JP5064865B2 - 黄色トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる黄色トナーの製造方法に関する。
ケミカルトナーの製造方法として、乳化重合法や乳化分散法が知られている。これらの方法の中で乳化分散法によるトナーの製造方法は、例えば結着樹脂と着色剤などの混合物を水系媒体と混合し、乳化させてトナー粒子を得る方法である。この方法においては、例えば結着樹脂としてポリエステルを用いる場合、操作が煩雑で製造時間が長く、かつ形状制御ができない場合があり、また、乳化工程に、アルカリを添加してポリエステル末端を塩とする反応を含む場合には、アルカリ添加の際に、黄色顔料が赤変するという問題もあった。
水系媒体中でポリエステルを含む結着樹脂と着色剤からトナーを得る技術として、例えば、水系媒体中で、ポリエステル樹脂を50〜100重量%含む結着樹脂、及び着色剤と塩基性高分子共重合体系分散剤と顔料誘導体を含有する着色成分から生成される画像形成用トナー(特許文献1参照)により分散性等を改善する技術が開示されているが、このような技術においては、結着樹脂の分散に有機溶媒が用いられていることから、使用しうる樹脂の種類が限られ、また、溶剤回収などの工程負荷の増大などの問題があった。
特開2005−181835号公報
本発明は、ポリエステルを含む結着樹脂を用いる場合でも、粒径を制御したトナーを簡便にかつ短い製造時間で製造しうる方法に関する。また、本発明は、顔料の赤変を抑制でき、かつ工程負荷を大幅に低減できる黄色トナーの製造方法に関する。
本発明は、
(イ)(1)少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とC.I.ピグメントイエロー93(Color Index Pigment Yellow 93)とを混合する工程、及び(2)水系媒体中で、C.I.ピグメントイエロー93を含有する上記結着樹脂の乳化粒子を製造する工程、を有する黄色トナーの製造方法、
(ロ)さらに、乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程を有する、上記(イ)に記載の黄色トナーの製造方法、及び
(ハ)上記(イ)又は(ロ)に記載の製造方法により得られる黄色トナー、
に関する。
本発明の黄色トナーの製造方法によれば、ポリエステルを含有する結着樹脂を用いる場合でも、粒径を制御したトナーを簡便にかつ短い製造時間で製造することができ、また、顔料の赤変を抑制でき、かつ工程負荷を大幅に低減できる。
本発明は、(1)少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とC.I.ピグメントイエロー93(Color Index Pigment Yellow 93)(以下、PY93という)とを混合する工程、及び(2)水系媒体中で、PY93を含有する上記結着樹脂の乳化粒子を製造する工程、を有する黄色トナーの製造方法に関する。以下に、上記工程(1)及び工程(2)について説明する。
工程(1)
工程(1)は、少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とPY93とを混合するである。
本発明の黄色トナーの製造方法において用いられる結着樹脂には、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、酸基を有するポリエステルが含有される。酸基を有するポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。酸基を有するポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
上記酸基を有するポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分とが用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
酸基を有するポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
トナーの保存性の観点から、酸基を有するポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移温度は50〜85℃が好ましい。酸価は、乳化する際の製造性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は縮重合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
なお、酸基を有するポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
本発明において、PY93は着色剤として用いられ、以下の構造式で表わされるものである。
Figure 0005064865
従来、トナーの黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー17が用いられることが多かったが、近年、環境への配慮から、ジクロロベンジジン−フリーの黄色顔料の使用が望まれている。ジクロロベンジジン−フリーの黄色顔料の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー180、同185、同151、同154、同155、同167、同139、同93などが知られており、そのなかでも、一般に、着色力、顔料分散性の観点からC.I.ピグメントイエロー180、同185、同93が汎用されていた。
しかしながら、乳化工程でアルカリを添加してポリエステル末端を塩とする反応を含むポリエステル系トナーの製造においては、黄色顔料を使用する場合、アルカリ添加の際に黄色顔料が赤変するという問題があり、顔料の選択についても検討する必要があった。
以上の点から、本発明者らは、耐アルカリ性、ポリエステル中への顔料の分散性等の観点から、上記黄色顔料のうちPY93が特に有効であることを見出したものである。
なお、本発明においては、必要に応じ、黄色顔料として、本発明の目的を阻害しない範囲で、PY93とともに、上記他の黄色トナーを使用することもできるが、黄色顔料の赤変を抑制する観点から、PY93のみであることが好ましい。
当該工程(1)においては、上記酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とPY93とを混合させるが、樹脂粒子とPY93とを、均一に分散させる観点から、該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合を行うことが好ましい。該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合することにより、樹脂粒子同士の融着を抑制し、均一な樹脂分散液を調製することができる。さらに、顔料の分散性の観点からは、着色剤をマスターバッチ化して使用することも好ましい態様である。マスターバッチに用いる樹脂は、酸基を有するポリエステルであることが好ましく、工程(1)の混合工程で使用するポリエステルであることが好ましい。具体的には、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、酸基を有するポリエステルを含む結着樹脂と、該酸基を有するポリエステルを用いてマスターバッチ化された着色剤とを、該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合・攪拌することが好ましい。
