JP5071271B2 - 圧縮自着火式内燃機関 - Google Patents
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Description
図1は圧縮自着火式内燃機関の全体図について示したものである。
機関本体11には、吸気通路12と、排気通路13が繋がっている。また、吸気通路12と排気通路13には、通路の途中に過給機14が設けられている。
内燃機関に用いられる燃料は、セタン価によって着火性が異なる。セタン価が高い燃料、つまり着火性が高い燃料を用いると、筒内に燃料を噴射してから着火するまでの時間が短くなる。よって、筒内に噴射した燃料が空気と十分に混合し切る前に着火する場合がある。これにより、機関出力の低下やスモークの発生を招くことがある。
図2、3を参照して、筒内から排出される排ガスの温度に基づく燃料の着火性の推定方法について述べる。
したがって、燃料のセタン価が高いと、筒内から排出される排ガス温度は低くなる。
まず、マップ作成における運転条件(燃料噴射時期、還流量、エンジン回転数など)を決める。そして、セタン価が既知の燃料を用いて上記運転条件の下で内燃機関を運転し、その時の排ガスの温度を検出する。
次に、上記とは異なるセタン価の燃料に入れ替え、上記運転条件と同じ運転条件の下で運転し、排ガスの温度を検出する。
これを繰り返し、燃料のセタン価と排ガスの温度との関係を図3のマップのようにまとめる。上記運転条件を固定して、セタン価のみを変化させることにより、セタン価の違いに応じた排ガスの温度を求めることができる。
まず、内燃機関を、上記マップ作成時と同じ条件に制御し、その時の排ガスの温度を検出する。運転条件が作成時と同じであれば、図3のマップの関係性が成り立つ。よって、マップより、検出した排ガスの温度に対応した燃料のセタン価が、機関に用いられている燃料であると推定することができる。
以下、図4のフローチャートに沿って、燃料の着火性の推定の具体的処理について述べる。
まずS101において、ECU22で、エンジン回転数、燃料噴射量、エンジン水温などの機関の運転状態を読み込む。
なお、給油直後の運転で筒内に噴射される燃料は、配管に残った給油前の燃料である可能性があるため、給油したと判断してから所定時間の運転後に燃料の着火性の推定を行うことがより好ましい。
燃料の給油は燃料タンク17の給油口に設けられた給油センサ18の信号に基づいて判断する。給油センサ18の信号から、前回の着火性推定時から今回の着火性推定までに給油口が開いたと判断された場合には、新たな燃料が給油されたとみなしてS103へ進む。給油口が閉じたままであると判断された場合には、燃料の給油がされていないものとみなしてフローチャートを終了する。
機関が高負荷の時には、低負荷の時に比べて筒内の温度が高くなる。よって、セタン価の低い燃料を噴射したとしても、燃料の噴射後すぐに着火してしまい、セタン価が高い燃料を用いた時との着火時期の差が生じない場合がある。この場合、着火性の違いによる排ガス温度の差が生じず、正確な着火性の推定を行うことができない。
本実施形態では、機関が安定して筒内の温度が低いアイドル運転時にセタン価を推定することにより、精度の高い推定を行うことが可能となる。
S103でアイドル運転状態であると判断した場合にはS104へ進み、アイドル運転状態でないと判断した場合は、フローチャートを終了する。
なお、噴射時期を圧縮上死点よりも遅角側にするのは、以下の理由によるものである。
ピストンが圧縮上死点近傍にあるときは、筒内は高温かつ高圧の状態にあるため、燃料のセタン価が低くても燃料噴射後すぐに着火してしまい、セタン価が高い燃料を用いた時との着火時期の差が生じない場合がある。この場合、着火性の違いによる排ガスの温度の差が生じず、正確な着火性の推定を行うことができない。
また、圧縮上死点よりも進角側で燃料を噴射する場合、噴射した燃料の燃焼終了から排ガスが筒内から排出されるまでに時間がかかるため、排ガスの温度差が生じづらくなる。
よって上記問題を鑑み、精度の高い推定を行うため、燃料の噴射時期を上記時期としている。
なお、燃料の噴射時期を、圧縮上死点よりも所定時期以上遅角側に設定すると、筒内の温度・圧力の低下により燃料が着火しない場合が想定される。よって、燃料の噴射は、少なくとも燃料の着火が起こる上記所定時期より進角側に設定しなければならない。
