JP5055922B2 - 多層中空成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性、層間の密着性、柔軟性、導電性などが均衡して優れた多層中空成形体に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)樹脂は優れた耐熱性、ガソリン(アルコールガソリン)バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。熱可塑性樹脂の中空成形品は、例えば自動車のエンジンルーム内のダクト類を中心に、ポリアミド系樹脂を使用したブロー成形によって製造する技術や、チューブ類に飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタンを使用した押出成形によって製造する技術が普及している。
しかし、従来のポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂および熱可塑性ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂からなる単層中空成形品では、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などが不十分であることから、適用する範囲が限定されてしまうため、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などを一層高めた製品が要求されている。
特に自動車燃料チューブ用としては、ポリアミド樹脂、中でもポリアミド11やポリアミド12などの柔軟ポリアミド樹脂が広く用いられているが、ポリアミド樹脂を単独で使用した場合、環境汚染問題および燃費向上から要求されているアルコールガソリンの透過防止性に対しては十分ではないと言う懸念点が指摘されその改良が望まれている。またブロー中空成形体やチューブ成形体内を燃料などの非導電性液体が流れる用途においては、成形体が帯電する場合があり、これを抑制することから中空成形体に導電性を同時に付与することも求められ場合がある。
近年、低アルコールガソリン透過性向上技術として、外層ナイロン、内層ETFEのチューブが開発されているが、ETFEは高価な上、PPSに比べるとアルコールガソリン透過率が高く、更に高度で安価な低アルコールガソリン透過性をもとめられている今日、ETFEバリヤー材では不十分となってきている。
そこでポリフェニレンスルフィド樹脂の有する高薬品性とETFE比安価であることを活かした、アルコールガソリン等の燃料バリヤー性を高めた多層中空成形体について、近年検討されるようになってきた(特許文献1〜17)。
しかしながらPPS比較的靭性に乏しいため、PPS単体ではバリヤー性は高いもののチューブ等に要求される柔軟性に乏しく、それを補うためにエラストマー類を配合するとPPSが本来有するバリヤーが低下する問題があった。
なお本発明ではこの点を補うためポリエーテルイミド等の樹脂を特定の相溶化剤の存在下、PPS中にナノ分散させることでPPSのバリヤー性を大きく損なうことなく、靭性を向上させる技術である。特許文献1、16の詳細中にはPPSにポリイミド、PEIを配合しても良いとの記載はあるものの、実施例にはそれらを配合した例はなく、ましてやポリエーテルイミド等の樹脂を特定の相溶化剤の存在下、PPS中にナノ分散させることでPPSのバリヤー性を大きく損なうことなく、靭性を向上させ得ることに関しては何ら記載されていない。
特開昭59−145131公報(特許請求の範囲) 特開平07−299855公報(特許請求の範囲) 特開平10−138372公報(特許請求の範囲) 特開平10−182970公報(特許請求の範囲) 特開平10−230556公報(特許請求の範囲) 特開平10−296889公報(特許請求の範囲) 特開平10−298431公報(特許請求の範囲) 特開平11−156970公報(特許請求の範囲) 特開2002−267054公報(特許請求の範囲) 特開2004−169851公報(特許請求の範囲) 特開2004−202865公報(特許請求の範囲) 特開2003−21275公報(特許請求の範囲) 特開2004−169851公報(特許請求の範囲) 特開2004−285905公報(特許請求の範囲) 特開2005−127503公報(特許請求の範囲) 特開2005−288925公報(特許請求の範囲) 特開2005−306950公報(特許請求の範囲)
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、ポリフェニレンスルフィドの特徴である耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性を保持しつつ、層間の密着性、柔軟性、導電性などが均衡して優れた多層中空成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記構成からなるPPS系多層中空体である。
1.下記(A)樹脂組成物からなる外層と下記(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる内層から構成される2層以上の多層中空成形体、
(A):(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を5〜300重量部を少なくとも含む樹脂組成物、
(B):(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(c)ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも1種の非晶性樹脂1〜70重量部を少なくとも含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂が海相、(c)非晶性樹脂が島相を形成しており、前記(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nm以下であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
2.(A)樹脂組成物が、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を110〜280重量部を含む樹脂組成物であって、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を海相とする樹脂組成物であることを特徴とする上記1記載の多層中空成形体、
3.(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂が、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲であるポリアミド樹脂であることを特徴とする上記1〜2いずれか記載の多層中空成形体、
4.(b)ポリアミド樹脂が、ポリドデカンアミド(ナイロン12)および/またはポリウンデカンアミド(ナイロン11)であることを特徴とする上記3記載の多層中空成形体、
5.(A)樹脂組成物が(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらに(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂を1〜200重量部含有することを特徴とする上記1〜4いずれか記載の多層中空成形体、
6.(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂が、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有することを特徴とする上記5記載の多層中空成形体、
7.(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂が、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と(d2)酸無水物基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、(d1)と(d2)の重量比が(d1):(d2)=1〜99:99〜1であることを特徴とする上記6記載の多層中空成形体、
8.(A)樹脂組成物が、更に(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる官能基のいずれも含有しないエラストマーを、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、1〜200重量部含有することを特徴とする上記1〜7いずれか記載の多層中空成形体、
9.(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる官能基のいずれも含有しないエラストマーが、密度が880kg/m以下のオレフィン系共重合体を含むことを特徴とする上記8記載の多層中空成形体、
10.(A)樹脂組成物が、更に(f)可塑剤を含むことを特徴とする上記1〜9いずれか記載の多層中空成形体、
11.(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらに(g)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物を、0.1〜10重量部配合してなることを特徴とする上記1〜10いずれか記載の多層中空成形体、
12.(g)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基を1個以上含む化合物またはエポキシ基を2個以上含む化合物である上記11記載の多層中空成形体、
13.(A)樹脂組成物、(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のいずれも体積固有抵抗が1012Ω・cm以上の非導電性樹脂組成物である上記1〜12のいずれかに記載の多層中空成形体、
14.(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度が80Pa・s(310℃、剪断速度1000/sの条件下)を越えることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の多層中空成形体、
15.前記(A)樹脂組成物からなる外層と前記(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる内層の更に内側に(C)体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、1010Ω・cm以下である導電性熱可塑性樹脂組成物からなる層が存在する3層以上の上記1〜14のいずれかに記載の多層中空成形体、