尚、工程(1)において、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂と着色剤とを、例えば着色剤をマスターバッチ化して混合する場合においては、マスターバッチに用いられる樹脂とPY93との使用割合(マスターバッチに用いる樹脂/PY93)は、14/86〜70/30重量部であることが好ましく、28/72〜57/43重量部がより好ましく、35/65〜50/50重量部がさらに好ましい。又、工程(1)における酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂(マスターバッチ等に用いられる樹脂を含む)の総量とPY93との使用割合(酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂の総量/PY93)は、顔料の分散性及びトナーの生産性の観点から、重量比で90/10〜97/3が好ましく、92/8〜97/3がより好ましい。
工程(2)
工程(2)は、水系媒体中で、上記PY93を含有する結着樹脂の乳化粒子を製造する工程である。
工程(2)において用いられる水系媒体は、水を好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上含有するものであり、有機溶剤等の溶剤、アルカリ金属塩等の無機塩等を含有していてもよい。本発明では、特に実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いることでPY93を含有する結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
工程(2)では、PY93を含有する結着樹脂の乳化安定性の向上などの観点から、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3.5重量部、更に好ましくは、0.1〜3重量部の界面活性剤を存在させる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましく用いられる。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用するのが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。前記各界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、工程(2)においては、アルカリ水溶液を添加するのが好ましく、結着樹脂中の酸基を有するポリエステルの酸基と当量のアルカリ水溶液を加え、PY93を含有する結着樹脂を乳化させることがより好ましい。
上記PY93を含有する結着樹脂の乳化において、添加するアルカリの水溶液濃度は1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、1.5〜7.5重量%が更に好ましい。また酸基を有するポリエステルを容易に中和させる観点から、そのpH値は25℃で13〜15の強塩基性のアルカリが用いられる。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましく、その具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
また、乳化安定性の点から、乳化液のpH値は5.6〜8、更には5.8〜7であることが好ましい。
工程(2)においては、上記結着樹脂、PY93とともに、荷電調整剤、離型剤等を使用することができる。なお、結着樹脂という形態でなくとも、樹脂に着色剤等の前記トナー原料を予め溶融混練したものを顆粒状にして分散させてもよい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は、そのまま、あるいは水系媒体中に分散させて用いることができる。離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
具体的には、前記工程(1)で結着樹脂中にPY93を分散させた後、工程(2)では、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水を添加することによって転相乳化させることにより、樹脂乳化粒子を製造することができる。
上記水の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、樹脂100g当たり好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜40g/分、さらに好ましくは0.5〜30g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持すればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水の添加速度に特に制限はない。
また、この際の温度は、微細なPY93含有樹脂乳化液を調製する観点から、結着樹脂の軟化点未満であることが好ましく、結着樹脂のガラス転移点以上かつ軟化点未満の範囲がより好ましい。乳化を前記範囲の温度で行うことにより、乳化がスムーズに行われ、また加熱に特別の装置を必要としない。この点から、上記温度は、結着樹脂のガラス転移点+10℃(ガラス転移点より10℃高い温度の意味、以下同様)以上であることが好ましく、また、軟化点−5℃以下であることが好ましい。なお、結着樹脂が複数の結着樹脂の混合物である場合の軟化点、ガラス転移点は、各結着樹脂の軟化点、ガラス転移点の混合比率を乗じた算平均の値とし、マスターバッチを使用する場合は、それに用いた樹脂をも含めた混合樹脂の軟化点とする。
このようにして得られた樹脂乳化液の固形分濃度は、乳化液の安定性及び後で実施される凝集工程での樹脂乳化液の取扱い性、均一な凝集を起こさせる観点から、5〜50重量%が好ましく、5〜45重量%がより好ましく、10〜40重量%がさらに好ましい。
PY93を含有する樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一な凝集を行う等の観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。
得られた樹脂乳化液は、その中のPY93を含有する乳化粒子を以下の工程(3)に供することにより凝集、合一させることが好ましい。
工程(3)
工程(3)は、上記乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程である。
本発明においては、上記工程(2)で得られたPY93を含有する樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集させ(以下、凝集工程という)、さらに好ましくは合一させる(以下、合一工程という)ことにより黄色トナーが得ることができる。
また、凝集工程においては混合液の分散安定性と、PY93を含有する結着樹脂の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−70℃以上、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−60℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程で使用する水系媒体としては、前述の工程(2)で挙げたものと同様のものが使用できる。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。本発明においては、凝集剤として、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
