JP5076432B2 - 光ファイバ母材製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、石英ガラスからなる光ファイバを線引により得る為の光ファイバ母材を製造する方法に関するものである。
光伝送システムにおける信号光伝送路等として用いられる光ファイバは、光ファイバ母材を線引することで製造される。また、光ファイバ母材は、例えば、光学的なコア部およびクラッド部を有するコアロッドの周囲にジャケット部が形成されたものである。光ファイバを導波する光のエネルギーの殆どはコアロッドに相当するコア部または光学クラッド部に存在し、ジャケット部に相当する物理クラッド部には光エネルギーが僅かしか存在しない。
したがって、光ファイバの伝送特性に大きく影響を与えるコアロッドについては、精緻な屈折率分布の制御が必要であり、更に不純物除去や水分除去の観点から、ハロゲン含有ガスによる純化脱水処理が必須である。これに対して、ジャケット部は、伝送特性には大きな影響を与えないことから、純化脱水処理が不要である。このような背景から、安価に製造できるジャケット部の割合を増やすことが、光ファイバ母材の製造においては重要なポイントとなる。
酸水素火炎で気相合成したガラス微粒子堆積体を透明ガラス化してジャケット部を形成する方法においては、ジャケット部となるべきガラス微粒子堆積層に多量の水分が含まれる。このことから、ジャケット部の割合を増やしてコアロッドとジャケット部との界面が光学的なコア部に近づくと、ジャケット部に含まれる水分が中心方向に拡散して、線引して光ファイバとした際に波長1.38μmのOH吸収の増大となる。
そこで、特許文献1には、コアロッドにおけるコア径dとクラッド径Dとの比(D/d)の値に応じてジャケット部のOH濃度を所定値以下とする発明が提案されている。すなわち、この文献に開示された発明では、比(D/d)が4.0〜4.8であるときには、コア部、クラッド部及びジャケット部それぞれのOH濃度を0.1ppm以下として、光ファイバ母材または光ファイバを製造する。また、比(D/d)が4.8より大きいときには、コア部及びクラッド部それぞれのOH濃度を0.1ppm以下とし、ジャケット部のOH濃度を100ppm以下として、光ファイバ母材または光ファイバを製造する。また、この文献には、OH濃度を低減するためにハロゲン含有ガスによる脱水処理が行われる旨が記載されている。
特開2003−167144号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明は以下のような問題点を有している。すなわち、比(D/d)が4.0〜4.8であるときには、コア部およびクラッド部だけでなくジャケット部についても、OH濃度を低減するために脱水剤としてハロゲン含有ガスによる脱水処理が行われ、この脱水剤に強酸性成分が含まれることから、設備が重厚となる。ハロゲン含有ガス供給系には、綿密な配管腐食対策を講じた配管系が必要になる。また、排ガス系には強酸性ガスを中和する排ガス処理装置が必要となる。このように、設備の製造、メンテナンスおよび運転には多大な費用がかかる。このことから、光ファイバ母材または光ファイバの製造コストが高い。
一方、比(D/d)が4.8より大きいときには、ジャケット部のOH濃度を100ppm以下とすればよいとしていることから、ジャケット部に含まれる水分が除去されておらず、波長1.38μmのOH吸収ピークを抑制するためには、コアロッドの外径を太くすることが必須となる。したがって、ジャケット部と比べて製造コストが高いコアロッドは、光ファイバ母材に占める割合が高くなる。このことから、やはり、光ファイバ母材または光ファイバの製造コストが高い。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、安価に光ファイバ母材を製造することができる方法を提供することを目的とする。
発明に係る光ファイバ母材製造方法は、石英ガラスからなる光ファイバを線引により得る為の光ファイバ母材を製造する方法であって、(1) 光学的なコア部およびクラッド部を有するコアロッドの周囲に、ジャケット部となるべきガラス微粒子堆積層を気相合成法により堆積させガラス微粒子堆積体を形成する気相合成工程と、(2) ガラス微粒子堆積体が周囲に形成されたコアロッドを加熱炉内に配置し、加熱炉内を実質的にCO非含有の減圧雰囲気としてガラス微粒子堆積体を加熱処理し、ガラス微粒子堆積体の表面または内部に存在するHO分子を除去するHO除去工程と、(3) 加熱炉内をCO含有の減圧雰囲気としてガラス微粒子堆積体を加熱処理し、ガラス微粒子堆積体の表面又は内部に存在するOH基を除去するOH除去工程と、(4) 加熱炉内を減圧雰囲気として、ガラス微粒子堆積体の表面または内部に存在するCO分子を除去するCO除去工程と、(5) ガラス微粒子堆積体を加熱処理し透明ガラス化して、コアロッドの周囲にジャケット部が形成されてなる光ファイバ母材を製造する透明化工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ母材製造方法は、少なくともOH除去工程において、加熱炉における給気および排気を継続するのが好適である。また、ガラス微粒子堆積体の加熱処理を開始してから透明化工程の終了までの期間、加熱炉内の圧力を経時的に低下させるのが好適である。
