JP5077785B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵輪の操舵を制御する操舵制御装置に関する。
従来、操舵部材の操舵角に対する操舵輪の舵角を変更可能な操舵比可変(Variable Gear Ratio Steering、以下「VGRS」という。)装置が知られている。VGRS装置では、操舵比を固定するため、ロックピンおよび当該ロックピンを係止する係止部材を有するロック機構を設けることが公知である(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開2001−287660号公報 特開2004−058743号公報 特開2004−114857号公報 特開2005−350036号公報
しかしながら、特許文献1〜4では、操舵比を固定するためのロック機構が操舵比を可変にするためのギア機構とは別途に設けられているので、装置全体が大型化するという問題点があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体を小型化可能な操舵制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の操舵制御装置は、入力軸と、出力軸と、ディファレンシャルギアと、支持部材と、ウォームギアと、モータと、操舵角取得手段と、モータ駆動制御手段と、セルフロック失陥判断手段と、空転抑制手段と、を備える。入力軸は、乗員により操舵される操舵部材に連結可能である。出力軸は、入力軸と相対回転可能に設けられ、操舵部材に加えられた操舵力を操舵輪側へ伝達するトルク伝達経路をなす。ディファレンシャルギアは、入力軸と共に回転する入力ギア、出力軸と共に回転する出力ギア、および入力ギアと出力ギアとに噛み合うピニオンギアを有する。支持部材は、ピニオンギアを回転可能に支持する。ウォームギアは、支持部材と共に回転するウォームホイール、およびウォームホイールに噛み合うウォームを有する。また、ウォームギアは、ウォームの回転によりウォームホイールは回転するが、ウォームホイールの回転によりウォームは回転しないようにセルフロック可能なリード角が設定されている。ウォームホイールとウォームとがセルフロックされているとき、操舵部材の操舵角と出力軸の回転角の比である増速比は、所定の値、例えば1、で固定される。モータは、ウォームを回転駆動する。操舵角取得手段は、操舵部材の操舵角を取得する。モータ駆動制御手段は、操舵角取得手段により取得された操舵部材の操舵角に基づき、モータの駆動を制御する。ウォームを回転駆動するモータの駆動が制御されるので、ディファレンシャルギアおよびウォームギアの作動により、操舵部材の操舵角に対する操舵輪の舵角が可変になる。
本発明では、ウォームホイールおよびウォームがセルフロック可能に構成されているので、操舵部材の操舵角に対する操舵輪の舵角を固定するためのロック機構をディファレンシャルギアおよびウォームギアからなるギア機構と別途に設ける必要がない。したがって、装置全体を小型化することができる。
ところで、ウォームギアにおいて、セルフロック不能となるセルフロック失陥が生じた場合、出力軸側にトルクが伝達されず、操舵部材が空転してしまう虞がある。
そこで、請求項1に記載の発明では、セルフロック失陥判断手段は、ウォームギアにおいて、セルフロック不能となるセルフロック失陥が生じているか否かを判断する。また、空転抑制手段は、セルフロック失陥判断手段によりウォームギアにおけるセルフロック失陥が生じていると判断された場合、操舵部材の空転を抑制する。これにより、セルフロック失陥時においても操舵部材の空転が抑制されるので、安全性が向上する。
セルフロック失陥判断手段は、請求項2〜6のように構成することができる。
請求項2に記載の発明では、モータの回転角を取得するモータ回転角取得手段をさらに備える。セルフロック失陥判断手段は、モータの通電がオフされている場合であって、モータ回転角取得手段により取得されたモータの回転角が0ではない場合、ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断する。
請求項3に記載の発明では、セルフロック失陥判断手段は、モータの回転角指令値が0である場合であって、モータの電圧指令値が0でない場合、ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断する。
請求項4に記載の発明では、出力軸の回転角を取得する出力軸回転角取得手段をさらに備える。セルフロック失陥判断手段は、操舵部材の操舵角と出力軸の回転角との比である増速比および操舵角に基づいて算出される出力軸の回転角である設定回転角と、出力軸回転角取得手段により取得された出力軸の回転角と、が一致しない場合、ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断する。
請求項5に記載の発明では、入力軸が回転中か否かを判断する回転判断手段と、操舵部材の操舵により生じる操舵トルクを取得するトルク取得手段と、をさらに備える。セルフロック失陥判断手段は、回転判断手段により入力軸が回転中であると判断された場合であって、トルク取得手段により取得される操舵トルクが0である場合、ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断する。
請求項6に記載の発明では、車両が直進中か否かを判断する直進判断手段をさらに備える。セルフロック失陥判断手段は、直進判断手段により車両が直進中であると判断された場合であって、操舵角取得手段により取得される操舵角が0でない場合、ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断する。
請求項2〜6に記載の構成を採用することにより、ウォームギアのセルフロックが機能しているか否かを適切に判断することができる。
なお、請求項2、3、5、6に関し、該当する値が0か否かの判断は、ノイズ等の影響を考慮し、該当する値の絶対値が所定値以下である場合、0とみなしてもよい。また、請求項4に関し、設定回転角と出力軸の回転角とが一致するか否かの判断は、ノイズ等の影響を考慮し、例えば、設定回転角から出力軸の回転角を減算した値の絶対値が所定値以下である場合、設定回転角と出力軸の回転角とが一致するとみなしてもよい。
また、空転抑制手段は、請求項7〜9のように構成することができる。
請求項7に記載の発明では、モータの巻線に通電される電流を切り替えるインバータ部をさらに備える。インバータ部は、高電位側に配置された高電位側スイッチング素子および低電位側に配置された低電位側スイッチング素子によりスイッチング素子対をなす複数のスイッチング素子を有する。空転抑制手段は、全ての高電位側スイッチング素子または全ての低電位側スイッチング素子を同時にオンする。全ての高電位側スイッチング素子または全ての低電位側スイッチング素子を同時にオンすると、モータおよびインバータ部に閉回路ができ回生ブレーキが発生する。この回生ブレーキにより操舵部材の空転が抑制されるので、安全性が向上する。
請求項8に記載の発明では、空転抑制手段は、ウォームホイールの回転によりウォームに加わるトルクを相殺するトルクがウォームに加わるようにモータの駆動を制御する。これにより、モータにより生じるトルクによりウォームホイールとウォームとがロックされるので、操舵部材が空転せず、安全性が向上する。
請求項9に記載の発明では、空転抑制手段は、操舵角取得手段により取得された操舵角に基づき、車両の左側の車輪の回転速度と右側の車輪の回転速度とに差を生じさせる。以下、車輪の回転速度を「車輪速」という。例えば、操舵部材が右方向に操舵された場合、右側の車輪速を左側の車輪速よりも小さくすることにより操舵部材に時計回りに回転させようとするトルクが発生し(左右の操舵輪の回転速度差によってセルフステアになる)、車両が右方向に旋回する。また例えば操舵部材が左方向に操舵された場合、左側の車輪速を右側の車輪速よりも小さくすることにより操舵部材に反時計回りに回転させようとするトルクが発生し、車両が左方向に旋回する。これにより、操舵部材の操舵方向に車両を旋回させることができるので、操舵部材が空転せず、安全性が向上する。
なお、ここでいう「車輪」とは、操舵部材により操舵される操舵輪に加え、操舵部材により操舵されない車輪を含んでもよい。また、一方の側の車輪にブレーキをかけることにより、左右の車輪速に差を生じさせてもよい。さらにまた、車輪がインホイールモータ等により駆動される場合、左右のモータの出力トルクを変更することにより、左右の車輪速に差を生じさせてもよい。
本発明の第1実施形態による操舵制御システムの全体構成を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による操舵制御装置の断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 ウォームギアのIV方向矢視図である。 図4のV方向矢視図である。 図4のVI方向矢視図である。 図4のVII−VII線断面図である。 本発明の第1実施形態によるVGRS ECUを説明するブロック図である。 VGRSモータの回路構成を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態によるEPS ECUを説明するブロック図である。 本発明の第1実施形態におけるVGRS部の制御演算処理を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるVGRSモータ回転角指令値演算処理を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるVGRSモータ回転角制御演算処理を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるVGRS部におけるPWM指令値演算処理を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態おける車速と増速比とが対応づけられたマップを説明する説明図である。 本発明の第1実施形態における空転制御抑制セルフロックチェック処理を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるセルフロック失陥検出処理(1)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるセルフロック失陥検出処理(2)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるセルフロック失陥検出処理(3)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるセルフロック失陥検出処理(4)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態におけるセルフロック失陥検出処理(5)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態における空転抑制処理(1)を説明するフローチャートである。 本発明の第1実施形態における空転抑制処理(2)を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態におけるVGRS ECUを説明するブロック図である。 本発明の第2実施形態における空転抑制処理を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態におけるVGRS ECUを説明するブロック図である。 本発明の第3実施形態における空転抑制処理を説明するフローチャートである。 本発明の他の実施形態による操舵制御システムの全体構成を示す概略構成図である。 本発明の他の実施形態によるウォームギアを示す図である。 図29のR方向矢視図である。 図29のS方向矢視図である。 図29のT−T線断面図である。
