〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施の形態に係るパーソナルコンピュータ(PC)の構成例を示すブロック図である。
このPC2は、DVD−Video等の記録媒体から映像等を再生する機能を備え、内部電源であるバッテリを用いて駆動可能な電子機器の一例であって、電源部4と、媒体読取り部6と、表示部8と、音声部10と、制御部12とを備えている。
電源部4は、バッテリ16又は外部電源であるACアダプタ18を用いて制御部12等の各種機能部に給電するための機能部である。この電源部4には、充電可能な蓄電池であるバッテリ16が搭載されているとともに、ACアダプタ18がコネクタ20に接続される。ACアダプタ18は、商用交流(AC)電源22の供給を受け、その交流を直流に変換する交流−直流変換器であって、PC2の外部電源を構成し、所定の直流電圧を出力してPC2に供給する。
電源スイッチ24が導通している場合、ACアダプタ18の出力は、電源回路26及び充電回路28に加えられる。電源回路26は、ACアダプタ18又はバッテリ16の出力を受け、制御部12等の各種機能部に対して直流安定化出力を供給する。充電回路28は、ACアダプタ18の出力により、バッテリ16を充電するための回路である。電源スイッチ24と電源回路26との間に接続されているダイオード30は、電源回路26と充電回路28とを分離し、絶縁するための絶縁手段である。また、バッテリ16の出力はダイオード31、33を通して電源回路26に加えられるが、その場合、ACアダプタ18の出力が充電回路28に加えられていれば、充電回路28の出力は、ダイオード31を介してバッテリ16が充電状態(フローティング充電)となる。ダイオード31は、バッテリ駆動時の充電回路28とバッテリ16との絶縁手段である。
また、ACアダプタ18の接続の解除又は電源スイッチ24のオフ状態では、バッテリ16の充電が解除されるとともに、電源回路26にはバッテリ16の出力のみが加えられ、バッテリ16は放電状態となる。
そこで、電源部4には、ACアダプタ18の有無を検出するACアダプタ検出部32と、バッテリ16の残容量の測定や演算に用いられるバッテリ容量を検出するバッテリ容量検出部34とが備えられている。ACアダプタ検出部32は、ACアダプタ18のコネクタ20への接続に基づき、電源スイッチ24のオン/オフやその出力により、ACアダプタ18の接続、即ち、ACアダプタ18の出力の供給の有無を検出する。この検出情報は、制御部12に取り込まれ、再生制御に用いられる。また、バッテリ16の容量検出部34は、電源回路26に接続されたバッテリ16の現在の容量を検出する。この検出情報は、制御部12に取り込まれ、バッテリ16の現在の容量や残容量の測定や演算に用いられる。
媒体読取り部6は、記録媒体から映像情報や音声情報を読み取る読取り部であって、例えば、DVDドライブ36や他の媒体ドライブ37で構成される。DVDドライブ36は、記録媒体として例えば、DVD−Video38から映像情報、音声情報の他、ビットレート情報等を読み取る。これらの情報は、制御部12に取り込まれ、映像情報を映像に変換し、音声情報を音声に変換し、また、ビットレート情報は再生制御に用いられる。この実施の形態ではDVD−Video38の再生を例示しているが、媒体ドライブ37を用いて他の記録媒体から映像情報や音声情報を読み取る構成としてもよい。
表示部8は、再生された映像情報を映像として再生、出力する出力部であって、液晶表示部40及びバックライト42を備えている。液晶表示部40は、LCD(Liquid Crystal Display)で構成され、バックライト42は蛍光管等の光源で構成され、LCDの背面側から前面側に光を照射する。このバックライト42の輝度(バックライトレベル)は、駆動電流等により制御される。
音声部10は、再生された音声情報を音声に変換する変換部であって、オーディオコーデック部44及びスピーカ46等を備える。オーディオコーデック部44は、音声情報を音声信号に変換し、スピーカ46に出力する。スピーカ46は、音声信号を音声に変換する。
制御部12は、オペレーティングシステム(OS)や再生制御プログラム等、各種プログラムの実行に基づき、検出情報や制御情報を参照し、電源部4や表示部8の制御を行う。この制御部12には、CPU(Central Processing Unit )48、記憶部50、ノースブリッジ52、サウスブリッジ54、電源制御部56、バックライト制御部58、入力制御部60が備えられている。
CPU48は、記憶部50にあるOSや再生制御プログラム等を実行し、演算処理や各部の制御を行う。記憶部50は、プログラムや情報を記憶する記録媒体であって、例えば、ROM(Read-Only Memory)としてのHD(Hard Disc )62やRAM(Random-Access Memory)64を備えている。HD62はサウスブリッジ54に接続され、OSやアプリケーションプログラム等が格納される。また、RAM64は、ノースブリッジ52に接続され、OSや再生制御プログラムのロードにより、ワーキングエリアとして用いられる。記憶部50は、外部の記憶装置を用いてもよい。
記憶部50のHD62には例えば、図2に示すように、プログラム格納領域66、データ格納領域68等が設定され、プログラム格納領域66には、OS662や再生アプリケーション等を含む再生制御プログラム664等のアプリケーションが格納され、データ格納領域68には、データテーブル682が設定される他、再生速度に対応する電力情報、消費電力の演算結果等の各種の情報が格納される。
ノースブリッジ52及びサウスブリッジ54はチップセットを構成し、ノースブリッジ52は、CPU48とメインメモリとの間の演算情報等の受渡し、サウスブリッジ54は、CPU48に対する外部情報等の入出力に用いられる。
電源制御部56は、電源回路26から給電され、PC2の電力構成(電力スキーム)や、バックライト制御部58に対する給電を制御する。
バックライト制御部58は、CPU48によって制御され、バックライト42に加えられる駆動電流等を制御する。具体的には、この制御により、バックライト42の輝度(バックライトレベル)が制御される。
入力制御部60には、キーボード等の入力操作部70が接続され、入力操作部70からの入力情報をCPU48に伝送する。
このようなPC2において、外部電源であるACアダプタ18による駆動か、内部電源であるバッテリ16による駆動かの判断に基づき、バッテリ16による駆動では、バッテリ16の残容量でDVD−Video38の最初から最後までの再生(全部再生)又はDVD−Video38の記録データの特定範囲の再生が可能であるか否かの判断を行い、再生が可能であれば、再生に移行し、再生が不可能であれば、バッテリ16の電力消費を軽減するための段階的な負荷制御を行い、再生が可能であれば、再生に移行させる。負荷制御は、一又は複数の機能の停止、機能部の電力編成の変更、又は、一又は複数の機能部の動作停止又は動作変更の何れから選択される一又は2以上によってバッテリ16に対する負荷を低減することであって、例えば、再生に不要なアプリケーションの終了、PC2の電力編成(パワースキーム)の変更、表示部8のバックライト42の輝度(バックライトレベル)の変更である。