なお、本発明に係る光ファイバ母材製造方法において、「加熱炉内の圧力を経時的に低下」とは、ステップ的に内圧が低下する場合を含み、また、微小な圧力レベル変動を許容するものである。
本発明によれば、安価に光ファイバ母材を製造することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上述したように、光ファイバの光学特性に対してジャケット部が与える影響は、コアロッド部と比較すると少ない。光ファイバ母材製造の際に用いられるSiCl等の一般的な純度を考慮すると、コアロッド製造時には必須の不純物除去は、ジャケット部製造時には不要である。すなわち、ジャケット部に大量に存在する水分さえ除去できれば、十分な光学特性を有する光ファイバ母材を製造することができる。
ところで、Cl等のハロゲン含有ガスに替えてCOガスを用いてガラス微粒子堆積体の水分を除去する方法が考えられる。COガスは、金属不純物を除去する能力は非常に低いが、その還元力によって水分の除去が可能である。そこで、純化処理が必須であるコアロッドの作製時はハロゲン含有ガスによる脱水・純化処理を行い、一方、金属不純物の処理までは必要の無いジャケット部の作製時にはCOによる脱水を行う、という新たな製法が考えられる。
ガラス微粒子堆積体を加熱処理して透明ガラス化する際にCOガスを用いて水分を除去することにより、その透明ガラス化の際に用いられる加熱炉は、脱水ガス供給系の配管費用が低減され、排ガス系における強酸性ガスの中和対策が不要となって処理ガス費用が低減されて、製造コスト、設備コスト及び環境負荷の大幅な低減が可能となる。
一般的に、光ファイバ母材においてジャケット部が占める体積の割合は50%以上である。特に、汎用シングルモード光ファイバの場合には、上記割合は85%以上であるのが通常であるので、ハロゲン含有ガスの使用量の低減、それに伴う製造コスト、設備コスト及び環境負荷の低減の効果は莫大である。例えば、光ファイバ母材においてジャケット部が占める体積の割合が85%であるとき、ハロゲン含有ガスを用いてガラス微粒子堆積体を脱水透明化処理する場合と比較すると、COガスを用いてガラス微粒子堆積体を脱水透明化処理する場合には、光ファイバ母材の脱水処理におけるハロゲン含有ガスの使用量を85%も減らすことが可能である。
本発明に係る光ファイバ母材製造方法は、以上のような本発明者の考察に基づいて発明されたものであり、光学的なコア部およびクラッド部を有するコアロッドについてはハロゲン含有ガスを用いてガラス微粒子堆積体を脱水,純化処理および透明化することで形成し、ジャケット部となるべき他のガラス微粒子堆積層をコアロッドの周囲に気相合成法により堆積させガラス微粒子堆積体を形成し、このガラス微粒子堆積体についてはCO含有雰囲気で加熱処理してガラス微粒子堆積層の表層又は内部に存在するOH基を除去するものである。
図1は、本実施形態に係る石英ガラス体製造方法により石英ガラス体を製造する際に好適に用いられ得る加熱炉1の断面を示す図である。この図に示される加熱炉1は、外部から仕切移動冶具26で開閉できる仕切り25で仕切られた予備室11および主室12を有する構造となっており、全体で真空容器を形成する。主室12の内部に炉心管13及びカーボンヒータ14が設けられている。予備室11及び主室12それぞれは、ガス導入口15、16、ガス排気口17、18、圧力計19、20を有する。更に主室12に設置された炉心管13には、炉心管内ガス入口21および炉心管内ガス排気口22が設けられている。
予備室11および主室12には、所定のガスがガス供給源から給気用配管15、16およびバルブ19、20を経て供給される。また、予備室11および主室12の内部からガスが排気用配管17、18および真空ポンプ23、24により排気される。これら給気および排気により、予備室11および主室12の内部のガス雰囲気(すなわち、ガラス微粒子堆積体2の周囲のガス雰囲気)が所定のものとされる。そしてその一端をガラス微粒子堆積体支持棒3に固定されたガラス微粒子堆積体2は、ヒータ14により所定の温度に加熱される。
この加熱炉1へガラス微粒子堆積体2を挿入するには例えば以下のようにする。まず、予備室11に設けられた図示しない扉からガラス微粒子堆積体2を予備室11に導入し、支持棒3を介して回転および上下動が可能なチャックに取り付ける。この際、ガラス微粒子堆積体2と支持棒3との係合部に上蓋を設置しておく。また仕切り25は閉じた状態として、主室12に大気が混入しないようにしておく。続いて予備室11内を真空排気し、内圧が所定圧以下のなった時点で仕切り25を開け、ガラス微粒子堆積体2を処理開始位置まで(例えばヒータ14上端にガラス微粒子堆積体2下端が来る位置まで)下げる。ガラス微粒子堆積体2を下降させる最中に、ガラス微粒子堆積体2と支持棒3との係合部に設置した上蓋が、炉心管13の上部に設置される。そしてガラス微粒子堆積体2の加熱処理を開始する。
