JP3915213B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性、成形品外観、層間の密着性などが均衡して優れ、多層中空成形体などに適した導電性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂の中空成形品は、例えば自動車のエンジンルーム内のダクト類を中心に、ポリアミド系樹脂を使用したブロー成形によって製造する技術や、チューブ類に飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリウレタンを使用した押出成形によって製造する技術が普及している。
【0003】
しかし、従来のポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂および熱可塑性ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂からなる単層中空成形品では、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などが不十分であることから、適用する範囲が限定されてしまうため、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性などを一層高めた製品が要求されている。
【0004】
特に自動車燃料チューブ用としては、ポリアミド樹脂、中でもポリアミド11やポリアミド12などの柔軟ポリアミド樹脂が広く用いられているが、ポリアミド樹脂を単独で使用した場合、環境汚染問題および燃費向上から要求されているアルコールガソリンの透過防止性に対しては十分ではないと言う懸念点が指摘されその改良が望まれている。
【0005】
またブロー中空成形体やチューブ成形体内を燃料などの非導電性液体が流れる用途においては、成形体が帯電する場合があり、これを抑制することも同時に求められている。
【0006】
一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略称する)は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、難燃性および電気特性などが優れたエンジニアリングプラスチックであり、電気・電子部品、自動車部品などの用途に対し、その需要が高まりつつある。また、最近では、このPPS樹脂の特長を活かした管状成形体が、特公平2−200415号公報などに開示されている。
【0007】
かかるPPS樹脂製の中空成形体を用いれば上記耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、および透過性の懸念は解決されると考えられるが、靱性面で不十分な場合があり、用途によってはその適用性に限界がある。
【0008】
一方、PPS樹脂の導電化についてはこれまでにも多々検討されており、例えば特開昭60−53560号公報にはPPS樹脂に導電性カーボンブラックが配合された導電性PPS樹脂組成物が、また特開平1−272665号公報にはPPS樹脂に導電性カーボンブラックとグラファイトを配合した電気伝導性PPS混合物が開示されている。しかしいずれにも導電性PPS樹脂中空成形体に関する記載は無く、またブロー成形性、管状体成形性及び層間接着性を考慮した樹脂特性や組成への配慮についても何ら記載されていない。ましてや導電性PPS樹脂を積層した多層中空成形体については何ら記載されていない。
【0009】
また特開平5−147147号公報には導電性プラスチック材料と非導電性プラスチック材料の積層体が開示されているが、積層中空体に関する記載は全くない。また導電性PPS樹脂組成物の適用についても具体的記載はなく、ましてや導電性PPS樹脂組成物を用いた導電性多層中空体、管状体については全く記載されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来の多層中空成形品における問題点の改良を課題として検討した結果、達成されたものである。即ち本発明は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性、成形性品外観、層間の密着性などが均衡して優れ、多層中空成形体などに適した導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)導電性フィラー、(C)オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、体積固有抵抗が10 10 Ω・cm以下である導電性樹脂組成物であって、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(C)オレフィン系共重合体を1〜200重量部含有し、(C)オレフィン系共重合体として(C1)エポキシ基を含有するオレフィン系共重合体と(C2)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体との少なくとも2種の官能基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、(C1)と(C2)の重量%が(C1):(C2)=1〜99:99〜1(合計100重量%)である導電性樹脂組成物を提供する。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
更に(C)オレフィン系共重合体がエポキシ基含有オレフィン系共重合体である上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0017】
更に(C)オレフィン系共重合体がα−オレフィンおよびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体である上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0018】
更に(C)オレフィン系共重合体が、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)と更に下記一般式で示される単量体(3)を必須成分とする単量体を共重合して得られるオレフィン系共重合体である上記導電性樹脂組成物を提供する。
【化2】
Figure 0003915213
(ここで、R 1 は水素または低級アルキル基を示し、Xは−COOR 2 基、−CN基あるいは芳香族基から選ばれた1種また2種以上の基。またR 2 は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
【0019】
【0020】
【0021】
更に(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂を(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、5〜200重量部含有する上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0022】
更に(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種である上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0023】