以下、本発明による操舵制御装置を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による操舵制御装置を図1〜図23に基づいて説明する。
まず、操舵システムの概略構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、操舵システム100は、操舵制御装置1、コラム軸2、ラックアンドピニオン機構6、操舵輪7、操舵部材としてのハンドル8等を備えている。本実施形態では、コラム軸2およびラックアンドピニオン機構6が「トルク伝達経路」を構成している。
操舵制御装置1は、入力軸10の回転角度と出力軸20の回転角度の比を可変にする操舵比可変部3、および運転者によるハンドル8の操舵を補助する補助トルクを発生する電動パワーステアリング部5等を備える。以下、操舵比可変部を「VGRS部」といい、電動パワーステアリング部を「EPS部」という。本実施形態では、VGRS部3およびEPS部5は、コラム軸2周りに配置され、ハウジング12に収容されている。これにより、VGRS部3およびEPS部5は、一体にモジュール化されているといえる。なお、操舵制御装置1の詳細は、図2等に基づいて後述する。
コラム軸2は、入力軸10、出力軸20、ユニバーサルジョイント9、シャフト24を有している。入力軸10は、乗員により操舵されるハンドル8と連結されている。入力軸10には、ハンドル8が操舵された操舵角を検出するハンドル角センサ92が設けられている。本実施形態では、ハンドル8と入力軸10とは連結されているので、ハンドル8が操舵された操舵角と、入力軸10の回転角とが一致している。以下、ハンドル8の操舵された操舵角を、「ハンドル角θh」という。
出力軸20は、入力軸10と同軸に設けられ、入力軸10と相対回転可能に設けられる。なお、後述するVGRS部3のディファレンシャルギア31の作用により、入力軸10と出力軸20の回転方向が逆転する。出力軸20は、運転者がハンドル8を操舵することにより生じた操舵トルクを、ユニバーサルジョイント9、シャフト24、ラックアンドピニオン機構6を経由して操舵輪7へ伝達する。また、出力軸20には、出力軸20の回転角を検出するピニオン角センサ96が設けられている。以下、出力軸20の回転角を、「ピニオン角θp」という。
ラックアンドピニオン機構6は、ステアリングピニオン60およびステアリングラックバー61等を備え、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線(図1中において、記号Lで示す。)よりも車両後方に設けられている。
円形歯車であるステアリングピニオン60は、コラム軸2のハンドル8と反対側の端部に設けられ、出力軸20およびシャフト24と共に正逆回転する。ステアリングラックバー61は、車両の左右方向に移動可能に設けられる。ステアリングラックバー61に設けられるラック歯がステアリングピニオン60と噛み合うことにより、ステアリングピニオン60の回転運動がステアリングラックバー61の車両左右方向の直線運動に変換される。すなわち、ラックアンドピニオン機構6は、コラム軸2の回転運動を直線運動に変換している。
ステアリングラックバー61の両端には、図示しないタイロッドおよびナックルアームが設けられ、このタイロッドおよびナックルアームを介してステアリングラックバー61と左右の操舵輪7とが接続される。これにより、左右の操舵輪7は、ステアリングラックバー61の移動量に応じて操舵される。
なお、本実施形態では、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aは、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くなっている。
本実施形態では、入力軸10と出力軸20との間に設けられるディファレンシャルギア31の作用により出力軸20は入力軸10の回転方向と反対方向に回転するので、ハンドル8が左方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が右回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が左方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は左方向に移動し、車両が右方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
このように、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aを左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くする、すなわちA>Bとすることにより、出力軸20、シャフト24、およびステアリングピニオン60の回転方向とは反対方向に操舵輪7が操舵され、ハンドル8の回転方向と操舵輪7の舵角の向きを整合させている。これにより、出力軸20の回転方向を再度逆転する歯車装置等が不要になる。
次に、図2および図3に基づいて、操舵制御装置1について説明する。なお、図2は図3のII−II線断面に対応する図であり、図3は図2のIII−III線断面に対応する図である。
操舵制御装置1は、ハウジング12、入力軸10、出力軸20、VGRS部3、EPS部5等を備える。
ハウジング12は、ハウジング本体121およびフレームエンド122と有する。ハウジング本体121とフレームエンド122とは、ねじ123により固定されている。ハウジング12には、歯車機構30等が収容されるとともに、入力軸10および出力軸20が挿通される。ハウジング本体121の反フレームエンド122側には、後述する入力ギア11を回転可能に支持する第1軸受部13が設けられる。また、フレームエンド122には、後述する第2出力軸22を回転可能に支持する第2軸受部14が設けられる。
出力軸20は、第1出力軸21および第2出力軸22から構成される。第1出力軸21および第2出力軸22は、中空のパイプ状に形成され、内部にトーションバー70が挿通される。第1出力軸21は、第2出力軸22よりも入力軸10側に設けられる。第1出力軸21は、入力軸10と反対側に内径の大きい大径部211を有している。また、第2出力軸22は、第1出力軸21側に大径部211の内径よりも外径が小さい小径部221を有している。第2出力軸22の小径部221が第1出力軸21の大径部211に挿入される。
トーションバー70は、第1出力軸21および第2出力軸22の径方向内側に形成される空間に挿通される。トーションバー70の入力軸10側の端部には、セレーション701が形成されている。このセレーション701は、第1出力軸21の径方向内側の内壁に形成されたセレーションと噛み合っている。また、トーションバー70の反入力軸10側の端部は、ピン702によって出力軸22に接続されている。これにより、第1出力軸21と第2出力軸22とは、トーションバー70により相対回転可能に接続される。なお、トーションバー70は、第1出力軸21と第2出力軸20とが相対回転することにより捩れトルクが加わると、一定の弾性率で軸周りに捩れが生じる。したがって、第1出力軸21と第2出力軸22との間に加わるトルクは、トーションバー70の捩れ変位として変換される。トーションバー70の捩れ変位は、操舵トルク検出部4により検出される。
操舵トルク検出部4は、トーションバー70の捩れ変位を検出することによりハンドル8が操舵されることにより生じる操舵トルクを検出する。操舵トルク検出部4は、多極磁石71、一組の磁気ヨーク72、73、一組の集磁リング75、76、およびトルクセンサ94(図1、図8等参照)を備える。操舵トルク検出部4は、軸方向において、後述する出力ギア23と僅かに隙間を開けて設けられる。
多極磁石71は、円環状に形成され、第1出力軸21に嵌合する。これにより、多極磁石71は、第1出力軸21と共に回転する。なお、多極磁石71は、軸方向において、第1出力軸21に嵌合する出力ギア23よりも反入力軸10側に配置される。また、多極磁石71は、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。
一組の磁気ヨーク72、73は、多極磁石71の径方向外側であって、多極磁石71によって形成される磁界内において、軸方向に向き合う一組の円環部からそれぞれ軸方向に延びる爪が周方向に交互にずれて配置されている。磁気ヨーク72、73は、モールド樹脂74に一体にモールドされている。モールド樹脂74は、図示しないカラーを介して第2出力軸22の径方向外側に嵌合している。これにより、磁気ヨーク72、73は、第2出力軸22と共に回転する。
一組の集磁リング75、76は、それぞれ円環状に形成され、磁気ヨーク72、73をモールドするモールド樹脂74の径方向外側にて、モールド樹脂74と相対回転可能に設けられる。軸方向において、一方の集磁リング75は、一方の磁気ヨーク72と対応する位置に設けられる。また、軸方向において、他方の集磁リング76は、他方の磁気ヨーク73と対応する位置に設けられる。一方の集磁リング75と他方の集磁リング76との間には、図示しないエアギャップが形成される。トルクセンサ94は、エアギャップ内に設けられ、エアギャップに生じる磁束密度を検出する。
ここで、トルクセンサ94による操舵トルクの検出方法を説明する。
