JP5057006B2 - 多層スパウトの製造方法 - Google Patents
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また、本出願人も、中間層にガスバリアー性樹脂を有する主樹脂層と、前記主樹脂層の内面を被覆する内面被覆樹脂層から成る注出具等の中空状多層樹脂成形物、及び前記主樹脂層を筒状主樹脂塊とし、その上端部に前記内面被覆樹脂から成る副樹脂塊を融着させ、前記副樹脂塊が筒状主樹脂塊の内層に沿って流動するように圧縮成形する圧縮成形方法を提案した。(特許文献2)
この結果、前記注出具では、注出具2と遮断体11の上端部及び下端部の要着部分からガスバリアー性等の材料が溶出する虞があり、内容物のフレーバー低下、また、衛生上も好ましくない。
一方、前述した特許文献2の中空状多層樹脂成形物は、主樹脂層の樹脂が内面に露出することがなく衛生性に優れるものであるが、その圧縮成形方法において、軟化乃至溶融状態の筒状主樹脂塊と副樹脂塊を用い、前記副樹脂塊を筒状主樹脂塊の内層に沿って流動させるため、ねじ部やフランジ部等の突起状を有する場合に筒状主樹脂塊のガスバリアー性樹脂層の偏肉、多重、切れ等が発生することがあり、更なる解決が望まれている。
そこで、本発明は前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その解決しようとする課題は、機能性樹脂から成る中間層を有する多層スリーブが安定した姿勢で本体に装着され、且つ前記多層スリーブの端部を十分に被覆し、注出具(以下、本発明ではスパウトという)に対する溶着面積を十分に確保して、ガスバリアー性等の機能性樹脂の溶出を防止すると共に、衛生的に優れた多層スパウト、及びガスバリアー性等の機能性樹脂層を有する多層スパウトの成形における前記機能性樹脂の偏肉、多重、切れ等の発生を防止する製造方法を提供することにある。
前記第1の発明の多層スパウトの製造方法は、多層スパウトが、外周面にねじ部やフランジ部等の突起状を有する場合であっても、ガスバリアー性等の機能性樹脂層を有する多層スリーブを、前記機能性樹脂の偏肉、多重、切れ等の発生を容易に防止しながら、スパウト本体の内周面に沿って安定した姿勢で装着することができる。
前記第2の発明の多層スパウトの製造方法は、多層スリーブを、スパウト本体の内周面に沿ってより一層確実に融着することができる。
前記第3の発明の多層スパウトの製造方法は、圧縮成形を行って多層スリーブをスパウト本体の内周面に装着する際に、キャビティ型内の溶融樹脂塊の流動圧がコア型の外周面に装着された多層スリーブに作用した場合も、多層スリーブのコア型に対する位置、姿勢が乱れることがなく、多層スリーブをスパウト本体の内周面の定位置に安定した姿勢で、確実に装着することができるようになる。
前記第4の発明の多層スパウトの製造方法は、前記第1から第3の発明の多層スパウトを好適に製造することができる。
前記第5の発明の多層スパウトの製造方法は、前記第1および第2の発明の多層スパウトを好適に製造することができる。
前記第6の発明の多層スパウトの製造方法は、圧縮成形を行って多層スリーブをスパウト本体の内周面に装着する際に、コア型により圧縮された溶融樹脂塊を、前記多層スリーブの端部内面と前記コア型の先端部外面との間に形成される隙間に流入、流動させることにより、多層スリーブの端部が外側に曲げられる。圧縮成形時に多層スリーブの端部が外側に曲げられる。このため、前記多層スリーブの形状を工夫することなく、容易に多層スリーブ端部を軸方向に埋設した姿勢で、多層スリーブをスパウト本体の内周面に安定して装着することができる。
前記第7の発明の多層スパウトの製造方法は、圧縮成形を行って多層スリーブをスパウト本体の内周面に装着する際に、コア型により圧縮された溶融樹脂がコア型の狭径部と多層スリーブによって形成される環状溝に入り込み、多層スリーブの端部及びその近傍の内面が被覆される。このため、前記多層スリーブの形状を工夫することなく、容易に多層スリーブ端部及びその近傍の内面を軸方向に埋設した姿勢で、多層スリーブをスパウト本体の内周面に安定して装着することができる。
前記第8の発明の多層スパウトの製造方法は、オレフィン系樹脂は圧縮成形等に適し、機能性樹脂から成る中間層を有する多層スリーブをスパウト本体の内周面に装着する際に、溶着性に優れ、多層スパウトを好適に製造することができる。