【0024】
更に(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、脱イオン化処理されたものであることを特徴とする請求項上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0025】
【0026】
更に(B)成分がカーボンブラックであることを特徴とする上記導電性樹脂組成物を提供する。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)とは、下記構造式で示される繰り返し単位を
【化3】
Figure 0003915213
70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能である。
【0036】
【化4】
Figure 0003915213
本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常50〜20,000ポイズ(320℃、剪断速度1,000sec-1)のものが使用され、100〜5,000ポイズの範囲がより好ましい。
かかるPPS樹脂は通常公知の方法、即ち特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することももちろん可能である。 PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜280℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは2〜50時間であるが、この加熱処理温度および処理時間の両者をコントロールすることにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0037】
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0038】
本発明で用いられるPPS樹脂は脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。かかる脱イオン処理の具体的方法としては酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理および有機溶剤洗浄処理などが例示でき、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いても良い。
【0039】
PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセト、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
【0040】
PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
【0041】
PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸はPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0042】
次に本発明に用いうるポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては特に制限は無いが、その具体例としては、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマなどが挙げられ、中でも、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、およびポリオレフィン樹脂から選ばれた少なくとも1種あるいは2種以上が特に好ましい。
【0043】
ここで、ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマを各々単独または混合物の形で用いることができる。
【0044】
本発明において、とくに有用なポリアミド樹脂としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0045】
これらポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がなく、98濃硫酸溶液(ポリマー1g,濃硫酸100ml)中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜7.0の範囲、特に2.0〜6.5の範囲のものが好ましい例として例示でき、或いはメタクレゾール中(ポリマー濃度0.5重量%)、25℃で測定した相対粘度が1.0〜7.0の範囲、特に1.5〜5.0の範囲のポリアミド樹脂が例示できる。
【0046】
また、ここで使用する飽和ポリエステル樹脂とは、少なくとも60モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸と脂肪族ジオールとから得られるポリエステルをいう。テレフタル酸以外のジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、などの炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、またはシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸の単独ないし混合物が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ーブタンジオール、トリメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。
【0047】
本発明で使用する好ましい飽和ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられるが、中でも適度な機械的強度を有するポリブチレンテレフタレートまたはテレフタル酸を60モル%以上、好ましくは70モル%以上とドデカンジカルボン酸および/またはイソフタル酸を含有するジカルボン酸成分と1,4ーブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルが特に好ましく使用される。
【0048】
これら飽和ポリエステル樹脂、中でも好ましく使用されるポリブチレンテレフタレート(以下PBT樹脂と略称する)および共重合ポリエステルの重合度には特に制限無く、0.5%オルトクロロフェノール溶液を25℃で測定した相対粘度が0.5〜2.5の範囲,特に0.8〜2.0の範囲のものが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートについても重合度には特に制限無く、0.5%オルトクロロフェノール溶液を25℃で測定した極限粘度が0.54〜1.5の範囲、特に0.6〜1.2の範囲のものが好ましい。
【0049】
