を推定する路面摩擦係数推定部(路面摩擦係数検出手段に相当)が設けられており、路面μに応じた車両挙動制御やアンチスキッド制御を行っている。
図2はVDC制御コントローラ6の一部と、4WD制御コントローラ5における制御構成を表すブロック図である。尚、VDC制御では各種制御が行われるが、本実施例1では直接関係がある部分についてのみ抜粋してある。4WD制御コントローラ5内には4WD制御部5aが設けられている。また、VDC制御コントローラ6には、車両の挙動を常に監視し、各種信号を出力するVDC既存信号部6aと、ヨーレイトフィードバック4WD制御を行うヨーレイトフィードバック4WD制御部6bとが設けられている。
〔VDC制御部について〕
上述したように、VDC制御では、車体速及び目標ヨーレイトと実ヨーレイトの偏差信号(OS用ヨーレイト偏差信号,US用ヨーレイト偏差信号)、舵角信号及び推定路面μ信号が存在する(VDC既存信号)。VDC既存信号部6aから出力されたこれらの各種信号を用いてヨーレイトフィードバック4WD制御部6bは後述する要求トルクゲイン及び制御アクティブフラグを4WD制御コントローラ5に出力する。
ヨーレイトフィードバック4WD制御部6bには、制御介入判断部100と要求トルクゲイン値の演算/選択部200が設けられている。制御介入判断部100には、更に車体速に基づいて介入閾値(OS用閾値,US用閾値)を作成する介入閾値作成部101が設けられている。また、OS用ヨーレイト偏差信号及びUS用ヨーレイト偏差信号に基づいて制御介入を許可するか否かを判断する介入許可判断部102が設けられている。
尚、この制御介入の許可判断には、他の信号としてシステムに異常が生じているか否かを表すフェイル判定、運転者の選択によりVDC制御を行うか否かを選択するVDCスイッチ判別(ON,OFFから適宜選択される)、運転者の選択により4WD制御を行うか否かを選択する4WDスイッチ判別(ON,AUTO,OFFから適宜選択される)、後進か否かを判定する後進判定(インヒビタスイッチ信号等)、制御実行車速か否かを判定する車速判定、スプリットμ路か否かを判定するスプリット判定、直進しているか否かを判定する直進判定(操舵角等により検出)等が行われている。
また、OS用閾値及びOS用ヨーレイト偏差に基づいてオーバーステア抑制制御(以下、OS制御と記載する)を介入させるか否かを判断し、判断結果をOS判定フラグとして出力するOS介入判断部103と、US用閾値及びUS用ヨーレイト偏差に基づいてアンダーステア抑制制御(以下、US制御と記載する)を介入させるか否かを判断し、判断結果をUS判定フラグとして出力するUS介入判断部104とが設けられている。また、OS判定フラグ及びUS判定フラグの結果に基づいて制御アクティブフラグを作成する制御アクティブフラグ作成部105が設けられている。
要求トルクゲイン値の演算/選択部200には、OS要求トルクゲインマップ201と、US要求トルクゲインマップ202と、固定値203と、選択部204とが設けられている。
OS要求トルクゲインマップ201には、車体速とOS用ヨーレイト偏差と推定路面μに基づいて図13及び図14に示すOS要求トルクゲインを出力する。尚、詳細については後述する。US要求トルクゲインマップ202には、車体速とUS用ヨーレイト偏差と推定路面μに基づいて図13及び図14に示すUS要求トルクゲインを出力する。尚、詳細については後述する。固定値203では、予め設定された固定値を要求トルクゲインとして出力する。選択部204では、OS判定フラグ及びUS判定フラグの値に基づいてOS時トルクゲイン,US時トルクゲイン,固定値のいずれかを選択する。
〔4WD制御部について〕
次に4WD制御部5aの構成について説明する。4WD制御部5aには、駆動力配分制御に基づいてクラッチの締結トルクを出力する駆動力配分制御部301と、クラッチプレートのガタ詰め等を行うのに必要なイニシャルトルクを出力するイニシャルトルク出力部302と、前後回転数差制御に基づいてクラッチの締結トルクを出力する前後回転数差制御部303が設けられている。
駆動力配分制御部301には、運転者のアクセルペダル操作が過大なときは前輪にスリップが発生する可能性が高いとして予めクラッチの締結トルクを付与するアクセル感応制御(発進時や加速時)、運転者が急操舵を行い前輪のコーナリングフォースが不足する、もしくは後輪のコーナリングフォースが低下する可能性が高いとして予めクラッチの締結トルクを付与もしくは小さくする舵角感応制御、ヨーレイトフィードバック4WD制御に連動してフィードフォワード制御によって締結トルクを付与するヨーレイトフィードバック4WD制御連動F/F制御等が実行され、それらに応じた締結トルク指令値が出力される。