S104で、燃料の噴射時期InjTmを圧縮上死点よりも遅角側の所定噴射時期InjT1に設定したら、S105へ進む。
この所定還流量EGR1は、ECU22に記憶させた、燃料のセタン価と排ガスの温度との関係を示すマップの作成時の還流量と同じ値であるものとする。理由は、S104で述べた理由と同様、運転状態がマップ作成時と異なると、燃料のセタン価と排ガスの温度との対応関係が成り立たなくなり、推定を行うことができなくなるためである。
内燃機関の運転で還流を行う場合、還流量が多いほど新規に筒内に流入してくる空気の量は減少するため、筒内の酸素濃度は低くなる。筒内の酸素濃度が低いと、噴射した燃料が着火しづらくなり、着火性の違いによる着火時期の差が生じやすくなる。
したがって、燃料の着火性の違いによる排ガスの温度差がより明確になり、精度の高い着火性の推定を行うことができるため、上記通常状態より多めの還流量に設定している。
S105で、還流量EGRRを所定還流量EGR1に設定したら、S106へ進む。
例えば、燃料のセタン価が低い場合は、燃料の着火時期が遅角化してしまうため、所望の着火時期となるように燃料の噴射時期を進角化させることで着火時期のズレを防ぐことができる。また、燃料のセタン価が高い場合は、燃料の着火時期が早期に着火してしまい所望の機関出力が得られないので、燃料噴射量をその分増加することにより機関出力の低下を防ぐことができる。
図4のフローチャートでは、ある所定運転状態での燃料のセタン価と着火性の関係を示すマップをECU22記憶させておき、そのマップ作成時と同じ運転状態を再現することによって、燃料の着火性の推定を行っている。
これに対し、図5のフローチャートは、様々な運転状態ごとの燃料のセタン価と着火性の関係を示すマップをECU22に予め記憶させておくことにより、運転状態の再現を図ることなく燃料の着火性の推定を行うものである。
上述した実施形態では、温度センサ21は排気通路13の排気マニホールドに設けられているが排気通路に設けられていればよく、これに限られるわけではない。
なお、温度センサを設けるのであれば、排気通路の過給機14より上流に設けることがより好ましい。排ガスの熱エネルギーが過給機14で運動エネルギーとして消費され、その分が排ガス温度を検出する際の誤差となることを考慮したものである。
15 気筒
16 電磁式燃料噴射弁
17 燃料タンク
18 給油センサ
19 還流通路
20 還流弁
21 温度センサ
Claims (5)
- 筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射手段と、
筒内から排出される排ガスの温度を検出する温度検出手段と、
所定の運転状態において検出される排ガスの温度と使用されている燃料のセタン価との関係を、排ガスの温度が高いほど燃料のセタン価が低くなるものとして記憶した記憶手段と、
前記所定の運転状態において検出される排ガスの温度と前記関係に基づいて燃料のセタン価を推定する着火性推定手段と、
推定されたセタン価に応じて機関を制御する機関制御手段と、
を備えることを特徴とする圧縮自着火式内燃機関。 - 前記所定の運転状態は、アイドル運転状態であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮自着火式内燃機関。
- 燃料の噴射時期を制御する噴射時期制御手段を更に備え、
前記所定の運転状態は、燃料噴射時期を圧縮上死点よりも遅角側の所定時期に制御した運転状態であることを特徴とする請求項1または2にいずれか記載の圧縮自着火式内燃機関。 - 排ガスの一部を筒内へ還流する還流手段と、
前記還流手段により筒内へ還流する還流量を制御する還流量制御手段を更に備え、
前記還流量制御手段は、予め定められた第1規則に従って還流量を制御する第1規則制御手段と、
前記第1規則よりも還流量が多く設定される第2規則に従って還流量を制御する第2規則制御手段を備え、
前記所定の運転状態は、還流量を第2規則に従った所定還流量に制御した運転状態であることを特徴とする請求項1乃至3にいずれか記載の圧縮自着火式内燃機関。 - 前記温度検出手段は、排気通路の内燃機関近傍に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4にいずれか記載の圧縮自着火式内燃機関。
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