このような段階的な負荷制御により、DVD−Video38の全部再生又はその記録データの特定範囲の再生が可能であるか否かの判断を行い、可能であれば、負荷制御の後、再生に移行させ、不可能であれば、バッテリ16の残容量に補正し、その残容量に応じてDVD−Video38の再生速度の変更等、その再生を制御する。負荷制御により電力消費を軽減させた場合には、その軽減比率に応じてバッテリ16の残容量を補正することにより、その残容量に応じて、DVD−Video38の再生速度の変更等、その再生を制御する。
このような負荷制御及び/又は再生制御によれば、DVD−Video38の全部再生又は記録データの特定範囲の再生を自動化することができ、DVD−Video38を再生中断させることなく、再生できる。また、再生速度のマニュアル設定等の手間が省け、操作の簡略化とともに、再生開始の迅速化を図ることができる。
次に、このPC2の映像再生制御について、図3を参照して説明する。図3は、PC2を用いた映像再生制御方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この映像再生制御方法には、駆動電源の判定(ステップS1)、バッテリ容量での記録媒体の全部再生の可否判定(ステップS2)、負荷制御及び全部再生の可否判定(ステップS3)、再生モードの選択及び警告表示(ステップS4)、再生処理(ステップS5)の処理が含まれる。ステップS2には警告表示を含む構成としてもよい。この処理では、再生処理の後、処理を終了しているが、再生処理の途上でステップS2に戻り、処理を循環させる構成としてもよいことは勿論である。
1.駆動電源の判定処理(ステップS1)
この処理では、バッテリ16による駆動か、ACアダプタ18による駆動かを判定する。DVD−Video再生アプリケーションを起動させれば、ACアダプタ検出部32の検出出力がCPU48に取り込まれ、ACアダプタ18の出力チェックが行われる。ACアダプタ18の出力が電源部4に加えられていれば、十分な駆動電力が得られるので、再生処理(ステップS5)に移行する。ACアダプタ18が接続されていなければ、また、ACアダプタ18が接続されていても十分な駆動電力が得られなければ、バッテリ16による駆動に移行する。駆動電源としてバッテリ16が選択された場合には、再生処理(ステップS5)の前に以下の処理を実行する。
2.記録媒体の全部再生の可否判定(ステップS2)
この再生制御では、DVD−Video38の全部再生、即ち、最初から最後までの再生が可能であるか否かが前提となる。そこで、このDVD−Video38の全部再生のための消費電力と、バッテリ16の残容量とを算出する。
そこで、媒体読取り部6のDVDドライブ36にセットされたDVD−Video38からDVDドライブ36を通してDVD−Video38の再生時間等を表す情報を読み取り、PC2がその再生のために消費する電力を算出する。これが消費電力である。DVD−Video38の情報の読取りやその再生時間を取得すれば、DVD−Video38の再生に必要な消費電力は、録画中のシーンに関係なく、消費電力はほぼ一定であることから、DVD−Video38の全部再生(最初から最後まで)の場合の消費電力が算出できる。
また、バッテリ容量検出部34では現在のバッテリ16の容量が検出される。この検出情報を用いることにより、バッテリ16の残容量を算出する。
そこで、バッテリ16の残容量が消費電力より大であれば、DVD−Video38の全部再生が可能であるから、再生処理(ステップS5)に移行し、バッテリ16の残容量が消費電力より小であれば、DVD−Video38の全部再生は不可能であり、再生中断が生じることになる。
この場合、バッテリ16の残容量をPC2の再生動作時間に換算し、この再生動作時間とDVD−Video38の全部再生の再生時間とを比較し、両者の長短により、全部再生が可能か否かを判断してもよい。
DVD−Video38の全部再生が不可能であれば、以下の処理を実行することになる。
3.負荷制御及び全部再生の可否判定(ステップS3)
バッテリ16の残容量では、DVD−Video38の全部再生が不可能な場合には、バッテリ16の消耗の抑制処理として、負荷制御を実行する。この負荷制御は段階的に行い、その低減段階でDVD−Video38の全部再生が可能であるか否かを判断する。
3.1 不要なアプリケーションの終了
DVD−Video38の再生に不要なアプリケーションを終了させ、そのアプリケーションの終了によりバッテリ16に対する負荷を低減させた場合のパワーチェック(パワーチェックA)を行う。不要なアプリケーションとは、例えば、インターネット検索プログラムやメールプログラム等である。この負荷の低減は、その分だけバッテリ16の残容量を増加したことと等価である。そこで、不要なアプリケーションの終了により負荷を低減すれば、DVD−Video38の全部再生が可能か否かを判定する。全部再生が可能であれば、再生処理(ステップS5)に移行し、不可能な場合には、次の段階の消費電力低減に移行する。
3.2 CPU性能の低下
不要なアプリケーションの終了(3.1)に加え、CPU48の性能を低下させる。これにより、バッテリ16に対する負荷を更に低減させることができる。バッテリ16に対する負荷を低減させた場合のパワーチェック(パワーチェックB)を行う。この消費電力の低減は、その分だけバッテリ16の残容量を増加したことと等価である。そこで、CPU48の性能を低下させれば、DVD−Video38の全部再生が可能か否かを判定する。全部再生が可能であれば、再生処理(ステップS5)に移行し、不可能な場合には、次の段階の消費電力低減に移行する。
3.3 バックライト42の輝度低減
不要なアプリケーションの終了(3.1)、CPU48の性能低下(3.2)に加え、DVD−Video38の全部再生が可能なバックライト42の輝度(バックライトレベル)を算出して低減させ、パワーチェック(パワーチェックC)を行う。即ち、算出したバックライトレベルにより、DVD−Video38の全部再生が可能か否かを判定し、全部再生が可能であれば、再生処理(ステップS5)に移行し、不可能な場合には、次の再生モードの変更に移行する。
バックライトレベルの低減は表示部8のバックライト42に対する駆動電流を低減させればよい。また、バックライトレベルを低減させた場合には、そのレベル低下を警告メッセージ(図11)により告知し、再生に移行する(ステップS5)。
4.再生モードの選択及び警告表示(ステップS4)