また、4WD制御部5aには駆動力配分制御部301から出力された締結トルク指令値と、イニシャルトルク出力部302から出力された締結トルク指令値と、前後回転数差制御部303から出力された締結トルク指令値とのうち、最も高い締結トルクを選択するセレクトハイ部304が設けられている。このセレクトハイ部304により選択された締結トルク指令値が基準トルクとして形成される(基準締結トルク演算手段に相当)。
また、4WD制御部5aには、要求トルクゲイン値の演算/選択部200において選択された要求トルクゲインをセレクトハイ部304により選択された基準トルクに乗算し、最終的なトルク指令値を算出する最終出力トルク演算部305(補正締結トルク演算手段に相当)が設けられている。この最終出力トルク指令値が駆動力配分アクチュエータ3に出力されて所望の車両挙動を達成する。
〔ヨーレイトフィードバック4WD制御処理〕
次に、ヨーレイトフィードバック4WD制御処理について図3〜図18に基づいて説明する。図3はメインフローを表すフローチャートである。
ステップS1では、セレクトハイ部304において基準トルクを選択する。
ステップS2では、介入閾値作成部101において介入閾値を作成する。
ステップS3では、介入許可判断部102,OS介入判断部103及びUS介入判断部104において介入判断を行う。
ステップS4では、OS要求トルクゲインマップ201,US要求トルクゲインマップ202及び固定値203から要求トルクゲイン値を演算する。
ステップS5では、選択部204においてOS判定フラグ及びUS判定フラグに基づいて要求トルクゲイン値を選択する。
ステップS6では、制御アクティブフラグ作成部105においてOS判定フラグ及びUS判定フラグに基づいて制御アクティブフラグを作成する。
ステップS7では、最終出力トルク演算部305において選択された基準トルクと要求トルクゲインに基づいて最終出力トルクを算出する。
図4はステップS1における基準トルク選択処理を表すフローチャートである。
ステップS101では、基準トルク選択において前後回転数差トルクのみが出力されているか否かを判断し、前後回転数差トルクのみが出力されているときはステップS102に進み基準トルクを前後回転数差トルクに設定する。それ以外のときはステップS103に進む。
ステップS103では、基準トルク選択において駆動力配分制御トルクのみが出力されているか否かを判断し、駆動力配分制御トルクのみが出力されているときはステップS104に進み基準トルクを駆動力配分制御トルクに設定する。それ以外のときはステップS105に進む。
ステップS105では、基準トルクとして前後回転数差トルクと駆動力配分制御トルクのうち高い値を示すトルクを設定する。このようにセレクトハイとしておくことで、安全サイドの制御が可能となる。
図5はステップS2における介入閾値作成処理を表すフローチャートである。尚、本フローチャートにおいて、(*n)(n:1〜6)とは、図6に示すように閾値と車体速との関係によって定まる2次元平面上の点を表す。よって、車体速においてV1:低速禁止領域と低速域の境界、V2:低速域と中速域の境界、V3:中速域と高速域の境界、V4:高速域と高速禁止領域との境界をそれぞれ表す。また、設定される閾値をP1,P2,P3(P1>P2>P3)としたとき、
(*1)=(V1,P3)
(*2)=(V1,P2)
(*3)=(V1,P1)
(*4)=(V2,P3)
(*5)=(V3,P3)
(*6)=(V4,P1)
と表される。
ステップS201では、車体速が低速禁止領域か否かを判定し、低速禁止領域のときはステップS202に進んで閾値をP1に設定する。それ以外のときはステップS203へ進む。
ステップS203では、車体速が低速域か否かを判定し、低速域のときはステップS204に進み、それ以外の時はステップS209へ進む。
ステップS204では推定路面μが所定値以下かどうかを判断し、所定値以下のときはステップS206へ進み、それ以外のときはステップS205へ進んで閾値を(*3)と(*4)の補間値に設定する。
ステップS206では、TCS制御が作動しているか否かを判断し、TCS制御作動中のときはステップS208へ進み、それ以外のときはステップS207へ進んで閾値を(*2)と(*4)の補間値に設定する。
ステップS208では、閾値を(*1)と(*4)の補間値に設定する。
ステップS209では、車体速が中速域か否かを判断し、中速域のときはステップS210へ進んで閾値を(*4)と(*5)の補間値に設定する。それ以外のときはステップS211へ進む。
ステップS211では、車体速が高速域かどうかを判断し、高速域のときはステップS212へ進んで閾値を(*5)に設定する。それ以外の時はステップS213へ進んで閾値を(*6)に設定する。
すなわち、極低速の低速禁止領域では、ヨーレイトフィードバックをしなければならないほどの車両挙動は発生せず、さほど効果も期待できないため、この場合は基本的に制御を行わない。