16.(C)導電性熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、(h)導電性フィラーを1〜70重量部配合してなる樹脂組成物である上記15に記載の多層中空成形体、
17.(C)導電性熱可塑性樹脂組成物が(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂を含む樹脂組成物である上記15〜16いずれかに記載の多層中空成形体、
18.共押出成形法により製造された上記1〜17いずれかに記載の多層中空成形体、および
19.多層中空成形体が、自動車燃料チューブ、フューエルフィラーホース、およびLLC(ロングライフクーラント)用チューブから選ばれるいずれかである上記1〜18いずれかに記載の多層中空成形体。
本発明によれば、ポリフェニレンスルフィドの特徴である耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性を保持しつつ、層間の密着性、柔軟性、導電性などが均衡して優れた多層中空成形体が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず外層を構成する(A)樹脂組成物について説明する。
(a)PPS樹脂
本発明で(A)層を構成する必須成分である(a)PPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 0005055922
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。また(a)PPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 0005055922
かかる構造を一部有するPPS共重合体は、融点が低くなるため、このような樹脂組成物は成形性の点では有利となる。
(A)樹脂組成物で用いられる(a)PPS樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、通常3Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)〜1000Pa・sのものが使用される。なお、本発明における溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明に用いる(a)PPS樹脂の製造方法について説明するが、上記構造の(a)PPS樹脂が得られれば下記方法に限定されるものではない。
まず、製造方法において使用するポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度の(a)PPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選ばれる。
[分子量調節剤]
生成する(a)PPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度の(a)PPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られる(a)PPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、さらに有機カルボン酸塩としてはアルカリ金属カルボン酸塩が、アルカリ金属塩化物としては塩化リチウムが好ましい。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。 アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜2モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.3モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが添加が容易である点からより好ましい。
次に、本発明に用いる(a)PPS樹脂の製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
(a)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることにより(a)PPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜240℃、好ましくは100〜230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選ばれる。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(A)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(B)上記(A)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[回収工程]
(a)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。(a)PPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選ばれる。
[後処理工程]
(a)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。(a)PPS樹脂の酸処理に用いる酸は、(a)PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のような(a)PPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液に(a)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、PH4の水溶液を80〜200℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のPHは4以上例えばPH4〜8程度となっても良い。酸処理を施された(a)PPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理による(a)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。(a)PPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満では(a)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
熱水洗浄による(a)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量の(a)PPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。(a)PPS樹脂と水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、(a)PPS樹脂200g以下の浴比が選ばれる。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えた(a)PPS樹脂は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。(a)PPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、(a)PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピ
ロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中に(a)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒で(a)PPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
本発明においては、PPS中にCaなどのアリカリ土類金属塩を導入したPPSを用いても良い。かかるアルカリ土類金属塩を導入する方法としては、上記前工程の前、前工程中、前工程後にアルカリ土類金属塩を添加する方法、重合行程前、重合行程中、重合行程後に重合釜内にアルカリ土類金属塩を添加する方法、あるいは上記洗浄工程の最初、中間、最後の段階でアルカリ土類金属塩を添加する方法などが挙げられる。中でももっとも容易な方法としては、有機溶剤洗浄や、温水または熱水洗浄で残留オリゴマーや残留塩を除いた後にアルカリ土類金属塩を添加する方法が挙げられる。アルカリ土類金属塩は、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩などのアルカリ土類金属イオンの形でPPS中に導入するのが好ましい。また過剰のバリウムイオンは温水洗浄などにより取り除く方が好ましい。上記アルカリ土類金属イオン導入の際のアルカリ土類金属イオン濃度としてはPPS1gに対して0.001mmol以上が好ましく、0.01mmol以上がより好ましい。温度としては、50℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。上限温度は特にないが、操作性の観点から通常280℃以下が好ましい。浴比(乾燥PPS重量に対する洗浄液重量)としては0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。
(a)PPS樹脂は、重合終了後に酸素雰囲気下においての加熱および過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱による熱酸化架橋処理により高分子量化して用いることも可能である。
熱酸化架橋による高分子量化を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましく、2〜25時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好まし
い。
また、熱酸化架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことが可能である。その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
また本発明の(A)呪詛生物で用いる好ましい(a)PPS樹脂としては、東レ(株)製M2588、M2888、M2088、T1881、L2120、L2480、M2100、M2900、M3910、L2520、L4230などが挙げられる。