このような消費電力の低減処理(ステップS3)を行っても、DVD−Video38の全部再生ができない場合には、全部再生が可能な複数の再生モード(高速再生モード、部分高速再生モード)、その他の再生モード(ノーマル再生、再生停止)をダイアログ表示画面(図12)によって提示し、ユーザに再生モードを選択させ、再生に移行する(ステップS5)。その際、全部再生が不可能な再生モードが選択された場合には、警告メッセージ(図13)により告知し、再生に移行する(ステップS5)。
選択可能な再生モードには、次の再生モードがある。
4.1 高速再生モード
DVD−Video38のビットレートを検出し、そのビットレートに変動値を考慮し、全部再生に必要な倍速値を求める。この倍速値にはノーマル再生の再生速度に対する例えば、1.2倍、1.5倍、1.8倍、2倍、3倍、4倍・・・・等が設定されており、これらの倍速値から全部再生が可能な倍速値を選択する。従って、高速再生モードでは、設定された倍速値を以て映像及び音声が再生される。
4.2 部分高速再生モード
部分高速再生モードでは、一部分を高速再生モードとし、他の部分をノーマル再生モードでDVD−Video38を再生する。この場合も、全部再生が前提であり、全部再生のために必要な高速再生部分と、ノーマル再生部分とが求められる。例えば、ハイライト部分をノーマル再生モードとし、他の部分を高速再生モードとする等である。
4.3 ノーマル再生モード
この再生モードは、ノーマル速度の再生である。
次に、再生制御の処理手順について、図4及び図5を参照して説明する。図4及び図5は、再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。図4及び図5において、A及びBはフローチャート間の連結部を示している。また、図4及び図5において、図3のフローチャートと共通部分には共通符号を付してある。
図4に示すように、DVD−Video38を再生する場合には、再生アプリケーションを起動させる。再生アプリケーションは、再生制御プログラムの一例であって、記憶部50のHD62からRAM64にOS上に展開される。
DVD−Video38の再生に先立ち、PC2にACアダプタ18が有るか否かを判定する(ステップS11)。この判定は、ACアダプタ18から給電が可能であるか否かの判定である。ACアダプタ18が接続されている場合には、AC電源22による駆動、ACアダプタ18が接続されていない場合には、バッテリ16による駆動となる。
そこで、ACアダプタ18が接続されていれば(ステップS11のYES)、ステップS12ないしステップS21を経ることなく、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS22)。
ACアダプタ18の接続がなければ(ステップS11のNO)、バッテリ16の残容量を検出する(ステップS12)。この残容量の検出は、既述した通り、バッテリ容量検出部34の検出情報から求められる。
また、セットされているDVD−Video38の再生時間を検出する(ステップS13)。この場合、DVD−Video38に格納されているコンテンツの測定単位であるチャプタ(Chapter)毎にビットレートを算出し、そのビットレートのデータを再生するために必要な消費電力をチャプタ毎に記憶する。各チャプタの消費電力を合計して全消費電力を求めることにより、DVD−Video38の再生時間を検出する。この再生時間の検出処理は、DVDフロー(図6に示す再生時間検出プログラム)によって実行される。
DVD−Video38の再生時間とバッテリ16の残容量による動作可能時間とを比較し、バッテリ16の残容量でDVD−Video38の最初から最後までの再生(全部再生)が可能であるか否かを判定する(ステップS14)。全部再生が可能であれば、ステップS15ないしステップS21を経ることなく、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS22)。
DVD−Video38の全部再生ができなければ、負荷制御の第1段階として、DVD−Video38の再生に不要なアプリケーションを終了する(ステップS15)。この不要なアプリケーションを終了させると、バッテリフロー(図8に示すパワーチェックプログラム)によりパワーチェックが実行され、この場合、バッテリ16のパワーチェックAが実行される。
不要なアプリケーションを終了した結果、バッテリ16の残容量でDVD−Video38を最初から最後まで再生可能か否かを判定し(ステップS16)、DVD−Video38を最初から最後まで再生可能であれば(ステップS16のYES)、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS22)。また、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS16のNO)、負荷制御の第2段階として、再生前の設定を記憶した後、PC2のパワースキム(Power scheme)を変更する(ステップS17)。このパワースキムを変更させると、バッテリフロー(図8に示すパワーチェックプログラム)にパワーチェックが実行され、この場合、バッテリ16のパワーチェックBが実行される。
PC2のパワースキムを変更した結果、バッテリ16の残容量でDVD−Video38を最後まで再生可能か否かを判定し(ステップS18)、DVD−Video38の最後まで再生可能であれば(ステップS18のYES)、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS22)。また、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS18のNO)、バッテリ16の残容量とDVD−Video38を最後まで再生するために必要な電力を計算し、負荷制御の第3段階として、再生可能なバックライト42のバックライトレベル(輝度)を算出する(ステップS19)。このバックライトレベルを算出した場合、バッテリフロー(図8に示すパワーチェックプログラム)によりパワーチェックが実行され、この場合、バッテリ16のパワーチェックCが実行される。
バックライト42のバックライトレベルを低減させれば、バッテリ16の残容量でDVD−Video38を最後まで再生可能か否かを判定し(ステップS20)、DVD−Video38を最後まで再生可能であれば(ステップS20のYES)、再生前のバックライトレベルを記憶した後、再生可能なバックライトレベルに変更し(ステップS21)、DVD−Video38を再生し(ステップS22)、その際、警告メッセージを表示する(図11)。そして、DVD−Video38の再生の後、通常のアプリケーション処理をする(ステップS23)。
また、ステップS20において、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS20のNO)、図5に示すフローチャートに移行し、挿入されているDVD−Video38のビットレートを検出し、ビットレートの変動値を考慮に入れ、倍速再生するために必要な消費電力をDVD−Video38のチャプタ毎に求め、DVD−Video38の最後まで再生できるか否か、再生できるチャプタ、DVD−Video38を最後まで再生するための再生速度等を決定する(ステップS24)。