上記多層スパウトは、多層スリーブの端部が、スパウト本体を構成する樹脂で十分に被覆され、スパウトに対する溶着面積を十分に確保して、ガスバリアー性等の機能性樹脂の溶出を防止すると共に、衛生的に優れた多層スパウトとしている。
上記多層スパウトは、多層スリーブの端部が、スパウト本体を構成する樹脂で十分に被覆され、機能性樹脂の溶出を防止すると共に、衛生的に優れた多層スパウトとしている。
上記多層スパウトは、多層スリーブに、外側に折り又は曲げ等の加工を施すことなく、その端部を、スパウト本体を構成する樹脂で十分に被覆し、機能性樹脂の溶出を防止した衛生的に優れる多層スパウトとしている。
上記多層スパウトは、機能性樹脂から成る中間層を有する多層スリーブをスパウト本体の内周面に装着した際に、溶着性に優れた多層スパウトとすることができる。
また、本発明によって製造される多層スパウトによれば、スパウトに、機能性樹脂から成る中間層を有する多層スリーブが安定した姿勢で本体に装着され、且つ前記多層スリーブの端部を十分に被覆し、スパウトに対する溶着面積を十分に確保して、ガスバリアー性等の機能性樹脂の溶出が防止され、衛生的に優れた多層スパウトとすることができる。
この多層スパウト100は、スパウト本体1と、機能性樹脂層から成る中間層を有する多層スリーブ2とを具備して構成されている。多層スリーブ2は、機能性樹脂層2aが露出する両端部を外側に折り曲げられてスパウト本体1を構成する樹脂で被覆された状態でスパウト本体1に装着されている。また、多層スリーブ2については、図2を参照しながら後述する。
なお、その下折り返し部2eおよび上折り返し部2fの成形を含む前記多層スパウト100の製造方法については、図3および図4を参照しながら後述する。
この図は、多層スリーブ2の要部を示している。多層スリーブ2は、機能性樹脂層2aが内層2bおよび外層2cによって接着剤層2dを介して構成されている。
このコア型10には、その外周面に多層スリーブ2が装着され、多層スリーブ2の両端部は、予め外側に折り返されて下折り返し部2eおよび上折り返し部2fが形成されている。また、コア型10は多層スリーブ2のインサート方向に対する移動を防止するため、上方向にテーパ状に拡径するテーパ部12を有し、コア型10で溶融樹脂塊30を圧縮する際に、圧縮された溶融樹脂塊30の流動による多層スリーブの軸方向(インサート方向)への移動を好適に抑制し、これにより、多層スリーブ2を安定した姿勢でスパウト本体1に装着することができる。
先ず、図4の(a)に示すように、内周面に多層スパウト100の外周面形状が形成されたキャビティ型20内に溶融樹脂塊30を入れ、次いで、図4の(b)に示すように、加熱した多層スリーブ2を外周面に装着したコア型10をキャビティ型20に相対的に移動し、圧縮成形を行う。
この時、多層スリーブ2が基部に装着され且つ多層スリーブの上部はテーパ部12によって移動を抑制されるため、溶融樹脂塊30をコア型10で圧縮する際の溶融樹脂塊30の流動によって多層スリーブ2の配置が乱されることがなく、前記多層スリーブ2の予め外側に折り返された下折り返し部2eおよび上折り返し部2fの両端部が、溶融樹脂塊30、即ち前記スパウト本体1によって軸方向に埋設されて好適に被覆される。
そして、図4の(c)に示すように、溶融樹脂塊30が冷却して硬化後、コア型10をキャビティ型20から引き抜くと共にキャビティ型20を開いて多層スパウト100を得る。
また、多層スリーブ2のいずれか一方の端部、例えば下方端部のみを外側に折り曲げた状態で多層スリーブ2をコア型10の基部の外周面に装着し、前述の図4の製造方法を適用してもよく、この場合は、多層スリーブ2の下方端部のみが外側に折り曲げられた多層スパウト100が製造される。
この多層スパウト200は、多層スリーブ3が、機能性樹脂層2aが露出する下方端部を外側に曲げて下方曲げ部3aを形成し、スパウト本体1を構成する樹脂で軸方向に十分に被覆してスパウト本体1に装着されている。また、曲げ角度θは導管部1aを基準にして90°から180°の範囲にあることが望ましい。
このコア型13は、その外周面に多層スリーブ3が装着され、その下方の先端部に多層スリーブ3の下端部内面と隙間Sを形成するR部14と、多層スリーブ3のインサート方向に対する移動を防止するテーパ部12とを有する。
そして、圧縮成形時に、前記多層スリーブ3の下端部内面と前記コア型13の先端部のR部14の外面との隙間Sに圧縮された溶融樹脂塊30を流入、流動させて、前記多層スリーブ3の下端部を外側に折り又は曲げを行い、多層スパウト200の多層スリーブ3の下端部に下方曲げ部3aを形成する。