低速域で高μのときは、(*3)と(*4)の補間値に設定することで過剰な制御介入を抑制する。一方、低速域で低μのときは、(*2)と(*4)の補間値に設定することで比較的制御に介入しやすくする。また、低速域であっても低μかつTCS制御作動時は氷結路における転舵状態と判断して(*1)と(*4)の補間値に設定することで即座に制御介入できるようにする。
中・高速域では、ヨーレイトフィードバック4WD制御による効果代が大きいため、いずれも即座に制御介入できるようにする。また、高速禁止領域では、制御を行ったとしても各タイヤ力の限界を超えてしまうため、ヨーレイトフィードバック4WD制御は禁止し、単に減速するといった制御を行う。
図7はステップS3における介入判断処理を表すフローチャートである。
ステップS301では、駆動力配分アクチュエータ3やブレーキアクチュエータ4もしくは4WD制御コントローラ5やVDC制御コントローラ6のいずれかに異常が発生したかどうかを判断し、異常のときはステップS302〜ステップS304に進み、後述するOSディレイカウンタ、OSアクティブフラグ、USアクティブフラグ等を全て0にリセットして制御から即座に制御を離脱する。異常がないときはステップS305へ進む。
ステップS305では、VDCスイッチ及び4WDスイッチがOFFかどうかを判断し、OFFのときは運転者の意図としてVDC制御を行わないためステップS302以降に進み、即座に制御を離脱する。
ステップS306では、エンジン始動直後かどうか(イグニッションONから所定時間経過したか否か)を判断し、エンジン始動直後のときは各種センサの初期化等が成されていない可能性があるためステップS302に進んで制御から離脱し、所定時間経過しているときはステップS307に進む。
ステップS307では、後進中かどうかを判断し、後進中のときはステップS302へ進み、それ以外のときはステップS308へ進む。
ステップS308では、直進中かどうかを判断し、直進中のときはステップS309に進み、それ以外のときはステップS312に進む。
ステップS309では、制御の必要が無くなったと判断して処理B(OSディレイカウンタ減算)を行い、ステップS310に進んで処理C(OSアクティブフラグ設定)を行い、ステップS311に進んでUSアクティブフラグを0にセットする。尚、処理B,処理Cについては後述する。
ステップS312では、車体速が高速禁止領域もしくは低速禁止領域かどうかを判断し、高速もしくは低速禁止領域のときはステップS309に進んで制御終了処理を行い、それ以外のときはステップS313へ進む。
ステップS313では、摩擦ブレーキによるTCS制御中、かつ、実ヨーレイトが所定値未満のときはスプリットμ路(右側と左側とで路面μが異なる)を走行していると判断してステップS309に進んで制御終了処理を行い、それ以外のときはステップS314へ進む。
ステップS314では、OS制御もしくはUS制御の介入判断として処理A(OS介入判断、OSディレイカウンタ加減算)を行い、ステップS315に進んで処理C(OSアクティブフラグ設定)を行い、ステップS316に進んで処理D(US介入判断、USアクティブフラグ設定)を行う。
すなわち、ヨーレイトフィードバック4WD制御は、システムに異常がなく、VDCスイッチ及び4WDスイッチがON(又はAUTO)であり、イグニッションONから所定時間が経過しており、後進しておらず、直進ではなく、車体速が制御介入領域であり、スプリットμ路ではないときに実行され、それ以外は禁止される。尚、それぞれの判断は車両の挙動特性や安全性の観点より省略することも可能である。
図8はステップS314における処理Aを表すフローチャートである。
ステップA1では、右旋回かどうかを判断し、右旋回のときはステップA2に進み、それ以外のときはステップA4に進む。
ステップA2では、OS用ヨーレイト偏差信号が負のOS介入閾値以下(介入条件を満たした)のときはステップA3に進み、OSディレイカウンタを所定値に設定する。尚、OSディレイカウンタとは、一定時間経過後にヨーレイトフィードバック4WD制御を終了するためのカウンタである。それ以外のときはステップA5に進む。
ステップA4では、OS用ヨーレイト偏差信号がOS介入閾値以上(介入条件を満たした)のときはステップA3に進み、OSディレイカウンタを所定値に設定する。それ以外のときはステップA5に進む。
ステップA5では、OSディレイカウンタが0か否かを判断し、0のときは処理Aを終了し、それ以外のときはステップA6に進んでOSディレイカウンタを減算する。
ここで、説明の都合上、図10の説明に移る。図10はステップS315における処理Cを表すフローチャートである。
ステップC1では、OSディレイカウンタが0かどうかを判断し、0のときはステップC2に進んでOSアクティブフラグを0にセットし、それ以外のときはステップC3に進んでOSアクティブフラグを1にセットする。