出力軸20に操舵トルクが入力されていない場合、トーションバー70における捩れ変位が生じていない。このとき、磁気ヨーク72、73の爪の中心と多極磁石71のN極およびS極の境界線とが一致している。ここで、磁気ヨーク72、73の爪には、多極磁石71のN極およびS極から同数の磁力線が出入りするので、一方の磁気ヨーク72の内部の磁力線と、他方の磁気ヨーク73の内部の磁力線とが、それぞれ閉じた状態となる。したがって、集磁リング75、76の間に形成されるエアギャップに磁束が漏れることがなく、トルクセンサ94の検出する磁束密度は0となる。
一方、出力軸20に操舵トルクが入力された場合、トーションバー70において捩れ変位が生じる。このとき、多極磁石71と磁気ヨーク72、73との相対位置が周方向に変化する。これにより、磁気ヨーク72、73の爪の中心と、多極磁石71のN極およびS極の境界線とが一致しなくなる。ここで、一方の磁気ヨーク72と他方の磁気ヨーク73とに、それぞれN極またはS極の極性を有する磁力線が増加する。このため、集磁リング75、76の間に形成されるエアギャップに磁束が漏れ、トルクセンサ94の検出する磁束密度は、0でなくなる。トルクセンサ94により検出される磁束密度は、トーションバー70の捩れ変位量に略比例し、かつトーションバー70の捩れ方向に応じて極性が反転する。これにより、トーションバー70の捩れ変位が検出される。なお、上述の通り、第1出力軸21と第2出力軸22との間に生じるトルクは、トーションバー70の捩れ変位に変換される。したがって、操舵トルク検出部4は、エアギャップに生じる磁束密度を検出することにより、第1出力軸21と第2出力軸22との間に生じるトルクを検出している。
VGRS部3は、歯車機構30、および歯車機構30を駆動するモータとしてのVGRSモータ52を有している。
歯車機構30は、ディファレンシャルギア31およびウォームギア32からなる。ディファレンシャルギア31は、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41を有する。ウォームギア32は、ウォームホイール50、およびウォーム51を有する。
入力ギア11は、入力軸10のハンドル8と反対側に設けられる。入力ギア11は、ピニオンギア41と噛み合うかさ歯車であり、金属または樹脂で形成されている。入力ギア11は、筒状の筒部111と、筒部111の径方向外側に設けられる傘状のギア部112とを有する。筒部111には、入力軸10が圧入されている。また、筒部111は、ハウジング本体121に設けられた第1軸受部13により、ハウジング本体121に回転可能に支持される。これにより、入力軸10および入力ギア11は、ハウジング12に回転可能に支持されている。
入力ギア11の径方向内側には、第1出力軸21の入力軸10側の端部が挿入される。入力ギア11と第1出力軸21との間には、ニードル軸受113が設けられる。これにより、第1出力軸21は、入力ギア11に回転可能に支持されている。また、第2出力軸22は、第2軸受部14に回転可能に支持されている。
出力ギア23は、ピニオンギア41を挟んで入力ギア11のギア部112と向かい合うように設けられている。出力ギア23は、ピニオンギア41と噛み合うかさ歯車であり、金属または樹脂で形成されている。出力ギア23には、出力軸20の第1出力軸21が圧入されている。なお、出力ギア23は、軸方向において、ニードル軸受113よりも反入力軸10側に設けられる。
入力ギア11と出力ギア23との間には、複数のピニオンギア41が設けられる。ピニオンギア41は、入力ギア11および出力ギア23に噛み合うかさ歯車である。
ここで、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41の関係性について述べておく。ピニオンギア41の歯数は偶数である。一方、入力ギア11および出力ギア23は、歯数が同一であって、その歯数は奇数である。これにより、入力ギア11とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。同様に、出力ギア23とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。したがって、特定の歯の摩耗が進行することがなく、偏摩耗によって耐久寿命を損なうことがない。なお、ピニオンギア41の歯数を奇数とし、入力ギア11および出力ギア23の歯数を同一の偶数としてもよい。
また、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41は、その歯が曲がり歯となっており、入力ギア11とピニオンギア41との噛み合い率、および、出力ギア23とピニオンギア41との噛み合い率を高くし、歯当たりによって生じる作動音を低減するとともに、ハンドル8から運転者に伝わる脈動感を低減する。
さらにまた、入力ギア11および出力ギア23が金属で形成される場合、ピニオンギア41は樹脂で形成される。入力ギア11および出力ギア23が樹脂で形成される場合、ピニオンギア41は金属で形成される。これにより、ギアの噛み合い時に発生する歯打ち音を低減する。
ピニオンギア41は、その回転軸が入力軸10および出力軸20の回転軸と直交するように、第1出力軸21の径方向外側に配置される。ピニオンギア41には軸孔が形成され、この軸孔にピニオンギア軸部材43が挿通される。なお、ピニオンギア41に形成される軸孔は、ピニオンギア軸部材43の外径よりもわずかに大きく形成される。
ピニオンギア41と第1出力軸21との間には、第3軸受15および内側リング部材40が設けられる。第3軸受15は、軸方向においてニードル軸受113と出力ギア23との間であって、径方向において第1出力軸21と内側リング部材40との間に設けられる。これにより、第3軸受15は、第1出力軸21の径方向外側において内側リング部材40を回転可能に支持する。
内側リング部材40は、第1出力軸21の回転軸に直交する方向に貫通する第1孔401が形成される。第1孔401は、内側リング部材40の周方向に等間隔で複数形成されている。第1孔401には、ピニオンギア41に挿通されるピニオンギア軸部材43の一方の端部が嵌合している。
外側リング部材42は、ピニオンギア41を挟んで内側リング部材40の径方向外側に設けられる。外側リング部材42は、第1出力軸21の回転軸に直交する方向に貫通する第2孔421が形成される。第2孔421は、外側リング部材42の周方向に等間隔であって、内側リング部材40の第1孔401と対応する箇所に複数形成されている。第2孔421には、ピニオンギア41に挿通されるピニオンギア軸部材43の端部であって、第1孔401と反対側の端部が嵌合している。すなわち、ピニオンギア41は、内側リング部材40と外側リング部材42との間に配置され、内側リング部材40および外側リング部材42とで保持されるピニオンギア軸部材43の軸周りに回転可能に設けられている。このように構成することにより、ピニオンギア軸部材43の形成および組付けを容易に行うことができる。なお、本実施形態では、内側リング部材40、外側リング部材42、およびピニオンギア軸部材43が「支持部材」に対応している。
外側リング部材42の径方向外側には、樹脂または金属で形成されるウォームホイール50が嵌合している。すなわち、径方向内側から、第1出力軸21、第3軸受15、内側リング部材40、ピニオンギア41、外側リング部材42、ウォームホイール50が、この順で配列されている。また、内側リング部材40、外側リング部材42、ピニオンギア軸部材43、およびウォームホイール50は、一体となって回転する。さらにまた、第3軸受15は、内側リング部材40、外側リング部材42、ピニオンギア軸部材43、およびウォームホイール50を、第1出力軸21の径方向外側において回転可能に支持している。
図3に示すように、ウォームホイール50の径方向外側には、ウォーム51が噛み合っている。また、ウォーム51は、ハウジング12に設けられた第4軸受16および第5軸受17により回転可能に支持されている。
ここで、ウォームホイール50およびウォーム51を図4〜図7に基づいて説明する。図4は、ウォームホイール50およびウォームを図3のIV方向から見たときの図であり、図5は図4のV方向矢視図であり、図6は図4のVI方向矢視図であり、図7は図4のVII−VII線断面図である。
ウォームホイール50とウォーム51とは、ウォームホイール50の回転軸P1に垂直な平面Q1と、ウォーム51の回転軸P2とが平行になるように配置されている。
また、ウォームホイール50の歯筋は、ウォームホイール50の回転角P1に対してθ1傾斜して形成されている。この傾斜角が、「リード角」に対応する。本実施形態では、リード角θ1は、摩擦角よりも小さく設定されている。これにより、ウォーム51の回転によりウォームホイール50は回転するが、ウォームホイール50の回転によりウォーム51は回転せず、セルフロック可能に構成されている。なお、本実施形態では、ウォームホイール50とウォーム51とがセルフロックされているときの増速比は1である。
また、ウォームホイール50は、歯底と回転軸P1との距離が一定に形成されている。これにより、加工公差等によりウォームホイール50とウォーム51の設置位置が回転軸P1方向にずれた場合であっても、正回転時と逆回転時とで歯当たりの状態を保つことができる。
図2および図3に戻り、ウォーム51の第5軸受17側には、VGRSモータ52が設けられている。本実施形態のVGRSモータ52は、ブラシつきモータである。VGRSモータ52は、通電によりウォーム51を正逆回転駆動する。VGRSモータ52がウォーム51を正回転し、これに伴ってウォームホイール50が入力軸10の回転方向と同じ方向に回転すると、入力軸10の回転が減速されて出力軸20へ伝達される。一方、VGRSモータ52がウォーム51を逆回転し、これに伴ってウォームホイール50が入力軸10の回転方向とは逆方向に回転すると、入力軸10の回転が増速されて出力軸20へ伝達される。これにより、入力軸10の回転角度と出力軸20の回転角度とが可変となる。
EPS部5は、入力軸10および出力軸20を挟んでVGRS部3と反対側に設けられる。EPS部5は、EPSウォームホイール80、EPSウォーム81、およびEPSモータ82を備える。EPSウォームホイール80およびEPSウォーム81は、ハウジング12内に収容されている。
EPSウォームホイール80は、樹脂または金属で形成される。EPSウォームホイール80は、第2出力軸22に嵌合し、第2出力軸22と一体となって回転する。