このため、前記多層スリーブの形状を工夫することなく、多層スリーブの下端部を軸方向に埋設した姿勢で十分に被覆し、スパウト本体1に対する溶着面積を十分に確保して、多層スリーブ3をスパウト本体1の内周面に安定して装着することができる。
先ず、図7の(a)に示すように、内周面に多層スパウト200の外周面形状が形成されたキャビティ型20に溶融樹脂塊30を入れ、次いで、図7の(b)に示すように、加熱した多層スリーブ3を外周面に装着したコア型13をキャビティ型20に相対的に移動して圧縮成形を行う。
この時、前記多層スリーブ3の下端部内面とコア型13との隙間Sに溶融樹脂塊30の溶融樹脂が流入し、コア型13先端部のR部14の外周面に沿って流動するため、多層スリーブ3の下方端部が外側に折られ、又は曲げられ、さらに多層スリーブ3の上部はテーパ部12によって制動されているため、下方曲げ部3aが好適に形成される。これにより、多層スリーブ3の機能性樹脂層2aが露出する下端部が溶融樹脂塊30、即ち前記スパウト本体1によって軸方向に埋設されて好適に被覆される。
尚、本実施の形態の多層スパウト200では、多層スリーブ3が機能性樹脂層2aが露出する下方端部を外側に曲げて下方曲げ部3aを形成し、スパウト本体1を構成する樹脂で被覆してスパウト本体1に装着されているが、前記多層スリーブ3の機能性樹脂が露出する上方端部を外側に曲げて上方曲げ部を形成しても良く、その場合、後述する図12に例示したようにキャビティ型20の上下関係を逆にすれば良い。
この多層スパウト300は、多層スリーブ4が、機能性樹脂層2aが露出する下方端部及びその近傍の内面が、スパウト本体1の下方被覆部1fで軸方向に十分に被覆してスパウト本体1に装着されている。
このコア型15は、その外周面に多層スリーブ4を装着した際に、その下方或いは下端部に前記多層スリーブ4の下端部とその近傍内面との間に環状溝Gを形成する縮径部16を有する。
そして、圧縮成形時に、この環状溝Gに溶融樹脂塊30の樹脂が流入し、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する下方端部及びその近傍の内面が、スパウト本体1の下方被覆部1fで軸方向に十分に被覆してスパウト本体1に装着される。
先ず、図10の(a)に示すように、内周面に多層スパウト300の外周面形状が形成されたキャビティ型20に溶融樹脂塊30を入れ、次いで、図10の(b)に示すように、加熱した多層スリーブ4を外周面に装着したコア型15をキャビティ型20に相対的に移動して圧縮成形を行う。
この時、コア型15の下方或いは下端部の縮径部16と、多層スリーブ4の下端部とその近傍内面との間に形成される環状溝Gに、溶融樹脂塊30をコア型15で圧縮した際に、溶融樹脂塊30の樹脂が流入、流動し、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する下方端部及びその近傍の内面を覆うスパウト本体1の下方被覆部1fが好適に形成される。これにより、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する下端部が溶融樹脂塊30、即ち前記スパウト本体1によって軸方向に埋設されて好適に被覆される。
この多層スパウト400は、多層スリーブ4が、機能性樹脂層2aが露出する上方端部及びその近傍の内面を、スパウト本体1の上方被覆部1hで軸方向に十分に被覆してスパウト本体1に装着されている。
そして、本実施の形態の製造方法においては、前述した実施の形態3のキャビティ型20の上下関係を逆とし、同様のコア型15を用いて圧縮成形を行うものである。
先ず、図12の(a)に示すように、内周面に多層スパウト400の外周面形状が形成されたキャビティ型22に溶融樹脂塊30を入れ、次いで、図10の(b)に示すように、加熱した多層スリーブ4を外周面に装着したコア型15をキャビティ型22に相対的に移動して圧縮成形を行う。
この時、コア型15の下方或いは下端部の縮径部16と、多層スリーブ4の上端部とその近傍内面との間に形成される環状溝Gに、溶融樹脂塊30の樹脂が流入、流動し、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する上方端部及びその近傍の内面を覆うスパウト本体1の上方被覆部1hが好適に形成される。
これにより、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する上端部が溶融樹脂塊30、即ち前記スパウト本体1によって軸方向に埋設されて好適に被覆される。