また、ガラス微粒子堆積体2の加熱処理を開始してから透明化工程の終了までの期間、加熱炉1内の圧力を経時的に低下させる製造方法の場合には、ガラス微粒子堆積体2を予備室11に挿入してから主室12に移動するまでの操作方法が変化する。つまり、仕切り25は閉じた状態として、主室12に大気が混入しないようにした状態とした後にガス導入口15から窒素ガスを導入し、予備室11内を窒素ガスに置換する。主室12にも窒素ガスを導入し、予備室11と主室12の内圧がほぼ同等となった時点で仕切り25を開け、ガラス微粒子堆積体2を処理開始位置まで(例えばヒータ14上端にガラス微粒子堆積体2下端が来る位置まで)下げる。そしてガラス微粒子堆積体2の加熱処理を開始する。
また、この加熱炉1から加熱処理後の石英ガラス体を取り出すには例えば以下のようにする。処理を終わった石英ガラス体を仕切り25の上まで引き上げ、仕切り25を閉じる。予備室11に不活性ガスを、内圧が略1atmになるまで導入した後に、図示しない扉から石英ガラス体を取り出す。
本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法は、石英ガラスからなる光ファイバを線引により得る為の光ファイバ母材を製造する方法であって、コアロッド作製工程S1、ジャケット部となるガラス微粒子堆積層を形成するための気相合成工程S2、気相合成工程S2の後に行われるHO除去工程S3,OH除去工程S4,CO除去工程S5および透明化工程S6を備える。図2は、本実施形態におけるジャケット部の製造方法を説明する図である。気相合成工程S2の後に行われる各工程はS3、S4、S5、S6の順で開始される。
コアロッド作製工程S1では、光学的なコア部およびクラッド部を有するコアロッドが作製される。このコアロッドの作製に際しては、VAD法やOVD法により酸水素火炎中でSiClやGeCl等が加水分解されてガラス微粒子堆積体が形成され、このガラス微粒子堆積体がハロゲン含有ガスにより脱水,純化処理および透明化されることで作製される。このコアロッドは、後に光ファイバの光学的なコア部およびクラッド部となるべきものであり、OH濃度が例えば0.1ppm以下まで低減されたものである。
コアロッド作製工程S1の後の気相合成工程S2では、コアロッドの周囲に、ジャケット部となるべきガラス微粒子堆積体層2が気相合成法により堆積されガラス微粒子堆積体が形成される。このガラス微粒子堆積体は、VAD法やOVD法により酸水素火炎中でSiCl等が加水分解されて生成したガラス微粒子が堆積されたものである。このようなガラス微粒子堆積体は、そのままでは不透明であるが、加熱炉1内において加熱処理されることで透明ガラス化されて光ファイバ母材となる。
気相合成法により合成されたガラス微粒子堆積体2は、図3に概念図が示されるように、OH基はSiOネットワークの終端部に結合しており、その大部分はガラス微粒子堆積体を形成する個々のガラス微粒子の表層部に局在する。更にHO分子は、個々のガラス微粒子の表層に局在するOH基に水素結合する形で存在すると考えられている。そこで、本実施形態では、HO除去工程S3においてガラス微粒子堆積体2の表面または内部に存在するHO分子を除去し、また、OH除去工程S4においてガラス微粒子堆積体2の表面又は内部に存在するOH基を除去する。
気相合成工程S2の後のHO除去工程S3では、ガラス微粒子堆積体2の周囲を減圧雰囲気とし、ヒータ12〜12によりガラス微粒子堆積体2を加熱処理して、ガラス微粒子堆積体2の表面または内部に存在するHO等の気体を除去する。このときの加熱温度は、ガラス微粒子堆積体2が実質的に収縮せず、かつ、十分なHO分子の除去速度が得られる温度とする。
O除去工程S3では、ガラス微粒子堆積体を減圧雰囲気下で加熱し、熱エネルギーでHOを除去する。このようにすることで、ガラス微粒子堆積体2の表面または内部に存在するHO分子を安価かつ効率的に除去することができる。大気圧前後の雰囲気で加熱処理するより減圧雰囲気下で加熱処理する方がHO分子の除去に効果的である理由としては、HO分子が外部に放出される速度を支配するHO分子の拡散速度が、気体分子数の少ない減圧状態下の方が大きいからである。一般に気体の拡散速度は、圧力の非常に低い領域を除き圧力内圧の−1次の関数となる。
ガラス微粒子堆積体2の段階からSi-OHの形で含有されるOH基を除去するためには、熱エネルギーによる除去速度は極めて緩慢であるため、化学反応による除去が有効である。HO除去工程S3に続いて開始されるOH除去工程S4では、加熱炉1内を排気するとともに、ガス供給源16により加熱炉1内にCO含有ガスを供給して、ガラス微粒子堆積体2の周囲をCO含有雰囲気とし、ヒータ12〜12によりガラス微粒子堆積体2を加熱処理して、ガラス微粒子堆積体2の表面又は内部に存在するOH基を除去する。このときの加熱温度も、ガラス微粒子堆積体2が実質的に収縮せず、かつ、十分なOH除去速度が得られる温度とする。図4は、本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法のOH除去工程S4におけるCOとSi-OHとの間の推測される反応機構を示す図である。