(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂
本発明で(A)層を構成する必須成分である(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂のうち、まずポリアミド樹脂について説明する。
ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ダイマ−酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、有用なポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
中でもアミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲である構造単位からなるポリアミド樹脂が好適であり、更にアミノカルボン酸またはその誘導体をモノマーとするポリアミド樹脂は、より優れた低温靱性を得る意味で特に好ましい。かかるポリアミドとしてはポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)などが例示できる。
これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がなく、98%濃硫酸溶液(ポリマー1g、濃硫酸100ml)、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲、特に2.0〜6.5、更には2.5〜5.5の範囲のポリアミド樹脂、あるいはメタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.0〜7.0の範囲、特に1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂が好ましい。
次に飽和ポリエステル樹脂について説明する。本発明で用いられる飽和ポリエステル樹脂とはテレフタル酸などのジカルボン酸と脂肪族ジオールとから得られるポリエステルをいう。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、またはシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられ、これらは単独であっても混合物であっても良い。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。
本発明で使用する好ましい飽和ポリエステル樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられるが、中でも適度な機械的強度を有するポリブチレンテレフタレートまたはテレフタル酸を60モル%以上、好ましくは70モル%以上とドデカンジカルボン酸および/またはイソフタル酸を含有するジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルが特に好ましく使用される。
これら飽和ポリエステル樹脂の重合度には特に制限無いが、例えば中でも好ましく使用されるポリブチレンテレフタレート(以下PBT樹脂と略称する)および共重合ポリエステルの場合、その重合度は、0.5%オルトクロロフェノール溶液を25℃で測定した相対粘度が0.5〜2.5の範囲、特に0.8〜2.0の範囲のものが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートの場合、0.5%オルトクロロフェノール溶液を25℃で測定した極限粘度が0.54〜1.5の範囲、特に0.6〜1.2の範囲のものが好ましい。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物において、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂の配合量は、5〜300重量部の範囲であり、110〜280重量部の範囲がより好ましく、150〜250重量部の範囲が更に好ましい。(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂の配合量が5重量未満では樹脂組成物の靭性が乏しく、300重量部以上の範囲では(B)内層組成物との密着性が著しく劣るため好ましくない。中でも110〜280重量部の範囲が靭性と層間密着性のバランスの上で特に好ましい。
本発明において(A)層を構成する樹脂組成物には、より高い靭性を付与する意味において、(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂を配合することも好ましい態様の一つである。エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂としては、エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂、シリコーンオイル、シリコーンゴムなどが好適に用いられる。
まずエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂について説明する。
本発明におけるエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂としては、エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種を含有するオレフィン系重合体、フッ素系重合体などが例示できる。
エポキシ基含有ポリオレフィン系重合体としては、側鎖にグリシジルエステル、グリシジルエーテル、グリシジルジアミンなどを有するオレフィン系共重合体や、二重結合を有するオレフィン系共重合体の二重結合部分を、エポキシ酸化したものなどが挙げられ、中でもエポキシ基を有するモノマーが共重合されたオレフィン系共重合体が好適であり、特にα−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体が好適に用いられる。
かかるα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、オクテン−1などが挙げられ、中でもエチレンが好ましく用いられる。またこれらは2種以上を同時に使用することもできる。
一方、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、一般式
Figure 0005055922
(ここでRは水素原子または低級アルキル基を示す)で示される化合物がであり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。
かかるα−オレフィンおよびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体は、上記α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとのランダム、ブロック、グラフト共重合体いずれの共重合様式であっても良い。
α−オレフィンおよびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体におけるα,β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合量は、目的とする効果への影響、重合性、ゲル化、耐熱性、流動性、強度への影響などの観点から、0.5〜40重量%、特に3〜30重量%が好ましい。本発明においてエポキシ基含有オレフィン系共重合体として、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)に加え、更に下記一般式で示される単量体(3)を必須成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体もまた好適に用いられる。
Figure 0005055922
(ここで、Rは水素または低級アルキル基を示し、Xは−COOR 基、−CN基あるいは芳香族基から選ばれた基、またRは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
かかるオレフィン系共重合体に用いられるα−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)の詳細は上記エポキシ基含有ポリオレフィン系重合体と同様である。
一方単量体(3)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、芳香環がアルキル基で置換されたスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、などが挙げられ、これらは2種以上を同時に使用することもできる。
かかるオレフィン系共重合体は、α−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)と単量体(3)のランダムまたは/およびブロックまたは/およびグラフト共重合体、いずれの共重合様式であっても良く、例えばα−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)のランダム共重合体に対し単量体(3)がグラフト共重合したような、2種以上の共重合様式が組み合わされた共重合体であっても良い。
オレフィン系共重合体の共重合割合は、目的とする効果への影響、重合性、ゲル化、耐熱性、流動性、強度への影響などの観点から、α−オレフィン(1)/α,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)=60〜99重量%/40〜1重量%の範囲が好ましく選択される。また単量体(3)の共重合割合は、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)の合計量95〜40重量%に対し、単量体(3)5〜60重量%の範囲が好ましく選択される。
また本発明で好適に用いられるカルボキシル基及びその塩、酸無水物基を含有するポリオレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、およびスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのポリオレフィン系樹脂にマレイン酸無水物、琥珀酸無水物、フマル酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル及びそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの塩などが共重合されたオレフィン系共重合体などが挙げられ、より具体的にはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの金属塩、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−プロピレンーマレイン酸無水物共重合体、プロピレン−マレイン酸無水物共重合体、あるいは無水マレイン酸変性SBS、SIS、SEBS、SEPS、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などが例示できる。