すなわち、OS用ヨーレイト偏差が図6に示した各閾値を越えたときはOSと判断し、OSアクティブフラグを1にセットする。車両挙動を安定させるため、OS用ヨーレイト偏差がOS用閾値を下回った時点から一定時間のディレイ(遅れ)を持たせた上でOS制御を終了する。尚、OS制御とはヨーレイトフィードバック4WD制御のオーバーステア抑制制御を表す。これにより、突然制御が終了することがなく、安定した制御終了が可能となる。
図11はステップ316の処理Dを表すフローチャートである。
ステップD1では、OSアクティブフラグが0かどうかを判断し、0のときはステップD3に進み、それ以外のときはステップD2へ進んでUSアクティブフラグを0にセットする。
ステップD3では、右旋回かどうかを判断し、右旋回のときはステップD4に進み、それ以外のときはステップD6に進む。
ステップD4では、US用ヨーレイト偏差がUS介入閾値以上(介入条件を満たした)のときはステップD5に進んでUSアクティブフラグを1にセットし、それ以外のときはステップD7に進んでUSアクティブフラグを0にセットする。
ステップD6では、US用ヨーレイト偏差が負のUS介入閾値以下(介入条件を満たした)のときはステップD5に進んでUSアクティブフラグを1にセットし、それ以外のときはステップD7に進んでUSアクティブフラグを0にセットする。
すなわちUS用ヨーレイト偏差が図6に示した各閾値を越えたときはUS状態と判断し、USアクティブフラグを1にセットする。US制御は基本的に車両にヨーを発生させる制御である。これに対し、車両はコンベンショナルな状態としてアンダーステア傾向にセッティングされているため、US制御終了後はディレイ等を行うことなく即座に終了する。
図9はステップS309の処理Bを表すフローチャートである。
ステップB1では、OSディレイカウンタが0かどうかを判断し、0のときは処理Bを終了し、それ以外のときはステップB2に進んでOSディレイカウンタを減算する。
すなわち、通常のOS制御終了時に加え、他の許可条件を満たさなくなった場合も、車両挙動を安定させるためにOSディレイカウンタを用いて一定時間のディレイを持たせた上でOS制御を終了するものである。
図12はステップS4の要求トルクゲイン値の演算処理を表すフローチャートである。
ステップS401では、OS時要求トルクゲイン(低,中,高速用)を作成する。
ステップS402では、US時要求トルクゲイン(低,中,高速用)を作成する。
ステップS403では、OS時要求トルクゲイン(低,中,高μ用)を作成する。
ステップS404では、US時要求トルクゲイン(低,中,高μ用)を作成する。
図13は路面μ成分を加味した要求トルクゲイン(以下、OS/USゲイン(μ)のイメージを、図14は車体速成分を加味した要求トルクゲイン(以下、OS/USゲイン(V)のイメージを表す図である。図13に示す路面μ成分を加味したイメージに示すように、低μのときは、車両挙動は不安定な傾向であり、安定性を重視した挙動制御が必要になる。このとき、ヨーレイト偏差に対するOS/USゲイン(μ)は、駆動トルクの配分が前輪よりになるように設定する必要があるため、全体的に小さな要求トルクが出力されるようにする(摩擦係数型補正係数演算手段に相当)。尚、駆動トルクの配分が前輪よりになると、後輪のコーナリングフォースが確保され、車両挙動が安定化することは言うまでもない。
一方、高μのときは、車両挙動は安定傾向であり、回頭性を重視した挙動制御が必要になる。このとき、ヨーレイト偏差に対するOS/USゲイン(μ)は、駆動トルクの配分が後輪よりになるように設定する必要があるため、全体的に大きな要求トルクが出力されるようにする(摩擦係数型補正係数演算手段に相当)。尚、駆動トルクの配分が後輪よりになると、前輪のコーナリングフォースが確保され、回頭性が向上することは言うまでもない。
また、図14に示す車体速成分を加味したイメージに示すように、低速のときは、車両挙動は緩やかに変化する傾向であり、高応答の挙動制御が必要になる。このとき、ヨーレイト偏差に対するOS/USゲイン(V)は、駆動トルクの変化が速やかになるような値に設定する必要があるため、偏差に対する勾配を急とする(車速型補正係数演算手段に相当)。
一方、高速のときは、車両挙動は唐突に変化する傾向であり、低応答の挙動制御が必要になる。このとき、ヨーレイト偏差に対するOS/USゲイン(V)は、駆動トルクの変化が緩やかになるような値に設定する必要があるため、偏差に対する勾配を緩やかにする(車速型補正係数演算手段に相当)。
図15はステップS5の要求トルクゲイン値の選択処理を表すフローチャートである。
ステップS501では、車体速が低速禁止領域内かどうかを判断し、低速禁止領域内のときはステップS502へ進み、それ以外のときはステップS503へ進む。
ステップS502では、OS/USゲイン(V)をベースゲイン(=1)と低速ゲインとの補間値に設定する。
