JP5064865B2 - 黄色トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
水系媒体中でポリエステルを含む結着樹脂と着色剤からトナーを得る技術として、例えば、水系媒体中で、ポリエステル樹脂を50〜100重量%含む結着樹脂、及び着色剤と塩基性高分子共重合体系分散剤と顔料誘導体を含有する着色成分から生成される画像形成用トナー(特許文献1参照)により分散性等を改善する技術が開示されているが、このような技術においては、結着樹脂の分散に有機溶媒が用いられていることから、使用しうる樹脂の種類が限られ、また、溶剤回収などの工程負荷の増大などの問題があった。
(イ)(1)少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とC.I.ピグメントイエロー93(Color Index Pigment Yellow 93)とを混合する工程、及び(2)水系媒体中で、C.I.ピグメントイエロー93を含有する上記結着樹脂の乳化粒子を製造する工程、を有する黄色トナーの製造方法、
(ロ)さらに、乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程を有する、上記(イ)に記載の黄色トナーの製造方法、及び
(ハ)上記(イ)又は(ロ)に記載の製造方法により得られる黄色トナー、
に関する。
工程(1)は、少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とPY93とを混合するである。
本発明の黄色トナーの製造方法において用いられる結着樹脂には、着色剤分散性、定着性及び耐久性の観点から、酸基を有するポリエステルが含有される。酸基を有するポリエステルの含有量は、結着樹脂中、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。酸基を有するポリエステル以外の結着樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸基を有するポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
しかしながら、乳化工程でアルカリを添加してポリエステル末端を塩とする反応を含むポリエステル系トナーの製造においては、黄色顔料を使用する場合、アルカリ添加の際に黄色顔料が赤変するという問題があり、顔料の選択についても検討する必要があった。
なお、本発明においては、必要に応じ、黄色顔料として、本発明の目的を阻害しない範囲で、PY93とともに、上記他の黄色トナーを使用することもできるが、黄色顔料の赤変を抑制する観点から、PY93のみであることが好ましい。
当該工程(1)においては、上記酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂とPY93とを混合させるが、樹脂粒子とPY93とを、均一に分散させる観点から、該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合を行うことが好ましい。該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合することにより、樹脂粒子同士の融着を抑制し、均一な樹脂分散液を調製することができる。さらに、顔料の分散性の観点からは、着色剤をマスターバッチ化して使用することも好ましい態様である。マスターバッチに用いる樹脂は、酸基を有するポリエステルであることが好ましく、工程(1)の混合工程で使用するポリエステルであることが好ましい。具体的には、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において、酸基を有するポリエステルを含む結着樹脂と、該酸基を有するポリエステルを用いてマスターバッチ化された着色剤とを、該結着樹脂の軟化点未満の温度で混合・攪拌することが好ましい。
工程(2)は、水系媒体中で、上記PY93を含有する結着樹脂の乳化粒子を製造する工程である。
工程(2)において用いられる水系媒体は、水を好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上含有するものであり、有機溶剤等の溶剤、アルカリ金属塩等の無機塩等を含有していてもよい。本発明では、特に実質的に有機溶剤を用いることなく水のみを用いることでPY93を含有する結着樹脂を微粒化させることが好ましい。
工程(2)では、PY93を含有する結着樹脂の乳化安定性の向上などの観点から、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは5重量部以下、より好ましくは0.1〜3.5重量部、更に好ましくは、0.1〜3重量部の界面活性剤を存在させる。
上記PY93を含有する結着樹脂の乳化において、添加するアルカリの水溶液濃度は1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、1.5〜7.5重量%が更に好ましい。また酸基を有するポリエステルを容易に中和させる観点から、そのpH値は25℃で13〜15の強塩基性のアルカリが用いられる。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましく、その具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
また、乳化安定性の点から、乳化液のpH値は5.6〜8、更には5.8〜7であることが好ましい。
具体的には、前記工程(1)で結着樹脂中にPY93を分散させた後、工程(2)では、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水を添加することによって転相乳化させることにより、樹脂乳化粒子を製造することができる。
上記水の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、樹脂100g当たり好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜40g/分、さらに好ましくは0.5〜30g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持すればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水の添加速度に特に制限はない。
PY93を含有する樹脂乳化粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一な凝集を行う等の観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。
得られた樹脂乳化液は、その中のPY93を含有する乳化粒子を以下の工程(3)に供することにより凝集、合一させることが好ましい。
工程(3)は、上記乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程である。
本発明においては、上記工程(2)で得られたPY93を含有する樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集させ(以下、凝集工程という)、さらに好ましくは合一させる(以下、合一工程という)ことにより黄色トナーが得ることができる。
また、凝集工程においては混合液の分散安定性と、PY93を含有する結着樹脂の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、系内のpH値は2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−70℃以上、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−60℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程で使用する水系媒体としては、前述の工程(2)で挙げたものと同様のものが使用できる。
凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。本発明においては、凝集剤として、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供されることが好ましい。
高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