OH除去工程S4は、例えばHO除去工程S3の処理時間が所定の時間経過した時点で開始する。OH除去工程S2では、CO含有ガスを導入しOH基を除去するが、HO分子が多量に残留する状態ではOH基の除去が緩慢となる。このことから、HO除去工程S1においてHO分子の除去を概ね完了させておく。HO分子の除去の進行度は、HO除去工程の温度や炉内圧だけではなく、ガラス微粒子堆積体の形状、比表面積やかさ密度などにも依存する。このためOH除去工程を開始するタイミングは実験的に決定する。
また、OH除去工程S4においても、HO分子の脱離を持続させるべく、その除去速度の低下を最小限とするのがよい。このためには、OH除去工程における炉内圧は低い方が好ましく、したがって、OH除去工程S4の際の雰囲気は実質的にCOガスのみで形成するのがプロセス時間の観点からは最も効率的である。
OH除去工程S4をCO含有雰囲気下で行うことについて、ハロゲン含有雰囲気下で行う場合と対比して、更に説明する。すなわち、脱水剤としてハロゲン含有ガスを用いる場合、ガラス微粒子堆積体の微粒子間に残留するハロゲン含有ガスは、SiOと反応して、SiOのネットワークに取り込まれる。例えば塩素ガスで脱水する場合には、残留する塩素分はSi−Clのような化学的に結合された形となってSiOのネットワークに取り込まれる。これに対して、脱水剤としてCOガスを用いる場合、ガラス微粒子堆積体2の微粒子間に残留するCOガスは、SiOのネットワークに取り込まれず、透明化したガラスの内部に溶存ガスとして残留する。つまり、脱水剤としてCOガスを用いてOH基濃度の低い石英ガラス体を製造する場合には、ハロゲン含有ガスを用いて製造する場合には問題とならない、石英ガラス体内における脱水剤の残留に対する対応が必要となる。
ガラス内の飽和溶存量には温度依存性があり、一般的にはガラスが高温になるほど飽和溶存量は減少する。このことから、透明ガラス化時にCOガスがガラス内に閉じ込められ溶存ガスとして残留すると、透明ガラス化時の温度よりガラスが高温の状態となる爾後の加熱成型工程において、飽和溶存量を超えたCOガスがガラス内において微小気泡となる場合がある。ガラス内に一旦微小気泡が発生してしまうと、その除去は困難であり、ガラスとしての品質は著しく低下する。
特に、COガスが残留している光ファイバ母材を線引すると、その線引の際に該光ファイバ母材が温度2200℃もの高温とされることから、この温度上昇によってCOガスの飽和溶解度が低下して、光ファイバ中に微小な気泡が生じる現象が頻発する。そこで、COによる脱水処理を施した後に、処理雰囲気を真空又は減圧雰囲気としてガラス微粒子堆積体に存在するCO分子を除去し、その後に透明ガラス化する。このようなプロセスを経ることで初めて、光ファイバ化可能な光ファイバ母材を製造することが可能となる。
そこでCO除去工程S5では、ガラス微粒子堆積体2の表面または内部に存在するCO分子を除去する。CO分子の除去は、ガラス微粒子堆積体2をHe等の不活性ガス雰囲気に暴露することでも可能であるが、加熱炉1内を減圧雰囲気とする方法が最も効率的かつ効果的である。CO除去工程S5は、ガラス微粒子堆積体2が透明ガラス化しない温度で実施することが重要である。炉内温度が上昇し透明ガラス化が進行するとCOの除去が実質的に進まなくなるためである。このようにしてCO分子を除去することで、後に行われる透明化工程S6、或いはその後の線引工程において光ファイバ母材内で微小気泡が発生する現象を未然に防止することができる。
なお、ガラス微粒子堆積体2に残留したガス(特にHe)を除去する方法として、透明ガラス化された光ファイバ母材を高温雰囲気でアニールする方法が知られる。しかし、光ファイバ母材内におけるCO分子の拡散速度はHeに比べ非常に遅いので、アニール処理でガラス内に残留したCO分子を除去するのは難しく、例えば直径100mmのガラス母材の軸中心に存在するCO分子を除去するのは実質的に不可能である。それ故、ガラス微粒子堆積体の透明化を進める前に加熱炉1内を減圧雰囲気として、ガラス微粒子堆積体2の表面または内部に存在するCO分子を除去するのが好ましい。
透明化工程S6では、ヒータ12〜12によりガラス微粒子堆積体2を加熱処理し透明ガラス化して光ファイバ母材を製造する。この透明化工程S6では、CO除去工程S5で行った真空引きを継続しつつガラス微粒子堆積体2を加熱して透明ガラス化する。このようにすることで、透明ガラス化に向けて炉温を上昇させる過程でガラス微粒子堆積体2の表面から脱離するCO分子やその他の吸着ガス分子をも積極的にガラス微粒子堆積体2の外部へ除去することができ、ガス溶存度が極めて低い光ファイバ母材を得ることができる。