かかるオレフィン系共重合体の共重合様式には特に制限はなく、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などいずれの共重合体様式であっても良い。
なかでも(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂として、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体が、コスト・靭性面で特に好ましく用いられる。
また(d)官能基を含有する樹脂として、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と(d2)酸無水物基含有オレフィン系共重合体の双方を同時に用いることは、より高い靭性を有する(A)樹脂組成物を得る上で好ましい。その際の(d1)と(d2)の重量比は(d1):(d2)=1〜99:99〜1の範囲であることが靭性の相乗効果を発現させる上で好ましい。
次にエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するシリコーンオイルについて説明する。
シリコーンオイルとは一般に直鎖シロキサン構造を骨格とし、そのケイ素に有機基などが直接結合した有機ケイ素化合物である。ケイ素に直接結合した有機基としては、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基およびそれらの併用などが知られている。本発明ではその有機基の一部がエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩などを有する置換基で置換されたシリコーンオイルが好適に用いられる。
かかるシリコーンオイルは、その粘度が0.65〜100万mm2/s(25℃)と広範なものが知られている。本発明ではシリコーンオイルの粘度に特に制限は無いが、10〜10000mm2/s(25℃)のものが好ましく、特に10〜5000mm2/s(25℃)のものが、より優れた靭性、耐熱水性、耐トラッキング性向上効果を得る意味において、あるいは取り扱い性の点において好ましい。
かかる官能基含有シリコーンオイルの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製、SF8411、SF8413、BY16−855、BY16−855B、BY16−839、SF8421EG、BY16−845、SF8418、BY16−750などが例示できる。
次に、エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するシリコーンゴムについて説明する。
シリコーンゴムとしては、有機過酸化物硬化型、付加硬化型、縮合硬化型のいずれのタイプでもかまわないが、短時間での成形が可能で量産性に優れるという点から、白金族金属系触媒を含有する液状の付加硬化型のシリコーンゴムが好ましい。また、接着性を強固にするという点から、付加硬化型シリコーンゴム組成物に接着助剤を添加したものを用いてもよい。
なお、付加硬化型の液状シリコーンゴム組成物としては、ビニル基等のアルケニル基を1分子中に2個以上有する液状のジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有する液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び白金化合物等の白金族金属系付加反応触媒を必須成分とする公知の付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を使用し得、市販品、例えば信越化学工業(株)製のKE1950−40A/B、KE1950−50A/B、KE2000−40A/B、KE2000−50A/B、KE1935A/B、KER1987A/B(いずれもA液とB液との二液混合タイプ)等を用いることができる。
上記接着助剤としては、例えば、ビニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン、ケイ素原子数が2〜30個、好ましくは4〜20個程度の直鎖状又は環状のシロキサン等の有機ケイ素化合物を挙げることができる。
エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するシリコーンゴムは、上記シリコーンゴムに官能基を導入したものであり、その導入方法には特に制限はないが、例えばエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩を有するアルコキシシランを添加し、反応させる方法などが挙げられる。
かかる官能基含有シリコーンゴムの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製、“トレフィル”E−601などが例示できる。
上記(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂の配合量は、靱性、表面平滑性、押出成形性などの点から、(a)PPS樹脂100重量部に対し、1〜200重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1〜100重量部、更に好ましくは25〜90重量部の範囲が選択される。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物には、より高い靭性を付与する意味において、(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩を含有しないエラストマーを用いることは、より優れた靱性、特に低温靱性、押出成形性を得る上で有効である。
(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーを用いる場合は、マトリックス樹脂との相溶性向上の観点から(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂と併用することが好ましい。
かかる、(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩を含有しないエラストマーとしては例えば、ポリオレフィン系エラストマ、ジエン系エラストマ、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
ポリオレフィン系エラストマの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などのオレフィン系共重合体が挙げられる。
かかるオレフィン系共重合体として密度が880kg/m以下のオレフィン系共重合体を用いることは、特に低温下での高い靭性を発現させる意味において有効である。
ジエン系エラストマの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、およびSBS、SIS、SEBS、SEPSなどが挙げられる。
中でもエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体が特に好ましい。
また、かかる(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩のいずれをも含有しないエラストマーは2種以上を併用して用いても良い。
(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩のいずれの官能基を含有しないエラストマーを用いる場合、その好適な配合量は、靱性、押出成形、表面平滑性の点から、(a)PPS樹脂100重量部に対し、1〜200重量部の範囲が選択され、5〜100重量部がより好適であり、10〜80重量部が更に好適である。但しPPS樹脂の有する耐熱性、耐薬品性と靱性のバランスの点から、(d)官能基を含有するオレフィン系共重合体と(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩を含有しないエラストマーの合計が(a)PPS樹脂100重量部に対し、200重量部以下が好ましく、150重量部以下がより好ましい。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物には、より高い柔軟性を付与する意味において、(f)可塑剤を配合することも有効である。
本発明で用い得る(f)可塑剤としては、一般的にPPS、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂に有効な可塑剤であれば特に制限は無いが、下記(I)式の化合物あるいは多価アルコールが好ましく例示できる。
Figure 0005055922
(式中、R1〜R6は、
Figure 0005055922
で示されるスルホンアミド基、−OH基、−COOR9で示されるエステル基、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基から選ばれる基である。ここでR7、R8は水素または炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基から選ばれる基を示す。R9は炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基から選ばれる基を示す。但し、R1〜R6の内の少なくとも一つは上記スルホンアミド基、−OH基、上記エステル基から選ばれる基である。)