添加される樹脂乳化粒子としては、特に制限はなく、例えば、工程(2)の樹脂乳化粒子と同様にして調製されたものを使用することができる。
上記他の樹脂乳化粒子は、結着樹脂以外に、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤、さらには界面活性剤、定着性向上剤などの添加剤を適宜含有することができる。
本発明においては、上記他の樹脂乳化粒子は、本発明の工程(2)で得られる樹脂乳化粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
この工程においては、上記他の樹脂乳化粒子を、工程(2)で得られた樹脂乳化液に凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
上記他の樹脂乳化粒子の凝集粒子に対する添加量は、凝集粒子に対する樹脂乳化粒子による均一な被覆を行う観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂乳化粒子を構成する樹脂が、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部となるような量である。
当該工程においては、上記他の樹脂乳化粒子を1回又は複数回に分割して添加することができる。本発明においては、得られるトナー粒子の狭い粒度分布の達成の観点から、複数回に分割して添加することが好ましい。
前記のように他の樹脂乳化粒子を複数回分割して添加する場合、その回数については、特に制限はないが、形成される凝集粒子の粒度分布及び生産性などの観点から、2〜10回が好ましく、2〜8回がより好ましい。
また、凝集性及び形成される凝集粒子の粒度分布などの観点から、複数回の樹脂乳化粒子の添加においては、添加の後5〜15分間、更には5〜30分間、特に5分〜2時間熟成させることが好ましく、複数回添加の各添加において、上記熟成時間を設けることがより好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(1)で表わされるものが好ましい。
R1−O−(CH2CH2O)pSO3M1 (1)
式中、R1はアルキル基を示し、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜15のアルキル基が挙げられる。pは0〜15の平均付加モル数を示し、粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
R2−Ph−SO3M2 (2)
式中、R2は直鎖のアルキル基を示し、式(1)のR1のうち直鎖のものと同じである。Phはフェニル基、M2は1価のカチオンである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
上記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明の製造方法により得られた黄色トナーは、上述のようにして得られた合一粒子(トナー母粒子)を含むものであるが、該合一粒子のトナー中における含有量は、トナーの帯電性及び定着性の点から、95〜100重量%であることが好ましく、96.5〜99重量%であることが更に好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、黄色トナー粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。
また、黄色トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃あることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度は、同様の観点から、60〜140℃であることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは0〜120℃である。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒は、エタノールとエーテルの混合溶媒を、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブワンジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積平均粒径(D4)を測定する。
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベ
ックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解さ
せて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて
1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波
分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万
個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒
子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
粒度分布は、CV値(粒度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)×100)で示す。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素雰囲気下、常圧下(101.3kPa)230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃、酸価は24.4mgKOH/g、数平均分子量は3760であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの軟化点は123℃、ガラス転移温度は65℃、酸価は21.0mgKOH/g、数平均分子量は2230であった。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Cを得た。ポリエステル樹脂樹脂Cの軟化点は98℃、ガラス転移点は56℃、酸価は22.4mgKOH/g、数平均分子量は2930であった。
製造例3のポリエステル樹脂Cの微粉末70重量部及びチバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料(固形分47.5%)を顔料分40重量部になる様にヘンシルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が熔融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後、加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して黄色顔料を40重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチA)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料をBASF社製Pigment Yellow 185のスラリー顔料(固形分41.4%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチB)を得た。
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料をクラリアント社製Pigment Yellow 180のスラリー顔料(固形分46.9%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチC)を得た。
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料を大日精化工業社製Pigment Yellow 151のスラリー顔料(固形分46.7%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチD)を得た。
チバスペシャルティケミカルズ社製Pigment Yellow 93のスラリー顔料を大日精化工業社製Pigment Yellow 17のスラリー顔料(固形分46.9%)に変更して製造例4と同様にして作製し、黄色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチE)を得た。