また、ここで使用する熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートとジオールからなる鎖状重合体であり、ポリイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。ジオールにはポリエステル型とポリエーテル型があり、前者の具体例としては、フタル酸、アジピン酸、二量化リノイン酸、マレイン酸などの有機酸と、エチレン、プロピレン、ブチレン、ジエチレンなどのグリコールなどとからなるものが、後者の具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシメチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコール、およびポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどが、それぞれ一般的に用いられる。
【0050】
これら熱可塑性ポリウレタンの重合度には特に制限はないが、通常220℃、せん断速度10/secにおける溶融粘度が1000〜100000ポイズのものが用いられる。
【0051】
また、ここで用いるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、およびポリメチルペンテンなどが挙げられる。
【0052】
またポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂あるいはポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂を主構成成分とする熱可塑性樹脂組成物が、ヤング率18000kg/cm2 以下、より好ましくは15000kg/cm2 以下の熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂組成物であることが、チューブ成形体の耐キンク性の点で好ましい。
【0053】
ポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂を主構成成分とする熱可塑性樹脂組成物とは、樹脂成分中で上記ポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂のいずれかが、最大の重量割合を占めている熱可塑性樹脂組成物を示す。なお、上記ポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂が同量の場合は、ポリフェニレンスルフィド樹脂が最大重量割合を占めるものとみなす。また化学構造が同じであれば分子量等が異なっていても同成分と見なすが、例えばオレフィン系共重合体であっても化学構造が異なるものは異種成分とみなす。
【0054】
【0055】
【0056】
導電性フィラーは、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラーであれば特に制限は無く、その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。
【0057】
金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
【0058】
金属繊維の金属種の具体例としては鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、黄銅などが例示できる。
【0059】
かかる金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
【0060】
金属酸化物の具体例としてはSnO2 (アンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドープ)、ZnO(アルミニウムドープ)などが例示でき、これらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
【0061】
導電性物質で被覆された無機フィラーにおける導電性物質の具体例としてはアルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドープ)などが例示できる。また被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタン酸系ウィスカー、炭化珪素ウィスカーなどが例示できる。被覆方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法、焼き付け法などが挙げられる。またこれらはチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
【0062】
カーボン粉末はその原料、製造法からアセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラックなどに分類される。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は特に限定されないが、アセチレンブラック、ファーネスブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末は、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分などの特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に特に制限は無いが、強度、電気伝導度のバランスの点から、平均粒径が500nm以下、特に5〜100nm、更には10〜70nmが好ましい。また表面積(BET法)は10m2 /g以上、更には30m2 /g以上が好まし。またDBP給油量は50ml/100g以上、特に100ml/100g以上が好ましい。また灰分は0.5%以下、特に0.3%以下が好ましい。
【0063】
かかるカーボン粉末はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0064】
本発明で用いられる導電性フィラーは、高いアスペクト比を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒状、板状、鱗片状、或いは樹脂組成物中の長さ/直径比が200以下の繊維状のいずれかの形態であることが好ましい。
【0065】
【0066】
上記導電性フィラーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電性フィラー、導電性ポリマーの中で、特にカーボンブラックが強度、コスト的に特に好適に用いられる。
【0067】
本発明で用いられる導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度などとのバランスの点から、樹脂組成物全体に対し、1〜70重量%、好ましくは2〜50重量%の範囲が好ましく選択される。
【0068】
またかかる導電樹脂組成物は、十分な帯電防止性能を得る意味で、その体積固有抵抗が1010Ω・cm以下であることが好ましい。但し上記導電性フィラーの配合は一般に強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られれば、上記導電性フィラー、導電性ポリマーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。目標とする導電レベルは用途によって異なるが、通常体積固有抵抗が100Ω・cmを越え、1010Ω・cm以下の範囲である。