加熱炉が炭素系の炉心管を使用する場合には、炉内には微細異物(例えばカーボンダスト)が存在する。炭素系の炉心管は、炉内に残留する微量酸素または揮発したSiOと反応して徐々に劣化し、緻密であった基材が徐々に多孔質状になっていく。炉心管が劣化していない状態では上記のような問題は生じにくいが、炉心管の劣化及び表面の多孔質化が部分的にでも進むと、その部分からカーボンダストが発生する。処理雰囲気中に存在する微細異物は、加熱炉1内でブラウン運動的な挙動を示すことから、確率的にガラス微粒子堆積体2に衝突することが考えられる。特にカーボンダストが付着したままガラス微粒子堆積体が加熱され透明ガラス化されると、透明ガラス化或いはその後の加熱成形の際にSiOとCとが反応して、SiOおよびCOが、或いは、SiおよびCOが生成されて、石英ガラス体の表層に気泡が発生しやすい。CO或いはCO2の発生は、特に石英ガラスが1700℃以上に加熱されると顕著となる。光ファイバ母材内に一旦微小気泡が発生してしまうと、その気泡の除去は困難であり、光ファイバ化する際に不良点して現れるため製造コストの増加につながる。
そこで、加熱炉1におけるガスの供給および排気を継続して、ガラス微粒子堆積体2の周囲にガスの流れを作ることで、ガラス微粒子堆積体2の表面にカーボンダスト等の微細異物が付着する確率を低減することができ、結果として、ガラス微粒子堆積体2の表層における気泡発生頻度を抑制できる。
OH除去工程では、処理時間が最も長いため、微細異物の影響を最も受け易い。CO含有ガス流通雰囲気とすることで、付着確率を低減できる。その他工程においても、ガス流通雰囲気とすることで、ガラス微粒子堆積体の表層に異物が付着する頻度を低減することが可能である。
O除去工程では、真空引きを継続すれば、一応ガスの流れは形成される。但し、HO除去工程の好適な炉内圧範囲内の圧力増加にとどまる程度の微量の不活性ガスを流通させると、微細異物の付着確率を低減することが可能である。
CO除去工程では、真空引きを継続すれば、一応ガスの流れは形成される。但し、CO除去速度の好適な炉内圧範囲内の圧力増加にとどまる程度の微量のHeガスを流通させると、微細異物の付着確率を低減可能である。上記工程と異なり透明化工程のみ流通ガスをHeとしたのは、透明化の際にガラス微粒子堆積体内にHe以外の不活性ガスが取り残されると、アニール処理による脱ガスが殆ど不可能になるためである。
透明化工程では、真空引きを継続すれば、一応ガスの流れは形成される。但し、微量のHeガスを流通させると、微細異物の付着確率を低減可能。ガラス微粒子堆積体表面の閉孔が進むと微細異物は表面に付着するだけで、ガラス体に取り込まれなくなる。このためHeガスの流通による異物付着の低減効果は生じなくなる。流通ガスをHeとした理由はCO除去工程と同様に、透明化の際にガラス微粒子堆積体内にHe以外の不活性ガスが取り残されると、アニール処理による脱ガスが殆ど不可能になるためである。Heであれば、その後アニール処理により脱気が可能である。
ガス流通による異物付着低減効果は、いずれの工程においても、炉内に5l/min以下のガスを導入し、それとつりあう程度に排気すればよい。
更に、加熱炉1として、特に金属筐体を有し真空に近い減圧雰囲気での加熱処理が可能な加熱炉を用いる場合には、各処理工程における処理圧力の設定については大きな自由度が存在する。この処理圧力の自由度を利用して、後から行われる或る加熱処理の処理圧力が、それ以前に行われる加熱工程の処理圧力より高くなる場合がある。このような場合、前段の加熱処理雰囲気の内圧と等しい低い圧力となっているガラス微粒子堆積体2の内部に向かって外部から気体が侵入することになるので、この侵入する気体の流れに乗って、処理雰囲気中に浮遊する微細異物がガラス微粒子堆積体2の表層部に吸着されやすい。
このような問題を解決するには、ガラス微粒子堆積体2へのカーボンダスト吸着を抑制することが重要となる。カーボンダストの吸着を予防するには、加熱工程において、ガラス微粒子堆積体2の内部に向かって炉内の気体が流入しないようにすることが肝要である。このような問題を回避するためには、加熱炉主室内へガラス微粒子堆積体が挿入され加熱処理が開始された時から透明化工程S4の終了までの期間、加熱炉内の圧力を経時的に低下させるのが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法では、気相合成工程S2において形成されたガラス微粒子堆積体の表面又は内部に存在するHO分子をHO除去工程S3において概ね除去し、ガラス微粒子堆積体の表面又は内部に存在するOH基をOH除去工程S4において概ね除去し、ガラス微粒子堆積体に残存しているCO分子をCO除去工程S5において概ね除去し、その後に透明化工程S6においてガラス微粒子堆積体を加熱処理し透明ガラス化して光ファイバ母材を得る。また、加熱炉内へガラス微粒子堆積体を挿入して加熱処理を開始してから透明化工程S6の終了までの期間、加熱炉内の圧力を経時的に低下させる。