分子量350以下の水溶性含窒素化合物は、樹脂粒子を速やかに凝集させる観点から、酸性を示す化合物であることが好ましく、その10重量%水溶液の25℃でのpH値が4〜6であるものが好ましく、4.2〜6のものがより好ましい。また、高温高湿における帯電性等の観点から、その分子量が350以下のものが好ましく、300以下のものがより好ましい。このような水溶性含窒素化合物としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム(10重量%水溶液の25℃でのpH値、以下「pH値」という:5.4)、塩化アンモニウム(pH値:4.6)、テトラエチルアンモニウムブロマイド(pH値:5.6)、テトラブチルアンモニウムブロマイド(pH値:5.8)が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、使用する凝集剤の電荷の価数により異なるが、1価の凝集剤を用いた場合、凝集性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、2〜50重量部が好ましく、3.5〜40重量部がより好ましく、3.5〜30重量部がさらに好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供されることが好ましい。
高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
本発明においては、離型剤等の流出を防止したり、カラートナーにおいて、各色間の帯電量を同レベルにする等の観点から、凝集時に、工程(2)で得られたPY93を含有する樹脂乳化粒子に、他の樹脂乳化粒子を添加することができる。
添加される樹脂乳化粒子としては、特に制限はなく、例えば、工程(2)の樹脂乳化粒子と同様にして調製されたものを使用することができる。
上記他の樹脂乳化粒子は、結着樹脂以外に、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤、さらには界面活性剤、定着性向上剤などの添加剤を適宜含有することができる。
本発明においては、上記他の樹脂乳化粒子は、本発明の工程(2)で得られる樹脂乳化粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
この工程においては、上記他の樹脂乳化粒子を、工程(2)で得られた樹脂乳化液に凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
本発明においては、上記他の樹脂乳化粒子の添加時期は、特に制限はないが、生産性の観点から凝集剤の添加終了後、合一工程までの間であることが好ましい。
上記他の樹脂乳化粒子の凝集粒子に対する添加量は、凝集粒子に対する樹脂乳化粒子による均一な被覆を行う観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂乳化粒子を構成する樹脂が、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部となるような量である。
当該工程においては、上記他の樹脂乳化粒子を1回又は複数回に分割して添加することができる。本発明においては、得られるトナー粒子の狭い粒度分布の達成の観点から、複数回に分割して添加することが好ましい。
他の樹脂乳化粒子を1回又は複数回に分割して添加する場合、形成される凝集粒子の粒度分布の制御などの観点から、添加する樹脂乳化粒子を構成する樹脂が30重量部未満添加される場合は、凝集剤の添加は任意である。30重量部以上添加する場合は、凝集性及び形成する凝集粒子の粒度分布の観点から、凝集剤を添加することが好ましく、凝集剤としては、前述のものを同様に用いることができる。この場合、樹脂乳化粒子と凝集剤とを独立して同時に添加するか、又は交互に添加することがより好ましく、独立して同時に添加することがさらに好ましい。
当該工程において、他の樹脂乳化粒子を複数回に分割して添加する場合、各々の樹脂乳化粒子の量は同量であることが好ましく、また、凝集剤を分割して添加する場合には、各々の凝集剤は同量であることが好ましい。
前記のように他の樹脂乳化粒子を複数回分割して添加する場合、その回数については、特に制限はないが、形成される凝集粒子の粒度分布及び生産性などの観点から、2〜10回が好ましく、2〜8回がより好ましい。
また、凝集性及び形成される凝集粒子の粒度分布などの観点から、複数回の樹脂乳化粒子の添加においては、添加の後5〜15分間、更には5〜30分間、特に5分〜2時間熟成させることが好ましく、複数回添加の各添加において、上記熟成時間を設けることがより好ましい。
本発明においては、樹脂乳化粒子を凝集させた後に、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤を添加することが好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(1)で表わされるものが好ましい。
1−O−(CH2CH2O)pSO31 (1)
式中、R1はアルキル基を示し、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜15のアルキル基が挙げられる。pは0〜15の平均付加モル数を示し、粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
また、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、特に制限はないが、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、式(2)で表わされるものが好ましい。
2−Ph−SO32 (2)
式中、R2は直鎖のアルキル基を示し、式(1)のR1のうち直鎖のものと同じである。Phはフェニル基、M2は1価のカチオンである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
上記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
得られた合一粒子を、必要に応じ、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程等に供することにより、トナー母粒子を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
黄色トナー
本発明の製造方法により得られた黄色トナーは、上述のようにして得られた合一粒子(トナー母粒子)を含むものであるが、該合一粒子のトナー中における含有量は、トナーの帯電性及び定着性の点から、95〜100重量%であることが好ましく、96.5〜99重量%であることが更に好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、黄色トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。
また、黄色トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃あることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度は、同様の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは0〜120℃である。
本発明の製造方法により得られる黄色トナーにおいては、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー母粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子を使用できる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明の黄色トナーが適用される被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンターなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