上記(I)式の化合物の具体例としては、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、N,N’−ジブチルベンゼンスルホンアミド、N−プロピルベンゼンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミド、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステルなどのヒドロキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。また多価アルコールとは分子中に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物であり、その具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。中でもN−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、N,N’−ジブチルベンゼンスルホンアミド、N−プロピルベンゼンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミドが特に好ましい。
かかる(f)可塑剤の配合量は、柔軟性付与効果と押出成形時の揮散、発泡抑制のバランスから、(a)ポリフェニレンスルフィドと(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂の合計100重量部に対し、(f)可塑剤1〜25重量部の範囲が好ましく選択され、特に4〜20重量部の範囲がより好ましく、8〜17重量部の範囲が更に好ましい。
かかる(A)樹脂組成物の溶融混練方法には特に制限はないが、例えば原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して160〜340℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。
また優れた表面平滑性を得る上で、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂の全てまたは一部を溶融混練後、(b)ポリアミド樹脂及び/または飽和ポリエステル樹脂、及び(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂の残りを溶融混練する方法、或いは、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂の一部を溶融混練して得られる組成物と、(b)ポリアミド樹脂及び/または飽和ポリエステル樹脂と(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂の残りを溶融混練して得られる組成物を別々に調製し、次に両組成物を再度溶融混練方法は極めて有効である。
また、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と、(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂および(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩のいずれをも含有しないエラストマーの一部または全部を溶融混練後、得られた組成物と(b)ポリアミド樹脂及び/または飽和ポリエステル樹脂と、または、該(d)および該(e)と該(f)の残りを溶融混練する方法も有効である。
かかる多段混練を行う場合、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する熱可塑性樹脂、(b)ポリアミド樹脂及び/または飽和ポリエステル樹脂以外の配合物については、その混練順序には特に制限はない。
また上記多段混練法として、1段目の配合物を主ホッパーから供給し、2段目の配合物をサイドフィーダーから供給する方法も挙げられる。
更に、少量添加剤成分を用いる場合には、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形加工前に添加して成形に供することももちろん可能である。
次に内層を構成する(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物について説明する。
(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の必須構成成分である(a)PPS樹脂については、上記(A)樹脂組成物に用いられる(a)PPS樹脂と基本的に同等の構造を有し、また代表的な製造法も同じである。但し(A)樹脂組成物に用いられる(a)PPS樹脂と(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に用いられる(a)PPS樹脂は、溶融粘度、結晶化速度、融点などの物性において必ずしも同一である必要はない。
(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物で用いられる(a)PPS樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、より高い靭性を得る意味において、80Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)を越える範囲のものが好ましく使用され、150Pa・s以上のものが更に好ましい。なお、本発明における溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
かかる好ましい(a)PPS樹脂としては、東レ(株)製M2588、M2888、M2088、T1881、L2120、L2480、M2100、M2900、L2520などが挙げられる。
(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のもう一つの必須構成成分である(c)非晶性樹脂としては、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂が挙げられ、なかでも少量で高い靱性を発現させ得る点で、ポリエーテルイミド樹脂が特に好ましく用いられる。
本発明で言うポリエーテルイミドとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーで有れば特に限定されない。また、本発明の効果を阻害しない範囲で有れば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
具体的なポリエーテルイミドとしては、下記一般式で示されるポリマーが好ましく使用
される。
Figure 0005055922
(但し、上記式中R1は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、R2は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を有するものが好ましく使用される。
Figure 0005055922
本発明では、溶融成形性やコストの観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましく使用される。このポリエーテルイミドは、“ウルテム”の商標でゼネラル・エレクトリック社から市販されている。
Figure 0005055922
Figure 0005055922
本発明で言うポリエーテルスルホンとは、繰り返し骨格中に、スルホン結合とエーテル結合を有する樹脂である。代表的な構造として下記を例示できる。
Figure 0005055922
一般に“ビクトレックス”PES、“スミカエクセル”の商標で市販されている。
かかる(c)非晶性樹脂の配合量は、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、1〜70重量部の範囲が選択され、よりすぐれた靭性、バリヤー性を付与する観点から3〜50重量部、さらには4〜40重量部の範囲が好ましい。配合量が1重量部未満では靭性向上効果が小さく、70重量部を超える範囲では溶融流動性が著しく低下するため好ましくない。
本発明の(B)PPS樹脂組成物は、(a)PPS樹脂が本来有する優れた耐熱性、耐薬品性、バリア性とともに、優れた靭性を有するものである。かかる特性を発現させるためには、(a)PPS樹脂が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、(c)非晶性樹脂が島相(分散相)を形成することが必要である。さらに、(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nm以下であることが必須であり、好ましくは700nm以下、更には500nm以下が好ましい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nmを越える範囲であると、靱性向上効果が著しく損なわれるため好ましくない。
また、本発明の(B)PPS樹脂組成物は、リサイクル利用した際にも、安定して優れた靱性を有するものである。かかる特性を発現させるためには、一度射出成形した後に、その成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、(a)PPS樹脂が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、(c)非晶性樹脂が島相(分散相)を形成することが必要である。さらに、(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nm以下であることが好ましくより、好ましくは700nm以下、更には500nm以下が好ましい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nmを越える範囲であると、靱性向上効果が著しく損なわれるため好ましくない。
なおここでいう数平均分散粒子径は、(a)PPS樹脂の融解ピーク温度+20℃の成形温度でASTM4号試験片を成形し、その中心部から−20℃にて0.1μm以下の薄片をダンベル片の断面積方向に切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万〜2万倍に拡大して観察した際の任意の100個の、(c)非晶性樹脂の分散部分について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値をその分散粒子径とし、その後それらの平均値を求めた数平均分散粒子径である。
本発明の(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂と(c)非晶性樹脂の相溶性を向上させ、(c)非晶性樹脂の分散性を高め、より高度な靭性を得る上で、(g)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる一種以上の基を有する化合物を添加することも有用である。