ステップS503では、車体速が低速域内かどうかを判断し、低速域内のときはステップS504に進み、それ以外のときはステップS505に進む。
ステップS504では、OS/USゲイン(V)を低速ゲインと中速ゲインとの補間値に設定する。
ステップS505では、車体速が中速域内かどうかを判断し、中速域内のときはステップS506に進み、それ以外のときはステップS507に進む。
ステップS506では、OS/USゲイン(V)を中速ゲインと高速ゲインとの補間値に設定する。
ステップS507では、車体速が高速域内かどうかを判断し、高速域内のときはステップS508に進み、それ以外のときはステップS509に進んでOS/USゲインを1に設定する。
ステップS508では、OS/USゲイン(V)を高速ゲイン値に設定する。
ステップS511では、推定路面μが極低μ領域内かどうかを判断し、極低μ路のときはステップS512へ進み、それ以外のときはステップS513へ進む。
ステップS512では、OS/USゲイン(μ)を低μゲインに設定する。
ステップS513では、推定路面μが低μ領域内かどうかを判断し、低μ領域内のときはステップS514に進み、それ以外のときはステップS515に進む。
ステップS514では、OS/USゲイン(μ)を低μゲインと中μゲインとの補間値に設定する。
ステップS515では、推定路面μが中μ領域内かどうかを判断し、中μ領域内のときはステップS516に進み、それ以外のときはステップS517に進む。
ステップS516では、OS/USゲイン(μ)を中μゲインと高μゲインとの補間値に設定する。
ステップS517では、OS/USゲイン(μ)を高μゲイン値に設定する。
ステップS518では、速度成分及び路面μ成分の両方を加味したOS/USゲイン(Vμ)を下記式より算出する。
OS/USゲイン(Vμ)
=(OS/USゲイン(V)×速度成分重み係数+OS/USゲイン(μ)×路面μ成分重み係数)/2
ステップS519では、速度成分のみ加味するかどうかを判断し、速度成分のみ加味するときはステップS520へ進んでOS/USゲイン(V)を選択する。
ステップS521では、路面μ成分のみ加味するかどうかを判断し、路面μ成分のみ加味するときはステップS522へ進んでOS/USゲイン(μ)を選択する。それ以外のときはステップS522に進み、速度成分及び路面μ成分の両方を加味したOS/USゲイン(Vμ)を選択する。
上記各ステップS520,S522,S523においてOS/USゲインが選択されると、処理Xに移行する。図16は処理Xを表すフローチャートである。
ステップX1では、OSアクティブフラグが1にセットされているか否かを判断し、1にセットされているときはステップX2へ進み、それ以外のときはステップX3へ進む。
ステップX2では、要求トルクゲインをOSゲインにセットする。
ステップX3では、USアクティブフラグが1にセットされているか否かを判断し、1にセットされているときはステップX4へ進み、それ以外のときはステップX5へ進む。
ステップX4では、要求トルクゲインをUSゲインに設定する。
ステップX5では、要求トルクゲインをベースゲイン(=1)に設定する。
以上の処理によって、車両挙動に応じた要求トルクゲインが設定されることとなる。
図17はステップS6における制御アクティブフラグの作成処理を表すフローチャートである。
ステップS601ではOSアクティブフラグが0、かつ、USアクティブフラグが0か否かを判断し、OSアクティブフラグ=0,USアクティブフラグ=0のときはステップS602に進んで制御アクティブフラグを0にセットする。それ以外のときは、ステップS603に進み、制御アクティブフラグを1にセットする。
すなわち、OSアクティブフラグもしくはUSアクティブフラグのいずれかが1にセットされているときはヨーレイトフィードバック4WD制御が実行されているため制御アクティブフラグを1にセットし、OSアクティブフラグとUSアクティブフラグの両方が0にセットされているときはヨーレイトフィードバック4WD制御が実行されていないため制御アクティブフラグを0にセットするものである。
図18はステップS7における最終出力トルク算出処理を表すフローチャートである。
ステップS701では、最終出力トルクとして、選択された基準トルクに選択された要求トルクゲインを乗算して出力する。
上記制御フローに基づく作用について図19のタイムチャートに基づいて説明する。図19は直進走行時にレーンチェンジを行った際に実施例1のヨーレイトフィードバック4WD制御が作用したときのタイムチャートである。
車両が直進走行している時刻t1において、レーンチェンジを開始するために運転者が右側に操舵を開始する。このとき、OS用ヨーレイト偏差はOS用介入閾値を越えないが、US用ヨーレイト偏差はUS用介入閾値を越えるため、US制御が開始される。尚、USアクティブフラグがONとなり、同時に制御アクティブフラグもONとなる。このとき、図13及び図14のイメージ図及び図15のフローチャートで示したように、推定路面μ及び車体速に応じた要求トルクゲインが算出され、基準トルクに乗算した最終出力トルクが算出される。