【0069】
次に本発明の中空成形体に適した導電性樹脂組成物について説明する。
【0070】
本発明の中空成形体に適した導電性組成物の発明の構成は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)導電性フィラー、(C)オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、体積固有抵抗が10 10 Ω・cm以下である導電性樹脂組成物であって、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(C)オレフィン系共重合体を1〜200重量部含有し、(C)オレフィン系共重合体として(C1)エポキシ基を含有するオレフィン系共重合体と(C2)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体との少なくとも2種の官能基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、(C1)と(C2)の重量%が(C1):(C2)=1〜99:99〜1(合計100重量%)である導電性樹脂組成物、および(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)導電性フィラー、(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体および(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基のいずれをも含有しないエラストマーを必須成分として含有し、体積固有抵抗が10 10 Ω・cm以下である導電性樹脂組成物であって、(A)成分100重量部に対し、(C)成分が1〜200重量部、(D)成分が5〜200重量部、かつ(C)成分と(D)成分の合計量が200重量部以下である導電性樹脂組成物である。
【0071】
かかる導電性樹脂組成物に用いられる(A)PPS樹脂の詳細は上記と同様であり説明は省略する。
【0072】
また(B)導電性フィラー、導電性ポリマーについてもは、詳細は上記と同様であり説明は省略する。
【0073】
(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するオレフィン系共重合体を配合することは、優れた層間接着性、靱性、チューブとしての柔軟性などを得る意味において望ましい。
【0074】
エポキシ基含有ポリオレフィン系重合体としては、側鎖にグリシジルエステル、グリシジルエーテル、グリシジルジアミンなどを有するオレフィン系共重合体や、二重結合を有するオレフィン系共重合体の二重結合部分を、エポキシ酸化したものなどが挙げられ、中でもエポキシ基を有するモノマーが共重合されたオレフィン系共重合体が好適であり、特にα−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体が好適に用いられる。
【0075】
かかるα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン1、デセン−1、オクテン−1などが挙げられ、中でもエチレンが好ましく用いられる。またこれらは2種以上を同時に使用することもできる。
【0076】
一方、α,βー不飽和酸のグリシジルエステルとは、一般式
【化6】
Figure 0003915213
(ここでRは水素原子または低級アルキル基を示す)で示される化合物がであり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。
【0077】
かかるα−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体は、上記α−オレフィンとα,βー不飽和酸のグリシジルエステルとのランダム、交互、ブロック、グラフト共重合体いずれの共重合様式であっても良い。
【0078】
α−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体におけるα,βー不飽和酸のグリシジルエステルの共重合量は、目的とする効果への影響、重合性、ゲル化、耐熱性、流動性、強度への影響などの観点から、0.5〜40重量%、特に3〜30重量%が好ましい。
本発明においてエポキシ基含有オレフィン系共重合体として、α−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)に加え、更に下記一般式で示される単量体(3)を必須成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体もまた好適に用いられる。
【0079】
【化5】
Figure 0003915213
(ここで、R1 は水素または低級アルキル基を示し、Xは−COOR2 基、−CN基あるいは芳香族基から選ばれた1種また2種以上の基。またR2 は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
かかるオレフィン系共重合体に用いられるα−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)の詳細は(B)オレフィン系共重合体と同様である。
【0080】
一方単量体(3)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、芳香環がアルキル基で置換されたスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、などが挙げられ、これらは2種以上を同時に使用することもできる。
【0081】
かかるオレフィン系共重合体は、α−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)と単量体(3)のランダムまたは/および交互または/およびブロックまたは/およびグラフト共重合体、いずれの共重合様式であっても良く、例えばα−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)のランダム共重合体に対し単量体(3)がグラフト共重合したような、2種以上の共重合様式が組み合わされた共重合体であっても良い。
【0082】
オレフィン系共重合体の共重合割合は、目的とする効果への影響、重合性、ゲル化、耐熱性、流動性、強度への影響などの観点から、α−オレフィン(1)/α,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)=60〜99重量%/40〜1重量%の範囲が好ましく選択される。また単量体(3)の共重合割合は、α−オレフィン(1)とα,βー不飽和酸のグリシジルエステル(2)の合計量95〜40重量%に対し、単量体(3)5〜60重量%の範囲が好ましく選択される。
【0083】