エポキシ基含有化合物としてはビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル、ビスフェノールの替わりにハロゲン化ビスフェノールを用いたもの、ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。
またその他ノボラック型エポキシ樹脂も挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有し、通常ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。また、ノボラック型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる。原料のフェノール類としては特に制限はないがフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール、p−ターシャリーブチルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびこれらの縮合物が挙げられる。
またその他エポキシ基を有するオレフィン共重合体も挙げられる。かかるエポキシ基を有するオレフィン共重合体(エポキシ基含有オレフィン共重合体)としては、オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体が挙げられる。また、主鎖中に二重結合を有するオレフィン系重合体の二重結合部分をエポキシ化した共重合体も使用することができる。
オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限なく、α−オレフィンなどとともに共重合せしめたり、オレフィン(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量はエポキシ基含有オレフィン系共重合体の原料となる単量体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。
また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等を共重合することも可能である。
またかかるオレフィン共重合体はランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式でも良い。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合してなるオレフィン共重合体は、中でも、α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を共重合してなるオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−ポリスチレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリルースチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−PMMA、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
さらにエポキシ基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物などが例示できる。
アミノ基含有化合物としてはアミノ基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。 イソシアネート基を1個以上含む化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物やγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を例示することができる。
中でも安定した高い靱性発現効果を得る上で、イソシアネート基を1個以上含む化合物またはエポキシ基を2個以上含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、さらにイソシアネート基を1個以上含む化合物であることがより好ましい。
本発明における(g)成分の配合量は、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、0.2〜5重量部の範囲がより好ましく、0.2〜3重量部の範囲が更に好ましい。(c)成分の配合量が0.1重量部を下回る場合、安定した高い靱性を得難く、(c)成分の配合量が10重量部を越える範囲では、溶融流動性が著しく阻害されてしまうため好ましくない。
かかる(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の調整方法としては、溶融混練は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給して(a)PPS樹脂の融解ピーク温度+5〜100℃の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができるが、(c)非晶性樹脂の分散をより細かくするには、せん断力を比較的強くした方が好ましい。具体的には、ニーディング部を2箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上有する2軸押出機を使用して、混合時の樹脂温度が(a)PPS樹脂の融解ピーク温度+10〜70℃となるように混練する方法などを好ましく用いることができる。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、これと更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
また、(c)非晶性樹脂の分散をより細かくするため、一度溶融混練した後に、さらに一回以上溶融混練することが、本発明のPPS樹脂組成物を製造する好ましい方法として上げられる。混練回数の上限については特に限定しないが、一度溶融混練した後に、さらに一回〜三回混練することが、靭性向上効果と経済性の面から好ましい。
さらに上記した、一度溶融混練した後に、さらに一回以上溶融混練する際に、(a)PPS樹脂と(c)非晶性樹脂の合計100重量部に対して、水を0.02部以上配合することが、さらに好ましい製造方法として上げられる。水を0.02部以上配合した場合、本発明のPPS樹脂組成物中に含まれるオリゴマーや副生成物に由来するガスが除去されやすくなり、フィルム、シート、管状体を初めとする様々な加工体への溶融成形性が向上する。水の配合量の上限については、特に限定しないが、混練性や水蒸気による押出機内の圧力上昇の点から、0.02部以上2部未満が好ましい。
このようにして得られた(A)樹脂組成物、(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のいずれも、特に導電性材料を配合しない限り、体積固有抵抗が1012Ω・cm以上の非導電性樹脂組成物となり、帯電によるスパークなどが問題とならない場合にはこの様な多層中空成形体、特に(A)外層/(B)内層で構成される2層中空成形体は有用である。
一方、帯電によるスパークなどが懸念される用途では、(A)樹脂組成物からなる外層と(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる内層の更に内側に(C)体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、1010Ω・cm以下である導電性熱可塑性樹脂組成物からなる層を存在させる3層以上の多層中空成形体も有用である。
(C)導電性熱可塑性樹脂組成物のベースとなる樹脂としては、特に制限はないが、通常ポリアミド樹脂、特にナイロン11,12、フッ素系樹脂、特にETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、PPS樹脂、及びこれらの混合物が好ましい。
(C)導電性熱可塑性樹脂組成物のベースとなる樹脂がETFEの場合、(B)層と(C)層の間に、ETFE/PPS=5〜95/95〜5重量比のアロイ組成物層を配することも量層間の接着性向上の上で有用である。
(C)導電性熱可塑性樹脂組成物に導電性を付与するために、ベースとなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(h)導電性フィラーを配合程度配合することが好ましい。 (h)導電性フィラーとしては、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラーであれば特に制限は無く、その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。金属繊維の金属種の具体例としては鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、黄銅などが例示できる。かかる金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。金属酸化物の具体例としてはSnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)、ZnO(アルミニウムドープ)などが例示でき、これらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
導電性物質で被覆された無機フィラーにおける導電性物質の具体例としてはアルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)などが例示できる。また被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタン酸系ウィスカー、炭化珪素ウィスカーなどが例示できる。被覆方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法、焼き付け法などが挙げられる。またこれらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
カーボン粉末はその原料、製造法からアセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラックなどに分類される。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は特に限定されないが、アセチレンブラック、ファーネスブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末は、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分などの特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に特に制限は無いが、強度、電気伝導度のバランスの点から、平均粒径が500nm以下、特に5〜100nm、更には10〜70nmが好ましい。また表面積(BET法)は10m/g以上、更には30m/g以上が好まし。またDBP給油量は50ml/100g以上、特に100ml/100g以上が好ましい。また灰分は0.5%以下、特に0.3%以下が好ましい。