各性状値は以下の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
[樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブワンジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
[樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[樹脂乳化粒子、離型剤乳化粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積平均粒径(D4)を測定する。
[乳化液の固形分濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[凝集粒子、合一粒子及びトナーの粒径]
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベ
ックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解さ
せて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて
1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波
分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万
個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒
子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
製造例1 酸基を有するポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂A)の製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下(101.3kPa)230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
製造例2 酸基を有するポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂B)の製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は123℃、ガラス転移温度は65℃、酸価は21.0mgKOH/g、数平均分子量は2230であった。
製造例3 酸基を有すポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂C)の製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Cを得た。ポリエステル樹脂樹脂Cの軟化点は98℃、ガラス転移点は56℃、酸価は22.4mgKOH/g、数平均分子量は2930であった。
製造例4 マスターバッチAの製造
製造例3のポリエステル樹脂Cの微粉末70重量部及びチバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料(固形分47.5%)を顔料分40重量部になる様にヘンシルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が熔融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後、加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して黄色顔料を40重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチA)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
製造例5 マスターバッチBの製造
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料をBASF社製Pigment Yellow 185のスラリー顔料(固形分41.4%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチB)を得た。
製造例6 マスターバッチCの製造
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料をクラリアント社製Pigment Yellow 180のスラリー顔料(固形分46.9%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチC)を得た。
製造例7 マスターバッチDの製造
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料を大日精化工業社製Pigment Yellow 151のスラリー顔料(固形分46.7%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチD)を得た。
製造例8 マスターバッチEの製造
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料を大日精化工業社製Pigment Yellow 17のスラリー顔料(固形分46.9%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチE)を得た。
製造例9 離型剤乳化液Aの製造
1リットル容のビーカーで、脱イオン水400gにアルケニルコハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王(株)社製)、有効濃度28%」3.6gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)100gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、離型剤乳化液Aを得た。得られた乳化液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.47μm、CV値は26、固形分濃度は22.7重量%であった。
実施例1
(着色剤(PY93)を含有する樹脂乳化液Aの調製)
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 451g、ポリエステル樹脂B 281g、マスターバッチA 100g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)8g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)53g及び、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%、pH値14.1)を367g加え、カイ型の攪拌機で250r/minの攪拌下、95℃で混合させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌され、その後、これにカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1520gを8g/minの滴下速度で添加し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した着色剤含有樹脂乳化液Aを得た。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子のpH値は6.4であり、体積中位粒径は0.158μm、固形分濃度は31.7重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