また本発明で好適に用いられる カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基、酸無水物基を含有するオレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのポリオレフィン系樹脂にマレイン酸無水物、琥珀酸無水物、フマル酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル及びそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの塩、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが共重合されたオレフィン系共重合体などが挙げられ、より具体的にはエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸t−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸t−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体などのオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体などの、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびそのNa、Zn、K、Ca、Mgなどの金属塩、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテン−マレイン酸無水物共重合体、エチレン−ブテンーマレイン酸無水物共重合体、エチレン−マレイン酸無水物共重合体、プロピレン−マレイン酸無水物共重合体あるいは無水マレイン酸変性SBS、SIS、SEBS、SEPS、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などが例示できる。
【0084】
上記(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂の配合量は、透過防止性、柔軟性、耐衝撃性、チューブ成形性などの点から、(A)PPS樹脂10・BR>O重量部に対し、1〜200重量部の範囲が選択され、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは3〜50重量部の範囲が選択される。
【0085】
また上記(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂体はその2種以上を併用しても良い。
【0086】
特に(C1)エポキシ基を含有するオレフィン系共重合体と(C2)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体との少なくとも2種の官能基含有オレフィン系共重合体を併用することはより高い靱性を得る上で有効である。その際(C1)と(C2)の重量%割合は(C1):(C2)=1〜99:99〜1(合計100重量%)の範囲が選択され、(C1):(C2)=30〜70:70〜30(合計100重量%)の範囲がより好ましい。
【0087】
更に(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーを用いること、特に上記(C)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する樹脂と併用して用いることは、優れた平滑性を有する管状体を得る上で、またより優れた機械的強度、中空成形体成形性を得る上で有効である。
【0088】
かかる、(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーとしては例えば、ポリオレフィン系エラストマ、ジエン系エラストマ、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィン系エラストマの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などが挙げられる。ジエン系エラストマの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体、SBS、SIS、SEBS、SEPSなどが挙げられる。
【0089】
中でもエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体が特に好ましい。
【0090】
かかる(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基を含有しないエラストマーは2種以上を併用して用いても良い。
【0091】
(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーを用いる場合、その好適な配合量は、アルコールガソリン透過防止性、柔軟性、耐衝撃性、チューブ成形性の点から、(A)PPS樹脂100重量部に対し、5〜200重量部の範囲が選択され、5〜100重量部がより好適であり、10〜80重量部が更に好適である。
【0092】
また(C)官能基を含有する樹脂と併用して用いる場合には、特にアルコールガソリン透過防止性の観点から、(C)官能基を含有する熱可塑性樹脂と(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマーの合計が(A)PPS樹脂100重量部に対し、200重量部以下が好ましく、100重量部以下、更に70重量部以下がより好ましい。
【0093】
また(F)アルコキシシランとしては、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランが好ましく、これを添加することにより、機械的強度、靱性、層間接着性及び中空体成形性の向上に有効である。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などなどが挙げられ、中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、が特に好ましい。
【0094】
かかる(D)アルコキシシラン化合物の添加量は(A)PPS樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲が選択され、0.1〜3重量部の範囲がより好ましく選択される。
【0095】
また(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂の具体例としてはポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂が例示できる、その詳細は上記と同様であり、説明は省略する。
【0096】
かかる(E)熱可塑性樹脂の配合量はアルコールガソリン透過防止性、柔軟性、層間接着性、耐衝撃性、チューブ成形性の点から、(A)PPS樹脂100重量部に対し、5〜200重量部の範囲が選択され、好ましくは10〜100重量部、更に10〜70重量部の範囲がより好適に選択される。
【0097】
【0098】
さらに本発明で用いる各層を形成する熱可塑性樹脂組成物には、目的、用途に応じ、本発明の範囲を損なわない範囲で、非導電性の繊維状および/または非繊維状充填材を配合して用いても良い。かかる繊維状および/または非繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら(C)繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
【0099】