かかるカーボン粉末はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
中空体の最内層は、しばしば表面の平滑性が求められる。かかる観点から、本発明で用いられる導電性フィラーは、高いアスペクト比を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒状、板状、鱗片状、或いは樹脂組成物中の長さ/直径比が200以下の繊維状のいずれかの形態であることが好ましい。
上記導電性フィラーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電性フィラー、導電性ポリマーの中で、特にカーボンブラックが強度、コスト的に特に好適に用いられる。
本発明で用いられる導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度などとのバランスの点から、ベース樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜70重量部、より好ましくは2〜15重量部の範囲が選択される。
またかかる導電樹脂組成物は、十分な帯電防止性能を得る意味で、その体積固有抵抗が1010Ω・cm以下であることが好ましい。但し上記導電性フィラーの配合は一般に強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られれば、上記導電性フィラー、導電性ポリマーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。目標とする導電レベルは用途によって異なるが、通常体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、1010Ω・cm以下の範囲である。
本発明の(A)樹脂組成物、(B)PPS樹脂組成物、(C)導電性樹脂組成物には、必須成分ではないが、本発明の効果を損なわない範囲で無機フィラーを配合して使用することも可能である。かかる無機フィラーの具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるはフラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、これらの無機フィラーは中空であってもよく、さらに2種類以上併用することも可能である。また、これらの無機フィラーをイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウムやシリカ、カーボンブラックが、防食材、滑材、導電性付与の効果の点から好ましい。
更に本発明の(A)樹脂組成物、(B)PPS樹脂組成物、(C)導電性樹脂組成物には、必須成分ではないが、本発明の効果を損なわない範囲その他の添加物を添加配合しても良い。その具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、エチレン/ブテン共重合体などのオレフィン系重合体、共重合体などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、水、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えると本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
次に、本発明の中空成形品の製造方法の1例である管状成形体を例にして説明するが、もちろん下記に限定されるものではない。即ち、押出機より押し出された溶融樹脂を、一つのチューブ用ダイスに導入し、押し出して多層管状体を得る共押出成形法などが挙げられる。
このようにして得られた本発明のPPS樹脂管状体は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐摩耗性および成形品外観、靭性、導電性に優れ、ボトル、タンクおよびダクトなどのブロー成形品、パイプ、チューブなどの押出成形品として、自動車部品、電気・電子部品、および薬品用途に有効であり、LLC(ロングライフクーラント)用チューブあるいは、本発明の上記特性を十分に発揮される燃料チューブ用途、特に自動車燃料が内部を流れる自動車燃料チューブ、フューエルフィラーホース用途に好ましく適用される。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により測定した。
[モルホロジーの観察]
住友−ネスタール射出成形機SG75を用い、樹脂温度310℃、金型温度150℃で(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のASTM4号ダンベル片を成形した。ASTM4号ダンベル試験片の中央部を樹脂の流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部から、−20℃で0.1μm以下の薄片を切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万〜2万倍に拡大して(b)非晶性樹脂成分の分散粒径を測定した。 [チューブ引張伸び]
測定にはテンシロンUTA2.5T引張試験機を用い、チャック間距離100mm、引張速度10mm/minで測定を行った。なお、試験片としては、140mmにカットしたチューブを用いた。
[層間密着強さ]
チューブを短冊状にカットし、短冊の端部の内層と外層を剥離させ、各層を引張試験機のチャックに挟み、下記条件で180度剥離強さ(N/cm)を測定した。引張速度10mm/min、テストピースサイズ:幅10mm,長さ:100mm、20mm間の平均剥離力を層間密着力とした。
[キンク性]
チューブを半径Rmmの円筒に巻き付け、その際チューブが折れず、かつ扁平したチューブの短径が元の50%以上である、最小円筒半径Rをもって評価した。最小円筒半径Rが小さいほどチューブとしての柔軟性に優れていることを示す。
[燃料透過係数]
サンプルを340℃でホットプレスし、厚み約0.1mmのフィルムを作り、円盤状試験片(直径6cm)を切り出した。得られた試験片をGTR−30XATK(GTRテック社製)に取り付けて、試験片上部のセルにモデルガソリン((イ)トルエンとイソオクタンの体積比50/50の混合物と(ロ)エタノールを90対10体積比に混合したアルコールガソリン混合物)を仕込み、JIS K7126 A法(差圧法)に従って、測定温度60℃で測定した。
[体積固有抵抗]
導電性樹脂組成物ペレットを用い、樹脂温度320℃、金型温度150℃の条件下、厚み0.3cm、直径100mmの成形体を射出成形にて成形し、これをサンプルとした。測定には、タケダ理研工業(株)製 TR6877 Computing Digital Multimeterを用いた。
[参考例1](a)PPS樹脂の重合(a−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム861.00g(10.5モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られた(a)PPS樹脂は、溶融粘度が60Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)であった。
[参考例2](a)PPS樹脂の重合(a−2)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム1639.99g(20.0モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られた(a)PPS樹脂は、溶融粘度が130Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)であった。
[その他の配合剤]
b−1:ナイロン11(相対粘度2.2)
b−2:ナイロン12(相対粘度2.2)
b−3:ナイロン6(東レ(株)“アミラン”CM1046X04)
b−4:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)PBT 1400S)
c−1:ポリエーテルイミド (PEI):“ウルテム” 1010 GE社製
c−2:ポリエーテルスルホン(PES):“スミカエクセル” 3600G 住友化学工業社製
d−1:α−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体。エチレン/グリシジルメタクリレ−ト=88/12(重量%)共重合体。
d−2:無水マレイン酸(0.5wt%)グラフト変性エチレン−ブテン共重合体
e−1:エチレン/ブテン−1=88/12 MFR=0.5 密度885kg/m
e−2:エチレン/ブテン−1=81/19 MFR=0.5 密度865kg/m(重量%)共重合体
f−1:N−ブチルベンゼンスルホンアミド
g−1:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製 KBE9007)
g−2:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製 KBM403)
h−1:導電性フィラー:カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)社製EC600JD、DBP吸油量495ml/100g、BET法表面積1270m/g、平均粒径30nm、灰分0.2%
[外層(A−1〜A−9)樹脂組成物の調整]
表1に示す各1段目配合材料を表1に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部2箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が310℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1晩乾燥した。次にかかるペレットと2段目配合物をタンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度300〜320℃に設定した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部2箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が310℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1晩乾燥した。