1リットル容のビーカーで、脱イオン水400gにアルケニルコハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王(株)社製)、有効濃度28%」3.6gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)100gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、離型剤乳化液Aを得た。得られた乳化液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.47μm、CV値は26、固形分濃度は22.7重量%であった。
(着色剤(PY93)を含有する樹脂乳化液Aの調製)
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 451g、ポリエステル樹脂B 281g、マスターバッチA 100g及び、非イオン性界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)8g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)53g及び、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%、pH値14.1)を367g加え、カイ型の攪拌機で250r/minの攪拌下、95℃で混合させた。内容物は95℃に達した後2時間攪拌され、その後、これにカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1520gを8g/minの滴下速度で添加し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、微粒化した着色剤含有樹脂乳化液Aを得た。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子のpH値は6.4であり、体積中位粒径は0.158μm、固形分濃度は31.7重量%であり、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
樹脂乳化液A 500g、離型剤乳化液A 37.5g、脱イオン水4.7gを脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)34.5gを283.7gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10分かけて滴下した。その後、混合分散液を55℃まで3時間かけて昇温し、凝集粒子を形成させた。その後、55℃で保持し続け、凝集粒子の体積中位粒径が3.9μmになった段階で、樹脂乳化液A 50.5gと脱イオン水14.0gを混合したものを1.6mL/分で滴下し、55℃で20分間保持した。その後、樹脂乳化液A 50.5gと脱イオン水14.0gを混合したもの、及び、硫酸アンモニウム3.5gを脱イオン水46.3gに溶解させた水溶液を別々に同時に1.6mL/分で滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作をさらに3回繰り返した後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)42.3gを脱イオン水381gで希釈した水溶液を添加して体積中位粒径(D50)が4.9μmの凝集粒子を形成し、80℃まで昇温した。80℃で2時間保持した後、室温まで冷却した。この間で、トナー形状が凝集粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は4.9μmであった。
この着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(ワッカーケミー製、TS530、個数平均一次粒子径:8nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、黄色トナーとした。得られた黄色トナーは、市販のフルカラープリンタにより良好な画像が得られた。
ポリエステル樹脂、各界面活性剤、アルカリの量を表1に示すようにし、更にマスターバッチAをマスターバッチBに変更した以外は、実施例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液B、及び黄色トナーを作製した。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.312μm、固形分濃度は30.8重量%であり、金網上には樹脂成分が15.8g残った。また、アルカリ投入後、色相が変化し橙色に赤変した。
マスターバッチBをマスターバッチCに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液C、及びイエロートナーの作製を試みたが、ほとんどの顔料および樹脂が金網上に残ってしまい着色剤含有樹脂乳化液は作製できなかった。
マスターバッチBをマスターバッチDに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液D、及びイエロートナーの作製を試みたが、ほとんどの顔料および樹脂が金網上に残ってしまい着色剤含有樹脂乳化液は作製できなかった。
マスターバッチBをマスターバッチEに変更した以外、比較例1と同様の方法で着色剤含有樹脂乳化液E、及び黄色トナーを作製した。得られた樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積中位粒径は0.222μm、固形濃度は32.0重量%であり、金網上には樹脂成分が1.8g残った。また、アルカリ投入後、色相が変化し橙色に赤変した。
以上の実施例及び比較例の結果を以下の表1に示す。また、耐アルカリ性、乳化性及び凝集性の各々の評価は下記の基準で行った。
3: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が確認できない。
2: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が若干見られるものの、黄色と認識される。
1: アルカリ投入時、目視評価で黄色の色相変化が確認でき(赤変)、橙色と認識される。
3: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、金網上に粗粒子が残らない。
2: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、2g未満の粗粒子が残留する。
1: 乳化後、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通した時、2g以上の粗粒子が残留するか、又は乳化できない。
2: 粒度分布が単一のピークを有し、着色ムラのない凝集粒子ができる。
1: 乳化ができない、または乳化液が赤変し、凝集工程に到らなかった。
Claims (5)
- (1)少なくとも、酸基を有するポリエステルを含有する結着樹脂と、該酸基を有するポリエステルを用いてマスターバッチ化されたC.I.ピグメントイエロー93(Color Index Pigment Yellow 93)とを、界面活性剤を含む塩基性水性媒体中において混合する工程、(2)水を99重量%以上含有する水系媒体中で、C.I.ピグメントイエロー93を含有する上記結着樹脂の乳化粒子を製造する工程、及び(3)乳化粒子を水系媒体中で凝集させる工程、を有する黄色トナーの製造方法。
- 工程(1)における結着樹脂とC.I.ピグメントイエロー93の使用割合(結着樹脂/C.I.ピグメントイエロー93)が、重量比で90/10〜97/3である請求項1記載の黄色トナーの製造方法。
- 工程(2)を、結着樹脂の軟化点未満の温度で行う、請求項1又は2に記載の黄色トナーの製造方法。
- 工程(2)において、乳化粒子を含有する乳化液のpH値が5.6〜8である、請求項1〜3のいずれかに記載の黄色トナーの製造方法。
- マスターバッチに用いられる樹脂とC.I.ピグメントイエロー93との使用割合(マスターバッチに用いる樹脂/C.I.ピグメントイエロー93)が、重量比で14/86〜70/30である、請求項1〜4のいずれかに記載の黄色トナーの製造方法。
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