この決定により、チャプタMを超える再生ができない場合には、チャプタMまで再生可能であることを告知するとともに、再生モードの選択ダイアログを表示する(ステップS25)。
選択ダイアログ表示(図12)において、高速再生モードAを選択したか否かを判定し(ステップS26)、高速再生モードAを選択した場合には(ステップS26のYES)、DVD−Video38の再生における消費電力とバッテリ16の残容量とを比較し、DVD−Video38の最後まで再生できる再生速度に自動的に変更し(ステップS27)、ステップS22(DVD−Video38の再生)に移行する。
高速再生モードAを選択しなかった場合には(ステップS26のNO)、部分高速再生モードBを選択したか否かを判定し(ステップS28)、部分高速再生モードBを選択した場合には(ステップS28のYES)、チャプタブロック(Chapter Block)のレベルが所定レベルZZ以下のものを倍速で再生させる設定に自動的に変更し(ステップS29)、ステップS22(DVD−Video38の再生)に移行する。
部分高速再生モードBを選択しなかった場合には(ステップS28のNO)、通常再生モードCを選択したか否かを判定し(ステップS30)、通常再生モードCを選択した場合には(ステップS30のYES)、通常再生を開始し、バッテリ16の残容量がなければ、通常処理として、PC2の再生動作を停止し、シャットダウンし(ステップS31)、処理を終了する(ステップS32)。通常再生モードの場合、警告メッセージ(図13)を表示する。
通常再生モードCを選択しなかった場合(ステップS30のNO)、即ち、再生の終了を選択すれば、全ての設定を元に戻し、警告メッセージ85(図14)を表示してアプリケーションを終了する(ステップS33)。
次に、DVDのデータ処理(DVDフロー)について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、DVD処理の処理手順を示すフローチャート、図7は、ビットレートの時間的変化を示す図である。
このDVDフローにはDVD−Video38のビットレートの検出、その積分及びその積分値の保管処理が含まれる。
そこで、DVDドライブ36にDVD−Video38を入れる(ステップS41)と、DVDドライブ36からOSに対し、その搭載を表すイベントが入る(ステップS42)。その際、搭載されたものがDVD−Videoであるか否かを判定し(ステップS43)、DVD−Videoでなければ、この処理を終了する。
DVD−Videoであれば(ステップS43のYES)、アプリケーションの処理により、タイトル/チャプタのビットレートを検出し(ステップS44)、横軸に時間、縦軸にビットレートを取り(図7)、チャプタ毎にビットレートを積分し、その積分データをHD62のデータ格納領域68に保管する(ステップS45)。ここで、タイトル/チャプタについて、「タイトル」はDVD−Video38にある複数の「チャプタ」の集合体であって、「チャプタ」は、「タイトル」の構成単位であるとともに、DVD−Video38に格納された記録データの格納単位である。
ビットレートの時間的変化(ビットレートパターン)は、図7に示すように、横軸に時間、縦軸にビットレートを取ることにより表すことができ、これを時間について積分したものが積分データである。図7は、一般的なDVD−Videoの可変ビットレートのビットレートパターンであって、ビットレートは時間によって大きく変動する。そして、高ビットレートでは、その処理のため消費電力が増大し、低ビットレートでは消費電力が抑えられることになる。
そこで、DVD再生前、このビットレートパターンを読み込み、ビットレートパターンから再生に要する消費電力を予測する。予測した消費電力を用いることにより、DVD−Video38の再生速度を決定し、DVD−Video38を全部再生(最初から最後まで再生)できる再生速度を決定すればよい。
次に、バッテリの処理(バッテリフロー)について、図8を参照して説明する。図8は、バッテリ処理の処理手順を示すフローチャートである。
このバッテリフローには、アプリケーションが起動しているPC2の機種情報、DVDドライブ36等の消費電力値、ビットレートの違いによる消費電力情報、倍速再生の有無等の参照により、チャプタ毎の消費電力を算出する処理が含まれている。
そこで、アプリケーションが起動しているPC2の機種情報を得る(ステップS51)。アプリケーションの保存データである、DVD再生におけるDVDドライブ36等の個別の消費電力値と、ビットレートの違いによる消費電力をHD62のデータ格納領域68から呼び出す(ステップS52)。
この処理の後、倍速再生が有るか否かを判定し(ステップS53)、倍速再生がなければ(ステップS53のNO)、OSのパワーメータ/パワーステータスにより、電力測定及び電力消費状態より現在のバッテリ16の残容量を確認する(ステップS54)。倍速再生があれば(ステップS53のYES)、倍速フロー(図9)を実行し(ステップS55)、ステップS54に移行する。
DVDフロー(図6のステップS45)で検出した積分データを呼び出し(ステップS56)、チャプタ毎の消費電力を算出し(ステップS57)、算出したチャプタ毎の消費電力を加算し(ステップS58)、バッテリ16の残容量からチャプタ毎の消費電力を加算し(ステップS59)、この処理を終了する。
次に、倍速処理(倍速フロー)について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、倍速処理の処理手順を示すフローチャート、図10は、データテーブル682を示す図である。図10において、図2と同一部分には同一符号を付してある。
この処理では、Ny倍速再生における消費電力を格納したデータテーブル682を呼び出し(ステップS61)、DVDフロー(図6)で検出したビットレートに相当する倍速消費パーセントを全ての積分データに掛け(ステップS62)、チャプタブロックを変更し、DVDフローのデータを変更し(ステップS63)、この処理を終了する。
次に、表示部8の画面表示について、図11、図12、図13及び図14を参照して説明する。図11は、PC2の警告メッセージ表示(バックライトのレベル変更)の一例を示す図、図12は、PC2のダイアログ表示画面の一例を示す図、図13は、PC2の警告メッセージ表示(再生ストップ)の一例を示す図、図14は、PC2の警告メッセージ表示(再生終了)の一例を示す図である。図11ないし図14において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
(警告メッセージ表示)