したがって、本実施形態にかかる光ファイバ母材の製造方法では、コアロッドにジャケット部となるガラス微粒子層を堆積させたガラス微粒子堆積体の表面または内部に存在するHO分子及びOH基を、ハロゲン含有ガスを使用せずに効率的かつ効果的に除去することができる。これにより、ジャケット部ガラス化設備において腐食対策を講じた配管系や、排ガス系の強酸性ガスを中和する排ガス処理装置を設ける必要が無くなるため、設備費やそのメンテナンスおよび運転費用を大幅に削減でき、結果として光ファイバ母材を低コストで製造することができる。更にジャケット部を形成するガラス微粒子堆積層からHO分子およびOH基を除去するためD/dを低減できることも生産コスト低減効果をもたらす。さらに、溶存ガスに起因する微小気泡の発生を抑制することができ、高品質の光ファイバ母材を製造することができる。
また、本実施形態に係る石英ガラス体製造方法では、石英ガラス体製造時における気泡発生頻度を低減するとともに、炉心管の使用サイクルを長める効果もある。すなわち、炉心管が或る程度劣化して、ダストが発生しやすい状態となっても、脱落したダストがガラス微粒子堆積体2に付着する確率が低い。ガラス微粒子堆積体2の加熱に用いられる炉心管等のカーボン部品は大型であり高価である。このような高価な炉心管の使用サイクルの長寿命化は、製造コスト低減に大きく寄与する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように、種々の変形が可能であり、また、各種条件については好適範囲が存在する。
例えば、HO除去工程S3およびOH除去工程S4それぞれにおける加熱温度には好適範囲が存在する。すなわち、処理温度が高いほど、HO分子の除去速度は速く、COによるOH基除去の速度は速い。しかし、処理温度が高すぎると、ガラス微粒子堆積体の微粒子間の結合が進み、(1)ガラス微粒子堆積体の表面に吸着するOH基やHO分子がガラス微粒子堆積体内に取り込まれ除去が困難になる、(2) ガラス微粒子堆積体の内部へCOガスが拡散浸透する速度が低下する、(3) ガラス微粒子堆積体内の空隙部が減少し脱離ガスがガラス微粒子堆積体の外部へ拡散する速度が低下する、という問題が生じる。これらの理由から、HO除去工程S3およびOH除去工程S4それぞれにおける加熱温度としては、1000〜1300℃が好適であり、1100〜1300℃が更に好適である。
OH除去工程S4では、純粋なCOガスを用いてもよいが、プロセスの安全性を考えると、COガスと不活性ガスを予め混合してCOガスの濃度を爆発限界濃度以下とした混合ガスを加熱炉内に供給してもよい。COガスには引火性があるので、実質的にCOにみからなるガスを用いる場合には、排気されたCOガスが大気と接触する加熱装置の排気系においてCOガスの防爆機構を設けておくと良い。排気系におけるCOガスの防爆機構とは、例えば、排気ポンプの前段で排気されるCOガスに不活性ガスを混合し、COガス濃度を爆発濃度限界以下としてから排気するものである。
O除去工程S3およびOH除去工程S2それぞれの圧力条件にも好適な範囲が存在するが、これは、OH除去工程S4における炉内圧がHO除去工程よりも高くなる場合と、加熱炉主室内へガラス微粒子堆積体が挿入され加熱処理が開始された時から透明化工程S4の終了までの期間、加熱炉内の圧力を経時的に低下させる場合において、異なってくる。
OH除去工程S4における炉内圧がHO除去工程よりも高い場合、OH除去工程S2の好適な炉内圧の範囲は、上限側はHO分子の除去速度で、下限側はOH基を除去するCO分子の絶対量でそれぞれ決定され、また、実質的にCOのみからなるガスで処理を行う場合とCOと不活性ガスの混合ガスで処理を行う場合で異なる。実質的にCOのみからなるガスで処理を行う場合には、1000Pa以上20kPa以下、更に好ましくは2000Pa以上20kPa以下が好適である。このような圧力範囲とすることで、減圧雰囲気で行うHO除去速度とCO分子によるOH基除去速度が高い次元で両立される。OH除去工程をCOと不活性ガスの混合ガスで行う場合には、COの分圧を考える。COと不活性ガスの混合ガスを用いる目的は、予めCO濃度を爆発濃度限界以下にしておくことで引火の恐れを未然に防止することにある。このためCO濃度は爆発濃度限界の12%以下に設定する。炉内圧は、全圧として10kPa以上1atm以下が好適である。このような圧力範囲とすることで、COの分圧を少なくとも1000Pa以上とすることが可能であり、かつ全圧を1atm以下とすることで加熱炉からのCOガスのリークを未然に防止することができる。
一方、加熱炉主室内へガラス微粒子堆積体が挿入され加熱処理が開始された時から透明化工程S4の終了までの期間、加熱炉内の圧力を経時的に低下させる場合は、上記の場合とは異なってくる。HO除去工程では、炉内圧が低いほど、HO分子の除去速度が早い。したがって、炉内圧は、低いほど好ましい。しかしながらHO除去工程S1の炉内圧は、続くOH除去工程S2におけるCOの導入量の上限値となる。すなわちHO除去の全圧が低いとHO除去速度は速いが、OH除去工程におけるCO分圧を稼げないためOH除去速度は緩慢となる。つまりHO除去工程S1における炉内圧は、HO除去工程とOH除去工程双方の工程時間を考慮して決定することになる。