US傾向にあるときは、US用ヨーレイト偏差に対するUS時要求トルクゲインが大きくなるように設定されるため、通常の4WD制御による要求トルクよりも大きな最終出力トルクが得られる。これにより、前輪の駆動力を後輪に配分することで前輪のコーナリングフォースを確保し、回頭性を向上させることで実ヨーレイトがUS用目標ヨーレイトに追従する。
時刻t2において、US制御によって車両にヨーが発生し、更にOS用ヨーレイト偏差がOS用介入閾値の絶対値を越えると、US制御を解除し、OS制御が開始される。OS制御もUS制御と同様に要求トルクゲインが算出され、基準トルクに要求トルクゲインを乗算した最終出力トルクが算出される。OS制御は、クラッチの締結トルクを弱めることで、後輪への駆動力配分を減少させ、後輪のコーナリングフォースを確保し、安定性を向上させることで実ヨーレイトがOS用目標ヨーレイトに追従する。
尚、OS制御時の目標ヨーレイトは、舵角と車体速によって求められる目標ヨーレイトに対して、横Gの絶対値から求めたヨーレイトでリミッタ処理を行ったものを採用する。基本的に車両のヨー運動は、前輪に発生するコーナリングフォースと後輪に発生するコーナリングフォースの差分によって行われる。横Gは前輪と後輪の両方に作用しているコーナリングフォースと釣り合う値として発生する。よって、このコーナリングフォースの差分が小さい場合であっても、横Gが過剰となるシーンでは、タイヤの摩擦円の大半をヨーレイト以外の横G用に使ってしまい、回頭性や安定性を確保できない。そこで、横Gの絶対値から求めたヨーレイトでリミッタ処理を行い、過剰な横G発生に伴う回頭性や安定性の悪化を回避している。
時刻t3において、US用ヨーレイト偏差がUS制御介入閾値の絶対値を下回ると、OS挙動は終了したと判断するが、OS制御とUS制御とのハンチングを防止し、車両挙動を安定させるため、直ちにOS制御を終了せず、一定時間のディレイを設け、OS制御継続処理を行う。
時刻t4において、再度OS用ヨーレイト偏差がUS制御介入閾値の絶対値を上回った場合、前述のディレイを初期化し、OS制御を継続する。
時刻t5において、OS用ヨーレイト偏差が閾値の絶対値を上回っている状態でも、実ヨーレイトの向きが反転した場合、OS挙動は終了したと判断し、時刻t4と同様にディレイによってOS制御継続処理を行う。
時刻t6において、再度OS用ヨーレイト偏差がUS制御介入閾値の絶対値を上回った場合、前述のディレイを初期化し、OS制御を継続する。
時刻t7において、OS用ヨーレイト偏差がOS制御介入閾値の絶対値を下回ると、OS挙動は終了したと判断するが、OS制御とUS制御とのハンチングを防止し、車両挙動を安定させるため、直ちにOS制御を終了せず、一定時間のディレイを設け、OS制御継続処理を行う。時刻t8においてディレイ時間が経過するとOS制御処理を終了する。
以上がヨーレイトフィードバック4WD制御の基本作用である。次に、実施例1の推定路面μ及び車体速に応じて要求トルクゲインを設定することによる作用について説明する。図20は路面μに応じて要求トルクゲインを変更(以下、路面μ感応)した場合、車体速に応じて要求トルクゲインを変更(以下、速度感応)した場合、及び路面μと車体速の両方に応じて要求トルクゲインを変更した場合の車両挙動の傾向、必要な挙動制御、駆動トルクのコントロール、要求トルクゲインの設定をまとめた表である。
(路面μ感応のみ)
低μ域での車両挙動は不安定な傾向であり、安定性を重視した挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの配分が前輪よりになるように設定する必要がある。
一方、高μ域での車両挙動は安定傾向であり、回頭性を重視した挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの配分が後輪よりになるように設定する必要がある。
そこで、路面μ毎に要求トルクゲインを設定することとした。具体的には、低μのときは高μのときに比べて駆動力を前輪側に大きく配分し、高μのときは低μのときに比べて駆動力を後輪側に大きく配分するように要求トルクゲインを設定する。これにより、高μ路での回頭性と低μ路での安定性を両立することができる。
(車速感応のみ)
低速域での車両挙動は緩やかに変化する傾向であり、高応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの変化が速やかになるように設定する必要がある。
一方、高速域での車両挙動は唐突に変化する傾向であり、低応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの変化が緩やかになるように設定する必要がある。