バックライトのレベルを変更して再生する場合(図4のステップS21、ステップS22)には、図11に示すように、表示部8の表示画面72に警告メッセージ74を表示する。この警告メッセージ74は、バックライトのレベルを変更して再生することを表し、例えば、
『バックライトのレベルを変更して再生します。』
とする。
(選択ダイアログ表示)
また、現在のバッテリ16の残容量では、DVD−Video38のチャプタMまでの再生が可能である場合、図12に示すように、表示画面76に選択ダイアログ表示78が表示される。この選択ダイアログ表示78では、DVD−Video38のチャプタMまでの再生が可能であり、その後は再生が停止することを表す警告メッセージとともに、選択可能な再生モードと、再生の終了が表示される。そこで、選択ダイアログ表示78には、例えば、
『現在のバッテリの残量ではDVD−VideoのチャプタMで再生がストップします。以下を選択願います。
A.Ny倍速で再生して、最後まで再生します。
B.部分高速再生モード(ハイライト場面のみノーマル再生します。)
C.そのまま再生します。チャプタ Mの再生終了で自動的にストップします。(ノーマル再生)
D.再生を終了します。』
が表示される。
この選択ダイアログ表示78において、「A」は、既述の高速再生モード(3.1)に対応しており、この「A」を選択すれば、Ny倍速で再生して、DVD−Video38の最後まで再生することができる。
「B」は、既述の部分高速再生モード(3.2)に対応しており、この「B」を選択すれば、一部分を高速再生モード例えば、M倍速で再生し、他の部分をノーマル再生とし、DVD−Video38の最後まで再生する。例えば、ハイライト場面のみをノーマル再生とし、他の部分をM倍速で再生する。
「C」は、既述のノーマル再生モード(3.3)に対応しており、この「C」を選択すれば、ノーマルモードで再生する。この場合には、DVD−Video38の最後までの再生はできず、途中で再生が停止するので、それを表すため、『チャプタ Mの再生終了で自動的にストップします。』と警告メッセージを含んでいる。
「D」は、再生終了であり、この「D」を選択すれば、再生に移行することなく終了する。即ち、この「D」を選択すれば、ダイアログ表示からDVD−Video38の再生終了に移行することができる。
(警告メッセージ表示)
また、ノーマル再生モード(3.3)を選択した場合には、図13に示すように、表示部8の表示画面80に警告メッセージ82が表示される。この処理では、ノーマル再生モードを選択したため、DVD−Video38のチャプタMで再生が中断することが警告される。この警告メッセージ82は例えば、
『現在のバッテリ残量ではDVD−VideoのチャプタMで再生がストップします。』
と表示される。このような警告メッセージ82の表示により、ユーザは再生の中断や中断するチャプタMのチャプタ番号を知ることができる。
また、再生を終了する場合の警告メッセージ表示(ステップS33)では、図14に示すように、表示部8の表示画面83に警告メッセージ85を表示し、この警告メッセージ85は例えば、
『再生を終了し、全ての設定を元に戻し、アプリケーションを終了します。』と表示する。
次に、パワーチェックA、B、C(図5、図15)について説明する。このパワーチェックA、B、Cは、PC2の消費電力のバッテリ容量の換算処理であって、段階的な電力容量換算として既述のパワーチェックA、パワーチェックB、パワーチェックCが設定されている。
1)パワーチェックA
DVD再生に対する不要アプリケーションを終了させ、PC2の消費電力を低減させる場合である。PC2の消費電力を低減すれば、その分だけバッテリ16の消耗が抑えられるので、これをバッテリ容量に換算すれば、バッテリ容量が消耗抑制の分だけの増加と見なすことができる。その増加比率をKaとすれば、これがパワーチェック補正係数Kaとなる。そこで、PC2の現在のバッテリ容量P〔mWh〕にパワーチェック補正係数Kaを掛け算すれば、パワーチェックAによる換算された現在のバッテリ容量(P×Ka)〔mWh〕が求められる。
2)パワーチェックB
不要アプリケーションの終了と、CPU48の電力スキーム(Power Scheme)の変更とにより、PC2の消費電力を低減させる場合である。既述の通り、これをバッテリ容量に換算すれば、バッテリ容量が消耗抑制の分だけの増加と見なすことができ、その増加比率をKbとすれば、これがパワーチェック補正係数Kbとなる。そこで、現在のバッテリ容量P〔mWh〕にパワーチェック補正係数Kbを掛け算すれば、パワーチェックBによる換算された現在のバッテリ容量(P×Kb)〔mWh〕が求められる。
3)パワーチェックC
不要アプリケーションの終了と、CPU48の電力スキームの変更と、バックライト42の輝度の低下とにより、PC2の消費電力を低減させる場合である。同様に、この場合の増加比率をKcとすれば、これがパワーチェック補正係数Kcとなる。そこで、PC2の現在のバッテリ容量P〔mWh〕にパワーチェック補正係数Kcを掛け算すれば、パワーチェックBによる換算された現在のバッテリ容量(P×Kc)〔mWh〕が求められる。
これら、パワーチェック補正係数Ka、Kb、Kcは、段階的に消費電力を減少させて求められているので、その減少分だけ実質的にバッテリ16の容量増加となり、そのため、パワーチェック補正係数Ka、Kb、Kcは「1」より大であり、これらの大小関係は、1<Ka<Kb<Kcである。
そして、このようなパワーチェックA、B、Cの段階的な処理により、PC2に内蔵されるバッテリ16の元電力量〔mWh〕とパワーチェックA、B、Cとその時点のバッテリ残容量〔%〕をOSの電力スキームによりDVD−Video38再生開始時点の正確なバッテリ残容量を推測することができる。
次に、DVD−Video38の各チャプタの消費電力、各パワーチェックA、B、Cにおける再生可能な残り時間について、図15及び図16を参照して説明する。図15は、DVDの各チャプタの消費電力の演算処理を示す図、図16は、パワーチェックA、B又はCにおけるバッテリの残り時間の演算処理を示す図である。
図15に示すように、DVD−Video38のタイトルT1には、複数のチャプタ01、02・・・ラストチャプタNが存在しており、これらチャプタ01、02・・・Nのそれぞれを所定時間毎の消費電力を演算する。所定時間として例えば、5分毎にチャプタを区切り、それらをチャプタブロックとすれば、チャプタ01にはチャプタブロック01−A、01−B、01−C・・・、チャプタ02にはチャプタブロック02−A、02−B、02−C・・・、ラストチャプタNにはチャプタブロックN−A、N−B、N−C・・・とし、これら各チャプタブロック毎の消費電力を演算する。
この消費電力の演算には、5分間内のビットレートが用いられ、チャプタブロック01−A、01−B、01−C・・・、02−A・・・、N・・・の各消費電力を1A、1B、1C・・・、2A・・・、Nn〔mW〕とすれば、次の演算により求められる。