OH除去工程を実質的にCOのみからなるガスで処理を行う場合には、HO除去工程およびOH除去工程の炉内圧は、共に1000Pa以上20kPa以下、更に好ましくは2000Pa以上20kPa以下が好適である。このような圧力範囲とすることで、減圧雰囲気で行うHO除去速度とCO分子によるOH基除去速度が高い次元で両立される。
また、OH除去工程をCOと不活性ガスの混合ガスで行う場合には、OH除去工程におけるCOの分圧を考慮し、全圧として10kPa以上が好適である。上限側はHO除去工程における炉内圧、つまりHO除去速度の制約で決定され、50kPa以下が好適である。これに併せてHO除去工程における炉内圧の好適な範囲も、OH除去工程の炉内圧以上50kPa以下となる。両工程の炉内圧このような圧力範囲とすることで、OH除去工程のCOの分圧は少なくとも1000Pa以上となり、かつHO除去工程における内圧も低く抑制でき、減圧雰囲気で行うHO除去速度とCO分子によるOH基除去速度が高い次元で両立される。
CO除去工程S5では、炉内圧力は、500Pa以下(更には100Pa以下)に到達することが好ましい。圧力下限は、特に好ましい範囲は存在しないが、プロセス時間の観点から0.1Pa以上であるのが好ましい。製造条件が固まれば、CO除去工程S3を時間で管理して透明ガラス化工程S4に進むことも可能である。また加熱温度としては、1000〜1300℃が好適であり、1100〜1300℃が更に好適である。
透明化工程では、炉内圧は500Pa以下、更に好ましくは100Pa以下とする。例えばCO除去工程における真空排気をそのまま継続すれば良い。好適な温度範囲は1450〜1650℃、更に好ましくは1500〜1600℃である。ガラス微粒子堆積体の形状を考慮して上下方向の温度分布を適宜調整してもよい。
また、低コストで石英ガラスを製造するためには、母材を大型化することが有効である。しかし、ガラス微粒子堆積体の外径がφ300mm以上である場合には、透明ガラス化の際に自重による外径変動が生じ光ファイバ母材の上部が細くなりやすい。この問題を解決して外径が均一な石英ガラス母材を製造するには、OH除去工程S4の後に、1350〜1450℃の温度範囲においてガラス微粒子堆積体を一旦収縮させる仮収縮工程を設け、その仮収縮工程の後に透明化工程S6を行うことが有効である。この仮収縮工程では、温度1350℃以下では収縮が緩慢であり、一方、温度1450℃以上では透明ガラス化の進行が早く外径均一化効果が乏しくなるので、1350〜1450℃の温度範囲で行われるのが好ましい。
コアロッドにおけるコア径dとクラッド径Dとの比(D/d)は、3.3〜5倍の範囲であるのが好ましく、3.7〜4倍の範囲であれば更に好ましい。比(D/d)が3.3以下である場合には、コアロッドとジャケット部との界面が光ファイバ伝送特性に与える影響が無視できなくなる。例えば、ジャケット部のガラス微粒子層合成時の火炎内に含まれる水分がコアロッド表面に付着し、汎用シングルモード光ファイバにおいては、波長1.38μmのOH吸収が0.31dB/km以下のファイバを得る製造歩留まりの低下が顕著となる。なお、本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法は、シングルモード光ファイバ用の光ファイバ母材だけでなく、他のタイプの光ファイバ用の光ファイバ母材をも製造し得るものである。
次に、本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法の具体的な実施例について、比較例と対比しつつ説明する。
実施例および比較例の双方において、汎用シングルモード光ファイバ用の光ファイバ母材が製造された。コアロッドとなるべきガラス微粒子堆積体はVAD法により形成され、このガラス微粒子堆積体が塩素により脱水純化処理された後に透明ガラス化され更に延伸成形されてコアロッドが作製された。コアロッドの周囲にOVD法によりジャケット部となるべきガラス微粒子堆積層が堆積され、得られたガラス微粒子堆積体がCO雰囲気で処理された後に透明ガラス化された。CO雰囲気での処理及び透明ガラス化の際に、減圧雰囲気で焼結が可能な均熱炉が使用された。製造された光ファイバ母材は、酸水素火炎で表面が研磨された後に、一般的な方法により線引された。この線引により得られた光ファイバの伝送特性が評価された。
図5は、各実施例および各比較例における各工程の処理条件を纏めた図表である。この図には、実施例1〜6および比較例1〜2それぞれについて、HO除去工程S3における保持温度,到達圧力,雰囲気および保持時間、OH除去工程S4における保持温度,炉内圧,CO分圧,雰囲気および保持時間、CO除去工程S5における保持温度,炉内圧,CO分圧,雰囲気および保持時間、ならびに、透明化工程S6における昇温速度,炉内圧,CO分圧,雰囲気,保持温度および保持時間、が示されている。なお、図中の各「雰囲気」欄の記載において、「バッチ」は、加熱炉において給気および排気を停止した状態を意味する。「吹流し」は、加熱炉において給気および排気を継続した状態を意味する。また、「真空引き」は、加熱炉において排気のみを継続した状態を意味する。