そこで、車速域毎に要求トルクゲインを設定することとした。具体的には、低速走行中は高速走行中に比べて締結トルクの変化率を大きくし、高速走行中は低速走行中に比べて締結トルクの変化率を小さくするように要求トルクゲインを設定する。これにより、高速域での唐突な車両挙動の変化を防止し、低速域での速やかな車両挙動制御とを両立することができる。
(速度と路面μに感応)
低μ、低速域での車両挙動は不安定で緩やかに変化する傾向であり、安定性を重視した高応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは駆動トルクの配分については前輪よりで、変化は速やかとなるように設定する必要がある。
低μ、高速域での車両挙動は不安定で唐突に変化する傾向であり、安定性を重視した低応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの配分については前輪よりで、変化は緩やかになるように設定する必要がある。
高μ、低速域での車両挙動は安定で速やかに変化する傾向であり、回頭性を重視した高応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの配分については後輪よりで、変化は速やかになるように設定する必要がある。
高μ、高速域での車両挙動は安定で唐突に変化する傾向であり、回頭性を重視した低応答の挙動制御が必要なため、ヨーレイト偏差に対する要求トルクゲインは、駆動トルクの配分については後輪よりで、変化は緩やかになるような値に設定する必要がある。
そこで、車速域毎、及び路面μ毎に設定することで、高速域での唐突な車両挙動変化の防止と、低速域での速やかな車両挙動制御とを両立することができる。また、高μ路での回頭性と低μ路での安定性とを両立することができる。
以上、実施例1に基づいて把握しうる技術的な思想に関し、請求項の記載に基づいて記載する。
(A)請求項1または2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
基準締結トルク演算手段は、エンジン出力及び/又は舵角に応じて演算されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
よって、基準となるトルクがどのような思想に基づいて演算されたとしても、その演算された値に補正係数を作用させるだけで所望の車両挙動を達成でき、どのような4輪駆動車の駆動力配分制御装置にも適用することができる。
実施例1の4輪駆動車の駆動力配分制御装置が適用された車両のシステム構成図である。 実施例1のVDC制御コントローラの一部と、4WD制御コントローラにおける制御構成を表すブロック図である。 実施例1のヨーレイトフィードバック4WD制御のメインフローを表すフローチャートである。 実施例1の基準トルク選択処理を表すフローチャートである。 実施例1の介入閾値作成処理を表すフローチャートである。 実施例1の介入閾値と車体速との関係を表す図である。 実施例1の介入判断処理を表すフローチャートである。 実施例1の処理Aを表すフローチャートである。 実施例1の処理Bを表すフローチャートである。 実施例1の処理Cを表すフローチャートである。 実施例1の処理Dを表すフローチャートである。 実施例1の要求トルクゲイン値の演算処理を表すフローチャートである。 実施例1の路面μ成分を加味した要求トルクゲインのイメージを表す図である。 実施例1の車体速成分を加味した要求トルクゲインのイメージを表す図である。 実施例1の要求トルクゲイン値の選択処理を表すフローチャートである。 実施例1の処理Xを表すフローチャートである。 実施例1の制御アクティブフラグの作成処理を表すフローチャートである。 実施例1の最終出力トルク算出処理を表すフローチャートである。 直進走行時にレーンチェンジを行った際に実施例1のヨーレイトフィードバック4WD制御が作用したときのタイムチャートである。 路面μ感応、速度感応、及び路面μ感応と速度感応の両方を行った場合の車両挙動の傾向、必要な挙動制御、駆動トルクのコントロール、要求トルクゲインの設定をまとめた表である。
符号の説明
1 エンジン
2 変速機
3 駆動力配分アクチュエータ
4 ブレーキアクチュエータ
5 4WD制御コントローラ
6 VDC制御コントローラ
10 舵角センサ
11 車輪速センサ
12 ヨーレイトセンサ
13 前後加速度センサ
B1-B4 摩擦ブレーキ
DF1 デファレンシャルギヤ
DF2 デファレンシャルギヤ
FL,FR 前輪
RL,RR 後輪

Claims (5)

  1. 前輪と後輪とに対する駆動力の配分を締結トルクに応じて変更可能なクラッチを備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前輪と後輪の回転速度差に基づいて基準締結トルクを演算する基準締結トルク演算手段と、