即ち、チャプタ01の0分から5分までの消費電力は、
ビットレート×時間(5分−0分)=1A〔mW〕 ・・・(1)
となり、チャプタ01の5分から10分までの消費電力は、
ビットレート×時間(10分−5分)=1B〔mW〕 ・・・(2)
となり、また、チャプタ01の10分から15分までの消費電力は、
ビットレート×時間(15分−10分)=1C〔mW〕 ・・・(3)
となる。また、チャプタ02の0分から5分までの消費電力は、
ビットレート×時間(5分−0分)=2A〔mW〕 ・・・(4)
となる。また、ラストチャプタのXX分からYY分までの消費電力は、
ビットレート×時間(YY分−XX分)=Nn〔mW〕 ・・・(5)
となる。これらの式から明らかなように、各消費電力は、ビットレートと時間の積から求められるので、ビットレート及び時間に比例している。
各チャプタブロックの終了時の残り時間は、図16に示すように、バッテリ容量〔mWh〕、バッテリの残容量〔%〕、消費電力1A、1B、1C・・・、2A・・・、Nn〔mW〕、既述のパワーチェックA、B、Cで求められたパワーチェック補正係数Ka、Kb又はKcを用いて求められる(ステップS71、S72)。
即ち、チャプタ01−Aの終了時の残り時間は、
バッテリ容量〔mWh〕×パワーチェック補正係数(Ka、Kb又はKc) ×バッテリ残容量〔%〕/1A〔mW〕=01A〔hours〕
・・・(6)
から求められ、チャプタ01−Bの終了時の残り時間は、
バッテリ容量〔mWh〕×パワーチェック補正係数(Ka、Kb又はKc) ×バッテリ残容量〔%〕/(1A+1B)〔mW〕=01B〔hours〕
・・・(7)
から求められ、チャプタ01−Cの終了時の残り時間は、
バッテリ容量〔mWh〕×パワーチェック補正係数(Ka、Kb又はKc) ×バッテリ残容量〔%〕/(1A+1B+1C)〔mW〕
=01C〔hours〕 ・・・(8)
から求められる。また、チャプタ02−Aの終了時の残り時間は、
バッテリ容量〔mWh〕×パワーチェック補正係数(Ka、Kb又はKc) ×バッテリ残容量〔%〕/(1A+1B+1C+・・・+2A)〔mW〕
=02A〔hours〕 ・・・(9)
から求められる。また、ラストチャプタNの終了時の残り時間は、
バッテリ容量〔mWh〕×パワーチェック補正係数(Ka、Kb又はKc)×バッテリ残容量〔%〕/(1A+1B+1C+・・・+2A+・・・+Nn)〔mW〕=Nn〔hours〕 ・・・(10)
から求められる。
これら式(6) 、(7) 、(8) 、(9) 及び(10)の分子にあるパワーチェック補正係数について、パワーチェック補正係数をKaとすれば、パワーチェックAの場合の残り時間、パワーチェック補正係数をKbとすれば、パワーチェックBの場合の残り時間、また、パワーチェック補正係数をKcとすれば、パワーチェックCの場合の残り時間が求められる。
そして、パワーチェック補正係数は、式(6) 、(7) 、(8) 、(9) 及び(10)の分子にあることから、残り時間は、パワーチェック補正係数に比例する関係にある。パワーチェック補正係数は、既述の通り、Ka<Kb<Kcであるから、パワーチェックAの場合の残り時間が最も小さく、パワーチェックCの場合の残り時間が最も大きくなり、パワーチェックBの場合の残り時間はパワーチェックAとパワーチェックCとの中間値となる。
次に、再生モードに対する消費電力の算出について説明する。
DVD−Video38のタイトル及びチャプタのビットレートの積分値に再生モード(ノーマル再生又は高速再生)を表す係数を掛け、DVD−Video38の全部を再生するに必要な消費電力を求める。高速再生ならば消費電力が落ちる。
この場合、チャプタの単位ビットレートを算出し、全体の消費電力とビットレートとの相関関係より消費電力を算出し、PC2の状態とバッテリ16の残容量とビットレートとの関係よりバッテリ16の残り時間が計算される。ビットレートと時間の関係より正確な計算が可能となる。
高速再生や部分高速再生では、バッテリ16の残容量(電力)と、各チャプタの消費電力を加算した消費電力の加算値とを比較し、DVD−Video38を最後まで再生できる再生速度及び消費電力で再生する。また、ノーマル再生では、再生速度を変えないで再生するので、バッテリ16の残容量がなくなれば、DVD−Video38の再生が中断することになるが、ユーザが希望した再生モードであるから問題はない。
以上説明した第1の実施の形態について、特徴事項や利点を列挙すれば、次の通りである。
DVD−Video38の再生前にCPU動作変更や再生モードをバッテリ16の残容量に応じて自動的に変更し、再生に移行する。
再生モード(即ち、再生方法)は、選択ダイアログ表示78に警告表示とともに入れ、再生モードをユーザに選択させ、自動的にその再生モードへ移行させ、バッテリ16の残容量に応じた再生速度等で再生できる方法を提示している。
記録データに基づく再生時間の計算では、単純にファイルの再生時間を用いた場合には例えば、可変ビットレートであるDVD−Videoでは再生時間をそのChapterの時間だけで計算すると残り再生時間に誤差を生じるのに対し、これを回避するため、ビットレートの変動を考慮して、パソコンの消費電力をそのチャプタ毎に計算し、消費電力や再生時間の演算精度を高めている。
また、チャプタ毎に求めた消費電力の加算により再生速度の変更、又は、通常速度での再生をするため、自動的にスタート/チャプタの変更を行うことができる。このため、ユーザが再生区間の指定を行う必要がない。
また、警告ダイアログもチャプタでの表示が可能であって、パーセント/開始何分という表示に比較し、ユーザに判り易くする情報を提示することができる。
バッテリフロー(図8)について、OSが表示する残り時間は図17の(A)及び(B)に示すように、その時点におけるPC2の消費電力とOSの持つPower Meter/Power Statusにより計算される。これは、OSが持つバッテリ16の残容量からみた動作時間を示している。このため、DVD−Video等のように急激に消費電力が変わる場合には、その時点の残り時間に誤差を生じ、正確な残り時間を提示することができない。DVD−Video再生前の残り時間の表示では、DVD−Videoの録画時間内であったとしても、再生を開始すると、表示された残り時間が変化する。また図18の(A)及び(B)は、そのときの残り時間を示すが、OSがDVD−Video再生等により急激な消費電流を検知すると、バッテリ16の残容量が同一であっても、図18の(A)及び(B)に示すように、パーセンテージ(%)が同一(95%)でも、残り時間の表示が大きく異なるという不都合がある。表示された残り時間は、図17及び図18に示すように、急激に変動することはなく、再生時間に比例して減少する。バッテリフロー(図8)はこのようなバッテリ16の残容量の表示の修正にも寄与する。