EPSウォームホイール80の径方向外側には、EPSウォーム81が噛み合っている。EPSウォーム81は、ハウジング12に設けられた第6軸受18および第7軸受19により回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、EPSウォームホイール80の歯筋が回転軸と平行に形成されている。また、EPSウォームホイール80の歯底が円弧面ではなく、平面で形成されている。これにより、加工公差よりEPSウォームホイール80の設置位置が第2出力軸22の軸方向にずれたとしても、EPSウォームホイール80とEPSウォーム81との歯当たりの状態を、正回転時と逆回転時とで同様に保つことができる。
EPSウォーム81の第7軸受19側には、EPSモータ82が設けられている。本実施形態では、EPSモータ82は、ブラシレスの三相モータである。EPSモータ82は、通電によりEPSウォーム81を正逆回転駆動する。これにより、EPSウォーム81に噛み合うEPSウォームホイール80が第2出力軸22に操舵補助トルクを付与することにより、操舵がアシストされる。
なお、本実施形態では、VGRS部3とEPS部5とが出力軸20を挟んで両側に設けられているので、VGRSモータ52およびEPSモータ82の駆動により生じるラジアル荷重が相殺され、出力軸20の傾きを抑制することができる。また、出力軸20の傾きが抑制されることにより、ウォームホイール50とウォーム51との噛み合い位置、および、EPSウォームホイール80とEPSウォーム81との噛み合い位置が確実に保持することができる。
ここで、VGRSモータ52の駆動を制御するVGRS電子制御装置(以下、「VGRS ECU」という。)、およびEPSモータ82の駆動を制御するEPS電子制御装置(以下、「EPS ECU」という。)について図8〜図10に基づいて説明する。図8は、VGRS ECU55を説明するブロック図であり、図10は、EPS ECU85を説明するブロック図である。また、図9は、インバータ部としてのVGRSインバータ57の回路構成を説明する説明図である。
図8に示すように、VGRS ECU55は、VGRS制御部56およびVGRSインバータ57を有している。VGRS制御部56は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインを備えたコンピュータとして構成されており、VGRSモータ52の駆動制御を司る。また、VGRS制御部56には、車両の走行速度を検出する車速センサ91、ハンドル角θhを検出するハンドル角センサ92、VGRSモータ52の回転角(以下、「VGRSモータ回転角θm」という。)を検出するVGRSモータ回転角センサ93、ハンドル8の操舵により生じる操舵トルクを検出するトルクセンサ94、およびピニオン角θpを検出するピニオン角センサ96等が接続されている。トルクセンサ94については、EPSと共通のセンサを用いても良いし、EPS ECU85からCANなどの通信でセンサ値を取得しても良い。VGRS制御部56は、車速、ハンドル角θh、VGRSモータ回転角θm等に基づいてVGRSインバータ57を制御することにより、VGRSモータ52の駆動を制御している。なお、VGRS制御部56における制御処理の詳細については後述する。
ここで、VGRSインバータ57の回路構成を図9に基づいて説明する。図9に示すように、VGRSインバータ57は、4つのスイッチング素子571〜574がブリッジ接続されている。スイッチング素子571〜574は、本実施形態においては、電界効果トランジスタの一種であるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。以下、スイッチング素子571〜574を、MOS571〜574という。VGRSインバータ57では、MOS571、572が電源58の正極側に接続され、MOS573、574は抵抗59を介してグランドに接続される。MOS571およびMOS573の接続部と、MOS572およびMOS574の接続部との間には、VGRSモータ52が接続される。なお、高電位側に配置されるMOS571、572が「高電位側スイッチング素子」に対応し、低電位側に配置されるMOS573、574が「低電位側スイッチング素子」に対応する。以下、高電位側スイッチング素子であるMOS571、572を適宜「上MOS」といい、低電位側スイッチング素子であるMOS573、574を適宜「下MOS」という。また、対となるMOS571およびMOS573と、対となるMOS572およびMOS574とが「スイッチング素子対」に対応する。
MOS571〜574は、VGRS制御部56によりオン/オフが制御され、VGRSモータ52の巻線53に通電される電流を切り替える。これにより、VGRSモータ52の駆動が制御される。
図10に示すように、EPS ECU85は、EPS制御部86およびEPSインバータ87を有している。EPS制御部86は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインを備えたコンピュータとして構成されており、EPSモータ82の駆動制御を司る。また、EPS制御部86には、車速センサ91、ハンドル8の操舵により生じる操舵トルクを検出するトルクセンサ94、EPSモータ82に通電されるモータ電流を検出するEPSモータ電流センサ95等が接続されている。
EPSインバータ87は、三相インバータであり、複数のスイッチング素子からなり、EPSモータ82への通電を切り替える。EPSインバータ87を構成するスイッチング素子は、車速、操舵トルク、モータ電流等に基づき、EPS制御部86によりオン/オフの切り替えが制御される。すなわち、EPS制御部86は、車速、操舵トルク、モータ電流に基づいてEPSインバータ87を制御することにより、EPSモータ82の駆動を制御している。
続いて、VGRS部3に異常がない場合におけるVGRS制御部56における通常制御処理を図11〜図14に基づいて説明する。
VGRS制御部56におけるVGRSモータ52の駆動制御に係る通常制御処理のメインフローを図11に示す。
最初のステップS100(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込む。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込む。さらにまた、VGRSモータ回転角センサ93により検出されるVGRSモータ回転角センサ値を読み込む。
S110では、VGRSモータ回転角指令値演算処理を行う。
S120では、VGRSモータ回転角制御演算処理を行う。
S130では、VGRSモータPWM指令値演算処理を行う。
S140では、S130で算出されたPWM指令値に基づき、VGRSインバータ57を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、VGRSモータ52の駆動を制御する。
ここで、VGRSモータ回転角指令値演算処理を図7に基づいて説明する。
S111では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。なお本実施形態では、ハンドル8が右方向に操舵された場合のハンドル角θhを正とし、ハンドル8が左方向に操舵された場合のハンドル角θhを負とする。また、ディファレンシャルギア31の作用により、ハンドル8および入力軸10が右方向に回転するとき出力軸20は左方向に回転し、ハンドル8および入力軸10が左方向に回転するとき出力軸20は右方向に回転する。そこで、出力軸20の回転角であるピニオン角θpは、左方向への回転を正とし、右方向への回転を負とする。
S112では、S111にて取得された車速に基づき、増速比zを取得する。本実施形態では、車速と増速比zとの関係が、図15に示すマップとして記憶されている。すなわち、図15に示すように、車速が所定値よりも小さい場合、増速比zは、車速の増加に伴って大きくなる。また、車速が所定値以上である場合、増速比zは、車速の増加に伴って小さくなる。
なお、増速比zは、ハンドル角θhとピニオン角θpの比であり、本実施形態では、ハンドル角θhに増速比zを乗じることにより、出力軸20の設定回転角が算出される。また、増速比zが1であるとき、ハンドル角θhとピニオン角θpとが一致する。
図12に戻り、続くS113では、VGRSモータ回転角指令値θcを算出し、本処理を終了する。S111にて取得されたハンドル角をθh、S112にて取得された増速比をz、ウォームギア32の減速比をiとすると、VGRSモータ回転角指令値θcは、以下の式(1)により算出される。
θc=θh×(z−1)×i×0.5 …(1)
続いて、VGRSモータ回転角制御演算処理を図13に基づいて説明する。
S121では、図12中のS113で算出されたVGRSモータ回転角指令値θcを取得する。また、VGRSモータ回転角センサ93により検出されるVGRSモータ回転角センサ値を読み込み、VGRSモータ回転角θmを取得する。
S122では、角度差分値θdを算出する。角度差分値θdは、以下の式(2)により算出される。
θd=θc−θm …(2)
S123では、VGRSモータ電圧指令値Vvcを算出し、本処理を終了する。なお、VGRSモータ電圧指令値Vvcは、PI制御によりフィードバック制御される。ここで、VGRSモータにおける比例ゲインをKPvとし、積分ゲインをKIvとすると、VGRSモータ電圧指令値Vvcは、以下の式(3)により算出される。
Figure 0005077785
続いて、VGRSモータにおけるPWM指令値演算処理を図14に基づいて説明する。
S131では、図13中のS123で算出されたVGRSモータ電圧指令値Vvcを取得する。
S132では、VGRSモータPWM指令値Pvを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、Pvは、以下の式(4)により算出される。
v=Vvc/Vb×100 …(4)
VGRS制御部56は、S132にて算出されたVGRSモータPWM指令値Pvに基づき、VGRSインバータ57を構成するスイッチング素子のオン/オフのタイミングを制御することにより、VGRSモータ52の駆動を制御する(図11中のS140)。したがって、VGRS制御部56は、VGRSモータ52の駆動を制御することにより、ハンドル角θhとピニオン角θpとの比を可変としている。これにより、VGRS制御部56は、VGRSモータ52の駆動を制御することにより、ハンドル角θhに対する操舵輪7の舵角を可変にしている。
ここで、増速比が1の場合について言及しておく。増速比が1の場合、上記式(1)で算出されるVGRSモータ回転角指令値θcは0となる。また、本実施形態のウォームギア32は、セルフロック機能を有しているので、ウォームホイール50の回転に伴ってウォーム51が回転することはなく、ウォームホイール50の回転によりウォーム51を介してVGRSモータ52が回転することもない。とすれば、VGRSモータ回転角指令値θcが0のとき、すなわち増速比が1のとき、VGRSモータ52への通電をオフにすれば、VGRSモータ回転角θmは0となる。したがって、増速比が1のとき、VGRSモータ52への通電をオフにすることができるので、消費電力を抑えられる。