かかる繊維状および/または非繊維状充填材を用いる場合、その配合量は通常全組成物に対し、5〜50wt%の範囲である。
【0100】
さらに、本発明で用いる各層を形成する熱可塑性樹脂組成物には、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物、N−ブチルベンゼンスルホンアミドなどのスルホンアミド系化合物、P−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルなどの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
【0101】
さらに上述の如き官能基含有オレフィン系共重合体や官能基を含有しないエラストマーを配合してもよい。
【0102】
本発明の導電性樹脂組成物の調製方法は特に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜380℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分を用いる場合には、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形加工前に添加して成形に供することももちろん可能である。
【0103】
本発明の導電性樹脂組成物は、特にアルコールガソリン透過防止性、柔軟性、耐衝撃性、チューブ成形性、層間接着性、中空成形性などに優れた、中空成形体の成形に特に適した組成物であるが、該成形加工法に限定されるものではなく、射出成形用途などへの適用ももちろん可能である。
【0104】
【0105】
【0106】
このようにして得られた本発明の導電性樹脂組成物は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐摩耗性および成形品外観に優れており、ボトル、タンクおよびダクトなどのブロー成形品、パイプ、チューブなどの押出成形品として、自動車部品、電気・電子部品、および薬品用途に有効であるが、特に本発明の導電性樹脂組成物から得られた多層管状成形体は、上記特性を十分に発揮される燃料チューブ用途、特に自動車などの内燃機関用途に好ましく適用される。
【0107】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0108】
また、以下の実施例における体積固有抵抗、密着強さおよびアルコールガソリン透過性の評価は、次の方法により行った。
【0109】
[体積固有抵抗]導電性樹脂組成物ペレットを用い、樹脂温度320℃、金型温度150℃の条件下、厚み0.3cm、直径100mmの成形体を射出成形にて成形し、これをサンプルとした。測定には、タケダ理研工業(株)製 TR6877 Computing Digital Multimeterを用いた。
【0110】
[接着強度]チューブを幅10mmの短冊状に切削し、内外層を互いに180度方向に引張ることにより、単位長さ当りの密着強度を測定した。
【0111】
[アルコールガソリン透過性]チューブを30cmにカットしたチューブの一端を密栓し、内部に市販レギュラーガソリンとメチルアルコールを85対15重量比に混合したアルコールガソリン混合物を入れ、残りの端部も密栓した。その後、全体の重量を測定し、試験チューブを40℃の防爆型オーブンにいれ、重量変化によりアルコールガソリン透過性を評価した。
【0112】
[強度測定]導電性PPS樹脂組成物ペレットを用い、樹脂温度320℃、金型温度150℃の条件下、射出成形にて測定サンプルを成形した。このサンプルを用い、ASTMD256法に準じてノッチアイゾット衝撃強度を測定した。
【0113】
[内面平滑性]チューブ内面の偏肉状況、凹凸を肉眼で観察した。
【0114】
[参考例1(PPS樹脂の重合)]
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5モル)およびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄しこれを80℃で24時間減圧乾燥してPPS(P−1)を2.45kg得た。
【0115】
上記と同様にして重合を行い、反応生成物を、イオン交換水15リットルおよび氷酢酸13mlを攪拌機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下に密閉し、190℃に加熱昇温し、190℃に到達後70℃まで冷却した。得られたスラリーを遠心分離器で濾過し、これを80℃のイオン交換水で洗浄し、真空乾燥してPPS(P−2)を得た。
【0116】
上記と同様にして重合を行い、反応生成物を温水で5回洗浄し次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥してPPS(P−3)を得た。このPPSの数平均分子量は9200、全灰分量は0.07重量%であった。
【0117】
[実施例及び比較例で用いた配合材]
(B)導電性フィラー
B−1:カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル(株)社製EC600JD、DBP吸油量495ml/100g、BET法表面積1270m2 /g、平均粒径30nm、灰分0.2%
B−2:カーボンブラック(三菱化成工業(株)三菱導電性カーボンッブラック#3050、DBP吸油量180ml/100g、BET法表面積 75m2 /g、灰分0.2%
B−3:亜鉛 片状金属粉 平均粒径1mm
B−4:ピッチ系カーボンファイバー(繊維径13μm、繊維長3mm)
(C)官能基を含有する熱可塑性樹脂
C−1:α−オレフィンおよびα,βー不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするオレフィン系共重合体
エチレン/グリシジルメタクリレ−ト=88/12(重量%)共重合体
C−2:エチレン/グリシジルメタクリレ−ト(E/GMA)=85/15(重量%)を主骨格とし、アクリロニトリル/スチレン(AS)=30/70(重量%)をグラフト共重合した重合体であって、(E/GMA)/(AS)=70/30(重量%)共重合体
C−3:無水マレイン酸(0.5wt%)変性エチレンプロピレンラバー
C−4:無水マレイン酸(0.5wt%)グラフト変性エチレン−ブテン共重合体
(D)エポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基及びその塩、カルボン酸エステル基を含有しないエラストマー
D−1:エチレン/ブテン−1=82/18(重量%)共重合体
D−2:エチレン/アクリル酸エチル=85/15(重量%)共重合体
D−3:エチレン/プロピレン共重合体
(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂
E−1:ナイロン11(東レ(株)“リルサン”BESN O TL)
E−2:ナイロン12(東レ(株)“リルサン”AESN O TL)
E−3:ナイロン6(東レ(株)“アミラン”CM1046X04)
E−4:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)PBT 1400S)
E−5:ポリウレタン樹脂(”エラストラン”E598PNAT)