ところで、本発明の適用されていないPCを想定し、表示部のバックライトを中レベル輝度とし、CPUにインテル社製のCPU{「Celeron M350」(登録商標)−1.3GHz}を使用し、バッテリ42に10.8V/4400mAh、その残容量100〔%〕を用いて、DVD−Videoを再生する場合を想定すると、DVD−Videoが「4MbpsDVD−Video」であれば、約2時間10分の再生が可能であり、また、「8MbpsDVD−Video」であれば、約2時間の再生が可能である。ところで、OSが持つバッテリの残容量の表示ではその瞬間算出であるため、DVD−Video再生開始直後の表示ではどちらのDVD−Videoを再生しても残り1時間6分と表示されるであろう。DVD−Video再生開始時点では1時間6分となっているが、実際には、「4MbpsDVD−Video」では、再生可能であっても、表示は「再生不可」となり、間違った情報がユーザに提供されることになり、バッテリ駆動による再生が中止されることになる。また、再生されてその瞬間の消費電力が変更されても、その後の消費電力が不明である。よって数分後にどちらも2時間10分となり一定の再生後でも正確な時間は算出できない。これより、再生開始よりビットレートを認識しなければ、再生する前に正確な再生時間を表示することはできない。このような不都合は、既述した本発明を適用することにより解消されるのである。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について、図19及び図20を参照して説明する。図19は、第2の実施の形態に係る再生制御方法の処理手順の一例を示すフローチャート、図20は、第2の実施の形態に係る再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
この実施の形態に係る映像再生制御方法は、図19に示すように、駆動電源の判定(ステップS201)、消費電力低減及び全部再生の可否(ステップS202)、再生モードの決定及びその選択(ステップS203)、再生処理(ステップS204)の処理手順によって実行し、第1の実施の形態(図3)における、バッテリ容量での記録媒体の全部再生の可否判定(ステップS2)を省略したものである。バッテリ容量での記録媒体の全部再生の可否判定(ステップS2)を省略しても、消費電力低減及び全部再生の可否(ステップS202)によって、段階的な負荷制御の途上で記録媒体の全部再生が可能であるか否かの処理が行われるので、このような構成によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
そこで、再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順については、図20に示すように、ACアダプタ18の有無の判定(ステップS211)、バッテリの残容量の検出(ステップS212)、DVD−Video38の再生時間の検出(ステップS213)の後、DVD−Video38の全部再生が可能であるか否かの判定を経ることなく、DVD−Video38の再生に不要なアプリケーションの終了(ステップS214)を行う。ステップS215は図4のステップS16、ステップS216は図4のステップS17、ステップS217は図4のステップS18、ステップS218は図4のステップS19、ステップS219は図4のステップS20、ステップS220は図4のステップS21、ステップS221は図4のステップS22、ステップS222は図4のステップS23と同様であるので、その説明を省略する。図20に示すフローチャートにおいて、符号A、符号Bは、第1の実施の形態のフローチャート(図5)との連結部分を示している。
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について、図21及び図22を参照して説明する。図21は、第3の実施の形態に係る再生制御方法の処理手順の一例を示すフローチャート、図22は、第3の実施の形態に係る再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
この実施の形態に係る映像再生制御方法は、図21に示すように、駆動電源の判定(ステップS301)、記録媒体の全部再生の可否判定(ステップS302)、再生モードの決定及びその選択(ステップS303)、再生処理(ステップS304)の処理手順によって実行し、第1の実施の形態(図3)における、消費電力低減及び全部再生の可否の判定(ステップS3)を省略したものである。
この実施の形態では、バッテリ16に対する負荷制御を経ることなく、バッテリ16の残容量に応じて再生制御として例えば、再生速度の制御を実行するものである。このような構成によっても、バッテリ16の残容量が大きく、DVD−Video38のデータ量が小さい場合等では、第1の実施の形態と同様にDVD−Video38の全部再生を自動的に行うことができる。
そこで、再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順については、図22に示すように、ACアダプタ18の有無の判定(ステップS311)、バッテリの残容量の検出(ステップS312)、DVD−Video38の再生時間の検出(ステップS313)の後、第1の実施の形態におけるステップS15ないしステップS21を経ることなく、DVD−Video38の全部再生が可能であるか否かの判定を行い(ステップS314)、全部再生が不可能であれば、図5のフローチャートの処理を実行した後、DVD−Video38の再生(ステップS315)に移行し、通常のアプリケーション処理を実行する(ステップS316)。
このような処理によっても、既述した通り、バッテリ16の残容量に応じてDVD−Video38の再生制御を行うことにより、DVD−Video38の全部再生を行うことができる。
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態について、図23及び図24を参照して説明する。図23は、第4の実施の形態に係る再生制御方法及び再生制御プログラムの処理手順の一例を示すフローチャート、図24は、選択ダイアログ画面を表示したPC2を示す図である。図24において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この第4の実施の形態では、バッテリ16の残容量の検出とともに、PC2のパワースキームを検出した後、第3の実施の形態と同様に、DVD−Video38の再生時間を検出し、その直後にDVD−Video再生に不要なアプリケーションを終了する構成であり、また、再生制御では、部分高速再生モードを設定しない構成としたものである。
そこで、図23に示すように、DVD−Video38を再生する場合には、再生アプリケーションを起動させ、PC2にACアダプタ18が有るか否かを判定する(ステップS401)。ACアダプタ18が接続されていれば(ステップS401のYES)、ステップS402ないしステップS410を経ることなく、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS411)。