Figure 0005055922
[内層(B−1〜B−8)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の調整]
表2に示す各成分を表2に示す割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部3箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が320℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で一晩乾燥した。一部のペレットを射出成形に供し、各成形片の島成分の分散径を測定した。
[B−9]
表2に示す各成分を表2に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練を、田辺プラスチックス機械(株)社製、40mmφ単軸押出機を用い、設定温度320℃、スクリュー回転数80rpmで溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で一晩乾燥した。一部のペレットを射出成形に供し、各成形片の島成分の分散径を測定した。
Figure 0005055922
[実施例1〜13、比較例1〜4]
次に、外層に表1の樹脂組成物ペレットを用い、内層に表2のペレットを用い、表3の組み合わせで、外径:8mm、内径:6mm、外層厚み:0.8mm、内層厚み:0.2mmの2層チューブを成形した。成形装置としては、65mmの2台の単軸押出機を用い、この2台の押出機から吐出された樹脂をアダプターによって集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなるものを使用、引き取り速度50cm/分でチューブ成形を行い、各種評価用のサンプルを採取した。評価結果を表3に示す。
Figure 0005055922
[実施例14]
PPS(a−2)100重量部に対し、(d−1)を8.3重量部、(d−2)を17.3重量部、(e−2)17.3重量部、(h−1)7.5重量部をドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部3箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が320℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で一晩乾燥した。体積固有抵抗を測定したところ、6×10Ω・cmであった。
外層に表1のA−4樹脂組成物ペレットを用い、中間層に表2のB−4樹脂組成物 ペレットを用い、最内層に上記導電性樹脂ペレットを用い、外径:8mm、内径:6mm、外層厚み:0.75mm、中間層厚み:0.15mm、内層厚み:0.1mmの3層チューブを成形した。成形装置としては、65mmの3台の単軸押出機を用い、この3台の押出機から吐出された樹脂をアダプターによって集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなるものを使用、引き取り速度50cm/分でチューブ成形を行ったところ、柔軟性、層間密着強さに優れた3層チューブが得られた。

Claims (19)

  1. 下記(A)樹脂組成物からなる外層と下記(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる内層から構成される2層以上の多層中空成形体。
    (A):(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を5〜300重量部を少なくとも含む樹脂組成物、
    (B):(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(c)ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも1種の非晶性樹脂1〜70重量部を少なくとも含むポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂が海相、(c)非晶性樹脂が島相を形成しており、前記(c)非晶性樹脂の数平均分散粒子径が1000nm以下であることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. (A)樹脂組成物が、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を110〜280重量部を含む樹脂組成物であって、(b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂を海相とする樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記載の多層中空成形体。
  3. (b)ポリアミド樹脂および/または飽和ポリエステル樹脂が、アミド基1個当たりの炭素数が8〜15の範囲であるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の多層中空成形体。
  4. (b)ポリアミド樹脂が、ポリドデカンアミド(ナイロン12)および/またはポリウンデカンアミド(ナイロン11)であることを特徴とする請求項3記載の多層中空成形体。
  5. (A)樹脂組成物が(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらに(d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂を1〜200重量部含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多層中空成形体。
  6. (d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂が、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有することを特徴とする請求項5記載の多層中空成形体。
  7. (d)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂が、(d1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体と(d2)酸無水物基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、(d1)と(d2)の重量比が(d1):(d2)=1〜99:99〜1であることを特徴とする請求項6記載の多層中空成形体。
  8. (A)樹脂組成物が、更に(e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる官能基のいずれも含有しないエラストマーを、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、1〜200重量部含有することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の多層中空成形体。
  9. (e)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基およびその塩から選ばれる官能基のいずれも含有しないエラストマーが、密度が880kg/m以下のオレフィン系共重合体を含むことを特徴とする請求項8記載の多層中空成形体。
  10. (A)樹脂組成物が、更に(f)可塑剤を含むことを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の多層中空成形体。
  11. (B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらに(g)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物を、0.1〜10重量部配合してなることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の多層中空成形体。
  12. (g)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基を1個以上含む化合物またはエポキシ基を2個以上含む化合物である請求項11記載の多層中空成形体。
  13. (A)樹脂組成物、(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のいずれも体積固有抵抗が10 12 Ω・cm以上の非導電性樹脂組成物である請求項1〜12のいずれかに記載の多層中空成形体。
  14. (a)ポリフェニレンスルフィド樹脂の溶融粘度が80Pa・s(310℃、剪断速度1000/sの条件下)を越えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の多層中空成形体。
  15. 前記(A)樹脂組成物からなる外層と前記(B)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる内層の更に内側に(C)体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、10 10 Ω・cm以下である導電性熱可塑性樹脂組成物からなる層が存在する3層以上の請求項1〜14のいずれかに記載の多層中空成形体。
  16. (C)導電性熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、(h)導電性フィラーを1〜70重量部配合してなる樹脂組成物である請求項15に記載の多層中空成形体。
  17. (C)導電性熱可塑性樹脂組成物が(a)ポリフェニレンスルフィド樹脂を含む樹脂組成物である請求項15〜16いずれかに記載の多層中空成形体。
  18. 共押出成形法により製造された請求項1〜17いずれかに記載の多層中空成形体。
  19. 多層中空成形体が、自動車燃料チューブ、フューエルフィラーホース、およびLLC(ロングライフクーラント)用チューブから選ばれるいずれかである請求項1〜18いずれかに記載の多層中空成形体。
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