そして、図12の(c)に示すように、溶融樹脂塊30が冷却して硬化後、コア型15をキャビティ型22から引き抜くと共にキャビティ型22を開いて多層スパウト400を得る。
この多層スパウト500は、多層スリーブ2の機能性樹脂層2aが露出する上端部が、前述した実施の形態1と同じく予め外側に折り曲げられた上折り返し部2fを有し、また、下端部及びその近傍の内面が、前述した実施の形態3と同じくスパウト本体1の下方被覆部1fで被覆し、スパウト本体1を構成する樹脂で軸方向に十分に被覆された状態でスパウト本体1に装着されている。
このコア型17は、その外周面に多層スリーブ2が装着され、その下方に多層スリーブ2の下端部及びその近傍の内面と環状溝Gを形成する縮径部16を有し、前記多層スリーブ2の上端部は予め折り返された上折り返し部2fを形成してコア型17に装着される。
先ず、図15の(a)に示すように、内周面に多層スパウト500の外周面形状が形成されたキャビティ型20に溶融樹脂塊30を入れ、次いで、図15の(b)に示すように加熱した多層スリーブ4を外周面に装着したコア型17をキャビティ型20に相対的に移動して圧縮成形を行う。
この時、コア型17の下方或いは下端部の縮径部16と、多層スリーブ4の下端部とその近傍内面との間に形成される環状溝Gに、溶融樹脂塊30の樹脂が流入、流動し、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する下方端部及びその近傍の内面を覆うスパウト本体1の下方被覆部1fが好適に形成され、また、前記多層スリーブ2の予め外側に折り返された上折り返し部2fの上端部が、同様に埋設されて好適に被覆される。
これにより、多層スリーブ4の機能性樹脂層2aが露出する両端部が溶融樹脂塊30、即ち前記スパウト本体1によって軸方向に埋設されて好適に被覆される。
そして、図15の(c)に示すように、溶融樹脂塊30が冷却して硬化後、コア型17をキャビティ型20から引き抜くと共にキャビティ型20を開いて多層スパウト500を得る。
このグラフより、本発明に係る多層スパウトの酸素透過量は従来のスパウトの酸素透過量の約1/8であり、本発明に係る多層スパウトはガスバリアー性能または酸素吸収性においても優れていることが分かる。
さらに、機能性樹脂層が露出する多層スリーブの端部を十分に被覆し、スパウト本体に対する溶着面積を十分に確保して、ガスバリアー性等の機能性樹脂の溶出が防止され、衛生的に優れた多層スパウトとすることができる。
2,3,4,5 多層スリーブ
10,13,15,17 コア型
20,22 キャビティ型
100,200,300,400,500 多層スパウト
Claims (8)
- 機能性樹脂から成る中間層を有する多層スリーブをコア型の外周面に装着すると共に、キャビティ型内にスパウト本体を構成する溶融樹脂塊を配置し、次いで前記多層スリーブが装着されたままの前記コア型と前記キャビティ型を相対的に移動して圧縮成形を行い、前記多層スリーブを前記スパウト本体の内周面に装着することを特徴とする多層スパウトの製造方法。
- 前記多層スリーブを加熱して圧縮成形を行う請求項1に記載の多層スパウトの製造方法。
- 前記コア型の基部が、上方向にテーパ状に拡径している請求項1又は2に記載の多層スパウトの製造方法。
- 前記多層スリーブの少なくとも一方の端部が埋設されるように、前記多層スリーブを前記スパウト本体の内周面に装着する請求項1から3のいずれかに記載の多層スパウトの製造方法。
- 前記多層スリーブの少なくとも一方の端部を外側に折り又は曲げて圧縮成形する請求項4に記載の多層スパウトの製造方法。
- 前記多層スリーブの端部内面と前記コア型の先端部外面との隙間に溶融樹脂を流入させて、前記多層スリーブの端部を外側に折り又は曲げを行う請求項5に記載の多層スパウトの製造方法。
- コア型が、多層スリーブを取りつけた場合に前記多層スリーブの端部に対応する位置近傍に狭径部を有し、且つ前記多層スリーブの端部内面と前記狭径部との間に環状溝を形成し、前記環状溝に溶融樹脂を流入させて、前記多層スリーブの端部及びその近傍の内面を前記溶融樹脂で被覆する請求項4に記載の多層スパウトの製造方法。
- 前記多層スリーブの内層および外層、ならびに前記スパウト本体を構成する樹脂がオレフィン系樹脂である請求項1乃至7の何れかに記載の多層スパウトの製造方法。
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