(黄色トナーの調製)
樹脂乳化液A 500g、離型剤乳化液A 37.5g、脱イオン水4.7gを脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)34.5gを283.7gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10分かけて滴下した。その後、混合分散液を55℃まで3時間かけて昇温し、凝集粒子を形成させた。その後、55℃で保持し続け、凝集粒子の体積中位粒径が3.9μmになった段階で、樹脂乳化液A 50.5gと脱イオン水14.0gを混合したものを1.6mL/分で滴下し、55℃で20分間保持した。その後、樹脂乳化液A 50.5gと脱イオン水14.0gを混合したもの、及び、硫酸アンモニウム3.5gを脱イオン水46.3gに溶解させた水溶液を別々に同時に1.6mL/分で滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作をさらに3回繰り返した後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)42.3gを脱イオン水381gで希釈した水溶液を添加して体積中位粒径(D50)が4.9μmの凝集粒子を形成し、80℃まで昇温した。80℃で2時間保持した後、室温まで冷却した。この間で、トナー形状が凝集粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は4.9μmであった。
次いで、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末を得た。着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は5.2μm、CV値41.4で,単一ピークの粒度分布を有していた。
この着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、TS530、個数平均一次粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、黄色トナーとした。得られた黄色トナーは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。
比較例1
ポリエステル樹脂、各界面活性剤、アルカリの量を表1に示すようにし、更にマスターバッチAをマスターバッチBに変更した以外は、実施例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液B、及び黄色トナーを作製した。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.312μm、固形分濃度は30.8重量%であり、金網上には樹脂成分が15.8g残った。また、アルカリ投入後、色相が変化し橙色に赤変した。
比較例2
マスターバッチBをマスターバッチCに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液C、及びイエロートナーの作製を試みたが、ほとんどの顔料および樹脂が金網上に残ってしまい着色剤含有樹脂乳化液は作製できなかった。
比較例3
マスターバッチBをマスターバッチDに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液D、及びイエロートナーの作製を試みたが、ほとんどの顔料および樹脂が金網上に残ってしまい着色剤含有樹脂乳化液は作製できなかった。
比較例4
マスターバッチBをマスターバッチEに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液E、及び黄色トナーを作製した。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.222μm、固形濃度は32.0重量%であり、金網上には樹脂成分が1.8g残った。また、アルカリ投入後、色相が変化し橙色に赤変した。

以上の実施例及び比較例の結果を以下の表1に示す。また、耐アルカリ性、乳化性及び凝集性の各々の評価は下記の基準で行った。
Figure 0005064865
<耐アルカリ性評価>
3: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が確認できない。
2: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が若干見られるものの、黄色と認識される。
1: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が確認でき(赤変)、橙色と認識される。
<乳化性>
3: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、金網上に粗粒子が残らない。
2: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、2g未満の粗粒子が残留する。
1: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、2g以上の粗粒子が残留するか、又は乳化できない。
<凝集性>
2: 粒度分布が単一のピークを有し、着色ムラのない凝集粒子ができる。
1: 乳化ができない、または乳化液が赤変し、凝集工程に到らなかった。
本発明の黄色トナーの製造方法は、有機溶媒を実質的に使用することなく、簡便に、かつ短い製造時間でトナー粒径を制御することができ、赤変も抑制されることから、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などの黄色トナーの製造に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. (1)少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂と、該酸基を有するポリエステルを用いてマスターバッチ化されたC.I.ピグメントイエロー93(Color Index Pigment Yellow 93)とを、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において混合する工程、(2)水を99重量%以上含有する水系媒体中で、C.I.ピグメントイエロー93を含有する上記結着樹脂の乳化粒子を製造する工程、及び(3)乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程、を有する黄色トナーの製造方法。
  2. 工程(1)における結着樹脂とC.I.ピグメントイエロー93の使用割合(結着樹脂/C.I.ピグメントイエロー93)が、重量比で90/10〜97/3である請求項1記載の黄色トナーの製造方法。
  3. 工程(2)を、結着樹脂の軟化点未満の温度で行う、請求項1又は2に記載の黄色トナーの製造方法。
  4. 工程(2)において、乳化粒子を含有する乳化液のpH値が5.6〜8である、請求項1〜3のいずれかに記載の黄色トナーの製造方法。
  5. マスターバッチに用いられる樹脂とC.I.ピグメントイエロー93との使用割合(マスターバッチに用いる樹脂/C.I.ピグメントイエロー93)が、重量比で14/86〜70/30である、請求項1〜4のいずれかに記載の黄色トナーの製造方法。
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