    車両に発生したヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
    車両の目標ヨーレイトを演算する目標ヨーレイト演算手段と、
    前記検出されたヨーレイトと演算された目標ヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算出手段と、
    走行中の路面摩擦係数を検出または推定する路面摩擦係数検出手段と、
    前記ヨーレイト偏差と前記路面摩擦係数に応じた補正係数を演算する摩擦係数型補正係数演算手段と、
    前記基準締結トルクに前記補正係数を乗算し、前記検出されたヨーレイトと前記目標ヨーレイトとが一致するように前記クラッチの締結トルクを演算する補正締結トルク演算手段と、
    車両のオーバーステア傾向またはアンダーステア傾向を判定し、前記補正締結トルク演算手段により演算された締結トルクにより、所定のオーバーステア介入条件または所定のアンダーステア介入条件を満たした時にはオーバーステア制御又はアンダーステア制御に介入し、所定のアンダーステア制御終了条件を満たした時に前記アンダーステア制御を終了し、所定のオーバーステア制御終了条件を満たした時は前記オーバーステア制御を所定時間遅延させてから終了するディレイ手段と、
    を備えたことを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 前輪と後輪とに対する駆動力の配分を締結トルクに応じて変更可能なクラッチを備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前輪と後輪の回転速度差に基づいて基準締結トルクを演算する基準締結トルク演算手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    車両に発生したヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
    車両の目標ヨーレイトを演算する目標ヨーレイト演算手段と、
    前記検出されたヨーレイトと演算された目標ヨーレイトとの偏差を算出するヨーレイト偏差算出手段と、
    前記ヨーレイト偏差と前記車速に応じた補正係数を演算する車速型補正係数演算手段と、
    前記基準締結トルクに前記補正係数を乗算し、前記検出されたヨーレイトと前記目標ヨーレイトとが一致するように前記クラッチの締結トルクを演算する補正締結トルク演算手段と、
    車両のオーバーステア傾向またはアンダーステア傾向を判定し、前記補正締結トルク演算手段により演算された締結トルクにより、所定のオーバーステア介入条件または所定のアンダーステア介入条件を満たした時にはオーバーステア制御又はアンダーステア制御に介入し、所定のアンダーステア制御終了条件を満たした時に前記アンダーステア制御を終了し、所定のオーバーステア制御終了条件を満たした時は前記オーバーステア制御を所定時間遅延させてから終了するディレイ手段と、
    を備えたことを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記摩擦係数型補正係数演算手段は、低摩擦係数路のときは高摩擦係数路のときに比べて駆動力を前輪側に大きく配分し、高摩擦係数路のときは低摩擦係数路のときに比べて駆動力を後輪側に大きく配分するように補正する係数を演算することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 請求項2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記車速型補正係数演算手段は、低速走行中は高速走行中に比べて締結トルクの変化率を大きくし、高速走行中は低速走行中に比べて締結トルクの変化率を小さくするように補正する係数を演算することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  5. 請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前輪と後輪の回転速度差に基づいて基準締結トルクを演算する基準締結トルク演算手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記車速に応じた補正係数を演算する車速型補正係数演算手段と、
    を設け、
    前記補正締結トルク演算手段は、前記基準締結トルクに前記摩擦係数型補正係数及び前記車速型補正係数を乗算して前記クラッチの締結トルクを演算することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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