ところで、ウォームギア32においてセルフロック不能となるセルフロック失陥が生じた場合、ハンドル8を操舵することにより生じる操舵トルクを出力軸20側に伝達できず、ハンドル8が空転してしまう虞がある。そこで本実施形態では、ウォームギア32においてセルフロック失陥が生じていないかを監視し、セルフロック失陥が生じている場合には、ハンドル8が空転しないように制御している。
ここで、ウォームギア32におけるセルフロック失陥を監視するセルフロックチェック処理を図16〜図21に基づいて説明する。このセルフロックチェック処理は、走行中に所定の間隔で実行される。
S500では、セルフロック失陥が生じているかを検出するセルフロック失陥検出処理行う。セルフロック失陥検出処理については図17〜図23に基づいて後述する。なお、セルフロック失陥が検出された場合、セルフロック失陥フラグがセットされる。
S600では、セルフロック失陥フラグがセットされているか否かを判断する。セルフロック失陥フラグがセットされていないと判断された場合(S600:NO)、すなわちウォームギア32にてセルフロック失陥が生じていない場合、S800へ移行する。セルフロック失陥フラグがセットされていると判断された場合(S600:YES)、すなわちウォームギア32にてセルフロック失陥が生じている場合、S700へ移行する。
S700では、ハンドル8が空転しないように空転抑制処理を行う。空転抑制処理については、図22および図23に基づいて後述する。
セルフロック失陥フラグがセットされていないと判断された場合(S600:NO)に移行するS800では、図11〜図14に示した通常制御処理を実行してVGRSモータ52の駆動を制御する。
次に、図16中のS500にて実行されるウォームギア32のセルフロック失陥の検出に係るセルフロック失陥検出処理を図17〜図21に基づいて説明する。図17〜図21には、セルフロック失陥検出処理(1)〜(5)を説明するフローチャートを示した。このセルフロック失陥検出処理(1)〜(5)は、1つの処理のみを実行してもよいし、複数の処理を並行して実行してもよい。
<セルフロック失陥検出処理(1)>
セルフロック失陥検出処理(1)は、増速比が1のとき、セルフロックが正常であれば、VGRSモータ52の電圧指令値が0となり、VGRSモータ52の回転角が0となることを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(1)を図17に基づいて説明する。
S511では、VGRSモータ52への通電がオフされているか否かを判断する。なお、ノイズの影響などもあるためオフ判定についてはVGRSモータへの通電電圧の絶対値が所定値以下であるか否かで判定しても良い。VGRSモータ52への通電がオフされていないと判断された場合(S511:NO)、S511〜S516の処理を行わない。VGRSモータ52への通電がオフされていると判断された場合(S511:YES)、S512へ移行する。
S512では、VGRSモータ回転角センサ93により検出されるVGRSモータ回転角センサ値を読み込み、VGRSモータ回転角θmを取得する。
S513では、取得したVGRSモータ回転角θmが0でないか否かを判断する。VGRSモータ回転角が0であると判断された場合(S513:NO)、S516へ移行する。VGRSモータ回転角θmが0ではないと判断された場合(S513:YES)、S514へ移行する。
S514では、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断された場合(S514:NO)、S511へ戻る。所定時間が経過したと判断された場合(S514:YES)、S515へ移行する。
S515では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
VGRSモータ52への通電がオフであり(S511:YES)、VGRSモータ回転角が0であると判断された場合(S512:NO)に移行するS515では、ウォームギア32のセルフロック機能は正常であるので、セルフロック失陥フラグをオフにする。
なお、S514に係る処理を行わず、S513にて肯定判断された場合、S515へ移行するようにしてもよい。
<セルフロック失陥検出処理(2)>
セルフロック失陥検出処理(2)は、増速比が1のとき、セルフロックが正常であれば、VGRSモータ52の角度指令値θcが0となり、VGRSモータ52の電圧指令値Vvcが0となることを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(2)を図18に基づいて説明する。
S521では、VGRSモータ回転角指令値θcが0か否かを判断する。VGRSモータ回転角指令値θcは、図12中のS113と同様に算出される。VGRSモータ回転角指令値θcが0でないと判断された場合(S521:NO)、S522〜S525の処理を行わない。VGRSモータ回転角指令値θcが0であると判断された場合(S521:NO)、S522へ移行する。
S522では、VGRSモータ電圧指令値Vvcが0か否かを判断する。VGRSモータ電圧指令値Vvcは、図13中のS123と同様に算出される。VGRSモータ電圧指令値Vvcが0であると判断された場合(S522:NO)、S525へ移行する。VGRSモータ電圧指令値Vvcが0でないと判断された場合(S522:YES)、S523へ移行する。
S523では、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断された場合(S523:NO)、S521へ戻る。所定時間が経過したと判断された場合(S523:YES)、S524へ移行する。
S524では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
VGRSモータ回転角指令値θcが0であり(S521:YES)、VGRSモータ電圧指令値Vvcが0であると判断された場合(S522:NO)に移行するS525では、ウォームギア32のセルフロック機能は正常であるので、セルフロック失陥フラグをオフにする。
なお、S523に係る処理を行わず、S522にて肯定判断された場合、S524へ移行するようにしてもよい。
<セルフロック失陥検出処理(3)>
セルフロック失陥検出処理(3)は、セルフロックが正常であれば、ハンドル角θhに増速比zを乗じた値である設定回転角と、ピニオン角θpとが一致することを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(3)を図19に基づいて説明する。
S531では、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。また、ピニオン角センサ96により検出されるピニオン角センサ値を読み込み、ピニオン角θpを取得する。さらにまた、車速に基づき、増速比zを取得する。なお、ピニオン角θpは、VGRSモータ回転角θmから推定するように構成してもよい。
S532では、取得されたハンドル角θhに増速比zを乗じ、設定回転角を算出する。そして、算出された設定回転角からピニオン角θpを減じた値が0でないか否かを判断する。設定回転角からピニオン角θpを減じた値が0であると判断された場合(S532:NO)、すなわち設定回転角とピニオン角θpとが一致する場合、S535へ移行する。設定回転角からピニオン角θpを減じた値が0でないと判断された場合(S532:YES)、すなわち設定回転角とピニオン角θpとが一致しない場合、S533へ移行する
S533では、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断された場合(S533:NO)、S531へ戻る。所定時間が経過したと判断された場合(S533:YES)、S534へ移行する。
S534では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
設定回転角からピニオン角θpを減じた値が0であると判断された場合(S532:NO)に移行するS535では、ウォームギア32のセルフロック機能は正常であるので、セルフロック失陥フラグをオフにする。
なお、S533に係る処理を行わず、S532にて肯定判断された場合、S534へ移行するようにしてもよい。
<セルフロック失陥検出処理(4)>
ウォームギア32のセルフロックが正常であれば、ハンドル8を操舵したとき、出力軸20側へトルクが伝達され、トルクセンサ94により操舵トルクが検出される。一方、セルフロック失陥が生じ、ハンドル8が空転すると、出力軸20側へトルクが伝達されず、トルクセンサ94によりトルクが検出されない。そこでセルフロック失陥検出処理(4)では、これを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(4)を図20に基づいて説明する。
S541では、ハンドル8が回転中か否かを判断する。ハンドル8が回転中でないと判断された場合(S541:NO)、S542〜S546の処理を行わない。ハンドル8が回転中であると判断された場合(S541:YES)、S542へ移行する。
S542では、トルクセンサ94により検出されるセンサ値を読み込み、ハンドル8の操舵により生じる操舵トルクを取得する。
S543では、取得された操舵トルクが略0か否かを判断する。操舵トルクが略0でないと判断された場合(S543:NO)、S546へ移行する。操舵トルクが略0であると判断された場合(S543:YES)、S544へ移行する。
S544では、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断された場合(S544:NO)、S541へ戻る。所定時間が経過したと判断された場合(S544:YES)、S545へ移行する。
S545では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
ハンドル8が回転中であって(S541:YES)、操舵トルクが0でない場合(S542:NO)に移行するS546では、ウォームギア32のセルフロック機能は正常であるので、セルフロック失陥フラグをオフにする。
なお、S544に係る処理を行わず、S543にて肯定判断された場合、S545へ移行するようにしてもよい。
<セルフロック失陥検出処理(5)>
ウォームギア32のセルフロックが正常であれば、ハンドル8は空転しないので、車両が直進中である場合、ハンドル角θhは0となる。一方、セルフロック失陥が生じ、ハンドル8が空転すると、車両が直進中のときのハンドル角θhが0からずれる。そこでセルフロック失陥検出処理(5)では、これを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(5)を図21に基づいて説明する。