(ロ)を構成するポリフェニレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂
G−1:ナイロン11(東レ(株)“リルサン”BESN BK P20TL、ヤング率5000)
G−2:ナイロン12(東レ(株)“リルサン”AESN BK P20TL、ヤング率5000)、
G−3:ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)PBT 1404X04、ヤング率15000)
G−4:ポリウレタン樹脂(”エラストラン”E598PNAT、ヤング率3000)
G−5:ポリオレフィン樹脂(三井石油化学(株)”ハイゼックス”3000Bヤング率10000)
(F)アルコキシシラン化合物
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
比較例1〜9
表1〜2に示す内層用各配合材料を表1〜2に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度300〜320℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレットを用い、体積固有抵抗および強度測定用の成形体を成形した。
【0118】
実施例1〜2
表3に示す内層用各配合材料(C−3、C−4以外)を表3に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度300〜320℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1晩乾燥した。このペレットにC−3、C−4を表3に示す割合でドライブレンドし、タンブラーにて2分間予備混合した後、シリンダー温度300〜320℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1晩乾燥した。かかるペレットを用い、体積固有抵抗および強度測定用の成形体を成形した。
【0119】
一方、チューブの内層に上記でペレット化したPPS樹脂、外層に表1〜3に示す熱可塑性樹脂組成物を用いて、2層チューブを成形した。
【0120】
成形装置としては、2台の押出機を有し、この2台の押出機から吐出された樹脂をアダプターによって集めてチューブ状に成形するダイス、チューブを冷却し寸法制御するサイジングダイ、および引取機からなるものを使用した。
【0121】
得られた2層チューブは、外径:8mm、内径:6mmで、外層厚み:0.9mm、内層厚み:0.1mmであった。この2層チューブの評価結果を表1〜3
に示す。
【0122】
【表1】
Figure 0003915213
【表2】
Figure 0003915213
【表3】
Figure 0003915213
比較例8,9と比較例1の比較から判るように、内層に導電性PPS組成物を配置することで、導電性及び耐アルコールガソリン透過性に優れたチューブ成形体が得られる。
【0123】
比較例7では導電性フィラーを配合していない。この場合体積固有抵抗が高いとともに、チューブの偏肉が激しく内面平滑性に劣る結果であった。
【0124】
比較例1と2、4と5の比較から判るように(C)官能基を含有する熱可塑性樹脂の配合は、衝撃強度の向上に有効であると共に、層間接着性の向上にも有効である。
【0125】
【0126】
比較例2と3、1と4の比較から判るように(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂の配合は層間接着性の向上に有効である。
【0127】
【0128】
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の導電性樹脂組成物を用いた多層中空成形体は、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性、耐アルコールガソリン透過性、成形性品外観、層間の密着性などが均衡して優れ、かつ導電性を有する高機能性能を有しており、特に自動車などの内燃機関用燃料チューブに好ましく適用される。

Claims (8)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂、(B)導電性フィラー、(C)オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、体積固有抵抗が1010Ω・cm以下である導電性樹脂組成物であって、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(C)オレフィン系共重合体を1〜200重量部含有し、(C)オレフィン系共重合体として(C1)エポキシ基を含有するオレフィン系共重合体と(C2)酸無水物基を含有するオレフィン系共重合体との少なくとも2種の官能基含有オレフィン系共重合体を必須成分として含有し、(C1)と(C2)の重量%が(C1):(C2)=1〜99:99〜1(合計100重量%)である導電性樹脂組成物。
  2. (C)オレフィン系共重合体がエポキシ基含有オレフィン系共重合体である請求項記載の導電性樹脂組成物。
  3. (C)オレフィン系共重合体がα−オレフィンおよびα,β−不飽和酸のグリシジルエステルを主構成成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体である請求項記載の導電性樹脂組成物。
  4. (C)オレフィン系共重合体が、α−オレフィン(1)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステル(2)と更に下記一般式で示される単量体(3)を必須成分とする単量体を共重合して得られるオレフィン系共重合体である請求項載の導電性樹脂組成物。
    Figure 0003915213
    (ここで、R1 は水素または低級アルキル基を示し、Xは−COOR2 基、−CN基あるいは芳香族基から選ばれた1種また2種以上の基。またR2 は炭素数1〜10のアルキル基を示す)
  5. 更に(E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂を(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、5〜200重量部含有する請求項1〜4いずれか記載の導電性樹脂組成物。
  6. (E)アミド結合、エステル結合、ウレタン結合から選ばれる少なくとも1種の結合様式で結合された繰り返し単位を主構成単位とする熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項記載の導電性樹脂組成物。
  7. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、脱イオン化処理されたものであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の導電性樹脂組成物。
  8. (B)成分がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の導電性樹脂組成物。
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