ACアダプタ18の接続がなければ(ステップS401のNO)、バッテリ16の残容量を検出し、PC2のパワースキームを検出する(ステップS402)。また、DVD−Video38のチャプタ毎にビットレートを算出し、そのビットレートのデータを再生するため必要な消費電力をチャプタ毎に記憶し、各チャプタの消費電力を合計して全消費電力を求めることにより、DVD−Video38の再生時間を検出する(ステップS403)。この再生時間の検出処理は、DVDフロー(図6に示す再生時間検出プログラム)によって実行されることは既述の通りである。
負荷制御の第1段階として、DVD−Video38の再生に不要なアプリケーションを終了する(ステップS404)。この不要なアプリケーションを終了した結果、バッテリ16の残容量でDVD−Video38の最後まで再生が可能か否かを判定し(ステップS405)、DVD−Video38の最後まで再生可能であれば(ステップS405のYES)、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS411)。また、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS405のNO)、再生前の設定を記憶した後、負荷制御の第2段階として、PC2のパワースキーム(Power scheme)を変更する(ステップS406)。
PC2のパワースキームを変更した結果、バッテリ16の残容量でDVD−Video38の最後まで再生可能か否かを判定し(ステップS407)、DVD−Video38の最後まで再生可能であれば(ステップS407のYES)、DVD−Video38の再生に移行する(ステップS411)。また、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS407のNO)、バッテリ16の残容量とDVD−Video38を最後まで再生するために必要な電力を計算し、可能なバックライト42のバックライトレベル(輝度)を算出する(ステップS408)。
バックライト42のバックライトレベルを低減させれば、バッテリ16の残容量でDVD−Video38の最後まで再生可能か否かを判定し(ステップS409)、DVD−Video38の最後まで再生可能であれば(ステップS409のYES)、再生前のバックライトレベルを記憶した後、負荷制御の第3段階として、再生可能なバックライトレベルに変更し(ステップS410)、DVD−Video38を再生し(ステップS411)、DVD−Video38の再生の後、通常のアプリケーション処理をする(ステップS412)。
また、ステップS409において、DVD−Video38を最後まで再生できなければ(ステップS409のNO)、DVD−Video38のビットレートを検出し、ビットレートの変動値を考慮に入れ、倍速再生するために必要な消費電力をDVD−Video38のチャプタ毎に求め、DVD−Video38の最後まで再生できるか否か、再生できるチャプタ、DVD−Video38を最後まで再生するための再生速度を決定する(ステップS413)。
この決定により、チャプタMを超える再生ができない場合には、チャプタMまで再生可能であることを告知するとともに、再生モードの選択ダイアログ(図24)を表示する(ステップS414)。
選択ダイアログ表示(図24)において、高速再生モードAを選択したか否かを判定し(ステップS415)、高速再生モードAを選択した場合には(ステップS415のYES)、DVD−Video38の再生における消費電力とバッテリ16の残容量とを比較し、DVD−Video38の最後まで再生できる再生速度に変更し(ステップS416)、ステップS411(DVD−Video38の再生)に移行する。この場合、ステップS410に移行させてもよい。
高速再生モードAを選択しなかった場合には(ステップS415のNO)、通常再生モードBの選択か、再生終了かを判定し(ステップS417)、通常再生モードCを選択した場合には、通常再生を開始し、バッテリ16の残容量がなければ、通常処理として、PC2の再生動作を停止し、シャットダウンし(ステップS418)、処理を終了する(ステップS419)。この場合、警告メッセージ(図13)を表示してもよい。
通常再生モードBを選択しなかった場合、即ち、再生終了を選択した場合には、全ての設定を元に戻し、警告メッセージ(図14)を表示し、通常再生を行い、アプリケーションを終了する(ステップS420)。
この場合、選択ダイアログ表示(ステップS414)では、図24に示すように、表示部8の表示画面84に選択ダイアログ86を表示し、この選択ダイアログ表示86は、例えば、
『現在のバッテリの残量ではDVD−VideoのチャプタMで再生がストップします。以下を選択願います。
A.Ny倍速で再生して、最後まで再生します。
B.そのまま再生します。
チャプタMの再生終了で自動的にストップします。特典映像はf分ありますが、再生できません。
C.再生を終了します。』
が表示される。
〔第5の実施の形態〕
次に、本発明の第5の実施の形態について、図25を参照して説明する。図25は、第5の実施の形態に係るPC2を示す図である。図25において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
この実施の形態のPC2では、サウスブリッジ54に接続されたUSB(Universal Serial Bus)コネクタ88が備えられ、このUSBコネクタ88を通してUSB機器であるドライブ装置90が接続されている。ドライブ装置90はDVDドライブ36に代えてDVD−Video38の他、他の記録媒体の再生に用いる。
外付けのドライブ装置90を用いてDVD−Video38等の記録媒体を再生する場合にも、バッテリ16の残容量に応じた負荷制御や再生制御を実行し、その記録媒体の全部再生又は特定範囲までの再生を行うことができる。
なお、この実施の形態では、USBを用いているが、外付けのドライブ装置90はUSB以外のインタフェースを用いてもよい。
〔その他の実施の形態等〕
上記実施の形態の変形例や特徴事項等について、以下に列挙する。
(1) 上記実施の形態では、記録媒体としてDVD−Videoを例示したが、他の光ディスクや磁気ディスク等の記録媒体であってもよい。
(2) 上記実施の形態では、記録データの再生として、映像を例示したが、映像を含む文字データの再生であってもよく、本発明は映像再生に限定されるものではない。
(3) 再生途上においても、常にバッテリ16の残容量を監視し、再生速度を制御する構成とすれば、DVD−Videoの全部再生ないし所定範囲の再生を確実に行うことができる。
以上述べたように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。