S551では、車両が直進中か否かを判断する。車両が直進中か否かは、公知の方法で判断できる。例えば、4つの車輪の車輪速差が少ない場合、車両が直進中であると判断できる。また例えばヨーレートセンサ(Yawセンサ)や加速度センサ(Gセンサ)の検出値が0である場合、車両が直進中であると判断できる。車両が直進中でないと判断された場合(S551:NO)、S552〜S556の処理を行わない。車両が直進中であると判断された場合(S551:YES)、S552へ移行する。
S552では、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。
S553では、ハンドル角θhが0でないか否かを判断する。ハンドル角θhが0であると判断された場合(S553:NO)、S556へ移行する。ハンドル角θhが0でないと判断された場合(S553:YES)、S554へ移行する。
S554では、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過していないと判断された場合(S554:NO)、S551へ戻る。所定時間が経過したと判断された場合(S554:YES)、S555へ移行する。
S555では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
車両が直進中であって(S551:YES)、ハンドル角θhが0の場合(S553:NO)に移行するS556では、ウォームギア32のセルフロック機能は正常であるので、セルフロック失陥フラグをオフにする。
なお、S554に係る処理を行わず、S553にて肯定判断された場合、S555へ移行するようにしてもよい。
また、図17中のS514、図18中のS523、図19中のS533、図20中のS544、および図21中のS554では、所定時間の経過を判断したが、それぞれの所定時間は任意に設定可能であり、処理毎に同じ時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。また、セルフロック失陥検出処理(1)〜(5)において、該当する値が0か否かの判断を行う場合、ノイズ等の影響を考慮し、該当する値の絶対値が所定値以下である場合、0と判断するように構成してもよい。以下の実施形態でも同様である。
続いて、図16中のS700にて実行されるハンドル空転抑制処理を図22および図23に基づいて説明する。図22および図23には、空転抑制処理(1)、(2)を説明するフローチャートを示した。この空転抑制処理(1)、(2)は、いずれかの処理が実行される。
<空転抑制処理(1)>
空転抑制処理(1)を図22に基づいて説明する。
S711では、上MOS571、572を同時にオンにする。または、下MOS573、574を同時にオンにする。これにより、VGRSモータ25およびVGRSインバータ57にて閉回路が作られ、回生ブレーキが発生し、VGRSモータ52が電気的にロックされた状態となり、ハンドル8の空転が抑制される。そして、出力軸20側へ操舵トルクが伝達され、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回可能である。
なお、本実施形態では、VGRSモータ52はブラシ付きモータであるため、VGRSインバータ57の上MOSおよび下MOSは2つずつであった。VGRSモータ52が多相(例えば3相)ブラシレスモータであって、VGRSインバータ57が多相インバータであっても、上MOSの全て、または、下MOSの全てをオンにすることにより閉回路が作られ、回生ブレーキが発生するので、同様にハンドル8の空転を抑制することができる。
<空転抑制処理(2)>
空転抑制処理(2)を図23に基づいて説明する。
増速比が1であって、セルフロック機能が正常である場合、上述の通り、VGRSモータ回転角指令値θcが0となり、VGRSモータ電圧指令値Vvcも0となるので、VGRSモータ52への通電はオフされる。一方、セルフロック失陥が生じている場合、ウォームホイール50側からのトルクを受けると、VGRSモータ52が回転してしまう。
そこで、S721では、増速比が1のとき、ウォームホイール50の回転によりウォーム51に加わるトルクを相殺する相殺トルクがウォーム51に加わるように、VGRSモータ52の駆動を制御する。すなわち、セルフロック機能が正常である場合、VGRSモータ52への通電をオフしていたが、セルフロック失陥が生じている場合にはVGRSモータ52への通電を継続して相殺トルクを発生させることにより、ハンドル8の空転を抑制する。
なお、図11〜図14に示した通常制御において、ウォームホイール50側からVGRSモータ52側へトルクが加わった場合、このトルクを相殺してVGRSモータ回転角θmがVGRSモータ回転角指令値θcとなるようにフィードバック制御がなされるので(図13中のS122およびS123)、空転抑制処理(2)は通常制御を継続している、ともいえる。
以上詳述したように、入力軸10は、乗員により操舵されるハンドル8に連結される。出力軸20は、入力軸10と相対回転可能に設けられ、ハンドル8に加えられた操舵力を操舵輪7側へ伝達するトルク伝達経路をなす。ディファレンシャルギア31は、入力軸10と共に回転する入力ギア11、出力軸20と共に回転する出力ギア23、および入力ギア11および出力ギア23に噛み合うピニオンギア41を有する。内側リング部材40、外側リング部材42、およびピニオンギア軸部材43は、ピニオンギア41を回転可能に支持する。ウォームギア32は、内側リング部材40、外側リング部材42、およびピニオンギア軸部材43と共に回転するウォームホイール50、およびウォームホイール50に噛み合うウォーム51を有する。また、ウォームギア32は、ウォーム51の回転によりウォームホイール50は回転するが、ウォームホイール50の回転によりウォーム51は回転しないようにセルフロック可能なリード角が設定されている。本実施形態では、ウォームホイール50とウォーム51とがセルフロックされているとき、増速比は1で固定される。VGRSモータ52は、ウォーム51を回転駆動する。また、VGRS制御部56は、ハンドル角θhを取得し(図11中のS100)、ハンドル角θhに基づき、VGRSモータ52の駆動を制御する(S140)。ウォーム51を回転駆動するVGRSモータ52の駆動が制御されるので、ディファレンシャルギア31およびウォームギア32の作動により、ハンドル角θhに対する操舵輪7の舵角が可変になる。
本実施形態では、ウォームホイール50とウォーム51がセルフロック可能に構成されているので、ハンドル角θhに対する操舵輪7の舵角を固定するためのロック機構を、歯車機構30と別途に設ける必要がない。したがって、装置全体を小型化することができる。
また、従来のロック機構は、例えばロックピンをソレノイド等で駆動しているため、当該ソレノイドを監視することによりロック機構の異常を容易に検出することができる。一方、本実施形態のロック機構は、ウォームギア32におけるセルフロックであるため、ソレノイド等の監視によりロック機構の異常を検出することができない。
そこで本実施形態では、VGRS制御部56は、ウォームギア32においてセルフロック不能となるセルフロック失陥が生じているか否かを判断し(図16中のS600)、セルフロック失陥が生じていると判断された場合(S600:YES)、ハンドル8が空転しないように空転制御処理を行う(S700)。これにより、セルフロック失陥時においても、ハンドル8の空転が抑制されるので、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回させることができ、安全性が向上する。
セルフロック検出処理は、以下の(1)〜(5)のように行うことができる。
(1)VGRS制御部56は、VGRSモータ52への通電がオフされている場合(図17中のS511:YES)、VGRSモータ回転角θmを取得し(S512)、VGRSモータ回転角θmが0ではない場合(S513:YES)、セルフロック失陥フラグをセットする(S515)。
(2)VGRS制御部56は、VGRSモータ回転角指令値θcが0である場合であって(図18中のS521:YES)、VGRSモータ電圧指令値Vvcが0でない場合(S522:YES)、セルフロック失陥フラグをセットする(S524)。
(3)VGRS制御部56は、ハンドル角θh、ピニオン角θp、および増速比zを取得し(図19中のS531)、増速比zおよびハンドル角θhに基づいて算出される出力軸20の回転角である設定回転角と、ピニオン角θpとが一致しない場合(S532:YES)、セルフロック失陥フラグをセットする(S534)。
(4)VGRS制御部56は、入力軸10が回転中か否かを判断し、入力軸10が回転中であると判断された場合(図20中のS541:YES)、ハンドル8の操舵により生じる操舵トルクを取得し(S542)、操舵トルクが略0である場合(S543:YES)、セルフロック失陥フラグをセットする(S545)。
(5)VGRS制御部56は、車両が直進中か否かを判断し、車両が直進中であると判断された場合(図21のS551:YES)、ハンドル角θhを取得し(S552)、ハンドル角θhが0でない場合(S553:YES)、セルフロック失陥フラグをセットする(S555)。
(1)〜(5)の処理を実行することにより、ウォームギア32のセルフロックが機能しているか否かを適切に判断することができる。
また、空転抑制処理は、以下の(1)、(2)のように行うことができる。
(1)操舵制御装置1は、VGRSモータ52の巻線53に通電される電流を切り替えるVGRSインバータ57を備える。VGRSインバータ57は、高電位側に配置される上MOS571、572および低電位側に配置される下MOS573、574によりスイッチング素子対をなすMOS571〜574を有する。VGRS制御部56は、ウォームギア32においてセルフロック失陥が生じていると判断された場合、全ての上MOS571、572、または、全ての下MOS573、574を同時にオンする(図22中のS711)。全ての上MOS571、572、または、全ての下MOS573、574を同時にオンすると、VGRSモータ52およびVGRSインバータ57に閉回路ができ回生ブレーキが発生する。この回生ブレーキによりハンドル8の空転が抑制されるので、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回させることができ、安全性が向上する。