図6は、各実施例および各比較例において得られた光ファイバの評価結果を纏めた図表である。この図には、実施例1〜6および比較例1〜3それぞれについて、ジャケット部のOH量、比(D/d)、波長1.38μmでの伝送損失α1.38、波長1.55μmでの伝送損失α1.55、および、異常点頻度が示されている。なお、異常点とは、線引により得られた光ファイバの外径が所定の範囲(φ125±0.5μm)から外れる頻度を意味する。比較例1では、異常点頻度は高くないが、OH除去工程S4およびCO除去工程S5を行っていないので、OH量が多く、波長1.38μmでの伝送損失α1.38が大きかった。比較例2,3では、OH除去工程S4を行ったもののCO除去工程S5を行っていないので、気泡発生頻度が高く、良好な光ファイバのサンプルが取得されず、損失測定に至らなかった。これに対して、実施例1〜6では、OH量が少なく、波長1.38μmでの伝送損失α1.38が小さかった。
OH除去工程S4の後にガラス微粒子堆積体を一旦収縮させる仮収縮工程を設けることによる効果については、以下のようにして確認された。ここで用いられたガラス微粒子堆積体は、外径φ350mmで長さ1300mmの略円柱形状のものであった。このガラス微粒子堆積体に対し上記実施例1の条件で各工程の処理が為されて得られた光ファイバ母材は、平均外径φ140mmであり、外径変動についてはガラス材上部でφ133mmであり下部で155mmであった。これに対して、OH除去工程S4後に、昇温速度2℃/分で昇温して温度1350℃とし、仮収縮工程においてガラス微粒子堆積体を温度1350℃で1時間に亘り保持したところ、嵩密度が0.7〜1.5g/cm程度になるまで収縮され、外径φ150mmの光ファイバ母材が得られた。この光ファイバ母材の外径は、ガラス材上部でφ147mmであり、下部で152mmであり、外径変動が抑制されたものであった。
光ファイバ母材を線引する線引炉は、一般的にグラファイト製の炉心管を有する。透明ガラス化後の光ファイバ母材の外径変動が大きい場合には、光ファイバ母材の外径最大部の外径が線引炉の炉心管内径より小さくなるように、光ファイバ母材も目標径を小さくしなければならない。透明ガラス化時の光ファイバ母材の外径変動を抑制することで、可能な限り太い外径を有する光ファイバ母材を線引することが可能となり、製造効率が高まる。
本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法により光ファイバ母材を製造する際に好適に用いられ得る加熱炉1の断面を示す図である。 本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法を説明する図である。 気相合成法により合成されたガラス微粒子堆積体2におけるOH基の結合およびHO分子の付着の様子を示す概念図である。 本実施形態に係る光ファイバ母材製造方法のOH除去工程S4におけるCOとSi-OHとの間の推測される反応機構を示す図である。 各実施例および各比較例における各工程の処理条件を纏めた図表である。 各実施例および各比較例において得られた光ファイバの評価結果を纏めた図表である。
符号の説明
1…加熱炉、コアロッド、ガラス微粒子堆積層2…ガラス微粒子堆積体、11…炉心管、12…ヒータ。

Claims (3)

  1. 石英ガラスからなる光ファイバを線引により得る為の光ファイバ母材を製造する方法であって、
    光学的なコア部およびクラッド部を有するコアロッドの周囲に、ジャケット部となるべきガラス微粒子堆積層を気相合成法により堆積させガラス微粒子堆積体を形成する気相合成工程と、
    前記ガラス微粒子堆積体が周囲に形成された前記コアロッドを加熱炉内に配置し、前記加熱炉内を実質的にCO非含有の減圧雰囲気として前記ガラス微粒子堆積体を加熱処理し、前記ガラス微粒子堆積体の表面または内部に存在するHO分子を除去するHO除去工程と、
    前記加熱炉内をCO含有の減圧雰囲気として前記ガラス微粒子堆積体を加熱処理し、前記ガラス微粒子堆積体の表面又は内部に存在するOH基を除去するOH除去工程と、
    前記加熱炉内を減圧雰囲気として、前記ガラス微粒子堆積体の表面または内部に存在するCO分子を除去するCO除去工程と、
    前記ガラス微粒子堆積体を加熱処理し透明ガラス化して、前記コアロッドの周囲に前記ジャケット部が形成されてなる光ファイバ母材を製造する透明化工程と、
    を備えることを特徴とする光ファイバ母材製造方法。
  2. 少なくとも前記OH除去工程において、前記加熱炉における給気および排気を継続する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材製造方法。
  3. 前記ガラス微粒子堆積体の加熱処理を開始してから前記透明化工程の終了までの期間、前記加熱炉内の圧力を経時的に低下させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ母材製造方法。
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