(2)VGRS制御部56は、ウォームギア32においてセルフロック失陥が生じていると判断された場合、ウォームホイール50の回転によりウォーム51に加わるトルクを相殺するトルクがウォーム51に加わるようにVGRSモータ52の駆動を制御する(図23中のS721)。これにより、VGRSモータ52により生じるトルクによりウォームホイール50とウォーム51とがロックされるので、ハンドル8が空転せず、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回させることができ、安全性が向上する。
なお、本実施形態では、VGRS制御部56が「操舵角取得手段」、「モータ駆動制御手段」、「セルフロック失陥判断手段」、「空転抑制手段」、「モータ回転角取得手段」、「出力軸回転角取得手段」、「回転判断手段」、「操舵トルク取得手段」および「直進判断手段」を構成する。また、図11中のS100、図12中のS111、図19中のS531、または図21中のS552が「操舵角取得手段」に相当し、図11中のS140が「モータ駆動制御手段」の機能としての処理に相当し、図16中のS600が「セルフロック失陥判断手段」の機能としての処理に相当し、S700が「空転抑制手段」の機能としての処理に相当する。また、図17中のS512が「モータ回転角取得手段」の機能としての処理に相当し、図19中のS531が「出力軸回転角取得手段」の機能としての処理に相当し、図20中のS541が「回転判断手段」の機能としての処理に相当し、S542が「操舵トルク取得手段」の機能としての処理に相当し、図21中のS551が「直進判断手段」の機能としての処理に相当する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による操舵制御装置を図24および図25に基づいて説明する。本実施形態の操舵制御装置は、VGRS制御部56の構成および空転抑制処理以外は第1実施形態と同様であるため、VGRS制御部56の構成および空転抑制処理以外の説明は省略する。
図24に示すように、本実施形態のVGRS制御部56は、制動装置151を制御するブレーキECU150にブレーキ制御信号を送信可能に構成されている。
ここで、本実施形態による空転抑制処理を図25に基づいて説明する。図25に示す処理は、図16中のS700にて実行される処理である。
S731では、ハンドル角θhが略0か否かを判断する。ハンドル角θhが略0でないと判断された場合(S731:NO)、S733へ移行する。ハンドル角θhが略0であると判断された場合(S731:YES)、S732へ移行する。
S732では、右車輪ブレーキ加算油圧および左車輪ブレーキ加算油圧をともに0とする。
ハンドル角θhが略0ではないと判断された場合(S731:NO)に移行するS733では、ハンドル角θhが正か否かを判断する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同様、ハンドル8が右方向に操舵された場合のハンドル角θhが正であり、左方向に操舵された場合のハンドル角θhが負であるものとする。ハンドル角θhが負であると判断された場合(S733:NO)、すなわちハンドル8が左方向に操舵されている場合、S735へ移行する。ハンドル角θhが正であると判断された場合(S733:YES)、すなわちハンドル8が右方向に操舵されている場合、S734へ移行する。
S734では、ハンドル角θhに基づいて右車輪ブレーキ加算油圧を算出する。右車輪ブレーキ加算油圧は、ハンドル角θhに係数K1を乗じることにより算出される。また、左車輪ブレーキ加算油圧を0とする。
ハンドル角θhが負である場合(S733:NO)に移行するS735では、ハンドル角θhに基づいて左車輪ブレーキ加算油圧を算出する。左車輪ブレーキ加算油圧は、ハンドル角θhに係数K1を乗じることにより算出される。また、右ブレーキ加算油圧を0とする。
S736では、右車輪ブレーキ油圧および左車輪ブレーキ油圧を算出する。右車輪ブレーキ油圧は、基本右車輪ブレーキ油圧に右車輪加算ブレーキ油圧を加えることにより算出される。また、左ブレーキ油圧は、基本左車輪ブレーキ油圧に左車輪加算ブレーキ油圧を加えることにより算出される。なお、基本右車輪ブレーキ油圧および基本左車輪ブレーキ油圧は、乗員がブレーキペダルを踏むことにより生じる油圧、またはブレーキペダルに印加された踏力に基づくブレーキ指令信号に基づいて算出される油圧である。
算出された右車輪ブレーキ油圧および左車輪ブレーキ油圧を示す指令信号は、ブレーキECU150へ送信される。
これにより、ハンドル8が右方向に操舵されているとき、右車輪側に右車輪加算ブレーキ油圧が加えられるので、左車輪の車輪速よりも右車輪の車輪速が小さくなるので、ハンドル8に時計回りに回転させようとするトルクが発生し(左右の操舵輪7の回転速度差によってセルフステアとなる)、車両は右方向に旋回する。同様に、ハンドル8が左方向に操舵されているとき、左車輪側に左車輪加算ブレーキ油圧が加えられるので、右車輪の車輪速よりも左車輪の車輪速が小さくなるので、ハンドル8に反時計回りに回転させようとするトルクが発生し(左右の操舵輪7の回転速度差によってセルフステアとなる)、車両は左方向に旋回する。
本実施形態では、制動装置151(ブレーキ)を制御することにより車両の旋回力が発生し、その結果として車両の旋回方向に合致するようにハンドル8が回転させられるトルクが発生する。このトルクと、サスペンションのキャスター角に起因して直進方向にハンドル8を戻そうとするトルク(セルフアライニングトルク)とが相殺するため、セルフロックが働かなくなる原因となるトルクが小さくなり、空転しにくくなる。
本実施形態では、VGRS制御部56は、ハンドル角θhに基づき、車両の左側の車輪の回転速度と右側の車輪の回転速度とに差を生じさせる。これにより、ハンドル8が空転せず、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回させることができ、安全性が向上する。
本実施形態では、VGRS制御部56が「空転制御手段」を構成するが、ブレーキECU150が「空転制御手段」を構成するようにしてもよいし、VGRS制御部56およびブレーキECU150が「空転制御手段」を構成するようにしてもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による操舵制御装置を図26および図27に基づいて説明する。本実施形態の操舵制御装置は、VGRS制御部56の構成および空転抑制処理以外は第1実施形態と同様であるため、VGRS制御部56の構成および空転抑制処理以外の説明は省略する。
図26に示すように、本実施形態のVGRS制御部56は、車輪毎に設けられるインホイールモータ161を制御するインホイールモータECU160に駆動制御信号を送信可能に構成されている。
ここで、本実施形態による空転抑制処理を図27に基づいて説明する。図27に示す処理は、図16中のS700にて実行される処理である。
S741では、ハンドル角θhが略0か否かを判断する。ハンドル角θhが略0でないと判断された場合(S741:NO)、S743へ移行する。ハンドル角θhが略0であると判断された場合(S741:YES)、S742へ移行する。
S742では、右車輪加算トルクおよび左車輪加算トルクをともに0とする。
ハンドル角θhが略0でないと判断された場合(S741:NO)に移行するS743では、ハンドル角θhが正か否かを判断する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同様、ハンドル8が右方向に操舵された場合のハンドル角θhが正であり、左方向に操舵された場合のハンドル角θhが負であるものとする。ハンドル角θhが負であると判断された場合(S743:NO)、すなわちハンドル8が左方向に操舵されている場合、S745へ移行する。ハンドル角θhが正であると判断された場合(S743:YES)、すなわちハンドル8が右方向に操舵されている場合、S744へ移行する。
S744では、ハンドル角θhに基づいて左車輪加算トルクを算出する。左車輪加算トルクは、ハンドル角θhに係数K2を乗じることにより算出される。また、右車輪加算トルクを0とする。
ハンドル角θhが負である場合(S743:NO)に移行するS745では、ハンドル角θhに基づいて右車輪加算トルクを算出する。右車輪加算トルクは、ハンドル角θhに係数K2を乗じることにより算出される。また、左車輪加算トルクを0とする。
S746では、右車輪トルクおよび左車輪トルクを算出する。右車輪トルクは、基本右車輪トルクに右車輪加算トルクを加えることにより算出される。また、左車輪トルクは、基本左車輪トルクに左車輪加算トルクを加えることにより算出される。なお、基本右車輪トルクおよび基本左車輪トルクは、アクセルペダルに印加された踏力に基づくアクセル指令信号に基づいて算出されるトルクである。
算出された右車輪トルクおよび左車輪トルクを示す指令信号は、インホイールモータECU160に送信される。
これにより、ハンドル8が右方向に操舵されているとき、左車輪側に左車輪加算トルクが加えられるので、左車輪の車輪速よりも右車輪の車輪速が小さくなるので、ハンドル8に時計回りに回転させようとするトルクが発生し(左右の操舵輪7の回転速度差によってセルフステアとなる)、車両は右方向に旋回する。同様に、ハンドル8が左方向に操舵されているとき、右車輪側に右車輪加算トルクが加えられるので、右車輪の車輪速よりも左車輪の車輪速が小さくなるので、ハンドル8に反時計回りに回転させようとするトルクが発生し(左右の操舵輪7の回転速度差によってセルフステアとなる)、車両は左方向に旋回する。
本実施形態では、インホイールモータ161により生じる駆動力を制御することにより車両の旋回力が発生し、その結果として車両の旋回方向に合致するようにハンドル8が回転させられるトルクが発生する。このトルクと、サスペンションのキャスター角に起因して直進方向にハンドル8を戻そうとするトルク(セルフアライニングトルク)とが相殺するため、セルフロックが働かなくなる原因となるトルクが小さくなり、空転しにくくなる。
本実施形態では、VGRS制御部56は、ハンドル角θhに基づき、車両の左側の車輪の回転速度と右側の車輪の回転速度とに差を生じさせる。これにより、ハンドル8が空転せず、ハンドル8の操舵方向に車両を旋回させることができ、安全性が向上する。
本実施形態では、VGRS制御部56が「空転制御手段」を構成するが、インホイールモータECU160が「空転制御手段」を構成するようにしてもよいし、VGRS制御部56およびインホイールモータECU160が「空転制御手段」を構成するようにしてもよい。
(他の実施形態)
上記実施形態では、VGRS部およびEPS部は、一体にモジュール化されてコラム軸に設けられていた。他の実施形態では、VGRS部とEPS部とは、一体にモジュール化されていなくてもよい。また、VGRS部をコラム軸に設け、EPS部をラック軸に設ける、といった具合に、別々の場所に設けてもよい。また、パワーステアリング部は、電動式に限らず、油圧式であってもよい。
また、上記実施形態では、VGRS ECUとEPS ECUとが別々に設けられていたが、1つのECUがVGRS部およびEPS部を制御するように構成してもよい。
上記実施形態では、VGRS部は、VGRSモータの回転角に基づいてVGRSモータ電圧指令値を算出して制御されていたが、VGRSモータの回転角に替えて、ピニオン角センサにより検出されるピニオン角に基づいて制御してもよい。
上記実施形態の操舵制御装置では、ラックアンドピニオン機構は、左右の操舵輪の回転中心を結ぶ直線よりも車両後方側に設けられていた。ここで、他の実施形態における操舵制御装置を図28に示す。なお、上記実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図28に示す操舵システム200のように、ラックアンドピニオン機構6は、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lよりも車両前方側に設けてもよい。図28に示す例において、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aは、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くなっている。
図28に示す例においても、入力軸10と出力軸20との間に設けられるディファレンシャルギアの作用により出力軸20は入力軸10の回転方向と反対方向に回転するので、ハンドル8が左方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が右回りに回転し、ステアリングラックバー61は左方向に移動し、車両が左方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が右方向に進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
このように、上記実施形態と同様、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aを左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くする、すなわちA>Bとすることにより、出力軸20、シャフト24、およびステアリングピニオン60の回転方向とは反対方向に操舵輪7が操舵され、ハンドル8の回転方向と操舵輪7の舵角の向きを整合させている。
上記実施形態では、ウォームホイールの歯筋は回転軸に対して傾斜して形成されていた。他の実施形態では、ウォームホイールの歯筋を回転軸に対して傾斜しなくてもよい。ここで、他の実施形態によるウォームギアを図29〜図32に示す。なお、図29は、ウォームギア232を示す図であって、図4と対応する図である。また、図30は図29のR方向矢視図であり、図31は図29のS方向矢視図であり、図32は図29のT−T線断面図である。
この例では、ウォームギア232のウォームホイール250とウォーム251とは、ウォームホイール250の回転軸P3に垂直な平面Q3と、ウォーム251の回転軸P4とのなす角がθ2となるように傾斜して配置される。この傾斜角θ2は、ウォーム251のリード角θ3と実質的に同一の角度である。このリード角θ3をセルフロック可能な角度に設定することにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、この例では、ウォームホイール250の歯筋は、ウォームホイール250の回転軸P3と平行に形成されている。したがって、ウォームホイール250の歯とウォーム251の歯との接触面は、ウォームホイール250の回転軸P3と平行になる。これにより、ウォーム251からウォームホイール250へ動力が伝達されるとき、ウォームホイール250にスラスト方向の荷重が発生するのを抑制でき、ウォーム251とウォームホイール250との噛み合い位置を確実に維持することができる。
なお、この例においてウォームホイール250を樹脂により形成する場合、筒状に形成される抜き型の径方向内側に切削用の刃を設け、この抜き型を回転軸P1方向に移動することにより、ウォームホイール250を容易に形成可能である。したがって、ウォームホイール250の歯を個別に形成する歯切り加工が不要となり、製造コストを低減することができる。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
1・・・操舵制御装置
2・・・コラム軸
3・・・操舵比可変部
5・・・電動パワーステアリング部
6・・・ラックアンドピニオン機構
7・・・操舵輪
8・・・ハンドル(操舵部材)
10・・・入力軸
11・・・入力ギア
20・・・出力軸
23・・・出力ギア
30・・・歯車機構
31・・・ディファレンシャルギア
32・・・ウォームギア
40・・・内側リング部材(支持部材)
41・・・ピニオンギア
42・・・外側リング部材(支持部材)
43・・・ピニオンギア軸部材(支持部材)
50・・・ウォームホイール
51・・・ウォーム
52・・・VGRSモータ(モータ)
55・・・VGRS ECU
56・・・VGRS制御部(操舵角取得手段、モータ駆動制御手段、セルフロック失陥判断手段、空転判断手段、モータ回転角取得手段、出力軸回転角取得手段、回転判断手段、操舵トルク取得手段、直進判断手段)
57・・・VGRSインバータ(インバータ部)
100・・・操舵システム
200・・・操舵システム
232・・・ウォームギア
250・・・ウォームホイール
251・・・ウォーム
571、572・・・上MOS(高電位側スイッチング素子)
573、574・・・下MOS(低電位側スイッチング素子)

Claims (9)

  1. 車両の乗員により操舵される操舵部材に連結可能な入力軸と、
    前記入力軸と相対回転可能に設けられ、前記操舵部材に加えられた操舵力を操舵輪側へ伝達するトルク伝達経路をなす出力軸と、
    前記入力軸と共に回転する入力ギア、前記出力軸と共に回転する出力ギア、および前記入力ギアと前記出力ギアとに噛み合うピニオンギアを有するディファレンシャルギアと、
    前記ピニオンギアを回転可能に支持する支持部材と、
    前記支持部材と共に回転するウォームホイール、および前記ウォームホイールに噛み合うウォームを有し、前記ウォームの回転により前記ウォームホイールは回転するが前記ウォームホイールの回転により前記ウォームは回転しないようにセルフロック可能なリード角が設定されるウォームギアと、
    前記ウォームを回転駆動するモータと、
    前記操舵部材の操舵角を取得する操舵角取得手段と、
    前記操舵角取得手段により取得された前記操舵部材の前記操舵角に基づき、前記モータの駆動を制御するモータ駆動制御手段と、
    前記ウォームギアにおいて、セルフロック不能となるセルフロック失陥が生じているか否かを判断するセルフロック失陥判断手段と、
    前記セルフロック失陥判断手段により前記ウォームギアにおけるセルフロック失陥が生じていると判断された場合、前記操舵部材の空転を抑制する空転抑制手段と、
    を備えることを特徴とする操舵制御装置。
  2. 前記モータの回転角を取得するモータ回転角取得手段をさらに備え、
    前記セルフロック失陥判断手段は、前記モータの通電がオフされている場合であって、前記モータの回転角が0でない場合、前記ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記セルフロック失陥判断手段は、前記モータの回転角指令値が0である場合であって、前記モータの電圧指令値が0でない場合、前記ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  4. 前記出力軸の回転角を取得する出力軸回転角取得手段をさらに備え、
    前記セルフロック失陥判断手段は、前記操舵部材の操舵角と前記出力軸の回転角との比である増速比および前記操舵角に基づいて算出される前記出力軸の回転角である設定回転角と、前記出力軸回転角取得手段により取得された前記出力軸の回転角と、が一致しない場合、前記ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  5. 前記入力軸が回転中か否かを判断する回転判断手段と、
    前記操舵部材の操舵により生じる操舵トルクを取得する操舵トルク取得手段と、
    をさらに備え、
    前記セルフロック失陥判断手段は、前記回転判断手段により前記入力軸が回転中であると判断された場合であって、前記操舵トルク取得手段により取得された前記操舵トルクが0である場合、前記ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  6. 前記車両が直進中か否かを判断する直進判断手段をさらに備え、
    前記セルフロック失陥判断手段は、前記直進判断手段により前記車両が直進中であると判断された場合であって、前記操舵角取得手段により取得される前記操舵角が0でない場合、前記ウォームギアにおいてセルフロック失陥が生じていると判断することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  7. 前記モータの巻線に通電される電流を切り替えるインバータ部であって、高電位側に配置された高電位側スイッチング素子および低電位側に配置された低電位側スイッチング素子によりスイッチング素子対をなす複数のスイッチング素子を有するインバータ部をさらに備え、
    前記空転抑制手段は、全ての前記高電位側スイッチング素子または全ての前記低電位側スイッチング素子を同時にオンすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  8. 前記空転抑制手段は、前記ウォームホイールの回転により前記ウォームに加わるトルクを相殺する相殺トルクが前記ウォームに加わるように前記モータの駆動を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  9. 前記空転抑制手段は、前記操舵角取得手段により取得された前記操舵角に基づき、前記車両の左側の車輪の回転速度と右側の車輪の回転速度とに差を生じさせることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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